Title:あの音にこの職人②:キャロル・ケイ編 60'sポップスを支えたセッションの女王

今回紹介するアルバムは、オールディーズ・レコードからリリースされたコンピレーションアルバム。ロサンゼルスのスタジオミュージシャンとして活躍し、ビーチボーイズやフィル・スペクターの周辺のシンガー、さらにはレイ・チャールズからフランク・シナトラまで様々なミュージシャンたちのレコーディングに参加した、表題通り、まさに「60年代ポップスを支えたセッションの女王」、ベーシストのキャロル・ケイの参加曲を集めたコンピレーションアルバムとなっています。
オールディーズ・レコードは、老舗のインディーズレコードショップ芽瑠璃堂の創業者、長野和夫がスタートさせたインディー・レーベル「クリンク・レコード」が流通・販売を手掛けるレーベルで、タイトル通り、1950年代から70年代の洋楽の名盤やレア音源の復刻を手掛けるレーベル。以前から、このようなコンピ盤を多くリリースしてきているようですが、「CD+BOOK」形式となっており、コンピレーションアルバムに、内容を説明する書籍がセットになった企画盤となっています。
まず正直言ってしまって、「BOOK」の方に関しては期待していたほどではありませんでした。確かに、キャロル・ケイがどのようなミュージシャンなのか、という紹介や、収録曲各曲の説明が載っており、それなりに読ませる内容になっています。ただ、冊子としてはかなり薄っぺらく、また、対象とするリスナーが老眼の人たちばかりのためか(苦笑)、文字の大きさはかなり大きく、記載量は少な目。正直、文字を小さくすれば、普通のCDのライナーツノートレベルの内容となっており、これを「BOOK」として売り出すのはかなり無理があるような・・・。
ただ、コンピレーションアルバムの方はかなり充実の内容。The Beach Boysの「Sloop John B」やThe Supremesの「Love Is Here and Now You're Gone」(邦題「恋ははかなく」)、ロネッツ、レイチャールズ、アイク&ティナ・ターナ、モンキーズなど60年代を彩る大物がズラリ。特に大物ミュージシャンたちの曲は、この手のコンピ盤になかなか収録されなかったりするので、そんなメジャーどころまでしっかりと抑えている内容には驚かされます(ちゃんと許可は取っている・・・・・・・んだよね???)。
さて、そんな彼女の奏でるベースは、今回のコンピレーションに収録されている曲でもしっかりと目立って聴こえます。まず特徴として感じられるのは、一度聴いて彼女のベースだ、とわかるような、リズムの取り方などに変な癖はありません。ある意味、淡々と、曲に沿ったベースラインを演奏していく、そんなスタイルでしょうか。おそらく、ベーシストとして、その演奏に変な癖がなく、様々なミュージシャンのスタイルに合わせられるからこそ、多くのミュージシャンたちにセッションミュージシャンとして重宝されたのでしょう。
一方、それとは逆に、彼女のベースの音は、楽曲の中でクリアに聴こえてきます。通常、ベースの音は楽曲の中で必ずしも目立つ訳ではありません。もちろん、ベースが前面に押し出されている曲もありますが、よくよく聴かないとベースの音がわかりにくいという曲も少なくありません。そんな中で彼女のベースは、曲の中ではっきりと聴こえてくるような、しっかりとした輪郭を持ったベースの音を聴かせてくれています。だからこそ、曲によってはベースのリズムが楽曲の推進力になったりもしています。また、そういうベースだからこそ、多くのミュージシャンたちに求められたのでしょう。
最近は、サブスクの普及で過去の曲も容易に聴けるようになったため、このようなコンピが少なくなってきているように感じます。ただ、楽曲の説明もついた、こういうアルバムとしてのテーマを持ったコンピをもっと聴きたいところ。なにより本作、税抜1,000円という安さも魅力的。今後も同じような企画のコンピ盤がリリースされるようなので、また是非とも聴いてみたいです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
The Real Me/Future

トラップの第一人者でもあるアメリカのラッパー、Futureによる約4年ぶりの新作。HIP HOPもトラップも、一時期に比べると落ち着いた感はあるのですが、本作は見事ビルボードチャートで1位を獲得し、なんだかんだいってもまだまだ強い人気を感じさせる結果となりました。さて、そんな本作の大きな特徴は、客演ゼロですべてFuture1人のみで作りあげた作品ということ。「The Real Me」というアルバムタイトル通り、「本当の自分」を見せようとするアルバムとなっています。ただ、結果としては新しいアルバムというよりは、いままでのFutureらしさの集大成的なアルバムといった感じに。正直、目新しさは感じませんでしたし、無難にまとまっているという印象も。こういう作品も、次の一歩のために必要な1枚・・・だったということでしょうか。
評価:★★★★
Future 過去の作品
WE DON'T TRUST YOU(Future&Metro Boomin)
WE STILL DON'T TRUST YOU(Future&Metro Boomin)
Vanishing Point(Extended Edition)/Primal Scream

イギリスのロックバンド、Primal Screamが1997年にリリースした彼ら5枚目のアルバム。本作と次回作「XTRMNTR」、次々回作「Evil Heat」は、ロンドンに制作した自前のスタジオ「The Bunker」で制作され、革新的なスタイルが高い評価を受けたため、今回、この3作が「The Bunker Trilogy」としてリマスターされ再発。その第1弾アルバムとなります。
4枚目「Give Out But Don't Give Up」はブルースやロック寄りにシフトした作品だったのですが、正直、評価は芳しくなく、本作は名盤の誉れ高い3枚目「Screamadelica」の作風に戻しつつ、エレクトロサウンドの要素を取り入れた、次作「XTRMNTR」との橋渡し的ともなっている作品。「Screamadelica」で聴かせてくれたグルーヴ感と、「XTRMNTR」の高揚感を兼ね備えたような作品。その結果、ちょっと中途半端な部分もあり、「Screamadelica」「XTRMNTR」ほどの傑作とまでは言っていませんが、これはこれで、ある種、過渡期の作品として聴きごたえのある傑作に仕上がっています。
今回はB面曲やレア音源を加えたバージョンとなるのですが・・・ただ、当初配信リリースされた「Extended Edition」の一部の曲は配信中止となり、現在、配信されているバージョンはちょっと異なった内容になっています。なぜだ?配信スタートさせたはいいけど、権利の関係で問題になって差し替えたのか?今ひとつ、ここらへんのはっきりした情報がなく不明なのですが、ここらへん、勝手に曲を入れ替えられて、配信停止になってしまうあたりがストリーミングの大きな問題点。せめて、アナウンスが欲しいのですが・・・。
評価:★★★★★
primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition
More Light
Chaosmosis
Give Out But Don't Give Up:The Original Memphis Recordings
MAXIMUM ROCK ‘N’ ROLL: THE SINGLES
Demodelica
Live at Levitation
Come Ahead
Come Ahead: The Remixes Vol 1 (Vocals)
Come Ahead:The Remixes Vol.2(Dubs)
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