音楽コラム

2024年8月 3日 (土)

2024年上半期 邦楽ベスト5

昨日に続き、本日は邦楽のベスト5です。

5位 ラヴの元型/AJICO

聴いた当時の感想は、こちら

あのUAとベンジーが組んだということで大きな話題となったバンドAJICOが、なんと2021年に突然の復活。EP「接続」リリース後、さらに約2年10ヶ月の月日を経てリリースされた6曲入りのEPなのですが、これがめちゃくちゃカッコいい!ベンジーの書くメロディーがUAのボーカルにピッタリと合って、彼女の独特の色気も加わり、さらにそんな彼女を支えるベースのTOKIE、ドラムスの椎野恭一と一流揃いのメンバーとの息もピッタリ。しびれるほどカッコいい傑作です。

4位 らんど/ZAZEN BOYS

聴いた当時の感想は、こちら

ライブ活動は継続的に行われていたのでちょっと意外にも感じるのですが、実に11年ぶりとなるZAZEN BOYSの新作。今回もサウンドも言葉も必要最低限に削った緊迫感ある楽曲が並びます。基本的に前作から作風的には大きな変化はない、これぞ向井秀徳節といった感じなのですが、新ベーシストのMIYAが加わったことによって、以前よりベースがファンキーになったようにも感じます。今回も文句なしの傑作アルバムでした。

3位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン

聴いた当時の感想は、こちら

相変わらず奇抜なタイトルとジャケット写真も特徴的なマハラージャンの新作。今回もユーモアセンスたっぷりながらも、ロックやファンク、ディスコチューン、エレクトロの要素などを取り入れた音楽性に、メロディーや歌詞含めて、これでもかといったインパクトあふれる作風の楽曲が魅力的。楽曲の良さと、ほどよく入っているユーモアのバランスもちょうど良く、そろそろブレイクしてもよいとは思うのですが・・・。

2位 呪文/折坂悠太

アルバムレビューではまだ取り上げていないので、ここが先の紹介となってしまうのですが、アルバムをリリースする毎に傑作をリリースし続ける彼ですが、今回のニューアルバムも文句なしの傑作に仕上がっていました。今回は、以前の作品に比べて、暖かい歌モノが目立った作品。ただ、シンプルでフォーキーな作品が目立つ中で、サウンド面でもしっかりと挑戦的な部分も垣間見れ、彼のミュージシャンの実力をしっかりと発揮した1枚となっていました。

1位 Slash-&-Burn/Daoko

聴いた当時の感想は、こちら

上半期1位は、Daokoのニューアルバム!自主レーベル移籍後初となるアルバムなのですが、メジャーを離れたことによって自由度が増したのか、音楽的にもバラエティー富んだ作品が多く、実験的な作風も目立ちます。歌詞でも内省的な歌詞に聴いていてドキッとする部分もあり、Daokoの本音が垣間見れる部分も。彼女のキュートな歌声もマッチしており、様々な面でDaokoというミュージシャンの本領が発揮された傑作アルバムです。

ほかのベスト盤候補は・・・

Contact/角銅真実
時をかけるメロディー/小山田壮平
wood mood/藤原さくら
POPCORN/THE BOWDIES
POP DELIVERY/水曜日のカンパネラ
放生会/椎名林檎
ディスコの卵/ゲスの極み乙女

傑作は少なくはなかったのですが、全体的には不作気味かなぁ。特に、洋楽同様、頭ひとつ出たような傑作はなかったのは残念ですし、折坂悠太もZAZEN BOYSも傑作であることは間違いないのですが、正直、前作を超えたか、と言われると若干微妙な感もあります。さて、あらためて上位5作を並べると

1位 Slash-&-Burn/Daoko
2位 呪文/折坂悠太
3位 ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン/マハラージャン
4位 らんど/ZAZEN BOYS
5位 ラヴの元型/AJICO

下期はさらなる傑作が登場することを期待しましょう!

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 年間1  上半期

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2024年8月 2日 (金)

2024年上半期 洋楽ベスト5

今年も、既に7か月が経過しました。上半期の私的アルバムベスト5、まずは洋楽編です。

5位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

聴いた当時の感想は、こちら

ご存じ元oasisのカリスマ的ボーカリスト、リアム・ギャラガーが、同じくカリスマ的な人気を誇り、oasisのルーツの1つでもあるバンド、ザ・ストーン・ローゼズのジョン・スクワイアと組んでリリースしたアルバム。まさに夢のタッグとも言える組み合わせ。基本的にジョン・スクワイアの書いた楽曲をリアムが歌うスタイルなのですが、やはりローゼズに影響を受けているからでしょうか、リアムのボーカルもピッタリマッチ。正直、そのままoasis+The Stone Rosesといった感じの曲調は「ベタ」という印象を受け、それ故に評価はあまり高くないようですが、個人的にはかなり壺にはまった作品でした。

4位 What Now/Brittany Howard

聴いた当時の感想は、こちら

現在、活動休止中のバンド、Alabama Shakesのボーカリストによるソロ2枚目のアルバム。バンドとしても毎回、高い評価を誇る傑作をリリースし続け、ソロとしても前作「Jaime」も高い評価を得た傑作をリリースした彼女。ジャズ寄りで、あえてAlabama Shakesと差をつけてきた前作に比べ、本作はソウルにロックを融合させたAlabama Shakesの路線をそのまま引き継ぐような作品になっていましたが、それだけに力強く表現力豊富な彼女のボーカルを存分に生かした傑作になっていました。

3位 Cowboy Carter/Beyonce

Cowboycarter

聴いた当時の感想は、こちら

いかにもアメリカなジャケット写真も目をひくBeyonceの新作は、彼女があえてカントリー音楽に向き合ったという作品。とかく保守白人層の音楽とみなされるカントリーに、彼女があえて挑んだ作品で、彼女自身はこのアルバムを「カントリー」ではなくあくまでも「Beyonceのアルバム」と語っています。分断が目立つアメリカにおいて、あえてその分断を乗り越えようとする力強い主張を感じさせるアルバム。もちろん、楽曲自体のクオリティーも言うまでもありません。間違いなく2024年を代表する作品と言える内容でした。

2位 BLEACHERS/Bleachers

聴いた当時の感想は、こちら

現在は売れっ子プロデューサーとして活躍しているジャック・アントロノフによるソロプロジェクト。もともとは、かつて注目を集めたロックバンドfun.のメンバーだったそうで、今回、Bleachersとしての作品ははじめて聴いたのですが、fun.はリアルタイムで聴いたことがあり、ポップでインパクトのあるメロを書くバンドだったということを覚えています。そんな彼のソロとしての新作は、まさにそのfun.の時代を彷彿とさせるかのような、陽気でポップなメロディーに加えて、fun.時代にはちょっと一本調子に感じられた音楽性がグッと進化し、バラエティー富んだ作風が大きな魅力となった傑作アルバムに進化。傑作のポップアルバムに仕上がっていました。

1位 Hovvdy/Hovvdy

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシンガーソングライターデゥオによるアルバム。胸にキュッと響いてくるような美しいメロディーラインは魅力のデゥオなのですが、2人ともソングライターであるが故の、微妙な音楽性の違いがまたアルバムに幅を持たせて大きな魅力となっています。特に楽曲によっては、TEENAGE FANCLUBっぽさを感じさせる部分もあり、個人的にはかなり壺にはまりまくった1枚。エレクトロを取り入れたサウンドはシューゲイザーからの影響も感じられ、とにかくメロディーとサウンドの美しさに惹かれまくった傑作でした。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 Hovvdy/Hovvdy
2位 BLEACHERS/Bleachers
3位 Cowboy Carter/Beyonce
4位 What Now/Brittany Howard
5位 Liam Gallagher & John Squire/Liam Gallagher & John Squire

ほかのベスト5候補は

Wall Of Eyes/The Smile
SAVIORS/GREEN DAY
TANGK/IDLES
I Got Heaven/Mannequin Pussy
The Collective/Kim Gordon
Bright Future/Adrianne Lenker
ONLY GOD WAS ABOVE US/Vampire Weekend
Funeral for Justice/Mdou Moctar
BRAT/Charli xcx
Night Reign/Arooj Aftab
A Drema Is All We Know/The Lemon Twigs

上半期はかなり傑作のリリースが多かったと思います。特にベスト5に入れなかったものの、Mannequin Pussy、Kim Gordon、Charli xcx、Arooj Aftabは、通常の年ならば余裕でベスト5に入れていたほどの傑作だったと思います。ただ一方では、頭ひとつとびぬけたような傑作はなかったような気が。そういう意味では、1位を選ぶのみ逆の意味でちょっと難しくなってしまった感もありました。下期もさらなる傑作の誕生を期待したいところです!

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 年間1  上半期

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2024年2月 5日 (月)

2023年年間ベストアルバム(邦楽編)その2

昨日に引き続き年間私的アルバム邦楽編。今日は5位から1位までです。

5位 12/坂本龍一

聴いた当時の感想は、こちら

2023年はミュージシャンの訃報が相次いだことが話題となりました。その一人が坂本龍一。癌の闘病生活の末に、昨年、惜しまれつつこの世を去りました。その彼が最期にリリースしたアルバムが本作。闘病時期の日記のように、日付を記したタイトルの曲が収録されている曲は、アンビエントの作品が並びます。ひとつひとつの音を丁寧に紡ぐその姿は、最後の最後までミュージシャンとして挑戦を続ける坂本龍一の矜持を感じされます。なお、アメリカのPitchforkでの年間ベストで40位にランクインするなど、世界的な評価も高く、「世界のサカモト」の姿を見せつけた傑作ともなっています。

4位 1STST/TESTSET

聴いた当時の感想は、こちら

もともとは高橋幸宏を中心としたバンドMETAFIVEが、小山田騒動や高橋幸宏の体調不良により活動を休止。その派生グループとしてメンバーの砂原良徳とLEO今井を中心に結成された新バンドがTESTSET。本作は、そのデビュー作となります。一流のプレイヤーたちが揃ったTESTSETの魅力は、基本的にはエッジの効いたファンキーなサウンドが最高にカッコいいのですが、さらにそこにのるLEO今井のボーカルのカッコよさが際立ちます。彼のボーカルはいわば非常に端正で、ともすれば「ベタ」と表現されるものなのですが、それがファンキーなサウンドにピッタリとマッチ。素直にそのカッコよさを楽しめる傑作に仕上がっていました。

3位 e o /cero

聴いた当時の感想は、こちら

純粋に完成度の高さという観点で言えば、おそらく2023年の最高傑作と言えるアルバムでしょう。ceroのバンドとしては実に5年ぶりとなるニューアルバム。もともと、ジャズやHIP HOPをベースにジャンルレスな音楽を奏でてきたバンドである彼らでしたが、今回はネオソウル、AOR、ジャズ、エレクトロ、ダンスミュージックなど様々な要素を自身の音楽に取り入れたジャンルレスな音楽性が魅力的。その様々なジャンルがどれも最高レベルの水準の音を奏でているあたり、バンドの圧倒的な実力を感じさせます。バンドのさらなる高みへの到達を感じさせる傑作でした。

2位 感覚は道標/くるり

聴いた当時の感想は、こちら

2023年最大の音楽ニュースのひとつが、間違いなくオリジナルくるりの再集結でしょう。2002年に脱退したくるりのオリジナルメンバーのドラマー森信行がくるりの最新アルバムに参加。オリジナルメンバー3人でのアルバム制作は大きな話題となりました。その最新アルバムは、くるりのバンドとしての側面、スリーピースバンドとしての魅力を織り込んだ作品となっています。楽曲を作り込むというよりも、バンドセッションの中で生み出されたような曲が並ぶ今回のアルバム。3人組バンドだった初期くるりを彷彿とさせつつ、ただ一方では初期くるりとは異なる、年月を経て成長した3人だからこそ生み出せる、あらたなくるりの姿がありました。文句なしの傑作です。

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

上半期で1位を獲得した水曜日のカンパネラが年間ベストでも1位を獲得!水カンの1位獲得は、2年連続1位となった2016年の「UMA」以来3作目!ただ、ボーカルがコムアイから詩羽に代わり、どうなるのか心配していたのですが、今となっては既に水カンのボーカルは詩羽以外考えられなくくらいのはまりようで、全楽曲が傑作という、とんでもないアルバムに仕上がりました。上半期にも書いたのですが、ケンモチヒデフミの衰えない才能のすごさに改めて感嘆してしまう傑作アルバム。ちなみに本作はEP盤で、まだ詩羽としてのアルバムは未発売。来るべきフルアルバムにも期待せざる得なくなってきます。

あらためて1位から10位を並べると・・・

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 感覚は道標/くるり
3位 e o /cero
4位 1STST/TESTSET
5位 12/坂本龍一
6位 映帶する煙/君島大空
7位 miss you/Mr.Children
8位 大人の涙/マカロニえんぴつ
9位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ
10位 夢中夢-Dream In Dream-/cornelius

ほかのベスト盤候補は・・・

あのち/GEZAN with Million Wish Collective
今の二人をお互いが見てる/aiko
イノセント/スガシカオ
夜汽車を貫通するメロディヤ/中川敬
no public sounds/君島大空
Sonicwonderland/上原ひろみ Hiromi's Sonicwonderland
8/ROTH BART BARON
Almost there/GRAPEVINE
日本民謡珍道中/民謡クルセイダーズ

上半期は不作ぶりが目立ったものの、年間通じてみると、なんだかんだ言っても多くの傑作が揃った1年になったように思います。今年もまた、たくさんの素晴らしいアルバムと出会えますように!

ちなみに過去のベストアルバムは

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 上半期

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2024年2月 4日 (日)

2023年年間ベストアルバム(邦楽編)その1

洋楽編に引き続いて、年間私的ベストアルバム、今日明日は邦楽編です。

10位 夢中夢-Dream In Dream-/cornelius

聴いた当時の感想は、こちら

率直に言うと、一時期はミュージシャン生命が断たれるのではないか、と心配したcornelius。無事、ニューアルバムがリリースされたことにはほっとしています。ただ、新作リリースに際しても、別にネット上が炎上する訳ではなく、メディアの取材を受けていましたが、それに関しても何か騒ぎになる訳ではなく・・・一体、あの何なんでしょうね、といった感は否めません。新作はそんな騒動が影響を受けたのでしょうか、より内面に向き合ったアルバムに。サウンド的には従来の路線を引き継いだものなのですが、よりポップな歌モノのアルバムに仕上がった点が特徴的。今回も期待通りの傑作に仕上げてきました。

9位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

聴いた当時の感想は、こちら

最近、女性ソロシンガーの活躍が目立ちますが、そんな中でも個人的にはもっとも注目している女性シンガーソングライター、カネコアヤノの新作。バンドサウンドを前に押し出したロッキンなアレンジと、しっかりと聴かせるフォーキーなメロディーラインの対比がユニークなのですが、今回のアルバムはいつも以上にギターサウンドやバンドサウンドを前に押し出したロック色の強い作品に仕上がっています。前作に比べると、バリエーションという観点では一歩下がるのですが、その分、楽曲全体の統一感を覚える作品に。今回も文句なしの傑作でした。

8位 大人の涙/マカロニえんぴつ

聴いた当時の感想は、こちら

あまり音楽に詳しくない人から「最近のおすすめを教えて」と言われることがよくあるのですが、正直、なかなか難しい質問だったりします。比較的万人受けしつつも、音楽的なクオリティーも高い、最近、人気上昇中のミュージシャンとなると、誰をお勧めするのか、非常に迷ってしまいます。ただ、現時点において、おそらくそんな質問に対してまずはお勧めできるであろうミュージシャンがマカロニえんぴつ。いい意味でのJ-POP的要素が強いインパクトあるメロディーラインにバリエーションのある音楽性、なによりも良質な「歌」を聴かせてくれるバンドで、ここ数作、勢いのある傑作が続きましたが、本作はそんな中でも彼らの到達点とも言える傑作に仕上がっていました。幅広いリスナー層にお勧めできる名盤です。

7位 miss you/Mr.Children

聴いた当時の感想は、こちら

2022年にメジャーデビュー30周年を迎えたミスチルが、約2年10か月ぶりにリリースした新作。本作はメンバー4人だけがプライベートスタジオに集結し録音したアルバムとなったそうですが、結果として全体的にシンプルな作風かつメロディアスな曲が並びます。おそらく日本でトップクラスの人気を誇る彼らなだけに、ここ最近のアルバムはまさに「大物ミュージシャン」として求められるようなスケール感のある作品が続きましたが、本作は、ミスチルの「コア」な部分を掘り起こしたアルバムとも言えるでしょう。なにより、このシンプルな作風は個人的に私が中高生の頃の作風すら彷彿とさせる傑作に。あらためてミスチルの魅力を実感できた作品でした。

6位 映帶する煙/君島大空

聴いた当時の感想は、こちら

カネコアヤノの項に「女性シンガーソングライターが」と書いたのですが、男性シンガーソングライターも注目株が続々と登場しています。君島大空も間違いなくその1人。ハイトーンボイスを軸に、アコースティックギターやバンドサウンド、エレクトロやサンプリングなどを自在に用いる音楽性が魅力的。自由度の高い音楽性ながらも、そのボーカルやメロディーラインでしっかりとまとめあげる統一感も覚えることが出来ます。ちなみに2023年は「no public sounds」というアルバムをもう1枚リリース。こちらも傑作に仕上がっていました。今、もっとも勢いのあるミュージシャンの一人と言って間違いないでしょう。

明日は5位から1位!

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2024年2月 3日 (土)

2023年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に引き続き、私的年間ベストアルバム。今日は洋楽編の5位から1位の紹介です。

5位 False Lankum/Lankum

Falselankum

聴いた当時の感想は、こちら

アイリッシュ・フォークにロックの要素を取り入れて高い評価を集めているバンドLankum。ワールドミュージックにカテゴライズされるようなミュージシャンでありつつ、ポップシーンでも高い評価を受けた1枚となっているのですが、その理由は納得。アイリッシュ・フォークを軸にしつつ、ヘヴィーロックやサイケの要素を取り入れた独特の音楽性が魅力的。一方、フォークというカテゴリーにおいてもアコギのみで美しいメロディーを聴かせるシンプルな曲もあったりして、バンドとしての懐の深さを感じさせます。高い評価が納得の傑作アルバムです。

4位 KNOWER FOREVER/KNOWER

ドラマーであり、プロデューサーやシンガーソングライターとしても活躍しているLouis Coleと女性ボーカリストGenevieve Artadiとのデゥオによるアルバム。Louis Coleは直近のアルバム「Quality Over Opinion」が2022年の年間私的アルバムの10位にランクインしていますが、基本的には、同作と同じような方向性ながらも、女性ボーカリストを入れたことにより、よりポップスさが増した感じが。エレクトロを軸としつつ、ジャズやファンク、さらに超絶なドラムプレイも聴かせてくれるなど、凝ったサウンド構成の中、メロディーは至ってキュートでポップ。年末、ギリギリのリリースでしたが、一気にはまった傑作アルバムでした。

3位 the record/boygenius

聴いた当時の感想は、こちら

それぞれがソロミュージシャンとしても活動しているPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusから結成されたスーパーグループ。それぞれがリードボーカルを取り、リードボーカルを取った曲には基本的にそれぞれの作った曲が歌われます。3人とも、オルタナ系という共通項はありつつ、微妙に音楽性が異なる3人。それにも関わらず、アルバム全体としてしっかりとした統一感があるのは不思議なところでありつつ、なおかつそれぞれのメンバーの実力も感じさせます。3人のメンバーの相性の良さも感じさせるアルバム。末永く活動を続けてほしいなぁ。

2位 10,000 gecs/100 gecs

聴いた当時の感想は、こちら

100 gecsはアメリカのハイパーポップデゥオによる新作。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを取り交ぜた様々なポップチューンがつまったアルバムとなっており、何でもありな感じがとにかく楽しく、聴いていて素直にワクワクするようなアルバムに仕上がっています。アルバム全体も10曲入り27分弱というあっという間の展開も楽しさに大きなプラスの要素。「おもちゃをひっくり返したような」というちょっと陳腐な表現がピッタリくる、誰もが楽しめそうな、そんなポップアルバムの傑作でした。

1位 Rat Saw God/Wednesday

聴いた当時の感想は、こちら

上期1位だったWednesdayのアルバムが、そのまま年間アルバムでも1位獲得。同バンドのギタリストMJ Lendermanのアルバム「Boat Songs」は昨年の年間ベストの3位でしたが、今年は本体の方が見事1位獲得です。シューゲイザーや80年代インディーロックの影響をダイレクトに受けたサウンドに、一方ではカントリーのサウンドを融合させ、シューゲイザー直系でありつつもWednesdayらしい独自性を感じさせるアルバムに仕上がっています。文句なしの年間1位の傑作アルバムでした。

あらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 Rat Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 KNOWER FOREver/KNOWER
5位 False Lankum/Lankum

6位 Heavy Heavy/Young Fathers
7位 Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua/Ana Frango Eletrico
8位 After the Magic/Parannoul
9位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey
10位 The Death Of Randy Fitzsimmons/The Hives

ほかの年間ベスト候補作として・・・

Ever Loser/IGGY POP
This Stupid World/Yo La Tengo
Desire,I Want to Turn Into You/Caroline Polachek
Dogsbody/Model/Actriz
First Two Page of Frankenstein/The National
Multitudes/Feist
But Here We Are/Foo Fighters
THE BALLADS OF DARREN/blur
softscares/yeule
Nothing Lasts Forever/TEENAGE FANCLUB
GUTS/Olivia Rodrigo
Changing Channels/Pangaea
The Land Is Inhospitable and So Are We/Mitski
Selvutsletter/Lost Girls
ASAP insallah/Ya Toshiba

今年も素直に傑作アルバムが多い1年だったと思います。ここ最近、豊作の年が続いており、シーン全体として活性的・・・なのですが、日本だといまひとつ洋楽が売れていないのは残念。傑作アルバムは多いのですが。

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期
2023年 上半期

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2024年2月 2日 (金)

2023年年間ベストアルバム(洋楽編)その1

今年も恒例、年間私的ベストアルバム。今日から4日間にわたってお届けします。まずは洋楽編。

10位 The Death Of Randy Fitzsimmons/The Hives

聴いた当時の感想は、こちら

The Hives完全復活!!そう高らかに叫びたくなってくるようなスウェーデンのガレージロックバンドによる約11年ぶりとなるニューアルバム。バンドの初期衝動をそのまま体現化したシンプルなガレージロックに、ポップなメロディーラインが大きな特徴の彼ら。2001年にリリースした「Your New Favorite Band」にどっぷりはまってしまったのですが、同作ほどの初期衝動はそれ以降のアルバムから徐々に消えていき、そしてバンドも活動休止となってしまいます。そんな彼らが復活!その最新作はバンドとしての初期衝動が復活したといって過言ではない作品となっており、The Hivesの魅力を遺憾なく発揮した傑作となっていました。

9位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

聴いた当時の感想は、こちら

最近はアルバムの積極的なリリースが続き、さらにアルバムをリリースする毎に傑作アルバムという脂ののった状態である彼女。古き良きアメリカをイメージするような、レトロな雰囲気漂わせるポップソングが魅力的な彼女ですが、本作はそんなレトロというイメージ以上に純粋に「歌」で勝負をかけるような作品に。HIP HOPやエレクトロの要素を取り入れつつも、基本的にシンプルな歌で勝負をかけた作品なのですが、彼女の曲やボーカルの美しさ、優しさに魅了される、そんな傑作に仕上がっていました。思わず聴き惚れてしまう、そんな傑作です。

8位 After the Magic/Parannoul

聴いた当時の感想は、こちら

最近は日本のみならず世界を席巻しているK-POP勢ですが、そんなアイドルポップとは一線を画する韓国のミュージシャンが彼。宅録系ミュージシャンであるParannoulは、シューゲイザーの正統な継承者といっても過言ではない作品が魅力的で、作品を埋めつくすギターのホワイトノイズの嵐とキュートでポップなメロディーラインに魅了されること間違いなしのアルバムとなっています。歌が韓国語という点も、ちょっと異世界感があってシューゲイザーの世界にマッチ。シューゲイザー好きはまずは聴くべき1枚です。

7位 Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua/Ana Frango Eletrico

聴いた当時の感想は、こちら

ブラジルで活躍している25歳のシンガーソングライターによる最新作。ブラジルの現代音楽の中で最も注目を集めるシンガーのひとりだそうですが、ブラジル音楽的な要素を加味しつつ、ソウルミュージックやラウンジ、ファンクの影響を感じるメロディアスなポップソングが魅力的。ブラックミュージックを取り込みつつ、ほどよくおしゃれであか抜けた都会派ポップというイメージは、日本で言うところの渋谷系を彷彿とさせる部分もあります。ワールドミュージックのカテゴリーに入るような作品ですが、幅広いリスナー層にお勧めできる作品です。

6位 Heavy Heavy/Young Fathers

聴いた当時の感想は、こちら

スコットランドのエディンバラ出身の3人組HIP HOPユニットによる最新作。カテゴリー的にはHIP HOPにカテゴライズされるようですが、HIP HOPというよりもロックやR&B、ゴスペルにトラッドまで取り入れたごちゃまぜの音楽性が魅力的。非常に自由度の高いポップソングを聴かせつつ、ブラックミュージックのグルーヴ感も同時に感じさせてくれる作品となっています。この、ある意味「こだわりのない」自由度の高い音楽性は、イギリスならではといった感じもするグループ。様々な音楽性を取り入れた音楽だからこそ、最後まで全く飽きることなく楽しめる作品となっていました。

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2024年1月 1日 (月)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。本年も、当「ゆういちの音楽研究所」をよろしくお願いします。


ただ、正月早々、北陸で大地震が発生し、大きい被害も出ているようです。こちらもかなり揺れてビックリしましたが、現地で被害にあわれた方に関しましては、心よりお見舞い申し上げます。


年末ですが、いつものように「紅白歌合戦」を見ながら、のんびりと過ごしていました。その「紅白」の前には、チラッと「年忘れにっぽんの歌」も見たりしていたのですが、相も変わらず演歌歌手が多く出演しており、さすがに年齢的に面白くはなかったのですが・・・ただ、ふと気が付いたのですが、既に中高校時代に例えばBOOWYやブルーハーツ、さらにはビーイング系や小室系などを聴いていた世代が、そろそろ50代になりつつあるんですよね。もちろん、この世代が50歳になったからといって演歌は聴かない訳で・・・。ともすれば、自分の親の世代(70代くらい)すら、ビートルズ以降の世代で、基本的に演歌はほとんど聴いていません。そう考えると、もう10年くらいたつと、「年忘れにっぽんの歌」でも演歌歌手が消え、J-POPのミュージシャンたちが歌うようになるのでしょうか・・・?

ただ、そう考えると、紅白の方がむしろ、40代や50代あたりの世代を意識した選曲になっているんですよね。ポケットビスケッツとブラックビスケッツなんて、まさに40代、50代の世代に直撃しそうなセレクトですし。また、トリについては、福山雅治とMISIAが4年連続という点が悪い意味で話題になったのですが、福山雅治にしろ、MISIAにしろ、「桜坂」や「Everything」のヒットって、もう20年以上前の話なんですよね。

そう考えると、福山雅治にしろMISIAにしろ、既に90年代あたりの紅白で言えば「演歌歌手」がその役割を担っていた、「懐メロ歌手」に近い扱いなんですよね。それだけ時代が変わったということなのでしょうか。そんなことを強く感じてしまった年末でした。

それでは、あらためて今年1年、当サイトをよろしくお願いします。

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2023年12月31日 (日)

2023年ベストアルバム(暫定版)

今年はコロナ禍がようやく終わり、日常生活が戻ってきた1年でした。

ただ一方、今年はミュージシャンの訃報が相次いだ1年でもありました。年初の高橋幸宏からはじまり、鮎川誠、ハイスタの恒岡章、sumikaの黒田隼之介、有賀啓雄、坂本龍一、空想委員会の三浦隆一、頭脳警察のPANTA、谷村新司、もんたよしのり、BUCK-TICKの櫻井敦司、X-JAPANのHEATH、大橋純子、ミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケ、海外からもジェフ・ベック、ティナ・ターナー、トニー・ベネット、バート・バカラック・・・。

個人的になによりショックだったのがKANちゃんの逝去のニュース。大好きなミュージシャンだっただけに、かなりのショックで・・・・・・。昨年の12月にライブに行ったばかりなのに、まさか1年後に・・・・・・。

もっとも今年、ミュージシャンの訃報が多かったのは偶然ではなく、前にも書いたかと思いますが、ポピュラーミュージック全盛期に活躍したミュージシャンたちが老年期を迎えてきている点、さらにミュージシャン寿命が長くなり、年を取っても活躍を続けるミュージシャンが増え、特に知名度のある現役ミュージシャンの訃報が増えた点が大きな理由と思います。そういう意味では残念ながら来年以降もこの傾向は続くでしょう。

さて、気を取り直して、今年もあと1時間を切りました。現時点での私的ベストアルバム暫定版です。

邦楽編

まず上半期のベスト5です。

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 e o/cero
3位 12/坂本龍一
4位 映帶する煙/君島大空
5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

これに続く下期のベスト盤候補は・・・

1STST/TESTSET
夜汽車を貫通するメロディヤ/中川敬
夢中夢-Dream In Dream-/cornelius
大人の涙/マカロニえんぴつ
no public sounds/君島大空
Sonicwonderland/上原ひろみ Hiromi's Sonicwonderland
8/ROTH BART BARON
感覚は道標/くるり
miss you/Mr.Children
Almost there/GRAPEVINE

下期に関しては、上期以上に豊作傾向。昨年も豊作の1年でしたので、ここ最近、コロナ禍から落ち着いたためか、傑作が多くリリースされてきている感があります。

洋楽編

上半期のベスト5です。

1位 Raw Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 After the Magic/Parannoul
5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

これに続く下期のベスト盤候補は・・・

My Back Was a Bridge for You to Cross/ANOHNI and the Johnsons
The Death Of Randy Fitzsimmons/The Hives
THE BALLADS OF DARREN/blur
softscares/yeule
Nothing Lasts Forever/TEENAGE FANCLUB
GUTS/Olivia Rodrigo
Changing Channels/Pangaea
The Land Is Inhospitable and So Are We/Mitski

こちらも邦楽同様、全体的には豊作傾向。1年間、素晴らしいアルバムにいろいろと出会えることが出来ました。

ちなみに今年も主要メディアの年間ベストを集計してリスト化したサイトを参照に、未聴の作品をチェックしてみたいと思います。
https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2023/

来年もよいアルバムにたくさん出会えますように。それでは、よいお年を!

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2023年8月 4日 (金)

2023年上半期 邦楽ベスト5

火曜日に引き続き、今回は邦楽の上半期ベスト5です。

5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎に安定した傑作アルバムを聴かせてくれる女性シンガーソングライターの新作。ギターサウンドやバンドサウンドを前面に押し出したサウンドと、対照的なフォーキーなメロディーライン、さらにそれに負けない力強い彼女のボーカルが印象的で、ロックで、時としてサイケな色合いの強いサウンドをバックにしながらもしっかりと「歌」を届けてくれる1枚となっていました。

4位 映帶する煙/君島大空

聴いた当時の感想は、こちら

こちらは今、注目の男性シンガーソングライターによる1枚。ヘヴィーなギターサウンドを用いた曲があったり、アコースティックな楽曲があったり、さらにはエレクトロサウンドを取り入れたり、様々なサウンドをサンプリングした曲があったりと、実に自由度の高い作風。さらにハイトーンボイスで静かに聴かせる彼のボーカルも印象に残る作品に。毎回、傑作をリリースし続けてきた彼ですが、現時点での集大成とも言える作品に仕上がっていました。

3位 12/坂本龍一

聴いた当時の感想は、こちら

以前から癌による闘病生活を続けている中、今年3月、惜しまれつつこの世を去った坂本龍一の、最後となったオリジナルアルバム。本作は彼の闘病生活の中で日記を描くように作成された作品で、それぞれ作成した日付が曲名となっています。ピアノの音色をひとつひとつ紡いで作り上げたアンビエントな作品で、メロディアスな作品がありつつも、あくまでも「音」の美しさを追求したような作品となっており、最後の最後まで音楽家としての意欲が失われていなかったことを感じさせます。あらためて惜しい天才を亡くしたことを感じさせる作品でした。

2位 e o /cero

聴いた当時の感想は、こちら

おそらく、「2023年を代表するアルバム」として今後も聴き継がれそうな予感のする傑作アルバム。もともとアルバム毎に高い評価を更新してきた彼らが、2023年にあらたに生み出した、バンドとしてさらなる高みに到達したアルバム。前半はサウンドと歌声が融合した、最小限に絞ったサウンドが広い空間を作り出しているような作品に、一方後半は歌を前に出してきたメロディアスな楽曲が続き、アルバムの幅を作り上げています。文句なしに今年を代表する傑作です。

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

ceroの新作に大絶賛を与えつつ、2023年上半期に文句なしに一番はまったアルバムは本作。水カンで上半期1位となるのは2017年の「SUPERMAN」以来なのですが、詩羽にボーカルがチェンジして2年弱。すっかり水カンのボーカル=詩羽となったことを実感させられますし、なによりも楽曲の楽しさという意味ではコムアイ時代の曲に勝るとも劣らない名曲揃いで、6曲入りのアルバムなのですが最後まで耳を離す瞬間のない充実作に仕上がっていました。詩羽のボーカルとしての実力もさることながら、ケンモチヒデフミの衰えない才能にも驚愕させられる、文句なしの傑作アルバムでした。

ほかのベスト盤候補は・・・

あのち/GEZAN with Million Wish Collective
今の二人をお互いが見てる/aiko
イノセント/スガシカオ

率直に言うと、邦楽について数的にはちょっと不作気味だったように感じます。ただ、上位5枚については、おそらくどの年でも上位に食い込んでくるような傑作が並んでいたと思います。あらためて5枚を並べると

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 e o/cero
3位 12/坂本龍一
4位 映帶する煙/君島大空
5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

下期はさらなる傑作の登場を願いつつ・・・

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2008年 年間1  上半期
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2023年8月 1日 (火)

2023年上半期 洋楽ベスト5

灼熱の日が続いていますが、今年も半分以上が経過。早くも恒例、上半期私的ベストアルバムの紹介です。

5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

聴いた当時の感想は、こちら

最近、積極的なアルバムリリースが続き、なおかつどの作品も傑作揃いというLana Del Rey。本作も前作からわずか約1年半というインターバルで届けられたニューアルバム。全体的にシンプルで、あくまでも彼女の美しい歌を聴かせようとするスタイルのアルバムに仕上がっているのですが、シンプルな内容ながらも最後まで全くダレることなく一気に聴くことが出来るあたりに、彼女の実力を感じさせます。安定の傑作です。

4位 After the Magic/Parannoul

聴いた当時の感想は、こちら

最近は日本のみならず世界で高い人気を誇るK-POP勢ですが、本作はそんなアイドルポップから一線を画する韓国発の宅録系ミュージシャンのアルバム。シューゲイザーにダイレクトに影響を受けた作品で、終始、ギターのホワイトノイズで埋め尽くされたサウンドに、バックでキュートなメロディーラインが鳴り響くという、シューゲイザー好きならたまらない楽曲が繰り広げられています。ちなみに同作のキャッチコピーは「このアルバムは、あなたが期待するものではなく、私がいつも望んでいたものです」と、いかにもオタク志向の発想は、世界共通なんですね。

3位 the record/boygenius

聴いた当時の感想は、こちら

それぞれがソロミュージシャンとしても活動しているPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusから結成されたスーパーグループ。3人とも、それぞれ個性が異なるミュージシャンで、オルタナ系ギターロックからフォーキーでアコースティックな作品まで、3人の個性がそのまま反映された内容が非常にユニーク。それぞれの個性をしっかりと際立たせつつ、アルバム全体としてなぜか統一感も覚えるのが不思議。本作はビルボードチャートでも上位にランクインし、人気の面でもブレイクした作品になっていますが、その人気のほども納得の傑作でした。

2位 10,000 gecs/100 gecs

聴いた当時の感想は、こちら

100 gecsはアメリカのハイパーポップデゥオ。様々なポップチューンがつまった非常に楽しいアルバムで、ベタな表現をすれば「おもちゃ箱をひっくり返した」ようなアルバム。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを1枚のアルバムにまとめて、まさしく何でもありな1枚。アルバムの長さも10曲27分という短い内容で、あっという間に曲が展開していくスリリングな作品に仕上がっています。コミカルな作風も楽しく、なによりも純粋に音楽の楽しさを感じさせてくれる傑作でした。

1位 Rat Saw God/Wednesday

聴いた当時の感想は、こちら

昨年、上期洋楽ベストで1位を獲得したのはMJ Lendermanの「Boat Songs」でした。そして、その彼が所属するバンドがWednesday。今年は、そのWednesdayのニューアルバムが1位です!MJ Lendermanの「Boas Songs」同様、シューゲイザーや、80年代インディーロックの影響を色濃く受けたサウンドに、一方では暖かいカントリーの作風を融合し、独特のサウンドを作り上げています。時にはダイナミックに、時には懐かしさも感じさせる曲調が特徴的。文句なしに上半期に一番はまった傑作アルバムでした。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 Rat Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 After the Magic/Parannoul
5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

ほかのベスト盤候補を並べると・・・

Ever Loser/IGGY POP
This Stupid World/Yo La Tengo
Desire,I Want to Turn Into You/Caroline Polachek
Dogsbody/Model/Actriz
First Two Page of Frankenstein/The National
Multitudes/Feist
But Here We Are/Foo Fighters

今年も結構、傑作の多い上半期になったと思います。特に5位のLana Del ReyとYo La Tengo「This Stupid World」は、最後までどちらを5位にするか迷った、まさに同率5位とも言える内容の傑作。下期も、このペースで数多くの傑作アルバムに出会いたいです!

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