「ファンクの教科書」にふさわしい圧巻のディスクガイド
今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。
「ファンク超大全 The Ultimate Guide to FUNK」。レビューサイトを運営されているFUNK OF AGESによる監修によるファンクのディスクガイド。基本的にはファンクの名盤をズラリと並べている1冊となりますが、内容は5章にわかれており、Chapter1は「ファンクの革新者たち」として、ファンクの代表的な4人のミュージシャン、ジェイムス・ブラウン、スライ・ストーン、ジョージ・クリントン、プリンスを紹介し、その歩みを紹介すると共に、彼らに関係するアルバムを紹介。その後は時代別に1960~70年代、1980年代、1990~2000年代、2010~2020年代と章をわけて紹介しています。
まず圧巻なのが本書のボリューム量。全368ページからなる本書に、1,500枚を超えるアルバムを紹介。まさにフルボリュームと言える内容に、これでもか、というほどのファンクに関連するアルバムが紹介されています。本書の帯にジョージ・クリントンからの推薦文が記載されており、日本語の本書を、本当にジョージ・クリントンが読んだのか、かな~り怪しいのですが、「これはファンクの教科書だ」と記載されていますが、まさに、そんな推薦文もピッタリとくる、ファンクを隅から隅まで網羅したディスクガイドになっています。
そして、この紹介されているアルバムの範囲もまた圧巻のひとこと。Chapter1で紹介されている、ファンクの大御所たちのアルバムはもちろんのことEarth Wind&Fire、Ohio Players、The Isley Brothers、Chicあたりのミュージシャンたちはもちろんのこと、最近のミュージシャンたちも、D'Angeloやフジロックに出演して注目を集めたVulfpeck、Bruno Marsに、Saultまで網羅。まさに「ファンクの教科書」にふさわしい、「ファンク」と呼ばれるようなアルバムを幅広く紹介しています。
さらに本作がおもしろいのは、一般的に「ファンク」と呼ばれるジャンルだけに留まらず、「ファンク」のリズムを奏でているアルバムを幅広く収録している点でしょう。Mile Davisの「On The Corner」のようなジャズからブルース、ソウル、R&Bなどなど。「ファンク」と一言で言っても、私たちを魅了するこのリズムが、ジャンルを超えて様々な音楽に影響を与えていたということがよくわかります。また、洋楽だけではなく邦楽のアルバムも紹介されており、在日ファンクや、さらには堂本剛のソロプロジェクト、ENDRECHERIのアルバムまで紹介されており、実に幅広いアルバムを網羅したディスクガイドとなっています。
まさにファンクのディスクガイドとして圧巻と言える1冊。非常に読み応えのある内容であり、ファンクの魅力が存分につたわってくる1冊でもありました。ただ、一方、読んでいてちょっと気になった点として、アルバムの並び方として発売順に並んでいるのですが、アルバムの並びがちょっと雑然としすぎている感も受けました。特に、同じミュージシャンのアルバムが、1冊の中で様々な箇所にバラバラに並んでいるため、どんなミュージシャンなのかわかりにくくなっている感じも。ミュージシャン毎に紹介されているのは、Chapter1の5人だけだったのですが、個人的には、アルバムの並びを発売順にするのならば、クローズアップするミュージシャンはもっと増やした方がよかったようにも思いました。
また、邦楽のアルバムも紹介されていたのですが、こちらはもうちょっとボリュームアップしてほしかった感じも。特に洋楽の中に混ぜるよりも、独立したひとつのChapterとして、邦楽の中でのファンクの影響を紹介してほしかったかもしれません。
そんな気になる部分はありつつも、ただ、前述の通り、「ファンクの教科書」という推薦文にふさわしい、ファンクのことがよくわかる圧巻のディスクガイド。ファンクというジャンルが、いかに様々な音楽の中に浸透しているのか、あらためて実感でき、また、ファンクというキーワードに基づいて、いろいろなアルバムを聴きあさりたくなる、そんな1冊でした。
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