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2026年9月 7日 (月)

あらたな一歩・・・かと思いきや・・・。

Title:Birthday
Musician:渡辺美里

純粋なオリジナルアルバムとしては実に約7年ぶりとなるニューアルバム。途中、カバーアルバムやベスト盤、過去のアルバムの復刻版などのリリースもあったので、そんなにたつのか・・・という感も強いのですが、オリジナルアルバムで7年のインターバルというのは過去最長となってしまいます。正直、全盛期は毎年夏に必ずオリジナルアルバムをリリースしていたことから考えると隔世の感はあるのですが・・・。

さて、そんな今回のアルバムなのですが、まず目を惹くのはそのジャケット。彼女の顔をアップした写真に、重なるようにアルバムタイトルと「Misato」という文字。ファンならこのジャケットを見ただけですぐにピンと来るでしょう。このジャケット、明らかにデビューアルバム「eyes」を意識したオマージュとなっています。

髪を切られそうになっている渡辺美里のアップの写真。特にどこか不安そうで、かつ不満げな彼女の目が印象的なジャケットは、どこか社会の中で押し付けられ、そんな中での不満を感じていた、80年代の10代の若者を象徴するような写真として印象的でした。一方、今回のジャケット写真は対照的に、非常に明るい雰囲気の彼女の姿。オリジナルのジャケットのはさみを模したような手のポーズも印象的。40年以上の月日を経た、彼女の変化も感じさせます。

そんなデビューアルバムを意識したジャケットに、「Birthday」というタイトル。久々というオリジナルアルバムと合わさって、原点回帰、もしくは新たな一歩を意識したアルバム、最初、そんな印象も抱きました。ただ、残念ながら本作は原点回帰といった感じでもありませんし、彼女の新たなデビューアルバム、といった感じでもありません。彼女らしいロックのテイストを取り入れた軽快なポップチューンが並ぶ作品となっているのですが、正直、新機軸といった感じもありません。

1曲1曲で聴くと決して悪くはありません。槇原敬之作詞作曲による「折りたたみ傘」はいかにもマッキーらしい切ないラブソング。これマッキー本人が歌ってもいいんじゃない?というほどで彼の曲としても出来は悪くありません。事実上のタイトルチューンとなっている「毎日がバースデイ」は、「恋するパンクス」でもおなじみ、奈良部匠平作曲によるナンバー。「恋するパンクス」も彷彿とさせるような軽快なロックンロールになっていますし、「そして歌がはじまった」では久々に木根尚登が参加。服部隆之編曲によるアレンジで、ストリングスを加えてスケール感のある作風に。「歌」の力を伝えるような歌詞になっており、彼女の「歌」に対する思いも感じさせる楽曲となっています。

特に前作「ID」で相性の良さを感じた田中明仁や、現在のバンマスの奥野真哉は今回も参加。田中明仁作曲、奥野真哉編曲の「BITTER☆SWEET ROCK'N'ROLL」は、80年代90年代の彼女を彷彿とさせるような明るく軽快なロックチューンになっており、本作でも相性の良さを感じさせます。また、一時期は原則すべて渡辺美里本人が作詞を担当していましたが、「折りたたみ傘」の槇原敬之や「Deep Breath」の川村結花のように、他の作家に任せる歌詞も目立ちます。それに影響されたのか、一時期、ちょっと今一つだった渡辺美里自身の歌詞も「大人の」歌詞に進化しているように感じました。

そんなこともあり、アルバム全体の出来としては悪くありません。さすがに80年代90年代初頭の全盛期と比べると厳しいものがありますが、迷走気味に感じられた90年代後半や2000年代あたりの作品に比べると、特にここ数作、グッと良くなったようにも感じます。ただ一方、今回のアルバム、「eyes」のオマージュ的なジャケット写真、原点回帰的、あるいは新たな一歩を狙ったような「Birthday」というタイトルから考慮してしまうと、いまひとつアルバムとしてのコンセプトもはっきりしませんし、不完全燃焼な感じも否めません。原点回帰としては、前々作「オーディナリー・ライフ」のような、明確な方向性もありませんし、新機軸としても、今回のアルバムで目新しい曲もなければ、「こんな人と組むんだ!」というビックリするような作家陣の参加もありません。そういう点が非常に残念にも感じてしまいました。

決して悪いアルバムとは思わないのですが、良くも悪くも「無難」な感も否めないアルバム。それならば、次はせめてもうちょっとアルバムのリリーススパンを短くしてほしい感じもするのですが・・・。惜しい感じもするのですが・・・そういった感想を抱いてしまう作品でした。

評価:★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ
eyes-30th Anniversary Edition-
Lovin'you -30th Anniversary Edition-
ribbon-30th Anniversary Edition-
ID
harvest
tokyo-30th Anniversary Edition-
うたの木 彼が好きな歌
Face to Face~うたの木~
ULTRA POP


ほかに聴いたアルバム

I AM HERO/宮本浩次

オリジナルアルバムとしては約4年半ぶりとなる作品。ある意味、ミュージシャンとして集大成的なアルバムで、比較的売れ筋のポップな曲から、泥臭く、力強く聴かせる曲、バンドサウンドを前に押し出した曲、哀愁感もって聴かせる曲までバラエティー富んだ内容となっており、まさに今の宮本浩次として表現したい音楽を詰め込んだ内容となっています。還暦となった区切りに作られた作品ではあるものの、年齢を感じさせない若々しさと勢いもあり、ミュージシャンとしてはまだまだこれからというある種の決意も感じさせます。ただ一方、ソロでここまでやられるとエレカシとしての出番がなく、バンドとして復帰することはもうないのか・・・というちょっと心配な気分にもさせられますが・・・。まさにミュージシャン、シンガー宮本浩次を1枚で主張した作品となっていました。

評価:★★★★★

宮本浩次 過去の作品
宮本、独歩
ROMANCE
縦横無尽
秋の日に

NIAGARA TRIANGLE Vol.1 VOX

ナイアガラ・トライアングルが1976年にリリースしたアルバムの50周年を記念してリリースされたボックスセット。この時のナイアガラ・トライアングルは大滝詠一、山下達郎、伊藤銀次のコンビだったのですが、全体的にはやはり山下達郎が目立つ感じ。ただ一方では、大滝詠一らしい、もっとノベルティ色の強い作品や、伊藤銀次らしい、もうちょっとソウル的な要素が加わったような曲もあり、ここらへんの3人の微妙なバランスがユニークな感じ。基本的に、Disc2以降については、リミックスやカラオケなので、マニア以外はオリジナル作で十分かと思うのですが、非常に聴きごたえのある作品でした。

評価:★★★★★

NIAGARA TRIANGLE 過去の作品
NIAGARA TRIANGLE Vol.2 30th Edition
NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition

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