堀込弟脱退!
Title:SUPER VIEW
Musician:キリンジ
今年春に開催されるライブツアーを最後に、弟堀込泰行の脱退が発表されたキリンジ。キリンジといえば、堀込兄弟の異なる音楽センスが交差するところが大きな魅力であり、なによりも実の兄弟のユニットだっただけに、「脱退」というニュースは大きな驚きでした。なによりも、弟が脱退して、兄ひとりになっても、キリンジは続いていくんだ、という点にも驚きましたが・・・。
今月には、2人でのラストアルバムとなる「Ten」も予定していますが、脱退を前提としたアルバムということを考えると、まずジャケット写真からして思うものがあります。堀込兄弟2人が向き合う姿をモチーフに、暮れ行く日を題材としたジャケット写真は、このアルバムを含めて、2人でのキリンジが聴けるのが、これが最後という一抹の寂しさを感じるジャケットになっています。
ただ、アルバム自体には、そういう別れを全面的に感じさせるような作品にはなっていませんでした。むしろ、全体的に爽やかで明るい雰囲気だったのが印象的。脱退のニュースを知らなければ、いつも通りの良質なポップスを届けてくれるキリンジの傑作がひとつ加わった、という印象だったかもしれません。いい意味で安定感あるポップソングで、期待通りのシティポップを楽しめることが出来ます。
その一方で、これを最後に弟が脱退というニュースを前提に聴くと、いろいろと思うところも。例えば1曲目「早春」は、冨田恵一のストリングスアレンジが特徴的な壮大なナンバーですが、どこか2人キリンジのフィナーレを彷彿とさせるようですし、堀込泰行作品の「涙にあきたら」は、大切な人へのメッセージながら、どこか別れを前提としたような、彼からの最後のメッセージのようにも思えてきます。
そんな、どこか2人でのキリンジの終着点を思い起こさせるようなアルバムになっていた本作。ただ、そんなテーマ性とは別に、このアルバムの中で大きな注目を集めたのは、やはり「祈れ呪うな」でしょう。
この曲は、例の福島原発の事故をテーマとした曲なのですが、歌詞はかなりストレートに、福島第一原発事故を描写しています。ただ、主張としては、いままで、原発の危険性を認識していながらも、こういう事態を起してしまった私たちへの自戒の念をテーマとしていて、単純な反原発とも異なる、心につきささるようなメッセージになっています。
この作品と、あと1作で最後というのは実に残念なのですが、キリンジとして、2人でやれることはやりつくした、といった感じなのかなぁ。ただ、2人は実の兄弟。それだけに、いつか、再結成してくれることを期待したいのですが・・・。とはいえ、その前にもう1枚、アルバムのリリースが予定されているだけに、そちらを楽しみにしたいところ!
評価:★★★★★
キリンジ 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
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