約6年ぶり!
Title:30
Musician:Adele
2011年にリリースしたアルバム「21」が全米だけで1千万枚を突破。2015年にリリースした「25」も全米売上930万枚に到達。さらにグラミー賞では史上初の「主要4部門のうち3部門を2度制覇したミュージシャン」として名実ともにトップクラスの人気を誇るAdele。その大ヒットした前作「25」から約6年。世界中で待望されるニューアルバムがリリースされました。「25」から6年が経過して「30」??と思うのですが、タイトルはこのアルバムを作りはじめた時の年齢だそうです・・・。
まずアルバムを聴いていて感じるのは、Adeleのアルバムは、良くも悪くも「イギリスの歌謡曲」って感じだよな、ということ。基本的にはソウル、R&Bを彼女なりに咀嚼し、ポップ路線として仕上げている曲が並びます。前作もそうでしたが、1枚目2枚目に比べてポップな方向性がより明確な作品になっています。そのため、本格的なソウル系の楽曲を求めるとすればいささか物足りなさを感じるかもしれませんが、ただ、その分、広いリスナー層にアピールできるような作品に仕上がっています。ここらへん、ソウルをそのまま取り入れるというよりも、ポップに解釈して自らの音楽として取り入れているあたり、ソウルの本国アメリカではなく、イギリスという、ちょっと本場から離れた地にいる彼女だったからこそ可能になったように感じます。ちょうど日本の歌謡曲が、洋楽を日本風に希釈してポップにまとめあげたのと同じように。
そして彼女の作品の魅力は、まずなんといっても彼女の歌声。今回のアルバムでも冒頭の「Strangers By Nature」で、ちょっと物憂げな感じを漂わせながらもしんみり聴かせるボーカルがまずは絶品。続く「Easy On Me」もピアノをバックにしんみり歌い上げる彼女のボーカルが素晴らしい作品に仕上がっています。
ただ、若干残念なのは、楽曲やサウンド自体は全体的に決して目新しいものではなく、物足りなさも感じてしまう点。「I Drink Wine」など、力強く歌い上げるピアノバラードナンバーなど魅力的な曲もありつつ、正直なところ中盤に感じては少々ダレてしまう部分も否めまず、中盤までは、どうかなぁ・・・と思いつつ、アルバムを聴き進めていきました。
しかし、そんな印象がグッと変わったのが後半。「Hold On」はピアノで静かにはじまるバラードなのですが、途中から徐々に力強くなり、後半はコーラスなども入ってスケール感あふれる楽曲に。彼女の歌声がしっかり生かされたナンバーで思わず聴き入ってしまいます。「To Be Loved」も同じくソウルフルに歌い上げる彼女のボーカルが魅力的ですし、ラストの「Love Is A Game」もレトロな雰囲気の楽曲が耳を惹きます。いずれも彼女の魅力的な力強いボーカルがしっかりと生かされた作品になっていました。
評価的にはかなり迷い部分もあります。正直なところ、以前の作品の方が良かったように感じますし、アルバムとしての目新しさも感じません。ただ、そういう点を差し引いても、やはり気持ちよく聴けるソウル風のポップアルバムであることは間違いありませんし、Adeleのボーカルも間違いなく魅力的。聴き終わると、やはりいいなぁ、と感じさせるアルバムでした。そういう意味で評価的には迷う部分はありましたが、下の評価で。ただ次回作はもっと力作を聴きたいのですが。
評価:★★★★★
Adele 過去の作品
19
21
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