アルバムレビュー(邦楽)2026年

2026年3月 1日 (日)

今なお、圧倒的な独自性

Title:小島麻由美グラフィティ~30th Anniversary Best~
Musician:小島麻由美

シンガーソングライター小島麻由美の、タイトル通りデビュー30周年を記念したベストアルバム。小島麻由美というと、特に1990年代にはサブカルチャー界隈ではかなり評判となった女性シンガーソングライター。ジャズやフレンチポップ、ブルースやロックなどの要素をごちゃ混ぜにしつつ、昭和歌謡曲の雰囲気で味付けしたレトロなポップは当時、唯一無二の音楽性を誇っていました。特にこのレトロポップや昭和歌謡の路線については彼女が活動をはじめた頃、ほとんど奏でているミュージシャンはおらず、彼女が注目を集めたおかげで、レトロポップや昭和歌謡の良さが徐々に広がっていったように感じます。特にこの後、椎名林檎やクレイジーケンバンドなどがブレイクしたルーツとしては、やはり彼女の活動があったようにも思います。

彼女自身もその後徐々に人気を集め、2001年にリリースされたアルバム「My name is blue」がオリコン最高位14位を記録するなど、一定以上の人気を確保していきます。ただ、結婚・出産の影響で活動休止。2014年あたりにはアルバムのリリースなどがあり、活動を再開したものの、2016年にリリースしたシングルを最後に再び活動を休止。今回のアルバムも2015年にリリースしたカバーアルバム「Cover Songs」以来、実に約10年ぶり。かなり久々となるニューアルバムとなりました。

そんなこともあって、今回、久々に聴いてみた小島麻由美の楽曲。ここ10年でも、特に昭和歌謡やレトロポップをめぐる状況も変化し、昭和歌謡やレトロポップを標ぼうするミュージシャンも多くなりました。それだけに久しぶりに聴いた小島麻由美が、どのように響いてくるのか気になっていたのですが、今の時点で聴いても小島麻由美の音楽性は唯一無二。今聴いても圧倒的に独特の音楽性を持っているミュージシャンであるということに、あらためて気が付かされました。

特に昨今のレトロ系を嗜好するミュージシャンは基本的に昭和歌謡という方向に走りがちなのですが、彼女の場合、ジャズやブルース、さらにはロックにガレージ、スカやロックスタディなどの洋楽的な要素も強く、昭和歌謡にありがちなウェットな要素があまりなく、バタ臭さが強いのも大きな独自性で魅力と言えるでしょう。他の昭和歌謡やレトロ系のミュージシャンたちと大きく違うのはこういった点かもしれません。

また、小島麻由美の魅力として、歌詞の世界やサウンドを加えて、いい意味で小さくまとまっている、という点があることを今回感じました。要するに、サウンド的にはシンプルなアコースティック主体のサウンドであり、無駄なストリングスやシンセなども入っておらず、あくまでもシンプルにまとまっています。歌詞の世界についても基本的にシンプルなラブソングがメイン。例えばデビューシングルある「結婚相談所」もシンプルに、街にある小さな結婚相談所を舞台とした曲ですし、「おしゃべり!おしゃべり!」にしても、恋人同士がおしゃべりするだけのシンプルな内容。変にサウンド的にスケール感を出したり、下手に歌詞の世界を広げたりと、無理なことをせず、しっかり小島麻由美の世界を守っているという点も大きな魅力に感じました。

久しぶりに小島麻由美の曲を聴いて、久しぶりに小島麻由美の魅力にはまってしまったベスト盤。令和の時代となっても彼女が唯一無二のミュージシャンであることをあらためて強く感じた1枚。CDもしくはLP1枚のベスト盤ですので、文句なしに初心者にもお勧めできるベストアルバムです。これを機に、小島麻由美の世界にはまってください!

評価:★★★★★

小島麻由美 過去の作品
a musical biography KOJIMA MAYUMI 2001-2007
ブルーロンド
渚にて
路上
With Boom Pam
セシルの季節 La saison de Cecile 1995-1999
Cover Songs


オリジナルとしてはちょっと久々に聴いてみた森山直太朗のニューアルバム。2枚同時リリースの作品となっています。

Yeeeehaaaaw/森山直太朗

まずは1枚目。全体的にアップテンポで軽快な作品。ブルーグラスやカントリーの影響が強く、カントリー色の強い作品となっています。

弓弦葉/森山直太朗

そしてもう1枚。こちらはアンビエントの色合いの強いアルバムとなっています。

・・・・・・・と聴いていたのですが、正直言うと、予想していたよりもこの両者に大きな差はありませんでした。いや、確かに「Yeeeehaaaaw」はブルーグラスやカントリー色が強い、明るい作品ですし、「弓弦葉」はアンビエント風の作品です。ただ、特に「弓弦葉」はアンビエント以上にフォーキーな作風が多く、結果としてカントリー色の強い「Yeeeehaaaw」と比べてガラッと雰囲気が変わる、森山直太朗としては異色作・・・といった感じにはなっていませんでした。

で、基本的にどちらも森山直太朗らしい作品。独特の死生観を文学的な歌詞で表現、というと言い方がいいのですが、妙に理屈っぽくて、変に狙ったような歌詞がどうも個人的には壺にはまりません。メロディーラインは悪くないと思うのですが、全体的に似ているような印象も・・・。あと、ちょっと気になったのですが、「森の小さなレストラン」は「マイウェイ」に、「さりとて商店街」はビートルズの「イエローサブマリン」に、メロディーがそっくりなのですが、クレジットは森山直太朗作曲に。これ、大丈夫?バレたら問題になるのでは??

評価:どちらも★★★

森山直太朗 過去の作品
大傑作撰
822

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2026年2月27日 (金)

2作同時リリースのライブ盤

槇原敬之が配信限定でライブアルバムを2作同時リリースしました。今回は、その感想です。

Title:マキハラボ
Musician:槇原敬之

Makiharabo

まずはデビュー35周年イヤー企画の第1弾として、2024年の11月12月に行われたライブ「マキハラボ」の模様を収録したアルバム。ピアノやストリングス、パーカッションなど、すべて生楽器という編成でのライブで、タイトル通り、彼の音楽を生楽器で演奏して「実験する」というスタイルでのライブとなっていました。

Title:Makihara Noriyuki Concert 2025 Buppu Label 15th Anniversary "Showcase the Live!"
Musician:槇原敬之

Showacethelive

こちらは2025年3月から7月に行われた同タイトルの全国ツアーの模様を収めたライブアルバム。2月に、彼の個人レーベル「Buppu Labal」設立15周年を記念して、「Buppu Label」設立以降の楽曲を収録したベスト盤「Showcase!」がリリースされましたが、同作リリースに合わせて行われたライブツアーの模様を収録したライブアルバムとなります。

さて、まず「マキハラボ」の方ですが、こちらで歌われたのはオールタイムベスト的な内容。「冬がはじまるよ」「今年の冬」と初期のナンバーからスタートし、「彼女の恋人」「Hungry Spider」など初期の作品や、「ミタテ」「林檎の花」など、比較的最近の作品も歌われています。ただし「もう恋なんてしない」や「どんなときも。」は歌われていないようですが・・・。

ただ、正直言って、「実験」をコンセプトといっても、原曲からのイメージはほとんど変化ありません。もともと槇原敬之の曲は歌メインであり、アレンジ面はバンドサウンドやシンセが入ったとしても控えめ。これをアコースティックな楽器に置き換えたところで、楽曲自体の雰囲気はほとんど変わりません。あえて言えば「彼女の恋人」はアコースティックアレンジになってグッと雰囲気が変わっていたくらいでしょうか。

これは最初から分かり切っていたことで、「実験」をコンセプトにするならば、もうちょっと大胆なアレンジを施してほしかったように思います。ともすれば彼の歌自身にまで切り込んで、声も楽器の一部としてしまうようなエレクトロ路線に持っていくとか、インスト曲にして、大胆なロックアレンジを施すとか。もっとも、あまりにやりすぎると観客にとっては不評を買うかもしれませんが、全体の曲の中で数曲は、そういう大胆なリアレンジを施した曲があってもおもしろかったのではないでしょうか。

もっとも逆に原曲からイメージがほとんど雰囲気が変わらないために、純粋なオールタイムベスト的には楽しめるアルバムになっていたと思います。そういう観点では十二分に楽しめた内容だったのですが・・・ただ、「実験」という観点で考えると、ちょっと残念にも感じてしまうライブアルバムでした。

一方、「Showcase the Live!」については、「Showcase!」リリースに伴うツアーということで、基本的にほぼ「Buppu Label」設立後の曲のみのセットリストとなっています。彼に限らず、大ベテランのミュージシャンというのは、ファンは全盛期の頃の楽曲を求めがちで、「Buppu Label」設立以降は大きなヒット曲もないだけに、セットリスト的には特に初期からのファンにとってはかなり厳しい内容となっています。

そんなセットリストにも関わらず、このツアー、東京ではキャパ5,000名の東京国際フォーラムホールAの2Daysに、さらにキャパ8,000名の東京ガーデンシアター2Daysを埋めているのは驚かさせます。最近、大きなヒット曲に恵まれていないマッキーですが、いまだ衰えないその人気のほどがうかがえます。

そして、これは「Showcase!」のレビューでも書いたのですが、ここ最近の曲でも、全盛期に負けず劣らずの名曲も少なくなく、今回のセットリストでもライブアルバムとしてかなり楽しめる作品となっていました。彼みたいなタイプのポップミュージシャンはライブでガラリと曲の雰囲気が変わる、というケースは稀ですが、それでも時には明るく、そして時にはしんみり切ないメロで会場を盛り上げるステージの魅力は、会場の雰囲気と共に、しっかりとライブアルバムを通じても伝わってきたように思います。

いままでマッキーのライブは1度しか行ったことがないのですが、また一度ライブへ行きたいと感じさせてくれるには十分な魅力的なライブアルバム。まだまだ彼は魅力的な曲をたくさん作ってくれそうです。

評価:
マキハラボ ★★★★
Showcase the Live! ★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。
Listen To The Music 3
Lovable People
Believer
Design&Reason
The Best of Listen To The Music
宜候
Bespoke
Buppu Label 15th Anniversary “Showcase!”
Makihara Noriyuki Concert 2024 “TIME TRAVELING TOUR” 2nd Season ~Yesterday Once More~


ほかに聴いたアルバム

夜空に架かる虹/a flood of circle

今年5月6日に、初となる日本武道館ワンマンが決定したa flood of circle。彼らにとって大きな到達点となるステージですが、本作のタイトルチューンはまさに初の武道館ワンマンへの思いを歌った曲で、「5月6日 武道館/目を開けて夢を見ている」というあまりにそのままな歌詞も登場します。ここまでストレートに武道館ワンマンを曲に綴った歌詞ははじめて聴いたかも・・・。

ただ、全体的にはa flood of circleらしいガレージロックを軸とした楽曲がメインな一方、「マイ・モーターサイクル・ダイアリー」ではデジタルロック的な要素を入れてきたり(マドカプっぽいけど・・・)、「キメラファンク(FLY!BABY!FLY!)」ではホーンを入れてファンクに挑戦したりと、あらたなサウンドへの挑戦も感じさせる作品。メロは相変わらずポップながらも、以前のように佐々木亮介の端正なボーカルゆえの「ベタなJ-POP歌謡曲」的には陥っておらず、ちゃんとガレージロックバンドとしての軸足を感じられるため、サウンド的に挑戦してもちゃんとa flood of circleらしさが維持されています。ちゃんと武道館クラスのバンドだな、ということを実感できるアルバム。評価はご祝儀的な意味合いも込めて。

評価:★★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-
NEW TRIBE
a flood of circle
CENTER OF THE EARTH
HEART
2020
GIFT ROCKS
伝説の夜を君と
花降る空に不滅の歌を
CANDLE SONGS
WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース

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2026年2月23日 (月)

日本、アメリカ、そして沖縄

Title:Okinawan Wuman
Musician:Awich

現在、日本において最も注目を集めている女性ラッパーといえばなんといってもちゃんみなでしょう。彼女がプロデュースを手掛けているHANAが、現在も大ヒット中。さらに昨年末には紅白に出演し、その過激なパフォーマンスが大きな話題となりました。しかし、日本で活躍する女性ラッパーとしては彼女も忘れてはいけません。沖縄出身の女性ラッパー、Awich。19歳の時に渡米。源氏でアフリカ系アメリカ人の男性と結婚するも死別。その後、日本に帰国し本格的な音楽活動を再開するというキャリアを持つ彼女。日本、アメリカ、そして沖縄と、彼女のルーツをしっかり踏まえた作品が収録されている作品となっています。

まず今回の作品の大きな特徴としてWu-Tang ClanのRZAが全面プロデュースを担当している点。HIP HOP界のレジェンドとも言うべき人物が全面プロデュースを行っている点も驚きなのですが、さらにA$AP Ferg、Lupe Fiasco、MIKEなど、海外のそうそうたるミュージシャンたちが参加ミュージシャンとして名前を連ねています。また、彼女のリリックも英語詞を中心とした内容となっており、ちょっと簡単に言ってしまえば、非常に「洋楽テイスト」の強い作風になっています。

事実上の1曲目ともなるA$AP Fergも参加した「Butcher Shop」で、ブーンバップ風のトラックが非常にカッコよく、まさに本場の雰囲気を感じさせる楽曲。「Hold It Down」も同じくブーンバップなトラックがメロウさも感じられ彼女のラップともしっかりマッチしています。また、Wu-Tang Clanらしいといえば「Wax On Wax Off」で、カンフー映画を思い起こさせるようなサンプリングを使用したトラックにRZAらしさを感じます。これはこれでAwichの曲となると、「日本」の要素を強く感じさせる楽曲に。また、どうしてもRZAのキャリア的に、90年代あたりを彷彿とさせるようなトラックも多いのですが、「Ghosts of the East」のようにトラップを取り入れた楽曲もあったりして、全体的にはしっかりと「今の音」にアップデートされています。

また、一方今回のアルバム、タイトルからして「Okinawan Wuman」と沖縄の女性という彼女の出自を強く意識したものとなっていますが、特にリリック面において、沖縄の女性という点を強く意識したものが目立ちます。特に顕著的なのは「Ghosts of the East」で、太平洋戦争の沖縄戦で沖縄の人たちが受けた残酷な殺戮劇を背景としたリリックが印象的。さらにリリックでは「From Okinawa,Japan to Cambodia」と、大虐殺があったカンボジアへと舞台は広がっていきます。

さらにある意味非常にストレートなのがスキットとなるのですが「Kaiju of Okinawa」で、ここではRZAを沖縄の嘉手納基地に招いて、第二次世界大戦の歴史をいまだ実感させられる、沖縄の現実を見せています。最後に飛行機の爆音を「怪獣みたいだ」と笑うRZAのセリフも印象的。スキットながらも沖縄の現実をまざまざと見せつけられるという、ある意味、重要なトラックになっています。

また、彼女のルーツのひとつである「日本」という面では、ラストの「Wax On Wax Off[-Japan Remix-]」も印象的。前述の通り、カンフー映画の音楽を彷彿とさせる「和」なトラックが特徴的な楽曲ですが、ここではR-指定、NENE、鎮座DOPNESS、C.O.S.A.と日本人ラッパーがズラリと参加し、全編日本語詞によるマイクリレーを繰り広げられており、日本語ラップの可能性に挑戦した作品となっています。

まさに彼女のルーツ、沖縄、日本、そしてアメリカをストレートに反映させた作品で、ある意味、Awichが全力を注ぎこんだ、その力の入れ具合のわかるアルバムになっていました。トラックは文句なしにカッコいいし、英語と日本語を自在にあやつる彼女のラップも文句なしにカッコいい。なによりも、主張の強いリリックも印象に残ります。文句なしの傑作アルバムです。

評価:★★★★★

Awich 過去の作品
THE UNION


ほかに聴いたアルバム

天使様†/Mega Shinnosuke

Tenshisama

2024年にリリースされたシングル「愛とU」がTikTokを中心にヒットを記録した男性シンガーソングライターMega Shinnosukeの約1年2か月ぶりとなるニューアルバム。最近では本作にも収録されているシングル「ごはん食べヨ」がアニメ「野原ひろし 昼メシの流儀」のオープニングに起用されるなど話題となっています(あ、しんのすけつながりか・・・)。TikTok発のミュージシャンというイメージがあったものの、前作「君にモテたいっ!!」は様々な音楽性を取り込んだ非常に優れたポップアルバムになっていました。本作もそれに続くアルバムということで、やはりギターロックの作品やピアノやホーンを入れて軽快に聴かせる作品、さらにはドリームポップ風の作品などバラエティー豊かな作風で彼の実力を感じさせます。ただ、前作に比べると、ちょっと音楽的なバリエーションやインパクトは一歩下がってしまった感も・・・。とはいえ、本作も良作だったと思います。今後の活躍にも期待です。

評価:★★★★

Mega Shinnosuke 過去の作品
君にモテたいっ!!

DEAR MYSTERIES/TOMOO

昨年、初となる日本武道館ライブを行い、またフジロックにも出演するなど、人気上昇中の女性シンガーソングライターによる、フルアルバムとしては約2年ぶりとなる2枚目のアルバム。ちょっとくすんだ感じのボーカルが耳を惹き、明るいポップなメロディーラインも魅力的ではある一方、楽曲は明るいポップかピアノバラードかの2択でちょっとバリエーションに乏しく、メロディーラインのインパクトも弱い印象が。全体的にあと一歩という印象が否めないアルバムでした。

評価:★★★

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2026年2月21日 (土)

蓮沼執太の挑戦

今回は最近リリースされた蓮沼執太が関連する2つの作品を同時に紹介します。

Title:TEAM
Musician:蓮沼執太チーム

まずは、彼が率いるオーケストラ編成の蓮沼執太フィルからの中核メンバーより結成された蓮沼執太チームによるアルバム「TEAM」。ツインドラム&ツインギターという、ちょっと特殊な編成になっています。

全7曲中3曲は歌付きの楽曲となっているのですが、残り4曲がインストとなっているこのナンバー。一言で言うと、非常にわかりやすくポストロックらしいアルバム。ダイナミックなギターとドラムスのリズムが印象的な「TEAMWORK」、続く「United Tee」も複雑なドラムパターンのリズムにギターが絡まる楽曲になっています。

それもそのはず、もともと彼自身、あのポストロックバンドの代表格、トータスに影響を受けているそうで、本作ではトータスのジョン・マッケンタイアがミックスを担当。トータスの楽曲「Seneca」のカバーにも挑戦。原曲に比べてかなりダイナミックなナンバーになっていますが、アルバム全体としてトータスからの影響を強く感じさせる作品になっています。

ただ一方で「Gakona」ではスペーシーなシンセの音を取り入れたり、ラスト「BLACKOUT」でもシンセを取り入れ、エレクトロテイストを醸し出すなど、トータスとはまた異なる、蓮沼執太らしさを感じさせる側面も。特に歌モノのナンバーに関しては、彼の書くメロディーラインは、メランコリックでどこか優しく、メロディアスな作風が意外と人なつっこさを感じさせます。

そんな訳で、トータスからの影響を上手く自分の中で消化し、蓮沼執太らしいポストロックの作品となった本作。実験精神あふれる作品ながらも同時に聴きやすさも感じさせます。挑戦的な作風ながらも比較的幅広くお勧めできる作品です。

評価:★★★★★

Title:う   た
Musician:灰野敬二+蓮沼執太

「実験性」という観点ではこちらの方が強いのではないでしょうか。前衛音楽家灰野敬二と蓮沼執太によるコラボ作。もともとこの両者の出会いはかなりユニークなものだったらしく、2017年に、お互い共演者が誰か、事前に知らされない状況でのステージに上がりパフォーマンスを行う、という企画で偶然出会ったそうで、その時感じた相性の良さから、今回、このコラボに至ったそうです。

今回の作品、非常にユニークなのは、ほぼ全楽器の演奏、作詞、作曲、ミックスを蓮沼執太が手掛け、蓮沼執太が書いた歌詞に、レコーディング当日、灰野敬二が即興で歌を与えるという手法。かなり挑戦的な作り方をした作品となっています。

蓮沼執太の作るサウンドは基本的にアンビエントな作風。ノイズやエレクトロサウンド、メタリックなサウンドにフィールドレコーディング的な自然の音を取り入れたものなど多岐にわたりますが、基本的にはアンビエント的な静かなサウンドがメインとなっています。そこに重なる即興的な灰野敬二の歌は・・・正直、老人的な声質が重なり、ちょっと不気味な印象も受けます。

これが味と言えば味であることは間違いないのですが、正直言うと、ポップという印象からは程遠い印象も。同じ実験精神を感じつつ、ポップという路線を維持した「TEAM」と比べ、こちらはかなり聴く人を選びそう。ただ、バラエティー富んだ蓮沼執太のアンビエントなサウンドは魅力的であり、そういう意味では「前衛音楽」ほどの聴きにくさはないかもしれません。「TEAM」に比べ万人向けではありませんが、興味のある方はチェックして損のないアルバムかと思います。

評価:★★★★

蓮沼執太 過去の作品
2 Tone(蓮沼執太&U-zhaan)
Good News(蓮沼執太&U-zhaan)
unpeople


ほかに聴いたアルバム

Next Chapter EP/ストレイテナー

ストレイテナーの新譜は4曲入りのEP盤。4曲のうち最後に収録されている「走る岩」は、インディーズ時代の人気曲を現在の4人編成でリアレンジした楽曲だそうです。4曲のみといっても、ヘヴィーで幻想的な「メタセコイアと月」、軽快なギターロック「My Rainy Valentine」、メロディアスでメランコリックなタイトルチューン「Next Chapter」とタイプが異なる曲が収録されており、ストレイテナーの幅の広さを感じさせる作品となっています。

評価:★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene
Behind The Tokyo
COLD DISC
Future Soundtrack
BEST of U -side DAY-
BEST of U -side NIGHT-
Black Map
Applause
Crank Up
フォーピース
The Ordinary Road

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2026年2月20日 (金)

大ヒット中のアルバムながらも覚える違和感・・・

Title:Dear Jubilee-RADWIMPS TRIBUTE-

2003年のデビュー、そして2005年のメジャーデビュー以来、高い人気を保ち続けているロックバンドRADWIMPS。特に2016年の映画「君の名は。」の劇中音楽を担当し、「前前前世」が大ヒットを記録したことから、一躍、国民的人気バンドの仲間入りを果たしました。本作は、そんな彼らのメジャーデビュー20周年を記念してリリースされたトリビュートアルバム。アルバム自体も大ヒットを記録した他、ビルボードのHot100では、アルバム収録曲のうち4曲が同時にランクインという快挙を達成。10月には彼ら自身のオリジナルアルバム「あにゅー」をリリースしていますが、そのアルバムよりもヒットしているという事態となっています。

大ヒットを記録し、評判も高いアルバムのようですが・・・ただ、個人的には聴いていてかなり違和感を覚えるアルバムとなっていました。その大きな理由として、主に2つの理由があって・・・

まず1つ目としては、野田洋次郎の歌詞を他のミュージシャンたちが歌う違和感。正直、野田洋次郎が書く歌詞はかなり独特です。かなり情熱的で感情的でありつつも、一方でどこか理屈っぽい。そのいかにも理屈っぽい、時としてあまり曲で使わないような単語を曲に盛り込んできながらも、一方では正直、教養の側面で「?」と感じさせるような歌詞も登場してしまいます。例えば本作でも宮本浩次がカバーしている「おしゃかしゃま」など典型的で、内容的にはかなりストレートに感情的。ただ一方で非常に理屈っぽい歌詞になっており、にもかかわらず、タイトルと合わせて「仏教と神道をごっちゃに理解していないか?」と思わせるような内容になっています。

ただ、そういう良くも悪く癖がある、独特の歌詞だからこそ、野田洋次郎本人が歌えば説得力が増しますし、逆に、野田洋次郎以外の歌手が歌ってしまうと、歌詞が本来持っている違和感が浮き彫りになってしまうように思います。今回のアルバムを聴いて、私が違和感を覚えた理由の一つ目はそんな点でした。

もう1つの違和感としては、その参加ミュージシャン。今回、参加しているミュージシャンはかなり豪華で、今をときめくミュージシャンばかり。米津玄師やMrs.GREEN APPLE、YOASOBIにVaundyと、まさに今のシーンの「ベストセレクション」的なミュージシャンたちが揃っています。

ただ一方で、それらのミュージシャンたちとRADWIMPSとのつながりについては若干、「?」が残ってしまいます。ちょうど彼らの最新アルバム「あにゅー」に収録された「MOUNTAIN VANILLA」という曲に、「アジカンとエルレとバンプ」と、まさに彼らとなじみありそうなロックバンドが登場してきます。ラッドとつながりがあるといえば、ちょうどこのあたりのオルタナ系ギターロックバンドだと思うのですが、今回のアルバムは残念ながらこの3バンドも、同じような系統のロックバンドも参加していません。そのため、今回のアルバム参加ミュージシャンには違和感。意地悪な言い方をすると、ラッドへのつながりよりも、いかにも売れそうなミュージシャンたちを並べたトリビュートアルバムに感じました。

そんな違和感のある作品だったので、下記の通り、評価は高くありません。とはいえ、1曲1曲をピックアップすると印象に残るような曲も少なくなく、特によかったのはラスト2曲、ハナレグミの「そっけない」と、角野隼斗の「すずめ」で、アコギのみでしんみり聴かせ、完全にハナレグミの世界となっている「そっけない」とピアノ曲で、RADWIMPSの持つ本質的なメロディーの良さを感じられる「すずめ」の2曲は特に印象に残りました。

そんな感じで個人的には違和感を多く覚える作品でしたが、一方、参加しているミュージシャンたちのファンは純粋に楽しめるアルバムではあるとは思います。ちょっと奥歯にモノが挟まったような言い方になってしまいますが・・・。特にいまをときめく最近のミュージシャンたちのファンで、これでラッドを知った方は、次は最新アルバム「あにゅー」も是非。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

ゴールデン☆ベスト 沢田知可子 YOUR BEST SELECTION +2/沢田知可子

レコード会社横断の廉価版ベストシリーズ「ゴールデン☆ベスト」。今回紹介するのは「会いたい」の大ヒットで知られる沢田知可子。ただ、本作は1990年の「会いたい」のヒットの後、1995年にワーナーミュージックに移籍。その後の1998年にリリースされた「ユア・ベストセレクション」をアップデートしたもの。そのため、「会いたい」は未収録となっています。正直、「会いたい」の後、なかなかヒットに恵まれなかった彼女。本作では基本的にメランコリックに聴かせる曲が多い一方、ピアノやストリングスを入れて聴かせる曲やシンセポップ、さらにはサウンドオブウォールっぽいアレンジの曲もあったり、様々な曲があるのですが、正直、統一感には欠けた印象も。いろいろと模索して苦しんでいたのは・・・ということが垣間見れてしまうベスト盤になっていました。

評価:★★★

The Love Songs of Chara "Lush Life"/Chara

2025年9月にデビュー満34周年を迎え、35周年イヤーがスタートしたCharaの、過去に発表したラブソングをあつめたラブソングベスト。大ヒットした「やさしい気持ち」や、YEN TOWN BAND名義の「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」も収録されています。Charaの曲でラブソング以外って、何があったっけ?と思ってしまったのですが、そんなこともあって、代表曲はほぼ網羅した、「通常の」ベストアルバムとしても機能しているアルバムになっています。改めてCharaは、ボーカルスタイルが独特で、デビューから35年たった今でも唯一無二の個性を発揮し続けています。申し分ないラブソングの傑作がつまったベストアルバムです。

評価:★★★★★

CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた
Cocoon
JEWEL
Secret Garden
Naked&Sweet
Sympathy
Baby Bump
echo(Chara+YUKI)
Inner Peace

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2026年2月15日 (日)

谷村有美からのクリスマスプレゼント

Title:White Songs -New Year, New Light-
Musician:谷村有美

谷村有美の過去作のリマスター企画第6弾。今回は1991年にリリースされたミニアルバム「White Songs」のリマスターとなります。ただ、オリジナルは4トラック5曲という内容だったのですが、今回6曲を追加。全11曲入りのフルアルバムとして大きく装いを変えたリリースとなっています。

今回追加された6曲は、基本的に本作以降にリリースされた楽曲の中からテーマに沿った曲をセレクトしたものとなっているのですが、最後の2曲は新曲となっています。いままでのリマスターでも最後に新録音の曲がボーナストラック的に収録されていたのですが、今回は純然たる新曲が2曲も収録されており、ファンにとってはうれしいクリスマスプレゼントといったところでしょうか。

さて、この「White Songs」はウインターソング集ということで、冬のイメージにピッタリの、優しくちょっと切なさを感じさせるポップチューンが並びます。メランコリックな、珠玉のクリスマスソングと言える「サンタをむかえに行く夜」に、同じく暖かさを感じる「一緒に暮らそう」は1993年のアルバム「愛する人へ~A MON COEUR~」収録で、両A面シングルとしてもリリースした曲。「『戦争が始まった』と臨時ニュースを聞いて」という歌詞は、1990年の湾岸戦争をモチーフにしたものですが、今でもなお通用してしまうのが残念なところ。ちなみにこの曲、恋人との同居を歌ったようにも思えるのですが、一緒に暮らす相手は母親だとか。

「雪の扉」も1994年のアルバム「幸福の場所」収録の曲。コーラスが重なるサビの切ないメロも印象的な、暖かい雰囲気のポップチューン。また、アルバムの中でちょっと異色なのが「21世紀の恋人」で、藤子・F・不二雄先生原作のアニメ「21エモン」のエンディング曲。もともと、特にウィンターソングでもないのですが「A HAPPY NEWYEAR MIX」として無理やり(?)収録されています。明るく軽快なポップチューンなのですが、個人的にもリアルタイムで見ていたアニメのエンディングテーマということで思い入れのある1曲だったりします。

ラスト2曲の新曲は、いずれも3曲弱という短めの楽曲で、いずれも作詞作曲を谷村有美本人が手掛けています。「たいせつ」はピアノをメインとした、アコースティックなテイストの楽曲で、いまだに往年の彼女の姿を感じるクリスタルボイスが魅力的なメランコリックな楽曲。ある意味、王道的な谷村有美の楽曲となっています。

一方、ラストの「New Year,New Light-sketch-」は、シンセでダイナミックなサウンドを聴かせるスケール感もある楽曲。ファルセットも取り入れたナンバーで、かなり意欲的に感じさせる楽曲。ボーカルに関しては若干不安定さを感じるのですが、ただ、彼女の現在の年齢と、ここ最近、あまり音楽活動をしていなかった点を考えると、ちゃんとプロとして聴かせるレベルになっています。

そんな訳で、単なるリマスターを超えて再構築された作品となっており、ファンにとってもうれしい作品。まだまだ続く寒い季節にピッタリの1枚と言えるでしょう。さて、リマスター企画、次は「docile」かなぁ。個人的に彼女のアルバムの中では一番好きな作品なので、期待したいところなのですが・・・ここに来て、半年以上、情報がストップしてしまっているので気になるところなのですが・・・。

評価:★★★★★

谷村有美 過去の作品
タニムラベスト
Believe In(2024 Remaster)
Face(2024 Remaster)
Hear(2024 Remaster)
PRISM(2024 Remaster)
愛は元気です。(2024 Remaster)


ほかに聴いたアルバム

ゴールデン☆ベスト 城之内ミサ/城之内ミサ

レコード会社共通の廉価版ベストシリーズ、ゴールデン☆ベスト。今回紹介するのは80年代終盤から活躍するシンガーソングライター城之内ミサのベスト盤。シンガーソングライターとしてだけではなく、テレビドラマの劇伴音楽などでも活躍し、80年代から現在までコンスタントに作品をリリースしています。今回のベスト盤に収録されているのは全体的に爽やかなポップが並ぶ作品。歌謡曲色が強い一方、80年代風のシンセポップやアイドル歌謡曲っぽい曲、さらにはクラシカルな楽曲やファンタジーな作風まで、かなり様々なジャンルに挑戦していることをうかがわせます。ただその一方、全体的にバラバラな印象も・・・。その作風を模索した後がうかがえるベスト盤でした。

評価:★★★★

TM NETWORK TOUR 2022"FANKS intelligence Days"at PIA ARENA MM-LIVE-/TM NETWORK

昨年10月から、7ヶ月連続でサブスク解禁されているTM NETWORKのライブアルバム第2弾。タイトル通り、2022年7月から行われたライブツアー「TM NETWORK FANKS intelligence Days TOUR 2022」の最終公演、9月4日のぴあアリーナ公演の模様を収めた作品。本格的な再活動の前哨戦となるようなライブツアーだったそうですが、比較的過去の作品が多いのが印象的で、「あの夏を忘れない」「8月の長い夜」など、知る人ぞ知る的なアルバム曲の懐かしいナンバーも聴けるのはうれしいところ。昔からのファンも存分に楽しめるライブ盤でした。

評価:★★★★★

TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
Gift from Fanks T
Gift from Fanks M
LIVE HISTORIA T 〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
LIVE HISTORIA M〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
DEVOTION
40+ ~Thanks to CITY HUNTER~
How Do You Crash It?

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2026年2月 9日 (月)

喪失と、その向こうの希望を感じる作品

Title:LOST AND FOUND
Musician:ROTH BART BARON

Lostandfound_rothbartbaron

現在、ギターボーカルの三船雅也のソロプロジェクトとなっているROTH BART BARONの約2年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムのテーマはタイトル通り、「喪失と発見」だそうで、三船は前作「8」の後のツアーで、精神的・身体的な疲労を経験し、それにより失ったもの、そしてそれからの再生をテーマとして込めた作品だとか。実際、その「喪失」を感じさせるメランコリックな作風と、その先の「再生」を感じさせるドリーミーなサウンドが大きな魅力の作品。毎回、傑作アルバムをリリースするROTH BART BARONですが、今回のアルバムもまた、傑作に仕上がってきました。

まずアルバム冒頭を飾る「CRYSTAL」が印象的。羊文学の塩塚モエカが参加した本作は、物悲しいメロディーラインながらも、どこか明るさを感じさせるドリーミーなサウンドが魅力的。まさにアルバムのテーマに沿ったような作風に仕上がっています。続く2曲目「Kitsunebi」も本作で印象的なナンバー。エレクトロサウンドで、どこか和風な雰囲気を醸し出した本作。タイトルはそのまま日本古来の心霊現象である「狐火」に由来しており、現世と来世をゆらぐ雰囲気が、独特の雰囲気を作りあげています。

その後もそんな、「喪失」を象徴するような物悲しげなメロに、「再生」を象徴するようなドリーミーなサウンドの絶妙なバランスが印象的な作品が並びます。「Falling Stars Over Burning City」も、ちょっと憂いを感じるメロディーに、ホーンも入った力強いバンドサウンドに希望の光を感じる楽曲。「S.O.S.(Song of Sinking)」もまた、ダークな雰囲気のノイズとドリーミーなエレクトロサウンドの対比がユニーク。歌詞も「意地悪な 化け物たちの 刃から/逃れましょう」「SOSの 流れる間に/魂を 混ぜましょう」とダウナーな心の闇を描きつつ、その先を感じさせる内容が印象に残ります。

さらに後半に行くにつれて、より希望の光が強くなっていく点も印象的で、終盤の「"You're the Best Person in This World"」は、まさにタイトル通り、ストレートに自己肯定的な内容。楽曲も爽やかなバンドサウンドで明るくまとめ上げられている中、三船のファルセット気味の明るくドリーミーな歌声が印象的。ラストを締めくくる「花吹雪」もタイトル通りの明るさを感じさせる作品。まさに花吹雪を思わせるようなホーンやストリングスの入ったサウンドに美しいファルセットボーカルをバックに、強く前に進みだせるような楽曲で締めくくられています。

そんな喪失感を覚えつつも、その先の希望を感じさせるドリーミーな楽曲、そして最後は希望に向かって歩き出すというアルバムの構成も魅力的。エレクトロサウンドとバンドサウンド、さらにホーンの音色を絶妙にバランスさせたサウンドも大きな魅力。今回のアルバムも文句なしの傑作でしたし、また年間ベストクラスの傑作アルバムだったと思います。聴いていてとても心地よさを感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

ROTH BART BARON 過去の作品
無限のHAKU
HOWL
8


ほかに聴いたアルバム

WORLD HAPPINESS

2008年から2019年にかけて行われた(2018年は未開催)高橋幸宏がキューレーターとして開催された都市型音楽フェス「WORLD HAPPINESS」。数多くのミュージシャンが参加したこのフェスのうち、pupa、Yellow Magic Orchestra、HASYMO、METAFIVE、THE BEATNIKS、The おそ松くんズなどといった、高橋幸宏が参加したミュージシャンの演奏を集めたベスト盤的なアルバム。高橋幸宏の誕生日である2025年6月6日にリリースされました。CD全4枚組+Blu-rayというボリューミーなボックスセットで、高橋幸宏の幅広い活動を網羅した内容で、ある意味、2000年代以降の高橋幸宏の歩みを知ることが出来るドキュメンタリーな内容にもなっています。その音楽活動の幅広さと、晩年まで変わらなかった音楽に対する旺盛な好奇心を実感できると共に、どのバンドにも共通する「高橋幸宏らしさ」も強く感じられるボックスセットとなっていました。いまさらながら、「WORLD HAPPINESS」、1回くらい行きたかったなぁ。あらためて、高橋幸宏の魅力を感じることが出来るボリューミーなボックスセットでした。

評価:★★★★★

wonder style/Thee Michelle Gun Elephant

ミッシェルのデビュー30周年を記念したリマスター企画。今回は1995年、彼らのインディーズ時代にリリースされた5曲入りアルバム。1曲目「wonder style」はインストで、ラストの「talkin'bout you」はチャック・ベリーのカバーとなりますが、くすんだ雰囲気のガレージサウンドは、既にこの時期に彼らのスタイルが確立されていたように感じます。むしろメジャーデビュー作「cult grass stars」以上に、その後のミッシェルらしさを感じる内容。メジャーデビューにあたって、この頃のスタイルを貫くのか迷いが出たのでしょうか?ただ、結果として、このアルバムの頃に確立したスタイルが彼らの「正解」だったということなのでしょう。あらためて結成直後からミッシェルはミッシェル以外の何物でもなかったことを実感したアルバムでした。

評価:★★★★★

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 過去の作品
THEE GREATEST HITS
cult grass stars
High Time
Chciken Zombies
GEAR BLUES
カサノバ・スネイク
ロデオ・タンデム・ビート・スペクター
SABRINA HEAVEN
SANBIRNA NO HEAVEN

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2026年1月30日 (金)

コムアイ時代の曲も収録

Title:日本武道館単独公演~METEOR SHOWER~
Musician:水曜日のカンパネラ

2024年3月16日に行われた、水曜日のカンパネラとしては2回目、ボーカルが詩羽に変わってからははじめてとなる日本武道館ライブの模様を収録したライブ盤。マテリアルとしてはBlu-rayとして映像版でのリリースとなりますが、音源部分だけ配信版としてリリースされていますので今回はそちらで聴いてみました。

ご存知の通り、水曜日のカンパネラは2021年に初代ボーカリストのコムアイが脱退。2代目ボーカリストとして詩羽が引き継ぎました。水カンは3人組のユニットですが、表に出てくるのがボーカルのみであり、事実上、ボーカル単独のユニット的な見方もされることも多い分、そのボーカルが変わるという決断には驚かされましたが、それから5年、もう水カン=詩羽というスタイルが完全に定着してしまいました。

今回のライブ盤で特徴的なのはコムアイ時代の曲も詩羽が歌っているという点。「シャクシャイン」「ラー」「桃太郎」などといったコムアイ時代の人気曲もしっかりとセットリストに加えられています。これらの曲がライブ盤という形で詩羽ボーカルで聴けるというのは興味深い点であり、ある意味、コムアイと詩羽の間のバランスを絶妙に取っているように感じます。というのは、確かにコムアイ時代の曲を詩羽ボーカルで聴くとどうなるのか、というのは興味がある点である一方、水曜日のカンパネラとして、あらためて、これらの曲を詩羽で録り直しリリースする、という話になれば、コムアイの曲を詩羽で塗りつぶしたような印象を受け、まるでコムアイ時代の曲を否定するかのようで、昔からのファンとしては複雑に感じてしまいます。

その点、ライブ盤という形であれば、あくまでもライブという場でのカバーであり、コムアイ時代の曲を詩羽ボーカルで塗りつぶすような感覚もなく、純粋に両者のボーカルの違いによる曲の変化を楽しむことが出来ます。そういう意味でも、こういう方でライブ盤で、コムアイ時代の曲を聴けるというのは非常に興味深い試みにも感じました。

そして、このライブ盤であらためて感じるのは、コムアイと詩羽のボーカルスタイルの違い。比較的、無機質さを感じつつ淡々と歌い上げていたコムアイに対して、詩羽は、キュートだったり、時としてドスを利かせたりことすらあるボーカルスタイルで、感情を込めた歌い方をします。例えば「赤ずきん」などは、まさにこの詩羽のボーカルスタイルだからこそ生きた1曲と言えるでしょう。

しかしおもしろいのは、詩羽ボーカルでもコムアイ時代の曲も難なくマッチした点でした。例えば「シャクシャイン」や「ラー」などはコムアイボーカルのスタイルが生きた、淡々とした楽曲なのですが、これらの曲も詩羽は難なくこなし、一方、「桃太郎」などは、詩羽ボーカルのスタイルを上手く生かして、歌詞の物語性な部分がより強調されたように感じます。なによりも、詩羽時代の楽曲はもちろんのこと、コムアイ時代の曲もしっかり歌いこなせる彼女のボーカリストとしての実力を再認識できるライブ盤となっていました。

収録曲はベスト盤的な選曲になっていますし、コムアイ時代の曲も詩羽ボーカルで文句なしに楽しめる内容になっています。あらためて映像版も見てみたいなぁ・・・とも感じてしまったのですが、なによりもまた、水カンのライブにも足を運びたくなりました。そんな詩羽のボーカリストとしての実力を再認識できるライブ盤でした。

評価:★★★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA
SUPERMAN
ガラパゴス
猫は抱くもの(オリジナル・サウンドトラック)
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ&オオルタイチ)
ネオン
RABBIT STAR★
POP DELIVERY
可愛い女子


ほかに聴いたアルバム

愛米 〜FANtachy selection〜/米米CLUB

デビュー40周年を記念してリリースされた米米CLUBのベスト盤。ネット上でのファン投票によって選ばれた20曲と、米米に関わったスタッフによって選ばれた20曲の計40曲を収録したアルバム。ファンや関係者によるセレクトということもあって、「浪漫飛行」「君がいるだけで」のような大ヒットした代表曲から、「Shake Hip!」「FUNK FUJIYAMA」のような、初期米米で多かったファンク系の曲、さらには「そーリーミュージック」と自称していた、おふざけソングまで、幅広く網羅したベスト盤となっており、彼らの様々な側面を知れるベスト盤となっています。ただ、現時点での直近作となる前作もベスト盤でしたし、以前にもファン投票によるベスト盤はリリースしていますし、何枚目のベストだよ?といった印象も。内容的には文句なしに5つですが、そんな点を考慮して、1つマイナスで。

評価:★★★★

米米CLUB 過去の作品
komedia.jp
米米米~SUNRICE~
LAST BEST~豊作参舞~

Long Story Short/古内東子

古内東子の約2年ぶりとなる新作。彼女の代表曲「誰より好きなのに」のアレンジを手掛けた小松秀行が全編アレンジを手掛け、「Long Story Shot=要するに」というアルバムタイトルが示すように、古内東子らしい作品が並ぶアルバムで、全8曲入りという比較的短めな内容も、まさにアルバムタイトルに沿ったものといった感じでしょうか。ピアノを中心にジャジーに、メランコリックに聴かせるスタイルは古内東子らしい作風。一方で、以前に比べるとサウンド面での分厚さが増したのは、今風にアップデートしている部分か?彼女らしい作風はファンなら安心して楽しめる内容である一方、目新しさはちょっと薄かったかも。

評価:★★★★

古内東子 過去の作品
IN LOVE AGAIN
The Singles Sony Music Years 1993~2002
Purple

透明
夢の続き
and then...~20th anniversary BEST~
Toko Furuuchi with 10 legends
After The Rain
誰より好きなのに~25th anniversary BEST~
体温、鼓動
魔法の手 Deluxe Edition
果てしないこと

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2026年1月19日 (月)

ベタさと実験性がほどよくバランス

Title:ALL HAZE
Musician:TESTSET

高橋幸宏のバンド、METAFIVEから派生したバンド、TESTSET。そんな彼らの、フルアルバムとしては約2年3か月ぶりとなる新作がリリースされました。ご存じの通り、TESTSETといえば、砂原良徳、LEO今井、GREAT3の白根賢一、相対性理論の永井聖一というそうそうたるメンバーが集ったスーパーグループ。今回のアルバム「ALL HAZE(HAZE=霞)」とは、そんな豪華なメンバーが持つ様々な音楽性が、霞のように溶け合ったということに由来しているとか。全9曲入りとアルバムとしての曲数としては少な目ながらも、そんなTESTSETの特徴が発揮された1枚とあんっています。

まずなんといってもTESTSETの魅力というと、エレクトロとバンドサウンドが溶け合った、未来的なイメージのサウンドに、LEO今井の端正なボーカルが乗ってポップでロックにまとめ上げているスタイルでしょう。まずアルバム1曲目を飾る「Dry Action Pump」はまさにそんなTESTSETらしい作品。テンポよい四つ打ちのリズムにファンキーさも感じるロックなサウンドが重なり、LEO今井のボーカルで歌い上げる、ちょっとベタさを感じつつも非常にカッコいいエレクトロロックチューン。続く「Vapour Cream」は、こちらはもっとニューウェーヴ色が強く押し出された作品なのですが、こちらもLEO今井がロッキンに歌い上げるカッコいいナンバーとなっています。

そこからちょっと雰囲気が変わるのが3曲目「Neuromancer」。リズミカルなテクノポップ的な作品となっており、ボーカルは永井聖一が担当。より機械的、未来的な雰囲気の作品となっています。個人的には曲調が高橋幸宏を彷彿とさせる感じがあり、ひょっとしたら意識したのでしょうか。

その後も「Enso」は、ちょっとインダストリアルの色合いを感じたり、「Copit Feet」では90年代のクラブ系のサウンドを感じられたりと、テンポよいエレクトロサウンドという軸を保ちつつも、楽曲によって音楽性が変化していくのがユニークなところ。ただ、全体的に前半に関してはリズミカルでアップテンポな曲が多く、より「ロッキン」な側面を感じさせる曲が目立つ印象を受けます。

一方後半は、ミディアムテンポで抒情的なナンバーが続きます。ダウナーな雰囲気が漂うミディアムチューンの「Rabbit Hole」や、エレクトロサウンドの中にフォーキーな要素も感じられる「The Haze」など、アグレッシブな前半に対して、比較的しんみりと聴かせるタイプの楽曲が後半には並んでいます。そしてラストにはインスト曲の「Initiation」で締めくくり。砂原良徳によるエレクトロナンバーなのですが、ポップな歌モノの作品に比べると、かなり実験的なナンバーとなっていますが、この振れ幅もまた、TESTSETの大きな魅力と言えるでしょう。

そんなバラエティーに富んだ展開も楽しめる本作。また、TESTSETの大きな魅力と感じるのが、ベタさと先駆性のほどよいバランスで、特に前半はLEO今井ボーカルによるエレクトロロックという、ある意味、「ベタ」なカッコよさを感じる作品が、絶妙に凝ったエレクトロサウンドと上手くバランスが取れた作品が並びます。ただ、文句なしでカッコよかった前半に対して、ミディアムテンポ主導となる後半については、若干ダレたかな?という感じも否めず・・・。この点はちょっと惜しさも感じられました。

とはいえ、それを差し引いても、文句なしに傑作アルバムだったと思いますし、また、年間ベストクラスの作品だったと思います。スーパーグループなだけに、今後もどれだけコンスタントに活動を続けてくれるのかわからない部分もありますが・・・これからも俄然期待したくなる傑作です。

評価:★★★★★

TESTSET 過去の作品
EP1 TSTST
1STST
EP2 TSTST


ほかに聴いたアルバム

The Best of Your Christmas Day I II III & More/佐藤竹善

SING LIKE TALKINGの佐藤竹善が、2013年から発表してきたクリスマスカバーシリーズから楽曲をまとめたベストアルバム。クリスマス楽曲のスタンダードナンバーや、洋楽のカバーが中心に収録されており、彼ならではの清涼感ある伸びやかなボーカルで歌われています。全体的にジャジーに聴かせる楽曲が多く、佐藤竹善らしい大人なカバーアルバムに仕上がっています。良くも悪くも無難な内容といえば無難な内容なのですが、しっかりと期待を裏切らない、比較的万人にお勧めできるクリスマスカバーアルバムになっていました。

評価:★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Your Christmas Day III
The Best of Cornerstones 1 to 5 ~The 20th Anniversary~
My Symphonic Visions~CORNERSTONES 6~feat.新日本フィルハーモニー交響楽団

Little Christmas
Don't Stop Me Now~Cornerstones EP~
Rockin’ It Jazz Orchestra Live in 大阪~ Cornerstones 7
radio JAOR ~Cornerstones 8~

Lost God of SASORI/凛として時雨

テレビアニメ「グノーシア」エンディングテーマの「Loo% Who%」を中心に収録された5曲入りのミニアルバム。彼ららしい狂おしいほどメランコリックなメロディーラインとシャウトが特徴的。良くも悪くも大いなるマンネリといった感じはするのですが、凛として時雨らしく、聴いていて素直に心地よさは感じます。あえて言えば、以前よりヘヴィネスさが増した感も?ちゃんと凛として時雨らしさが楽しめるEP盤です。

評価:★★★★

凛として時雨 過去の作品
just A moment
still a Sigure virgin?
i'mperfect
Best of Tornado
es or s
#5
#4 -Retornado-
last aurorally

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2026年1月18日 (日)

人気投票による代表曲が並ぶベスト盤

Title:30周年記念ベストアルバム M30~Your Best~
Musician:坂本真綾

タイトル通り、歌手生活30周年を迎える人気声優の坂本真綾。声優が歌手としてデビューし、人気を博するケースは珍しくありませんが、その中でも彼女は、シンガーとしても声優という枠組みを超えて高い評価を受け、人気を得てきていました。今回のアルバムはタイトル通り、そんな彼女の歌手生活30周年を記念してリリースされたベストアルバム。全2枚組のアルバムで、彼女の代表曲が収録されたオールタイムベストとなっています。

ただ、今回のベスト盤は構成がなかなかユニークで、Disc1はファンの人気投票によるベスト15をそのまま並べた内容。ある意味、何の工夫もないのですが、逆にある種の潔さを感じさせます。一方、Disc2は彼女の音楽仲間たちによるセレクト曲を並べた内容。おなじみ菅野よう子や作詞家の岩里祐穂、Perfumeののっちなど、なかなかそうそうたるメンバーがセレクトに参加しています。

個人的に彼女のアルバムについては、比較的過去の作品から一通りチェックしているのですが、今回、特にこのDisc1の作品についてはあらためて聴いて「彼女の曲って、こんなに素晴らしかったっけ??」と改めて彼女の魅力を再認識させられました。まずはやはり人気No.1となった冒頭を飾る「プラチナ」が絶品。おなじみ菅野よう子の手による楽曲ですが、サビに向かって、絶妙にメジャーコードとマイナーコードを入り混じる転調の連続となるメロが素晴らしく、メジャーコードの爽やかさとマイナーコードによるメランコリックさが微妙にまじりあったメロが強いインパクトを与えます。複雑な構成にも関わらず、ポップに聴かせている点も絶妙で、確かに人気第1位となる結果もよくわかります。

また、同様に、転調を取り込んだ複雑なメロをポップにまとめあげ、効果的に聴かせるのが「マメシバ」で、ネオアコ的な作風で、どんどんと展開していくメロディーラインにグッと惹きつけられる楽曲。こちらもおなじく菅野よう子のメロディーラインがキラリと光る作品となっています。

このベスト15については、やはり菅野よう子作曲による楽曲が多いのですが、一方でそれ以外の作家陣による曲も少なくなく、その結果、楽曲のバリエーションがグッと増している点も特徴的。例えばthe band apart作曲による「Be mine!」は勢いのあるギターロックの作品となっており、ストリングスやシンセも入れた賑やかなサウンド構成も魅力的。また、坂本真綾本人が作詞作曲を手掛けた「これから」も、郷愁感あふれるバラードナンバーとなっており、こちらも決して他の作家陣に負けない魅力的な作品に仕上がています。その他にも菅野よう子作品となるのですが、エレクトロサウンドを取り入れた「blind summer fish」や、エッジの効いたバンドサウンドでリズミカルに聴かせる「coming up」、ピアノとバンドサウンドで分厚く祝祭色を感じるメロとサウンドが特徴的な「eternal return」、ホーンセッションを入れて楽しくわくわくするような、音楽の楽しさをそのまま表現している「シンガーソングライター」など、バリエーションのある音楽性が魅力的となっています。

ただ、それだけ様々なタイプの楽曲、様々な作家陣を起用しつつ、楽曲全体としてちゃんと統一感を覚えるのは、なんといっても清涼感あふれる坂本真綾のボーカルの魅力があるからでしょう。彼女のボーカルは、万人の耳を惹くクリアボーカルを持ちつつも、一方で、変な癖みたいなものはなく、それもまた、広い層から支持される理由でしょうし、また、「声優」という枠組みを超えて評価を受けている理由なのでしょう。今回、彼女の代表作をあらためて聴いて、そんなことを感じました。

また、今回、あらためて彼女の代表曲を聴いて感じた点のひとつが、彼女の曲に「アニソンっぽさ」を感じなかった点。昔、彼女の曲に関しては、「いかにもアニソンっぽいなぁ」と感じていたのですが、このベスト盤の曲に関しては、そんないかにもアニソンといった印象はほとんど抱きませんでした。ひょっとしたら当初聴いた時点で、彼女が声優アイドルということで、そういう偏見があったのかもしれません。また、昨今、アニソン歌手の流行で、アニソンとしての様式化がひょっとしたら進んでしまっているのかもしれません。ただ、今から聴くと彼女の楽曲はシンプルなソフトロックの色合いが強く、むしろアニソンとしての色は薄く感じます。正直、この印象についてはちょっと意外に感じてしまいました。

そんな訳で、ファンの人気投票による代表曲が並んでいるだけに、ファンはもちろん、初心者にとってもうってつけのベストアルバムとなっています。いろいろな点で坂本真綾というシンガーの魅力をあらためて感じたベスト盤でした。

評価:★★★★★

坂本真綾 過去の作品
かぜよみ
everywhere
You can't catch me
Driving in the silence
シングルコレクション+ ミツバチ
シンガーソングライター
FOLLOW ME UP
今日だけの音楽
シングルコレクション+アチコチ
Duets
記憶の図書館

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