日本の民謡や盆踊り唄を独自のグルーヴで聴かせる
Title:夜明け烏が渡るまで
Musician:中西レモン
今日紹介するのは、もともと江州音頭の歌い手として活躍しつつ、各地の民謡を現代音楽風にあらたに解釈し、大きな話題となっているシンガー、中西レモンの最新アルバムです。ただ、この「民謡を現代風に解釈」というスタイル自体は、正直なところ最近、決して珍しくはありません。もともと、ソウルフラワーユニオンなども自身が奏でるロックミュージックの中に民謡の要素を積極的に取り入れてきましたし、最近では民謡クルセイダーズやすずめのティアーズなど、民謡と現代のポピュラーミュージックを融合させたスタイルの音楽を発表するミュージシャンが多く出てきています。
彼もそんなスタイルが大きな特徴的なミュージシャンの一人。このアルバムでも、同じく、民謡とポップスを融合させて注目をあつめているデゥオ、すずめのティアーズが全面的に参加しています。本作では他にもジャンプ・ブルースのグループ、Bloodest Saxophoneやキーボーディストのエマーソン北村も参加。ロックやジャズ、フォークなどの様々な音楽的な要素を民謡に取り入れています。
ただ、そのように様々なミュージシャンが民謡とポップスを融合させる中でも、このアルバムは特に魅力的に感じました。それは、中西レモンの楽曲が、非常にグルーヴ感のあるサウンドを作りあげている点です。
例えば冒頭を飾る「タント節」。北東北に伝わる盆踊り唄だそうですが、こちらにBloodest Saxophoneが演奏に参加。スカやジャンプブルースの要素を取り入れながら、盆踊りのリズムをグルーヴ感あふれる演奏で聴かせてくれています。青森県黒石市を代表する民謡「黒石よされ」もかなりユニーク。かの「砂漠のブルース」を彷彿とさせるような演奏とリズム感が特徴的で、東北の民謡が、見事、アフリカのグルーヴ感と融合しています。新潟県の民謡「山田はんや」に至っては、リズミカルなビートが特徴的。伸びやかな民謡の歌声をバックにしつつ、リズミカルなグルーヴ感を作りあげています。
他にも様々な音楽との融合が実にユニークで、富山県の盆踊り唄「新川古代神」では、ブラジルのリズム、バイフォンを起用。こちらもラテン風ながら独特のグルーヴ感が魅力的。民謡というよりも脱衣じゃんけんで有名になってしまった「野球拳」も、スカのリズムで軽快に聴かせてくれますし、自分くらいの年代では、どちらかというとドリフターズでおなじみの「北海盆唄」も、こちらもバイフォンのリズムで軽快に聴かせつつ、ブラジル音楽の要素を取り入れた爽やかなサウンドは、どこかシティポップ的な要素も感じられます。
収録曲どの曲も、様々な音楽性を巧みに取り入れており、民謡の魅力を残しつつ、独自のグルーヴ感を作りあげている構成が実に魅力的。なによりも、日本の民謡や盆踊り唄の中に実はちゃんと用意されている、現代でも通用するグルーヴ感をしっかりと引き出している、その実力、その慧眼に感心させられる傑作アルバムに仕上がっていました。あらためて日本の民謡の魅力を実感した、そんな作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
MOTHERLAND/BIGMAMA
BIGMAMAの新作は「音楽を奏でる空想遊園地」をコンセプトとしたアルバムとなっており、遊園地のアトラクションや風景をモチーフとした楽曲が並びます。ただ、楽曲的には、ヘヴィーなバンドサウンドにバイオリンを加えたBIGMAMAらしいドラマチックなサウンドに、メランコリックなメロディーラインが載ったいつものスタイル。独特なサウンドはインパクトはあり、爽やかなメロディーラインはポップで心地よさはあるものの、ベタさも感じられる内容に。良くも悪くもBIGMAMAらしい作品となっていました。
評価:★★★★
BIGMAMA 過去の作品
Dowsing For The Future
君がまたブラウスのボタンを留めるまで
君想う、故に我在り
Synchronicity(HY+BIGMAMA)
Fabula Fibula
BESTMAMA
-11℃
Tokyo Emotional Gakuen
tone/Uru
女性シンガーソングライターUruの4枚目となるアルバム。今回も初回盤ではカバーアルバムが付属しており、平井堅の「瞳をとじて」やMrs.GREEN APPLEの「青と夏」、さらにはさだまさしの「たとえば」をカバーしています。とにかく歌が上手く、清涼感たっぷりのボーカルが実に魅力的なミュージシャンなのですが、前作同様、オリジナルに関しては似たようなタイプのバラード一本調子。ボーカルが魅力的なだけに、もうちょっとどうにかならんのか、と思うのですが。カバーアルバムは★5ですが、オリジナルは★3というところで。
評価:★★★★












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