DVD・Blu-ray

2016年6月13日 (月)

ストーンズの原点回帰

年内のニューアルバムリリースにむけて楽曲制作中というニュースが大きな話題となったTHE ROLLING STONES。主だったメンバーが既に70歳を超えていながらも積極的な活動が目立つ彼らですが、今回、新たに映像作品がリリースされて話題となっています。

それが本作、「TOTALLY STRIPPED」。「Stripped」とは、94年から95年にかけて日本のスタジオでのセッションやパリやアムステルダム、ロンドン、リスボンで行われたアコースティックセットでのライブの模様をおさめたライブアルバム。もともとこのプロジェクトの試みを追ったテレビのドキュメンタリー番組が制作されたのですが、本作はそのドキュメンタリー番組に映像を追加、再編集した作品だそうです。

この「Stripped」というアルバム、決してストーンズを代表するようなライブアルバム、という訳ではなく実は私も今回の作品がリリースされるまで聴いたことありませんでした。それなので今回、本作を見るにあたって「Stripped」を購入し、聴いてみました。

映像作品の方は、その「Stripped」収録作品も含めたライブ映像とメンバーのインタビューがほぼ交互に収録されています。「Stripped」のプロジェクトで行われたライブは、いずれも非常に小さいライブ会場でのライブだったようで、そのチケット獲得を巡る競争の模様もチラッとドキュメンタリーの中では触れられています。また「Stripped」のライブについては多くのメンバーがストーンズにとっても原点回帰と語っていて、キースも「俺たちはクラブバンドだ」と語っていたのが印象的。スタジアムバンドとなって久しい彼らにとって、狭い会場でのライブは昔を思い起こさせるものだったのかもしれません。

実際、間に挟まれるライブ音源は狭い会場でも全くものともしないイキイキとしたメンバーの姿が収録されています。インタビューでミックは「狭い会場は動けないことが難点だ」と言っていましたが、キースは「狭い会場でもミックにかなうやつはいない」と語っており、確かにライブ映像を見る限り、狭い会場でもミックのパフォーマンスは人を確実に惹きつけるものを感じます。

今回聴いたアルバム「Stripped」は聴きなれたストーンズのアルバムのアコースティックバージョンが収録されています。最初聴く前に、ストーンズといえばミックのボーカルと共に、あの独特のグルーヴ感あるキースのギターが大きな特徴なだけにアコースティックアレンジになるとどうなるんだろう、と思っていたのですが、アルバムを聴いてみるとアコースティックアレンジでもしっかりストーンズの曲になっていました。

この映像作品には初回限定盤としてライブCDがついてきています。こちらに収録されている曲は「Stripped」と重複を避けた選曲がなされていました。そのため、アコースティックな作品はあまり収録されておらず、このライブCDだけだとアコースティックセットというイメージはありません。ただ狭い会場でのライブなだけにスタジアムライブの音源とはまた異なる迫力が感じられます。全体的に引き締まったようなタイトな演奏といった感じでしょうか。スケール感とか派手さとかはありませんが、ストーンズの魅力が凝縮されたようなライブパフォーマンスを楽しむことが出来ました。

正直、「全盛期のパフォーマンス」ではありませんし、アコースティックセットなだけに派手さはありませんが、一方で円熟されたストーンズのパフォーマンスが実に魅力的な作品。「Stripped」が未聴でも十分楽しめる作品でした。

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2016年5月13日 (金)

映画を見た人でも必見

以前、映画も見たのですが、DVDも買ってしまいました。今年はじめに公開されて話題となった電気グルーヴのドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE?-石野卓球とピエール瀧-」です。

とりあえず映画本編の方の感想はこちらをご参照のこと。今回、わざわざDVDを購入したのは、もちろん映画本編がよかったこともありますし、また初回盤特典としてついてきたライブ映像集も目当てだったりするのですが、最大のお目当ては副音声としてついているコメンタリー。これが非常におもしろいと評判だったがために、ついついDVDを購入してしまいました。

そしてこのコメンタリーが予想していた以上によかった!コメンタリーでは電気グルーヴの2人と監督の大根仁が映画をみながらいろいろとコメントしていくのですが、映画の内容に沿ったコメントがゆえに、電気グルーヴが自らの活動を振り返るような形になっていてとても興味深いコメントが多く収録されていました。

特に映画では電気グルーヴの2人があえて全くコメントをしていなかっただけに、このコメンタリーは非常に貴重。ノリとしてはまるでラジオを聴いているかのような自由なトークで、P音も入りまくりという、ある意味電気グルーヴらしいトークなのですが、音楽に関しては真剣な物言いだったのも印象に残ります。

映画では、ある意味「映画である」がゆえの少々演出がかった構成も電気グルーヴにより突っ込みを入れられていたりして、彼らの自らの作品に対する本音が語られているのもおもしろかったです。例えば「VITAMIN」では「N.O.」を入れるかどうかについて、セールスのために「N.O.」を入れようとするレコード会社側と、それを拒絶する電気グルーヴ側という対立構造を強調していましたが、コメンタリーでは「今となっては入れてよかったと思っている」と卓球が語っていたり、「ORANGE」では「評判も悪ければセールスも奮わなかった」という映画の説明に対して、「そんなに悪かったか?そこそこ売れたぜ」と卓球が突っ込んでいたり(それに対して「映画の演出なので・・・」と大根監督がちょっとタジタジしていましたが)、電気グルーヴ側から見た視点が語られたのもとてもおもしろく聴くことが出来ました。

映画の内容を補完してあまりあるような内容で、映画を見たから十分・・・というにはあまりにもったいないコメンタリーになっていました。そういう意味でも映画を見た方にこそ要チェックなDVD。むしろこのコメンタリーを含めて電気グルーヴのドキュメンタリーとして完成形なのでは?とまで思えるほどの充実した内容になっていました。

初回盤は特典映像として、映画でつかわれた貴重なライブ映像を未公開部分を含めて収録したDVDがついてきています。それも88分という、これだけで別の商品として成り立つのでは?とすら思うほどの豪華な内容に。特に89年から90年あたりの活動最初期の映像は、かなり時代を感じさせるもので、今とはかなり異なる初期の電気グルーヴの様子を実に興味深く見ることが出来ました。

また、デビューライブから昨年実施されたライブまで時系列順に並んでいるだけに、電気グルーヴの歩みをライブという側面から知ることもできるという意味でも貴重な映像集になっています。映画のコメンタリーで、1997年の第1回フジロックでのライブを「瀧の立ち位置が決まったステージ」と言っていましたが、この映像集を見ると、この頃、電気グルーヴのライブのスタイルもかなり変わったことに気が付きました。

第1回フジロック以前のステージは、基本的にまりんの前に機材が配置され、卓球と瀧はステージでラップ(あるいは歌)を歌っているようなスタイルだったのに対し、フジロック以降は卓球とまりんが機材をいじりつつ、瀧はステージの前で曲にあわせて踊るという、今に続く電気グルーヴのライブのスタイルになっていました。

ドキュメンタリーでは電気グルーヴの音楽的な分岐点として「VITAMIN」をあげていましたが、ライブ的には、この第1回フジロックのあたりに大きな分岐点があったんだな、ということを感じた映像集となっており、そういう意味では「ライブ」という側面から電気グルーヴの歴史を感じることの出来た映像集となっていました。

さらにおもしろかったのがDVDについていたブックレット。こちらは最初期から最近までの電気グルーヴのアーティスト写真が掲載されており、これもまたユニークかつ興味深い内容になっていました。

そんな訳で映画を見た方も、むしろ映画を見た方にこそ必見なDVD。予想以上に充実しており、大満足な内容でした。

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2016年4月18日 (月)

ゲストと選曲も濃い!

お値段もそこそこ張るため、買おうかどうか迷ったあげく結局買ってしまったのが今回紹介する電気グルーヴのライブDVDです。

電気グルーヴ結成25周年を記念して行われたライブツアー「塗糞祭」。本作はその11月8日にZepp Tokyoで行われたファイナルの模様を収録したライブDVDです。本編のDVD(もしくはBlu-ray)2枚組と、初回限定盤ではその模様の音源を収録した2枚組のCDが付いています。

このライブ、25周年の記念ライブということもあって、その内容がとにかく濃い!まずゲストがすごい!彼らと一緒にコラボを行いアルバムもリリースしたことがあるスチャダラパーや、電気グルーヴとの交流のある漫画家天久聖一など、おなじみのメンバーも登場するほか、最初期の電気グルーヴのメンバー、CMJKや90年代に同じく電気グルーヴのメンバーだったまりんこと砂原良徳も参加しています。

選曲も出し惜しみなしのベストな内容。特にCMJKや砂原良徳が参加したパートでは彼らが所属していたころの曲を披露しているだけに全体的には比較的初期の頃の曲が多かったような印象も受けました。そのため、90年代あたりの電気のパブリックイメージである「毒のあるユニークな曲を歌うテクノユニット」といった楽曲が比較的多く披露されていました。

特にラストは25周年のラストを飾るにふさわしい、「N.O.」・・・ならぬその原型である「無能の人」、さらにはインディーズのデビューアルバムの1曲目「電気ビリビリ」で締めくくり。25周年の記念ライブにふさわしい構成になっています。

今回のDVDではライブのMCも(おそらく)ほぼそのまま収録。残念ながら結構な部分、放送禁止となってしまい「P音」が入っているためおもしろさが半減してしまっているのですが(正直、もうちょっと収録できるようにがんばってほしかった・・・)、それでも瀧と卓球の仲の良さが垣間見れる場面があったり、電気らしいユニークなトークを楽しめたり、MC含めてライブの雰囲気を味わうことが出来ました。

ライブ自体はそんな濃ゆい、ベストな選曲での内容なだけにライブ、行きたかったなぁ・・・という気分にさせられる、とても楽しいライブの模様が伝わってくるようでした。ただその反面、正直このライブDVDに関しては不満に感じる点も少なくありませんでした。

まずはライブ映像のカット割り。彼らに限らず最近よくあるパターンなのですが、短い時間で次々とカメラが切り変わっていく映像は個人的にはあまり好きじゃない・・・。あれだけこまかくカメラが切り変わると、ライブの臨場感が薄れちゃうように感じるんですよね。なによりも見ていて疲れてくるし。ま、私が年なだけかもしれませんが(苦笑)。

あと「電気ビリビリ」の歌詞の一部に規制がかかってミュート処理されているのも非常に残念。確かにメジャーからのリリース時に元の歌詞が問題になって改変されたのですが・・・確かにどぎつい歌詞ではあるけども、そんなに規制しないと出せないほどの歌詞かなぁ・・・。

そんな残念な部分も少なくないため、ライブ自体はとても素晴らしかったと思うのですが、DVDの方はちょっと手放しでは絶賛できないような内容でした。とはいえ、ライブ自体が良かったので十分に楽しめたのも事実なのですが。うーん、やはり「塗糞祭」、行きたかったなぁ・・・。

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2016年1月10日 (日)

賛否両論の仕掛けが・・・

内容の割に安いというのは事実なものの、それでもそれなりの金額となるので、買おうかどうか迷っていたのですが、結局買ってしまいました。

マキシマム ザ ホルモンのDVD/Blu-ray作品「Deka Vs Deka~デカ対デカ~」。彼らの人気を反映するように大ヒットを記録。CD屋でも売り切れ続出という事態となった作品。今回、本作を紹介するのですが、これは厳密にはネタバレになるのですが、このレビューを見て買おうと思った方がいたとしたら、次の点は事前に知っておいた方がいいかもしれません。

・本編を見るためには「START UP DISC」のゲームを解いて、パスワードを入手する必要があります。
・「START UP DISC」にはセーブ機能はなく、章が終わるたびに表示される「ふっかつのじゅもん」を入手する必要があります。一章が終了するのに、およそ1時間程度がかかります。

この「パスワード機能」はかなり賛否両論を巻き起こしています。ただ、今回、この映像作品を見て強く感じたのは、一部でホルモンは「ファン想いのバンド」みたいな言われ方をしていますが、「パスワード機能」などを含めて、彼らは決してファンフレンドリーなバンドではないよな、ということでした。

だって、ファンフレンドリーなら、こんなめんどくさいパスワード機能なんて作らないし、例えばライブにしてもチケットが取りやすいように、幕張メッセみたいな会場を使うだろうし、アルバムにしてもレンタル配信禁止という措置は取らないだろうし。

むしろ彼らにとってまず重要なのは、自分たちの主張をファンに伝えること。それが第一。さらには自分たちの楽しいと思う「おふざけ」を大人の財力で本気でやること。さらに、そんな自分たちの主張をファンにひとつ残らず伝え、自分たちがやりたいことをファンと一緒に楽しむこと。彼らはこの映像作品に収録されている林間学校やら地獄絵図やらといった楽しい企画を、それも無料で実施していますが、ファンを楽しませたい、というよりも自分たちがファンと楽しみたいんだなぁ、ということを強く感じました。

特に彼らの(というよりも亮君の)スタンスとして強く感じるのがバンドのファンなら、バンドのことを隅々まで知ってほしい、という主張。これは最新作「予襲復讐」のブックレットでも強く感じましたし、本作からも要所要所でバンドのことを全部知ってほしい、ということを強く感じます。そんなバンドのスタンスは、時としてうざさすら感じるのですが、ただ、私も同年代として亮君の主張はすごくわかる部分があります。

昨今、「バンドのファン」と名乗っていてもCDを買わずにYou Tubeの動画で音楽を聴いているだけ、とか、バンドのメンバーの名前すら知らない、というような「自称ファン」が少なくありません。でも、自分たちが中学生の頃って、ミュージシャンのファン、といったらCDのブックレットを読み込んで、サポートメンバーの名前まで覚えて歌詞も暗記して・・・と、好きなミュージシャンのことは隅から隅まで知っていて当然、という時代だったと思います。おそらく亮君が目指しているのはまさにそれ。ファンならホルモンのことを隅から隅まで知ってほしい、そんなスタンスをこの作品からは強く感じます。

さて今回の映像作品は、START UP DISCのゲームを含めて、すべて見るとおよそ10時間強がかかるボリューム満載な内容になっています。基本的にライブ映像もMVも文句なしにカッコいいし、民放のバラエティーテイストに作られている林間学校の映像も地獄絵図やMASTER OF TERRITORYの映像もとても楽しめました。ただ、有名ナレーターなどを起用し、いろいろな部分を凝った結果、少々やりすぎ感は否めない感じになってしまっています。下手にお金があった結果、不必要な装飾を増やしてしまった・・・そんな部分も目立ちました。

それでは今回のこの映像作品をお勧めできるかどうか、と言われると、買おうかどうか迷っているならば文句なしに買うべき作品と思います。ゲームをクリアする面倒くささはありものの、間違いなく7千円強という値段に見合うだけの満足感は得られる作品になっていると思います。また、このボリューミーな内容ゆえに、この映像作品を見れば、ホルモンのメンバーはどんな人たちなのか、ホルモンとはどんなバンドなのか、さらにホルモンの目指す方向性は何なのか、初心者でもわかる内容になっています。この作品の帯に「腹ペコデビュー推奨作品」と書いてありますが、まさにホルモンを知るための最初の作品としてはピッタリだと思います。ちょっとやりすぎ、亮君のこだわりが変な部分に出てしまった部分が少なくないのは否めませんが、そのマイナス要素を差し引いても、フルボリュームの内容を一気に見てしまった、とても楽しく、かつホルモンの魅力を感じさせる作品でした。

ちなみに同封のCD「耳噛じる真打」については、明日、別にレビューを予定しています。

以下、内容についてのネタバレレビュー。

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