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2026年9月28日 (月)

「和解」と「寛容」のドキュメンタリー

今回は最近見た、音楽関連の映画の感想です。

ご存知、90年代に一世を風靡し、全世界に特大のヒット曲を連発したロックバンド、oasis。稀代のボーカリスト、リアム・ギャラガーと天才的なメロディーメイカー、ノエル・ギャラガー兄弟を中心したこのバンドでしたが、リアムとノエルの兄弟喧嘩がよく話題となり、ついには2009年に解散に至ってしまいました。しかし、月日を経て、2024年に再結成。2025年には全世界ツアーを行い、来日公演も大きな話題となりました。本作は、そんな解散ツアーの模様を追ったドキュメンタリー映画「オアシス ドント・ルック・バック・イン・アンガー」。blurの再結成ツアーを追ったドキュメンタリー映画「ノー・ディスタンス・レフト・トゥ・ラン ア・フィルム・アバウト・ブラー」を手掛けたディラン・サザーンとウィル・ラブレースが監督をつとめた作品となります。

映画は最初、oasisの解散が決まった、2009年のフランスでの音楽フェスの映像から始まります。会場のアナウンスで、ライブの中止とリアムがもう戻ってこない旨が伝えられます。ただ、解散の瞬間であったのですが、兄弟喧嘩が日常茶飯事だった彼らだったので、その時、会場にいたファンの多くは「いつもの喧嘩だな・・・」としか考えなかっただそうなぁ・・・という感じがします。そして、その後、ライブのリハーサルの初日の映像が。ノエルを含めたメンバーが揃っている中、リアムが最初に登場する瞬間をとらえた貴重な映像になっており、ノエルを含めて、リアムが登場で上手くいくのか、緊迫感のある空気感が印象的な映像になっています。

そんな貴重な映像を織り込みつつ、ただ、その後については、正直言えば少々期待外れでした。というのも、本作はあくまでも「ドキュメンタリー」であり、「ライブ映画」ではありません。ドキュメンタリーは、彼らのライブツアーでの映像を挟みつつ、全世界のoasisファンが、いかにoasisを待望していたのか、それぞれコメントしていく映像になっています。oasisというバンドがいかにファンに愛されたのか、ということを実感できる構成になっているのですが、正直言って、ファンのコメントの比率が多すぎ。もっと肝心のoasisのライブを見せてほしかった、というのが率直な感想です。

そして肝心なライブ音源についても、フル収録になっていない部分も非常に残念な点。基本的にライブ映像は演奏の途中で切られており、1曲まるごと聴けるような曲はありません。もちろん楽曲については魅力的ですし、なによりも久しぶりのoasisとしてのステージでありながらも、バンドとして一体感のある迫力ある演奏が魅力的。もちろん、oasisが活動休止中も、ギャラガー兄弟はいずれも活動を続けており、リアムに至っては、oasisの全盛期に行われたネブワースでのライブを行ったほどの人気を維持していた、現役バリバリのミュージシャンという点も大きいのでしょう。ただ、長らくの活動休止と、その後の久しぶりのステージという点を感じられないような、魅力的なステージを見せてくれています。それだけに肝心のライブシーンがあまり多くなかった点は非常に残念に感じました。

ちなみにもうひとつ残念に感じた点として、世界各地のoasisファンがインタビューに応じており、その場所でのライブ映像が使われているのですが、アジア代表として登場するのが日本ではなく韓国であったという点・・・韓国であることに大きな意味があるとは感じなかったのですが、ただ、ここらへん、世界における日本の地位の低下を強く感じてしまいました・・・。

もちろん、見どころも少なくありません。劇中でのコメントで、ノエルがリアムのことを、ボーカリストとしての才能を認めた上で、「自分がもっと折れればよかったんだ」と大人なコメントを聴かせてくれていたことも印象的。後半にはノエルとリアム兄弟が同席したインタビューシーンも登場し、2人が並んでいて話している点だけで胸が熱くなるのですが、なにげに仲良さげな雰囲気を漂わせている点も印象的。今回の活動再開劇は一時的で、すぐにまた喧嘩しそう、と思っていたのですが、お互いに「大人」になった今、この映画から伝わってくる雰囲気からすると、永続的にoasisの活動は続きそうな印象すら受けました。

また、監督が映画に込めたメッセージも印象的で、ノエルとリアム兄弟の和解にも象徴されるように、和解や寛容がこの映画のメッセージにもなっています。特に後半、2017年に起こった、アリアナ・グランデのライブでの自爆テロ事件の生存者によるインタビューが収録。その中で、oasisの代表曲「Don't Look Back In Anger」が心の支えとなっており、また、事件の慰霊祭のシーンでは、みんなでこの歌を歌うシーンが収録されてます。ノエルもインタビューの中で「自分たちは右翼のバンドではないので、誰でも大歓迎」という話をしており、世界各地で「寛容さ」が失われて、トランプのような大統領が登場したり、ヨーロッパで極右が台頭していく中で、「寛容」の大切さがメッセージとして込められています。だからこそ、映画のタイトルを「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」としているのでしょう。

そんな監督が込めたメッセージには強い共感を覚えつつ、ただ、正直、「ライブ映画」を期待して見に行った身からすると、いささか期待外れに感じてしまう内容でもありました。ひょっとしたら、近いうちにライブをそのまま収録した映像作品がリリースされるか、また、映画が上映されるのかもしれませんが・・・。一方で、短期的になるのではないか、と思っていたoasisの再結成でしたが、この映像を見る限り、兄弟の仲はいままでにないくらいに良好で、今後もコンスタントに活動が続きそうなのはうれしくなってきます。早くも次のツアーの予定もアナウンスされていますし、次の来日ライブには是非、足を運びたいなぁ。ちょっと期待外れでしたが、oasisの魅力は感じられる映画でした。

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