音楽コラム

2023年8月 4日 (金)

2023年上半期 邦楽ベスト5

火曜日に引き続き、今回は邦楽の上半期ベスト5です。

5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎に安定した傑作アルバムを聴かせてくれる女性シンガーソングライターの新作。ギターサウンドやバンドサウンドを前面に押し出したサウンドと、対照的なフォーキーなメロディーライン、さらにそれに負けない力強い彼女のボーカルが印象的で、ロックで、時としてサイケな色合いの強いサウンドをバックにしながらもしっかりと「歌」を届けてくれる1枚となっていました。

4位 映帶する煙/君島大空

聴いた当時の感想は、こちら

こちらは今、注目の男性シンガーソングライターによる1枚。ヘヴィーなギターサウンドを用いた曲があったり、アコースティックな楽曲があったり、さらにはエレクトロサウンドを取り入れたり、様々なサウンドをサンプリングした曲があったりと、実に自由度の高い作風。さらにハイトーンボイスで静かに聴かせる彼のボーカルも印象に残る作品に。毎回、傑作をリリースし続けてきた彼ですが、現時点での集大成とも言える作品に仕上がっていました。

3位 12/坂本龍一

聴いた当時の感想は、こちら

以前から癌による闘病生活を続けている中、今年3月、惜しまれつつこの世を去った坂本龍一の、最後となったオリジナルアルバム。本作は彼の闘病生活の中で日記を描くように作成された作品で、それぞれ作成した日付が曲名となっています。ピアノの音色をひとつひとつ紡いで作り上げたアンビエントな作品で、メロディアスな作品がありつつも、あくまでも「音」の美しさを追求したような作品となっており、最後の最後まで音楽家としての意欲が失われていなかったことを感じさせます。あらためて惜しい天才を亡くしたことを感じさせる作品でした。

2位 e o /cero

聴いた当時の感想は、こちら

おそらく、「2023年を代表するアルバム」として今後も聴き継がれそうな予感のする傑作アルバム。もともとアルバム毎に高い評価を更新してきた彼らが、2023年にあらたに生み出した、バンドとしてさらなる高みに到達したアルバム。前半はサウンドと歌声が融合した、最小限に絞ったサウンドが広い空間を作り出しているような作品に、一方後半は歌を前に出してきたメロディアスな楽曲が続き、アルバムの幅を作り上げています。文句なしに今年を代表する傑作です。

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

ceroの新作に大絶賛を与えつつ、2023年上半期に文句なしに一番はまったアルバムは本作。水カンで上半期1位となるのは2017年の「SUPERMAN」以来なのですが、詩羽にボーカルがチェンジして2年弱。すっかり水カンのボーカル=詩羽となったことを実感させられますし、なによりも楽曲の楽しさという意味ではコムアイ時代の曲に勝るとも劣らない名曲揃いで、6曲入りのアルバムなのですが最後まで耳を離す瞬間のない充実作に仕上がっていました。詩羽のボーカルとしての実力もさることながら、ケンモチヒデフミの衰えない才能にも驚愕させられる、文句なしの傑作アルバムでした。

ほかのベスト盤候補は・・・

あのち/GEZAN with Million Wish Collective
今の二人をお互いが見てる/aiko
イノセント/スガシカオ

率直に言うと、邦楽について数的にはちょっと不作気味だったように感じます。ただ、上位5枚については、おそらくどの年でも上位に食い込んでくるような傑作が並んでいたと思います。あらためて5枚を並べると

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 e o/cero
3位 12/坂本龍一
4位 映帶する煙/君島大空
5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

下期はさらなる傑作の登場を願いつつ・・・

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期

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2023年8月 1日 (火)

2023年上半期 洋楽ベスト5

灼熱の日が続いていますが、今年も半分以上が経過。早くも恒例、上半期私的ベストアルバムの紹介です。

5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

聴いた当時の感想は、こちら

最近、積極的なアルバムリリースが続き、なおかつどの作品も傑作揃いというLana Del Rey。本作も前作からわずか約1年半というインターバルで届けられたニューアルバム。全体的にシンプルで、あくまでも彼女の美しい歌を聴かせようとするスタイルのアルバムに仕上がっているのですが、シンプルな内容ながらも最後まで全くダレることなく一気に聴くことが出来るあたりに、彼女の実力を感じさせます。安定の傑作です。

4位 After the Magic/Parannoul

聴いた当時の感想は、こちら

最近は日本のみならず世界で高い人気を誇るK-POP勢ですが、本作はそんなアイドルポップから一線を画する韓国発の宅録系ミュージシャンのアルバム。シューゲイザーにダイレクトに影響を受けた作品で、終始、ギターのホワイトノイズで埋め尽くされたサウンドに、バックでキュートなメロディーラインが鳴り響くという、シューゲイザー好きならたまらない楽曲が繰り広げられています。ちなみに同作のキャッチコピーは「このアルバムは、あなたが期待するものではなく、私がいつも望んでいたものです」と、いかにもオタク志向の発想は、世界共通なんですね。

3位 the record/boygenius

聴いた当時の感想は、こちら

それぞれがソロミュージシャンとしても活動しているPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusから結成されたスーパーグループ。3人とも、それぞれ個性が異なるミュージシャンで、オルタナ系ギターロックからフォーキーでアコースティックな作品まで、3人の個性がそのまま反映された内容が非常にユニーク。それぞれの個性をしっかりと際立たせつつ、アルバム全体としてなぜか統一感も覚えるのが不思議。本作はビルボードチャートでも上位にランクインし、人気の面でもブレイクした作品になっていますが、その人気のほども納得の傑作でした。

2位 10,000 gecs/100 gecs

聴いた当時の感想は、こちら

100 gecsはアメリカのハイパーポップデゥオ。様々なポップチューンがつまった非常に楽しいアルバムで、ベタな表現をすれば「おもちゃ箱をひっくり返した」ようなアルバム。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを1枚のアルバムにまとめて、まさしく何でもありな1枚。アルバムの長さも10曲27分という短い内容で、あっという間に曲が展開していくスリリングな作品に仕上がっています。コミカルな作風も楽しく、なによりも純粋に音楽の楽しさを感じさせてくれる傑作でした。

1位 Raw Saw God/Wednesday

聴いた当時の感想は、こちら

昨年、上期洋楽ベストで1位を獲得したのはMJ Lendermanの「Boat Songs」でした。そして、その彼が所属するバンドがWednesday。今年は、そのWednesdayのニューアルバムが1位です!MJ Lendermanの「Boas Songs」同様、シューゲイザーや、80年代インディーロックの影響を色濃く受けたサウンドに、一方では暖かいカントリーの作風を融合し、独特のサウンドを作り上げています。時にはダイナミックに、時には懐かしさも感じさせる曲調が特徴的。文句なしに上半期に一番はまった傑作アルバムでした。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 Raw Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 After the Magic/Parannoul
5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

ほかのベスト盤候補を並べると・・・

Ever Loser/IGGY POP
This Stupid World/Yo La Tengo
Desire,I Want to Turn Into You/Caroline Polachek
Dogsbody/Model/Actriz
First Two Page of Frankenstein/The National
Multitudes/Feist
But Here We Are/Foo Fighters

今年も結構、傑作の多い上半期になったと思います。特に5位のLana Del ReyとYo La Tengo「This Stupid World」は、最後までどちらを5位にするか迷った、まさに同率5位とも言える内容の傑作。下期も、このペースで数多くの傑作アルバムに出会いたいです!

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期

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2023年2月 6日 (月)

2022年年間ベストアルバム(邦楽編)その2

昨日から引き続き、私的ベストアルバム邦楽編。今日は5位から1位の紹介です。

5位 Betsu No Jikan/岡田拓郎

聴いた当時の感想は、こちら

2010年代前半に大きな評判を呼んだバンド、森は生きているのメンバーによる2枚目のソロアルバム。全編「歌モノ」のポップだった前作とは対照的にインストのアルバムに。全編、ジャズ色の強いアルバムになっていながらも、同時に様々な音楽がコラージュ的にちりばめられている実験性の高い作品になっています。ただ、同時にポピュラリティーのあるメロディーラインが確実に流れており、実験性とポピュラリティーを両立させた傑作に仕上がっていました。

4位 物語のように/坂本慎太郎

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎にシーンに衝撃を与えるような傑作をリリースし続けている坂本慎太郎の約6年ぶりとなるニューアルバム。最小限にまとめられたサウンドに歌謡曲やハワイアン、トロピカルなムードも加味したメロディーラインというスタイルはいままでの彼と同様。さらに今回のアルバムは歌詞の世界もメロディーラインもわかりやすさが増した感じがします。いままで以上にポピュラリティーが増した作品は今回ももちろん傑作に。さらに広い層にアピールできそうな作品になっていました。

3位 ネオン/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

まさかのコムアイ脱退&詩羽の2代目ボーカリスト就任となった水曜日のカンパネラ。バンドの顔とも言えるボーカリスト変更で心配されたのですが、これが今や詩羽なしじゃ水カンが成り立たない、と感じさせるほどのはまりようになっています。コムアイ時代の水カンの魅力も残しつつ、詩羽のボーカルとして全く新しいスタイルも同時に提案している作品に仕上がっており、水カンがさらなる進化を遂げたように感じさせます。まずはEP盤ですが、来るべきフルアルバムも楽しみになってくる傑作でした。

2位 Long Voyage/七尾旅人

聴いた当時の感想は、こちら

東日本大震災の時の義援金プロジェクトやコロナ禍でのフードレスキューの活動など、以前から社会派な活動も目立つ七尾旅人。今回の新作はいままで以上に社会と強くリンクした作品に仕上がっており、コロナ禍での人々の描写や在日差別、さらには外国人差別などにも踏み込む作品になっています。そんな歌詞の主張を前面に押し出すためか、メロディーやサウンドは比較的シンプルな内容に。それだけに七尾旅人の包容力ある歌声が心に響いてくる作品になっています。まさに今の時代だからこそ生み出された傑作アルバムでした。

1位 BADモード/宇多田ヒカル

聴いた当時の感想は、こちら

2022年の年間1位は文句なしにこの作品でしょう。ここ最近、シンガーソングライターとしてのある種のすごみを感じるようになってきた宇多田ヒカルのニューアルバム。歌謡曲的な要素も感じる日本人の琴線に触れそうなメロディーを書きつつ、サウンド的には海外のポップスシーンとダイレクトにリンクしている作品を作り上げています。なんとPitchforkの年間ベストで31位にランクインしてくるなど世界水準で高い評価を得ている本作。名実共に2022年の日本のポップシーンを代表するアルバムと言えるでしょう。

そんな訳で、洋楽もそうでしたが邦楽に関しても傑作が揃った充実した1年となった2022年。特に1位宇多田ヒカル、2位七尾旅人の2枚は文句なしに頭1つ出ていた感がありますし、3位の水曜日のカンパネラも、次のフルアルバムでは再び年間1位獲得か??というほどの充実ぶりを感じさせます。

あらためて1位から10位を並べると・・・

1位 BADモード/宇多田ヒカル
2位 Long Voyage/七尾旅人
3位 ネオン/水曜日のカンパネラ
4位 物語のように/坂本慎太郎
5位 Betsu No Jikan/岡田拓郎
6位 正気じゃいられない/マハラージャン
7位 Muddy comedy/山中さわお
8位 七号線ロストボーイズ/amazarashi
9位 Awakening:Sleeping/MASS OF THE FERMENTING DREGS
10位 DOKI DOKI/サニーデイサービス

他のベスト盤候補としては・・・

NIA/中村佳穂
OVERHEAT49/百々和宏
アダプト/サカナクション
レキシチ/レキシ
笑い死に/般若
春火燎原/春ねむり
クモヨ島/幾何学模様
ALONE/OMSB
SOFTLY/山下達郎
HOWL/ROTH BART BARON
SONGS/スカート
Les Mise blue/syrup16g

あらためて充実ぶりを感じさせる2022年の音楽シーン。この勢いが今年も続けばいいのですが。今年もたくさんの素晴らしいアルバムに出会えますように!

ちなみに過去のベストアルバムは

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 上半期

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2023年2月 5日 (日)

2022年年間ベストアルバム(邦楽編)その1

おととい、昨日に引き続き、年間私的ベストアルバム、今日明日は邦楽編です。

10位 DOKI DOKI/サニーデイ・サービス

聴いた当時の感想は、こちら

ここ数年、勢いのある傑作アルバムのリリースが続くサニーデイですが、またしても傑作アルバムのリリースです。今回のアルバムは比較的シンプルで、かつロックテイストの強いアルバム。曲によってはオルタナ系インディーロックバンドの色合いすら感じさせる曲も見受けられます。また、メンバー3人が並んだにこやかな雰囲気のジャケット写真も印象的。バンドとしての関係性の良さも感じさせます。サニーデイの勢いはまだまだ続きそうです。

9位 Awakening:Sleeping/MASS OF THE FERMENTING DREGS

聴いた当時の感想は、こちら

約4年ぶりというから、若干久しぶりとなるマスドレの新作。もともとダイナミックなバンドサウンドが持ち味だった3ピースバンドの彼女たちですが、今回のアルバムではまさにそんな迫力あるバンドサウンドが躍動感を込めて展開される内容に。さらに爽やかさとメランコリックさを感じさせるメロディーラインも大きな魅力に。加えて、録音状態も非常に良く、抜けのあるサウンドに奥行も感じられて、聴いていて気持ちよさを感じます。3ピースバンドの魅力をこれでもかというほど感じられる作品でした。

8位 七号線ロストボーイズ/amazarashi

聴いた当時の感想は、こちら

青森出身の彼らは、以前から比較的、生まれ故郷である地方に立脚したような歌詞の作品をリリースしてきましたが、今回のアルバムも「七号線」というタイトル自体が青森を走る国道七号線から取られたように、彼らのふるさとをテーマとした作品になっていました。そんな地方に住む人たちの現状を描いた今回の作品は、原点回帰ともとれるような作品に。叙情たっぷりのメロはもちろん、その歌詞の世界にグッと胸をつかまれる傑作に仕上がっています。

7位 Muddy comedy/山中さわお

聴いた当時の感想は、こちら

ライブ活動は継続的に行っているものの、作品の発表という観点では「活動休止」状態のthe pillows。一方で山中さわおソロとしては勢いのある作品を作り続けており、本作もバンドサウンドを前面に押し出した楽曲はthe pillowsと重なる部分も。また、なによりも歌詞の世界がthe pillows以上にthe pillowsらしい、まさに山中さわお色を前面に出した、ソロらしい作品に仕上がっていました。確かに、これだけ充実した作品をソロでつくっちゃうと、ソロでの作品づくりを優先しちゃうよなぁ・・・。そんなことも感じてしまう傑作アルバムでした。

6位 正気じゃいられない/マハラージャン

聴いた当時の感想は、こちら

ターバンを巻いたそのルックスといい、「マハラージャン」という名前といい、キャラ立ちしまくりのミュージシャン。そんな彼の新作は、そんなマハラージャンというキャラクターに全く負けないだけの「キャラ立ち」しまくりの曲のつまったアルバムに。軽快なポップチューンからハードロック、AOR、ファンク、ディスコチューンなど多彩な音楽性とユニークさを感じさせる歌詞の世界が楽しいアルバムに仕上がっていました。もちろんメロディーラインのインパクトも十分。音楽的にも文句なしに傑作と言える作品でした。

明日は5位から1位!

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2023年2月 4日 (土)

2022年年間ベストアルバム(洋楽編)その2

昨日に引き続き、私的年間ベストアルバム洋楽編。本日は5位から1位までの紹介です。

5位 Carry Me Home/Mavis Staples&Levon Helm

聴いた当時の感想は、こちら

齢80歳を超えた今でも精力的に活動を続けるMavis Staples。本作は、The Bandのドラマー、リヴォン・ヘルムと録音した作品で、もともとは2011年に完成していたのですがお蔵入り。ようやく昨年リリースできた作品でした。結果としてヘルムの遺作となってしまった本作ですが、ヘルムのドラムプレイはさることながら、とにかくメイヴィスの力強く感情のこもったボーカルが魅力的な傑作に。レジェンド同士の共演に、最初から最後まで耳の離せない傑作アルバムに仕上がっていました。

4位 Blue Rev/Alvvays

聴いた当時の感想は、こちら

個人的に大好きなバンドにTEENAGE FANCLUBというイギリスのバンドがいるのですが、このバンドのフォロワーも個人的な壺にはまりまくりのバンドが多く、このカナダを拠点に活動するインディーポップバンドAlvvaysもそんなバンドの一組。このアルバムも、特に前半はTFCの影響を顕著に感じるドリーミーでポップな作品に。一方後半は、シンセを取り入れたり、さらにパンキッシュな作風になったりとバラエティーも豊富に。個人的に壺にはまりまくった1枚というだけではなく、ギターロックの作品としても文句なしの傑作アルバムに仕上がっていました。

3位 Boat Songs/MJ Lenderman

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシューゲイザー系インディーロックバンドWEDNESDAYでギタリストとして活躍しているJake Lendermanによるソロプロジェクト。本作もまさにシューゲイザー直系のアルバムですが、同時にカントリーロックやブルースロックなど、70年代のロックからの影響を強く感じさせる作品。80年代インディーロックと70年代ロックを等距離で取り込んだサウンドが、実に個性的な作品で、2020年代の今となって、逆に新鮮味を感じさせる傑作アルバムとなっていました。

2位 Being Funny in a Foreign Language/The 1975 (邦題 外国語での言葉遊び)

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎に傑作をリリースし続けるイギリスのロックバンドThe 1975。5作連続全英チャート1位を獲得するなど、名実ともにイギリスを代表するバンドとなっている彼らですが、今回の作品も文句なしの傑作アルバムに。バラエティーに富んでいた前作と比べると、本作は、彼らの主軸とも言える80年代ポップスからの影響を受けた作品を軸としつつ、メロディアスなポップチューンを聴かせてくれる統一感のある内容に仕上がっていました。

1位 RENAISSANCE/Beyonce

聴いた当時の感想は、こちら

今年の洋楽アルバム1位は文句のつけようのなく本作でしょう!ジャケット写真からして、まさに「女王の貫録」を感じさせる内容になっていますが、作品の内容自体もダンスミュージックを軸としつつ、バラエティーに富ませた内容に。今のミュージックシーンにほどよくリンクさせつつ、一方では彼女のボーカリストとしての魅力をフルに発揮するソウルフルな楽曲も聴かせてくれるという、こちらもまさに「女王の貫録」を感じさせる楽曲に。彼女の圧倒的な実力を感じさせてくれる文句なしの傑作でした。

そんな訳で、今年の1位はBeyonce!各種メディアでも同作を1位に選んでいるメディアが圧倒的でしたが、文句のつけようのない2022年を代表するアルバムでした。この1位と2位のThe 1975の2枚は、今年のアルバムの中で頭ひとつ出ていたように感じます。

あらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 RENAISSANCE/Beyonce
2位 Being Funny in a Foreign Language(邦題 外国語での言葉遊び)/The 1975
3位 Boat Songs/MJ Lenderman
4位 Blue Rev/Alvvays
5位 Carry Me Home/Mavis Staples&Levon Helm
6位 Glitch Princess/yeule
7位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul
8位 Florist/Florist
9位 Skinty Fia/Fountaines D.C.
10位 Quality Over Opinion/Louis Cole

ほかの年間ベスト候補作として・・・

CAPRISONGS/FKA Twigs
LAUREL HILL/Mitski
Dragon New Warm Mountain I Believe in You/Big Thief
MOTOMAMI/ROSALIA 
sore thumb/Oso Oso 
Diaspora Problems/Soul Glo
Fear Of The Dawn/Jack White
WHO CARES?/Rex Orange County
We/Arcade Fire
Mr. Morale & the Big Steppers/Kendrick Lamar
A Light For Attracting Attention/The Smile
Ugly Season/Perfume Genius
Hold The Girl/Rina Sawayama
Fossora/Bjork
Endure/Special Interest
And in the Darkness, Hearts Aglow/Weyes Blood

ずらりと並びましたが、どのアルバムもベスト10に勝るとも劣らない傑作揃いで、全体的に傑作の多い1年だったように感じます。ここ3年間、豊作揃いの年が続いており、シーン全体の充実ぶりが感じられます。この傾向、今年も続いてほしいものです!

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 上半期

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2023年2月 3日 (金)

2022年年間ベストアルバム(洋楽編)その1

毎年恒例の年間私的ベストアルバムの紹介です。洋楽邦楽それぞれ、2日間ずつにわたって紹介します。

10位 Quality Over Opinion/Louis Cole

聴いた当時の感想は、こちら

ロサンゼルスを拠点に活動するドラマーであり、シンガーソングライター、プロデューサーとしても活動しているルイス・コールの新作。当サイトでもアルバム毎に紹介しているThundercatの盟友でもあり、昨年のThundercatでのライブにもサポートメンバーとして参加していますが、自身のアルバムも傑作に仕上がっていました。ジャズの方向性が強いThundercatと比べると、ポップス寄りの作風ながらも、AOR調の曲やエレクトロポップ、さらにはプログレ的なナンバーまで幅広い作風が大きな特徴。珠玉のポップスアルバムに仕上がっていました。

9位 Skinty Fia/Fontaines D.C.

聴いた当時の感想は、こちら

彼らの母国、アイルランドのアイデンティティを意識的に前面に押し出したFontaines D.C.の新作。本作で全英チャート1位を獲得するなど、人気上昇中で、本作も非常に高い評価を受けています。ヘヴィーでノイジーなバンドサウンドを前に押しつつ、ローファイ気味なサウンドを聴かせてくれており、本作ではより、メランコリックなメロディーラインをより前面に押し出したことにより、リスナーとして素直に耳を惹く作品に仕上がっています。バンドとしてさらにワンランク高い水準のサウンドを聴かせてくれる作品です。

8位 Florist/Florist

聴いた当時の感想は、こちら

ニューヨークはブルックリンを拠点に活動するインディーロックバンドの4作目となるアルバム。「お花屋さん」というバンド名の通り、暖かさを感じさせるフォーキーでアコースティックなサウンドのバンド・・・かと思いきや、微妙にサイケデリックな要素が加わっている点が非常にユニークで、音楽的な奥行きを感じさせます。フォーキーで聴きやすいポップなメロを感じさせつつも、ドリームポップやサイケ的な音楽性も加わった非常にユニークな楽曲が魅力的。バンドとしての独自性を感じさせる傑作でした。

7位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul

聴いた当時の感想は、こちら

マカオ出身のプロデューサー、Bolis Pupulとベルギーのシンガー、Charlotte Adigeryとのユニットによるデビュー作。シンプルでエッジの効いたエレクトロビートと、メロウさとポップさを兼ね備えた女性ボーカルによる「歌」という組み合わせが魅力的。マカオとベルギーのミュージシャンの組み合わせに、無国籍的な要素を感じつつ、一方でいい意味で耳ざわりのよいダンスポップがメインとなり、ポピュラリティーも強く感じる作品になっていました。

6位 Glitch Princess/yeule

聴いた当時の感想は、こちら

シンガポール出身の女性シンガーソングライター、ナット・チミエルのソロプロジェクトyeuleによる2枚目となるアルバム。ひょっとして初音ミクを意識したのか?と思われるようなジャケット写真ですが、yeuleという名前もFFXIIIのキャラからの引用らしく、日本人にもなじみがありおう。ドリーミーでダイナミックなサウンドを用いつつ、メロディーラインは至ってポップでキュートですらある点が魅力的。シューゲイザーやドリームポップが好きなら文句なしにはまりそうな作風になっていました。

そんな訳で10位から6位までの紹介。明日は洋楽編5位から1位の紹介です!

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2023年1月 1日 (日)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。今年も、当「ゆういちの音楽研究所」をよろしくお願いします。

今年も例によって年末は、家でダラダラ紅白を見ながら過ごしていました。純粋に音楽が好きだということはあるのですが、なんだかんだ言っても一番「無難」に楽しめる番組だと思います。

今年の紅白、出演者発表の時に「誰も知らない」という類のバッシング記事が目立ったように思います。K-POPのアイドルが多かった影響もあり、ネット右翼気味のヤフコメやTwitterあたりでバッシングが目立ち、それに乗っかかったネット記事も目立ったという影響もあるのでしょう。基本的にビルボードチャートを追っかけている私としては、人選に関しては至って順当という印象があります。この手の「紅白の初登場歌手は誰も知らない」というバッシング記事は、私が高校生の頃・・・30年以上前からあり、正直、風物詩的にはなっているのですが、それ以上に今年に関しては、むしろヤフコメやTwitterで投稿しているような世代が40代やむしろともすれば50代になり、今の音楽シーンに全くついていけない世代になってしまっている・・・という点が、今年ネット上のバッシングが目立った大きな要因ではないでしょうか。

結果として紅白を見ていると、できるだけ広い世代に支持を集めるような人選にしつつも、しっかりと今のヒットシーンも追いかけているような、NHKの努力の跡がうかがわせるような人選になったように思います。個人的には毎年紅白の人選に関しては、NHKは非常にがんばっているという印象を受けており、人選に関してバッシングしている側が、むしろ今の音楽シーンについて全くついていけていない、という印象を受けています。

ただ、そんな中でもちょっと残念なのは、出場者発表があった後に、五月雨的に発表される「特別枠」の発表。正直、back numberとか氷川きよしとか安全地帯とか、「特別枠」とする必要性があったんでしょうか??

あと、紅白の雑感的なことといえば・・・やはり一番すごかったのは玉置浩二のボーカルかなぁ。個人的には安全地帯も玉置浩二も特に好きなミュージシャンではないのですが、あの歌の上手さは他を圧倒していると思います。加山雄三は御年85歳であのパフォーマンスはすごいけど、やはりかなり不安定になっていて、これだけのクオリティーが保てないから引退を決意したんだろうなぁ、と感じます。一方、まったく変わっていない黒柳徹子(笑)。

Adoはホログラムの技術はすごい感じはしたのですが、録音音源っぽかったのがかなり残念な印象。せめてバックで生で歌って、最後に一言でもコメントを述べれば、かなり印象は変わったと思うのですが。あとThe Last Rockstarもかなり微妙・・・。あれで「世界を目指す」と言われても「世界をなめんな」としか言いようがない・・・。まあ、この手のバンドや企画を立ち上げては、ほっぽりだし続けているYOSHIKIなので、この後、アルバム1枚リリースできるのかも微妙なのでしょうが。

あと、福山雅治も鈴木雅之も篠原涼子も小室哲哉も工藤静香も桑田佳祐もみんな年を取ったよね。佐野元春だけはいまだに若々しさを感じるけども。そんなことを考えつつも、なんだかんだ言って楽しめた紅白でした。

それでは、今年もよろしくお願いします!

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2022年12月31日 (土)

2022年ベストアルバム(暫定版)

第8波が猛威を奮うものの、徐々にコロナ禍がようやく終わりつつある2022年。来年あたりは、ようやくコロナが終わった年と言えそうな感じもします。今年もあと1時間を切りましたが、現時点での私的ベストアルバム暫定版です。

邦楽編

まず上半期のベスト5です。

1位 BADモード/宇多田ヒカル
2位 ネオン/水曜日のカンパネラ
3位 物語のように/坂本慎太郎
4位 Muddy comedy/山中さわお
5位 七号線ロストボーイズ/amazarashi

これに続く下期のベスト盤候補は・・・

Awakening:Sleeping/MASS OF THE FERMENTING DREGS
Betsu No Jikan/岡田拓郎
正気じゃいられない/マハラージャン
Long Voyage/七尾旅人
SOFTLY/山下達郎
HOWL/ROTH BART BARON

上期に引き続き、下期も豊作傾向が続き、今年1年通じて傑作アルバムが多かったように思います。コロナ禍も落ち着いてきて、いろいろな意味で制作活動にも制約がなくなってきたからでしょうか。ベスト10選びもかなり迷いそうです。

洋楽編

上半期のベスト5です。

1位 Boat Songs/MJ Lenderman
2位 Glitch Princess/yeule
3位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul
4位 Skinty Fia/Fontaines D.C.
5位 sore thumb/Oso Oso

これに続く下期のベスト盤候補は・・・

Ugly Season/Perfume Genius
Carry Me Home/Mavis Staples&Levon Helm
Florist/Florist
RENAISSANCE/Beyonce
Hold The Girl/Rina Sawayama
Fossora/Bjork
Blue Rev/Alvvays
Being Funny in a Foreign Language(邦題 外国語での言葉遊び)/The 1975
Quality Over Opinion/Louis Cole
Endure/Special Interest

洋楽も豊作気味。特に上期に関しては、良作が多いものの頭ひとつ出たような傑作は少な目・・・という印象だったのですが、下期は出てきました、かなりの傑作が!さらに他にも良作ぞろいで、邦楽同様、ベスト10を選ぶのに迷いそうです。

ちなみに主要メディアの年間ベストを集計してリスト化したサイトがあります。
https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2022/
20位までほぼすべてのアルバムは聴いているのですが、まだ未聴の作品もあるので、そちらはチェックしてみたいところです。

そんな訳で、邦楽洋楽ともに豊作だった2022年。来年もこの状況が続くことを願って。それでみなさん、よいお年を!

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2022年8月 2日 (火)

2022年上半期 邦楽ベスト5

昨日に引き続き、本日は上半期邦楽ベストアルバムです。

5位 七号線ロストボーイズ/amazarashi

聴いた当時の感想は、こちら

コロナ禍の中で、コロナ禍をテーマとしたアルバムをリリースしてきたamazarashiですが、そんな彼らの最新アルバムは、彼らの出自である青森をテーマとした作品。タイトルの「七号線」は、青森を走る国道7号線から取られたもののようですし、そのほか、青森の具体的な固有名詞が数多く登場しており、あらためて彼らの原点に立ち返ったとも言える作品になっています。そんな中で懸命にその日を暮らす人々に対する視点は相変わらず。特に歌詞については今まで以上にインパクトが強く、文句なしの傑作に仕上がっていました。

4位 Muddy comedy/山中さわお

聴いた当時の感想は、こちら

the pillowsの山中さわおによるソロアルバム。ここ最近はソロ作でもバンドサウンドを前に押し出した作品をリリースしていましたが本作も同様。さらに、ソロ作ではthe pillowsの作品以上に、山中さわおの歌いたいことを前に出した内省的な歌詞が特徴的なのですが、今回の作品もthe pillows以上に山中さわおらしい歌詞が特徴的。the pillowsが好きなら、かなりはまりそうな作品になっています。ちょっとこれをthe pillowsで演ってほしかったなぁ、という感じもしないではないのですが、彼のトータルキャリアの中でも指折りの傑作でした。

3位 物語のように/坂本慎太郎

約6年ぶりとなる坂本慎太郎のニューアルバム。空間を生かすシンプルにまとめたサウンドと、人なつっこさがありつつも、どこか一筋縄ではいかない「ポップ」なメロディーラインが相変わらずの独特の空間を醸し出しています。さらに今回のアルバムはコロナ禍の中で作成されたということもあって、そんな現状を反映された歌詞も特徴的。いままで以上に歌詞は具体性を増したようにも感じられ、より心にストレートに響いてくるような、そんな傑作に仕上がっていました。

2位 ネオン/水曜日のカンパネラ

まさかのコムアイ脱退&詩羽の2代目ボーカリスト就任により、あらたなスタートを切った水曜日のカンパネラ。そんな新生水カンの第1作は、まずは挨拶代わりの配信限定アルバムとなるのですが、あらためて水曜日のカンパネラらしい作品を、新たなボーカルにより提示したような作品。彼女たちの王道路線とも言える作品なのですが、一方、新たなボーカリストを入れることにより、新鮮味も復活しています。なにより、ケンモチヒデフミの作る水カンのサウンドに詩羽のボーカルがピッタリマッチしているところが素晴らしいところ。文句なしの傑作でした。

1位 BADモード/宇多田ヒカル

聴いた当時の感想は、こちら

最近ではシンガーソングライターとして、ある意味「すごみ」すら感じさせる宇多田ヒカル。今回のアルバムでも、独特な歌詞の言い回しや、今時なサウンドを取り入れつつ、ともすれば歌謡曲的とも感じられる日本人の琴線に触れそうなメロディーラインを歌いあげるスタイルは、他を寄せ付けない圧倒的な独自性と実力を感じます。特に今回のアルバムでは、エレクトロサウンドやジャズなどといった最近のサウンドも積極的に取り入れており、海外との同時代性を感じさせる作風も魅力的。デビュー作から天才少女と言われた彼女ですが、それから20年以上を経て、このクオリティーを維持するあたり、とんでもないミュージシャンだということをあらためて感じてしまいました。

ほかのベスト盤候補としては・・・

NIA/中村佳穂
OVERHEAT49/百々和宏
アダプト/サカナクション
レキシチ/レキシ
笑い死に/般若
春火燎原/春ねむり
クモヨ島/幾何学模様
ALONE/OMSB

全体的には上期に関して、かなり豊作だったように感じます。上位では、1位から3位までが、かなり順位を迷うような同レベルの傑作。4位、5位と、OMSBの「ALONE」が、同じくらいのレベルの傑作だったように感じます。他に、事実上、シングルと同水準のEP盤だったのでベストアルバムには選びませんでしたが、イズミカワソラの「Continue」とTHE BAWDIESの「FREAKS IN THE GARAGE -EP」は、この水準でフルアルバムをリリースしてこれば、文句なしに年間1位2位クラスになりそうな傑作でした。

あらためてベスト5を振り返ると・・・

1位 BADモード/宇多田ヒカル
2位 ネオン/水曜日のカンパネラ
3位 物語のように/坂本慎太郎
4位 Muddy comedy/山中さわお
5位 七号線ロストボーイズ/amazarashi

最近、再びひどくなってきたコロナ禍ですが、とはいえ、ライブも普通に開催されるようになったり、少しずつ以前に戻りつつある点、ミュージシャンにとっても音楽活動を活発化させ、それが傑作のリリースにつながっているのでしょうか。下期の動向も楽しみです。

ちなみに過去のベストアルバムは

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期

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2022年8月 1日 (月)

2022年上半期 洋楽ベスト5

今年も早いもので半年が経過しました。恒例の上半期私的アルバムベスト5、今日は洋楽編です。

5位 sore thum/Oso Oso

聴いた当時の感想は、こちら

ニューヨークに拠点を置く、エモコア系バンドのニューアルバム。前作「Basking In The Glow」も非常に優れた傑作アルバムでしたが、それに続く本作もまた、傑作アルバムをリリースしてきました。なんといってもポップながらメランコリックなメロディーラインが日本人の壺をつきそう。そんなメロディーラインを分厚いバンドサウンドにのせて、曲によってはピアノやアコギの弾き語りなどバラエティーを持たせつつ、最後まで一気に聴かせます。今後、さらに日本でも注目を集めそうなバンドです。

4位 Skinty Fia/Fontaines D.C.

聴いた当時の感想は、こちら

本作で全英チャート1位を獲得するなど、人気上昇中のバンドFontaines D.C.。ヘヴィーでノイジーなバンドサウンドを前に押しつつ、ローファイ気味なサウンドを聴かせるバンドで、本作では特にいままでと比べて、メランコリックなメロディーラインをより前面に押し出したことにより、リスナーとして素直に耳を惹く作品に仕上がっています。また今回の作品は、特に彼らの母国であるアイルランドのアイデンティティを意識的に取り込んだ作品としても注目を集めています。彼らもまた、日本でも今後さらに注目を集めそうです。

3位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul

聴いた当時の感想は、こちら

マカオ出身のプロデューサー、Bolis Pupulとベルギーのシンガー、Charlotte Adigeryとのユニットによる1stアルバム。シンプルでエッジの効いたエレクトロビートと、メロウさとポップさを兼ね備えた女性ボーカルによる「歌」という組み合わせが耳を惹きます。また、マカオとベルギーのミュージシャンの組み合わせということもあって、無国籍的な要素をどこか感じて、それが大きな魅力に。ある意味、ジャンルにあてはまらない自由さを感じさせる傑作アルバムでした。

2位 Glitch Princess/yeule

聴いた当時の感想は、こちら

シンガポール出身の女性シンガーソングライター、ナット・チミエルのソロプロジェクトyeuleによる2枚目となるアルバム。ドリーミーでダイナミックなサウンドを用いつつ、メロディーラインは至ってポップでキュートですらある点が魅力的。幻想的なドリームポップが主体となっており、シューゲイザー好きやドリームポップ好きなら間違いなくはまりそうなミュージシャンです。ちなみにこのyeuleという名前はFFXIIIのキャラクターから取られたそうで、そういう意味でも日本人にもなじみがありそう。

1位 Boat Songs/MJ Lenderman

聴いた当時の感想は、こちら

アメリカのシューゲイザー系インディーロックバンドWEDNESDAYでギタリストとして活躍しているJake Lendermanによるソロプロジェクト。80年代のインディーロックと70年代のロックの融合体のようなスタイルが特徴的で、シューゲイザー系や、その後のオルタナ系ロックに軸足を取りつつ、カントリーロックやブルースロックへの憧憬も深いというスタイルが魅力的。80年代インディーロックと70年代ロックを等距離で取り込んだサウンドが、逆に新鮮味を感じさせます。

ちなみにほかのベスト盤候補は・・・

CAPRISONGS/FKA Twigs
LAUREL HILL/Mitski
Dragon New Warm Mountain I Believe in You/Big Thief
MOTOMAMI/ROSALIA
Diaspora Problems/Soul Glo
Fear Of The Dawn/Jack White
WHO CARES?/Rex Orange County
We/Arcade Fire
Mr. Morale & the Big Steppers/Kendrick Lamar
A Light For Attracting Attention/The Smile

上半期、洋楽に関しては結構良作が多かったように感じます。ただ一方、全体的にどんぐりの背比べといった印象は否めず、1枚、これといったアルバムはなかったようにも感じました。全体的に物足りなさを感じた昨年の上期と比べると、比較的豊作だったとは思いますが。

さて、あらためて上半期ベスト5を並べると

1位 Boat Songs/MJ Lenderman
2位 Glitch Princess/yeule
3位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul
4位 Skinty Fia/Fontaines D.C.
5位 sore thumb/Oso Oso

下期もまた、傑作アルバムに出会えますように!

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 年間 上半期
2017年 年間 上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  上半期
2021年 年間1  上半期

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