音楽コラム

2026年8月 8日 (土)

2026年上半期 邦楽ベスト5

昨日に続き、今回は邦楽の上半期ベスト5です。

5位 スーパー登山部/スーパー登山部

名古屋出身のインディーポップバンドのデビュー作。スーパー登山部という名前の通り、メンバーが実際に登山を行い、山小屋でライブを行うなど、その活動のユニークさでも注目を集めています。ただ、バンドとしてはそんなギミック的な要素にとらわれることなく、ソフトロックやシティポップを基調とする爽やかなポップチューンが魅力的な実力派バンド。今後、さらに注目を集めそうなバンドです。

4位 ヤッホー/坂本慎太郎

聴いた当時の感想は、こちら

毎回、独特な世界観を繰り広げる傑作をリリースし続ける坂本慎太郎の最新作。今回も、ハワイアンやソウル、ブルースにサイケ、歌謡曲など、様々な要素を取り入れた音楽性を、独特なグルーヴ感で聴かせる作風は健在。さらに今回のアルバムは以前の作品に比べて、よりシンプルで空間を聴かせるような作風に進化。最初はあまりのスカスカぶりに違和感も持ったのですが、ただ聴くうちに徐々にはまっていく作品になっていました。ユーモラスとシニカルを同居させた歌詞の世界も非常にユニークで、今回も文句なしの傑作に仕上がっていました。

3位 TOWN BEAT/KIRINJI

聴いた当時の感想は、こちら

KIRINJI約2年4ヶ月ぶりの新作・・・なのですが、アルバムとしては9曲入りというボリュームで、うち純粋な新曲は6曲のみ。ある意味、久々の新作でありつつ、この曲数の少なさは「スランプ気味」とも受け取れそうなのですが、ただ、そんな予想を裏切るKIRINJIの魅力のしっかりとつまった傑作に。全体的にいつも通りのKIRINJIらしいシティポップな作風に、なによりもシニカルの度合いが強い歌詞が魅力的。特に「flush! flush! flush!」は現在の日本を強烈に皮肉った歌詞が特徴的であり、まさに2026年を代表する作品と言えるでしょう。

2位 kodomo to otona/SAKANAMON

聴いた当時の感想は、こちら

個人的に、現在、もっとも過小評価されているように感じるバンド、SAKANAMONの新作。毎作、傑作アルバムを聴かせてくれる彼らですが、今回のアルバムは大人向けの曲と子供向けの曲を並べるという、コンセプチャルかつ非常に実験的な構成に。大人向けの作品はポップにまとめあげているのですが、一方ユニークなのが子供向けの楽曲。子供向けだからこそ、なのかもしれないのですが、非常に挑戦的かつ実験的な作品が多く、子供向きと軽視できない、聴きごたえある楽曲が並びます。もっともっと評価されるべき、2026年を代表する傑作です。

1位 夜明け烏が渡るまで/中西レモン

河内音頭の歌い手としても活躍する中西レモン。日本各地の民謡と現代のポップスを融合させた独特の音楽性で高い評価を集めています。この民謡を現代風にアップデートというスタイル自体は決して珍しいものではありませんが、本作に関しては特に独特のグルーヴ感が魅力的。ジャンプブルースやアフリカの「砂漠のブルース」などのスタイルも取り入れた独自のグルーヴ感が身体に心地よい快感を与えてくれる傑作。ほかにもブラジル音楽やスカ、ロック、シティポップの要素なども巧みに取り入れられており、民謡の中に内包されたグルーヴの魅力をしっかりと伝えてくれる傑作でした。

あらためて1位から5位を並べると・・・

1位 夜明け烏が渡るまで/中西レモン
2位 kodomo to otona/SAKANAMON
3位 TOWN BEAT/KIRINJI
4位 ヤッホー/坂本慎太郎
5位 スーパー登山部/スーパー登山部

ほかのベスト盤候補は・・・

潮汐/二階堂和美
儚くも美しき12の変奏/くるり
NEWME/UA
I KNOW HOW NOW/GEZAN
Disque 4-'76 Studio et Live-/裸のラリーズ
THIS IS THE PARTY/THE BAWDIES
Believe/本日休演
VS Tairiku Ondo/テレビ大陸音頭

ベストアルバム常連のくるり新作がベスト5落ち(!)。いや、いいアルバムだとは思うのですが・・・。GEZANはマヒトゥの一件が、特に音楽ファンにある種の衝撃を与えましたが、アルバムの出来は文句なしと思うので、とりあえず候補に連ねています。ただ・・・マヒトゥはもう、戻ってこなくていいよ・・・。

今年の邦楽シーンについては、決して不作ではないものの、一方でとびぬけた傑作はなかったかな、という印象。洋楽と異なり、上位5枚、いずれもいつの年でもベストアルバム上位にランクインしそうな傑作ではあるものの、下期では順位をグッと落とすような可能性も。下期もさらなる傑作が生みだされるように、期待したいところです。

2007年 年間1 2
2008年 年間1 2 上半期
2009年 年間1 2 上半期
2010年 年間1 2 上半期
2011年 年間1 2 上半期
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2021年 年間1 2 上半期
2022年 年間1 2 上半期
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2025年 年間1 2 上半期

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2026年8月 7日 (金)

2026年上半期 洋楽ベスト5

ちょっと遅くなりましたが、上半期私的アルバムベスト5。まずは洋楽編です。

5位 Blame The Crown/Twisted Teens

Blametheclown  

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカ・ニューオリンズ出身の2人組パンクロックバンド。ガレージパンクにカントリーを融合させた独自の音楽性が特徴的。最近、アメリカではアメリカーナ的なロックバンドが増えているような印象がありますが、彼らもその流れの一貫といった感じでしょうか。ただ、メロディアスでパンキッシュなサウンドと、郷愁感あるカントリーのメロがマッチして、絶妙なインパクトを作り出しています。カントリーというと、日本人的には好き嫌いがわかれそうなジャンルではあるのですが、このアルバムは文句なくはまりました。

4位 Distracted/Thundercat

聴いた当時の感想は、こちら

フライング・ロータスやケンドリック・ラマーなどの作品への参加へも知られ、日本でも高い評価を受けているベーシストThundercatの新作。毎回、フュージョンやソウル、ファンクなどの要素を取り入れた、ポップでメロウな作品が魅力的ですが、特に今回のアルバムではそんな彼のポップな側面が全面に押し出された作品となっています。また、フライング・ロータスやTame Impala、The Lemon Twigsなどのゲスト陣も豪華でアルバムに彩りを加えており、幅広いリスナー層が楽しめそうなポップなアルバムとなっています。

3位 you seem pretty sad for a girl so in love/Olivia Rodrigo

全世界的にはもちろん、日本においても大ヒットを記録した、まさに売上面でも今年を代表する1枚とも言えるオリヴィア・ロドリゴの最新作。恋に落ちてから、恋の最後、さらにその後の再生まで描いた構成もユニークですし、エレクトロサウンドやギターロック、アコースティックなポップまでバラエティーに富んだ楽曲の展開も魅力的。いい意味で広いリスナー層が楽しめる珠玉のポップスアルバムに仕上がっていますし、歌詞、メロディーライン、サウンドあらゆる点が高水準かつポップに収束している、理想的なポップスアルバムと言える作品です。

2位 Creature of Habit/Courtney Barnett

聴いた当時の感想は、こちら

オーストラリア出身のシンガーソングライターによる約5年ぶりのアルバム。前作「Things Take Time,Take Time」ではメロディアスなポップ路線にシフトしたのですが、今回のアルバムは再び、王道路線とも言うべきローファイ気味なオルタナ系ギターロック路線に回帰しています。一方で前作で提示したポップなメロディーラインは今回でも聴くことが出来、まさにロックな側面とポップな側面を上手く融合させた傑作に。いまの彼女の集大成とも言える作品に仕上がっていました。

1位 FENIAN/KNEECAP

聴いた当時の感想は、こちら

今年のフジロックでのパフォーマンスも大きな評判となった北アイルランド出身の3人組HIP HOPデゥオ、KNEECAP。社会派な主張が多いリリックも特徴的で、その主張と音楽性をしっかりリンクしていきている部分も大きな魅力。アメリカや中東、ウクライナなど、世界が再び、覇権主義に陥りそうになっている現在だからこそ、大きく評価されるべき作品と言えるでしょう。一方、音楽的にも重低音を駆使した高揚感あるリズミカルなビートが魅力的。その主張を抜きとしても、音楽的にも楽しめる傑作アルバムに。まさに2026年という年を象徴するような作品です。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 FENIAN/KNEECAP
2位 Creature of Habit/Courtney Barnett
3位 you seem pretty sad for a girl so in love/Olivia Rodrigo
4位 Distracted/Thundercat
5位 Blame The Crown/Twisted Teens

ほかのベスト5候補を並べると

To Whome This May Concern/Jill Scott
Nothing's About to Happen to Me/Mitski
Play Me/Kim Gordon
WOR$ST GIRL IN AMERICA/Slayyyter
HOPE!!/Angelique Kidjo

率直に言うと、上半期の洋楽シーン、かなりの不作だったように感じます。上記、5枚のアルバムを選びましたが、突出した作品はありませんでしたし、正直、下半期の動向次第では、上位5枚がすべて年間ベスト10から消える、という可能性すらある内容だったと思います。下期は是非とも挽回を期待したくなる、そんな上期の洋楽シーンでした。

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
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2025年 年間1 2 上半期

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2026年2月 6日 (金)

2025年年間ベストアルバム(邦楽編)その2

火曜日に引き続き、年間私的アルバム邦楽編。今日は5位から1位までです。

5位 Tabla Dhi,Tabla Dha/U-zhaan

聴いた当時の感想は、こちら

日本を代表するタブラ奏者であり、またコミカルなXでのつぶやきも話題となるU-zhaanの、単独名義のニューアルバム。様々なミュージシャンとコラボし、様々なタイプの楽曲にタブラを取り入れることにより、タブラの可能性を追求した1枚。タブラの演奏家としても、またその範囲を超えたミュージシャンとしての実力も感じさせる作品。ラストにはインド音楽もしっかりと含まれており、インド音楽の魅力に触れることもできます。タブラという楽器の魅力をあらためて実感した作品でした。

4位 Straβe/折坂悠太

聴いた当時の感想は、こちら

折坂悠太の新作は6曲入りのEP盤。ベルリンでのセッションを収録した作品だそうで、企画盤的な要素の強い作品となっています。基本的に既存曲のリメイクに新曲3曲を加えたものですが、バンドサウンドの色合いも強くなっています。特にタイトルはドイツ語で「通り」を意味するそうですが、そのタイトルの通り、路上でのセッションを収録したバンドとしての一体感と緊迫感が同居した魅力的な作品に。企画盤的な作品とはいえ、彼の作品として間違いなく今年を代表する傑作となっていました。

3位 LOST AND FOUND/ROTH BART BARON

Lostandfound_rothbartbaron

三船雅也のソロプロジェクト、ROTH BART BARONの2年ぶりとなるアルバム。毎回、年間ベストの候補としては入ってくる傑作をリリースしているものの、なにげにベスト10入りは初となります。今回は、タイトル通り「喪失と発見」をテーマとするアルバムで、「喪失」をイメージするかのような物悲しげなメロと、「再生」を象徴するドリーミーなエレクトロサウンドの対比が見事。喪失感を覚えつつ、その先にある希望を感じさせるような楽曲が耳を惹く傑作でした。

2位 観天望気/キセル

聴いた当時の感想は、こちら

個人的には、今、キセルというミュージシャンは最も過小評価されているミュージシャンのような気がします・・・。アコギとピアノというシンプルなサウンドを軸に、ジャズやラテン、民謡、さらにはエレクトロという要素まで組み込み、さらに独自の浮遊感を加えた、まさにキセルしか作りえない楽曲がつまっています。デビュー当初はもうちょっと注目を集めていたのですが、最近はこのアルバムにしても以前ほど騒がれていません・・・が、内容的にはむしろ今こそ全盛期ではないかと思うほどの傑作ぶり。多くの方に聴いてほしい傑作です。

1位 Gen/星野源

聴いた当時の感想は、こちら

今年リリースされた中では文句なしのNo.1だったのが本作。紅白歌合戦にも出演するお茶の間レベルの知名度を誇る彼が、これだけのアルバムをつくってくるあたり、日本の音楽シーンはまだまだ大丈夫、という印象を受けます。特にここに来て、ポップ以上に実験性の勝った、先駆的なポップミュージック、サウンドをどんどん取り入れている傾向が顕著となっています。個人的には、「LIFE」リリース後、一気にポップから離れていった小沢健二をイメージする部分があって気になってはしまうのですが・・・。それはそれとして、文句なしに2025年の日本の音楽シーンに大きな痕跡を残した傑作アルバムでした。

あらためて1位から10位を並べると・・・

1位 Gen/星野源
2位 観天望気/キセル
3位 LOST AND FOUND/ROTH BART BARON
4位 Straβe/折坂悠太
5位 Tabla Dhi,Tabla Dha/U-zhaan
6位 石の糸/kanekoayano
7位 可愛い女子/水曜日のカンパネラ
8位 音のする部屋/君島大空
9位 あばら/鈴木実貴子ズ
10位 第八作品集『無題』/downy

ほかのベスト盤候補は・・・

Zatto/小袋成彬
Music For Walking(Out Of The Woods)/ラブリーサマーちゃん
Luminescent Creatures/青葉市子
SOME BUDDY/礼讃
ファンクザウルスLP/ファンクザウルス
あの道から遠く離れて/GRAPEVINE
わたしの好きな労働歌/寺尾紗穂
ALL HAZE/TESTSET 
Preme/藤井風

年末の暫定版の頃は、かなりベスト10選定にも苦労しそうな不作気味の1年のようにも思えたのですが、結果として、洋楽ほどではないものの、それなりに傑作の多い1年だったように感じます。特に上期にも感じたのですが、星野源、折坂悠太、君島大空、小袋成彬、藤井風にような男性シンガーソングライターの活躍が目立つようにも思います。今年、アルバムのリリースはなかったのですが、米津玄師も大ヒットを飛ばしていますしね。今年も、男性SSW中心に、数々の傑作が生みだされることを期待しましょう。

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2008年 年間1 2 上半期
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2010年 年間1 2 上半期
2011年 年間1 2 上半期
2012年 年間1 2 上半期
2013年 年間1 2 上半期
2014年 年間1 2 上半期
2015年 年間1 2 上半期
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2019年 年間1 2 上半期
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2022年 年間1 2 上半期
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2025年 上半期

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2026年2月 3日 (火)

2025年年間ベストアルバム(邦楽編)その1

洋楽編に続き、2回にわたって邦楽の2025年年間ベストアルバムです。

10位 第八作品集『無題』/downy

聴いた当時の感想は、こちら

アニメキャラによるジャケット写真が、いままでのdownyとはちょっと異なる印象を抱く新作ですが、基本的には今回もまた、downyらしい傑作となった最新作。圧巻のサイケデリックなバンドサウンドに、変拍子も用いた独自のグルーヴ感は今回も変わらず。新メンバー加入により、サンプラーをメインで使用している曲も登場するなど、ここに来て新たな挑戦を感じる部分も。バンドとしては本作が一区切りという話もあり、今後の動向にも注目されるのですが、バンドとしてやり切った感も強い傑作アルバムでした。

9位 あばら/鈴木実貴子ズ

聴いた当時の感想は、こちら

ライブではじめて彼女たちの音を聴き、今年、一気にはまった名古屋在住の2ピースバンドによるアルバム。現実の厳しさを直視しつつ、それを受け入れて前に進んでいこうという歌詞が印象的。非常にシンプルでタイトなサウンドをバックに、鈴木実貴子の心の底からの吐露のような力強いボーカルも強く心に残ります。その姿をコアの部分からむき出しにしたような楽曲で、まさに圧巻という言葉がピッタリと来るような作品。今後、さらに知名度が高まりそう。

8位 音のする部屋/君島大空

聴いた当時の感想は、こちら

今、最も勢いのあるシンガーソングライター、君島大空の新作は6曲入りのEP盤。EP盤ということもあって、この手のベストアルバムで上位にあまり食い込んでこなさそうなのですが、ただ、逆に6曲という限られた曲数だからこそ、彼の挑戦心を強く発揮された作品になっており、文句なしの傑作に仕上がっていました。一方で、挑戦的な作品だけではなく、しっかりとポップに聴かせる曲も収録されており、彼の実力をあらためて感じさせる作品に。EP盤ながらも間違いなくチェックしておきたい傑作です。

7位 可愛い女子/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

詩羽ボーカルもすっかり板について、安定感の増した感のある水カンの新作。相変わらずリリースペースは早く、本作も前作から1年3か月というインターバルの作品になっていますが、それにも関わらずクオリティーが全く衰えていないのは見事。「可愛い女子」というタイトルの通り、可愛らしいポップソングが並ぶアルバムとなっており、全曲タイアップ付きなだけに、そのポピュラリティーの高さは見事。水カンらしいキュートなポップソングが心から楽しめる作品になっています。

6位 石の糸/kanekoayano

聴いた当時の感想は、こちら

毎回、傑作をリリースし続けている注目のシンガーソングライター、カネコアヤノがなんとバンドを結成。その名もkanekoayano。もともとカネコアヤノのバンドメンバーとして活動していた人たちを加えた3人組のバンド。そのため、基本的にはいままでのカネコアヤノ路線から大きな変化はないものの、カネコアヤノ名義の曲よりも、よりバンドサウンドを前に押し出したような楽曲に。その結果、バンドサウンドと歌の対比がより明確になり、ある意味、カネコアヤノの魅力がより発揮された1枚になった、と言えるかもしれません。もちろん、今回も文句なしの傑作です。

5位から1位までは金曜日予定の次回更新で!

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2026年2月 2日 (月)

2025年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に引き続き年間私的ベストアルバムの洋楽編。今日は5位から1位までの紹介です。

5位 TSAPIKY! MODERN MUSIC FROM SOUTHWEST MADAGASCAR

このアルバムはすごい!もともと、「ミュージック・マガジン誌」のワールドミュージック部門の年間ベストでランクインしていて聴いた1枚。マダガスカルの南西部、ツァピキ地方の音楽をまとめた作品で、葬儀や結婚式などで歌われてきた儀式音楽をそのまま収録したもの。ギターやパーカッションの最低限のサウンドで奏でられる音楽は、パンクに通じるようなアグレッシブな楽曲を奏でつつも、狂乱とも言える独特のリズム感を奏でています。いまだに世界にはこんな音楽があるんだ!と、世界の広さをあらためて実感するアルバムでした。

4位 LUX/ROSALÍA

聴いた当時の感想は、こちら

おそらく、いろいろなメディアの年間ベストを見ていて、2025年を代表する1枚となりそうなのが本作ではないでしょうか。ラテン音楽という枠組みを超えて、世界レベルで高い評価を受けていROSLÍAのニューアルバム。ビルボードチャートでも上位にランクインするなど、実力・人気共に高い評価を受けています。本作はオーケストラを大胆に導入した挑戦的な作風でありつつもラテンの要素を上手く織り込み、かつしっかりとポップにまとめ上げており、高い評価も納得の傑作に仕上がっていました。評価、人気ともにまだまだ高まりそうです。

3位 Sinister Grift/Panda Bear

聴いた当時の感想は、こちら

個人的には上期では1位2位のアルバムが頭ひとつ抜けていたような感があったのですが、年間通じてもやはり頭ひとつ抜けた傑作であることは間違いありません。Animal Collectiveのメンバーによるソロアルバム。どこか懐かしさを覚えつつも、コーラスラインとメロディーが絶妙にからみあったドリーミーなポップはまさに絶品。いつまでも聴き続けていたくなるような夢の世界が広がってくるアルバム。文句なしに2025年を代表する傑作のポップアルバムでした。

2位 Black Star/Amaarae

Blackstar_amaarae

聴いた当時の感想は、こちら

ガーナ系アメリカ人ミュージシャンによる3枚目のアルバム。ガーナの国旗をモチーフにした写真の、真ん中にある「黒い星」の部分に彼女を配したジャケット写真が印象的な作品は、彼女のルーツであるガーナ、自己意識、そしてダンスミュージックのルーツが黒人であることを示した作品となっています。強いエレクトロビートをしっかりと聴かせるトライバルなリズムが印象的な作品ですが、一方でメロディーラインが非常にとっつきやすいポップなものである点も印象的な作品。挑戦的なサウンドでありつつも、なじみやすいポピュラリティーとしっかり両立させた傑作となっていました。

1位 EUSEXUA/FKA Twigs

聴いた当時の感想は、こちら

上期の1位でもありましたが、年間ベストでも文句なしの1位獲得。UKガラージやトランスなどを取り入れた、疾走感のあるダンスチューンを聴かせてくれたかと思えば、一方で幻想的なナンバーやキュートなポップチューンを聴かせてくれる作品。さらにラストはスケール感あるR&Bを聴かせてくれたりと、最後までバラエティーある展開から耳が離せない傑作アルバムとなっていました。間違いなく2025年を代表する傑作アルバムだったと思います。

あらためてベスト10を振り替えると・・・

1位 EUSEXUA/FKA Twigs
2位 Black Star/Amaarae
3位 Sinister Grift/Panda Bear4位 LUX/ROSALÍA
5位 TSAPIKY! MODERN MUSIC FROM SOUTHWEST MADAGASCAR
6位 Bleeds/Wednesday
7位 45 Pounds/YHWH Nailgun
8位 Getting Killed/Geese
9位 Sad And Beautiful World/Mavis Staples
10位 Tether/Annahstasia

他のベスト盤候補としては・・・

Glory/Perfume Genius
Cowards/Squid
The Human Fear/Franz Ferdinand
CRITICAL THINKING/MANIC STREET PREACHERS
Constellations For The Lonely/Doves
For Melancholy Brunettes(& sad women)/Japanese Breakfast
Radio DDR/Sharp Pins
SABLE,fABLE/Bon Iver
Lucro Sucio; Los Ojos del Vacio/The Mars Volta
hexed!/aya
10/SAULT
Tall Tales/Mark Pritchard&Thom Yorke
Lotus/Little Smiz
NEVER ENOUGH/Turnstile
DON'T TAP THE GLASS/Tyler,The Creator
Bugland/No Joy
Baby/Dijon
Double Infinity/Big Theif
The Hives Forever Forever The Hives/The Hives
Through The Wall/Rochelle Jordan
THE BPM/Sudan Archives
Vie/Doja Cat

全体的に不作気味だった2024年に比べると、2025年は文句なしに傑作の多い1年だったと思います。ベスト盤候補にあげたアルバムの多くが、いつもならば十分、ベスト10候補となりうるレベルの作品でした。また、2026年も多くの傑作に出会えますように。

2007年 年間
2008年 年間 上半期
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2025年 上半期

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2026年2月 1日 (日)

2025年年間ベストアルバム(洋楽編)その1

今日から4回にわけて、2025年私的年間ベストアルバムをお送りします。まずは洋楽の第1弾。

10位 Tether/Annahstasia

Tether

聴いた当時の感想は、こちら

本作がデビュー作となる、アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動する女性シンガー。基本的にシンプルなサウンドをバックにフォーキーに聴かせるスタイルを軸としつつ、時としてロック色の強い作品があったりと、バリエーションを持たせた楽曲も魅力的ですが、なによりも最大の魅力は表現力たっぷりの彼女のボーカル。時として力強く、時として優しく、そして時としてスモーキーに聴かせるボーカルに、まずは強く惹かれる1枚でした。

9位 Sad And Beautiful World/Mavis Staples

表現力ある魅力的なボーカルといえば間違いなく彼女も忘れてはいけません。1950年代から活躍を続けるレジェンド、メイヴィス・ステイプルズ。いまだに現役バリバリで活動を続ける彼女は、現在86歳(!)。そんな中でリリースされた作品は、カバー曲中心のアルバムながらも、フランク・オーシャンのカバーも取り入れていたりと、ちゃんと「今」の音楽にもアップデートしています。年齢を感じさせない魅力的な歌声を聴かせたかと思えば、年齢を重ねたからこそ歌える歌もあったりと、圧倒的なボーカルを聴かせてくれる傑作です。

8位 Getting Killed/Geese

Geese_getting_killed

聴いた当時の感想は、こちら

2025年、各所で大絶賛を受けている、アメリカのインディーロックバンドによる4枚目のアルバム。いわゆるアートロックやエクスペリメンタルロックにカテゴライズされる彼らだけに、実験的な音楽性を取り込みつつ、一方で、ホーンセッションやバイオリン、パーカッションなどのアコースティックな音色を取り込んだ暖かくも懐かしさを感じさせるサウンドがポピュラリティーを感じさせる作品で、この実験性と大衆性のバランスが絶妙。大絶賛も納得の作品でした。

7位 45 Pounds/YHWH Nailgun

45pounds

聴いた当時の感想は、こちら

本作がデビューアルバムとなる、ニューヨークの4人組ロックバンド。8位にGeeseと同様、エクスペリメンタルロックにカテゴライズされる彼らですが、こちらはファンクやトライバル、ハードコアなど様々な要素を内包した、よりアバンギャルドさの増した作風が特徴的。かなりテンションの高い作品ながらも、21分という短さで一気に演奏しきるような内容はインパクト十分。新しいスタイルを感じさせるアグレッシブな内容で、ロックというジャンルの可能性をまだまだ感じさせるような傑作になっていました。

6位 Bleeds/Wednesday

聴いた当時の感想は、こちら

前作「Rat Saw God」も2023年私的ベストアルバムの1位に選びましたが、それに続く本作も、文句なしの傑作アルバムに。今回もまた、彼らの王道とも言える、シューゲイザー直系のノイジーなアレンジで、フォークやカントリーの影響を受けたような暖かみのあるメロディーラインが特徴的。それに加えて、本作ではアコースティックテイストのアレンジとなった作品や、パンキッシュな楽曲なども織り交ぜて、全体的に前作よりグッとバリエーションを増した作風に。Wednesdayの可能性をより広げてきた傑作アルバムでした。

5位以降はまた明日に!

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2026年1月 1日 (木)

謹賀新年

新年、明けましておめでとうございます。本年も当「ゆういちの音楽研究所」をよろしくお願いします。


正直、2025年は、目立ったヒット曲が少ない1年でした。ほとんど1年間、目立ったヒット曲はミセスだけで、その他ではサカナクションの「怪獣」が奮闘したくらい。ようやく下期にHANAがヒットを飛ばし、年末に米津玄師の「IRIS OUT」が、2025年を代表するヒット曲となったくらい。全体的に残念ながら音楽シーン全体が低迷していまったような印象を受けます。

そんな中でのレコード大賞、大賞はミセス、新人賞はHANAというのは、レコ大としては珍しく(?)、まあ妥当な結果といった感じでしょうか。特に新人賞って、いつもいかにも事務所の力で無理やり取らせたような、私でも「誰?」と思うような人が取っていくケースが少なくないのですが、今回のHANAは妥当中の妥当といった感じ。他に新人賞を取れそうな新人が今年は出なかった、ということもありますが・・・。


今年もまた、大みそかの夜は家でまったりと紅白を見ていました。

個人的には例年、紅白は「肯定派」で、あれだけ価値観が多様化して、家で家族そろってテレビを見るという習慣が薄れつつある中、よくぞあれだけ、いろいろな世代が楽しめるような、様々なミュージシャンたちを集めつつ、ちゃんとその1年に活躍したミュージシャンたちも選んでいるな、と感心しています。

先に書いた通り、いまひとつヒット曲不在だった2025年の中で、いろいろ苦心しつつも、よくあれだけ豪華なメンバーを集められたな、とは思うのですが・・・ただ、結構批判は多かったようですが、やはり特別企画枠が多すぎるようには感じました。あと、全体的にその特別企画も含めて全体的にマンネリ気味で・・・矢沢永吉のサプライズ出演も、昨年のB'zの2匹目のどじょうといった感じで、正直、あまり驚かず・・・。いろいろと見せ方に苦心しているのはわかるのですが、このマンネリ気味な演出がかなり気になりました。

まあ、それだけ昨年は、これといった注目を集めるような新しいミュージシャンに乏しかった、ということなんでしょうね。確かにそんな中、ちゃんみなのパフォーマンスはいろいろな意味で目を惹いてすごかったなぁ、と感じました。間違いなく昨年の紅白のNo.1のパフォーマンスだったかも。あと、何気にハンバートハンバートのほっこりした演奏にも心を惹かれるものもありましたし、もちろん星野源や米津玄師のパフォーマンスもとてもよかったです。何気に今回も紅白の各ミュージシャンのパフォーマンスには楽しませてもらえました。

そんな訳で、今年はミセスを超えるくらいの、人気ミュージシャンの登場を願って。1年のポップスシーンが栄えあるものでありますように。

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2025年12月31日 (水)

2025年ベストアルバム(暫定版)

今年も早いもので年明けまで1時間を切りました。恒例の2025年ベストアルバム(暫定版)の発表です。

邦楽

まず上半期のベスト5です。

1位 Gen/星野源
2位 観天望気/キセル
3位 Straβe/折坂悠太
4位 音のする部屋/君島大空
5位 あばら/鈴木実貴子ズ

これに続く下半期のベスト盤候補は・・・

石の糸/kanekoayano
あの道から遠く離れて/GRAPEVINE
わたしの好きな労働歌/寺尾紗穂
Tabla Dhi,Tabla Dha/U-zhaan
可愛い女子/水曜日のカンパネラ

あれ?今年はあまり不作というイメージはなかったのですが、こうやって並べると、ベスト盤候補は意外と少ないような・・・。まだ年末の新譜ラッシュのアルバムをすべてはチェックしていないので、まだまだ2025年ベストアルバム候補は増えそうな感はあるのですが、さてさて・・・。

洋楽

こちらも上半期のベスト5です。

1位 EUSEXUA/FKA Twigs
2位 Sinister Grift/Panda Bear
3位 45 Pounds/YHWH Nailgun
4位 Glory/Perfume Genius
5位 Cowards/Squid

これに続く下半期のベスト盤候補は・・・

Lotus/Little Smiz
NEVER ENOUGH/Turnstile
Tether/Annahstasia
DON'T TAP THE GLASS/Tyler,The Creator
Black Star/Amaarae
Bugland/No Joy
Baby/Dijon
Double Infinity/Big Theif
The Hives Forever Forever The Hives/The Hives
Bleeds/Wednesday
Getting Killed/Geese
Through The Wall/Rochelle Jordan

こちらは文句なしに傑作揃い。不作気味だった昨年から一転、かなり名盤の並び、10枚選ぶのが大変になりそうな予感がします。こちらも年末にかけてまだ聴き逃したアルバムも多く、さらに候補は増えそうです。

今年もまた、2025年の各種メディアのベスト盤を集計したサイトがあります。

https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2025/

こう見ると、今年は1位と2位のアルバムが頭ひとつ出ている感がありますね。

来年もまた、多くの傑作アルバムに出会えますように。それではみなさん、良いお年を!

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2025年8月 8日 (金)

2025年上半期 邦楽ベスト5

前回に続き、今回は邦楽の上半期ベスト5です。

5位 あばら/鈴木実貴子ズ

聴いた当時の感想は、こちら

おそらく、ライブではじめて知ってここまではまったミュージシャンは久しぶりかもしれません。ギターボーカルの鈴木実貴子と、ドラムのズによる2人組バンド鈴木実貴子ズのメジャーデビューアルバム。今年のGWのライブサーキットで、はじめてそのステージを目撃し、すっかり気に入ってしまったのですが、現実の厳しさを直視しつつ、それを受け入れ、なおかつ前を向くような歌詞が心に響いてくると同時に、シンプルでエッジの効いたサウンドもカッコいいバンド。徐々に注目を集めているようで、これからの活躍への期待を込めてのランクインです。

4位 音のする部屋/君島大空

聴いた当時の感想は、こちら

新進気鋭のシンガーソングライター、君島大空の6曲入りのEP盤。毎回、実験精神に富んだ挑戦的な作品を作り上げている彼ですが、今回もわずか6曲ながらも、そんな彼を象徴するかの如く、挑戦的な作品がつまっています。否、6曲入りのEP盤だからこそ、逆にその挑戦心がより高まっているように感じる作品。一方で、その中で組み込まれている彼のメロウな歌声は実にポップで心地よく、この両者のギャップがまた、大きな魅力となっている作品でした。

3位 Straβe/折坂悠太

聴いた当時の感想は、こちら

こちらも毎作、傑作をリリースし続ける折坂悠太の6曲入りのEP盤。直近作「呪文」のリリースへ向けて、ベルリンで行われたセッションを収録した作品だそうで、そのため、フォーキーな作風がより強くなったサウンドに、よりバンドサウンドの色合いが強くなったような構成が魅力的。そんな中で、セッションらしい緊迫感のあるサウンドが魅力的で、折坂悠太らしい作品が並びつつも、オリジナルアルバムとはまた異なる彼の魅力を感じさせる、そんなEP盤になっていました。

2位 観天望気/キセル

聴いた当時の感想は、こちら

こちらは実に約7年5か月ぶりとなるキセルのニューアルバム。かなり久々の新譜となったのですが、アコギとピアノというシンプルな構成を軸としつつ、ジャズや民謡、ラテン、さらにはエレクトロの要素までを取り込みつつ、独特の浮遊感を持たせた楽曲の数々が実に魅力的。特にコロナ禍の中で、兄辻村豪文が松本へ引っ越し、民謡を取り入れた宅録プロジェクトを立ち上げたりしたそうですが、そんな影響がアルバムにも強く感じさせる作品に。すっかりベテランバンドの彼らですが、その中でも最高傑作かも、と言えるだけの内容で、あらためてキセルの魅力を確認できた1枚でした。

1位 Gen/星野源

聴いた当時の感想は、こちら

3位に折坂悠太、4位に君島大空がランクインしているように最近、男性シンガーソングライターの活躍が目立ちます。今回、ベスト5入りとはなりませんでしたが、小袋成彬の新譜も候補の1枚でした。彼らはいずれも、ポップなメロを聴かせつつ、実験性を兼ね備えたポップスを聴かせてくれるのですが、彼らと同じ土俵に立ちつつ、しっかり「お茶の間レベル」でも通用する楽曲を書いているのが彼、星野源。実に6年半ぶりとなる新譜では、ただ、そんな「お茶の間レベル」のポップを書きつつも、むしろあえてわかりやすさから距離を置いたような挑戦的な作品が目立ち、彼の本職、シンガーソングライターとしての矜持を感じさせるアルバムとなっていました。文句なしに星野源のすごみを感じさせる傑作でした。

あらためて1位から5位まで並べると・・・

1位 Gen/星野源
2位 観天望気/キセル
3位 Straβe/折坂悠太
4位 音のする部屋/君島大空
5位 あばら/鈴木実貴子ズ

ちなみに上半期、ベスト盤候補の枠外で最もはまったアルバムがあり、それが、「Makihara Noriyuki Concert 2024 “TIME TRAVELING TOUR” 2nd Season ~Yesterday Once More~/槇原敬之」。90年代の彼の曲のみ選曲したライブツアーの模様を収録したライブアルバム。もちろん、過去作のベスト的な選曲ですし、また、ポップミュージシャンの彼は、ライブとはいってもオリジナルと大きく異なるアレンジにもなっていないため、私的ベストの対象外ですが、それを差し引いても、神がかった90年代の彼の名曲の数々に、聴くだけで涙した文句なしの内容。ともすれば、向こう10年で一番はまった・・・といったくらいのレベルかもしれません。そのため、ここであえて備忘的に、特別枠ということで。

ほかのベスト盤候補は・・・

Zatto/小袋成彬
Music For Walking(Out Of The Woods)/ラブリーサマーちゃん
Luminescent Creatures/青葉市子
SOME BUDDY/礼讃
第八作品集『無題』/downy
ファンクザウルスLP/ファンクザウルス

正直、全体的に傑作はさほど多めではなかったようにも思います。一方で、ベスト盤にあがったアルバムについては候補作も含めて、どれもベスト5入りしてもおかしくない傑作ばかりで、そういう意味で濃度が濃かったようにも思います。また、目立つのはシンガーソングライター勢の活躍で、特に男性陣は、ベスト5中3枚まで男性SSWでしたし、さらには小袋成彬も候補作に。女性SSWも、ラブリーサマーちゃんや青葉市子など、バンド勢よりもSSW勢の活躍が目立ちました。下期もこの傾向が続くのか、それとも、バンド勢や、今回、ベスト盤候補も含めて顔をのぞかせなかったHIP HOP勢からも傑作がリリースされるのか・・・下期の動向も注目です。

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2025年8月 5日 (火)

2025年上半期 洋楽ベスト5

例年より発表が少し遅くなってしまいましたが、上半期の私的アルバムベスト5。まずは洋楽編です。

5位 Cowards/Squid

聴いた当時の感想は、こちら

イギリスのポストロックバンドによる新作は、「悪」をテーマとした作品。ニューウェーヴやレトロなギターロック、サイケなどの要素を取り入れ、凝ったサウンドを展開しつつも、全体的にはポップに聴かせるスタイルは、「悪」をテーマにしつつ、どこか「暗いおとぎ話」のようなファンタジックさも。ポストロックらしい複雑さを持ちつつ、一方で聴きやすいポップスさも持ち合わせ、さらにロックバンドらしいダイナミズムも持ち合わせた傑作アルバムでした。

4位 Glory/Perfume Genius

聴いた当時の感想は、こちら

リリースするアルバムが、毎作、年間ベストクラスの傑作となっているPerfume Geniusの新作が、またもや上半期ベストにランクイン!今回のアルバムは彼のアルバムでのテーマ「身体とその崩壊、家庭生活と愛、逃れられない歴史と傷」を描きつつ「苦難を越えた先で、過去に起きたすべてと向き合いながらも、静かで未知の場所で生きることを学ばなければならないという」新しい視点が描かれているということですが、静と動をダイナミックに行き来するようなサウンドに、美しい歌声、メロディーが大きな魅力。今回もグッと聴き入ってしまう作品でした。

3位 45 Pounds/YHWH Nailgun

45pounds

聴いた当時の感想は、こちら

HIP HOP隆盛の中、すっかり元気をなくしているアメリカのロックシーンですが、そんな中、今年、俄然注目をあつめたのが彼ら。メタリックさを感じるエッジの効いたサウンドに、トライバルの要素を取り入れつつ、複雑さも感じさせるリズム、ドローン的でもあり、ハードコアの要素もあるヘヴィーなボーカルスタイルながらも、非常に凝ったサウンドメイキングが魅力的な、独特な楽曲を聴かせてくれています。アルバム全10曲入り21分という短さながらも、複雑に展開される構成が魅力的な作品。こういうバンドが出てくるあたり、アメリカのミュージックシーンの奥深さを感じてしまいます。

2位 Sinister Grift/Panda Bear

聴いた当時の感想は、こちら

Animal Collectiveのメンバーによるソロアルバム。いままでも何作かアルバムをリリースしており、いずれも傑作アルバムでしたが、そんな中でも特に最高傑作とも言えるのが今回の作品。基本的に懐かしさを感じさせるポップスを軸にしつつも、美しいコーラスラインとメロディーが絶妙に絡み合ったドリーミーなポップやサイケなサウンド、さらにはレゲエの要素を取り入れた曲などバラエティーに展開。いつまでも聴き続けたいと思わせてくれるような、そんな傑作アルバムでした。

1位 EUSEXUA/FKA Twigs

聴いた当時の感想は、こちら

こちらもアルバムをリリースする毎に、ベストアルバムに顔を覗かせるFKA Twigsの新作。傑作揃いのアルバムの中でも今回は特に、彼女の最高傑作ともいえる内容だったと思います。四つ打ちのダンスビートを軸として、UKガラージやトランス、メタリックなサウンドなどエッジの効いた疾走感あるサウンドを聴かせてくれたかと思えば、一方では幻想的なナンバーやキュートともとれるポップな曲、さらには日本語のラップまで登場してきます。そしてラストはスケール感あるR&Bの楽曲をしっかりと歌い上げるという構成も見事。ポップと挑戦心をしっかりと両立させた傑作アルバムとなっていました。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 EUSEXUA/FKA Twigs
2位 Sinister Grift/Panda Bear
3位 45 Pounds/YHWH Nailgun
4位 Glory/Perfume Genius
5位 Cowards/Squid

ほかのベスト5候補を並べると

The Human Fear/Franz Ferdinand
CRITICAL THINKING/MANIC STREET PREACHERS
Constellations For The Lonely/Doves
For Melancholy Brunettes(& sad women)/Japanese Breakfast
Radio DDR/Sharp Pins
SABLE,fABLE/Bon Iver
Lucro Sucio; Los Ojos del Vacio/The Mars Volta
hexed!/aya
10/SAULT
Tall Tales/Mark Pritchard&Thom Yorke

昨年は、全体的に傑作が少なかった1年でしたが、今年上半期は、かなり傑作のリリースが多かったように思います。もっとも、昨年も上半期の段階では傑作が多い・・・といった印象を受けていたので、年間を通じては、まだどうなるかわからないのですが・・・。ただ、昨年は、上期の段階で頭ひとつぬけた傑作はなかった一方、今回は、特に1位から3位のアルバムは明らかに頭ひとつとびぬけた傑作だったと思います。下期もどんな傑作が出てくるのか、楽しみです。

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