アルバムレビュー(邦楽)2023年

2023年11月27日 (月)

ジブリソングを素直に楽しめる

Title:スタジオジブリトリビュートアルバム「ジブリをうたう」

何月号か忘れたのですが、「rockin'on」で、サマソニで来日するblurデーモン・アルバーンのインタビュー記事が載っていたのですが、そこで、来日した際に足を運びたい場所として「ジブリパーク」の名前があげられていました。以前なら、観光地的にはほとんど無視されがちだった名古屋近辺でしたが、「ジブリパーク」が世界的な観光地として名前があがることになった点、地元民としては非常にうれしかったのですが、それ以上に「ジブリ」というブランドが世界的に浸透している点をあらためて感じたインタビュー記事でした。

本作は、そんなスタジオジブリの作品を彩る楽曲を、様々なミュージシャンたちがカバーしたトリビュートアルバム。武部聡志プロデュースによる作品だそうですが、豪華なメンバーがジブリの楽曲をカバーしています。ただ、参加しているミュージシャンは、家入レオやYOASOBIの幾田りら、ももクロの玉井詩織や木村カエラといった、どちらかというと「ポップ寄り」のミュージシャンが占める中、ちょっと目を惹いたのがくるり岸田繁。それもカバーした楽曲が「となりのトトロ」と、ともすればジブリ楽曲の人気No.1を誇りそうな曲なだけに、特に目立ちました。

ただ、「ポップ寄り」のミュージシャンが並んでいることからも予想は出来るのですが、基本的には原曲に沿ったカバーとなっており、このカバーで雰囲気がガラリと変わったような目新しいカバーはありません。あえて言えば、前述の「となりのトトロ」は、原曲の女性ボーカルが、男性ボーカルにガラリと変わった点くらいでしょうか。もっとも岸田繁はシンプルにポップにまとめあげており、「となりのトトロ」のイメージを大きく変わるものではありませんでした。

その他に目立ったカバーとしてはLittle Glee Monster「テルーの唄」で、もともと原曲から伸びやかなボーカルを聴かせる、ボーカリストの力量が試される曲なのですが、その点はさすが彼女たちがしっかりと原曲の魅力を伝えています。またWakanaの「もののけ姫」も、原曲の幽玄な雰囲気をしっかり伝えるカバーに。Wakanaというミュージシャンははじめて知ったのですが、Kalafinaの元メンバーなんですね。その実力がしっかりと伝わるカバーでした。

幾田りらの「いのちの名前」も清涼感あるボーカルが魅力的ですし、家入レオの「君をのせて」もエキゾチックな雰囲気のカバーは彼女のイメージにもピッタリとマッチ。玉井詩織の「風の谷のナウシカ」も、アイドルっぽい雰囲気となっているのですが、もともとからアイドルっぽさを感じる楽曲だっただけに彼女のボーカルにもピッタリとマッチ。また、木村カエラの「ルージュの伝言」もカエラらしい明るいカバーに仕上がっています。

「テルーの唄」「もののけ姫」のようなボーカルの力量が問われる曲は、しっかりと力のあるボーカリストを配しており、さらに他の曲に関しても、ボーカルのタイプと曲の雰囲気がピッタリとマッチ。ここらへんの差配に関しては、プロデューサーの武部聡志の力を感じさせますし、だからこそ聴いていて全く違和感なく楽しめるカバーアルバムに仕上がっていました。

ただ逆に、そういった意味では意外性がない、という点はマイナスだったようにも感じます。1曲2曲は、例えば原曲の雰囲気をガラリと変えるようなロックやパンクなカバーだったり、原曲をバラバラに解体するようなエレクトロやポストロック系のカバーがあったらおもしろかったなぁ、とは強く感じました。

もっとも、おそらくこのトリビュートアルバムの趣旨としては、音楽的なおもしろさを求める音楽ファン向けというよりは、素直に聴いてみて無難に楽しめるような、ライトリスナー層向けだからこそ、このようなプロダクションとなったのでしょう。そういう意味では私の感じたマイナス点については、企画の趣旨からすると的外れなのかもしれませんが・・・ただ、それでもやはり1、2曲は冒険してほしかったなぁ、とは感じました。

もちろん、もっともそれだけからこそ、原曲の雰囲気を崩すことなく、素直に聴いていて楽しめるポップアルバムに仕上がっていたと思います。参加ミュージシャンに興味がある方はお勧めのアルバム。またジブリソングが好きなら素直に楽しめるトリビュートアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Journey/SPECIAL OTHERS

スペアザの9枚目となるオリジナルアルバム。毎月25日に「ニコニコの日」と題してリリースしてきた配信シングルをすべて含む作品。スペアザといえば、陽気で明るいインストバンドというイメージがあるのですが、今回はやはり「ニコニコの日」にリリースした作品が中心だからでしょうか。いつも以上に陽気で明るいインストポップが並んだ作品となっていました。気軽に楽しめる1枚です。

評価:★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE
SPECIAL OTHERS
Have a Nice Day
Live at 日本武道館 130629~SPE SUMMIT 2013~
LIGHT(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WINDOW
SPECIAL OTHERS II
Telepathy(SPECIAL OTHERS ACOUSTIC)
WAVE
Anniversary

Blue Birds/SING LIKE TALKING

SING LIKE TALKING約2年ぶりの新作は、表題曲を含む新曲3曲+ライブ音源3曲の計6曲入りのEP盤。実質的なシングルのような作品ですが。ただ、新曲に関しては、悪くはないけども微妙・・・といった感じ。彼ららしいメランコリックでメロディアスな作品なのですが、楽曲のインパクトという面では平凡。聴いた後、いまひとつ印象に残らなかった・・・。ただ、良かったのは初回限定盤についてくるDisc2で、こちらは架空のラジオ局"radio JAOR"による、SING LIKE TALKINGの代表曲をFMラジオ風でノンストップでつなげたアルバム。よくあるDJ Mix盤のように、途中でブツ切りになっている感じではなく、基本的に全曲ほぼフルで収録されており、ベスト盤的な感覚で楽しめるアルバムになっていました。こちらは素直にSING LIKE TALKINGの曲の良さを楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

SING LIKE TALKING 過去の作品
Empowerment
Befriend
Anthology
Heart of Gold
3rd REUNION

| | コメント (0)

2023年11月26日 (日)

TOWA TEI 3作。ちょっと遅くなったものも含みます。

今回は、先日、2枚同時にアルバムをリリースしたTOWA TEIの新作の紹介です。

Title:TOUCH
Musician:TOWA TEI

まず全12曲入りのアルバム「TOUCH」。全編軽快なエレクトロのインストアルバムなのですが、全曲、バラエティー富んだ作風で様々なサウンドを取り入れた、TOWA TEIの広い音楽的嗜好を感じさせる作品でした。「EAR CANDY」ではファンキーなリズムにキュートな女性ボーカルの入ったキュートなポップチューン。「HAND HABBIT」ではトランペットが哀愁感あるフレーズを奏でながらも、どこか和風なサウンドが魅力的。「SEA CHANGE」は、タイトル通り、海の中にいるかのようなドリーミーなサウンドが特徴的ですし、「SNOW SLOW」では軽快なピコピコサウンドが楽しい楽曲に。「AKASAKA」も様々なサウンドをサンプリングして、どこかユーモラスなポップに仕上がっています。

ちなみにゲスト陣もなかなか豪華で、「HOLD ON!」でタイトルを叫んでいるのはかの細野晴臣。「EAR CANDY」でキュートなボーカルを聴かせてくれるのはクラムボンの原田郁子。さらに本作唯一の歌モノとなっている「RADIO(DJ)」でボーカルを取っているのは、今年、残念ながら鬼籍に入ってしまった高橋幸宏。豪華なゲスト陣が参加している点も大きな魅力でした。

全体的にどこかユーモラスで、ちょっとひねくれて、でもとてもポップで楽しいラウンジ風のインストアルバムに仕上がっていた本作。実にTOWA TEIらしいアルバムと言える作品だったと思います。聴いていて、素直に楽しくなる、そんな1枚でした。

評価:★★★★★

Title:ZOUNDTRACKS
Musician:TOWA TEI

そして本作は、その「TOUCH」と同時リリースとなったもう1枚のアルバム。こちらも「TOUCH」同様、TOWA TEIの幅広い音楽性が楽しめるアルバムに。ちょっとスペーシーな「MUSE」からスタートし、「FRESH!」は様々な音をサンプリングした楽しくコミカルな曲に。不気味でちょっとトライバルな要素のある「2BAD」は、どこかゲームソング風。「OPEN」の後半ではチップチューン的なサウンドも取り入れています。

ただ「TOUCH」と大きく異なる点は、「TOUCH」が多彩なゲストが参加したのに対して、本作ではすべてテイ・トウワ一人の手によってつくられたという点。彼一人のみによって作成されるという点も、これはこれで非常に挑戦的、と言えるかもしれません。

また、「ZOUNDTRACKS」というタイトルの通り、アルバム全体として、どこか映画やゲームのサントラ盤のような、そんな楽曲が目立ったような感じがします。しっかりとしたフレーズを持ったポップな歌を聴かせるというよりも、ワンアイディアを具体化した作品に仕上がっている、そんな印象でしょうか。テイ・トウワ一人の手によるものだからこそ、その点はより「挑戦的」になった作風だったのではないでしょうか。

そのため、ポピュラリティーという点では「TOUCH」よりも薄かったかもしれませんが、それはそれとしてTOWA TEIらしさがしっかりと発揮されたアルバムだったと思います。こちらも聴いていて素直に楽しくなる1枚でした。

評価:★★★★

で、実はもう1枚、2021年にリリースしたアルバムが聴き漏れていたので、いまさらながら聴いてみたのですが・・・

Title:LP
Musician:TOWA TEI

今年リリースされた「TOUCH」は、基本的にこの2021年にリリースされた「LP」の続編的な扱いだそうで、確かに方向性としてはこの2枚、とても近いアルバムだったと思います。どちらも様々な音楽や様々な音を取り込んでポップにまとめあげていますし、また、豪華なゲスト陣の参加も特徴となっています。

こちらもラテンのリズムを取り入れた「BIRTHDAY」からスタートし、キュートでメロウな女性ボーカルが特徴的な「FABULOUS」。音数を減らしてダイナミックに聴かせる「EMEZ」に、哀愁感あるトランペットを加えてドリーミーにまとめあげている「NOMADOLOGIE」とバラエティー富んだエレクトロチューンを楽しめます。

ゲスト陣も「BIRTHDAY」では細野晴臣、「CONSUMER ELECTRONICS」では高橋幸宏と、こちらも「TOUCH」と同様にYMOの2人が参加。その特徴的な歌声を聴かせてくれています。全体的には「TOUCH」と同様、どこかコミカルさも感じる軽快なエレクトロチューンがメインの作品。そして「TOUCH」と同じく、聴いていて素直に楽しくなるような1枚でした。

評価:★★★★★

TOWA TEI 過去の作品
BIG FUN
MACH2012
LUCKY
CUTE
EMO
ARBEIT

| | コメント (0)

2023年11月24日 (金)

amazarashiらしい

Title:永遠市
Musician:amazarashi

コロナ禍の中で、いや、むしろコロナ禍の中でこそ、積極的に作品を発表し続けていた感のあるamazarashi。特に、2020年末にリリースした「令和二年、雨天決行」はコロナ禍に対して正面から対応したアルバムの中でも、特に名盤として名高く感じさせる1枚でしたし、昨年リリースした「七号線ロストボーイズ」も、青森出身の彼だからこそ歌えるような、そんな内容の歌詞が印象的な名盤に仕上がっていました。

その前作から約1年半。相変わらず精力的な活動が目立つamazarashiのニューアルバムがリリースされました。コロナ禍というテーマ性のあった「令和二年~」、出身地がテーマだった「七合線~」に比べると、今回のアルバムはテーマ性という観点からはあまり明確ではなかったような印象を受けます。ただ一方で、それだけにamazarashiというバンド自体の活動の方向性が、より明確になっている印象を受ける作品になっていました。

まさに1曲目「インヒューマンエンパシー」などは、まさにamazarashiらしい歌詞が特徴的と言えるのではないでしょうか。

「今夜
美しい過去を持てなかった僕らは
失敗ばかりだったけど 悪くない失敗だったと
疚しさなく言えるように 見知らぬ船に乗り込む」
(「インヒューマンエンパシー」より 作詞 秋田ひろむ)

という歌詞は、まさに現在の社会に上手く適用できないものの、なんとか前を向いて生きていこうともがく、amarashiの得意とするテーマ性にピッタリとマッチします。続く「下を向いて歩こう」なんて、楽曲のタイトルからしてそのまんまといった感じですし、

「一秒も耐え難い痛みを知るなら 逃げろ、自由に向かって」
(「自由に向かって逃げろ」より 作詞 秋田ひろむ)

と歌う「自由に向かって逃げろ」なんかも、まさに後ろ向きな感情と前向きな感情が同居した、実にamazarashiらしい世界観が繰り広げられています。

また、メロやサウンドについては、メランコリックなメロディーラインを前に押し出し、サウンドもそんなメロを押し出すようなギターロックにピアノも入れた叙情的なものがメイン。良くも悪くもamazarashiらしい楽曲が特徴的。ともすれば大いなるマンネリ感は否めないものの、ただやはり、彼らの歌詞の世界観にマッチしたメロやサウンドというと、こういうものになるんだよな、ということも感じる楽曲となっていました。

全体的には、そんな訳で、実にamazarashiらしいアルバムに仕上がった1枚。良くも悪くも若干大いなるマンネリ気味な部分は否めないものの、おそらくファンならば文句なしに満足する作品に仕上がっていましたし、大いなるマンネリさを差し引いても、十分「傑作」レベルに達している作品だったと思います。いい意味での「安定感」も感じますし、自分なりの世界観を確立しているミュージシャンは、強いなぁ、とも感じさせる作品でした。amazarashiの実力を感じさせる、そんな作品です。

評価:★★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論
ラブソング
ねえママ あなたの言うとおり
あんたへ
夕日信仰ヒガシズム
あまざらし 千分の一夜物語 スターライト
世界収束二一一六
虚無病
メッセージボトル
地方都市のメメント・モリ
ボイコット
令和二年、雨天決行
七号線ロストボーイズ


ほかに聴いたアルバム

恋愛小説4~音楽飛行/原田知世

原田知世のラブソングカバーアルバム第4弾。今回は洋楽のカバー集。「ラブソング集」というと、ともすればいかにもな「暑苦しい」感じのラブソングが並びがちなのですが、選曲はビートルズやカーペンターズ、ビリー・ジョイルなどいった有名処のスタンダードナンバーばかり。それを彼女が、アコースティックなアレンジにより優しく歌い上げています。一方で、この手のアコースティックカバーというと、無難なBGM的なものに終わってしまいそうですが、しかし彼女の優しくも表現力あるボーカルにより、単純なイージーリスニング的な作品に落とし込まれていません。しっかりと聴きこめる大人なラブソングカバーアルバムの傑作に仕上がっていました。

評価:★★★★★

原田知世 過去の作品
eyja
原田知世のうたと音楽

Tokyo Emotional Gakuen/BIGMAMA

約5年ぶりのニューアルバム。学校をテーマとして、曲のタイトルをそれぞれの教科とリンクさせたコンセプチャルなアルバム。「青春はエモい」という今どきな言葉をテーマに、「エモい」の本来的な使い方である「エモロック」な作風に仕上げています。全体的にかなり分厚いサウンドでメランコリックなメロがちりばめられている、文字通り「エモい」ロックを聴かせてくれる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

BIGMAMA 過去の作品
Dowsing For The Future
君がまたブラウスのボタンを留めるまで
君想う、故に我在り
Synchronicity(HY+BIGMAMA)
Fabula Fibula
BESTMAMA
-11℃

| | コメント (0)

2023年11月21日 (火)

「隠れた名盤」が大胆にリプロダクション

Title:Fork in the Road
Musician:金延幸子

女性シンガーソングライターの先駆け的存在として知られる金延幸子。特に1972年にリリースしたアルバム「み空」は、J-POP史上に残る名盤として名高い1枚だったりします。ただ、その後は結婚・出産により音楽活動を一時停止。再び音楽活動を行うのは、1993年のアルバム「SEIZE FIRE」まで待たなくてはいけませんでした。

本作はもともと1998年にリリースされたアルバム。もともと伊豆のプライベイトスタジオでデモ音源的に録音した作品を、今回、久保田麻琴プロデュースにより、大胆にリプロダクション。伊藤大地、ASA-CHANG、幾何学模様のメンバーらも加わり、大幅に生まれ変わった1枚となったそうです。

もっとも、とはいえオリジナルの方を聴いていないので、どの程度「大幅に生まれ変わったのか」はよくわかりません。ただ、比較的シンプルなアレンジに、特に彼女の声やギターに関しては、ある種の生々しさを感じるあたり、もともとデモ音源的な部分が垣間見れる一方、音圧は強く、サウンド的にもクリアになっており、プロダクション的にはデモ音源的な部分はありません。デモ音源的な生々しさと、しっかりとプロダクションされたような端正さがバランスよく両立されたサウンドプロダクションに感じました。

また、金延幸子というと、いままで「み空」しか聴いたことがなく、イメージ的には70年代的なフォーク、という印象を強く持っていたミュージシャンでした。実際、今回のアルバムでも、そんなイメージそのままのフォーキーな作品も目立ちます。例えばタイトルチューンの「Fork in the Road」はそのままフォークな楽曲ですし、冒頭の「とべたら本こ」もアコギ1本でシンプルに聴かせるフォーキーな楽曲に仕上がっています。

ただ一方、今回のアルバムを聴くと、フォークシンガーという単純な括りが出来ない、ロックやブルースからの影響を強く受けたミュージシャンなんだということを強く感じます。例えば「I Need You」はバンドサウンドを入れてフォークロックという色合いの濃い作品になっていますし、「夕陽を見た時」「何を待つのか」は、ブルースからの影響がストレートな曲となっています。「不思議なメロディー」はタイトル通り、フォーキーな作風ながらも、幻想感あるメロが独特の魅力を醸し出している曲になっていますし、「Dreamer」などはエキゾチックな要素が魅力的な曲と仕上がっています。

「Woman in the Rain」のようなムーディーで哀愁感たっぷりの曲もありつつ、全体的には洋楽テイストも強いあか抜けた音楽性が魅力的。98年の作品でありながらも、全体的には70年代的な要素が強いのですが、幅広い音楽性を取り入れた楽曲は、時代を超えた普遍的な魅力を強く感じさせる1枚となっています。「隠れた名盤」という言い方をされているようですが、確かに名盤の「み空」に勝るとも劣らない名盤と感じました。金延幸子の魅力をあらためて実感した1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SO BAD,IT'S REAL/ZIGGY

森重樹一の60歳の誕生日にリリースされたZIGGYのニューアルバム。ヘヴィーなハードロックナンバーの「その琥珀の水に」や、続くグラムロック風の「崖っぷちの夜でさえ」など、文句なくカッコいいのですが、後半は、ちょっとベタに歌謡曲に寄せすぎじゃない?と思うような曲があって、ちょっとガクっと来てしまった感も。全体的にはカッコいいアルバムだとは思うのですが、もうちょっとストレートなロックチューンを貫いてほしかった感じもします。

評価:★★★★

ZIGGY 過去の作品
SINGLE COLLECTION
2017
ROCK SHOW
HOT LIPS
SDR

フォーピース/ストレイテナー

バンド結成25周年、メジャーデビュー20周年、ギターの大山純が加入して15周年を迎えたストレイテナーの、「周年」記念でリリースされたベストアルバム。タイトル通り、現在の4人編成となった2008年以降の楽曲から、ファン投票で選べれた上位26曲を収録しています。ファン投票のベストといっても、時々、「ファン投票を参考に」程度の選曲がなされているケースもある中、上位26曲と選曲している点はいさぎよい感じも。ストレイテナーは、シンプルでストレートなオルタナ系ギターロックなのですが、楽曲によって結構、出来に差がある印象があります。特に英語詞は文句なしにカッコいい反面、日本語詞に関しては、悪い意味でのJ-POP的要素が強い印象も。そういう意味でも、全26曲、出来には差があったような印象も受けます。ただ、ダイナミックでカッコいい、いい意味でひねりのないギターロックは聴いていて素直に気持ちよく、ロックを聴いた、という満足度も感じるアルバムになっていました。入門版としてもピッタリなベスト盤です。

評価:★★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene
Behind The Tokyo
COLD DISC
Future Soundtrack
BEST of U -side DAY-
BEST of U -side NIGHT-
Black Map
Applause
Crank Up

| | コメント (0)

2023年11月20日 (月)

メランコリックなメロとほどよいバリエーションのある曲調が心地よい

Title:哀愁演劇
Musician:indigo la End

ご存じ、ゲスの極み乙女で活躍している川谷絵音の別バンド、indigo la End。いや、設立の経緯から考えると、こちらのバンドがむしろ川谷絵音の「本籍」であり、ゲスの極み乙女が「別働バンド」になるのですが・・・。ただ、彼はほかにもジェニーハイなど様々なバンドを兼務。そのワーカホリックぶりが目立ちます。ただ、その影響なのか今回のアルバム、前作から約2年8ヶ月ぶりと、若干インターバルのあるリリースとなっています。

indigo la Endの特徴として、哀愁感たっぷりのメロディーの歌をしっかりと聴かせる歌モノのバンド、という特徴があります。ただメロディーライン的には正直、「哀愁メロ一本やり」な部分があり、メロのインパクトによりアルバムの出来が大きく左右される部分があります。特に「PULSATE」は、まさに脂ののった1枚となっていたのですが、前作「夜行秘密」は若干、メロに物足りなさを感じる作品になっていましたが、今回のアルバムは川谷絵音のメロディーセンスが炸裂した、美メロをしっかりと聴かせてくれる作品となっていました。

先行シングルになった「名前は片想い」は、まさにそんなセンスが光る切ないメロディーラインが魅力的なアップテンポチューン。メロウで切ないメロが印象的な「春は溶けて」や、ファルセット気味のボーカルでメランコリックに聴かせる「邦画」など、魅力的なメロの曲が並びます。基本的にマイナーコードの哀愁メロ路線が続くのですが、ともすればメランコリックなメロはインパクトを与えやすい反面、似たような曲が多いという印象を受けてしまいがちな中、同じような路線の曲で最後までしっかりと聴かせるあたり、川谷絵音のメロディーセンスの良さを強く感じる作品となっています。

また加えて、同じタイプのメロディーラインの曲が並ぶ中、ほどよく楽曲にバリエーションがある点もアルバムの魅力に大きく貢献しています。「名前は片想い」「忘れっぽいんだ」と先行シングルの歌モノの曲が続いた後に、ファンキーなリズムの「芝居」「愉楽」と展開していくのも大きなインパクトに。「ラブ」ではファンキーなビートに加えてラップも取り入れた曲に。「Gross」ではノイジーなハードロック調のバンドサウンドも入っており、他の曲に比べて、より「ロック」のテイストの強い曲調に。全体的にはメランコリックな歌モノポップで統一感のある中、ほどよくファンクやラップ、ロックの要素を取り込んだバラエティーのある展開もアルバム全体のインパクトを与える点となっています。

メロディーもサウンドも、決して目新しい訳ではありませんが、切ないメロディーラインがインパクト十分の、「PULSATE」以来の傑作とも言える脂ののった作品に仕上がっていました。ここ最近、ゲスの極み乙女としての作品のリリースもちょっと減ってしまった感もありますが、川谷絵音のミュージシャンとしての才は全く衰えていないことを感じさせるアルバム。メランコリックなメロに酔いしれたい1枚でした。

評価:★★★★★

Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら
藍色ミュージック
Crying End Roll
PULSATE
塗れゆく私小説
夜行秘密


ほかに聴いたアルバム

Re-Birth/04 Limited Sazabys

フォーリミの最新アルバムは、結成15周年を記念したセルフカバーアルバム。全体的にアコースティック形式な中、ラテンやボサノヴァ、フォークなどの要素を取り入れたバラエティー富んだ作風が魅力的。ただなによりも爽やかなサウンドの中、フォーリミの書くメロディーラインの良さをより際立たせたようなセルフカバーが多く、バンドの楽曲自体の魅力をしっかりと発揮させたアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

04 Limited Sazabys 過去の作品
CAVU
eureka
SOIL
Harvest

"超"究極ベスト-全員優勝Edition-/サンボマスター

サンボマスターが2011年にリリースしたベストアルバムに、新たなコンテンツを加えてリリースしたリメイク版。ただ、リメイクといっても、Disc3にカバー曲集の4曲を加えただけで、さらに初回盤の映像特典で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 05」の映像を加えたくらい。正直、前作から12年も経過しているのだから、その間の曲をまとめたベスト盤を、もう1枚、追加するくらいは対応してほしかった感じもするのですが。内容的には文句なしに5つなのですが、リメイク版としての物足りなさに1つマイナスで。

評価:★★★★

サンボマスター 過去の作品
音楽の子供はみな歌う
きみのためにつよくなりたい
サンボマスター究極ベスト
ロックンロール イズ ノット デッド
終わらないミラクルの予感アルバム
サンボマスターとキミ
YES
はじまっていく たかまっていく E.P.

| | コメント (0)

2023年11月18日 (土)

世界とリンクした少年少女の物語

Title:8
Musician:ROTH BART BARON

Rbr_8

毎年のようにアルバムをリリースし、精力的な活動が目立つ三船雅也のソロプロジェクト、ROTH BART BARONの8枚目となるニューアルバム。前作から1年弱。タイトル通り、8枚目のオリジナルアルバムとなるのですが、これで実に6年連続でのアルバムリリースとなり、その精力的な活動ぶりがうかがえます。

ソロプロジェクトということもあって、基本的に宅録的に、エレクトロサウンドやホーンセッション、ピアノやアコギなども取り入れた多彩なサウンドに、三船雅也のファルセット気味なハイトーンボイスでドリーミーに聴かせるというスタイルは前作から変わりありません。一方、タイアップ曲が多かった前作に比べると今回はタイアップ曲はありません。初回盤にはCDにBlu-rayもついていた前作と比べると、本作はLPと配信のみでのリリース。明らかに「売り」に来ていた前作と比べると、「内向き」な作品となっています。

ただし、楽曲的には前作に比べて明らかに内向き・・・という印象は受けません。ホーンセッションも入って明るさと爽やかさを感じる「Kid and Lost」、ファルセットボーカルでメランコリックに聴かせる「Exist Song」、エレクトロサウンドでドリーミーに聴かせる「Closer」、アコースティックギターで幻想的な「Krumme Lanke」などバラエティー富んだ楽曲が展開されます。

インパクトという面でも「BLOW」は軽快なギターサウンドに、ちょっとメランコリック気味が切なさを醸し出しているメロにはインパクトがありますし、パーカッションのリズムが軽快な「MOON JUMPER」はライブでも盛り上がりそう。「売り方」は前作に比べると内向きな感は否めませんが、確かにポピュラリティーという面で前作に軍配はあがるものの、楽曲自体は「内向き」という印象は受けませんでした。

また今回のアルバムは「世界との接続を再開した2023年に描かれる10編の『ジュブナイル物語』を描き出すこと」というテーマ性があり、コンセプチャルな内容ともなっています。ただ今回、コロナ禍が終わり「世界との接続を再開した」という内容であるため、全体的には未来への明るさを感じさせます。

「何度でもあたらしい扉を開けてみせましょう」と歌う「Kid and Lost」や「次の冒険へ出かけよう/誰も見たことのない景色」と歌う「Boy」など、まさに世界と接続されてどんどん希望のある外へ飛び出していく少年少女たちの物語が描かれています。そんな歌詞の世界観にピッタリとリンクするのが祝祭色も強い音楽性。もともと祝祭色の強い音楽性がROTH BART BARONの特徴でしたが、歌詞のコンセプトが前向きだからこそ、その特徴がより強調されているようなアルバムに仕上がっていました。

今回のアルバムも申し分ない年間ベストクラスの傑作アルバム。これだけハイペースでリリースを続けながら、クオリティーが全く落ちていないのは驚くべき限り。それだけ今、三船雅也が脂にのりまくっている状況ということなのでしょうね。この傾向はまだまだ続くのでしょうか。これからの活躍もとても楽しみです。

評価:★★★★★

ROTH BART BARON 過去の作品
無限のHAKU
HOWL


ほかに聴いたアルバム

THE BOOK 3/YOASOBI

おそらく今、日本で最も人気のあるミュージシャン、といえるYOASOBIの4枚目となるミニアルバム。2023年を代表するヒット曲となった「アイドル」や現在もヒット中の「勇者」を含む、基本的に前作「THE BOOK 2」以降のリリースした配信シングルをまとめて収録しただけの作品になっています。ある意味、シングルをまとめただけ、というあたりも、もう最近のミュージシャンにとってアルバムの意味がなくなってきているという訳なのでしょうか。

インパクトあるメロディーラインはさすがといった感じ。単純なラブソングに留まらない歌詞の傾向もいかにも今どきなのでしょうか。ただ、全体として音があまり整理されておらず、音をつめこんでまとまって聴こえるようなルーツレスなサウンドは、良くも悪くもJ-POPらしい感じ。シティーポップやら、時としてトラップ的なサウンドを入れてくるような、良くも悪くも節操のなさもJ-POPらしさも感じます。いろんな意味で「今どきの売れ線」といったイメージを受けるアルバムでした。

評価:★★★★

YOASOBI 過去の作品
THE BOOK
E-SIDE
THE BOOK 2
E-SIDE 2

OLD ROOKIE EP.1/田我流

Oldrookie

田我流の新作は、11月11日に行われた日比谷野音ワンマンのタイトルを冠したEP盤。活動25周年の節目としてリリースされた作品で、「自己のルーツへの回帰、自分の頭の中にある新しい音楽に向きあう」をテーマに制作されたとなっており、トランぺッターの黒田卓也とのコラボなどもあり、新しいサウンドへの挑戦も感じさせます。ただ、社会派的なリリックもあったものの、いままでの彼の作品に感じられた強いメッセージ性は少々後退してしまったかも。その点はちょっと物足りなさも感じました。

評価:★★★★

田我流 過去の作品
B級映画のように2
Ride On Time
More Wave(田我流&KM)

| | コメント (0)

2023年11月13日 (月)

結成50周年を記念したスペシャル盤

「日本最古のロックバンド」なる異名を持つセンチメンタル・シティ・ロマンス。結成50周年を迎えた今年、様々な企画が用意されているみたいですが、先日紹介したベストアルバムに続き、今回紹介するのは、彼らのデビューアルバム「センチメンタル・シティ・ロマンス」と、2ndアルバム「ホリディ」の50周年記念盤となります。

Title:センチメンタル・シティ・ロマンス Special Edition
Musician:センチメンタル・シティ・ロマンス

まずこちらは1975年にリリースされた彼らのデビューアルバム。先日紹介したベストアルバムにも、このアルバムの楽曲が多く収録されていますが、デビュー作にして彼らの代表作であり、なおかつ、日本ポップ史の名盤として紹介されることも少なくない1枚です。

ベストアルバムの収録曲としては聴いたことある曲も多いのですが、アルバムを通じて聴くのは今回がはじめて。そしてアルバムを通じて聴いて感じるのはその完成度の高さでした。アメリカのウェストコースト・ロックをベースとしたカラッとしたサウンドを軸にしつつ、時には日本的なウェットさも見え隠れするバラエティー富んだ作風が大きな魅力。1曲目に収録されている「うちわもめ」はまさに彼ららしいウエストコースト風のサウンドですし、かと思えば「あの娘の窓灯り」はメランコリックでフォーキーな作品に。「暖時」は、今で言えばシティポップ的な作風になっていますし、「小童」ではジャズ的な要素も感じます。

全体的に洋楽テイストは強いものの、一方では「庄内慕情」みたいなタイトルそのままベタな歌謡曲みたいな曲もあったりして、この和洋折衷的な曲作りもユニーク。また、センチメンタル・シティ・ロマンスは名古屋出身・在住のバンドという点も大きな特徴なのですが、1曲目「うちわもめ」ではベタな名古屋弁が登場していたりしますし、前述の「庄内慕情」も山形県の庄内平野ではなく、名古屋市内の庄内川の模様。また最後に収録されている「ロスアンジェルス大橋Uターン」は、いかにもウェストコーストに影響を受けた彼ららしいタイトルですが、名古屋市とロスアンジェルスは姉妹友好都市となっており、このアルバムリリース直後に名古屋市長のメッセージを携えて渡米したとか。「めんたいロック」のように出身地でジャンルをくくるケースもあるのですが、楽曲自体にこれだけ地方性を出しているのも珍しい感じもします。

ちなみにこのアルバム、もともとかの細野晴臣をプロデューサーに迎えて制作する予定だったそうですが、楽曲の出来のよさに彼がプロデュースを辞退。代わりに「Chief Audience=観客の長」としてクレジットされたというエピソードがあるそうですが、それも納得の完成度の高いデビューアルバムでした。

評価:★★★★★

Title:ホリディ Special Edition
Musician:センチメンタル・シティ・ロマンス

こちらはその翌年、1976年にリリースされた彼らの2ndアルバム。このアルバムからドラムスが元シュガーベイブの野口明彦に変更。新生メンバーによるアルバムとなっています。

アルバム全体としてはギターサウンドがロック色がより強くなっている点が特徴的。さらにそれに加えて「内海ラブ」ではシティポップの様相が、さらに「マンボ・ジャンボ」「魅惑のサンバ流るる今宵」では、タイトルそのままラテンのサウンドが加わり、前作以上にバリエーションが増えた内容に。一方で、1曲目の「ムーンシャイン&サンシャイン」では哀愁たっぷりのギターサウンドを聴かせるブルージーなロックになっているのですが、前作のような歌謡曲的な曲はなく、和洋折衷的な要素は残しつつも、基本的にはより洋楽寄りにシフトしているようにも感じました。

ちなみに、この2枚のSpecial Editionにはボーナスディスクとして1975年8月21日に、東京の日仏会館で行われた彼らのデビューライブの模様を収録したライブ盤が、2枚にわけて収録されています。公式サイトの紹介でも書いてありますが、オーディエンス録音のため、録音状況は決して良くはありません。ただ、どこかデビューアルバムであるため緊張した面持ちのライブは新鮮味もあり、また初々しさも感じられる点も貴重な音源といった感じ。途中の司会の当時のノリに時代を感じさせつつも、デビュー当初の彼らを想像しつつ、楽しめるライブアルバムとなっていました。

評価:★★★★★

で、結成50周年を記念してリイシューしたアルバムがもう1組。

Title:20th Memorial Live -half century edition-
Musician:センチメンタル・シティ・ロマンス

こちらは結成20周年を記念して、1993年6月25日に、池袋METホールで開催されたライブの模様を収録したライブアルバム。もともと1993年にリリースされたアルバムなのですが、全20曲中9曲までが、今回、追加収録された楽曲となっており、オリジナルのライブアルバムとは、かなり様相の変化したアルバムとなっています。また、このライブでは当時、メンバーだったドラムスの近藤文雄に加えて、元メンバーの野口明彦も参加。近藤はこのライブを最後に脱退し、その後は野口がサポートとして参加するらしいのですが、貴重なツインドラムでの演奏となっています。

なんといっても、前述のSpecial Editionのデビューライブとこのアルバムの聴き比べが楽しいところ。ツインドラムということもあり、こちらのアルバムはかなり音が分厚くなっている点も大きな特徴。デビューライブはオーディエンス録音のため録音状態が悪いという違いも大きいのですが、やはり20年という月日によるバンドの成長は一目瞭然。安定したベテランらしい演奏を楽しむことの出来るライブアルバムとなっています。

ちなみにセンチメンタル・シティ・ロマンスは2021年にボーカルの中野督夫が逝去しており、当時のメンバーでのステージももう叶わなくなってしまいました。ただ、残ったメンバーでバンドとしての活動は続けており、「日本最古のロックバンド」の記録はまだまだ伸びそう。いずれのアルバムも今聴いても、全く違和感なく楽しめるアルバムになっているため、これを機にチェックしたいアルバムです。

評価:★★★★★

センチメンタル・シティ・ロマンス 過去の作品
やっとかめ
50th Anniversary The Very Best of SENTIMENTAL CITY ROMANCE

| | コメント (0)

2023年11月12日 (日)

オリジナルくるりが再結成

Title:感覚は道標
Musician:くるり

くるりのニューアルバムについて、くるりのファン、特に昔からのオールドファンにとっては、まずはこのジャケット写真からして胸熱になるのではないでしょうか。くるりの現メンバー、岸田繁と佐藤征史の2人の間にいるのは、オリジナルメンバーである森信行。デビュー当初のドラマーであったものの、2002年7月にアルバム「THE WORLD IS MINE」を最後に脱退。今でこそ、くるりはメンバーの脱退・加入を繰り返していますが、当時は大村達身の加入はあったものの、メンバー脱退は初。それもオリジナルドラマーの脱退ということもあって、森信行脱退はショッキングなニュースでした。

それから約20年超。もともと大学時代の友人同士ということで脱退後も交流があったことはファンには周知の事実。2010年にはくるり・ザ・セッションと題して、森信行を加えてのライブパフォーマンスも行われています。ただ、やはりオリジナルメンバーが揃い、アルバムが制作されているというのは、非常に大きなニュースであり、昔からのファンにとっては胸が熱くなるような出来事なのは間違いありません。今回のアルバム、原点回帰ということもあるのでしょうが、くるりの、特に岸田繁の「モード」として、デビュー当初のように、3人のバンド形態で楽曲を作り上げるという形を取りたかったのだとか。以前ここでも紹介した映画「くるりのえいが」では、そんな3人でのレコーディングの模様も取り上げられています。

実際、今回のアルバムは、楽曲が精緻に組み上げられていったオリジナルアルバムとしての前作「天才の愛」とはある意味対極にあるとも言えるアルバムで、バンドのセッションの形で作られたような作品の並んでいます。映画でも本作に収録されている「In Your Life(Izu Mix)」の制作の過程が収録されていますが、例えば1曲目「happy turn」もいきなり岸田繁のくしゃみから入るなど、ラフな雰囲気を作り出しつつ、バンドサウンドを主軸としたブルースロックな曲を聴かせてくれていますし、先行の配信シングルとなった「California coconuts」も爽やかなくるりらしいポップなメロが流れているものの、基本的にはバンドサウンドを中心に据えたような作品になっています。

またもっともセッション的なのが中盤の「LV69」で、メタ視線のアイロニックな歌詞もユニークなナンバー。どこか自由さを感じさせるロックなサウンドは、気の置けない仲間たちとのセッションだからこそ生まれたように感じる曲になっています。また最後を締めくくる「aleha」も波の音が録音されたフォーキーな雰囲気のナンバー。本当の波の音なのかどうかは不明ですが・・・ただ、映画で取り上げられていた伊豆の録音の中での情景を思い起こされるような楽曲で締めくくられています。

バリエーションとしてはハードロック風の「世界はこのまま変わらない」やラテンなリズムを入れた哀愁たっぷりの「お化けのピーナッツ」のような曲もあったりするのですが、全体的にはバンドのセッションから誕生したようなロックチューンがメインということもあって、くるりのアルバムとしては比較的、統一感のある内容になっています。また、メロディーラインについても岸田繁のセンスが光る曲も多いものの、インパクトのある派手な曲というのは基本的にはありません。そういう意味でも、いかにもバンドのセッションの中で生み出されたアルバムという印象を強く受ける作品になっていました。

ただ一方、原点回帰とも異なる点もまた興味深いところ。佐久間正英をプロデューサーに迎えて、「整理された」デビューアルバム「さよならストレンジャー」とも、逆に若いバンドゆえの荒々しさを感じさせる2枚目の「図鑑」とも全くことなるアルバムとなっています。くるりの2人のメンバーはもちろん、森信行も、くるり脱退後もドラムプレイヤーとして成長を続け、3人ともミュージシャンとしても人間的にも、ひとまわりもふたまわりも大きくなった今だからこそ出来た「大人な」アルバムとも言えるかもしれません。オリジナルくるりの3人によるアルバムでしたが、原点回帰とも全く異なる、今のくるりにしか出来ないアルバムという点も大きな特徴であり大きな魅力に感じました。

映画の時も感じたのですが、おそらく、くるりの、特に岸田繁の「モード」がこういうアルバムを作りたいモードであり、それが故のオリジナルくるり再結成なのでしょうから、次のアルバムは再び2人でのくるりに戻っていくのでしょう(これで大村達身が加わり4人組となったりしたらおもしろいのですが(笑))。ただ、森信行脱退後、20年以上を経た今、こういうアルバムが作られるのは大きいと思いますし、また、くるりとしても、あらためてバンドとしての原点の3人組に戻ったからこそ、新たな一歩を踏み出せるのでしょう。おそらく、次からはまた、くるりの2人と森信行は再び別の道を歩みだすのでしょうが、またおそらく何年か後には、再び3人でアルバムを作りそうな気がします。くるりとしての原点を確かめるかのように・・・。

評価:★★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧
くるりの一回転
THE PIER
くるりとチオビタ
琥珀色の街、上海蟹の朝
くるりの20回転
ソングライン
thaw
天才の愛
愛の太陽 EP


ほかに聴いたアルバム

脳内魔法/安藤裕子

デビュー20周年になる今年、新レーベル「AND DO RECORD」を発足。本作は、その第1弾アルバムとなります。レーベル発足直後に配信シングルとしてリリースされ、本作にも収録された「さくらんぼみたいな恋をしたい」はかの大塚愛の「さくらんぼ」のオマージュだそうで、MVには大塚愛本人も出演。同時期にデビューした2人は盟友とも言える間柄だそうで、楽曲の方向性やファン層も異なる2人なのでちょっと意外。ただ、以前リリースされた「頂き物」では、大塚愛が作曲として参加していて、ちょっと意外に感じたことを覚えています。

新レーベル設立によるアルバムということもあってか、アルバム全体としては趣味性の強い内容。全体的にどこかふわふわとしたドリーミーな雰囲気が特徴的で、そんな中にノイジーなギターサウンドが組み込まれていたり、エレクトロサウンドを入れていたり、アコースティックなサウンドで構成されていたり、曲によっては沖縄民謡的な雰囲気やラテンも取り入れていたりと、かなり自由度も高い内容。またそれを彼女のハイトーンなボーカルでまとめあげています。正直、インパクトあるポップチューンもないですし、地味な印象も強いのですが、聴けば聴くほど、徐々に味が出てくるようなアルバム。最初は取っつきにくさを感じるのですが、安藤裕子の魅力のしっかりと詰まったアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い
グッド・バイ
Acoustic Tempo Magic
あなたが寝てる間に
頂き物
ITALAN
Barometz
Kong Tong Recordings

unpeople/蓮沼執太

多彩な活動を続ける蓮沼執太の新作は、エレクトロサウンドのインストアルバム。かなり実験的な作品で、ギターを取り入れたり、フュージョン風に仕上げたり、ピアノの音色を入れて清涼感を持たせたり、様々な実験を行っている印象を受けるアルバムになっています。ただ、「純粋に自分のための音楽」と自ら語るように、ポップス的な要素は薄く、そういう意味ではちょっと聴きにくいアルバムだったような印象も。どちらかというとファン向けといった感のあるアルバムでした。

評価:★★★★

蓮沼執太 過去の作品
2 Tone(蓮沼執太&U-zhaan)
Good News(蓮沼執太&U-zhaan)

| | コメント (0)

2023年11月11日 (土)

等身大のミスチル

Title:miss you
Musician:Mr.Children

2022年にメジャーデビュー30周年を迎えたMr.Children。昨年は周年記念となるベストアルバムをリリースしましたが、オリジナルアルバムのリリースはなく。本作は前作「SOUNDTRACKS」から2年10ヶ月ぶりとなるニューアルバムとなります。

今回のアルバムの特徴は主にメンバー4人だけがプライベートスタジオに集結し、録音したベストアルバムであるという点。ある意味、30周年を経て、新たな一歩を踏み出す彼らが、あらためてMr.Childrenは4人によるバンドである点を見つめなおした、という意味合いがあるのかもしれません。ただその結果として、非常にシンプルな構成のアルバムとなっており、ミスチルのコアな部分が抽出された作品と言えるかもしれません。

1曲目の「I MISS YOU」はまずピアノとアコギで哀愁たっぷりに歌い上げるナンバー。続く「Fifty's map~おとなの地図」はストリングスを入れてスケール感を持たせつつ、必要以上に仰々しさもないシンプルなポップソングになっています。さらに「青いリンゴ」についてはシンプルなアレンジのメロディアスなポップチューンになっており、初期を彷彿とすらさせるようなミスチルらしいポップチューンに仕上がっています。

「雨の日のパレード」もメロウな作風ながらも、シンプルなエレピで奏でる等身大のポップチューンに仕上がっていますし、「Party is over」もアコギのみで聴かせるシンプルでフォーキーな作品に。「黄昏と積み木」についても、こちらも非常にシンプルなポップス。恋人同士(というよりも夫婦同士?)の日常を描いたほっこりとした暖かみのあるポップスがとても魅力的です。

最後を締めくくる「deja-vu」「おはよう」も等身大な歌詞も魅力的ですし、シンプルなアレンジの等身大のポップソングになっているのも、初期の彼らを彷彿とさせるようなナンバー。ちなみにこの2曲、ピアノは小谷美紗子が参加しており、個人的にはかなりその点もトピック的な作品になっています。

一方、歌詞についても落ち着いた作風の曲が多く、特にタイトルそのまま「Fifty's map~おとなの地図」だったり、「LOST」や「Party is over」のような、主人公が大人、もっと言えば、ミスチルメンバーと同年代の50代あたりを想像させるような歌詞の曲も目立ちます。楽曲的にもシンプルなアレンジの等身大的な作風がメインでしたが、歌詞についても、彼ら自身をそのままに描いた等身大な作風の歌詞が目立ったような印象を受けました。

ちなみに歌詞と言えば印象的だったのは中盤に配され、ラップ的な歌がインパクトのある「アート=神の見えざる手」で、社会派な歌詞の作品。ミスチルは以前から社会派的な曲もチラホラ歌ってきたのですが、ただ立場的なものもあるのか、社会派とはいえ比較的無難な内容にとどまっていた歌詞が多かった印象も受けます。ただ、この曲に関しては

「中華人民共和国と北朝鮮のアンビリーバブルな行動
非常識だと報道するけれど
じゃあどの国が常識的だと
あの金髪女は言うのでしょう?」
(「アート=神の見えざる手」より 作詞 桜井和寿)

と、かなり具体的な内容にまで踏み込んでいるのが印象的。中国や北朝鮮を批判しつつも、同時に、彼らに対する安易な差別的発言も戒めるような歌詞は、同国に対して批判というよりも差別的な言動まで行う、一部の人たちに対する非難まで至っているもの印象的でした。

そんな挑戦的な歌詞もありつつも、ただ全体的には4人のみでのセッションを中心とするアルバムということで全体的にシンプルな作風となっている本作。ミスチルというと、特にモンスターバンドとなっているここ最近、必要以上にスタジアムバンド的なスケール感のある曲が目立ったように感じます。そんな中、ある意味原点回帰的とも言える、非常にシンプルで、ポップバンドとしての彼らの魅力を感じさせる作品に仕上がっていました。正直、無駄にスケール感だけを感じさせる作品については、ファンとして嫌いではないもののどこかよそよそしさを感じる部分もあったのですが、今回のシンプルなポップソングを聴いて、自分が中学生以来好きだったミスチルはこれだよ、これ!!と心から感じ、あらためて自分はミスチルというバンドが好きなんだな、ということを実感する、そんなアルバムに仕上がっていました。個人的には、2015年の「REFLECTION」以来の、年間ベストクラスの傑作アルバムだと思っている本作。やはりミスチルは素晴らしいバンドだなぁ、そう感じさせてくれた1枚でした。

評価:★★★★★

Mr.Children 過去の作品
SUPERMARKET FANTASY
SENSE
Mr.Children 2001-2005<micro>
Mr.Children 2005-2010<macro>

[(an imitation) blood orange]
REFLECTION
重力と呼吸
SOUNDTRACKS
Mr.Children 2011-2015
Mr.Children 2015-2021&NOW


ほかに聴いたアルバム

LaiLa/大西ユカリ

前作から約5年3ヶ月ぶり、久々となった大西ユカリのニューアルバム。ジャケット写真からわかるように、ラテンのテイストたっぷりのタイトルチューン「Laila」「贖罪天国」からスタート。全体的にはラテンのテイストの強いムーディーな作風となっている作品に。また力強い彼女のボーカルもムード感たっぷり。ねっとりとしたいい意味での泥臭く、暑苦しさを感じる大西ユカリらしいアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

大西ユカリ 過去のアルバム
HOU ON
やたら綺麗な満月
直撃!韓流婦人拳(韓国盤)
直撃!韓流婦人拳

ニガイナミダが100リットル
肉と肉と路線バス
EXPLOSION
BLACK BOX

Catch Up/WANIMA

途中、MONGOL800とのスプリットEPやサブスク用の企画盤のリリースはあったものの、純然たるオリジナルアルバムとしては実に約4年ぶりとなるWANIMAのニューアルバム。彼ららしい陽性の強い、ポップなパンクチューンがズラリと並ぶ作品になっているのですが、全20曲1時間強という、かなりボリューミーな内容に。サブスク全盛の今、比較的、サブスクに対して否定的だった彼らですが、結局、サブスク解禁せざる得なくなった今、アルバムとして聴かせるのならば、やはりCDに収録できる精一杯の作品を詰め込みたい、そんな意思も感じるオリジナルアルバムでした。

評価:★★★★

WANIMA 過去の作品
Are You Coming?
Everybody!!
COMINATCHA!!
Cheddar Flavor
Fresh Cheese Delivery
愛彌々(MONGOL800×WANIMA)

| | コメント (0)

2023年11月10日 (金)

前作に続くエレクトロ作ながらも、出来はより進化

Title:CHAI
Musician:CHAI

フルアルバムとしての前作「WINK」で、インディーレーベル、サブポップと契約。「世界」を視野として活動を開始した4人組ガールズバンド、CHAI。本作は、そんな彼女たちの、途中ミニアルバムを挟みつつ、約2年ぶりとなるフルアルバムとなります。

もともとデビュー以来、ニューウェーヴのテイストも強いタイトなバンドサウンドを押し出したロックチューンが魅力的だった彼女たち。ただ、世界進出を意図した前作「WINK」ではエレクトロサウンドを取り入れたサウンドを前面に押し出し、またR&Bテイストを取り入れて、良くも悪くも今風のサウンドを取り入れたアルバムに仕上がっていました。個人的には率直なところあまり彼女たちらしさを感じない作品であり、ちょっと残念な作品、という印象を受けました。

その後リリースされたミニアルバム「ジャジャーン」もエレクトロサウンドを押し出した作品となっており、今回の作品に関しても正直なところ不安を感じながらアルバムを聴いていたのですが・・・今回のアルバムも残念ながら基本的には前作と同様、エレクトロサウンド路線を押し出した作品に仕上がっていました。

ただ、とはいえ楽曲の出来としては前作「WINK」よりもグッと進化して良くなっていた印象を受けます。ダウナーな「MATCHA」からスタートし、軽快なエレクトロファンクチューン「PARA PARA」「GAME」はテンポよいリズムが軽快で心地よさを感じる楽曲に。終盤のエレクトロチューン「Like,I Need」もメランコリックなメロディーラインでのリズミカルなサウンドが気持ちよいポップスに仕上がっていました。サウンド的にも、流行のサウンドをただ模倣していた感があった前作から、グッとタイトさを増したエレクトロファンクなリズムは、CHAIとしてのサウンドを模索していた印象を受けます。

さらに今回のアルバム、中盤「We The Female!」「Neo Kawaii,K?」では、以前の彼女たちらしいバンドサウンドが前面に押し出されたロックチューンに。力強くエッジの効いたバンドサウンドはやはり文句なしにカッコよく、ロックバンドとしての彼女たちの実力を感じさせる楽曲に仕上がっています。エレクトロチューンは彼女たちなりの新たな一歩を志したのかもしれませんが、やはりCHAIの魅力を感じるのはこういう楽曲だな・・・ということを再認識した楽曲になっていました。

全体的にはエレクトロという方向性も含めてアルバムの出来としては前作よりも明らかに良くなったアルバムだと感じます。特にエレクトロサウンドの出来としては前作よりもグッと良くなったように感じます。ただそれでも、CHAIとしての魅力がしっかりと確立されているのは間違いなくバンドサウンドを取り入れたロックチューンだと感じますし、そのようなロックナンバーと比べるとエレクトロチューンに関しては、凡作とまではいかないもののもう一歩と感じてしまいました。

そういうこともあり、前作と同様、傑作というには今一歩物足りなさも感じてしまうアルバム。ただ、出来としては良くなっているのは間違いないので、次回作にはさらに期待したいところ。個人的にはやはりバンドサウンドを前に押し出したロックな楽曲を聴きたい、とは思うのですが・・・。

評価:★★★★

CHAI 過去の作品
PINK
わがまマニア
PUNK
WINK
WINK TOGETHER
ジャジャーン


ほかに聴いたアルバム

Undercurrent/細野晴臣

Undercurrent

細野晴臣が、映画「アンダーカレント」に提供した劇伴曲を再構成したアルバム。エレクトロサウンドやピアノのサウンドを取り入れつつも、全体的にはメタリックなテイストが強いアンビエント作品に。非常に挑戦的にも言える内容で、現在、御年76歳という年齢ながらも、全く衰えることのない音楽的意欲も感じさせるアルバムになっていました。劇伴曲というと、ワンアイディアのみの短い作品が多いのですが、こちらはそれを再構成ということで、1曲1曲が映画を見ていない人も聴くことを前提とした曲となっているので、映画のサントラ的な要素よりも、純粋に細野晴臣の新作としても聴ける1枚となっています。

評価:★★★★★

細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music
Vu Ja De
HOCHONO HOUSE
HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN
HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO
あめりか/Hosono Haruomi Live in US 2019
Music for Film 2020-2021

HC 2023 episode 2 -GHOST TRACK E.P-/GLAY

今年2月にリリースしたシングル「HC 2023 episode 1 -THE GHOST/ 限界突破-」の続編となる作品。前編はシングル曲でしたが、続編は全7曲入りのEP盤としてのリリースとなりました。全体的にはいつも以上に軽快なポップが目立つ作品となっているほか「THE GHOST(80KIDZ Remix)」ではタイトルからもわかる通り、ギターサウンドに打ち込みを取り入れた楽曲に。直近のオリジナルアルバム「FREEDOM ONLY」は、ポップに振り切った彼らを聴くことが出来ましたが、本作もその方向性を維持した、ポップなGLAYを楽しめるEPとなっていました。

評価:★★★★

GLAY 過去の作品
GLAY
JUSTICE
GUILTY

MUSIC LIFE
SUMMERDELICS
NO DEMOCRACY
REVIEWII~BEST OF GLAY~
REVIEW 2.5 〜BEST OF GLAY〜
FREEDOM ONLY

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

DVD・Blu-ray その他 アルバムレビュー(洋楽)2008年 アルバムレビュー(洋楽)2009年 アルバムレビュー(洋楽)2010年 アルバムレビュー(洋楽)2011年 アルバムレビュー(洋楽)2012年 アルバムレビュー(洋楽)2013年 アルバムレビュー(洋楽)2014年 アルバムレビュー(洋楽)2015年 アルバムレビュー(洋楽)2016年 アルバムレビュー(洋楽)2017年 アルバムレビュー(洋楽)2018年 アルバムレビュー(洋楽)2019年 アルバムレビュー(洋楽)2020年 アルバムレビュー(洋楽)2021年 アルバムレビュー(洋楽)2022年 アルバムレビュー(洋楽)2023年 アルバムレビュー(邦楽)2008年 アルバムレビュー(邦楽)2009年 アルバムレビュー(邦楽)2010年 アルバムレビュー(邦楽)2011年 アルバムレビュー(邦楽)2012年 アルバムレビュー(邦楽)2013年 アルバムレビュー(邦楽)2014年 アルバムレビュー(邦楽)2015年 アルバムレビュー(邦楽)2016年 アルバムレビュー(邦楽)2017年 アルバムレビュー(邦楽)2018年 アルバムレビュー(邦楽)2019年 アルバムレビュー(邦楽)2020年 アルバムレビュー(邦楽)2021年 アルバムレビュー(邦楽)2022年 アルバムレビュー(邦楽)2023年 ヒットチャート ヒットチャート2010年 ヒットチャート2011年 ヒットチャート2012年 ヒットチャート2013年 ヒットチャート2014年 ヒットチャート2015年 ヒットチャート2016年 ヒットチャート2017年 ヒットチャート2018年 ヒットチャート2019年 ヒットチャート2020年 ヒットチャート2021年 ヒットチャート2022年 ヒットチャート2023年 ライブレポート2011年 ライブレポート2012年 ライブレポート2013年 ライブレポート2014年 ライブレポート2015年 ライブレポート2016年 ライブレポート2017年 ライブレポート2018年 ライブレポート2019年 ライブレポート2020年 ライブレポート2021年 ライブレポート2022年 ライブレポート2023年 ライブレポート~2010年 名古屋圏フェス・イベント情報 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 音楽コラム 音楽ニュース