今なお、圧倒的な独自性
Title:小島麻由美グラフィティ~30th Anniversary Best~
Musician:小島麻由美
シンガーソングライター小島麻由美の、タイトル通りデビュー30周年を記念したベストアルバム。小島麻由美というと、特に1990年代にはサブカルチャー界隈ではかなり評判となった女性シンガーソングライター。ジャズやフレンチポップ、ブルースやロックなどの要素をごちゃ混ぜにしつつ、昭和歌謡曲の雰囲気で味付けしたレトロなポップは当時、唯一無二の音楽性を誇っていました。特にこのレトロポップや昭和歌謡の路線については彼女が活動をはじめた頃、ほとんど奏でているミュージシャンはおらず、彼女が注目を集めたおかげで、レトロポップや昭和歌謡の良さが徐々に広がっていったように感じます。特にこの後、椎名林檎やクレイジーケンバンドなどがブレイクしたルーツとしては、やはり彼女の活動があったようにも思います。
彼女自身もその後徐々に人気を集め、2001年にリリースされたアルバム「My name is blue」がオリコン最高位14位を記録するなど、一定以上の人気を確保していきます。ただ、結婚・出産の影響で活動休止。2014年あたりにはアルバムのリリースなどがあり、活動を再開したものの、2016年にリリースしたシングルを最後に再び活動を休止。今回のアルバムも2015年にリリースしたカバーアルバム「Cover Songs」以来、実に約10年ぶり。かなり久々となるニューアルバムとなりました。
そんなこともあって、今回、久々に聴いてみた小島麻由美の楽曲。ここ10年でも、特に昭和歌謡やレトロポップをめぐる状況も変化し、昭和歌謡やレトロポップを標ぼうするミュージシャンも多くなりました。それだけに久しぶりに聴いた小島麻由美が、どのように響いてくるのか気になっていたのですが、今の時点で聴いても小島麻由美の音楽性は唯一無二。今聴いても圧倒的に独特の音楽性を持っているミュージシャンであるということに、あらためて気が付かされました。
特に昨今のレトロ系を嗜好するミュージシャンは基本的に昭和歌謡という方向に走りがちなのですが、彼女の場合、ジャズやブルース、さらにはロックにガレージ、スカやロックスタディなどの洋楽的な要素も強く、昭和歌謡にありがちなウェットな要素があまりなく、バタ臭さが強いのも大きな独自性で魅力と言えるでしょう。他の昭和歌謡やレトロ系のミュージシャンたちと大きく違うのはこういった点かもしれません。
また、小島麻由美の魅力として、歌詞の世界やサウンドを加えて、いい意味で小さくまとまっている、という点があることを今回感じました。要するに、サウンド的にはシンプルなアコースティック主体のサウンドであり、無駄なストリングスやシンセなども入っておらず、あくまでもシンプルにまとまっています。歌詞の世界についても基本的にシンプルなラブソングがメイン。例えばデビューシングルある「結婚相談所」もシンプルに、街にある小さな結婚相談所を舞台とした曲ですし、「おしゃべり!おしゃべり!」にしても、恋人同士がおしゃべりするだけのシンプルな内容。変にサウンド的にスケール感を出したり、下手に歌詞の世界を広げたりと、無理なことをせず、しっかり小島麻由美の世界を守っているという点も大きな魅力に感じました。
久しぶりに小島麻由美の曲を聴いて、久しぶりに小島麻由美の魅力にはまってしまったベスト盤。令和の時代となっても彼女が唯一無二のミュージシャンであることをあらためて強く感じた1枚。CDもしくはLP1枚のベスト盤ですので、文句なしに初心者にもお勧めできるベストアルバムです。これを機に、小島麻由美の世界にはまってください!
評価:★★★★★
小島麻由美 過去の作品
a musical biography KOJIMA MAYUMI 2001-2007
ブルーロンド
渚にて
路上
With Boom Pam
セシルの季節 La saison de Cecile 1995-1999
Cover Songs
オリジナルとしてはちょっと久々に聴いてみた森山直太朗のニューアルバム。2枚同時リリースの作品となっています。
Yeeeehaaaaw/森山直太朗
まずは1枚目。全体的にアップテンポで軽快な作品。ブルーグラスやカントリーの影響が強く、カントリー色の強い作品となっています。
弓弦葉/森山直太朗
そしてもう1枚。こちらはアンビエントの色合いの強いアルバムとなっています。
・・・・・・・と聴いていたのですが、正直言うと、予想していたよりもこの両者に大きな差はありませんでした。いや、確かに「Yeeeehaaaaw」はブルーグラスやカントリー色が強い、明るい作品ですし、「弓弦葉」はアンビエント風の作品です。ただ、特に「弓弦葉」はアンビエント以上にフォーキーな作風が多く、結果としてカントリー色の強い「Yeeeehaaaw」と比べてガラッと雰囲気が変わる、森山直太朗としては異色作・・・といった感じにはなっていませんでした。
で、基本的にどちらも森山直太朗らしい作品。独特の死生観を文学的な歌詞で表現、というと言い方がいいのですが、妙に理屈っぽくて、変に狙ったような歌詞がどうも個人的には壺にはまりません。メロディーラインは悪くないと思うのですが、全体的に似ているような印象も・・・。あと、ちょっと気になったのですが、「森の小さなレストラン」は「マイウェイ」に、「さりとて商店街」はビートルズの「イエローサブマリン」に、メロディーがそっくりなのですが、クレジットは森山直太朗作曲に。これ、大丈夫?バレたら問題になるのでは??
評価:どちらも★★★






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