最後のライブ映像
今回は最近見た、音楽関連の映像作品の紹介です。
昨年11月、癌のため61歳という若さでこの世を去ったシンガーソングライターのKAN。このサイトでも何度か取り上げていた通り、個人的にも大好きなミュージシャンだっただけに、かなりショックを受けた出来事でした。それから1年、ここに来て彼を偲ぶ様々なアイテムがリリースされています。今回紹介する映像作品もそのひとつ。「KAN BAND LIVE TOUR 2022 25歳」。結果として彼の最期のライブツアーとなってしまった同タイトルのツアーから、2023年1月10日にZepp DiverCity Tokyoで行われたライブの模様をほぼ完全収録しています。
ちなみにこのライブツアーの名古屋公演、私も参加しました。その時のライブレポートはこちら。基本的に作りこまれたステージだけに、この映像作品の内容についても、ほぼ、この時のライブレポートとほとんど変わりません。まさか、この時はこれがKANを見た最後のステージとなるとは、思いもよりませんでした・・・。アルバム「23歳」からのツアーなのですが、一方では彼の過去のアルバムから1つのアルバムから1曲ずつ選曲していた構成になっており、全体的には「23歳」からの曲も少な目で、ベスト盤のような構成の内容となっていました。「今夜はかえさないよ」の元曲「もしもし木村です」も無事(?)音源がこのような形で収録。ある意味、ラストとしてこういう構成のステージになったのは、結果としてよかったのかもしれません。
ただ、映像作品として、アンコール後のおなじみの「全曲つなぎ」の中で、途中からAdoの「うっせえわ」の替え歌が組み込まれているのですが、この「うっせえわ」の部分が完全に「P音」となっており、消されていました。ある意味、全曲つなぎの一番の肝とも言える部分なだけに、これはかなり残念・・・。許諾が下りなかったということでしょうか。ある意味、このライブの中で一番笑える部分であるだけに、非常に残念に感じました。
そして、この映像作品で一番重要な部分は、なんといっても副音声でしょう。この作品の副音声にはKANにゆかりのある人たちの、KANに対するメッセージが詰め込まれています。参加しているのはかなり豪華で、TRICERATOPSからスタートし、ASKAやスキマスイッチ、スタレビや秦基博、さらにはaikoも参加。ミスチル桜井が参加していないのはちょっと残念なのですが、非常に豪華なメンバーが参加している点、KANが様々なミュージシャンに影響を与えていたことを感じさせます。また、他にもバンドメンバーなど、過去に一緒に仕事をしたようなメンバーから、よほどのファンではないと知らないようなメンバーまで登場。KANへの想いを聴かせてくれます。
どの人もKANへの愛情をこもったコメントを残しているのですが、多くの人が語っているのがKANの人柄。非常に人見知りで、最初はあまり話をしなかった、という点はみんな共通。ただ、一方で非常に気を使ってくれる優しい性格だったという点や、音楽や人を楽しませることにたいするこだわりが半端なかったという点も共通しており、KANがどういう人だったのかが伝わってきます。彼にまつわるユニークなエピソードもいろいろと登場しており、この点も非常に興味深く聴くことが出来ました。
そんな中で印象的だったのが、ラスト近くのaikoのコメント。aikoが昔からの大のKANのファンというのは有名な話なのですが、このコメントを聴くと、彼女は本当に本当に、KANのことが好きだったんだな・・・ということを強く感じます。また、ラストのラストは、彼の幼馴染からのメッセージを、(名前からするとおそらく)KANの奥さんが代読しているのんですが、こちらもまた泣けるメッセージとなっています。
ちなみにこの副音声、本編のライブ映像とはほとんどリンクしていません。まあ、これは仕方ないことですが・・・。また、メッセージには海外の方も参加しており、現地の言葉でメッセージを残しています。英語ですらないため、そのため、メッセージの内容は全くわかりません。これについては、邦訳も載せてほしかったなぁ。また、結構知る人ぞ知る的な方も多いため、正直、どのような方なのかも、紹介してほしかったかも。その点は残念でした。
ただ、たくさんの方がこのような形でメッセージを残しており、いかにKANが多くの方に慕われていたのか、ということをあらためて強く感じます。そしてあらためてあまりにも早く彼が逝ってしまったことを残念に感じました。ライブ本編はもちろん、副音声を通じても、KANというミュージシャンの魅力を、これでもかというほど感じることが出来る作品でした。
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