アルバムレビュー(邦楽)2022年

2022年12月27日 (火)

未来を見据えた30周年の締めくくり

Title:楽しいお仕事愛好会
Musician:ウルフルズ

今年、メジャーデビュー30周年を迎えたウルフルズ。昨年から今年にかけて、3枚のセルフカバーアルバムをリリースしてきましたが、その締めくくりとしてリリースされたのが30周年記念盤としての約3年ぶりとなるオリジナルアルバム。最近、2005年のシングル「暴れだす」がM-1のPVに使われて話題となった彼らですが、まだまだ現役バンドとしてのパワーを感じさせる作品となっています。

ウルフルズといえば、ソウルやブルースなどのブラックミュージックやルーツミュージックからの影響が強いバンドです。今回のアルバムも1曲目であり、リードトラックである「ツーベーコーベー」もまさにそんな彼らのルーツミュージックからの音楽的影響の強い作品。軽快なピアノにギュインギュインと力強く聴くきかせるにギターサウンド、さらにソウルフルなボーカルという、ルーツ志向のロックンロールナンバー。ユーモラスな歌詞も含めて、ウルフルズの真骨頂ともいえる楽曲となっています。

続く「よんでコールミー」はメランコリックで懐かしさを感じる楽曲にビートルズからの影響を強く感じさせますし、「踊れ」もパワフルなボーカルを聴かせるソウルフルな、いかにもウルフルズらしい楽曲。この前半に感じては、いかにもウルフルズらしい作品が並びます。また、タイトルチューンである「楽しいお仕事愛好会」は、ウルフルズとしての活動を振り返る歌詞が特徴的。途中、彼らの過去の楽曲タイトルがアルバムに織り込まれており、彼らのウルフルズに対する思いも感じることが出来ます。

しかし後半については、ブラックミュージック、ルーツミュージックからの影響に留まらない、ウルフルズの幅広い音楽的影響を感じさせました。「きみんちのイヌ」などはまさにそんなナンバーで、GSあたりからの影響を感じさせるメランコリックで歌謡曲テイストの強い楽曲。また「黒田の子守唄」は沖縄民謡風の楽曲に。彼ららしいブギウギ風の「コミコミ」のような楽曲を挟みつつ、様々な音楽からの影響を感じさせる展開となっていました。

そしてラストはバリバリのJB風のファンクナンバー「続けるズのテーマ」へ。まさにウルフルズの王道を行くようなナンバーで、歌詞も30周年を迎えたウルフルズのこれからの未来を見据えたナンバーになっています。ある意味、過去を振り返る「楽しいお仕事愛好会」と対比的な楽曲で、30周年記念盤のラストを飾るにふさわしい、30周年以降のウルフルズを感じさせる楽曲となっています。

ウルフルズらしい楽曲をちりばめつつ、一方ではソウルやルーツ志向以外の彼らの音楽的嗜好も垣間見れるアルバム。歌詞の内容も含めて、実に30周年記念盤としてふさわしいアルバムとなっています。これからの彼らにも期待できそうな傑作でした。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!
ボンツビワイワイ
人生
ウ!!!
ウル盤
フル盤
ズ盤


ほかに聴いたアルバム

10の足跡/湯川潮音

なんと約10年ぶりとなるシンガーソングライター湯川潮音のニューアルバム。ほとんどが1発録りによる作品で、ヴァイオリンやチェロ、バンジョーやサックス、フルート、さらにはリコーダーやユーフォニウムといった多種多様な楽器を用いたサウンドが特徴的。ただ、基本的にアコースティックな作風となっているため、アコースティックギターを中心とした静かな作風にまとめあげられています。一方で彼女の特徴であり魅力でもあるファンタジックな世界観は健在で、彼女らしさを強く感じる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

湯川潮音 過去の作品
灰色とわたし
Sweet Children O'Mine
クレシェンド
濡れない音符
セロファンの空

超天獄/大森靖子

約2年ぶりとなるオリジナルアルバム。彼女らしいバリエーションのある分厚いサウンドで、勢いもあるパンキッシュで、サイケデリックな要素も入ったある種のヒステリックさも魅力的な楽曲が並びます。彼女の主張を赤裸々に綴った歌詞も大きな魅力なのですが、ただ今回のアルバムに関しては、その歌詞のインパクトが少々薄かったような。彼女のアルバムは、1曲2曲、聴いていてハッとするような歌詞に出会えるのですが、今回のアルバムに関しては残念ながらそういう要素を感じませんでした。

評価:★★★★

大森靖子 過去の作品
洗脳
トカレフ(大森靖子&THEピンクトカレフ)
TOKYO BLACK HOLE
kitixxxgaia
MUTEKI
クソカワPARTY
大森靖子
Kintsugi
PERSONA#1

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2022年12月26日 (月)

タイアップ効果でよりポピュラリティーが増した作品

Title:HOWL
Musician:ROTH BART BARON

ここ5作連続、1年おきのリリースが続くなど精力的な活動が続く、現在は三船雅也のソロプロジェクトとなっているROTH BART BARONのニューアルバム。前作「無限のHAKU」も高い評価を受けたのですが、知名度も徐々に上げてきており、本作に収録されている「赤と青」は深夜ドラマとはいえ、TBS系ドラマ「階段下のゴッホ」のエンディングテーマというタイアップがつき、「KAZE」はJR東日本のCMソングとして起用されるなど、その名前を聴く機会が広がってきています。

エレクトロサウンドやピアノ、ストリングスなど多彩な楽器を取り入れたサウンドに三船雅也の魅力的なファルセットボイスを加えて幻想的な世界観を醸し出しているというスタンスは前作と同様。基本的には前作と同じ方向性を感じさせるROTH BART BARONらしいと言える作品となっています。ただ、様々な楽器を取り込んで多彩な色を作り上げていたという印象を受けた前作と比べると、今回のアルバムは音の多様性というよりは、むしろ、作風としてよりポピュラリティーを増したという方向性を強く感じる作品になっていました。

そもそも冒頭を飾る「月に吠える」からして、いきなりボーカルとして中村佳穂を起用しており、郷愁感あるメロディーラインに最近では映画「竜とそばかすの姫」で声優として起用されるなど、その「声」の魅力に注目をあつめている彼女の優しくも力強いボーカルが楽曲にインパクトあるポピュラリティーを与えていますし、続くJR東日本CMソングの「KAZE」は伸びやかなファルセットボイスを聴かせつつ、ポップで明るいメロディーラインにピアノにストリングス、ホーンも加えて祝祭感を覚える作風で、広いリスナー層が聴いていて気持ちよさを感じさせそう。

Disney+「すべて忘れてしまうから」ライヴ・エンディング曲というタイアップがついた「糸の惑星」もエレクトロサウンドでスペーシーな雰囲気を醸し出しつつ、ポップなメロを静かに歌い上げいますし、そしてドラマタイアップとなった「赤と青」も、三船雅也のファルセットボイスを魅力的に聴かせつつ、サビのメロディーラインにもインパクトを持たせつつ、ROTHの魅力を保ちながらもポップでインパクトある作風に仕上がっています。アルバムとしてポップなタイアップ曲を前半に配することによって、全体としても耳なじみあるポップなアルバムという印象を受ける作品となっています。

その後も「ONI」は疾走感ある、比較的スタンダードなギターロックに仕上がっており、ポピュラリティーがありますし、つくばみらい市シティープロモーション曲という公的なタイアップがついた「MIRAI」も、スケール感ある合唱を取り入れつつ、未来への希望を感じさせる、ある種のベタさを感じさせる作風になっています。

もっともただただポップである訳ではなく、これらの曲も様々な音を取り込んだ重厚なサウンドを聴かせてくれていますし、その他もタイトルチューンである「HOWL」では打ち込みのリズムに力強いバンドサウンドを加えてダイナミックな作風に仕上げていますし、「陽炎」も後半にノイズを取り入れて、幻想的でサイケな作風に仕上げるなど、バラエティー富んだ音楽性は本作でもしっかりと感じることが出来ます。

もともと前作もメランコリックでどこか懐かしいそのメロディーラインにしっかりとしたポピュラリティーを感じさせたのですが、今回のアルバムもそのポップというROTHの魅力が、タイアップ曲の効果により、より顕著になったように感じさせます。加えて、幻想的な作風と多彩な音楽性もしっかりと加味されており、ROTHの実力をしっかりと感じさせる作品に仕上がっていました。前作に引き続き本作も、文句なしに年間ベスト候補の1枚。徐々に注目があつまっている彼ですが、今後、さらなる注目を集めそうです。

評価:★★★★★

ROTH BART BARON 過去の作品
無限のHAKU


ほかに聴いたアルバム

Cocoon for the Golden Future/Fear,and Loathing in Las Vegas

約3年ぶりとなるニューアルバム。ハードコアなサウンドに疾走感あるエレクトロのトランシーなサウンドが加わるスタイルが独特のスタイルのバンド。インパクト満載の楽曲の連続で、素直に聴いていて気持ちよさを感じます。特に「Evolve Forward in Hazard」などは終始、軽快なエレクトロサウンドとヘヴィーなバンドサウンドとの対比がユニークで、彼ららしい作品と言えるでしょうか。正直言ってしまうと、インパクトだけを前面に押し出したようなトランシーなサウンドは大味という印象も受けてしまうのですが、ただ、サウンド的には聴いていて素直に気持ちよさを感じてしまいます。難しいこと抜きに楽しめる1枚でした。

評価:★★★★

Fear,and Loathing in Las Vegas 過去の作品
HYPERTOUGHNESS

WEAVER/WEAVER

来年2月の解散を発表した3ピースピアノポップバンドのラストアルバム。セルフタイトルにもなっているアルバムなのですが、ただ残念ながら彼らの持ち味のピアノよりもシンセが微妙に目立つような作品となっており、物足りなさは否めない感じ。ピアノを取り入れたポップソングというスタイルが好みなので毎作聴いている一方、ベタなメランコリックさを押し出したメロディーには若干食傷気味な部分もあるのですが、今回のアルバムはそんな中でも一番ピンと来ない作品だったかも。なんとなく、解散に至った理由もわからないでもない感じがしてしまった作品でした。

評価:★★★

WEAVER 過去の作品
Tapestry

新世界創造記・前編
新世界創造記・後編

ジュビレーション
Handmade
ID
Night Rainbow
流星コーリング
ID2

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2022年12月25日 (日)

YUKIの全てがつまた6時間

2002年のソロデビューから今年で20年目を迎えたYUKI。今回紹介するのはソロデビュー20周年を記念してリリースされた配信限定のベストアルバムです。

Title:YUKI 20th Anniversary The Singles Collection 2002-2022「Tears of JOY」
Musician:YUKI

Yukisingles

まずこちらがシングルコレクション。デビューシングル「the end of shite」から、現時点での最新シングル「鳴り響く限り」までがリリース順に収められています。

Title:YUKI 20th Anniversary Coupling + Remix Collection 2002-2022「Ode to JOY」
Musician:YUKI

Yukicoupling

こちらは彼女のシングルのカップリング曲、全曲を収録したカップリング曲集と、リミックス音源を加えた、いわゆるB面ベストとなります。

彼女はもともと5周年、10周年、15周年とそれぞれベストアルバムをリリースしていますので、今回のアルバムはその流れでのリリースとなります。ただ、5年前にリリースしたシングルコレクション「すてきな15才」は10周年のベストアルバム「POWERS OF TEN」以降のシングルをまとめたアルバムだったため、デビュー以来すべてのシングルを収録したオールタイムのシングルコレクションは、「POWERS OF TEN」以来ということになります。シングルコレクション「Tears of JOY」は全41曲3時間強、B面ベスト「Ode to JOY」は全42曲3時間20分というボリューム感となり、すべて合わせると6時間超え(!)の、まさにYUKIの全てがわかるアルバムとなっていました。

そんな訳で、いきなり「YUKIの全てがわかる」なんて大言壮語な表現をしてしまいましたが、ただ一方、6時間聴いても、正直なところYUKIというミュージシャンの音楽的な方向性がいまひとつ捉えきれないという印象を受けてしまいました。というのも、デビュー以来、彼女が歌ってきた曲のタイプはバラバラ。YUKIといえばこういうタイプの曲、といった明確なものがありません。

以前にも書いたことがあるのですが、いわゆるJ-POPバンドと目されていたジュディマリ解散後は、いかにもサブカルチャー方面を志向した楽曲から並びます。デビュー作「the end of shite」はあきらかなオルタナ系ギターロック、「プリズム」は比較的シンプルなポップなのですが、「66db」はエレクトロアレンジを取り入れて、新たなサウンドへの挑戦もられます。「JOY」なんかもエレクトロダンスチューンに仕上げられており、2000年代初頭の流行にのったような方向性になっています。

その後もダブも取り入れたレゲエ風の「メッセージ」、ちょっとジャジーな「COSMIC BOX」、トランシーな「誰でもロンリー」、エレクトロサウンドにミニマルなコーラスを入れて挑戦的な作風を感じさせる「好きってなんだろう...涙」などなど、最近でも「My lovely ghost」もハウスミュージックの要素を取り入れるなど、自由な作風が続いています。

B面ベスト「Ode to JOY」では、その自由な作風という方向性はさらに顕著で、特に序盤はサブカル寄りの方向性が目立ちますし、ラテン風の「恋人よ」、ブルージーな「AIR WAVE」、軽快なエレクトロポップ「裸の太陽」「just life!all right!」など、バラエティー富んだ作風が並びます。ただ、自由度が高いミュージシャンの場合、このカップリング曲でよりぶっ飛んだ作風を聴かせてくれたりするのですが、彼女の場合、もともとシングルで自由度の高いポップスを聴かせてくれるため、ある意味、カップリング曲との差がさほど大きくありませんでした。それでも後半のリミックスではtofubeatsややけのはら、Mighty Crownといったミュージシャンがそれぞれ自らのフィールドでYUKIの曲を調理。さらなる幅広い音楽性を聴かせてくれます。

ただ一方で、これだけ幅広い音楽性を見せながらも、全体的にはYUKIとしての色も感じられるのは、やはりボーカリストとしての彼女の魅力が大きいように感じます。かわいらしい彼女のボーカルはジュディマリ時代からも「ロリータボイス」として注目を集めていましたが、この独特な声が幅広い音楽性の楽曲に統一感を与えている印象を受けます。そして50歳となった今でも、この声が全く衰えていないという事実に驚かされます。ルックスも年齢を感じさせませんし、いやはや(誉め言葉ですが)バケモノかよ・・・(笑)。いや、この状態を保つためには相当の努力をしていることは想像に難しくありませんが、ここらへんがソロデビューから20年を経て、いまだに高い人気を維持している大きな要因なのでしょう。

まさにYUKIとしての魅力のつまった6時間。かなりフルボリュームの内容なので、一気に聴き切るのは難しいかもしれませんが、どちらかというとプレイリスト的な作品なので、気になる部分をピックアップして聴いてみるのも悪くないかも。まだまだ彼女の活躍は続きそうです。

評価:どちらも★★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき
YUKI RENTAL SELECTION
すてきな15才
forme
echo(Chara+YUKI)
Terminal


ほかに聴いたアルバム。こちらはYUKIの旦那様のバンドです。

TODAY/真心ブラザーズ

約2年ぶりとなる真心ブラザーズのニューアルバム。前作「Cheer」はポップ方面にシフトした作品になっていましたが、今回は郷愁感あふれるブルージーな「一触即発」からスタートし、全体的に落ち着いた大人な雰囲気のアルバムに仕上がっています。「ブレブレ」みたいな陽気なロックンロールナンバーもあり、ある意味YO-KINGらしいユーモラスなこの曲は、真心らしい諧謔性も備えたポップになっているのですが、全体的には地味という印象を受けてしまう作品に。もっとも大ベテランの彼らだからこそ、一定以上の水準のアルバムに仕上がっているのは間違いないのですが。

評価:★★★★

真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST

Keep on traveling
Do Sing
PACK TO THE FUTURE
FLOW ON THE CLOUD
INNER VOICE
トランタン
Cheer

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2022年12月12日 (月)

昭和のレア・グルーヴ企画拡大版 その4

前回に引き続いてカルト昭和歌謡のオムニバス盤「GROOVIN'昭和アーカイブス」シリーズ。今年6月にリリースされた第2弾から、残り2枚です。

Title:GROOVIN'昭和アーカイヴス9 魅惑の女性シンガーvol.1

vol.7,8と男性シンガーで来たのですから、当然vol.9,10は女性シンガー編。1曲目はあの山本リンダが歌う「世界の国からこんにちは」からスタート。山本リンダのイメージとはちょっと異なるようなかわいらしい曲調も印象的ながら、三波春夫の原曲のイメージからも異なり、こんな曲があったんだ、とちょっとビックリしました。

この女性ボーカル編の特徴なのは、ムード歌謡曲の割合が多かった男性ボーカル編に比べると、曲調にバラエティーが多かった点。レモンレモンズの「夢みるツイッギー」は60年代の洋楽のガールズポップを彷彿させる内容。司美智子の「あなたっていいわ」はセクシーなボーカルが魅力的な歌謡曲。西崎緑の「ちいさなプリンセス」は子供からの視点がユニークなかわいらしいキッズソング。加賀ひとみの「東京フラメンコ」はラテン調のサウンドが特徴的。女性らしいかわいらしさやセクシーさを強調した曲が多いのですが、全体的に男性編よりもバラエティーに富んだ曲調が特徴的でした。

一方、いかにもな珍曲はあまり見受けられません。あえていえばセクシーなスキャットの間に、ただ「東京」とだけ歌われる北沢マリ「Dubi Dub 東京」は珍曲と言っていいかもしれません。全体的に男性ボーカル曲と女性ボーカル曲の方向性の違いがわかる構成に。なぜ、方向性に違いが出てくるのかは不明ですが、なかなか興味深く感じられました。

評価:★★★★

Title:GROOVIN'昭和アーカイヴス10 魅惑の女性シンガーvol.2

そして、こちらはその女性ボーカル編の第2弾。特徴としては第1弾と同じく、バラエティーに富んだ音楽性。可愛らしくもちょっとエッチなフラワー・メグの「ベッドにばかりいるの」、エロっぽい歌詞と小唄調の曲調のギャップもおもしろい五月みどり「ブギウギ小唄」、典型的なムード歌謡曲ながらもサビでいきなり浪曲風に変化するのがどこかコミカルな上原ことみ「女なんです」、ムードたっぷりでエロティシズム満開なフラワー・メグ「ジュテーム」などなど。まさにバラエティー富んだ作風の曲が並びます。

全体的には特にセクシーなエロっぽい曲が目立ったような印象も。特にフラワー・メグなどは可愛らしくもエロっぽい歌詞とボーカルが耳を惹きます。彼女、1年程度活躍した後、20歳の若さで引退したそうですが、ここ最近、彼女への再評価に伴い復活したとか・・・確かに、この2曲だけでも、時代を超えて評価される彼女の魅力を感じることが出来ます。

どちらのアルバムも、ともすれば男性視点からの偏見まじりの「女らしさ」を強調した曲が目立つのもまた、「時代」ゆえでしょうか。良くも悪くも昭和らしさを感じさせる曲の並んだ女性ボーカル編。私の生まれる前の曲がメインですが、懐かしさも感じさせる作品でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2021 “202020 & 55 STONES” Live at 東京国際フォーラム 2021.10.31/斉藤和義

毎回恒例の斉藤和義のライブアルバム。今回は、「KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2021 “202020 & 55 STONES”」のツアーファイナル、東京国際フォーラムのライブ音源をおさめたアルバム。コロナの影響でアルバム「202020」のツアーが順延になった影響で、「202020」と「55 STONES」2枚のアルバムを元としたツアーで、この2枚のアルバムがいずれも傑作だったことから、ライブ盤もかなりの充実ぶりとなっていました。彼のライブ盤はMC部分が省略されるのですが(とても音源に残せない下ネタが多いため・・・)、今回はコロナ禍で声が出せない状況であることを語ったMCが収録されているなど、時代を反映された記録的な側面もあるライブ盤になっています。次のライブ盤は、観客の歓声もしっかりと入っている作品になるといいのですが。

評価:★★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017
Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02
KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26 〜これからもヨロチクビーチク〜 Live at 日本武道館 2018.09.07
小さな夜~映画「アイネクライネナハトムジーク」オリジナルサウンドトラック~
弾き語りツアー2019 "Time in the Garage" Live at 中野サンプラザ 2019.06.13
202020
55 STONES
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2020 "202020" 幻のセットリストで2日間開催!~万事休すも起死回生~ Live at 中野サンプラザホール 2021.4.28

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2022年12月11日 (日)

昭和のレア・グルーヴ企画拡大版 その3

徳間ジャパンコミュニケーションズが原盤を所有する昭和のレア音源を集めたオムニバスアルバム企画「GROOVIN'昭和アーカイヴス」シリーズ。10月に第1弾であるVol.1からVol.5まで紹介しましたが、今回は2回にわけて、Vol.6からVol.10までを紹介します。

Title:GROOVIN'昭和アーカイヴス 6 カルトGSコレクション

1967年から1969年にかけて一世を風靡したグループ・サウンズ。その流行はかなり短い期間だったものの、雨後のたけのこのように数多くのグループが登場し、そして時代のあだ花として消えていきました。中にはほとんど売れなかったバンドも数多く、そんなカルト的なグループ・サウンズの曲を集めたのがこの作品となります。

そんなGSバンドは、ビートルズやローリング・ストーンズなど海外のバンドの影響を強く受けたバンドも少なくなく、自身のライブでは洋楽テイストの強い作品を演奏していた一方、シングル曲では歌謡曲路線の曲を歌っていたという二面性が、特に昭和歌謡曲の研究が進んだここ最近、よく知られるようになっています。本作は、そのGSの二面性を如実にあらわした構成になっており、前半は洋楽テイストの強い楽曲が並びます。ラ・シャレローズの「うさわの二人」などはメロこそ歌謡曲テイストながらもサイケなギターが非常にカッコいいナンバーですし、石橋志郎とストーンズの「恋のシンガリング」などもファンキーなリズムを聴かせる楽曲になっています。

一方、後半は歌謡曲路線。ザ・デビィーズの「エルムの恋」やキッパーズの「小雨の風景画」などは完全にムード歌謡曲となっており、ある意味、前半との差にも驚かされるくらいです。

そんなグループ・サウンドの二面性をよくあらわした構成になっている本作。特に前半は、洋楽テイストの強いサウンドと歌謡曲がほどよく融合された曲もユニークで、レコード会社がこの路線のバンドをもっと売ろうとしていれば、日本のロックシーンも大きく変わったのかも・・・そんな想像もしてしまうような1枚でした。

評価:★★★★

Title:GROOVIN'昭和アーカイヴス7 魅惑の男性シンガーvol.1

こちらはタイトル通り、男性シンガーの曲が並ぶのですが、これがかなり珍曲も多い、この手のオムニバスならではの構成が実に魅力的。まず強いインパクトがあるのがジョニー広瀬の「太陽に抱かれたい」で、楽曲的には典型的なムード歌謡曲なのですが、あまりのダミ声に度肝を抜かれます。上田吉二郎・武智豊子の「上吉・豊子のハレンチ・アモーレ」も年配の男女によるデゥオなのですが、エロ歌詞のため非常に気持ち悪く、これまたインパクト満点。同曲のB面だった「おじいちゃんのへ長調作品5番」も下品極まりない曲で、どちらも珍曲中の珍曲。決してお勧めはしませんが、この手のカルトソングが好きならばたまらない選曲といった感じでしょう。

滝しんじの「ケメ子がなんだい」もエフェクトをかけたボーカルを使ったコミカルな作品。また、勝新太郎や千昌夫といった大御所の曲も収録されたりするのですが、特に勝新の「アンチェイン・マイ・ハート」などは男が聴いていても色気を感じさせる曲になっており、時代を超えて勝新の魅力が伝わってくるような曲になっていました。

そんな訳で、万人向けではないものの聴きどころがたくさん、珍曲が多い1枚。昭和歌謡曲の、ある種の奥深さを感じるオムニバスアルバムとなっていました。

評価:★★★★

Title:GROOVIN'昭和アーカイヴス8 魅惑の男性シンガーvol.2

そして、その男性ボーカルシリーズの第2弾。1曲目はおなじみ五木ひろしなのですが、洋楽的なリズムを取り入れており、ちょっとビックリします。ただ、歌自体は思いっきり演歌なのですが・・・。

また、このvol.2で特に目立つのは民謡を取り入れた曲が並んでいる点。友川かずきの「乱調秋田音頭」はタイトル通りの秋田音頭を方言そのままに軽快に歌い上げています。喜納昌吉とチャンプルーズの「東京讃美歌」も沖縄民謡ですし、大木英夫の「ジョンガラ・ロック」もファンキーなリズムと民謡的な節回しの融合がユニークな作品。この時代から洋楽的なサウンドやリズムと民謡を融合させようとする試みが行われていたことを感じさせます。

その他は基本的にムード歌謡曲テイストの曲が多く、珍曲やカルトさという意味ではvol.1にちょっと見劣りしてしまう点は残念ですが、さすがにvol.1みたいな濃さを男性ボーカルというくくりをもってアルバム2枚分リリースすることは出来ないのでしょう。とはいえ、昭和のレア曲たっぷりの内容で、こちらも好きな方には聴きごたえ十分の作品でした。

評価:★★★★

GROOVIN'昭和!シリーズ 過去の作品
GROOVIN' 昭和!1~こまっちゃうナ
GROOVIN'昭和!2~ベッドにばかりいるの
GROOVIN'昭和!3~恋のサイケデリック
GROOVIN'昭和4~自衛隊に入ろう
GROOVIN'昭和5~ぐでんぐでん
GROOVIN'昭和!6~東京ディスコ・ナイト
GROOVIN'昭和!7~ロマンチスト
GROOVIN'昭和アーカイヴス 1 シティ・ポップ&メロウ・サウンド
GROOVIN'昭和アーカイヴス 2 オン・ザ・ロックス
GROOVIN'昭和アーカイヴス 3 ファンク&ブルース
GROOVIN'昭和アーカイヴス 4 歌謡ディスコ&ソウル
GROOVIN'昭和アーカイヴス 5 ロックンロール80's

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2022年12月 6日 (火)

50年前の日本ロック黎明期の雰囲気を伝える

Title:OZ DAYS LIVE '72-'73 Kichijoji The 50th Anniversary Collection

60年代にフィードバックノイズを前面に押し出した圧巻のサウンドが他を圧倒。伝説的バンドとして今なお語り継がれる裸のラリーズ。公式音源がほとんど世に出回らなかったことから、カルト的な人気も博ていた彼らでしたが、今年になって公式音源が正式に再発。先日、ここでもその音源を紹介しました。そして、こちらもそんなラリーズ音源再発に呼応する形でリリースされた音源。1972年から1973年という短い間でしたが、吉祥寺にあったライブハウス「OZ」の音源を収録した全3枚組となるオムニバスアルバムで、そのうち、裸のラリーズの音源が10曲にわたり収録されています。

この「OZ」というライブハウス、短い間ではあったものの、その間、裸のラリーズ、南正人、久保田麻琴と夕焼け楽団、カルメン・マキ&OZ、四人囃子、安全バンド、クリエイション、頭脳警察などなど、日本のロック黎明期を飾るミュージシャンたちが数多く演奏したことでも知られる伝説のライブハウスで、本作は、もともと1973年にレコード盤でリリースされたアルバム。その後、CDで再発されたのですが、廃盤となっていたところ、このたび「50周年記念盤」として再発されたものです。

全3枚組のアルバムで、Disc1から2にかけて、裸のラリーズの音源が10曲、Disc2に、南正人の音源が4曲、Disc3には都落ちの音源が3曲、アシッド・セブンの音源が7曲という構成となっています。さらに100ページに及ぶブックレットがついてきており、当時の雰囲気を伝える貴重な写真がついているほか、「OZ」の関係者による対談を収録した記事がついてきており、当時の様子を知ることが出来る内容になっています。

まずなんといっても注目されるのは裸のラリーズの音源ですが、まず冒頭の「OZ Days」からして、いきなりフィードバックノイズでガツンと脳天をかち割られるようなスタートとなっています。その後の楽曲については、先日紹介した裸のラリーズのアルバムのように、フィードバックノイズの洪水が押し寄せる・・・といった感じではないものの、かなり荒々しくヘヴィーなバンドサウンドは今聴いても迫力があり、50年も前の音源とは信じられないほど。こちらに収録された音源ではサイケデリックバンドというよりは、フォーキーなメロディーをバックにヘヴィーなバンドサウンドを繰り広げるハードロックバンドというイメージが強くなっているのですが、しっかりと裸のラリーズのすごさを感じされる音源にはなっていました。

南正人はフォークシンガーというイメージが強く、この並びで収録されるのはちょっと意外性があったのですが、「海が見えるあの丘へ」では力強いロックのサウンドをしっかりと聴かせてくれています。全体的にはフォークの色合いも強かったものの、裸のラリーズの次に並んでいても違和感ない作品を聴かせてくれていました。

あと2組は今回、音源を聴くのはもちろん、名前もはじめて聴いたバンド。都落ちは60年代ロックンロールのカバー。これはこれでカッコいいのですが、特に特色も感じないロックンロールそのままのカバーなだけに、他と比べるとちょっと物足りなさを感じてしまう印象も。最後のアシッド・セブンもなかなか興味深く感じられるバンドで、かなり骨太で泥臭さを感じさせるサウンドとボーカルを主軸としたガレージロックバンド。特に圧巻だったのが23分にも及ぶ「風よ吹きまくれ涙は枯れる光の中に」で、哀愁たっぷりのメロディーラインを聴かせつつ、サイケデリックなバンドサウンドでリスナーを圧倒するような楽曲。非常に個性を感じさせるバンドでした。

一方、再発盤の目玉のひとつであるブックレットの方ですが・・・こちらは正直、ちょっと残念な内容でした。「100ページに及ぶブックレット」という売り文句だったのですが、その大半は英訳版に割かれており、対談シーンはわずか20ページ程度。往時を彷彿とさせる写真の数々は貴重でしたし、対談で語られる数々の証言も貴重ではあるものの、やはり全体的には少々、物足りなさも否めませんでした。

収録曲全体としては、やはり裸のラリーズが頭2つくらいとびぬけている感じ。今の耳で聴いても非常にカッコよさを感じるものがあります。ただ、それ以外のミュージシャンについても、これだけカッコいいバンドが、50年も前の日本のライブシーンで活動していたのか、と驚かされるものもあり、全3枚組、非常に聴きごたえのあるオムニバスアルバムとなっていました。期待していたブックレットはちょっと残念でしたが、それを差し引いてもお勧めしたい、日本ロック黎明期のすごさを感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

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2022年12月 3日 (土)

原坊の世界をしっかり満喫

Title:婦人の肖像(Portrait of Lady)
Musician:原由子

ご存じサザンオールスターズのキーボーディストであり、桑田佳祐の奥さんでもある原由子のニューアルバム。2010年にベストアルバム「ハラッド」を、2002年にはカバーアルバム「東京タムレ」をリリースしているものの、純粋なオリジナルアルバムとしては1991年の「MOTHER」から実に約31年ぶりとなるニューアルバムとなりました。これだけオリジナルアルバムの間隔が空いたというのも驚きですが、個人的に、その31年も前のアルバム「MOTHER」をリアルタイムで聴いていたというのも軽くショックなのですが・・・。

今回のアルバムは、サザンオールスターズのデビュー44周年となる2022年6月25日にリリース。桑田佳祐の全面バックアップの下に作成されたアルバムで、前作「MOTHER」では原由子の曲と桑田佳祐の曲、それぞれ別々だったのに対して、今回のアルバムは両者の共作が目立ちます。サザンの44周年の節目(・・・なのか?)なのですが、サザンとしての活動はなく、原由子の新作がリリースされたのですが、桑田佳祐自身は「代理・サザンオールスターズのニューアルバムだと思っていただきたい」と語っているようで、桑田佳祐のバックアップぶりも目立ちます。

ただ、そんな新作ですがサザンのニューアルバムとは全く異なる、しっかりと原坊らしさが表に出た、彼女らしいアルバムに仕上がっていたと思います。ストリングスとシンセで高らかにアルバムのスタートを告げるような「千の扉~Thousand Doors」からスタート。桑田佳祐が唯一、楽曲制作に全く関わっていない「Good Times~あの空は何を語る」は、現在のロシアウクライナ情勢を反映させた、ちょっと哀しげな雰囲気の歌詞も印象的なのですが、アコースティックに聴かせる郷愁感あるサウンドは、明確にサザンの世界とは異なるものを感じます。

「旅情」もタイトル通り、彼女らしい郷愁感あふれるナンバー。「ぐでたま行進曲」も、こちらもタイトルから想像できる通り、サンリオのキャラクター「ぐでたま」をモチーフとした曲で、「ぐでたま」が登場する実写ドラマの主題歌だそうで、こちらも原坊らしさを感じさせる明るいキッズソングとなっていますし、先行シングルとなった「ヤバいね愛てえ奴は」も、ストリングスとアコースティックギターで暖かく聴かせる彼女らしい楽曲に仕上がっています。さらにラストを飾る「初恋のメロディ」も切なく爽やかな郷愁感持って聴かせるラブソングとなっており、こちらも彼女らしさが表れている印象を受けました。

一方で、「スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)」「夜の訪問者」は昭和歌謡の要素が強く、いかにもサザンというか、桑田佳祐らしさを感じる曲・・・といっても、「スローハンドに抱かれて(Oh Love!!)」の方は原由子作曲による曲で、桑田佳祐からの影響というか、やはり夫婦らしく、音楽的にはやはり共通項も多いんだろうな、とも感じさせる楽曲になっています。

全体的には、「代理・サザンオールスターズのニューアルバム」という桑田佳祐のアピールと反して、しっかりと原由子らしい作品となっています。かつ前作「MOTHER」の頃の作品は、もっとかわいらしく、「女の子」っぽさを感じさせる曲も目立ったのですが、今回のアルバムはしっかりと「大人の女性」を感じさせるような、しっかりと聴かせる曲が並んでいます。今の彼女を反映させた、等身大の作品と言ってもいいでしょう。

ただ、その上で気になるのが、アルバム全体としてはパワー不足を感じてしまいます。確かに原由子は間違いなくボーカリストとしてのシンガーソングライターとしても、しっかりとした実力がありますし、そこに日本を代表するミュージシャンで日本屈指のメロディーメイカーの桑田佳祐がバックアップをつとめるわけですから、楽曲のクオリティーとしては十分なものはあります。しかし、前作「MOTHER」では一度聴いたら忘れられないようなインパクトの強い曲や、原由子の新たな境地を感じさせるような曲もあった反面、今回のアルバムに関しては、正直、楽曲としてのインパクトは薄めで、新たな境地を感じさせるような作品もありませんでした。

良くも悪くも卒なくこなした安定感のあるアルバムだったかな、というのが今回の感想。もちろん、それでも十分楽しめるポップスアルバムなのは間違いないのですが、期待したほどではなかったかな、というのが率直な感想。いいアルバムではあるとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

原由子 過去の作品
ハラッド

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2022年12月 2日 (金)

志磨遼平の好むポップソング

Title:戀愛大全
Musician:ドレスコーズ

昨年リリースした「バイエル」以降、約1年4か月ぶりとなるニューアルバム。ただ、オリジナルアルバムとしては前作となる「バイエル」は、ピアノの弾き語りからスタートし、徐々に作品を作り上げていく過程を見せるという、企画モノ的な側面も強かったため、純粋なオリジナルアルバムとしては2019年の「ジャズ」以来、ということになるのでしょうか。もっとも、その間にもベスト盤をリリースしたり、音楽劇のサントラ盤をリリースしたりと、かなり積極的な活動が目立ちます。

ドレスコーズというと、ご存じの通り、現在は志磨遼平のソロプロジェクトなのですが、そのため彼の音楽的な嗜好が強く反映される内容になっています。特にドレスコーズの初期は4人組バンドで、ロック色が強かったのですが、徐々にポップ色の強い作風に移行。途中、ファンクなどの要素が加わることもあったのですが、ここ最近はよりポップ、それも60年代や70年代あたりのレトロでキュートなポップソングの影響を受けたような作風の曲が目立ち、メロディーラインの甘さをより前に押し出した曲調が目立っています。

今回のアルバムも、まさにそんなドレスコーズのポップな側面がさく裂したアルバム。まずそもそも「戀愛大全」というアルバムタイトル自体から、とてもスィートでキュートな内容であることを彷彿とさせます。そんな期待を持ちつつアルバムを聴くと、このキュートでポップなメロディーラインを軸としつつ、バラエティーに富んだ作品に仕上がっていました。

まず1曲目「ナイトクロールライダー」は比較的分厚いバンドサウンドが加わった、ロック色の強い作品。ただ、ここにシンセの音色が加わり、ポップなメロディーラインもあり、彼らしいキュートなポップスに仕上がっています。続く「聖者」はモータウンビートの軽快なビートにドリーミーなシンセの音色が加わった、これまたキュートなポップチューン。さらに「やりすぎた天使」もウォール・オブ・サウンズの影響を受けた分厚くドリーミーなサウンドで聴かせるポップな楽曲に仕上がっています。

さらにバラエティー富んだ曲調は続きます。メロウさを感じ、シティポップテイストの強い「夏の調べ」にシューゲイザー的なノイズが楽曲を覆うドリームポップチューン「ぼくのコリーダ」、同じくドリーミーなサウンドが大きな魅力となっていながら、切ないメロも耳を惹く「エロイーズ」、軽快なシンセポップが80年代っぽい「ラストナイト」、ネオアコ的な雰囲気のあるキュートなギターポップ「惡い男」、分厚いサウンドに哀しげなメロが印象的な「わすれてしまうよ」と続き、最後はしんみり聴かせるバラードナンバー「横顔」で締めくくります。

そんな訳で、1曲1曲バラエティーに富んだ構成を見せる今回のアルバム。ただもっともどの曲も、分厚いドリーミーなサウンドでコーティングされており、志磨遼平ならではのキュートなメロディーラインを聴かせてくれるということでしっかりと統一感があります。ドレスコーズが志磨遼平のソロプロジェクトになってから、彼は自由に好きなようにポップソングを奏でていましたが(それはバンド時代も一緒だったかも?)、その自由度がさらに増した感のある、志磨遼平の好むポップソングがアルバム全体に繰り広げられた作品になっていました。

アルバムの構成として、10曲入り38分という長さもポップアルバムとしてちょうどよい長さ。最後までキュートな志磨遼平の音楽の世界を無心に楽しめる傑作に仕上がっていました。ここ最近、ポップ嗜好が強かった彼が、ある意味、行き着いたアルバムと言えるかもしれません。一方で、なにげに「バンド幻想」も抱いている彼は、それだけにひょっとしたら次回作は、バンドという方向性に戻る可能性も??

評価:★★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.

オーディション
平凡
ジャズ
バイエル(Ⅰ.)
バイエル(Ⅱ.)
バイエル
ドレスコーズの音楽劇《海王星》


ほかに聴いたアルバム

HELLO/ROTTENGRAFFTY

ロットン4年ぶりのニューアルバム。ここ数作はエレクトロサウンドを取り入れた曲も目立ったのですが、本作はヘヴィーなバンドサウンドを前面に押し出した曲が並びます。また、メランコリックなメロディーラインに良くも悪くもJ-POP的なものを感じるバンドですが、今回はさらに推し進めて哀愁感ただよう、ともすれば「歌謡曲」的なメロディーラインの曲に。ある意味、ロットンらしさをより前面に押し出したアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

ROTTENGRAFFTY 過去の作品
LIFE is BEAUTIFUL
PLAY
You are ROTTENGRAFFTY

radio JAOR ~Cornerstones 8~/佐藤竹善

SING LIKE TALKINGのボーカリスト、佐藤竹善がライフワーク的に続けているカバーアルバム企画第8弾。今回は、「架空のFMラジオ局」をモチーフに、主に70年代~80年代の邦楽を取り上げています。公式サイトの紹介では「世界的に注目が集まる」と書いているのですが、それはもうちょっと洋楽テイストの強いシティポップ系の曲で、こちらで取り上げられているのは、確かにシティポップにカテゴライズされる曲ですが、もうちょっと歌謡曲寄りの作品が並んでいます。ただ、個人的にはKANの「カレーライス」が取り上げられているのが、そのセレクトといい、ファンとしてはうれしい感じ。また、2009年にスマッシュヒットしたコーヒーカラーの「人生に乾杯を!」をクリスマスバージョンとしてリメイクしてカバー。こちらも懐かしく楽しめました。全体的にはジャジーやソウル的な要素をより強めた大人の雰囲気漂うカバーに仕上げており、原曲の目新しい解釈というものはないものの、佐藤竹善らしい色を加えたカバーに仕上がっています。良い意味で安心して楽しめる作品です。

評価:★★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Your Christmas Day III
The Best of Cornerstones 1 to 5 ~The 20th Anniversary~
My Symphonic Visions~CORNERSTONES 6~feat.新日本フィルハーモニー交響楽団

Little Christmas
Don't Stop Me Now~Cornerstones EP~
Rockin’ It Jazz Orchestra Live in 大阪~ Cornerstones 7

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2022年11月29日 (火)

時代を超えた伝説のバンド

裸のラリーズというバンド名、ある程度、日本のロックに詳しい方ならご存じの方も多いのではないでしょうか。ギターヴォーカルの水谷孝を中心に、1960年代に結成。水谷孝を中心にメンバーが流動的ながらも1990年代まで活動を断続的に活動を続けていましたが、その大きな特徴は、これでもかというほど強烈なフィードバックの嵐を繰り広げるギターを中心としたサイケデリックな作風。唯一無二なそのサウンドを奏でるバンドでありつつ、一方で活動がアンダーグラウンドであったため、その実像については謎な部分が多く、さらに公式にリリースされたアルバムが1991年頃にリリースされた、わずか3枚のアルバムのみ。それもどうも水谷孝の意向で、リリース枚数は限定されたようで、インターネットオークションでは非常に高値で売却されていた「幻のアルバム」となっていました。

長らく「伝説のバンド」として神格化されていた裸のラリーズでしたが、昨年10月、突如、オフィシャルサイトがオープン。その中で水谷孝が2019年に死去したことを示唆するような記載がなされており(後に事実と確認)、さらにオフィシャル音源のリリースを拒んでいた水谷孝の逝去の影響か、このたび3枚のオリジナルアルバムが復刻。今回、さっそく伝説のバンドの3枚のアルバムを聴いてみました。

Title:67-’69 STUDIO et LIVE
Musician:裸のラリーズ

Rallizes1

まず1枚目のこのアルバムですが、アルバムの冒頭でいきなり大きくショックを受けるのではないでしょうか。いきなり強烈なインダストリアルメタル張りのヘヴィーなノイズからスタート。さらに1曲目「Smokin' Cigarette Blues」はまさにインダストリアルを彷彿とさせるような強烈なビートとノイズをギターを中心としたバンドサウンドで生み出しており、その音の洪水に圧倒されます。続く「La Mai Rouge」も不穏な雰囲気のギターノイズが展開されるダークなナンバー。独特なダークなサウンドが繰り広げられます。

ただ、もうひとつ大きな特徴だったのが、そんな圧倒的なフィードバックノイズの洪水を聴かせつつも、一方では意外とメランコリックなメロディーの歌モノも聴かせているという点で、この2曲に続く「眩 暈 otherwise My Conviction / Vertigo otherwise My Conviction」はひとつの展開。ヘヴィーなギターサウンドをバックにしつつ、メロディーラインは至ってメランコリック。郷愁感のあるメロディーラインは、むしろ典型的な60年代の日本のロックバンドのようなスタイルを感じさせます。この強烈なフィードバックノイズのサイケなサウンドで楽曲を埋め尽くしながらも、一方では、むしろ60年代フォークの影響すら垣間見れるメランコリックなメロディーラインも流れているというある種の奇妙なバランスこそが裸のラリーズのひとつの魅力のように感じます。

評価:★★★★★

Title:MIZUTANI / Les Rallizes Dénudés
Musician:裸のラリーズ

Rallizes2

そして、そのメランコリックという側面が強調されたのが、この2作目のアルバム。フィードバックノイズの嵐だった1枚目とはうって変わって、1曲目「記憶は遠い」から、アコースティックギターをバックにフォーキーな作風になっており、しっかりと歌を聴かせる楽曲に。続く「朝の光 L'AUBE」も、美しい鐘のサウンドにアコースティックギターのサウンドをバックに、切なくメランコリックに歌い上げる曲調が特徴的。その後も同様にメランコリックな歌を聴かせる曲が続き、このアルバムの前半だけ聴かせると、60年のフォークグループとすら感じられる方もいるかもしれません。ただ一方で歌詞の世界にはどこかサイケデリックな要素が感じられる部分も強く、裸のラリーズらしい独自性もしっかりと感じられます。

一方で後半、20分以上にも及び「The Last One」では最初は静かなギターでスタートするものの、徐々にダイナミックに展開。後半の繰り返させるギターリフと轟音に軽くトリップしそうな感じすらするサイケな作品に。後半のギターリフはミニマル的な要素も感じさせます。ラストの「黒い悲しみのロマンセ otherwise Fallin’ Love With」もフィードバックノイズを奏でるダークなギターをバックに哀愁たっぷりの歌を聴かせる楽曲に。全体的に水谷孝の内面を聴かせるような、単なる轟音を鳴り響かせるだけではないラリーズの魅力を感じさせるアルバムに仕上がっています。

評価:★★★★★

Title:'77 LIVE
Musician:裸のラリーズ

Rallizes3

ある意味、3作のうち、裸のラリーズらしい強烈さが一番あらわれているのがこの作品かもしれません。1977年3月12日に東京の立川市で行われたライブ音源を収録したアルバム。まず特に強烈なのが「氷の炎」で、これでもかというほどのギターのフィードバックノイズが楽曲を埋め尽くします。「夜より深く」も同じく狂暴とも言えるギターノイズが埋め尽くす作品。エフェクトをかけて浮遊感すら感じさせるサウンドは、今のダブの要素も感じさせます。最後を締めくくる「The Last」も強烈なギターノイズからスタート。こちらはギターリフがどこかミニマル的に聴かせる楽曲で、最後の最後までギターノイズで空間を埋め尽くすような楽曲が並びます。

ただ一方で、こちらも意外とメロディーラインのポップスさを感じさせる曲も多く、例えば「夜、暗殺者の夜」などはギターノイズで埋め尽くしつつも、ギターリフが意外とメロディアスにまとまっており、意外とポップという印象を受けるかもしれません。「夜の収穫者たち」も疾走感あるガレージロックの様相もあり、メロディーが意外とメロディアスという印象を受けそうです。

フィードバックノイズの洪水に圧倒されつつ、ただ、これが1977年のライブ音源という事実にあらためて驚かされます。日本国内はもとより、海外に目を向けても、70年代にこれだけ圧倒したギターノイズを奏でるバンドは思い当たりません。今のノイズミュージックの萌芽が70年代ということで、同時代の音源をYou Tubeで聴いたのですが、どちらかというとノイズで埋め尽くすというよりも、実験的にノイズを(ある種恐る恐る)奏でているような印象。ある意味、日本においても世界においても隔絶した存在のバンドだったのではないでしょうか。

フィードバックノイズの洪水に意外とポップなメロディーラインという点で、シューゲイザー系と重ね合わせる向きもあるそうです。シューゲイザー系というと80年代に起こったムーブメントであるため、そこから20年近く前に裸のラリーズという存在が日本にいたことも驚きですが、ただ、個人的にはその両者は似て非なるもの、という印象を受けます。シューゲイザー系は同じフィードバックノイズの洪水でも、こちらは甘いクリームのようにフィードバックノイズを音楽に対して塗りつくし、キュートなメロディーラインを聴かせてドリーミーにまとめ上げています。一方、裸のラリーズはこれが夢ならば完全に悪夢。フィードバックノイズはリスナーの耳に容赦なく攻撃を加えるような狂暴な武器。ある種、リスナーに対しても挑戦を企てるかのような攻撃性のあるサウンドになっており、そのスタンスにおいてシューゲイザー系とは全く異質であることが感じされます。

彼らの楽曲は、時代を超えた今においても、ある種非常に狂暴に聴こえ、その攻撃性は全く失われていません。むしろいまから50年近く前に、このようなバンドが日本で活動していたことに大きな驚きすら感じます。今回の3枚のアルバムの再販で、あらためて裸のラリーズというバンドのすさまじさを多くのリスナーに知らせることが出来た貴重な作品になりました。神格化された伝説は知っていましたが、確かにこれは「伝説」となるには十分すぎるアルバムだったと思います。そのフィードバックノイズの洪水に、聴きながらただただ立ち尽くしてしまう、そんなとんでもないアルバムでした。

評価:★★★★★

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2022年11月21日 (月)

LEO今井と砂原良徳の才能が融合

Title:EP1 TSTST
Musician:TESTSET

Testset

高橋幸宏を中心として小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という豪華なメンバーが一堂に会して結成されたバンドMETAFIVE。残念ながら例の小山田圭吾を巡る東京五輪の騒動に巻き込まれる形で話題になってしまい、今年に入ってようやく通常リリースできた2ndアルバム「METAATEM」は「ラストアルバム」とアナウンス。正式に解散等を公表されている訳ではありませんが、事実上の活動停止状態となってしまいました。

そんな小山田圭吾の騒動の最中に開催されたのが昨年8月に実施されたフジロック。METAFIVEはフジロックに出演したのですが、メンバーの中で砂原良徳とLEO今井のみが出演。ここにサポートとして相対性理論の永井聖一、GREAT3の白根賢一という4人でのパフォーマンスとなったのですが、このたび、この4人が新たにグループを結成。TESTSETと名付けて新たな音楽活動をスタートさせました。

ある意味、METAFIVEの派生グループとも言えるTESTSET。ただ、METAFIVEはあくまでも高橋幸宏のグループ、ということで完全に違う名前、別バンドとしてのスタートとなったようです。もっとも楽曲の方向性としてはMETAFIVEの延長線上にあるような作品で、ニューウェーヴからの影響を感じさせつつ、バンドサウンドとエレクトロサウンドを融合させたサウンド。METAFIVEが好きならTESTSETももちろん気に入るのではないでしょうか。

基本的に作詞はLEO今井が担当。作曲はLEO今井と砂原良徳の共作という形になっています。ここらへん、5人での共作だったMETAFIVEと比べると、LEO今井と砂原良徳の音楽性がより表に出たような作品に仕上がっています。特にLEO今井の影響は大きく、METAFIVEに比べると、かなりロック寄りにシフト。1曲目「Carrion」もエレクトロのリズムを刻みつつ、ギターサウンドを前面に押し出した作風でロッキンなカッコいい楽曲。「Where You Come From」もLEO今井のシャウト気味のボーカルにマッチさせたような迫力あるロックなナンバー。LEO今井のボーカルを前に持ってきたこともあって、全体的にはLEO今井のボーカルスタイルにマッチした作風が並びます。

もちろん一方の砂原良徳からの影響も顕著で、今回の作品の中では「Testealth」などは、より砂原良徳の色の濃い作品に仕上がっていましたし、全体的にテクノという側面がMETAFIVE以上に強く押し出された作品に。LEO今井の音楽性と砂原良徳の音楽性が上手い形で融合したサウンドをこの1枚目のEPから既に作り出しており、今後、リリースされるフルアルバムが待ちきれなくなるような傑作となっています。

今回、ラストには向井秀徳をゲストに迎えたKIMONOSのナンバー「No Modern Animal」のカバーも収録。KIMONOSのナンバーをTESTSET風にアレンジした楽曲もかなりカッコよく、原曲とはまた違った雰囲気の作品に。TESTSETの楽曲の中にも違和感なく溶け込んでいます。

ある意味、小山田騒動があったからこそ誕生したバンドで、TESTSETが結成されたことは怪我の功名とも言えなくはありません。もっとも、小山田騒動がなければ、METAFIVEとしての活動が問題なく続けられていた可能性も高いのですが・・・(高橋幸宏の健康問題もあるのでなんとも言えないのですが・・・)。ただ、バンドとしては1枚目からメンバーの相性の良さを強く感じさせますし、これからが非常に楽しみになってくるバンドです。来るべきデビューアルバムはとんでもない傑作に仕上がっているかも。わずか5曲入りのアルバムですが、TESTSETというバンドの可能性を強く感じさせる内容でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Orbit/STUTS

フルアルバムとしての前作「Eutopia」がMusic Magazine誌の「日本のラップ/HIP HOP」部門の2018年年間1位を獲得し、さらにドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌を担当するなど、ここ最近、一気に注目を増しているトラックメイカーによる3枚目のアルバム。メロウなR&B系のエレクトロトラックに、メランコリックな歌やHIP HOPが加わるスタイル。非常に完成度の高さを感じさせる内容になっていますが、「Eutopia」に比べると、無難にまとまっている感を強く覚えてしまったかも。

評価:★★★★

STUTS 過去の作品
Eutopia
Contrast
Presence(STUTS&松たか子 with 3exes)

Harvest/04 Limited Sazabys

コロナ禍での中止もありつつ、最近は、地元名古屋でロックフェス「YON FES」を開催するなど積極的な活動を見せるフォーリミの約4年ぶりとなるニューアルバム。ハイトーンなボーカルと分厚いサウンド、ハイテンポなリズムにキュートなポップという組み合わせが特徴的なメロパンクバンド。ここ数作、アルバム毎にメロのインパクトが増していた感もあったのですが、久々となった新作は、それなりにポップでインパクトのある曲もあったものの、全体的にはメロを聴かせるというよりも勢いで一気に最後まで展開していくような内容に。フォーリミらしさはしっかり出ているものの、前作までの流れから期待していたほどではなかったのはちょっと残念な感も。

評価:★★★★

04 Limited Sazabys 過去の作品
CAVU
eureka
SOIL

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