音楽コラム

2025年2月 4日 (火)

2024年年間ベストアルバム(邦楽編)その2

昨日に引き続き年間私的アルバム邦楽編。今日は5位から1位までです。

5位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン

聴いた当時の感想は、こちら

昨年、ミュージシャン名義をMRJと変えたシンガーソングライターの、旧名称ではラストとなったオリジナルアルバム。ユーモアセンスあふれるファンキーなポップチューンが楽しく、いろいろな意味でインパクト十分。ロックやファンク、ディスコチューン、エレクトロの要素などを取り入れた多彩な音楽性も大きな魅力に。十分ブレイクするポテンシャルはあると思うのですが。

4位 自然のコンピューター/OGRE YOU ASSHOLE

聴いた当時の感想は、こちら

実に5年ぶりとなるOGRE YOU ASSHOLEのニューアルバム。アルバム毎にスタイルを変えて、常に新しい姿を模索し続ける彼らですが、今回のアルバムではエレクトロサウンドを大胆に導入。また新たなOGRE YOU ASSHOLEのサウンドを追求する作品となっています。一方で、そぎ落としたシンプルなサウンドで、独特のグルーヴ感を生み出しているというスタイルは今回も同様。今回も彼らの実力に舌を巻く傑作アルバムに仕上がっていました。

3位 呪文/折坂悠太

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎に、年間ベストクラスの傑作を生み続けているシンガーソングライター折坂悠太の最新作。今回のアルバムに関しては、比較的シンプルに「歌」を聴かせる作品に仕上がっていました。基本的にはアコースティックなサウンドがメインとなる作品なのですが、ただその中にサイケなサウンドを入れてきたり、日常を描く歌詞の世界にも、チラッと社会派な主張を忍び込ませてきたり、単なるポップアルバムとは異なる、折坂悠太らしい味はしっかり覗かせるアルバムに。あらためて彼の実力を感じさせる傑作でした。

2位 Slash-&-Burn/Daoko

聴いた当時の感想は、こちら

自主レーベル移籍後、初となるDaokoのニューアルバム。自主レーベルということで自由度が増したアルバムになっており、バラエティーあふれる音楽性には実験的要素も目立ち、その幅がグッと広がった感も。歌詞にしても、Daokoの本音をつづったような歌詞にドキリとさせられる部分も。もちろん彼女のキュートな歌声は今回も健在。彼女の実力をあらためてアピールする傑作に仕上がっていました。

1位 LOST CORNER/米津玄師

聴いた当時の感想は、こちら

2024年年間ベストアルバム邦楽編の1位は、今をときめくシンガーソングライター米津玄師のニューアルバムが獲得。ヒット曲を連発する彼だけに、楽曲的にはいい意味で万人受けしそうなお茶の間対応でありつつも、しかしよくよく聴くと、昔の米津玄師と同様のひねくれた毒の要素も入っており、根本の部分はいい意味で変わっていないことにも気が付きます。日本のトップシーンを担うミュージシャンが、こういう傑作アルバムをリリースするあたり、非常に頼もしさを感じる作品でした。

あらためて1位から10位を並べると・・・

1位 LOST CORNER/米津玄師
2位 Slash-&-Burn/Daoko
3位 呪文/折坂悠太
4位 自然のコンピューター/OGRE YOU ASSHOLE
5位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン
6位 らんど/ZAZEN BOYS
7位 ラヴの元型/AJICO
8位 Contact/角銅真実
9位 魔法学校/長谷川白紙
10位 POP DELIVERY/水曜日のカンパネラ

ほかのベスト盤候補は・・・

時をかけるメロディー/小山田壮平
wood mood/藤原さくら
POPCORN/THE BOWDIES
放生会/椎名林檎
ディスコの卵/ゲスの極み乙女
残心残暑/aiko
My Favorite Things/柴田聡子

・・・洋楽同様、全体的には不作気味、特に下期に関してはかなりの不作だったように感じます。どうしちゃったのかなぁ、という印象も。ひょっとしたら、ストリーミング全盛にアルバムが軽視されはじめているのか、という若干の不安も抱きつつ、とはいえ、結果としてベスト10に並んだのは、やはり例年に劣らない傑作にはなっていたと思います。来年は、もっともっと名盤がリリースされればよいのですが。

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
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2024年 上半期

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2025年2月 3日 (月)

2024年年間ベストアルバム(邦楽編)その1

洋楽編に続き、今日明日は邦楽の2024年年間ベストアルバム。

10位 POP DELIVERY/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

ボーカリストが詩羽に代わってから、早くも3枚目となるミニアルバム。すっかり、水カンのボーカル=詩羽というイメージがついてしまいました。さすがに年間1位とした前作「RABBIT STAR★」と比べると、若干勢いはダウンしてしまっているものの、今回も水カンらしい聴いていてとても楽しいポップソングがつまったアルバムに仕上がっています。水カンの勢いはまだまだ続きそうです。

9位 魔法学校/長谷川白紙

聴いた当時の感想は、こちら

本作はレーベルをFlying Lotusが主催するBrainfeederに移籍。さらに、自身の写真を公開し、ジェンダーフリーの姿を公表。国境の壁を越えたのと同様、性別の壁を越えた、このボーダーフリーがある意味、ひとつのキーワードともなっている新作。前作よりアレンジはよりアバンギャルドになっている一方で、白紙の美しいクリアボイスで歌い上げるポップな歌は健在。そのテーマ性に問わず、いい意味で幅広く楽しめるポップアルバムは本作も同様でした。

8位 Contact/角銅真実

聴いた当時の感想は、こちら

藤子・F・不二雄先生の短編のコンセプト「すこし・ふしぎ」をアルバムコンセプトとして設定した今回の作品。その場所でなっている音をあるがまま録音したようなサウンドが特徴的で、まさに「すこし・ふしぎ」な雰囲気を醸し出している楽曲になっているのが大きな魅力。彼女の出身地、長崎の民謡を取り入れているなど、バラエティー富んだ作風も特徴となっています。また、彼女のウィスパー気味のボーカルも耳を惹く作品に。前作同様、本作も文句なしの傑作アルバムに仕上がっていました。

7位 ラヴの元型/AJICO

聴いた当時の感想は、こちら

2021年に突然復活したUAとベンジーが組んだロックバンドAJICOの、約2年6か月ぶりのEP。前作「接続」も非常にカッコよかったのですが、今回も前作を上回る傑作アルバムに。ベンジーの書くメロディーとUAのボーカルの相性の良さもあることながら、ベースのTOKIE、ドラムスの椎野恭一と一流揃いのメンバーの演奏もバッチリとはまって、まさに震えるほどカッコいいロックなアルバムに仕上がっていました。今後もコンスタントな活動が期待できるのでしょうか。これからの活動にも要注目です。

6位 らんど/ZAZEN BOYS

聴いた当時の感想は、こちら

実に11年ぶりとなるZAZEN BOYSの新作。基本的には、これぞ向井秀徳節といった感じの歌詞やメロディー、さらに必要最小限に絞ったタイトなサウンドは変わらないものの、おそらく今回、新ベーシストMIYAが加わったことによって、久々の新作ということで新たな一歩を踏み出したのでしょう。以前よりもベースがファンキーになり、ZAZEN BOYSに新たな色が加わったように感じます。昨年久々に見たZAZEN BOYSのライブでは、そんな彼らの新たな進歩も感じられましたし、まだまだ彼らからは目が離せなさそうです。

明日はこれに続く5位から1位の紹介です!

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2025年2月 2日 (日)

2024年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に続き、2024年年間洋楽私的ベストアルバム。今日はその第2弾、5位から1位の紹介です。

5位 What Now/Brittany Howard

聴いた当時の感想は、こちら

現在、活動休止中のバンド、Alabama Shakesのボーカリストによるソロ2枚目のアルバム。いままで、Alabama Shakesと異なるタイプの楽曲をソロではあえて演っていた彼女でしたが、今回はソウルにロックを融合させたAlabama Shakesの路線をそのまま引き継ぐような作品に。Alabama Shakesの活動休止が長引いている中、やはり彼女としてはこのスタイルを演りたかったということでしょうか。ただ、それだけに彼女のボーカルにもピッタリとマッチするような曲の並ぶ、傑作アルバムに仕上がっていました。

4位 Cowboy Carter/Beyonce

Cowboycarter

聴いた当時の感想は、こちら

トランプが大統領につき、国として分断に拍車がかかっている感のあるアメリカ。その中で、分断を乗り越えようとするBeyonceの最新作は、ある意味、2024年を象徴するアルバムと言えるのかもしれません。本作は彼女があえてカントリー音楽に向き合ったという作品。とかく保守白人層の音楽とみなされるカントリーに、彼女があえて挑んだ作品で、彼女自身はこのアルバムを「カントリー」ではなくあくまでも「Beyonceのアルバム」と語っています。先行き不透明なアメリカ、そして世界の中で、彼女みたいなミュージシャンの主張が、少しでも受け入れられることを願いたいものです。

3位 BLEACHERS/Bleachers

聴いた当時の感想は、こちら

今回、9位にランクインしたKendrick Lamarのアルバムでもプロデューサーとして関わっているジャック・アントロノフによるソロプロジェクト。それだけ今、もっとも勢いのあるミュージシャンといってもいい彼ですが、そんな彼のソロプロジェクトのアルバムなだけに、まさに勢いを感じさせる傑作に。とにかく心地よいポップアルバムといった感のある作品で、難しいこと抜きに楽しめる傑作に仕上がっていました。ポップミュージシャンとしてのジャック・アントロノフの実力を感じさせる作品でした。

2位 Hovvdy/Hovvdy

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシンガーソングライターデゥオによるアルバム。ソングライター同士のデゥオであるため、微妙な音楽性の違いが大きな魅力となっている作品。楽曲によっては、TEENAGE FANCLUBっぽさを感じさせる部分もあり、個人的にはかなり壺にはまりまくった1枚。エレクトロを取り入れたサウンドはシューゲイザーからの影響も感じられ、とにかくメロディーとサウンドの美しさに惹かれまくった傑作に。全体的にはあまり派手さはなかったのですが、しかし、そのメロディーラインはしっかりと胸に響いてくる作品でした。

1位 Come Ahead/Primal Scream

聴いた当時の感想は、こちら

正直なところ、年初のライブが最高だったことがまた、この順位に大きな影響を与えているのも否めないのですが(笑)。ご存じPrimal Screamの最新アルバム、彼らの傑作「Screamadelica」期を彷彿とさせるようなアルバムに。軽い酩酊感のあるグルーヴィーな作品やリズミカルなディスコチューンなど祝祭色たっぷりの作品はライブでも映えまくっていました。原点回帰とも言える今回のアルバムは、Primal Screamの魅力を存分に感じさせる傑作。文句なしに楽しめた作品でした。

あらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 Come Ahead/Primal Scream
2位 Hovvdy/Hovvdy
3位 BLEACHERS/Bleachers
4位 Cowboy Carter/Beyonce
5位 What Now/Brittany Howard
6位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire
7位 I Got Heaven/Mannequin Pussy
8位 BRAT/Charli xcx
9位 GNX/Kendrick Lamar
10位 No Name/Jack White

ほかの年間ベスト候補として・・・

Wall Of Eyes/The Smile
SAVIORS/GREEN DAY
TANGK/IDLES
The Collective/Kim Gordon
Bright Future/Adrianne Lenker
ONLY GOD WAS ABOVE US/Vampire Weekend
Funeral for Justice/Mdou Moctar
Night Reign/Arooj Aftab
A Drema Is All We Know/The Lemon Twigs
Sentir Que No Sabes/Mabe Fratti
Why Lawd?/NxWorries
Sky Hundred/Parannoul
life till bones/Oso Oso
Cutouts/The Smile
EELS/Beeing Dead
CHROMAKOPIA/Tyler, The Creator

率直なところ、今年は近年まれにみる不作だったように感じます。上位10作については、確かに文句なしの名盤だったとは思うのですが、ただ、例えばPrimal ScreamにしてもBeyonceにしてもJack Whiteにしても、過去の彼らの作品の中でのベストだったかと言われると、残念ながらそうとはいえません。特に上期については比較的名盤が多かった半面、下期についてはかなり失速してしまった感も・・・。今年はもっと多くの名盤に出会えるといいのですが・・・。

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 年間1  上半期
2024年 上半期

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2025年2月 1日 (土)

2024年年間ベストアルバム(洋楽編)その1

今年も恒例の年間私的ベストアルバム。今日から4日間にわたってお送りします。まずは洋楽編。

10位 No Name/Jack White

聴いた当時の感想は、こちら

ゲリラ的なリリース手法も話題となったJack Whiteのニューアルバム。シンプルなガレージロックは、ある意味、いつも通りの彼なのですが、文句なしにカッコいいロックンロールのアルバム。基本的には60年代や70年代のガレージロックの手法をそのまま踏襲しつつも、一方で現代的なサウンドも取り入れており、古臭さは感じない、しっかり現代のロックンロールとして仕上げています。ロックの魅力を堪能できる逸品です。

9位 GNX/Kendrick Lamar

こちらも突然のリリースで話題となったKendrick Lamarの最新作。毎回、外れのない傑作をリリースし続ける彼。今回の作品は、基本的に彼の生まれ故郷であるロサンゼルスへの讃歌をベースとしつつ、全44分程度というシンプルな内容で、いい意味での聴きやすい内容に仕上がっています。ケンドリックの実力をあらためて強く感じさせてくれる傑作でした。

8位 BRAT/Charli xcx

聴いた当時の感想は、こちら

イギリスの女性シンガーソングライターによる新作。主にイギリスのレイブシーンで活躍していたミュージシャンだそうで、エレクトロサウンドが主体のポップアルバムに。とにかくワクワクするようなエレクトロチューンが並んでおり、難しいこと抜きに楽しめるポップアルバムになっています。目新しさという点においては物足りなさも感じるのですが、それをはるかに上回るワクワクさを感じさせるアルバムで、幅広い層に文句なしにお勧めできる1枚です。

7位 I Got Heaven/Mannequin Pussy

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカの男女混合パンクロックバンドの最新作。前作「Patience」もパンキッシュでポップな楽曲が壺にはまり、2019年に年間ベスト9位にランクインさせたのですが、今回も同じく、思いっきり壺にはまりました。非常に激しいパンキッシュなサウンドと、それと対照的なポップなメロディーラインのバランスが実に絶妙で壺にはまります。個人的には往年のPIXIESに通じる部分も感じる作品で、文句なしに楽しめるロックアルバムでした。

6位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

聴いた当時の感想は、こちら

2024年はoasis再結成があまりにも大きな話題となり、完全に忘れ去られてしまっている感がなきにしもあらずなのですが・・・。oasisのリアム・ギャラガーとザ・ストーン・ローゼズのジョン・スウワイアによる夢のタッグ。正直、楽曲的にはかなりベタな感じは否めないのですが、ただ、そのベタさが故に、いい意味で安心して聴けるアルバムになっており、なによりもリアムのボーカリストとしての良さがすごく前面に押し出された作品に仕上がっていたと思います。oasis再結成が話題の中、oasisファンならこちらもチェックしておきたいところです。

5位以降はまた明日に!

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2024年12月31日 (火)

2024年ベストアルバム(暫定版)

今年も早いもので年明けまで1時間を切りました。年内最後の更新は、例年通り、2024年ベストアルバム暫定版です。いつも通り、未聴のアルバムも多いので、正式版は2月最初の更新で。

邦楽編

まず上半期のベスト5です。

1位 Slash-&-Burn/Daoko
2位 呪文/折坂悠太
3位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン
4位 らんど/ZAZEN BOYS
5位 ラヴの元型/AJICO

これに続く下半期のベスト盤候補は・・・

魔法学校/長谷川白紙
LOST CORNER/米津玄師
残心残暑/aiko
自然のコンピューター/OGRE YOU ASSHOLE
My Favorite Things/柴田聡子

・・・正直言って、かなりの不作気味です。パッと、今年の10枚が思いつかないくらいで、どうしちゃったんだろう、といった感じがします。正直なところ、折坂悠太もZAZEN BOYSもOGRE YOU ASSHOLEも十分年間ベストクラスの傑作とはいえ、自己最高傑作か、と言われると「前作の方がよかったかな・・・」と思ってしまいますし・・・。全体的に不作気味の今年の邦楽シーンでした。

洋楽編

こちらの上半期ベスト5は・・・

1位 Hovvdy/Hovvdy
2位 BLEACHERS/Bleachers
3位 Cowboy Carter/Beyonce
4位 What Now/Brittany Howard
5位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

これに続く下半期のベスト盤候補は・・・

Sentir Que No Sabes/Mabe Fratti
Why Lawd?/NxWorriesNo Name/Jack White
Sky Hundred/Parannoullife till bones/Oso Oso
Cutouts/The Smile
EELS/Beeing Dead
CHROMAKOPIA/Tyler, The Creator

こちらも正直、かなり不作気味のラインナップで、邦楽と同様、ベスト10と言われてパッと思い当たらなそうな内容・・・。今年は全体的にどうしちゃったんだろう、というほど、音楽シーン全体に不作気味を感じてしまいました。

ちなみに主要メディアの年間ベストを集計してランキング形式でまとめたのがこちらのサイト

https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2024/

上位のアルバムはほぼ聴いているのですが、正直、若干、「これってそんなによかったっけ?」というアルバムもチラホラ・・・。

来年こそは多くの傑作アルバムに出会えますように!それでは、みなさまよいお年を!!

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2024年8月 3日 (土)

2024年上半期 邦楽ベスト5

昨日に続き、本日は邦楽のベスト5です。

5位 ラヴの元型/AJICO

聴いた当時の感想は、こちら

あのUAとベンジーが組んだということで大きな話題となったバンドAJICOが、なんと2021年に突然の復活。EP「接続」リリース後、さらに約2年10ヶ月の月日を経てリリースされた6曲入りのEPなのですが、これがめちゃくちゃカッコいい!ベンジーの書くメロディーがUAのボーカルにピッタリと合って、彼女の独特の色気も加わり、さらにそんな彼女を支えるベースのTOKIE、ドラムスの椎野恭一と一流揃いのメンバーとの息もピッタリ。しびれるほどカッコいい傑作です。

4位 らんど/ZAZEN BOYS

聴いた当時の感想は、こちら

ライブ活動は継続的に行われていたのでちょっと意外にも感じるのですが、実に11年ぶりとなるZAZEN BOYSの新作。今回もサウンドも言葉も必要最低限に削った緊迫感ある楽曲が並びます。基本的に前作から作風的には大きな変化はない、これぞ向井秀徳節といった感じなのですが、新ベーシストのMIYAが加わったことによって、以前よりベースがファンキーになったようにも感じます。今回も文句なしの傑作アルバムでした。

3位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン

聴いた当時の感想は、こちら

相変わらず奇抜なタイトルとジャケット写真も特徴的なマハラージャンの新作。今回もユーモアセンスたっぷりながらも、ロックやファンク、ディスコチューン、エレクトロの要素などを取り入れた音楽性に、メロディーや歌詞含めて、これでもかといったインパクトあふれる作風の楽曲が魅力的。楽曲の良さと、ほどよく入っているユーモアのバランスもちょうど良く、そろそろブレイクしてもよいとは思うのですが・・・。

2位 呪文/折坂悠太

アルバムレビューではまだ取り上げていないので、ここが先の紹介となってしまうのですが、アルバムをリリースする毎に傑作をリリースし続ける彼ですが、今回のニューアルバムも文句なしの傑作に仕上がっていました。今回は、以前の作品に比べて、暖かい歌モノが目立った作品。ただ、シンプルでフォーキーな作品が目立つ中で、サウンド面でもしっかりと挑戦的な部分も垣間見れ、彼のミュージシャンの実力をしっかりと発揮した1枚となっていました。

1位 Slash-&-Burn/Daoko

聴いた当時の感想は、こちら

上半期1位は、Daokoのニューアルバム!自主レーベル移籍後初となるアルバムなのですが、メジャーを離れたことによって自由度が増したのか、音楽的にもバラエティー富んだ作品が多く、実験的な作風も目立ちます。歌詞でも内省的な歌詞に聴いていてドキッとする部分もあり、Daokoの本音が垣間見れる部分も。彼女のキュートな歌声もマッチしており、様々な面でDaokoというミュージシャンの本領が発揮された傑作アルバムです。

ほかのベスト盤候補は・・・

Contact/角銅真実
時をかけるメロディー/小山田壮平
wood mood/藤原さくら
POPCORN/THE BOWDIES
POP DELIVERY/水曜日のカンパネラ
放生会/椎名林檎
ディスコの卵/ゲスの極み乙女

傑作は少なくはなかったのですが、全体的には不作気味かなぁ。特に、洋楽同様、頭ひとつ出たような傑作はなかったのは残念ですし、折坂悠太もZAZEN BOYSも傑作であることは間違いないのですが、正直、前作を超えたか、と言われると若干微妙な感もあります。さて、あらためて上位5作を並べると

1位 Slash-&-Burn/Daoko
2位 呪文/折坂悠太
3位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン
4位 らんど/ZAZEN BOYS
5位 ラヴの元型/AJICO

下期はさらなる傑作が登場することを期待しましょう!

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
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2024年8月 2日 (金)

2024年上半期 洋楽ベスト5

今年も、既に7か月が経過しました。上半期の私的アルバムベスト5、まずは洋楽編です。

5位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

聴いた当時の感想は、こちら

ご存じ元oasisのカリスマ的ボーカリスト、リアム・ギャラガーが、同じくカリスマ的な人気を誇り、oasisのルーツの1つでもあるバンド、ザ・ストーン・ローゼズのジョン・スクワイアと組んでリリースしたアルバム。まさに夢のタッグとも言える組み合わせ。基本的にジョン・スクワイアの書いた楽曲をリアムが歌うスタイルなのですが、やはりローゼズに影響を受けているからでしょうか、リアムのボーカルもピッタリマッチ。正直、そのままoasis+The Stone Rosesといった感じの曲調は「ベタ」という印象を受け、それ故に評価はあまり高くないようですが、個人的にはかなり壺にはまった作品でした。

4位 What Now/Brittany Howard

聴いた当時の感想は、こちら

現在、活動休止中のバンド、Alabama Shakesのボーカリストによるソロ2枚目のアルバム。バンドとしても毎回、高い評価を誇る傑作をリリースし続け、ソロとしても前作「Jaime」も高い評価を得た傑作をリリースした彼女。ジャズ寄りで、あえてAlabama Shakesと差をつけてきた前作に比べ、本作はソウルにロックを融合させたAlabama Shakesの路線をそのまま引き継ぐような作品になっていましたが、それだけに力強く表現力豊富な彼女のボーカルを存分に生かした傑作になっていました。

3位 Cowboy Carter/Beyonce

Cowboycarter

聴いた当時の感想は、こちら

いかにもアメリカなジャケット写真も目をひくBeyonceの新作は、彼女があえてカントリー音楽に向き合ったという作品。とかく保守白人層の音楽とみなされるカントリーに、彼女があえて挑んだ作品で、彼女自身はこのアルバムを「カントリー」ではなくあくまでも「Beyonceのアルバム」と語っています。分断が目立つアメリカにおいて、あえてその分断を乗り越えようとする力強い主張を感じさせるアルバム。もちろん、楽曲自体のクオリティーも言うまでもありません。間違いなく2024年を代表する作品と言える内容でした。

2位 BLEACHERS/Bleachers

聴いた当時の感想は、こちら

現在は売れっ子プロデューサーとして活躍しているジャック・アントロノフによるソロプロジェクト。もともとは、かつて注目を集めたロックバンドfun.のメンバーだったそうで、今回、Bleachersとしての作品ははじめて聴いたのですが、fun.はリアルタイムで聴いたことがあり、ポップでインパクトのあるメロを書くバンドだったということを覚えています。そんな彼のソロとしての新作は、まさにそのfun.の時代を彷彿とさせるかのような、陽気でポップなメロディーに加えて、fun.時代にはちょっと一本調子に感じられた音楽性がグッと進化し、バラエティー富んだ作風が大きな魅力となった傑作アルバムに進化。傑作のポップアルバムに仕上がっていました。

1位 Hovvdy/Hovvdy

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシンガーソングライターデゥオによるアルバム。胸にキュッと響いてくるような美しいメロディーラインは魅力のデゥオなのですが、2人ともソングライターであるが故の、微妙な音楽性の違いがまたアルバムに幅を持たせて大きな魅力となっています。特に楽曲によっては、TEENAGE FANCLUBっぽさを感じさせる部分もあり、個人的にはかなり壺にはまりまくった1枚。エレクトロを取り入れたサウンドはシューゲイザーからの影響も感じられ、とにかくメロディーとサウンドの美しさに惹かれまくった傑作でした。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 Hovvdy/Hovvdy
2位 BLEACHERS/Bleachers
3位 Cowboy Carter/Beyonce
4位 What Now/Brittany Howard
5位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

ほかのベスト5候補は

Wall Of Eyes/The Smile
SAVIORS/GREEN DAY
TANGK/IDLES
I Got Heaven/Mannequin Pussy
The Collective/Kim Gordon
Bright Future/Adrianne Lenker
ONLY GOD WAS ABOVE US/Vampire Weekend
Funeral for Justice/Mdou Moctar
BRAT/Charli xcx
Night Reign/Arooj Aftab
A Drema Is All We Know/The Lemon Twigs

上半期はかなり傑作のリリースが多かったと思います。特にベスト5に入れなかったものの、Mannequin Pussy、Kim Gordon、Charli xcx、Arooj Aftabは、通常の年ならば余裕でベスト5に入れていたほどの傑作だったと思います。ただ一方では、頭ひとつとびぬけたような傑作はなかったような気が。そういう意味では、1位を選ぶのみ逆の意味でちょっと難しくなってしまった感もありました。下期もさらなる傑作の誕生を期待したいところです!

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 年間1  上半期

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2024年2月 5日 (月)

2023年年間ベストアルバム(邦楽編)その2

昨日に引き続き年間私的アルバム邦楽編。今日は5位から1位までです。

5位 12/坂本龍一

聴いた当時の感想は、こちら

2023年はミュージシャンの訃報が相次いだことが話題となりました。その一人が坂本龍一。癌の闘病生活の末に、昨年、惜しまれつつこの世を去りました。その彼が最期にリリースしたアルバムが本作。闘病時期の日記のように、日付を記したタイトルの曲が収録されている曲は、アンビエントの作品が並びます。ひとつひとつの音を丁寧に紡ぐその姿は、最後の最後までミュージシャンとして挑戦を続ける坂本龍一の矜持を感じされます。なお、アメリカのPitchforkでの年間ベストで40位にランクインするなど、世界的な評価も高く、「世界のサカモト」の姿を見せつけた傑作ともなっています。

4位 1STST/TESTSET

聴いた当時の感想は、こちら

もともとは高橋幸宏を中心としたバンドMETAFIVEが、小山田騒動や高橋幸宏の体調不良により活動を休止。その派生グループとしてメンバーの砂原良徳とLEO今井を中心に結成された新バンドがTESTSET。本作は、そのデビュー作となります。一流のプレイヤーたちが揃ったTESTSETの魅力は、基本的にはエッジの効いたファンキーなサウンドが最高にカッコいいのですが、さらにそこにのるLEO今井のボーカルのカッコよさが際立ちます。彼のボーカルはいわば非常に端正で、ともすれば「ベタ」と表現されるものなのですが、それがファンキーなサウンドにピッタリとマッチ。素直にそのカッコよさを楽しめる傑作に仕上がっていました。

3位 e o /cero

聴いた当時の感想は、こちら

純粋に完成度の高さという観点で言えば、おそらく2023年の最高傑作と言えるアルバムでしょう。ceroのバンドとしては実に5年ぶりとなるニューアルバム。もともと、ジャズやHIP HOPをベースにジャンルレスな音楽を奏でてきたバンドである彼らでしたが、今回はネオソウル、AOR、ジャズ、エレクトロ、ダンスミュージックなど様々な要素を自身の音楽に取り入れたジャンルレスな音楽性が魅力的。その様々なジャンルがどれも最高レベルの水準の音を奏でているあたり、バンドの圧倒的な実力を感じさせます。バンドのさらなる高みへの到達を感じさせる傑作でした。

2位 感覚は道標/くるり

聴いた当時の感想は、こちら

2023年最大の音楽ニュースのひとつが、間違いなくオリジナルくるりの再集結でしょう。2002年に脱退したくるりのオリジナルメンバーのドラマー森信行がくるりの最新アルバムに参加。オリジナルメンバー3人でのアルバム制作は大きな話題となりました。その最新アルバムは、くるりのバンドとしての側面、スリーピースバンドとしての魅力を織り込んだ作品となっています。楽曲を作り込むというよりも、バンドセッションの中で生み出されたような曲が並ぶ今回のアルバム。3人組バンドだった初期くるりを彷彿とさせつつ、ただ一方では初期くるりとは異なる、年月を経て成長した3人だからこそ生み出せる、あらたなくるりの姿がありました。文句なしの傑作です。

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

上半期で1位を獲得した水曜日のカンパネラが年間ベストでも1位を獲得!水カンの1位獲得は、2年連続1位となった2016年の「UMA」以来3作目!ただ、ボーカルがコムアイから詩羽に代わり、どうなるのか心配していたのですが、今となっては既に水カンのボーカルは詩羽以外考えられなくくらいのはまりようで、全楽曲が傑作という、とんでもないアルバムに仕上がりました。上半期にも書いたのですが、ケンモチヒデフミの衰えない才能のすごさに改めて感嘆してしまう傑作アルバム。ちなみに本作はEP盤で、まだ詩羽としてのアルバムは未発売。来るべきフルアルバムにも期待せざる得なくなってきます。

あらためて1位から10位を並べると・・・

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 感覚は道標/くるり
3位 e o /cero
4位 1STST/TESTSET
5位 12/坂本龍一
6位 映帶する煙/君島大空
7位 miss you/Mr.Children
8位 大人の涙/マカロニえんぴつ
9位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ
10位 夢中夢-Dream In Dream-/cornelius

ほかのベスト盤候補は・・・

あのち/GEZAN with Million Wish Collective
今の二人をお互いが見てる/aiko
イノセント/スガシカオ
夜汽車を貫通するメロディヤ/中川敬
no public sounds/君島大空
Sonicwonderland/上原ひろみ Hiromi's Sonicwonderland
8/ROTH BART BARON
Almost there/GRAPEVINE
日本民謡珍道中/民謡クルセイダーズ

上半期は不作ぶりが目立ったものの、年間通じてみると、なんだかんだ言っても多くの傑作が揃った1年になったように思います。今年もまた、たくさんの素晴らしいアルバムと出会えますように!

ちなみに過去のベストアルバムは

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 上半期

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2024年2月 4日 (日)

2023年年間ベストアルバム(邦楽編)その1

洋楽編に引き続いて、年間私的ベストアルバム、今日明日は邦楽編です。

10位 夢中夢-Dream In Dream-/cornelius

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率直に言うと、一時期はミュージシャン生命が断たれるのではないか、と心配したcornelius。無事、ニューアルバムがリリースされたことにはほっとしています。ただ、新作リリースに際しても、別にネット上が炎上する訳ではなく、メディアの取材を受けていましたが、それに関しても何か騒ぎになる訳ではなく・・・一体、あの何なんでしょうね、といった感は否めません。新作はそんな騒動が影響を受けたのでしょうか、より内面に向き合ったアルバムに。サウンド的には従来の路線を引き継いだものなのですが、よりポップな歌モノのアルバムに仕上がった点が特徴的。今回も期待通りの傑作に仕上げてきました。

9位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

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最近、女性ソロシンガーの活躍が目立ちますが、そんな中でも個人的にはもっとも注目している女性シンガーソングライター、カネコアヤノの新作。バンドサウンドを前に押し出したロッキンなアレンジと、しっかりと聴かせるフォーキーなメロディーラインの対比がユニークなのですが、今回のアルバムはいつも以上にギターサウンドやバンドサウンドを前に押し出したロック色の強い作品に仕上がっています。前作に比べると、バリエーションという観点では一歩下がるのですが、その分、楽曲全体の統一感を覚える作品に。今回も文句なしの傑作でした。

8位 大人の涙/マカロニえんぴつ

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あまり音楽に詳しくない人から「最近のおすすめを教えて」と言われることがよくあるのですが、正直、なかなか難しい質問だったりします。比較的万人受けしつつも、音楽的なクオリティーも高い、最近、人気上昇中のミュージシャンとなると、誰をお勧めするのか、非常に迷ってしまいます。ただ、現時点において、おそらくそんな質問に対してまずはお勧めできるであろうミュージシャンがマカロニえんぴつ。いい意味でのJ-POP的要素が強いインパクトあるメロディーラインにバリエーションのある音楽性、なによりも良質な「歌」を聴かせてくれるバンドで、ここ数作、勢いのある傑作が続きましたが、本作はそんな中でも彼らの到達点とも言える傑作に仕上がっていました。幅広いリスナー層にお勧めできる名盤です。

7位 miss you/Mr.Children

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2022年にメジャーデビュー30周年を迎えたミスチルが、約2年10か月ぶりにリリースした新作。本作はメンバー4人だけがプライベートスタジオに集結し録音したアルバムとなったそうですが、結果として全体的にシンプルな作風かつメロディアスな曲が並びます。おそらく日本でトップクラスの人気を誇る彼らなだけに、ここ最近のアルバムはまさに「大物ミュージシャン」として求められるようなスケール感のある作品が続きましたが、本作は、ミスチルの「コア」な部分を掘り起こしたアルバムとも言えるでしょう。なにより、このシンプルな作風は個人的に私が中高生の頃の作風すら彷彿とさせる傑作に。あらためてミスチルの魅力を実感できた作品でした。

6位 映帶する煙/君島大空

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カネコアヤノの項に「女性シンガーソングライターが」と書いたのですが、男性シンガーソングライターも注目株が続々と登場しています。君島大空も間違いなくその1人。ハイトーンボイスを軸に、アコースティックギターやバンドサウンド、エレクトロやサンプリングなどを自在に用いる音楽性が魅力的。自由度の高い音楽性ながらも、そのボーカルやメロディーラインでしっかりとまとめあげる統一感も覚えることが出来ます。ちなみに2023年は「no public sounds」というアルバムをもう1枚リリース。こちらも傑作に仕上がっていました。今、もっとも勢いのあるミュージシャンの一人と言って間違いないでしょう。

明日は5位から1位!

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2024年2月 3日 (土)

2023年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に引き続き、私的年間ベストアルバム。今日は洋楽編の5位から1位の紹介です。

5位 False Lankum/Lankum

Falselankum

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アイリッシュ・フォークにロックの要素を取り入れて高い評価を集めているバンドLankum。ワールドミュージックにカテゴライズされるようなミュージシャンでありつつ、ポップシーンでも高い評価を受けた1枚となっているのですが、その理由は納得。アイリッシュ・フォークを軸にしつつ、ヘヴィーロックやサイケの要素を取り入れた独特の音楽性が魅力的。一方、フォークというカテゴリーにおいてもアコギのみで美しいメロディーを聴かせるシンプルな曲もあったりして、バンドとしての懐の深さを感じさせます。高い評価が納得の傑作アルバムです。

4位 KNOWER FOREVER/KNOWER

ドラマーであり、プロデューサーやシンガーソングライターとしても活躍しているLouis Coleと女性ボーカリストGenevieve Artadiとのデゥオによるアルバム。Louis Coleは直近のアルバム「Quality Over Opinion」が2022年の年間私的アルバムの10位にランクインしていますが、基本的には、同作と同じような方向性ながらも、女性ボーカリストを入れたことにより、よりポップスさが増した感じが。エレクトロを軸としつつ、ジャズやファンク、さらに超絶なドラムプレイも聴かせてくれるなど、凝ったサウンド構成の中、メロディーは至ってキュートでポップ。年末、ギリギリのリリースでしたが、一気にはまった傑作アルバムでした。

3位 the record/boygenius

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それぞれがソロミュージシャンとしても活動しているPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusから結成されたスーパーグループ。それぞれがリードボーカルを取り、リードボーカルを取った曲には基本的にそれぞれの作った曲が歌われます。3人とも、オルタナ系という共通項はありつつ、微妙に音楽性が異なる3人。それにも関わらず、アルバム全体としてしっかりとした統一感があるのは不思議なところでありつつ、なおかつそれぞれのメンバーの実力も感じさせます。3人のメンバーの相性の良さも感じさせるアルバム。末永く活動を続けてほしいなぁ。

2位 10,000 gecs/100 gecs

聴いた当時の感想は、こちら

100 gecsはアメリカのハイパーポップデゥオによる新作。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを取り交ぜた様々なポップチューンがつまったアルバムとなっており、何でもありな感じがとにかく楽しく、聴いていて素直にワクワクするようなアルバムに仕上がっています。アルバム全体も10曲入り27分弱というあっという間の展開も楽しさに大きなプラスの要素。「おもちゃをひっくり返したような」というちょっと陳腐な表現がピッタリくる、誰もが楽しめそうな、そんなポップアルバムの傑作でした。

1位 Rat Saw God/Wednesday

聴いた当時の感想は、こちら

上期1位だったWednesdayのアルバムが、そのまま年間アルバムでも1位獲得。同バンドのギタリストMJ Lendermanのアルバム「Boat Songs」は昨年の年間ベストの3位でしたが、今年は本体の方が見事1位獲得です。シューゲイザーや80年代インディーロックの影響をダイレクトに受けたサウンドに、一方ではカントリーのサウンドを融合させ、シューゲイザー直系でありつつもWednesdayらしい独自性を感じさせるアルバムに仕上がっています。文句なしの年間1位の傑作アルバムでした。

あらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 Rat Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 KNOWER FOREver/KNOWER
5位 False Lankum/Lankum

6位 Heavy Heavy/Young Fathers
7位 Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua/Ana Frango Eletrico
8位 After the Magic/Parannoul
9位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey
10位 The Death Of Randy Fitzsimmons/The Hives

ほかの年間ベスト候補作として・・・

Ever Loser/IGGY POP
This Stupid World/Yo La Tengo
Desire,I Want to Turn Into You/Caroline Polachek
Dogsbody/Model/Actriz
First Two Page of Frankenstein/The National
Multitudes/Feist
But Here We Are/Foo Fighters
THE BALLADS OF DARREN/blur
softscares/yeule
Nothing Lasts Forever/TEENAGE FANCLUB
GUTS/Olivia Rodrigo
Changing Channels/Pangaea
The Land Is Inhospitable and So Are We/Mitski
Selvutsletter/Lost Girls
ASAP insallah/Ya Toshiba

今年も素直に傑作アルバムが多い1年だったと思います。ここ最近、豊作の年が続いており、シーン全体として活性的・・・なのですが、日本だといまひとつ洋楽が売れていないのは残念。傑作アルバムは多いのですが。

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
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2022年 年間1  上半期
2023年 上半期

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