アルバムレビュー(邦楽)2020年

2020年12月28日 (月)

円熟味の増した傑作アルバム

Title:tokyo -30th Anniversary Edition-
Musician:渡辺美里

「eyes」「Lovin'you」「ribbon」に続く、渡辺美里の全盛期のアルバムをリマスタリングしてリリースした30周年記念アルバムの第4弾は1990年にリリースされた彼女の6枚目となるオリジナルアルバム「tokyo」。当時はチャート1位を記録し、年間ランキングでも4位にランクインしてくる大ヒットアルバムとなりました。ただ一方で、いままで30周年記念盤としてリリースされた3枚に比べると、その立ち位置的には若干地味かな、という印象もあります。正直、私も「tokyo」を聴いたのは何年振りか・・・かなり久しぶりという印象を受けます。

ただ、久しぶりに本作を聴いてみて、「やはり渡辺美里はいいなぁ」という久しぶりにファン心がうずきました(笑)。まず感じたのは、作家陣の脂ののり方が半端ないということ。彼女の黄金期を支えた小室哲哉、岡村靖幸、伊秩弘将らが参加しているのですが、どのミュージシャンも全く外れ曲がありません。小室哲哉の「Power-明日の子供-」は「悲しいね」「ムーンライトダンス」「卒業」と並ぶメランコリック路線の傑作。小室哲哉らしい転調メロにゾクゾクときます。一方、表題曲「tokyo」は、あまりベスト盤などに収録されることもないので、久々に聴きました。アップテンポの、これまたいかにも小室メロディーらしい曲なのですが、非常にカッコいい!まさに隠れた名曲といった感じでしょうか。

さらに素晴らしいのが岡村靖幸の「虹をみたかい」で、まさに岡村ちゃん節炸裂のファンキーでロッキンなこの曲。非常にメロディー展開が複雑で、リズム感と声量がないとなかなか歌いきれない難曲を、渡辺美里がいとも簡単に歌いきっています。個人的には彼女の楽曲のうちベスト3に入るような名曲。そして伊秩弘将の「Boys Kiss Girl」「バースデイ」も文句ない傑作。「バースデイ」は爽やかな曲調から、途中、切ない曲調への変化する展開が聴かせ、切ない歌詞を含めて涙腺がゆるんでしまう名曲だと思います。

そしてこのアルバムで特徴的なのが渡辺美里作曲の曲が5曲もある点(うち1曲は佐橋佳幸との共作)。シングルにもなった「サマータイムブルース」や切ないバラード曲「遅れてきた夏休み」など、ほかの作家陣に勝るとも劣らない傑作が並んでいます。そのままシンガーソングライターとして作曲家としての才能も伸ばすのか・・・残念ながら、正直なところ「作曲家」としては今まで大成することはできませんでした。

前々作「ribbon」は参加メンバーがいずれも全盛期を迎えた作品だったのですが、「tokyo」はさらに作家陣の円熟味が増し、それにつられるように渡辺美里本人も作曲家としての才能を発揮した傑作アルバムになっていました。今、聴いても外れ曲が皆無で、まさに脂ののりまくった時期のアルバムになっています。久しぶりに聴いたのですが、「ribbon」に負けず劣らず、本作も傑作だったなぁ、と感じました。

ただ、「tokyo」本体は文句なしの傑作なのですが、相変わらずちょっと微妙なのが「30th Anniversary Edition」の追加要素。まずCDのボーナストラックが、アルバム未収録のカップリング曲「Love is magic」はいいのですが、あと2曲が「虹をみたかい」と「バースデイ」のライブ音源なのですが、なぜか最新のライブツアーの音源。そりゃあ、今の渡辺美里のボーカルで、というのも悪くないけど、それよりも過去の貴重音源の方が・・・。初回盤についてくるDVDも過去にリリースされた「born V」に特典映像を付けた程度。70分超えのボリュームという点では悪くないのですが、これも過去にリリース済の映像でありレア度は低め。なんか、本作に限らず、他の30th Anniversary Editionや今年リリースされたベスト盤も含め、なんで渡辺美里のCD特典って、どれも「今一つ」なんでしょうか?もうちょっと貴重な映像や音源などがあっても言いと思うのですが・・・そういう音源や映像があまりないのでしょうか??

そんな残念な点もあるのですが、ただ「tokyo」が傑作アルバムである点は間違いありません。久しぶりに渡辺美里にはまってしまいました。ちなみにこの「30th Anniversary Edition」はまだ続くのでしょうか?個人的には、次の「Lucky」は、私がはじめて聴いた渡辺美里のアルバムという意味で思い入れがあるだけに「30th Anniversary Edition」で聴いてみたいのですが。

評価:★★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ
eyes-30th Anniversary Edition-
Lovin'you -30th Anniversary Edition-
ribbon-30th Anniversary Edition-
ID
harvest


ほかに聴いたアルバム

HYSTERIA/鬼束ちひろ

鬼束ちひろの約3年ぶりとなるニューアルバム。前作「シンドローム」も往年の彼女の王道路線を引き継いだようなピアノバラード曲が目立ったのですが、本作も冒頭の「憂鬱な太陽 退屈な月」をはじめとして、メランコリックなボーカルでダイナミックに歌い上げるタイプのバラード曲が目立ちます。ただその結果、前作でも大いなるマンネリ色が目立ったのですが、今回のアルバムは、はっきり言って完全にマンネリ気味。特に過去のヒット曲に比べて、メロディーラインの弱さが目立ってしまって、ほとんど印象に残らず。タイプ的にも似たような曲が並んでいて、正直、ちょっと厳しい内容に・・・。楽曲的にはこういうスタイルがやはり彼女には一番似合っているとは思うのですが・・・。

評価:★★★

鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE
GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013
シンドローム
Tiny Screams
REQUIEM AND SILENCE

Soul to Soul/布袋寅泰

「Soul Sessions」から約14年ぶりとなるコラボレーションアルバム。吉井和哉、コブクロ、氷川きよしといった、様々なジャンルのミュージシャンとコラボ。日本のみならず、アメリカ、イギリス、フランスにイタリア、ブラジル、中国のミュージシャンとコラボし、まさにワールドワイドなコラボとなっています。ただ、その挑戦心は買いたいのですが、正直なところ、このコラボ、いまひとつおもしろくない・・・。フュージョン的なギターサウンドは無難に縮こまっている感じですし、日本のミュージシャンとのコラボは妙にJ-POP的でロック的な要素は皆無。海外とのコラボにしても、どうもお互いに遠慮したような中途半端なコラボに留まってしまっている感が。ちょっと残念に感じる1枚でした。

評価:★★★

布袋寅泰 過去の作品
51 Emotions -the best for the future-
Paradox
GUITARHYTHM VI

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2020年12月27日 (日)

自由度の高い音楽性

Title:KIRINJI 20132020
Musician:KIRINJI

もともと堀込高樹、泰行兄弟によるユニットだったキリンジ。長らくこの2人で活動を続け、人気を得ていた彼らですが、堀込泰行脱退という衝撃のニュースが飛び込んできたのが2013年。そしてまさかのバンド化。いままで2人組ユニットだったKIRINJIがメンバー5人を加えて6人組バンドになる、と知った時はかなり驚きました。それから7年。アルバムもコンスタントにリリースし、バンドとしてすっかり軌道に乗った彼ら。しかし、さらに突如、バンド終了を宣言したのが、いまからちょうど1年くらい前の今年1月。2020年いっぱいでバンドとしてのKIRINJIは終了し、来年からは、堀込高樹を中心とした流動的なメンバーによる変動的な「音楽集団」として活動するとか。まさかの変態を遂げ続けています。

本作はそんなKIRINJIのバンド時代の7年間をまとめたベストアルバム。今回のこのアルバムであらためてKIRINJIのバンドとしての活動を振り返ると、あらためてバンドKIRINJIの音楽性の自由度の高さに、あらためて気が付かされます。新生KIRINJIの第1弾アルバム「11」の1曲目となる、まさにKIRINJIの出発点ともいえる「進水式」からアルバムはスタートするのですが、この曲自体は、堀込高樹がメロウなボーカルで歌い上げる、2人組KIRINJIの音楽性をそのまま引き継いだようなミディアムテンポのシティポップ。これはまず、新生KIRINJIとしてのご挨拶程度といった感じなのでしょう。ただグッと変わるのが2曲目「雲吞ガール」。かなりユーモラスな歌詞も印象的なのですが、何よりも耳を惹くのがエレクトロサウンドの軽快なポップという点。メロディーラインや、妙に角ばったような言葉の使い方は、まさに昔ながらの堀込高樹なのですが、軽快なシンセポップというスタイルは、まさに新生KIRINJIにふさわしい、新しい音楽性といえるでしょう。

その後も「futigive」は、以前のキリンジ風のポップスなのですが、ボーカルを女性にすることで、グッと雰囲気が異なりますし、ホーンセッションも入って賑やかなサウンドでスケール感を増した「真夏のサーガ」などは、まさにバンドならではといった感じでしょうか。「The Great Journey」はRHYMESTERが参加し、HIP HOPチューンに。むしろKIRINJIというよりはRHYMESTER色が強い作品になっていますし、「Mr.BOOGIE MAN」は軽快なガールズポップと、かつてのキリンジのイメージからすると、かなりかけ離れた雰囲気のポップスに仕上がっています。

さらにエレクトロなダンスチューン「AIの逃避行」や鎮座DOPENESSが参加したHIP HOPチューン「Almond Eyes」、さらにはディスコ風のダンスチューン「『あの娘は誰?』とか言わせたい」など、後半は比較的エレクトロサウンドのナンバーが増えてくるのですが、実に自由度の高い音楽をきままに楽しんでいる姿を、バンドKIRINJIからは感じることが出来ます。

ただ、非常に自由度の高い音楽性ゆえに、聴いていくと、あることをひとつ、感じざるを得ません。それは

「これって、バンドじゃなくてもよくない??」

ということ。おそらく、メンバーそれぞれが音楽的アイディアを出し合っているからこそ、これだけバリエーション富んだアルバムに仕上がっているのでしょうし、それがバンドであることの意義といえば意義なのかもしれません。ただ、バンドとして音を出し合って、同じ方向性の一体感のある音を作り上げる、といった意味では、このベスト盤、特にここ最近のエレクトロ路線に関しては「バンドらしさ」ということをあまり感じません。このベスト盤を聴くと、そんなKIRINJIの方向性がよりクリアになっていたように感じます。

そしてだからこそ、堀込高樹は7年というバンドの活動に幕を下ろして、「音楽集団」という形で第3期KIRINJIをスタートさせるのではないでしょうか。おそらく、決まったメンバーのいないこれからのKIRINJIの音楽性は、さらに広がっていくようにも感じますし、おそらくそれが堀込高樹の狙いなのでしょう。今回のベスト盤を聴くと、堀込高樹の今、目指している方向性の意味が、強くわかるような気がします。そして、逆にKIRINJIがバンドから堀込高樹を中心とした「音楽集団」に変化することにより、音楽性がどのように発展されるのか、非常に楽しみになってきます。第2期KIRINJIの集大成であると同時に、第3期KIRINJIを占う、そして新たな挑戦が楽しみになってくる、そんなベスト盤でした。

評価:★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ
11
EXTRA11
ネオ
愛をあるだけ、すべて
Melancholy Mellow-甘い憂鬱-19982002
Melancholy Mellow II -甘い憂鬱- 20032013
cherish

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2020年12月26日 (土)

いつもの彼女とは異なるサウンド

Title:アダンの風
Musician:青葉市子

シンガーソングライター青葉市子の7枚目となるニューアルバムは、いつもの彼女のアルバムとは少々異なるコンセプチュアルなアルバム。まず、いつもの淡い色、一色で塗りつぶされただけのジャケットとは異なり、全裸の女性が泳いでいるジャケット写真にまずは驚かされるのですが、今回のアルバムは、架空の映画のサウンドトラックというコンセプトで作成された作品。彼女が1月に長期滞在した沖縄の島々で着想された作品になっているそうで、今回は作編曲に、梅林太郎が共同制作者として参加しています。

そんなこともあって、今回のアルバム、いつもの青葉市子の楽曲とは、特にサウンドの面で大きく異なります。いままでの彼女のアルバムは、基本的にシンプルなアコースティックギターの演奏のみで彼女の歌を静かに聴かせるスタイルなのですが、今回はイントロ的な1曲目「Prologue」から、まずはストリングスの音色を分厚く展開させ、バックには海の音を入れ、非常に幻想的な作風に。いかにも映画のサントラらしい、ちょっと重々しい雰囲気からアルバムはスタートします。続く「Pilgrimage」も、室内楽的な編成のサウンドを聴かせる楽曲に。いつもの彼女の曲とは異なる分厚いサウンドが耳を惹きます。

さらに「Porcelain」はストリングスや笛の音色を入れたさわやかなサウンドをバックに、青葉市子が静かに歌い上げる楽曲。基本的にはアコースティックな楽器ばかりなのですが、ただいままでの彼女の作品ではあまり見られなかった鮮やかさのある曲に仕上がっています。「Hagupit」もストリングスの音色をゆっくりメランコリックに聴かせる作品。のびやかなストリングスの悲しげな音色が印象に残る楽曲になっていますし、「Dawn in the Adan」も軽快なアコギの音色をバックにストリングスの音色が彩りを添えています。

また、中盤には「Parfum d'etoiles」のような、ピアノの音色に鳥の声など自然の音をサンプリングさせたインストチューンや「霧鳴島」のようなハミングのみを美しく幻想的に聴かせる曲も登場。いずれもある意味、映画のサントラをイメージしているアルバムらしい劇伴曲らしい雰囲気の曲といえるのですが、サウンド的にはバリエーションを感じさせる曲になっています。特に前半はほぼアカペラの「帆衣」などを含めて、バリエーション豊かな作風の曲が展開している構成になっており、いつもの青葉市子のアルバムとは大きく異なるイメージを受ける展開になっています。

もちろん一方では、いままでの彼女の曲と同様に、静かなアコースティックギターの音色のみで美しい彼女の歌声を聴かせるような楽曲も少なくありません。「Sagu Palm's Song」「血の風」など、いつも通りアコギ1本で聴かせる楽曲も並んでおり、ここらへんはいつもの彼女らしい楽曲ということを感じさせる曲になっているのではないでしょうか。

そんな訳で、室内楽的なサウンドを多く取り入れ、いつもの青葉市子のアルバムとは雰囲気の異なるサウンド構成となった今回のアルバム。とはいえ、様々なサウンドを取り入れたとはいえ、基本的にはアコースティックなサウンドには変わりありませんし、また、彼女の静かなウィスパー気味の歌声を中心に構成された楽曲という点ではいままでと変わらず。「架空の映画のサントラ」というコンセプトなのか、いつもよりは幻想的な作風になっているのですが、そこらへんを差し引いても、彼女のいままでのアルバムを気に入っていたファンが今回のアルバムで抵抗感を覚えるか、と言われると、彼女のイメージをガラリと変えてしまうほどの大きな変化ではありませんでした。そういう意味では、いい意味で青葉市子のミュージシャン性を広げる結果となったアルバムともいえるのではないでしょうか。彼女の新しい魅力も感じさせる1枚でした。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)
0
マホロボシヤ
qp
"gift" at Sogetsu Hall


ほかに聴いたアルバム

Applause/ストレイテナー

約2年7か月ぶりとなるストレイテナーのニューアルバム。もともとバンドサウンドを全面に押し出しつつ、メロディーラインのポップスさも光っていた彼らですが、今回のアルバムは、よりポップなストレイテナーという側面を前面に押し出したアルバムに。全体的にもいつものアルバム以上に爽やかさが増した印象を受けるアルバムで、素直にポップスアルバムとして聴いていて心地よさを感じました。相変わらず楽曲の出来不出来が曲によって差があり、そういう意味で傑作アルバムというには惜しいアルバムではあるのですが・・・ここ最近のアルバムの中では一番の出来だった作品でした。

評価:★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene
Behind The Tokyo
COLD DISC
Future Soundtrack
BEST of U -side DAY-
BEST of U -side NIGHT-
Black Map

深海の街/松任谷由実

ユーミンの約4年ぶりとなるニューアルバム。哀愁感の強いメロディーの曲が多く、全体的に「和風」な雰囲気を強く感じました。楽曲的にはいつものユーミンといった感じの作品で、「大いなるマンネリ」気味なのは否定できず。ただ、ところどころにフレーズにしろ歌詞にしろ「おっ!」と耳を惹きつけられる瞬間がある点は、さすがの実力を感じさせます。もっとも今回のアルバムで大きく気になったのはボーカル。もともと決して上手いボーカリストではありませんが、今回は特に声が出ておらず、正直なところ、寄る年波を感じてしまいました。ここはちょっと辛いなぁ。今後、このボーカルの衰えをどのようにしていくのかが、かなり気になってしまったアルバムでした。

評価:★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show
日本の恋と、ユーミンと。
POP CLASSICO
宇宙図書館
ユーミンからの、恋のうた。

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2020年12月25日 (金)

Gotchの才が発揮されたソロ3枚目

Title:Lives By The Sea
Musician:Gotch

ASIAN KANG-FU GENERATIONのギターボーカルであり、メインライターである後藤正文が、Gotch名義でリリースしたソロアルバム。ソロアルバムとしては約4年半ぶりとなる3枚目のアルバムとなります。ただ、3作目となるのですが、何気に私が彼のソロアルバムを聴くのは今回がはじめて。なんとなく、アジカンのパワーポップ路線とは異なる、「音楽的偏差値」の高いアルバムになっているのかなぁ、という漠然の予想があったのですが、まさに彼のソロアルバムは、そんな私の予想がドンピシャでマッチするようなアルバムになっていました。

まず全体的な影響を強く感じるのがHIP HOP。1曲目「The End Of The Day」はラッパーの唾奇がフューチャーされているのですが、Gotchのボーカルもどこかラップ的。「The Age」もラップが取り入れられていますし、トラックもどこかHIP HOP的。Achicoとmabnuaが参加した「Stay Inside」も、楽曲自体はメロウなGotchの歌が乗ったポップなのですが、シンプルながらもビート感の強いトラックにはHIP HOPの影響を感じさせます。

また、ソウルの要素を感じる楽曲も多く、ここらへんもアジカンの方向性とは異なるGotchの趣味性を感じさせます。「Nothing But Love」などもまさにそんなエレピを使ったメロウでフィーリーなトラックが印象的。コーラスからはゴスペルの要素も感じます。「White Boxes」もメロウなエレピでしんみり聴かせるソウルバラードに仕上がっています。

ほかにもギターサウンドでファンキーなリズムを刻む、爽快な「Eddie」も彼の幅広い音楽性を感じさせますし、また「Endless Summer」は、アジカンにも通じるような爽快なギターポップになっており、ここらへんはGotchのロックに対する愛情もしっかりと感じることが出来ます。

さらには、アジカンの曲でも覗かさせていた、彼の社会派な側面を感じさせる曲もあり、それが、「The Age」。

「『ポリティクスには興味はねえ』って
いい歳こいて そんなことまだ言ってんの?」
(「The Age」より 作詞 Masafumi Gotoh・BASI)

というのは、彼なりのかなり強烈な社会に対するメッセージに感じさせます。

そんな彼の音楽に対する素養や「音楽的偏差値の高さ」を感じさせつつ、また社会に対するメッセージを織り込ませつつ、ただ、一方ではアルバム全体としてはポップでメロディアスなアルバムになっており、アジカンでも感じる彼のメロディーメイカーとしての才をしっかりと感じさせるアルバムになっています。アルバムの最後を飾るタイトルチューン「Lives By The Sea」も温かさを感じる曲調と前向きなメッセージが魅力的な楽曲となっており、アルバムを聴き終わった後に、とても気持ち良い気分の後味を感じさせる構成になっていました。

アジカンの曲調とは少々異なるため、アジカンファン全員が即、気にいるアルバム・・・ではないかもしれませんが、おそらく何度か聴けば間違いなく好きになれる魅力的なアルバムだと思います。逆に、普段アジカンのようなロックを聴かないようなリスナー層も楽しめるアルバムかも。Gotchの才がしっかりと発揮された、ある意味、ソロアルバムらしいソロアルバムでした。

評価:★★★★★

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2020年12月22日 (火)

今の時代を描いたミニアルバム

Title:2020
Musician:THA BLUE HERB

ここ最近、コロナ禍に大きな影響を受けたアルバムの紹介が続いてきました。今回紹介するアルバムも、タイトルからもわかるように、コロナ禍に襲われた、この2020年をストレートにテーマとしたミニアルバム。まずジャケット写真から象徴的。路上に落ちているゴミの中に、マスクが落ちているというところ、今年という年を象徴している写真となっています。「2020」というタイトルのアルバムも今年数多くリリースされていますが、本作もそんな1作に名前を連ねる作品。ただ、THA BLUE HERBが刻む2020年をテーマにしたHIP HOPである以上、このコロナ禍の現状に対して、非常に力強いメッセージを与えているアルバムになっています。

全5曲入りのミニアルバムですが、まず前半はさほどストレートに今年を描いたような作品とはなっていません。1曲目の「IF」は前向きなメッセージソングですが、特にコロナとは直接関係ないリリック。ただ、前に進もうとしている人に対するメッセージソングとなっており、コロナ禍の中で不安を感じる人たちへの強いメッセージを感じさせます。また、続く「STRONGER THAN PRIDE」では、まず最初にサンプリングされている、おそらくライブのMCが印象的。「静かにたたずんでいる人もちゃんと見ているから」というMCのメッセージは、おそらくコロナでこんな状態になる前のライブで発せられたMCだとは思うのですが、例えライブを実施しても、大きな声を出すことが出来ない、今の状況に力強く響いてくるメッセージになっています。

3曲目「PRISONER」もコロナ禍に直結する歌詞ではありません。何かの罪を犯して収監される友人に対するメッセージを歌った曲。薬物犯罪か何かでしょうか?その罪の詳しい内容はわかりません。こちらもコロナ禍に直結するような曲ではないのですが、ただ、罪を犯した有名人に対するバッシングが激しさを増しているような現在の状況に対するアンチとしてのメッセージ性を感じさせる曲になっています。

そして、後半の2曲、まさにこのコロナ禍の中でのメッセージソングとなっており、強い印象を受ける曲となっています。まずはタイトルそのまま「2020」。トランプ大統領や東京オリンピックまで登場し、現在の社会情勢を描いたこの曲。そこに登場し、静かに語られる出来事は、2020年という今年を振り返ると、複雑な思いでとして心によみがえってくるのではないでしょうか。不安な思いも渦巻くようなリリックなのですが、「ここが峠」「反転攻勢」と、そんな中でも前に向かおうとするメッセージが強く心に響いてきます。

さらに印象的なのが最後を締めくくる「バラッドを俺等に」でしょう。ミディアムテンポのメロウなトラックにのせて綴られるリリックは、人と会うことがはばかられる今だからこそ、逆に人との出会いを描いた内容。こちらも前向きなメッセージが印象に残る作品で、聴き終わった後、BOSSの力強いメッセージを聴いたという充実感を覚えるような作品になっていました。

もともとメッセージ性が強い彼らの作品ですが、今回のアルバムに関しては、そのメッセージがより強くなった作品だったように感じます。逆に、メッセージ性が強く、かつ2020年の今年にリリースすることを主眼としたアルバムだったため、トラックに関しての印象は控えめ。もちろん、O.N.Oの作るトラックは、比較的シンプルで、BOSSのラップをしっかりと下支えしています。ただ、メッセージをいつも以上に強く伝えるため、あくまでも脇役に準じているような印象も受けました。

まさにTHA BLUE HERBらしい力強いメッセージ性を感じる、2020年という特殊な1年だからこそ生みえたアルバム。年末が迫る中、来年は1日も早く、このコロナの状況が終わり、以前の日常が戻ることを強く祈らずにいられないのですが・・・。間違いなく傑作アルバムなのですが、ただ、このようなアルバムはこれが最後であることを強く祈りたいです。

評価:★★★★★

THA BLUE HERB 過去の作品
TOTAL
THA BLUE HERB

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2020年12月21日 (月)

10曲10ジャンルのノン・フェイドアウト・アルバム

Title:23歳
Musician:KAN

KANちゃんの待望のニューアルバムがリリースされました!約4年9ヶ月ぶりのニューアルバム。タイトルは「23歳」。現在、58歳のKAN。デビュー23周年・・・という訳ではなく、彼が大学5年生だった23歳の思い出を今と結び付けた表題曲「23歳」が収録されていますが、それだけ思いのある年齢ということのようです。ちなみに「23」という数字が彼が大好きな素数であることは言うまでもありません。

今回のアルバムのコンセプトは「10曲10ジャンルのノン・フェイドアウト・アルバム」。「ノン・フェイドアウト」というのは偶然そうなっただけらしいのですが、曲の終わりを安易にフェイドアウトにすることなく、曲の終わりをしっかり作る点、KANのポップス職人としてのこだわりを感じます。そして、それ以上に大きな特徴なのが「10曲10ジャンル」という点。もともと、ポップス職人の彼は、いろいろなミュージシャンの曲調を真似て曲をつくったり、様々な曲のジャンルに挑戦していたりします。今回のアルバムはその上で、1曲1曲が音楽性が違うという、まさに彼の実力がフルに発揮されたアルバムになっています。

とにかくマージ―ビート調の「る~る~る~」からスタートし、シティポップ風の表題曲「23歳」、シンプルなポップチューン「ふたり」に、TRICERATOPSがバンドとして全面的に参加したハードロックチューン「君のマスクをはずしたい」、ピアノとストリングスでスケール感あるバラードナンバーとなっている「キセキ」(途中のギターソロに秦基博が参加!)に、またまた登場した中田ヤスタカ風エレクトロポップ「メモトキレナガール」と、1曲たりとも同じジャンルの曲はありません。

後半の「コタツ」は2019年に急逝したシンガーソングライターヨースケ@HOMEとの共演曲。以前、彼と組んでいたバンドCabrellsの曲として用意していた曲だそうで、このたび、初音源化。ヨースケ@HOMEとの共演曲ということで、ちょっとKANの曲とは異なる感じのあるカントリー風のナンバーになっています。その後も「ほっぺたにオリオン」はジャジーなベースラインにドゥーワップの要素を入れた楽曲。そして先行シングルになった「ポップミュージック」はアップテンポで懐かしさを感じさせるディスコチューン。アイドルグループJuice=Juiceが直後にカバーし、こちらはヒットを記録しているのですが、やはりちょっとメタ視点が入りつつ、ディスコチューン全盛期の80年代を懐かしがる歌詞はKANが歌った方がやはりピッタリとマッチしているなぁ。そしてラストは彼の王道とも言えるピアノバラード「エキストラ」で締めくくられます。

そんな訳で、まさに10曲10ジャンルというコンセプトがピッタリな、タイプが見事バラバラな10曲が並ぶアルバム。ただ、それにも関わらず、全体的にバラバラという印象が全くないのは、どの曲もKANらしさがあふれているからなのでしょう。まさにポップス職人KANの魅力が満載のアルバムになっています。

ただ一方、それだけサウンド面で凝ったアルバムだったためか、一方、歌詞については彼のアルバムとしては若干印象が薄かったようにも感じてしまいました。もちろん、タイトル通り、昔を思い起こす表題曲の「23歳」や前述の通り、メタ視点も入ってユニークな「ポップミュージック」、さらには、いかにもこのコロナの状況を反映した「君のマスクをはずしたい」など、ユニークな曲は今回も目立ちます。特に、先日も紹介した熊木杏里しかり、チャラン・ポ・ランタンしかり、コロナの状況を描いた歌詞の曲が目立つ中、ある意味、ユニークに身も蓋もない男性の女性に対する感情をストレートにうたった「君のマスクをはずしたい」はまさにKANらしい歌詞だと言えるでしょう。

またラストの「エキストラ」はしんみり聴かせるラブバラードですが、歌詞が女性視点というのが新鮮。KANの楽曲では女性視点の曲ははじめてだそうですが、そういう意味では彼の挑戦を感じる曲になっています。そんな感じで歌詞についても、もちろん魅力的な曲が並んでいるのですが、ただそれでも、いままで彼の書いてきた魅力的な歌詞の数々の中には埋もれてしまうかな、といった印象を受けてしまいました。

もっとも、アルバム全体としては今回の作品も申し分ない傑作アルバム。ちなみにDVDには今回もレコーディング風景を映しているのですが、今回もまた、ただ漫然とレコーディング風景を映している訳ではなく、しっかり彼の拘ったポイントを編集して、曲の聴きどころを収録したDVDになっています。TRAICERATOPS和田唱のロックおたくぶりを感じる映像もあったりして(笑)なにげにトライセラファンも要チェックかも。

評価:★★★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば
la RINASCENTE
la RiSCOPERTA


ほかに聴いたアルバム

Q.E.D/BLUE ENCOUNT

これが4枚目となる4人組ロックバンドの新作。基本的にはアップテンポなバンドサウンドで押しまくる、いかにも今風なフェス仕様のロックバンドといった感じ。メロディーラインはメランコリックに聴かせる曲も多く、ここらへんは耳を惹くところでしょうか。ただ、ポップなメロは平凡なJ-POPといった印象も強く、もうちょっとインパクトある個性が欲しい感じか。ただ、ラストの「喝采」は力強い歌詞とメロディーラインで強い印象に残る曲にはなかっていたのですが。

評価:★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

THE END
VECTOR
SICK(S)

PORTAS/中田裕二

このコロナ禍の自粛期間を利用してか、前作からわずか半年というインターバルでリリースされた中田裕二のニューアルバム。ただ、作品的には歌謡曲の要素も入った哀愁感たっぷりのメロディーを聴かせるミディアムテンポのムーディーなナンバーの連続で、良くも悪くもいつもの彼らしい楽曲ばかり。まあ、正直なところ「大いなるマンネリ」といった感じで、目新しさはありません。その一方で、安心して聴けるアルバムではありますが。

評価:★★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW
LIBERTY
thickness
NOBODY KNOWS
Sanctuary
DOUBLE STANDARD

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2020年12月20日 (日)

コロナ禍を強く反映されたアルバム

Title:なにが心にあればいい?
Musician:熊木杏里

シンガーソングライター、熊木杏里の12枚目となるフルアルバム。新型コロナの蔓延が続いており、特にここ最近は第3波として再び感染者数が増加する傾向にあります。そんな中、コロナ禍の最中に楽曲制作を行ったアルバムのリリースが増えてきており、例えば「2020」というそのものズバリなタイトルのアルバムも少なくありませんし、先日紹介したチャラン・ポ・ランタンの「こもりうた」のような、コロナ禍をストレートに反映させたアルバムも出てきています。

今回の熊木杏里のニューアルバムも、コロナ禍での自粛期間に作成されたアルバム。そして、今回のアルバムは強くその影響が反映されたアルバムになっていました。まず顕著だったのが、その歌詞の内容。新型コロナの中での不安な状況の中で、それでも明日への希望を感じさせるような曲が目立ちます。「『また明日』を信じて/笑顔でいたいから」と歌う「幸せの塗り方」もそうですし、

「ことあるごとに
私たちは強くなるのでしょう
先が見えなくて
優しさを少し失いかけた あの日も」
(「ことあるごとに」より 作詞 熊木杏里)

と歌う「ことあるごとに」の歌詞も現在の状況を彷彿とさせます。また、「光のループ」

「行こう 初めての明日になる
そのための悲しみだ」
(「光のループ」より 作詞 熊木杏里)

という歌詞にも強いメッセージ性を感じます。また、ほかにもふるさとの両親を思って書かれた「ノスタルジア」も非常に歌詞が染み入る楽曲なのですが、コロナ禍だからこそ、会えない親を思って書かれたと言えるでしょうし、また「青葉吹く」も高校時代の友人とのリモート飲み会をきっかけに誕生した曲だそうで、そういう点でも、今だからこそ生まれた曲になっています。

さらに今回のアルバムの楽曲は、この状況だからこそ、あえてライブを意識した作品になったそうです。どちらかというとアコースティックベースの楽曲がメインの聴かせるタイプのSSWの彼女がライブを意識して、というのもちょっと意外な感もあります。ただ、バンドのメンバーですら直接会うことがはばかられ、リモートの状況で、むしろアコースティックや宅録的な楽曲が増えがちな中、あえてライブを意識した作品を作るというあたり、彼女のミュージシャンとしての矜持やこだわりのようなものを感じます。

まあ、だからといって急に音が分厚くなったり、だとか、ロックな作品が出てきたり、という訳ではなく、基本的にアコースティックベースでのサウンドという点は変わりありません。ただ、前々作「群青の日々」や前作「人と時」は比較的アコースティック寄りの作品だったのに対して、本作では「ことあるごとに」ではバンドサウンドを取り入れたり、「一輪」ではストリングスを入れてきたりと、ライブをより意識したようなサウンドになっていました。

比較的、素朴なスタイルのSSWといった印象もある彼女ですが、あえてコロナの状況を意識してメッセージを込めた楽曲を作り上げるあたり、意外に骨太な側面を感じさせるアルバムでした。まあ、以前から、意外と社会派な歌詞も登場したりと、骨太な側面は感じられたのですが。もっともメロディーラインやサウンドはいつもながらの彼女といった感じで、安定感もあり、安心して聴ける作品ではあると思います。ただ個人的には、いつもの彼女のアルバムの中では、より聴き応えがあり、楽曲のインパクトもあったように感じました。個人的にはもっと注目されるべきSSWだと思うのですが・・・コロナ禍だからこそ生まれた良作でした。

評価:★★★★★

熊木杏里 過去の作品
ひとヒナタ
はなよりほかに
風と凪
and...life
光の通り道

飾りのない明日
群青の日々
殺風景~15th Anniversary Edition~
人と時
熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇" ~An's Choice~


ほかに聴いたアルバム

BRAND NEW CARAVAN/T字路s

男女ブルースデゥオによる3枚目のオリジナルアルバム。とにかく伊東妙子のパワフルなボーカルが強く印象に残るグループで、彼女のしゃがれ声に、これでもかというほどの声量のあるボーカルがド迫力。音楽的には「ブルースデゥオ」という呼び名のグループながらも、ムーディーな昭和歌謡曲的な要素が強く、そこにガレージロックやカントリー、フォークの要素を取り込んで、哀愁感たっぷりの音楽性を醸し出しています。私がこれを聴くのはこれが2枚目。その伊東妙子のボーカルは文句なしに迫力満載、なのですが、前作も感じたのですが、メロディーや歌詞のインパクトがボーカルに追い付いていない感じも。そういう意味で惜しさは感じつつ、ボーカル含めてバンドとしての個性は十分すぎるほど感じるため、これからの活躍にも注目したいグループです。

評価:★★★★

T字路s 過去の作品
PIT VIPER BLUES

In the Fairlife/浜田省吾

ハマショーの新作は、もともと、浜田省吾と彼の長年のパートナーであるアレンジャーの水谷公生、そして水谷公生夫人であり、小川糸名義で小説家としても活動している春嵐の3人によるユニット、Fairlife名義で発表された楽曲を、浜田省吾の歌唱によりカバーした8曲入りのミニアルバム。そのため、全体的にはミディアムテンポで聴かせるポップソングがメインで、いかにもハマショーといった感じの曲はあまりありません。それ以上に普段のハマショーと異なるのが歌詞の世界で、明らかに普段の彼の書く歌詞とは異なる、やわらかさの感じる、女性的な歌詞の世界は若干異質。正直言うと、ハマショーのボーカルとマッチしていないような印象もあり、違和感もありました。決して悪いアルバムではありませんが、浜田省吾を聴きたい!と思って聴くと、肩透かしにくらうかも。

評価:★★★

浜田省吾 過去の作品
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend
Dream Catcher
Journey of a Songwriter~旅するソングライター
The Moonlight Cats Radio Show Vol.1(Shogo Hamada&The J.S.Inspirations)
The Moonlight Cats Radio Show Vol.2(Shogo Hamada&The J.S.Inspirations)

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2020年12月19日 (土)

サニーデイの「挑戦」的な側面

Title:もっといいね!
Musician:サニーデイ・サービス

新メンバー大工原幹雄が加入後、再び3人組バンドとなったサニーデイ・サービス。今年3月には、新生サニーデイとしての第1弾アルバム「いいね!」がリリースされました。それから約8か月、新進気鋭のミュージシャンたちが参加したリミックスアルバムが完成しました。tofubeatsや田島ハルコ、Young-G、岸田繁といった様々なミュージシャンたちが、「いいね!」+シングル曲「雨が降りそう」を、それぞれの解釈によりカバーしています。

そんな直近のオリジナルアルバム「いいね!」は、新生サニーデイの第1歩にふさわしく、いわば初期サニーデイに回帰したようなシンプルなポップアルバムに仕上がっていました。一方、ここ最近のサニーデイの流れとしては、特に前々作「the CITY」が顕著だったように、曽我部恵一の様々な音楽的な挑戦を感じらさせる刺激的なアルバムが多くリリースされました。そんな中リリースされた今回の「いいね!」のリミックス盤。その前々作「the CITY」もその後にリミックスアルバム「the SEA」がリリースされていたので、それと同じ流れといっていいかもしれません。また、「いいね!」ではちょっと果たせなかった音楽的な挑戦を、今回のリミックスアルバムで果たした、といえるのかもしれません。

そんな今回のリミックスアルバム、様々なミュージシャンたちがそれぞれの個性を発揮しているため、非常にバラエティーに富んだ作風に仕上がっています。ノイジーなサウンドと強いビートのエレクトロチューン「春の風」のHiro"BINGO"Watanabe Remixからスタート。田島ハルコのリミックスによるトランシーな「コンビニのコーヒー」、tofubeatsらしい洒落たエレクトロリミックス「エントリピー・ラブ」など、まずはエレクトロアレンジの楽曲が目立ちます。

そんな雰囲気がガラリと変わるのが「春の風」のどついたるねんRemix。かなりヘヴィーでパンキッシュなバンドサウンドをバックとしたロックアレンジに仕上がっており、序盤のHiro"BINGO"Watanabeのリミックスとの違いも際立ち、同じ曲でありつつ、アレンジによってガラリと雰囲気が変わるあたり、非常にユニークに感じます。さらにこの「春の風」はHi,how are you?によるカバーも収録されているのですが、こちらはアコギ1本でのカバーで、これまたグッと雰囲気が変わります。ここらへんの聴き比べも楽しいところです。

終盤は「センチメンタル」のインダストリアルなリミックスが耳を惹くのですが、今回のアルバムで一番秀逸さを感じたのは「日傘をさして」の曽我部瑚夏によるカバー。清涼感がある魅力的な女性ボーカリストが、アコギ1本で静かに弾き語るカバーになっているのですが、ちょっとかすれたような彼女のボーカルに、原曲の切ないメロディーがピッタリマッチした絶妙なカバーに仕上がっています。ちなみに曽我部瑚夏という女性ボーカリスト、今回はじめてその名前を知ったのですが、別に曽我部恵一と血縁はないみたいです・・・最初、娘かと思った(って、そんな年の娘がいるのか知りませんが)。

そしてラストは「雨が降りそう」の岸田繁によるリミックス。様々な音をサンプリングしつつ、実験的なエレクトロサウンドになっており、これはこれで岸田繁がくるりや自身のソロではなかなか演れないスタイルでのリミックスに挑戦していました。

エレクトロサウンドを主軸にしつつも全体的な音楽性はバラバラ。ただ、様々なミュージシャンによるサニーデイの曲の様々な解釈が非常に楽しいアルバムでした。今後は、こういう形でオリジナルと、その後のリミックスというスタイルが続いていくのでしょうか。ちなみに12月25日には曽我部恵一のニューアルバムのリリースも予定しているとか。そちらも楽しみです!

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)
the CITY
DANCE TO THE POPCORN CITY
the SEA
サニーデイ・サービスBEST 1995-2018
いいね!


ほかに聴いたアルバム

NEW!/the telephones

2015年に活動を休止したthe telephonesが、このたび活動を再開。そして約5年ぶりにリリースされたニューアルバムが本作です。「NEW!」というタイトルからして、新生the telephonesというイメージなのでしょうか。ただ、楽曲的には以前と変わらず、シンセのサウンドにバンドサウンドが加わり、パンキッシュな楽曲を陽気に聴かせるというスタイルは変わらず。一本調子的な部分もあるのですが、楽曲によってはメランコリックなメロディーラインを聴かせ、メロディーセンスの良さも感じる部分も。復活した彼らが、今後どのような活動を見せてくれるのか、楽しみです。

評価:★★★★

the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.

We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.
Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!
SUPER HIGH TENSION!!!
BEST HIT the telephones
Bye Bye Hello

Chameleon/End of the World

2013年により世界展開に向けて活動をはじめたSEKAI NO OWARI。今回紹介するEnd of the World(=世界の終わり)は、そのミュージシャン名通り、セカオワの世界展開の際に名乗っているバンド名。このたびようやくEnd of the World名義でのデビューアルバムがリリースされました。ただ、楽曲的にはセカオワの曲というよりは、完全な世界展開仕様。その結果、欧米のSSW系ポップスでよくありがちな、R&B的な要素も入った今どきのポップスになっており、セカオワ的な個性は皆無。ポップスとしての出来はメロディーにしろサウンドにしろ決して悪くなく、というよりもむしろよく出来ているくらいなのですが、ただ、こういうポップスを聴くんなら、エド・シーランやBruno Marsで十分だよなぁ、と思ってしまうようなありふれたポップスになっていました。これで無理に世界進出する必要性ある?

評価:★★★

SEKAI NO OWARI 過去の作品
EARTH
ENTERTAINMENT
Tree
Lip
Eye

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2020年12月17日 (木)

コロナ禍という時代を反映

Title:こもりうた
Musician:チャラン・ポ・ランタン

チャラン:ポ・ランタンの新作は全8曲入りの新曲に、ボーナストラック2曲を加えたミニアルバム。まずは、このジャケット写真にドキリとさせられる人も多いのではないでしょうか。マスクにフェイスシールドをつけたそのスタイルは、コロナ禍の今という時代を象徴させるスタイル。今の時代、おなじみともいえるスタイルなのですが、ここまでストレートに、コロナ禍の象徴ともいえるマスク姿とフェイスシールドを前に出したジャケットもはじめてかもしれません。

そんな今回の作品は、コロナ禍での自粛期間中に「8週連続宅録配信シングル」としてリリースされた楽曲を収録された曲。まさにコロナ禍という状況により、自粛を余儀なくされた中で制作された作品なだけに、非常にこのコロナ禍の時代を反映された曲になっています。1曲目の「空が晴れたら」などはまさにその象徴。

「空が晴れたらどこに行こうかな
あのお店はその時やってるかな」

「しばらく会うのは
やめておくよ
誰かの苦しむ
顔を見たくないよ」
(「空が晴れたら」より 作詞 小春)

この曲がリリースされたのは5月27日という、非常事態宣言解除直後の時期。おそらく曲が作成されたのが非常事態宣言の最中だったのでしょう。アコーディオン1本のみというシンプルなアレンジも宅録ならではといった感じなのですが、非常に悲しいメロディーラインも、非常事態宣言下の空気を彷彿とさせます。そしてこの歌詞。まさにコロナ禍という時代を反映させた楽曲となっています。

その後も

「独りの部屋から抜け出して
あなたに逢える日がくるの」
(「透明な恋」より 作詞 小春)

と非常事態宣言明けを状況を彷彿とさせる「透明な恋」や、こちらも7月9日リリースですので、徐々に様々な活動が再開される中での状況が彷彿とさせられる「新宿で映画を観る」など、おそらく何年か先にこのアルバムを聴いたら、「ああ、こういう時代だったな」ということを強く感じさせられるような曲が並んでいます。

ただ一方、コロナ禍という憂鬱な状況を反映してか、楽曲の雰囲気といては比較的暗く、悲しげな曲が多く、そういう意味ではちょっと憂鬱な雰囲気を感じてしまうアルバムに。「おとなの螺旋階段マーチ」などは比較的アップテンポでコミカルなのですが、こういったチャラン・ポ・ランタンらしいコミカルさを感じる曲は少なめ。アレンジ的にも宅録ということもありシンプルで、なおかつ比較的チープな作品が多く、そういう歌詞のみならずメロディーやサウンドの面も、時代を反映させた曲になっています。

本編ラストの「あの丘の向こう」

「さあ 行こう 知らない世界へ」

「思い出はポケットにあるから
また会えるその日まで
私は泣かない」
(「あの丘の向こう」より 作詞 小春)

と、前向きな歌詞でありつつ、どこかこのコロナの状況が終わっていないことを彷彿とさせるような歌詞で締めくくられています。

正直言うと、時代を反映しすぎている部分もあり、いつものチャラン・ポ・ランタンの作品のように、何も考えずに楽曲を楽しむ・・・というにはちょっと重い面もあるアルバムだったようにも感じます。ただ、シンプルなサウンドで今の時代をストレートに反映した作品を作ってくるあたりは、彼女たちらしいとも言えるのかもしれません。前述のとおり、何年かしたら、「こんな時代もあったね」と懐かしく感じて聴いてしまいそうな作品。まあ、1日も早く、このアルバムを聴きながら「コロナの頃は大変だったね」と笑い飛ばせるような日が来ることを切に願っているのですが・・・。

評価:★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ
ミラージュ・コラージュ
過去レクション
ドロン・ド・ロンド
いい過去どり

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2020年12月15日 (火)

相変わらずの脱力感

Title:25周年ベスト
Musician:栗コーダーカルテット

ヨシタケシンスケのかわいらしいジャケットが目を惹く本作は、リコーダーやピアニカなどの楽器で脱力感あるほんわかしたインスト曲を奏でるグループ、栗コーダーカルテットの結成25周年を記念してリリースされたベスト盤。今回は(通常盤は)2枚組のアルバムとなっており、Disc1が彼らのオリジナル曲、Disc2がカバー曲となっています。

「25周年ベスト」というシンプルなタイトルになっていますが、(下の「過去の作品」を見てもわかるかもしれませんが)彼ら、約5年毎にベスト盤をリリースしており、タイトルも同じ。10年前には「15周年ベスト」、5年前には「20周年ベスト」というタイトルでベスト盤をリリースしています。そういう意味では、ベテランミュージシャンによくありがちな「何作目のベストだよ?」的なアルバムとも言えるかもしれませんが、彼らが非常にユニークなのは、今回のベスト盤、過去の2枚のベスト盤と曲かぶりがほとんどありません。実は、過去の「15周年ベスト」と「20周年ベスト」も収録曲が大きく異なっており、そういう意味では彼らのアルバム、「ベスト」と名の付くアルバムだけ追っていけば、彼らの活動を網羅できる、と言えるのかもしれません。

ベスト盤でありながら曲かぶりがほとんどない・・・というのは、彼らの曲、シングルという形態でのリリースがほとんどなく、「代表曲」と言えるような曲が少ないという理由もあるのでしょう。また、彼らの活動は、栗コーダー名義のアルバムのみならず、サントラ盤やコンピレーションアルバムの参加、メンバーの楽曲提供など様々な形で多岐にわたっているため、そういった曲をピックアップするだけで曲かぶりがなくなる、という理由もあるのでしょう。また、アルバムに収録されている曲に「ハズレ」がなく、どれもベスト盤として収録できるだけのクオリティーを持っている、とも言えるのかもしれません。

実際、Disc1のオリジナル曲は、どの曲も聴いていてほっこりするような暖かさを感じさせるインストナンバーが並んでいます。リコーダーをベースにピアニカやウクレレ、パーカッションなど、アコースティックで素朴な楽器で演奏される彼らの曲は哀愁感もたっぷり。ただ、シンプルな楽器で演奏されつつも、「青空節」のような民謡風の作品やら「サーイ・ナームライ ~その流れはいつも優しい~」のようなちょっとエキゾチックな作品やら「キョロちゃんWALK-突撃!!」のようなマーチ調で賑やかな作品やらバラエティー豊富。幅広い音楽性とその演奏スキルに彼らの実力を感じさせます。

そしてやはり魅力的なのがDisc2のカバー。誰もが知っているような洋楽邦楽の有名曲、スタンダードナンバーをアコースティックな楽器によって脱力感たっぷりに演奏しています。冒頭を飾るアコースティックな「東風」も楽曲の持つメロディーラインの魅力が前に押し出されてた曲になっていますし、あの「カーマは気まぐれ」が驚きの郷愁感たっぷりのナンバーに仕上がっているのは驚くべき感も。意外性あるカバーといえば、話題となったアニメ「ポプテピピック」のテーマ曲「POP TEAM EPIC」のカバー。なるほど、彼らの手にかかると、こういう風にカバーされるのか・・・とうならせられるカバーになっています。そしてユニークなのが、かの「ボヘミアン・ラプソディ―」のカバー。重厚なサウンドの原曲に対して、アコースティックなサウンドを様々組み合わせて、非常にユニークなカバーに仕上がっていました。

栗コーダーカルテットの魅力がたっぷりと感じれるアルバム。上にも書いた通り、彼らの活動は多岐に及ぶため、栗コーダー名義のアルバムを聴くだけではなかなかフォローできないのですが、それだけに、こういう形のベスト盤で彼らの多気に及ぶ活動をフォローできるのはうれしい限りです。ただ一方、「ベスト盤」ですが、彼らの曲でおそらくかなりよく知られているであろう「ピタゴラスイッチのテーマ」や、昔、「やる気のないダースベイダーのテーマ」として話題となった「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」は本作では未収録。ここらへんは過去のベスト盤をあさるしかないでしょうね。ただ、これが彼らを知るための最初の1枚としても最適。脱力感たっぷりの暖かいポップソングが存分に楽しめます。

評価:★★★★★

栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)

遠くの友達
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
羊どろぼう
ウクレレ栗コーダー2~UNIVERSAL 100th Anniversary~
あの歌 この歌
20周年ベスト
ひろコーダー☆栗コーダー(谷山浩子と栗コーダーカルテット)
KURICORDER QUARTET ON AIR NHK RECORDINGS
平凡


ほかに聴いたアルバム

愛を知らずに魔法は使えない/マカロニえんぴつ

現在、人気上昇中でブレイク最右翼とも目されているポップバンド、マカロニえんぴつの最新作は全6曲入りのミニアルバム。うち冒頭の「生きるをする」及びラストの「mother」は、テレビ東京系アニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のオープニング及びエンディングで、タイトルもドラクエを意識したタイトルになっています。そろそろヒゲダン並みの大ブレイクも期待される彼らですが、ただ今回のアルバム、前作、グッとよくなった良質なメロディーが後ろに下がってしまい、バンドサウンドが目立つような構成に。そのサウンドも正直言っていまひとつ大味で、面白みはありません。変に「売り」を狙った結果、平凡なJ-POPバンドに成り下がったような、そんな印象を受けてしまいました。前作「hope」が、今の彼らの勢いを表すような傑作だっただけに非常に残念。ちょっとプロダクションを間違えちゃったなぁ、と感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★

マカロニえんぴつ 過去の作品
season
hope

eye/HUSKING BEE

コロナ禍で活動自粛中だった期間に書き溜めた曲からセレクトしたという、HUSKING BEE10枚目となるフルバム。前半はアップテンポでパンキッシュな側面が表に出たような楽曲が、後半はメロディーラインの良さが表に出たような楽曲が並ぶアルバム。英語詞と日本語詞のバランスも良く、いい意味でベテランらしい安定感のあるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

HUSKING BEE 過去の作品
Suolo
Stay In Touch
Lacrima
ALL TIME BEST 1994-2019

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