5作同時リリース!その2
突如リリースされたSAULTの5作同時リリースのアルバムの紹介。昨日からの続きとなります。
Title:Today&Tomorrow
Musician:SAULT
5枚の中で、バンドサウンド色が一番強かったのがこの作品。まず「In The Beginning」では力強いベースのリフとドラムスが重低音を響かせる中、ギターノイズが重なるスタート。一方、6分37秒にも及ぶ本作は、後半では一転、優しいボーカルにギターが重なるポップな様相の楽曲になります。
その後もギターサウンドを前面に押し出した曲が続き、特に中盤の「The Jungle」はヘヴィーなギターリフを主導とした作品でハードロック色が強い作風になっており、続く「The Plan」も疾走感あるギターサウンドにシャウト気味の女性ボーカルが重なるというパンキッシュな楽曲に。「Money」も同じくアップテンポなギターサウンドのパンキッシュな楽曲となっているなど、ギターロック色の強い作品となっていました。
もっとも全体的にはヘヴィーなベースラインとドラムスという重低音を強調した作風になっており、どす黒い雰囲気とファンキーな要素も兼ね備えており、そういう意味ではSAULTらしさはもちろん健在の作風にも仕上がっています。ソウルやファンクだけではなく、SAULTのロックという側面を強く感じることの出来るアルバムでした。
評価:★★★★★
Title:UNTITLED(God)
Musician:SAULT
そして、全5枚の中で全21曲、73分にも及ぶボリューム感たっぷりだったのがこちらのアルバム。SAULTではおなじみの「無題」というタイトルを含めて、最もSAULTらしさを感じさせる、ある意味「王道」とも言える作品になっており、今回同時リリースされた5枚のアルバムの「顔」的存在と言えるかもしれません。
伸びやかなストリングスを聴かせるオープニング的な「I Am Free」からスタートし、続く「God Is Love」はいきなりファンキーなベースラインとギターサウンドが響いてくる、実にSAULTらしい作品になっています。
その後はソウルを基調としつつバラエティーに富んだ展開が楽しめます。続く「Love Will Free Your Mind」はメロウな歌を聴かせるソウルナンバーに仕上がっていますし、「I Surrender」も同じく女性ボーカルでメロウに聴かせる楽曲に仕上がっています。「Champions」は女性コーラスを主導としつつ、ファンキーなサウンドでグルーヴィーに聴かせる作品になっています。
その後も力強いゴスペル風の「Spirit High」、同じくゴスペル風のボーカルに疾走感ファンキーなリズムでグイグイと押し込んでくるような「Love Is All I Know」、ジャジーに聴かせる「Safe Within Your Hands」、ソウルなサウンドに途中、ラップも加わる「Free」など、基本的にグルーヴィーなサウンドが流れている中、様々な作風の曲が並んでおり、ボリューム感ある内容ながらも最後まで飽きさせることがありません。「My Light」ではラテン調のリズムまで流れてくるメロウな楽曲になっており、あらためてSAULTの音楽性の幅広さを感じさせます。SAULTの魅力のつまったアルバムでした。
評価:★★★★★
そんなわけで全5枚。すべてあわせると3時間30分以上に及ぶボリュームのある内容を一気にリリースしたSAULT。そもそも彼らの最初のリリースとなった2019年の「5」から、わずか3年に6枚のアルバムをリリースしており、この5枚を含めると、実に11枚のアルバムをリリースしたことになります。そのあまりのハイペースぶりに驚かされます。
ただ一方、それだけのハイペースゆえに、個人的には若干、傑作続きだった以前の作品に比べると、若干、失速気味のようにも感じてしまいます。もちろん、今回の5枚のアルバムはいずれも傑作と称するには十分すぎる出来栄えだったとは思いますが、年間ベストクラスの傑作が続いていた以前のアルバムと比べると、残念ながらその水準には至っていなかったようにも思います。これだけハイペースではなくてもいいから、もうちょっと曲を絞った方がよいのでは?とも感じる部分は否定できませんでした。
個人的にはこの5枚のアルバムでおなか一杯になったので、次はもうちょっとスロウペースでしっかりと曲を絞った作品でOKですよ??とも思ってしまうのですが、でもこれだけワーカホリックなSAULTなだけに、次のアルバムも近いうちにリリースされるんだそうなぁ。まあ、それはそれで楽しみなんですけどね。そのリリース形態を含めて、目の離せないグループです。
SAULT 過去の作品
Untilted(Black is)
Untitled(Rise)
NINE
AIR
最近のコメント