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2026年9月

2026年9月30日 (水)

今週も男性アイドルグループがズラリ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も先週に引き続き、男性アイドルグループが上位に並びました。

まず1位初登場はTOBE所属の男性アイドルグループNumber_i「REBON」が獲得。CD販売数、ダウンロード数で1位獲得。以前のシングルはTOBE通販限定ということでオリコン週間シングルランキングにランクインしていませんでしたが、本作は初動売上30万枚で1位を獲得しています。また、本作は「REBON/BUGS LIFE/DIGITAL GIRL」のCD収録の3曲ともA面扱いとなっていましたが、このうち「DIGITAL GIRL」がダウンロード数2位、ラジオオンエア数で1位を獲得し、総合順位で2位を獲得しています。

3位は先週2位のEBiDAN「Yes! 東京」が獲得。CD販売数3位、ダウンロード数1位、ストリーミング数2位。

さらに今週は4位にM!LK「好きすぎて滅!」、5位に「時空を超えてユニバース」とM!LK関連作品が並んでいます。さらに「爆裂愛してる」も10位にランクインし、今週も3曲同時ランクイン。「好きすぎて滅!」は42週連続、「爆裂愛してる」は通算30週目のベスト10ヒットとなっています。

4位以下の初登場曲はマカロニえんぴつ「運命さがし」が先週の13位から8位にランクアップし、ベスト10入り。ストリーミング数が16位から9位、ラジオオンエア数も12位から3位と大幅に順位がアップし、総合順位でベスト10入りしています。

また、ロングヒット曲ではMrs.GREEN APPLE「Brand New」が5位から6位にダウンしているもののベスト10をキープ。ストリーミング数は2週連続の3位。これで11週連続のベスト10ヒットとなりました。

一方、ILLIT「It's Me」は10位から11位に再びダウン。ベスト10ヒットは通算12週で再びストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年9月29日 (火)

ノンフィクション性の強いリリックが特徴的

Title:無職覚醒
Musician:アフロ

2024年12月に活動を休止したHIP HOPグループ、MOROHAのMC、アフロによる初のソロアルバム。徹底的に自己の内面を吐露したリリックにポエトリーリーディング的なラップと、相方UKのアコギ1本というシンプルなサウンドという独自性のあるユニットでしたが、残念ながらUKからの申し出により活動休止となってしまいました。

もともと、UKからの活動休止の申し出を受けた時、アフロは「1人での活動を続ける」という話をしたそうですが、それはUKから拒否されたそうで、その後、アフロはどのような活動を続けるのか気になっていたのですが、今回、ソロ活動をスタート。あくまでもUKから拒否されたのは、MOROHAとしての活動という意味だったのでしょうか。

そんなアフロのソロデビュー作ですが、明確にMOROHAとしての活動と、そのスタイルが異なります。まず耳を惹くのがトラック。アコギ1本だったMOROHAの時のトラックと異なり、様々なサウンドを取り入れています。冒頭を飾る「ギンギラ」では打ち込みやシンセで分厚いトラックを作りあげていますし、「花と木刀」はハードコア風なHIP HOPとなっています。「ムーンリバー」ではピアノとホーンで哀愁たっぷりのムーディーなトラックに仕上げていますし、ラストを飾る「ワンツー」や「じんせい」はMOROHAを彷彿とさせるようなリリックとシンプルなトラックが特徴的ですが、そこで鳴っている音はアコギではなくピアノに入れ替わっています。

また、さらに大きく異なっているのがリリック。MOROHAの作品では、前述の通り、自己の内面を吐露する、ノンフィクション性の強いリリックが特徴的でしたが、今回の作品では12曲にそれぞれの主人公が登場。かなりノンフィクション性の強いリリックとなっています。1曲目の「ギンギラ」は、まさに現在、アフロが立たされている状況を描いているのですが、「花と木刀」では、学校の不良が主人公。いままでのアフロのリリックからすると違和感を覚えるかもしれません。かと思えば「牛乳パン」では、逆にいじめられっ子が主人公となっていますし、「POETRY DREAM」では、MOROHAをモデルとなっているようですが、相方は既に死んでいる設定にっています。これ、UKに許可は取ったんだよね?(笑)

サウンド面はもちろん、リリックでも大きくMOROHAのスタイルと変えてきたあたり、ソロとして新しいことをやりたい、またソロだからこそ出来ることをやりたいというアフロの決意を感じます。また、ソロだからこそ、様々なゲストが参加している点も特徴的で、「checkered fire」「牛乳パン」では澁谷逆太郎ことSUPER BEAVERの澁谷龍太がボーカルで参加しているほか、「サンパチ」ではヒグチアイ、「花と木刀」ではMY FIRST STORYのNobがアレンジで参加しているなど、多彩なゲストの参加もまた、ソロならでは、といった感じがします。

一方、もちろんMOROHAから変わらないアフロらしさも健在で、そのポエトリーリーディング的な、独特なラップスタイルは変わりません。また、様々な人物が主人公になっているますが、基本的に逆境にあっている「弱者」であり、その中から立ち上がろうとするスタイルはMOROHAの楽曲から大きくは変わっていません。ノンフィクション性の強いリリックやバラエティー富んだサウンドに、MOROHAのイメージを聴こうとすると違和感を持つ方もいるかもしれませんが、聴く進めるうちにおそらく違和感は徐々に薄れ、MOROHAが好きだった方は十分楽しめる作品だったと思います。

ソロとして自由度の高まった作品と感じますが、その一方、ノンフィクション性が強い作品がゆえに、どこか作られた感は否めず、ソロの活動が進んでいく上に、徐々にネタ切れしてしまうのではないか、という感じも受けてしまいます。まあ、自己を吐露するMOROHAのスタイルも同じようなリスクは抱えるのですすが・・・。そういう気になる点はありつつも、本作はアフロらしい傑作と言える作品。自分の内面の吐露については、いつか帰ってくるかもしれないUKを待っているのかもしれません。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

GOLDEN☆BEST ブレッド&バター/ブレッド&バター

レコード会社共通の廉価版ベストシリーズ「GOLDEN☆BEST」。本作は2005年にリリースされた作品のBlu-spec CD 2仕様による再発盤。1984年から1996年に在籍したファンハウス時代の音源を収録しているため、一部、1989年に再録した音源を使用しているそうです。フォークデゥオとして紹介される2人ですが、基本的には1980年代以降の楽曲が収録されているため、フォークというよりもAORやシティポップ的な作品が多い感じに。楽曲によっては哀愁感が強く、歌謡曲テイストが強い感じになっているのは、なんでも歌謡曲になりがちな昭和の頃ならではといった感じですが、全体的にはシティポップの先駆け的に楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

GOLDEN☆BEST りんけんバンド/りんけんバンド

こちらも同じく「GOLDEN☆BEST」シリーズのBlu-spec CD 2仕様の再発盤。沖縄民謡と日本のポップスを融合させた独自の音楽性で人気を博し、今でも活動を続けているりんけんバンドのベスト盤。三線や太鼓を用いた沖縄音楽のリズムに、時にはリズミカルに、時には哀愁たっぷりに歌い上げる曲調が魅力的。曲によっては、シンセを融合させており、「現代風」にアップデートさせた音楽性もユニーク。時代を超えて今でも十分に楽しめるアルバムです。

評価:★★★★★

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2026年9月28日 (月)

「和解」と「寛容」のドキュメンタリー

今回は最近見た、音楽関連の映画の感想です。

ご存知、90年代に一世を風靡し、全世界に特大のヒット曲を連発したロックバンド、oasis。稀代のボーカリスト、リアム・ギャラガーと天才的なメロディーメイカー、ノエル・ギャラガー兄弟を中心したこのバンドでしたが、リアムとノエルの兄弟喧嘩がよく話題となり、ついには2009年に解散に至ってしまいました。しかし、月日を経て、2024年に再結成。2025年には全世界ツアーを行い、来日公演も大きな話題となりました。本作は、そんな解散ツアーの模様を追ったドキュメンタリー映画「オアシス ドント・ルック・バック・イン・アンガー」。blurの再結成ツアーを追ったドキュメンタリー映画「ノー・ディスタンス・レフト・トゥ・ラン ア・フィルム・アバウト・ブラー」を手掛けたディラン・サザーンとウィル・ラブレースが監督をつとめた作品となります。

映画は最初、oasisの解散が決まった、2009年のフランスでの音楽フェスの映像から始まります。会場のアナウンスで、ライブの中止とリアムがもう戻ってこない旨が伝えられます。ただ、解散の瞬間であったのですが、兄弟喧嘩が日常茶飯事だった彼らだったので、その時、会場にいたファンの多くは「いつもの喧嘩だな・・・」としか考えなかっただそうなぁ・・・という感じがします。そして、その後、ライブのリハーサルの初日の映像が。ノエルを含めたメンバーが揃っている中、リアムが最初に登場する瞬間をとらえた貴重な映像になっており、ノエルを含めて、リアムが登場で上手くいくのか、緊迫感のある空気感が印象的な映像になっています。

そんな貴重な映像を織り込みつつ、ただ、その後については、正直言えば少々期待外れでした。というのも、本作はあくまでも「ドキュメンタリー」であり、「ライブ映画」ではありません。ドキュメンタリーは、彼らのライブツアーでの映像を挟みつつ、全世界のoasisファンが、いかにoasisを待望していたのか、それぞれコメントしていく映像になっています。oasisというバンドがいかにファンに愛されたのか、ということを実感できる構成になっているのですが、正直言って、ファンのコメントの比率が多すぎ。もっと肝心のoasisのライブを見せてほしかった、というのが率直な感想です。

そして肝心なライブ音源についても、フル収録になっていない部分も非常に残念な点。基本的にライブ映像は演奏の途中で切られており、1曲まるごと聴けるような曲はありません。もちろん楽曲については魅力的ですし、なによりも久しぶりのoasisとしてのステージでありながらも、バンドとして一体感のある迫力ある演奏が魅力的。もちろん、oasisが活動休止中も、ギャラガー兄弟はいずれも活動を続けており、リアムに至っては、oasisの全盛期に行われたネブワースでのライブを行ったほどの人気を維持していた、現役バリバリのミュージシャンという点も大きいのでしょう。ただ、長らくの活動休止と、その後の久しぶりのステージという点を感じられないような、魅力的なステージを見せてくれています。それだけに肝心のライブシーンがあまり多くなかった点は非常に残念に感じました。

ちなみにもうひとつ残念に感じた点として、世界各地のoasisファンがインタビューに応じており、その場所でのライブ映像が使われているのですが、アジア代表として登場するのが日本ではなく韓国であったという点・・・韓国であることに大きな意味があるとは感じなかったのですが、ただ、ここらへん、世界における日本の地位の低下を強く感じてしまいました・・・。

もちろん、見どころも少なくありません。劇中でのコメントで、ノエルがリアムのことを、ボーカリストとしての才能を認めた上で、「自分がもっと折れればよかったんだ」と大人なコメントを聴かせてくれていたことも印象的。後半にはノエルとリアム兄弟が同席したインタビューシーンも登場し、2人が並んでいて話している点だけで胸が熱くなるのですが、なにげに仲良さげな雰囲気を漂わせている点も印象的。今回の活動再開劇は一時的で、すぐにまた喧嘩しそう、と思っていたのですが、お互いに「大人」になった今、この映画から伝わってくる雰囲気からすると、永続的にoasisの活動は続きそうな印象すら受けました。

また、監督が映画に込めたメッセージも印象的で、ノエルとリアム兄弟の和解にも象徴されるように、和解や寛容がこの映画のメッセージにもなっています。特に後半、2017年に起こった、アリアナ・グランデのライブでの自爆テロ事件の生存者によるインタビューが収録。その中で、oasisの代表曲「Don't Look Back In Anger」が心の支えとなっており、また、事件の慰霊祭のシーンでは、みんなでこの歌を歌うシーンが収録されてます。ノエルもインタビューの中で「自分たちは右翼のバンドではないので、誰でも大歓迎」という話をしており、世界各地で「寛容さ」が失われて、トランプのような大統領が登場したり、ヨーロッパで極右が台頭していく中で、「寛容」の大切さがメッセージとして込められています。だからこそ、映画のタイトルを「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」としているのでしょう。

そんな監督が込めたメッセージには強い共感を覚えつつ、ただ、正直、「ライブ映画」を期待して見に行った身からすると、いささか期待外れに感じてしまう内容でもありました。ひょっとしたら、近いうちにライブをそのまま収録した映像作品がリリースされるか、また、映画が上映されるのかもしれませんが・・・。一方で、短期的になるのではないか、と思っていたoasisの再結成でしたが、この映像を見る限り、兄弟の仲はいままでにないくらいに良好で、今後もコンスタントに活動が続きそうなのはうれしくなってきます。早くも次のツアーの予定もアナウンスされていますし、次の来日ライブには是非、足を運びたいなぁ。ちょっと期待外れでしたが、oasisの魅力は感じられる映画でした。

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2026年9月27日 (日)

爆風スランプの現在形

Title:今こそ!爆風スランプ
Musician:爆風スランプ

2024年3月にデビュー40周年を機に再始動。その後、ライブツアーも行い、新曲の発表、ベストアルバムのリリースも行いましたが、今年8月11日に実に35年ぶりとなる日本武道館公演を行いました。爆風スランプと日本武道館と言えば、彼らの代表曲「大きな玉ねぎの下で~はるかなる想い」の舞台ともなったゆかりの場所。日本武道館最寄りの九段下駅の発車メロディーに同曲が採用されるなど、彼らと日本武道館は切っても切れない関係にあります。そして、その武道館ライブに先駆けてリリースされたのがこのアルバム。基本的には過去の曲のリメイクとなるのですが、本格的な再始動の次の一歩とも言える作品となっています。

今回のアルバム、まず1曲目が大きなインパクトとなっています。「よしおと爆風の、ええじゃないか盆踊り~武道館で編」という曲で、元となっているのは爆風スランプが結成直後に作られた「ええじゃないか」という曲。その後、音源は発表されていませんでしたが、今回、正式にレコーディング。なんとあの小島よしおがゲストとして参加しています。

基本的には「ええじゃないか」という歌詞が続くシンプルな曲なのですが、「ネガティブをポジティブへ。世の中の不安を祭りに変え」と紹介されているように、まさに「今の時代に聴かせたい」というある種のメッセージ性の強い選曲となっています。そこに小島よしおという「異物」を参加させている点がユニーク。力強い本格的なバンドサウンドの演奏にユニークな小島よしおというアンバランスさがまた、爆風スランプらしさを感じます。

現在に対するメッセージ性という意味では、今回「東の島にブタがいたVol.3」をリメイクしている点にもあらわされています。こちらはかなりメッセージ性の強いナンバーで、ストレートな反戦歌になっている点が特徴的。ウクライナやイランと世界各地で戦争が生じており、日本でも武器輸出の制限が緩和されるなど、戦争に巻き込まれるリスクが高くなってきています。そんな中、あえてこの曲をリメイクするあたり、彼らの強いメッセージ性を感じさせますし、「ええじゃないか」と合わせて、今回のセルフカバーが、単なるノスタルジックなセルフカバーではなく、現在の社会と強くリンクさせた選曲であることを感じさせます。

また、バンドサウンドもグッと分厚いサウンドとなり、音圧を含めて「今風」な感じに。バンドとしての臨場感も増して、武道館でのライブを前提としたアレンジとなっており、現在の爆風スランプを強く意識したようなサウンドとなっています。そういう意味でもこのアルバムが、単なるリメイクではなく、現在の爆風スランプを意識した作品となっていると言えるでしょう。

楽曲でも、バラードやラテン風の「東京ラテン系セニョリータ 2026」、ギターロックの作品など、爆風スランプの音楽性を網羅的に選曲しているあたり、このアルバムではじめて爆風スランプを聴いた方にも、彼らがどんなミュージシャンなのか理解できるような選曲にもなっています。そんな点を含めて、活動再開後、最初の1枚としてはよく出来た作品になっていました。武道館ライブにはいけなかったけど、以前足を運んだライブも素晴らしかったし、来年のツアーも足を運びたいなぁ。次はすべて新曲の新譜も是非!

評価:★★★★★

爆風スランプ 過去の作品
40th Anniversary BEST ALBUM IKIGAI 2024


ほかに聴いたアルバム

BEST OF MIXCD Vol.3/KREVA

KREVAの楽曲のトラック部分のみを収録したアルバムの第3弾。2017年から2025年にリリースした作品の中から選曲されています。全体的にはエレクトロなサウンドで、メロウな雰囲気の、アンビエントの要素も強い作風となっていますが、トラックのみでありつつもそれなりにインパクトがあり、またメロディアスでインパクトある内容になっているのが特徴的。トラックだけでもしっかりとインパクトを出してきているあたり、KREVAの実力も感じさせる作品でした。

評価:★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE
SPACE TOUR
KX
嘘と煩悩
存在感
成長の記録 ~全曲バンドで録り直し~
AFTERMIXTAPE
LOOP END/LOOP START
Project K

Something True/坂本美雨

オリジナルアルバムとしては約5年ぶりとなる新作。森山直太朗、伊藤ゴロー、原 摩利彦という3人のミュージシャンが、それぞれ別々の作品をプロデュースするスタイルが特徴的。ただ、アルバム全体としてはピアノやストリングスを取り入れたアコースティックなスタイルのポップスで統一感がとられています。基本的に坂本美雨の魅力といえば、その清涼感あふれる歌声だと思うのですが、アコースティックベースの楽曲のため、その歌声を最大限生かしたようなプロデュースワークに。まずはその歌声に魅了される1枚でした。

評価:★★★★

坂本美雨 過去の作品
miusic ~The best of 1997-2012~

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2026年9月26日 (土)

「ファミリー」が集結した50周年のアルバム

Title:生きものたちへ
Musician:矢野顕子

ソロデビュー50周年を迎えた矢野顕子のニューアルバム。「ソロデビュー」という言い方をするのは、デビュー作である1976年の「JAPANESE GIRL」リリース前に、キャラメル・ママのセッションに参加するなど、音楽活動を行っていたから。ただ、本人がインタビューで述べていることとして、50周年を記念した特別な作品・・・という訳ではないようです。

ただ、そうは言いながら、冒頭を飾る「海男の瑠璃亜」では細野晴臣と林立夫というキャラメル・ママのメンバーが編曲で参加した作品に。細野晴臣はボーカルとベースでも参加しており、ブギウギ調の曲調は、長年の気の置けない仲間とのセッションということで、2人のボーカルのやり取りも息のあった、軽快なセッションとなっています。

今回はそんな冒頭のナンバーをスタートに、彼女の気の置けない仲間たちとの共演を中心とした、ある意味、矢野顕子の「ファミリー」が集結したような作品に仕上がっています。「DO YOU LOVE ME?(愛されたいおれら)」は作詞で糸井重里が参加。人間のサガをユーモラスに綴った歌詞は、いろいろと言われながらも(最近では「ちいかわ」関連で叩かれていましたし)ライターとしての糸井重里の才能を感じます。

続く「うちゅうから」は、宇宙飛行士の野口聡一の娘が子供の頃に書いた作文にそのまま歌詞をつけた曲だとか。アルバム「君に会いたいんだ、とても」で共同制作を行って以降、野口聡一とは家族ぐるみの交流を行っているそうですが、それが反映された曲に。ちなみに、その次の「THREE ROCKETS」もそんな野口一家との交流を元に作成された曲だそうです。

その後もフォーキーでメランコリックな「YOU ARE SPECIAL TO ME」ではボーカルに松たか子が参加。矢野顕子とのデゥオを聴かせてくれているほか、今回のアルバム、演奏で佐橋佳幸や小原礼といったメンバーも参加。彼女は様々なミュージシャンたちとコラボをしているので、全員集合!という訳にはいきませんが、50周年を迎えたアルバムということで、様々な彼女の「ファミリー」が集結したアルバムとなっていました。

その一方でちょっとおもしろいのは今回のアルバムで北村蕗という23歳の新進気鋭のトラックメイカーが参加している点。「うちゅうから」「THE RIVER」の2曲にアレンジャーとして参加しています。現在、70歳を彼女ですが、新しい才能も積極的に取り入れている点、ミュージシャンとしてまだまだ現役であり、かつその若々しさも感じます。ちなみに彼女のサウンドはレイハラカミからの影響も感じさせるような柔らかい音が魅力的なエレクトロミュージシャンで、レイハラカミと言えば矢野顕子とyanokamiというユニットを組んでいました。ひょっとしたら、レイハラカミを意識した参加なのかもしれません。

そんな訳で、ソロデビュー50年の集大成的である一方で、まだまだ現役、新たな一歩を踏み出そうとする彼女も感じさせるそんなアルバムになっていました。まだまだ彼女の活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)
Welcome to Jupiter
矢野顕子+TIN PAN PARTⅡ さとがえるコンサート
(矢野顕子+ TIN PAN)
矢野山脈
Soft Landing
ラーメンな女たち(
矢野顕子×上原ひろみ)
ふたりぼっちで行こう
音楽はおくりもの
君に会いたいんだ、とても(
矢野顕子・野口聡一)
Step Into Paradise -LIVE IN TOKYO-(矢野顕子×上原ひろみ)
AKIKO YANO TRIO featuring Will Lee&Chris Parker Live at Blue Note Tokyo 2025.09.04


ほかに聴いたアルバム

CIRCUS TOWN(50th Anniversary Edition)/山下達郎

1976年にリリースされた山下達郎のソロデビュー作の50周年記念盤。日本ポップス史に残る名盤が、最新リマスタリングで蘇る作品。リマスタリングは24年ぶりとなるそうです。オリジナル音源の8曲に、今回は次回作「SPACY」に収録されている「言えなかった言葉を」のニューヨークバージョンが収録。もともと、本作と同時にニューヨークで録音されたものの、お蔵入り。「SPACY」では別アレンジのバージョンが収録されたそうです。いわば本作と次回作「SPACY」の橋渡し的な作品となっており、ファンとっては注目の収録曲となっているそう。また、加えてオリジナルカラオケ5曲が収録。こちらも単なるカラオケというよりも「インストバージョン」という意味合いが強く、ファン注目の収録曲に。まあ、ここらへんの追加音源については熱心なファン向けの音源なのですが、オリジナル8曲については、まさに今聴いても色衰えることないシティポップの名曲が揃っており、最新リマスタリングということで、是非ともチェックしておきたい名盤と言えるでしょう。

評価:★★★★★

山下達郎 過去の作品
Ray of Hope
OPUS~ALL TIME BEST 1975-2012~
MELODIES(30th Anniversary Edition)
SEASON'S GREETINGS(20th Anniversary Edition)

Big Wave (30th Anniversary Edition)
COME ALONG 3
POCKET MUSIC (2020 Remaster)
僕の中の少年 (2020 Remaster)
ARTISAN 30th Anniversary Edition
SOFTLY

2000%HIP HOP/般若

約1年ぶり。相変わらず積極的な活動が目立つ般若のニューアルバム。「2000%HIP HOP」というタイトルもそのままですが、ジャケット写真も札束風呂に女性を両脇にかかえてという、いかにも的なスタイルとなっています。ただ、そういう外見からすると内容的には仲間や家族、また内省的なリリックがメインとなっている作品に。まあ、ここらへんもHIP HOP的といえばHIP HOP的なのですが、ただ現在47歳という彼らしい、「仲間や家族」と言っても大人らしい落ち着いたリリックとなっています。そのため、インパクトという面は若干弱さは感じられてしまうのですが、般若らしさもしっかり感じられる作品になっていました。

評価:★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA
グランドスラム
THE BEST ALBUM
話半分
般若万歳II
IRON SPIRIT
12發
笑い死に
ラストアンサー

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2026年9月25日 (金)

一時代を築いたロック評論家の評論集

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「メディアとしてのロックン・ロール 渋谷陽一評論集 1972-1996」「メディアとしてのロックン・ロール 渋谷陽一評論集 1997-2025」。昨年7月に亡くなった、音楽評論家で音楽雑誌「rockin'on」の創始者である渋谷陽一の評論集。タイトル通り、1996/1997年を境に2冊にわかれており、最初期から晩年までの評論文を掲載したほか、CDのライナーツノートや「ROCK IN JAPAN FES.」など、主催した音楽フェスに寄せたメッセージ、日本経済新聞の掲載したライブ評などが収録。いわば渋谷陽一の評論の「ベスト盤」みたいな内容になっているほか、最後には同年代の評論家で、盟友ともいえる大貫憲章と伊藤正則が渋谷陽一について語った対談集も載せられています。

渋谷陽一の評論を通じた、時代に応じたロックシーン、音楽シーンの変化も読み取れる評論集となっているのですが、特にユニークだったのは渋谷陽一の評論のスタイルの変化。初期の評論については、いかにも文芸評論家の影響を受けたような、ロックを無理に哲学思想や社会思想を結び付けようとした、ぶっちゃけて言うと、小難しい言い回しの評論が目立ちます。これはロックという音楽が若い人たちが一時的に熱狂している「時代のあだ花」的に思われていた、という点も大きいのでしょうが、当時、まだ20代だった渋谷陽一が、あきからに自分を大きく見せようと、あえて難しい哲学的な言い回しを用いたという点も大きいのでしょう。逆に、時代が下るにつれて、文体も平易になり、彼の主張もよりわかりやすくなり、文章が圧倒的に読みやすくなってきています。渋谷陽一の評論家としての進化も読み取ることが出来ます。

ただ、一方渋谷陽一のロックやポップスに対するスタンスは比較的、一貫しているように感じます。まず彼のスタンスのひとつ目として、「売れていることに対する肯定」というのがスタンスとして感じます。特に本書でも「僕は売れるポップ・ミュージックが大好きだ」という項で、下記のような一文が書かれています。

「ポップ・ミュージックはまさに聴かれるための音楽、どれだけ多くの人に聴かれるかが勝負の音楽である。ポップ・ミュージックにかかわる人間にとって、客が悪いという表現は許されない。それは敗北主義以外の何ものではもない。」
(「メディアとしてのロックン・ロール 渋谷陽一評論集 1972-1996」p285)

この「売れていることに対する肯定」というスタンスは、彼が生前批判していた、音楽評論家の中村とうようのスタンスと真逆であり、今でも「rockin'on」では、「売れている」ことを肯定的に取り上げるのに対して、中村とうようを創始者とする「ミュージック・マガジン」では「売れている」ということに対して、一切評価をしていません。個人的には、「売れている音楽=優れた音楽」とは思いませんが、渋谷陽一の言う通り、ポップミュージックは多くの人に聴かれることが重要であり、「売れている」ということに対しては、「意味のある」ことと思ってます。そういう意味では、以前から、中村とうようや「ミュージック・マガジン」の売れている音楽への否定論には強い違和感を抱いていました。

ただ、そうすると一部の方には疑問を抱くかもしれません。渋谷陽一と言えば、「産業ロック」の名づけ親。70年代以降のコマーシャル性の強いロックを「産業ロック」と批判し、否定していたではないか、と。

確かに、本書でも「産業ロックへの挑戦状」と題して、そんな「産業ロック」と呼ばれたロックバンドを強く批判しています。ただ、その批判のポイントとしては、決して売れているということではなく、様式的になっており、ロックとしてのアバンギャルドさを失っているという点を強く批判しています。そして、このロックはアバンギャルドな部分がなくてはいけないというスタンスも、彼の生涯を通じて一貫した主張となっています。

これでおもしろいのは、渋谷陽一自身、特に90年代のブリットポップを、アバンギャルドさがない、という点から批判的に見ていたということでした。特に90年代になってから、RADIOHEADやGREEN DAYを高く評価し、評論でもよく取り上げていますが、いわゆる90年代のブリット・ポップ勢については、ほとんど取り上げておらず、一部では(具体的なミュージシャン名こそ書いていませんが)明確に批判しています。特にoasisもほとんど取り上げておらず、ライブ評で1か所、oasisの記載はあるものの、どうもoasis自身もそう高くは評価していなかったような気すら感じられます。思えば90年代のブリット・ポップ勢といえば「rockin'on」誌に繰り返し大きく取り上げられており、おそらく読者の中でもファンが多かったと思います。そんな「rockin'on」誌の方向性と、渋谷陽一の嗜好に違いがあったのではないか、というのは非常に興味深く感じられました。

そして、このポップミュージックは「売れることが大事」「同時にアバンギャルドであることが大事」というスタンス、個人的にも非常に共感するスタンスだったりします。個人的にも、やはりなにげにミーハーな耳を持っているため、売れているような音楽というのは大好きだったりしますし、同時に、やはりどこか新しさがないとおもしろくない、様式的な音楽は好きになれない(あえて様式的であることを追及するような場合は別でした)という点、渋谷陽一の考え方に多いに共感できる点でした。

もっとも、この「売れることが大事」というのが行き過ぎてしまった結果、以前はサブカル的なスタンスだった音楽誌だった「ROCKIN'ON JAPAN」が、いまやすっかり「アイドル雑誌」に(あえて言えば)落ちぶれてしまった点は、悲しむべき事象ではあるのですが・・・。ただ、今回の評論集を読んで、渋谷陽一については、特に「rockin'on」の必要以上に編集者の主張が前に出され、独善的になっているスタンスなど、賛否ある部分はあるのですが、やはり一時代を築いた評論家として偉大であったな、ということを感じます。享年75。「早すぎる」とまで言う年齢ではないものの、まだまだ多くの音楽を紹介してほしかっただけに、残念に感じます。あらためて、ご冥福をお祈りしたいと思います。

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2026年9月24日 (木)

人気グループが1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位は、今大人気の男性アイドルグループが獲得です。

1位はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LK「LOVE ENG!NE」が獲得。CD販売数、ダウンロード数及びストリーミング数で1位を獲得。彼ら初のミニアルバムとなります。ただし、現在大ヒット中の「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」は未収録。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上91万5千枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「M!X」の初動6万1千枚(1位)を大きく上回る結果となっています。

2位はSnow Man「AMENITY」が先週の3位からアップ。また、4位には大ヒットを続けている「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラック」が先週の4位からランクアップして2週ぶりのベスト3返り咲き。今週で8週目のベスト10ヒットとなり、またベスト3ヒットも通算7週目となっています。ただし、ストリーミング数は2位から3位にダウン。

4位以下の初登場盤は、7位にBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「BLAST」が初登場。CD販売数2位。また、ロングヒット盤としては、ILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が7位から4位にアップ。これで20週連続のベスト10ヒット。一方、BTS「ARIRANG」は今週33位に一気にダウン。こちらはリカレントルール適用により、ストリーミング数の順位が大きくダウンした影響。ベスト10ヒットは26週連続でストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

長らく映画ちいかわ関連曲が1位を獲得していたHeatseekers Songsですが、今週、ついに陥落。変わって1位を獲得したのはスターダストプロモーションとエイベックスの合同プロジェクトによる男女混合グループONE LOVE ONE HERAT「愛されたいマジで。」が獲得。Hot100hでは89位に初登場。ちいかわ関連は「机さする」が2位にランクインするのみとなってしまっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週はアボガド6「デビットビット」は4週連続1位を獲得。2位も大漠波新「スマイル」が先週から同順位をキープ。さらに3位にはサツキ「メズマライザー」が先週の15位からランクアップ。5月20日付チャート以来のベスト10返り咲きを果たしています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上!チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年9月23日 (水)

男性アイドルグループが上位に並ぶ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は男性アイドルグループが上位に並びました。

まず1位はINI「You Know What To Do」が獲得。吉本興業と韓国の芸能事務所CJ ENMの合弁会社、LAPONEエンタテイメント所属の男性アイドルグループ。CD販売数1位、ダウンロード数及びラジオオンエア数2位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上58万4千枚で1位初登場。前作「PULSE」の初動63万9千枚(1位)からダウン。

2位は先週1位のEBiDAN「Yes! 東京」がワンランクダウン。CD販売数、ストリーミング数及び動画再生回数2位、ダウンロード数16位。

3位にはM!LK「時空超えてユニバース」が先週から同順位をキープ。ラジオオンエア数及び動画再生回数で1位獲得。ダウンロード数7位、ストリーミング数4位。M!LKは今週、「好きすぎて滅!」が9位から6位にランクアップ。41週連続ベスト10となっているほか、「爆裂愛してる」が先週の14位から9位にランクアップし、3週ぶりにベスト10返り咲き。通算29週目のベスト10ヒットとなっています。

4位以下の初登場曲は今週は1曲のみ。4位にYAO「ありふれた世界の果てに」が先週の11位からランクアップ。YAOはAwich、CHICO CARLITO、ONE OK ROCK、Paleduskの4組によるプロジェクト。Wikipediaによると、沖縄出身のAwichとCHICO CARLITOが発信してきた沖縄の歴史・文化と、今なお残る過去の傷跡というテーマから制作された楽曲だそうです。ちなみにYAOという名前は「八百万の神」から取っているそうなのですが、それって沖縄文化とは違わないか??とかなり疑問は感じてしまいます。そもそも「多様な価値観や存在を受け入れ、共存してきた日本文化の精神を象徴している」と言っているのですが、そもそも、「八百万の神」という考え方は「多様な価値観や存在」というよりも、一神教が浸透する前のアニミズムの文化が神道という形で残っているという話ですし、日本史や世界史をちゃんと勉強すれば、日本という国は、ヨーロッパやアジア各国に比べて、歴史的に他の民族や文化からの浸透が極端に少ない国であったことはわかるはず。今回のプロジェクトの中心となったTakaは、最近、パレスチナ紛争に「中立的」な態度を取りパッシングを集めたエド・シーランへの擁護コメントが炎上しています。以前から、社会派なコメントを行いながらも、その裏付けとなるような教養の程度が気になってしまっていたのですが、ちょっと厳しいことを言ってしまうと、今回のプロジェクトも、そんな彼の教養の程度が垣間見えてしまうような・・・。

また、今週は初登場曲が少なかった影響で、ベスト10返り咲き曲が他にも。まずSixTONES「マイオンリー」が先週の12位から8位にアップ。7月22日付チャート以来、9週ぶりのベスト10返り咲き。特にストリーミング数が9位から6位にアップしています。また、ILLIT「It's Me」も3週ぶりにベスト10返り咲き。通算12週目のベスト10ヒットになりました。

ほかのロングヒット曲としては、Mrs.GREEN APPLE「Brand New」が6位から5位にアップ。こちらはベスト10ヒットを10週連続に伸ばしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年9月22日 (火)

ブギ連だ!みんなに自慢したい!

Title:ブギる心
Musician:ブギ連

ご存知、ブルーハーツ、ハイロウズを経て、現在はクロマニヨンズのボーカリストとして活躍している甲本ヒロトと、日本を代表するブルースギタリスト内田勘太郎のユニット、ブギ連。2019年に結成し、アルバム「ブギ連」をリリース。さらに2024年には2枚目のアルバム「懲役二秒」をリリースしています。本作は、ブギ連として3枚目となるアイテム。彼ら初のライブ盤。2024年10月に行われた「第2回 ブギる心」ツアーのうち、京都・磔磔公演から7曲を選んでのリリースとなっています。

基本的にはいままでにリリースされた2作からの楽曲をライブで演奏している作品となるのですが、大きな特徴となるのは、ライブもあくまで甲本ヒロトと内田勘太郎の2人だけのステージという点。非常にシンプルなステージながらも、甲本ヒロトのボーカルやハープも、内田勘太郎のギターも、それぞれ個性たっぷりに主張しまくっており、その個性あふれる2人の「音」がそのまま対峙されるパフォーマンスには一種独特の緊張感が漂っています。

そんな2人だからこその曲が冒頭の「ブギ連ジャイブ#1」。いわゆる当日のジャム演奏をそのまま収録したもの。甲本ヒロトの奏でるハープの演奏やハミング、そして内田勘太郎のギターが一体となり、独特の空気感を作りあげています。ライブのオープニングを飾るにピッタリの作品となっています。

さらにそこに続く2曲はブギ連の曲ながらもブルースそのままのナンバー。「ブルースがなぜ」ではエルモア・ジェイムスやマディー・ウォーターズの名前が登場。「ナマズ気取り」もまさに王道のブルースナンバーで、ナマズも「Catfish Blues」をはじめ、ブルースではおなじみの題材。ブルース感あふれる内田勘太郎のギターと、甲本ヒロトのボーカルにまさに痺れます。

その後も内田勘太郎の力強く、ブルースを歌っているようなギターと、甲本ヒロトの力強いボーカルの共演が魅力的な作品が続きます。ライブ音源のため、ギターもボーカルもどちらも生々しく、いや、ギターとボーカルというシンプルな演奏だからこそ、より生々しさを感じられるのでしょう。後半の「懲役二秒」などは、まさに甲本ヒロトのハープも含め、シンプルだからこその生々しさと迫力を、オリジナル音源以上に感じられる楽曲となっています。ラストもバンドのテーマ曲とも言える「ブギ連」で締めくくり。最後は再びジャム演奏で7分以上にも及ぶ演奏となっており、会場は大盛り上がりの中で幕を下ろしています。

楽曲はかなりブルース色が強く、今回のライブ演奏ではさらにその色が強まっています。そういう意味ではマニアックと言えるかもしれませんが、一度はまると、抜け出せない魅力があります。オリジナル音源以上に、ブルースの魅力、そして甲本ヒロトと内田勘太郎の魅力にあふれるライブアルバムに仕上がっていました。ブギ連のキャッチコピーとして「ブギ連だ、みんなに自慢しよう」というものがあり、このライブの最後にも甲本ヒロトが「みんなに自慢してください!」と呼びかけていますが、このステージを見た人は、みんなに自慢できるんだろうなぁ~!ライブ盤はいろいろ聴いていますが、参加している人たちがうらやましい!と感じたのはこれがはじめてかも。ブギ連のライブ、一度行きたいなぁ。そう強く感じさせる、ライブ盤の傑作でした。

評価:★★★★★

ブギ連 過去の作品
ブギ連
懲役二秒


ほかに聴いたアルバム

Unity/HEY-SMITH×Less Than Jake

日本のスカパンクバンドHEY-SMITHが、アメリカのスカパンクバンドLess Than Jakeと組んでリリースしたスプリットEP。Less Than Jakeはアメリカはフロリダ州出身のスカパンクバンドなのですが、2010年に行われた「LESS THAN JAKE JAPAN TOUR」で共演して以来、交流があるそうです。全6曲入りのEP盤なのですが、基本的に両者、似たようなタイプのバンドということもあって、軽快なスカパンクの曲が並び、アルバム全体まとまった「流れ」として聴くことが出来ます。軽快なスカのリズムとヘヴィーなパンクロックのサウンドが楽しく、どちらのファンももちろんのこと、スカパンクが好きならば楽しめる作品でした。

評価:★★★★

HEY-SMITH 過去の作品
STOP THE WAR
Rest In Punk

CASA (+2; 2026 Remaster)/MORELENBAUM2/SAKAMOTO

ブラジル音楽の大家、ジョピンのバックバンドとして晩年、活動を共にしたモレレンバウム夫妻が、坂本龍一と組んで2001年にリリースしたアルバム。ジョピンへのトリビュートアルバムとなっているのですが、注目すべきはその録音スタイルで、ジョピン本人の自宅で、本人が使っていたピアノを使って演奏していたスタイルとなっており、単なるカバーアルバムではなく、ジョピンの音楽に奥深く迫った作品となっています。

メランコリックなブラジル音楽を聴かせてくれる作品なのですが、今回のリマスター版の「+2」もまた要注目で、特に最後の「IMPROVISATION」は坂本龍一とジャキス・モレレンバウムによる即興演奏となっており、かなり前衛的な音楽となっているのですが、坂本龍一とジャキスによる音楽の会話が楽しめるような作品に。本編以上に聴きごたえのある作品となっていました。

評価:★★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS
Year Book 1985-1989
「天命の城」オリジナル・サウンドトラック
BTTB-20th Anniversary Edition-
BLACK MIRROR : SMITHEREENS ORIGINAL SOUND TRACK
Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020
12
サウンドトラック「怪物」
TRAVESIA RYUICHI SAKAMOTO CURATED BY INARRITU
The Best of Tohoku Youth Orchestra 2013~2023(東北ユースオーケストラと坂本龍一)
Opus
エナジー風呂(U-zhaan&Ryuichi Sakamoto feat. 環ROY×鎮座DOPENESS)
1996 30th anniversary edition

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2026年9月21日 (月)

よりバンドとしての側面があらわれた2作

今回は、TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美のソロユニット、THE ZOOT16が今年に入りリリースした2枚のアルバムの紹介です。

Title:ZOOT IT UP
Musician:THE ZOOT16

Zootitup

まずこちらは今年の1月にリリースされたアルバム。セルフカバーアルバムであり、THE ZOOT16の過去の楽曲を、今の渡辺俊美はじめとした、今のバンドメンバーによりセルフリメイクされた作品となっています。

なかなかユニークなのはその選曲で、単純にTHE ZOOT16の過去の楽曲を振り返ったアルバム、ではありません。THE ZOOT16の曲だけではなく、TOKYO No.1 SOUL SETの楽曲もカバー。さらにはバンドメンバーの高橋飛夢の「幻想現実」「東京駅」、同じくバンドメンバーであるケンネル青木の「Passion」も収録されています。

基本的にスタジオ録音の一発録りで収録された曲だそうで、ライブ感を重視した作品となっています。そのため、バンドサウンド主導となるロックテイストの楽曲が多く、ソウルセットのカバー「サヨナラが咲き始めたなら」はよりバンドサウンドを前に押し出したアレンジに。「幻想現実」もヘヴィーでロックなアレンジとなっています。「Na-O-Su-Yo」も冒頭、かなり迫力あるバンドサウンドからスタートしますし、「時を記す鐘を鳴らせ」もヘヴィーでダイナミックなバンドサウンドを聴かせてくれています。

なによりも特徴的なのが前述のように、バンドメンバーの曲もカバーとして取り入れている点。一応、名義上、THE ZOOT16は渡辺俊美のソロユニットとなっているのですが、このようにバンドメンバーの曲もカバーとして取り入れているということから、バンドメンバーもTHE ZOOT16の一員である、とアピールしているようにも感じます。それだけバンドメンバーが一体感をもって取り組んだ作品と言えるでしょう。

過去の曲を今にリメイクするあたり、今のTHE ZOOT16がどのようになっているか、ということを主張した作品と言えますが、同時にTHE ZOOT16を一体感あるバンドとして活動させたいという渡辺俊美の主張も感じられるようなアルバムだったと思います。いままで、ソロの色合いが強かったTHE ZOOT16ですが、バンドとして今後を感じさせる、そんな作品でした。

評価:★★★★★

Title:ONE DROP PANTHERS
Musician:THE ZOOT16

そしてこちらが今年の7月にリリースされた8曲入りのニューアルバム。前述の「ZOOT IT UP」で過去の楽曲をいまのバンドで総括した上に、その上であらたな一歩といった感じでしょうか。アルバムはチカーノの父と呼ばれるラロ・ゲレーロの「Los Chucos Suaves」の日本語カバーからスタート。あらためてTHE ZOOT16の原点からスタートするような選曲に。続くタイトルチューン「ONE DROP PANTHERS」はバンドとしての一体感を感じるラテンチューン。「ZOOT IT UP」で確立した、バンドとしてのTHE ZOOT16を前面に押し出したような曲となっています。

さらに本作で特にユニークなのが中盤。戦前には二村定一が、戦後にフランク永井が歌ってヒットした「君恋し」のラテン風カバーを収録。そして、福島県南相馬市近辺に伝わる民謡「川内小唄」にラテンの要素を入れてカバー。日本の昔からの歌謡曲や民謡を、自らのフィールドにあげてカバーするという挑戦を行っています。正直なところ、民謡+ラテンというスタイルは民謡クルセイダーズという先達がいて、こちらの方がよく出来ている(そもそも向こうはボーカルが民謡のプロだし)ので、若干二番煎じ的な感は否めないのですが、それでも新たな挑戦として要注目の2曲と言えるでしょう。

「ZOOT IT UP」で提示した、バンドとしてのTHE ZOOT16を前提とした新曲であり、なおかつ、和とラテンの融合という新たな一歩を感じさせる新譜。これからのTHE ZOOT16の動向にも注目です。

評価:★★★★

THE ZOOT16(渡辺俊美) 過去の作品
ヒズミカル
Z16
としみととしみ(渡辺俊美)
NOW WAVE(渡辺俊美&THE ZOOT16)


ほかに聴いたアルバム

HARRY HOSONO&TIN PAN ALLEY IN CHINA TOWN 1976/細野晴臣

1976年5月8日に横浜中華街の同發新館で行われた「中華街ライブ」の模様をステレオミックスで収録したアルバム。もともと2007年にリリースしたボックスセット「ハリー細野 クラウン・イヤーズ1974-1977」に収録されていたライブ音源の再発となりますが、それを、ステレオミックスでリマスターした作品となります。細野晴臣といえば、1975年にアルバム「トロピカル・ダンディー」をリリース。トロピカル三部作の1作目と言われるこの作品は、彼の音楽的興味がハワイアン、カリブ音楽、ラテンなどに移っていった時期となるのですが、このライブ音源もそれを反映するように、全体的にエキゾチックな雰囲気が漂うライブ音源に。バンドメンバーには、まだYMOで一緒に活動する前の坂本龍一や、矢野顕子も参加。かなり豪華なメンバーでのパフォーマンスとなっています。気の合った、やりやすいメンバーでのライブだったようで、全体的にどこかいい意味で気楽な、ゆるい感じもあるステージパフォーマンスに。ライブの内容ももちろんのこと、当時、細野晴臣がどんな音楽に興味を抱いていたのかもわかるような、資料的価値も高い貴重な音源になっています。

評価:★★★★★

細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music
Vu Ja De
HOCHONO HOUSE
HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN
HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO
あめりか/Hosono Haruomi Live in US 2019
Music for Film 2020-2021
Undercurrent

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2026年9月20日 (日)

雑多な音楽性が魅力でもあり弱点でもある

Title:友達がいました
Musician:Trooper Salute

今、名古屋の音楽シーンが熱い!!なぜか最近、名古屋を拠点に活動する注目のミュージシャンが増えています。ここでアルバムを何度か紹介している鈴木実貴子ズもそうですし、今年の上期のベストアルバムとしてアルバムを選んだスーパー登山部もそうです。さらにHIP HOPとしては、先日紹介したばかりのWorldwide Skippaも最近の勢いのある名古屋の音楽シーンを象徴するミュージシャンと言えるかもしれません。そして、今回紹介するTrooper Saluteも、今、注目を集める名古屋発のインディーロックバンドの一組です。

Trooper Saluteは、大学の軽音楽部(名市大のようですが)を母体に結成されたバンドで、ボーカルのムサシとキーボード&ボーカルの小宮颯斗を中心とした5人組のグループ。本作がデビューアルバムとなるそうです。名古屋を拠点に活動し、徐々に注目を集めていたのですが、今年年明けに、音楽番組「EIGHT-JAM」の「プロが選ぶマイベスト10」で、川谷絵音に選出されて、一躍注目を集めたそうです。

彼らの楽曲の特徴としてまず挙げられるのは、雑多な音楽を取り込んでいるという点。今回のアルバムリリースにあたって、「1stAL リファレンス」として、今回のアルバムから影響を受けた様々な曲を紹介しているのですが、実にいろいろな曲が並んでいます。サカナクションや東京事変、くるりのような有名どころから、フィッシュマンズのようなベテラン、ゆうれい船、kuyamamisakaのような新進気鋭のインディーバンド、Alvvaysのような洋楽勢、さらにじんのようなボカロ系からなんとドヴォルザークまで名前を連ねます。

そのため、楽曲もバラエティー豊富。「絶縁」ではシューゲイザー的なサウンドにエレクトロニカの要素を取り込んだような曲調が特徴的ですし、「よだか」はストレートなギターロックに、軽快でちょっとジャジーな雰囲気のピアノの音色がユニーク。ストリングスを入れてダイナミックに聴かせる「埒」(ちなみにストリングスアレンジはクラムボンのミトによるものらしい)、シティポップ風の「スローイン」は、参考曲としてくるりやORGE YOU ASSHOLEが入っているように、どこかくるりっぽいメロディーラインに、ORGEらしいボーカルスタイルを感じます。

この様々な音楽性が楽曲に幅を与えており最後まで飽きさせません。クラシックからボカロまでジャンルを問わない幅広い音楽から影響を受けている点、いかにも今風なバンドといった感じもしますし(若干、洋楽からの影響が少ないのも今風なバンドなのでしょうか・・・)、ここらへんの雑食性もまた非常にユニークに感じます。

ただ、その結果、若干アルバム全体としてバラバラ感がある点も否めません。雑多な音楽性がゆえにバンドとしての焦点がぼやけている感も否定できません。また、影響を受けている楽曲をわざわざプレイリストという形でまとめるあたりも、頭でっかちな部分も感じてしまいます。彼らのジャンルレスな音楽性はバンドとしての大きなプラスであるのと同時に、バンドとしての弱点のようにも感じました。

そんな感じで、まだ課題も感じられる作品にも思います。一方で、やはりその音楽性は魅力的ですし、地元のバンドとして応援もしたい、ということもあり、★1つ追加の評価で。こうやって勢いのあるバンドが次々と名古屋の音楽シーンに出てくるのはうれしいですね。これからの名古屋から彼らに続くミュージシャンが次々と出てくることに期待します。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

人生/SUPER BEAVER

結成20年を迎えた彼らが、SUPER BEAVERの活動そのものを自分たちにとっての「人生」と捉えたニューアルバム。ヘヴィーなロック路線で行くのか、ポップ路線で行くのか、いまひとつふわふわ感もあった彼らでしたが、本作ではそれなりにヘヴィーなロックサウンドとポップなメロディーラインが特徴的な作品に。ポップ路線に軸足を取りつつも、ヘヴィネスさもある程度維持しようという、今の彼らのスタンスが伺えるような作品になっています。個人的にはもうちょっとどちらかに吹っ切れた方がいいような気もするのですが、これはこれで良くも悪くも聴きやすさを感じさせる作品でした。

評価:★★★★

SUPER BEAVER 過去の作品
アイラヴユー
東京
音楽

UNIVER5OUL/ゴスペラーズ

30周年イヤーを終えた彼らが、次の一歩に踏み出すための作品としてリリースした5曲入りのEP。たった5曲だけの短いEPですが、その中にゴスペラーズらしさと、彼らの音楽性の広さを感じさせる曲が並んでおり、インディーズ時代の楽曲を今のメンバーでリメイクした「The Gospellers Theme」からスタート。「Memória」では小野リサを迎えてボサノヴァに挑戦。最後の「アカペラ音頭」ではタイトル通り、音頭風の作品など、短い作品の中にゴスペラーズらしさと、新たな挑戦が凝縮された作品。既に大ベテランの彼らですが、これからのさらなる進歩にむけての強い意欲を感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
What The World Needs Now
G25 -Beautiful Harmony-
アカペラ2
The Gospellers Works 2
HERE&NOW
Pearl
G30-Beautiful Harmony 2-
ゴスペラーズ30周年記念祭@日本武道館

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2026年9月19日 (土)

新たな一歩を模索中

Title:Reality Awaits
Musician:The Strokes

今年のサマソニに来日して、そのパフォーマンスも大きな話題となったThe Strokes。ただ、この来日に関して、先日放送されたNHKの番組がちょっと話題となりました。円安を特集した番組だったのですが、その中でミュージシャンの来日公演の来日費用について話題となり、The Strokesを呼ぶために2億円以上というCreative Manの清水氏のインタビューが大きな話題となりました。

正直、The Strokesといえばガレージロックリバイバルの中で出てきたバンドなだけに、どちらかというとライブセットについてもシンプルという印象。また、サマソニで取るを取れるバンド・・・とはいえ、正直なところ「超大物」といったイメージはありません。そんなミュージシャンでありながら、2億円以上・・・。どちらかというと問題となるのは円安の影響なのですが、その多額な金額に衝撃が走り、大きな話題となりました。

そんなThe Strokesの約6年ぶりとなるニューアルバム。今回の作品も比較的メロディアスに仕上がっているという印象を受けます。若干不穏な感じの幕開けとなる「Psycho Shit」からはじまるのですが、中盤の「Falling out of Love」はハイトーンボーカルも入った哀愁感漂うメロディーが印象的。さらに、「Going to Babble On」では、浮遊感あるリズミカルでポップなメロが印象的。「Going Shopping」も、彼らとしてはかなりポップな作品となっており、メロディアスな曲調が印象に残ります。

一方、今回の作品で大きな特徴としてあげられるのがAuto-Tuneを使用したボーカル処理を施されている作品が目立つという点。「Lonely in the Future」など、ボーカル処理が行われおり、4つ打ち的なビートとあわせて、スペーシーな感覚を覚える作風となっています。生々しさを感じるデビュー直後の作品から、徐々に最近の作品ではエレクトロサウンドを取り入れていますが、今回の作品に関しても、より楽曲の幅を広げてきている、とも言えるでしょう。

また、変化という意味では、今回のアルバムでは「老い」や「孤独」をテーマとした作風が目立つこと。例えば「Going Shopping」などでは歌詞で明確に「But I'm an old man now」と歌詞で述べており、老いた自分と、その中での孤独をテーマとしています。デビュー当初のロックンロールリバイバルの頃から知っている身としては、ちょっとビックリするのですが、彼らも既にデビュー25年目のベテラン。ボーカルのジュリアン・カサブランカスももう48歳ということで、月日の経過の早さに驚かされます。

「Dine N'Dash」のように、ヘヴィーなギターサウンドを前に押し出して、比較的初期の彼ららしさを彷彿としたナンバーもあったりして、ギターロックバンドとしてのThe Strokesも維持しつつ、新たな方向性も模索している彼らの姿が感じられます。メロディーもポップで耳なじみやすく、ほどよくギターサウンドも入っており、魅力的にも感じられる一方、メランコリックなメロディーラインやサウンドは若干地味な印象も否めず、新しいサウンドもボーカル処理程度で中途半端な印象もあります。ギターロックのアルバムとしてはよく出来ていると感じる一方、The Strokesの今後を考えると、ちょっと物足りなさも。ただ、個人的にはここ数作の中で一番気に入った作品にはなっていましたが。

評価:★★★★

THE STROKES 過去の作品
ANGELS
The New Abnormal


ほかに聴いたアルバム

MY SKYSCRAPER/Nirosta Steel

My-skyscraper_nirosta-steel

ニューヨークのアンダーグラウンドシーンで長らく活動を続けてきたニロスタ・スティールことスティヴン・ホールのアルバム。彼がいままで40年間で作成してきた楽曲を再構成したコンピレーション的なアルバム。アンダーグラウンドシーンで活躍してきたミュージシャンのため、一般的な知名度は高くなく、「知る人ぞ知る」的なミュージシャンだったとか。今回のアルバムで一気に注目を集めています。ジャズやエレクトロ、フォーク、ハウス、ロック、R&Bなど、実に様々なジャンルの作品が並んでおり、彼の多才ぶりを感じさせる一方、アルバムとしてはちょっと一貫性はない感じも。若干、マニアックさを感じるコンピ盤となっています。

評価:★★★★

Cupid&Psyche85(Deluxe Edition Remastered)/Scritti Politti

イングランド出身のロックユニットにより1985年にリリースされた「名盤」の名高い1枚のリマスター盤。オリジナルのリマスター音源に加えて、長尺ミックスによる別バージョン4曲やリミックス音源2曲が追加されています。オリジナルの方は、ポストロック的な作風にソウルやファンクなどの要素を加えた独自の音楽性がユニーク。打ち込みメインのサウンドは80年代っぽさを感じるものの、今聴いても独特のリズム感は非常に魅力的です。追加音源についてはコアなファン向けといった感じですが、「名盤」として知られる傑作アルバムなだけに、これを機に、こちらのバージョンでチェックしておいて損のない作品です。

評価:★★★★★

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2026年9月18日 (金)

待望の大黒ミサに初参加

聖飢魔Ⅱ GREAT BLACK MASS TOUR「SEASONⅡ」

会場 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール 日時 魔暦28年(2026年)7月2日(木)18:30~

以前から、ライブに高い定評があり、一度は行ってみたいと思っていた聖飢魔Ⅱのライブ。毎回、チケットが争奪戦で、なかなかチケットを確保できなかったのですが、なんとか入手し、ついに待望の聖飢魔Ⅱの大黒ミサ(ライブ)に足を運んできました!ちなみに上記の通り、チケットの日時には、地球征服が完了した年を1年とする「魔暦」表記で印刷されており、入場券も「参拝券」とちゃんと悪魔用語で表示。なかなか凝った内容となっています。

ちなみに毎回、ライブレポートを記載する時は、ネット上で流布されているセットリストを参考にするのですが、このライブツアーについては過去の分も含めてセットリストがほぼ公表されていない・・・。ネタバレ禁止が徹底されているようで、ここらへんも信者の団結力の高さをうかがわせます。また、そのためこのライブレポートもこのツアーがすべて終わった後のアップとなっています。ツアーが終わっているのでネタバレは問題ないと思いますが、以下、ネタバレのレポートとなっていますので、念のためご注意を。

 

 

さて、開演時間になると、まず黒ミサのお決まりとして前説からスタートするそうで、この日はゼノン石川和尚による前説からスタート。主に、このホールの話。命名権の関係で「Niterra日本特殊陶業」という名前がついているが、昔の市民会館という話で、昔ながらの雰囲気を懐かしむトークで、まずは会場を笑わせていました。

そしていざメンバーが登場。最初はステージ後方に夕焼けが映し出され、夕焼けをバックにメンバーがシルエット上で登場。最初、全く動かないので、単なる映像かと思いきや、やがてそのシルエットが動き出し、メンバー全員が登場してくる、というとてもカッコいいオープニング。1曲目は最新大教典(アルバム)「SeasonⅡ」から「Kiss U Dead Or Alive」からスタートとなりました。

聖飢魔Ⅱのバンドとしての実力の高さは昔から認識していたものの、あらためてライブで聴くと、その迫力ある演奏にまずはグッと惹きつけられます。ダイナミックでヘヴィーなサウンドは、市民会館という大ホールでも迫力満点に響き渡ります。さらに、デーモン小暮のボーカルの上手いこと・・・。こちらもパワフルで、高音部もしっかり響き渡らせるボーカルで会場を魅了します。

前半第1部は最新アルバム「SeasonⅡ」からの曲の構成。大ベテランバンドの彼らですが、最新アルバムからの曲だけでライブを構成するあたり、自らの曲やライブパフォーマンスに対する自信の高さを感じさせます。一方、ユニークなMCも聴かせてくれて、最初のMCでは、「首を洗ってきただろう」「どこの首だ?」というデーモン小暮のネタフリに「ちくび~!」という返すといういきなりの下ネタ。このやり取りは黒ミサでのお決まりなんでしょうね(笑)。

その後も「I See You!」など、「SeasonⅡ」からの曲が続きます。続く2度目のMCではメンバー紹介。まずサポートメンバーからの紹介だったのですが、キーボードのKAMISORI SYUTOは髪の毛を2本、三つ編みにして立てたスタイルで、何かと思えば名古屋ということでスガキヤのスーちゃんらしい・・・。自分の位置からは全く見えなかったのですが、ちゃんとリボンもしていたそうです(笑)。さらに、その後は正規構成員それぞれのトークへ。特に頚髄症で入院いていたジェイル大橋代官は入院中のエピソードを語っていたのですが、リハビリの時、聖飢魔Ⅱのシャツを着ていた患者がいたとかで、ドキドキして話しかけたら、信者で、驚かれた、というエピソードを披露していました。

さらに「老害ロック」そして第1部最後はバラードナンバーの「Oblivion」へと続き、第1部が終了。休憩時間に入ります。休憩時間はラジオのように、信者からの質問に答えるコーナーに。この日はジェイル大橋代官が担当となっており、真面目に信者からの質問に答えていました。

約10分間の休憩の後、第2部がスタート。第2部ではメンバーが登場後、最後は棺がステージ中央にあらわれ、棺の中からデーモン小暮が登場・・・という、聖飢魔Ⅱらしいスタート。「GO AHEAD」そして「地獄の皇太子」と、最新アルバム「SeasonⅡ」からの楽曲オンリーだった第1部から一転、こちらは懐かしい代表曲のオンパレードとなりました。

そしてMCでは、「少女の悲鳴が聞こえる・・・」と、女性の信者に悲鳴を叫ばせるお約束らしい展開に。「〇〇以下の少女の悲鳴が聞こえる・・・」と、年齢を区切って叫ばせるのですが、最初はBABYMETALのMOAMETAL以下の・・・と若い世代からスタート。意外とこの段階から多くの悲鳴があがっていました。その後、浅田真央、竹下景子と徐々に年齢をあげていき「これでも入らなかったと文句を言われるから」と最後は「お市の方以下の少女の悲鳴が聞こえる・・・」まで年齢を無理やりアップさせ、会場全員の「少女」が悲鳴をあげていました(笑)。

さらに懐かしいナンバーが続き、本編ラストはおなじみ「蝋人形の館」へ。もちろん、大盛り上がりの中でライブは幕を下ろしました。

その後はもちろんアンコールへ。やがてメンバーが戻ってきてMCの後はラスト「LOVE LETTER FROM A DEAD END」で締めくくり。最後まで大盛り上がりのステージとなりました。メンバーが去り、これで終わりか・・・と思いきや、最後はデーモン小暮による後説のMCに。最後、客電が上がった後のステージ撮影はOKということでしたが、SNSへの拡散はNGということで、写真は撮りましたが、ここでは載せません・・・。終了は21時10分頃。後説込みで、約2時間40分程度の黒ミサでした。

今回、ようやくチケットを確保できた待望の聖飢魔Ⅱの黒ミサ。これで80年代を彩ったソニーの3大色物バンドのライブをすべて見た事になります。聖飢魔Ⅱの黒ミサの素晴らしさは、彼らが当初活動していた90年代から、その話を聴いていたのですが、確かに非常に素晴らしいパフォーマンスでした。演奏のクオリティーの高さ、デーモン小暮の歌の上手さ、「悪魔」の雰囲気で統一されたステージに、さらにユーモアセンスあふれるMC(ちょっと理屈っぽいけど)と、実にしっかりとバンドとしての実力を見せた上で、信者を楽しませる、そんな理想的なステージだったと思います。

また、聖飢魔Ⅱといえば、私が中学生から高校生の頃活躍していたバンドですが、この日の信者は、確かに私と同世代やもっと上の世代は多いものの、意外と30代あたりや、下手したら20代や10代も見受けられ、そのファン層の広さを感じます。最初の解散後、信者になった人も多いんでしょうね。ただ、この日のパフォーマンスを見れば、確かに彼らがいまだに多くの信者を惹きつけ、さらにはチケットが争奪戦になるのも納得です。今後もおそらく、なんだかんだ言ってコンスタントに活動を続けていきそうな彼ら。またぜひともチケットを確保して足を運びたいです!

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2026年9月17日 (木)

男女SSWの新譜が1位2位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は人気の男女SSWのアルバムが1位2位に並びました。

まず1位は福山雅治「超新星」が獲得。実に約5年9ヶ月ぶりとなる久々のアルバム。CD販売数1位、ダウンロード数2位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上11万3千枚で1位初登場。前作「AKIRA」の初動13万3千枚(1位)からダウンしています。

2位はあいみょん「AIMYON BEST ALBUM-唇を追え!-」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数1位。タイトル通り、あいみょん初となるベストアルバム。オリコンでは初動売上5万9千枚で2位初登場。前作「猫にジェラシー」の初動5万5千枚(2位)からは若干のアップとなっています。

3位はSnowMan「AMENITY」が先週の2位からワンランクダウン。ただ、ストリーミング数は3週連続1位を獲得しています。

4位以下の初登場盤は8位にロックバンドMy Hair is Bad「cats」がランクイン。本作が7枚目のアルバムで、CD販売数及びストリーミング数7位。これで総合順位も7位だったら完璧だったのですが。9位には&TEAM「Mark on Me」が初登場。ダウンロード数5位、ストリーミング数6位。日本人7名、韓国人及び台湾人それぞれ1名による男性アイドルグループのミニアルバム。10位にはポルノグラフィティ「果実」がランクイン。CD販売数6位、ダウンロード数3位。

ロングヒット盤ではBTS「ARIRANG」が2ランクダウンの6位。これで26週連続のベスト10ヒットに。ILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」も2ランクダウンの7位。こちらも19週連続のベスト10ヒット。一方、先週ベスト10に返り咲いたMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は13位にダウン。ベスト10ヒットは通算76週で再びストップとなりました。

また、「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラック」は今週4位にダウン。ただストリーミング数は2位をキープしており、まだまだ根強い人気を感じさせます。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは今週も映画ちいかわ関連ソングが上位に並びます。

今週も青木遥「机さする」が1位を獲得。これで4週連続の1位。Hot100は58位から46位に再びアップ。ただ、ハチワレ(田中誠人)「くつずれ」が2位から3位、うさぎ(小澤亜李),モモンガ(井口裕香),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (リズム感のある者たちver.)」が3位から4位と若干ダウン。今週も3曲同時ベスト10入りとなっていますが、この勢いはどこまで続くか?


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週はアボガド6「デビットビット」は3週連続1位を獲得。2位は大漠波新「スマイル」が先週の20位から大きくランクアップ。3位はDECO*27「洗脳」が先週から同順位をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上!チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年9月16日 (水)

EBiDAN強し

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

2週連続の1位獲得となりました。

1位はEBiDAN「Yes!東京」が先週に引き続き獲得。これで2週連続通算3週目の1位獲得。動画再生回数が4週連続の1位を獲得しているほか、ストリーミング数が初の1位獲得となっています。

EBiDAN関連では、さらに3位にM!LK「時空超えてユニバース」が初登場でランクイン。ダウンロード数1位、ストリーミング数5位、ラジオオンエア数2位、動画再生回数6位。M!LKは「好きすぎて滅!」が今週も9位にランクインしており、2曲同時ランクイン。「好きすぎて滅!」はこれで40週連続のベスト10ヒットとなりました。

3位にはSixTONES「Dance Forever」がCDリリースの影響で、ベスト100圏外から返り咲き。7月1日付チャート以来のベスト10ヒットとなりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上43万6千枚で1位初登場。前作「一秒」の初動39万2千枚(1位)からアップしています。

続いて4位以下ですが、初登場曲は1曲のみ。4位にSKE48「ため息未来」がランクイン。CD販売数2位。オリコンでは初動売上23万4千枚で2位初登場。前作「サンダルだぜ」の初動18万8千枚(2位)からアップしています。

さらに今週、ベスト10圏外からの返り咲きがあるのですが、なんとあいみょん「マリーゴールド」が先週の23位からランクアップ。実に2020年6月3日付チャート以来のベスト10返り咲きを果たしています。メジャーデビュー10周年を記念したセルフオマージュ映像の公開や、9月4日に行われたラジオ番組での弾き語りが話題となった影響のようで、主にラジオオンエア数で1位を獲得。ストリーミング数も23位と比較的上位をキープしているということもあり、実に約6年3ヶ月ぶりにベスト10に返り咲いています。実に通算61週目のベスト10ヒットとなります。

ほかのロングヒット曲ではMrs.GREEN APPLE「Brand New」が7位から6位にランクアップ。これで9週連続のベスト10ヒットに。一方、大森元貴「灰色」は2位から8位にダウン。思ったほどのヒットには結びつかなさそう・・・。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャート!

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2026年9月15日 (火)

原点「東京」に回帰

Title:From Tokyo with Love
Musician:新しい学校のリーダーズ

Fromtokyo_ag

結成10周年を迎えた新しい学校のリーダーズのニューアルバム。前作「AG! Calling」は海外進出を強く意識したような作品となっていましたが、一方今回のアルバムは「東京より愛を込めて」というタイトル通り、あらためて彼女たちの原点である「東京」を掲げた作品となっています。前作では海外を意識し、また直近ではベスト盤を挟んで、原点に立ち返った上で新たな一歩を踏み出す、そんな感じでしょうか。

ただ、楽曲としては非常にわかりやすい作風となっています。全体的に前半はハードロック的な、ちょっと懐かしい雰囲気の作品が並んでいます。一方、後半はエレクトロな作品がベースとなり、「今風」のサウンドにリーチしたような楽曲が並びます。ノスタルジックさを感じるナンバーと、エレクトロでリズミカルなチューン。どちらもポップで聴きやすく、そういう意味でも非常にわかりやすいアルバムだったように感じます。

冒頭を飾る「Oi AG!」からして、完全に80年代風のハードロックな楽曲。タイトル通り、東京をテーマとした「TTTTOKYO」も、疾走感ある90年代J-POPのテイストも強いビートロック風の楽曲に。続く「Take me with You」もシンセのサウンドも取り入れつつ、メランコリックなメロで80年代テイストを感じる、ちょっと産業ロック風の楽曲になっています。

一方後半は、ビートを強調したサウンドが今時らしい「Dance Dance」やエレクトロサウンドに和風なお祭りビートを入れてユニークな「Chanka Chanka」、トランシーなエレクトロチューン「Leave It All Behind」など、勢いがあり、かつ、今時のサウンドともリンクしたような楽曲が並びます。懐かしさとある種のベタさを感じさせる前半とは対照的。ただ一方、エレクトロのビートは耳なじみやすく、こちらもポップで聴きやすさを感じる楽曲となっています。

さらに今回特徴的なのは中盤に、メンバーそれぞれをピックアップした曲が並んでいる点。「Cathc That Train」ではKANONを、「Kore de E」ではMIZYUを、さらに「Waiting for Good Time」ではRINを、それぞれのメンバーに焦点があてられており、グループとしてあらたな挑戦を感じさせる構成にもなっています。

ただ、そのような新しい挑戦はあったものの、楽曲全体として目新しさは乏しかった・・・というよりも、一時期に比べて人気が若干落ち付いており、次の一歩を測りかねている、そんな印象も受けた作品になっていました。特に海外進出ということを意識した前作に比べると、原点に戻るというコンセプトは十分ありだとは思うのですが、保守的にも感じてしまいます。もちろん、彼女たちの魅力はあくまでもそのパフォーマンスであり、楽曲については以前から、斬新さよりもわかりやすさを重視していた感はあるのですが、それを差し引いても勢いの面でちょっと落ち着いてしまったかな、という印象も受けました。悪いアルバムではなく、ライブでは盛り上がりそうな曲が並んではいると思うのですが・・・さらなる盛り上がりを期待したいところなのですが。

評価:★★★★

新しい学校のリーダーズ 過去の作品
一時帰国
マ人間
AG!Calling
新しい学校のすゝめ


ほかに聴いたアルバム

SPEEDSTAR/LEX

Speedstar

最近注目のHIP HOPミュージシャンによる新作。9曲入り20分強というコンパクトな内容が特徴的。サウンドは現在のHIP HOPの流れに沿ったような、エレクトロトラックで力強いビートを聴かせてくれる一方、メロディアスなフロウが特徴的。アリアナ・グランデを意識したような「Hey アリアナ」という曲や、ゲームをモチーフとした「ELDEN RING」、さらにはポケモンのキャラクター「リーリエ」を題材とした「リーリエの手紙」など、HIP HOPに留まらないポップカルチャーとのリンクも特徴となっています。サウンド的にも歌詞の内容的にも「現代」に沿った感のある内容がインパクトとなる作品でした。

評価:★★★★★

LEX 過去の作品
LOGIC
Logic 2
Original

THE BOOK for,/YOASOBI

YOASOBIのEPシリーズ「THE BOOK」の完結版となる第4弾。タイトルは「4」と「for」をかけており、「この作品を受け取ったすべての人へ」という意味が込められているのと、タイトルの最後に「,」がついているのは、ここで終わるのではなく、これからも続いていくという意味があるそうです。基本的にこの2年間に発表された曲が収録されたコンピレーション的なアルバムで、ほぼすべての曲に関してタイアップがついている点、彼女たちの人気のほどをうかがわせます。

楽曲はいずれもYOASOBIらしい、エレクトロサウンドをベースとして幾田りらのキュートなボーカルが印象的なポップ。全体的にガチャガチャした感じになっているのも彼女たちらしさも感じます。ただ一方気になるのは、ここ最近、これといったヒット曲が出ていない点。本作に収録した曲でもビルボードのHot100でベスト10入りしたのは「UNDEAD」1曲のみという結果となっています。YOASOBIといえば、Ayaseが全身タトゥーをほどこした外見が悪い意味で話題となっていますが、幾田りらのギャル化したルックスも合わせて、ファン離れを起こしているような印象が・・・。彼らの外見はあくまでも彼らの自由かもしれませんが、アーティストイメージのマネジメントという点では、彼らのファン層から考えると、かなり失敗しているような。完全に本人たちがファン層を勘違いしているのか、本人たちが回りの言うことを聞かなくなったのか・・・。

評価:★★★★

YOASOBI 過去の作品
THE BOOK
E-SIDE
THE BOOK 2
E-SIDE 2
THE BOOK 3
E-SIDE 3

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2026年9月14日 (月)

アイルランドのミュージックシーンについて概括的に知れる1冊

本日は最近読んだ音楽関連書籍の感想です。

今回紹介するのは、音楽評論家和久井光司責任編集による「アイリッシュ・ロック完全版」。河出書房新社から出版されている和久井光司責任編集による完全版/攻略ガイドのシリーズのひとつで、いままで「ローリング・ストーンズ完全版」や「ビートルズ以後のモダン・ポップ完全版」、「オアシスとブリット・ポップ完全版」を紹介してきましたが、そのシリーズとなります。今回は、イギリスの西側に位置する島国、アイルランドに出自を持つミュージシャンたちの紹介となります。

本書では、全7章に章立てされ、第1章は60年代以前のアイルランドのミュージックシーンの紹介、第2章から6章まではアイルランドを代表するミュージシャンたちを、それぞれ1章ずつ章立てして紹介。そして第7章にはそのほかのアイルランドのミュージシャンたちを紹介しています。

このうち特に興味深かったのは第1章で、ジャグバンドなど、アイルランドからアメリカへの移民が、アメリカに持ち込んだ音楽について紹介しているほか、アイルランド本国で主に60年代に隆盛を極めたアイルランド・ショウバンドというシーンの紹介は特に興味深く、音楽的にはフォーク、カントリー、ロックンロールなど様々なジャンルを詰め込んでいるため、独自性は弱いそうですが、そのシーンがビートバンドを生み出し、さらには第1章で紹介されているゼム、さらにはヴァン・モリスンにつながってくる流れは非常に興味深く読むことが出来ました。

そして第2章からは各々のミュージシャンたちの紹介。ゼム、ヴァン・モリスン、ロリー・ギャラガー、ゲイリー・ムーア、シン・リジィがそれぞれ紹介されています。それぞれ、章の最初のコラムでそれぞれのミュージシャンが紹介され、その後はディスクガイドを通じて、ミュージシャンの歩みを紹介するというスタイル。これはいままでの「完全版/攻略ガイド」に共通するもの。「完全版」のため、必ずしも名盤集にはなっていないものの、それぞれのミュージシャンたちを概観的に知ることが出来ます。

ただ、正直なところ、アイルランド出身のミュージシャンたちを並べたスタイルのため、音楽的に共通項があるのか、と言われるとかなり微妙な感じも。個人的にはこのうち、ちゃんと聴いたことがあるのはヴァン・モリスンとロリー・ギャラガーくらいなので詳しくはわからないものの、各々のミュージシャンの紹介を読んでも、あまりアイルランドだから、という共通項は感じられませんでした。前述の通り、アイルランドにおける音楽のルーツとも言えるアイルランド・ショウバンドは、様々なジャンルをごった煮したシーンだったようなので、「アイルランドだから」という独自性は薄いのかもしれませんが・・・。

そして最後にアイルランドのその他のミュージシャンたちが紹介されています。アイルランドというとケルト音楽というイメージも強いのですが、そのイメージが最も強そうなTHE POGUESもここで紹介。また、「ロックバンド」からは外れるのですが、いかにもケルティッシュなイメージも強いエンヤもここで紹介されています。また、My Bloody Valentineの初期のアルバムについても紹介されており、そういえば、彼らもアイルランド出身だったな・・・と思い出されました。

一方、本書の謎でもあるのですが、ある意味、アイルランド出身のロックバンドの代表格とも言えるU2については、第7章のコラムで簡単に紹介されている程度であまり取り上げられていません。このコラムで「『アイリッシュ・ロック』を認知させたのはU2」ははっきり書いているにも関わらず、U2がほとんど取り上げられていないのは不思議な感じが。単なる和久井光司の好みの問題のような・・・。また、ここ最近、アイルランドのバンドとして注目されているFontaines D.C.については完全に無視。特に2022年にリリースされた「Skinty Fia」についてはタイトル自体アイルランド語ですし、アイルランド人としてアイデンティティが強調された、まさに「アイリッシュ・ロック」となっているのですが、ここでは紹介されていません。こちらについては、編者が単純に最近のシーンについて、ついてっていないという疑惑も・・・。

また、このシリーズでは、編者の和久井光司の自分語りやちょっと時代錯誤的な物言いが気になる部分もあったのですが、今回については、そんな部分はあまりなく、気にならない程度。その点もよかったかと思います。前述の通り、気になる部分は多々ある1冊ではあるのですが、ちょっとマニアックであり、日本では包括的に語られることの少ない、アイルランドという国を軸としたミュージックガイドとしては勉強となり、また楽しめた1冊でした。

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2026年9月13日 (日)

谷村有美らしさがつまった傑作

Title:docile(2026 Remaster)
Musician:谷村有美

2014年から続いている谷村有美のアルバムの再発&リマスター企画。その第7弾となるのは彼女の6枚目となるオリジナルアルバム「docile」。前作「愛は元気です。」の感想でも書いたのですが、私が彼女のアルバムをリアルタイムで聴いたはじめての作品であり、かつ、一番彼女にはまっていた時期の作品。そういう意味で非常に思い入れのある作品であり、なおかつ、個人的に谷村有美の最高傑作は本作だと思っています。

まずなんといっても本作で特筆したいのは、「ときめきをBelieve」が収録されている点。アニメ映画「アルスラーン戦記Ⅱ」のエンディングテーマであり、またTBS系「世界ふしぎ発見!」のエンディングテーマであるこの曲。切なさと暖かさを同居させたメロディーラインが印象的なこのナンバー。特にピアノの黒鍵を中心とした音を中心に用いつつ、サビの部分で徐々に音程があがっていく展開が私の壺をつきまくっている楽曲で、個人的に人生の名曲ベスト10を選んだとしたら、間違いなく、その中の1曲として選ぶであろう楽曲。彼女の代表曲なのですが、本当に心から大好きな1曲だったりします。

そんな名曲が収録されている本作ですが、大きな特徴としては谷村有美作曲の曲がグッと増えた点でしょう。オリジナルの全10曲中9曲まで彼女が作曲し、4曲は彼女が作詞作曲を担当しています。前述の「ときめきをBelieve」は崎谷健次郎が作曲しているのですが、この曲以外はすべて谷村有美作曲による楽曲が並んでおり、シンガーソングライターとしての大きな一歩を歩み出した作品と言えるかもしれません。

そしてこのアルバムの大きな特徴としてもうひとつあげられるのは、谷村有美の良さを最大限に生かした作品になっているという点だと思います。谷村有美の紹介で何度か書いたのですが、彼女はガールズポップのシンガーとして人気を博しました。このガールズポップというのは、特にアイドル冬の時代と言われた90年代に、アイドル的な需要を満たすために人気を博した、本格的なシンガーソングライターを志向しつつ、同時にアイドル性を兼ね備えたような女性ポップスシンガーたちのムーブメント。谷村有美はまさにその代表格的なシンガーとして、アイドル的な人気を博しました。

そう考えると本作は、まさにそんなアイドルと実力派シンガーの中間を行くのにはピッタリなイメージ。楽曲は全体的に彼女のキュートなボーカルをしっかりといかした曲になっていますし、先行シングルとなっている「いちばん大好きだった」にしても、アイドル性のある失恋を歌ったラブソングに。その後の「猫になりたい」にしても「愛する勇気」にしてもキュートなポップス路線。初期のシティポップ路線の大人な雰囲気と比べると、アイドル性は増した感があります。一方では「この夜に」のような、肉体関係を彷彿とさせるような大人のラブソングも書いており、ここは逆に「アイドル性」からは遠い部分も。全体的にはキュートなポップ路線でありつつ、ちょっと大人な曲を織り込んでくるあたり、バランスの良さも感じさせます。

ちなみに今回の再発盤には、「ときめきをBelieve」のアルスラーン戦記Ⅱバージョンを収録。実ははじめて聴いたのですが、歌詞が全然違っているんですね・・・ちょっと驚きでした。さらに、今回、新曲「守ってるよ」を収録。作詞作曲に加えて編曲も本人が手掛けた曲なのですが、「docile」の曲の中に入れても違和感のない、彼女らしいキュートなポップチューンに仕上がっています。ここらへん、自らが作詞作曲した曲が、谷村有美のイメージに合った曲になっているあたり、彼女のセルフプロデュース能力も感じますし、それが今なお衰えていないことも感じさせます。

そんな訳で、谷村有美の魅力のつまったアルバムで、彼女の初心者が最初に聴くにはピッタリの1枚だと思います。ちなみに次回作「愛する人へ」のリマスター盤も11月に発売が決定。大阪でのライブも決定するなど、徐々に活動を再開しており、今後はさらなる活動が期待できるかも?楽しみです。

評価:★★★★★

谷村有美 過去の作品
タニムラベスト
Believe In(2024 Remaster)
Face(2024 Remaster)
Hear(2024 Remaster)
PRISM(2024 Remaster)
愛は元気です。(2024 Remaster)
White Songs -New Year, New Light-


ほかに聴いたアルバム

Snowdrop/MONO

日本のポストロックバンド、MONOの2年ぶりとなるアルバム。MONOといえば、いままでの多くのアルバムをかのスティーヴ・アルビニが手掛けてきましたが、2024年にアルヴィニが逝去。本作はアルビニが関与しない初のアルバムとなります。今回のアルバムはテーマとしてはアルビニに捧げるアルバムというコンセプトということで、彼を失ったことの悲しみが表現されています。

そのため、全体的にメランコリックな雰囲気が貫かれている作品になっているのですが、ただその中でもラストを締めくくる「Farewell to Spring」は明日への希望につながるような明るさも感じさせる作品になっており、アルビニ亡き後、あらたな一歩を踏み出そうとする彼らの心意気も感じさせる内容になっています。今後の彼らの活動がどうなっていくのか、注目したいところです。

評価:★★★★★

MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind
For My Parents
The Last Dawn
Rays of Darkness

Requiem For Hell
Before The Past・Live From Electrical Audio
Pilgrimage of the Soul
My Story,The Buraku Story(An Original Soundtrack)

満ちた紫/indigo la End

約1年4ヶ月ぶりとなるindigo la Endのニューアルバム。今回のアルバムについて川谷絵音は「シンプルなものを作りたい」という明言しているようで、いままでの作品に比べるとシンプルなコード展開の作品が目立つアルバムとなっています。とはいえ、基本的には哀愁感たっぷりのメロディーラインはいままで通り。オルタナ的なギターロック路線やよりヘヴィーな作品もあったりと、アルバムの中でもちゃんとバリエーションは感じさせます。シンプルながらもちゃんとindigo la Endらしさを感じさせる作品になっており、あらためて川谷絵音の実力も感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら
藍色ミュージック
Crying End Roll
PULSATE
塗れゆく私小説
夜行秘密
哀愁演劇
MOLTING AND DANCING

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2026年9月12日 (土)

今の時代ともリンクさせた現役感あふれる新作

Title:Foreign Tongues
Musician:The Rolling Stones

オリジナルアルバムとしては実に約18年ぶりの新譜となり大いに話題となった前作「Hackney Diamonds」からわずか3年。早くもローリング・ストーンズの新譜がリリースとなりました。もうミックもキースも80歳を越えた「おじいちゃん」。その年齢を感じさせない精力的な活動ぶりには驚かされます。ポール・マッカートニーもいまだに精力的に活動を続けているし、その子供くらいの世代の私たちにとっても、このおじいちゃんたちの頑張りぶりは見習いたいものです。

ただし、基本的に前作制作時に多くの楽曲を録音しており、今回のアルバムにもその時に楽曲が収録されている模様。そのため、実質的に「Hackney Diamonds」との姉妹盤とも言える作品となっています。また、基本的には前作と同様、いつものローリング・ストーンズといった感じのスタイル。新たな挑戦というよりは、ファンが求める彼ららしさを忠実に再現した、実にローリング・ストーンズらしい作品となっています。

まずアルバムの冒頭を飾るのが「Rough And Twisted」。タイトルからしてもそのままですが、ローリング・ストーンズの王道を行くようなブルースロックのナンバー。ただ、ゴリゴリにヘヴィーなギターサウンドを含め、かなりヘヴィーなサウンドをダイナミックに聴かせてくれる楽曲になっており、若々しい現役感あふれる作品にアルバムへの期待も高まります。一方、続く「In The Stars」は爽やかでメロディアスなロックチューン。ブルージーなギターに彼ららしさを感じさせますが、どこかオルタナ以降のギターロックの路線も感じさせ、こちらも若々しさを感じさせるナンバーになっています。

さらに「Jealous Lover」ではミックがファルセットボーカルに挑戦。メロウでファンキーなミディアムソウルの楽曲なのですが、まだまだボーカリストとしてのミックの若さを感じさせる楽曲に。「Rigining Hollow」のような、いなたいカントリー色の曲があったかと思えば、「Never Wanna Lose You」のような、80年代の彼らを彷彿とさせるような、ディスコテイストのダンサナブルなビートを聴かせる曲もあったりします。

そして「Some Of Us」はキースボーカル曲。かなりの渋さを感じさせるバラードナンバーを聴かせてくれます。終盤の「Back In Your Life」は本作最長の6分強のナンバーになっており、力強いブルージーなギターにスケール感を覚える楽曲。さらにラストを締めくくる「Beautiful Deliah」はチャック・ベリーのカバー。シンプルな演奏の軽快なロックンロールナンバー。彼らのルーツをあらためて振り替える作品で締めくくられています。

勢いのあるロックチューンからスタートし、途中、バラードナンバーやダンスナンバーを入れ、ラストはカバーで締めくくりというスタイルは前作と共通しており、途中、キースボーカルの曲を加えているところも含めて、ローリング・ストーンズの王道のような構成の作品になっています。そういう意味で目新しさはない一方、ファンとしては安心して聴ける作品にもなっていました。また、目新しさはないものの、ゴリゴリに聴かせてくれる勢いのあるバンドサウンドは現役感にあふれており、決して「懐メロ」的になっていない点は大きな魅力と言えるでしょう。

また、今回のアルバムの中で注目のナンバーのひとつと言えるのが「You Know I'm No Good」で、こちらなんとかのAmy Winehouseのカバー。ムード感たっぷりにカバーしているのですが、ストーンズと比べてグッと下の世代となる彼女の曲を取り上げるあたり、しっかりと今の世代とリンクさせています。今の世代と言えば、今回のアルバムではかのブルーノ・マーズがゲストに参加。「Never Wanna Lose You」のカウベルで参加しているようですが、こういう今の世代にしっかりとリンクしている点も、アルバムの現役感につながっているのでしょう。

ちなみに本作でも豪華ゲストが参加しており、「Covered in You」でポール・マッカートニーがベースに参加しているほか、The Cureのロバートスミスもギターやバックボーカルで参加しています。さらにファンにとってうれしいのは、(これは「ゲスト」ではありませんが)チャーリー・ワッツのドラムが「Hit Me in the Head」で使われている点。やはりストーンズのドラムはチャーリー・ワッツじゃなくては・・・と思っているだけに、彼のドラムがまだ新曲として聴けたのは非常にうれしかったです。

まだまだ現役感あふれるストーンズの新作・・・どころか、前作からわずか3年というインターバルでバンドとしての勢いが増しているのではないかとも思えるような作品に仕上がっていました。彼らの王道を行くスタイルを貫いている一方、ちゃんと今の世代ともリンクさせている作品になっており、彼らの活動がまだまだ続いていくということを強く感じさせます。ラストでカバーしたチャック・ベリーは90歳になってからも新作をリリースしていましたので、まだまだストーンズの次の作品にも期待できそうです。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES)
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live
Blue&Lonesome
Ladies & Gentlemen
ON AIR
Voodoo Lounge Uncut
Honk
The Rolling Stones Rock and Roll Circus
A Little Bang (Bigger Bang Tour EP)
GRRR Live!
Licked Live In NYC
Hackney Diamonds
Hackney Diamonds(Live Edition)
Live At The Wiltern
Welcome To Shepherds Bush
Black And Blue Super Deluxe Edition


ほかに聴いたアルバム

CONFESSIONSⅡ/MADONNA

MADONNAの最新作は、2005年のアルバム「Confessions on a Dance Floor」で組んだスチュアート・プライスと再度タッグを組んだアルバムで、タイトル通り、同作の続編的なアルバム。全面的にエレクトロサウンドを導入したダンスチューンとなっており、特に曲と曲がシームレスにつなががれたDJミックス的な作品となっており、クラブミュージックをかなり意識したアルバムになっています。全編、ダンサナブルな作風は聴いていて難しいこと抜きに楽しめる作品。また、今時のサウンドというよりは、90年代や2000年代あたりのサウンドを今風にアップデートした感じの曲となっており、そういう意味でも聴きやすい作品に。また、90年代的といっても決して懐古趣味といった印象は受けず、ちゃんと「今の音」として鳴り響いているあたり、バリバリの現役感を覚える作品になっています。80年代のスターたちは、既にマイケルジャクソンもプリンスも鬼籍に入り、シンディーローパーも事実上の引退状態の中、マドンナだけはバリバリの現役として、「懐かしのミュージシャン」枠に入るどころか、最先端で活動を続けることに驚いてしまいます。彼女、もう68歳だよ・・・。

評価:★★★★★

MADONNA 過去の作品
Hard Candy
Celebration
MDNA
Rebel Heart
Madame X
Veronica Electronica

Florida Water Blues/Twisted Teens

Floridawaterblues

2月にアルバム「Blame The Clown」をリリースした、ニューオリンズのパンクロックデゥオが、わずか5ヶ月のインターバルではやくも新譜をリリース。ガレージパンクにパンクロックを融合した独特な音楽性が特徴的。基本的には短いスパンでのリリースということもあって、前作の延長線上の作品となっており、スタイル的にはほとんど変化はありません。前作が気に入った方なら間違いなく気に入る作品。とはいえ、目新しいスタイルに新鮮味があった前作と比べると、そういった点での驚きには欠けるのですが・・・ただ、今回もカントリーの色合いが強い独特なパンクが楽しい、そんな作品でした。

評価:★★★★★

Twisted Teens 過去の作品
Blame The Crown

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2026年9月11日 (金)

ライブセッションで新たに生まれ変わる

Title:BEST SESSIONS!
Musician:スガシカオ

Bestsessions

2027年3月26日にデビュー30周年を迎えるスガシカオ。今回紹介するアルバムは、その30周年のキックオフアルバムとして位置付けられる作品となります。今回のアルバムは過去の、特に初期のスガシカオの代表曲が並ぶアルバムとなっていますが、単なるベストアルバムではありません。スガシカオのデビューから約10年間、作品制作やライブを支えたThe Family Sugarというバックバンドがいました。今回のアルバムの最大の目玉は、このThe Family Sugarの再結成。今回は、そのメンバーが再びあつまり、ビクタースタジオでのライブセッションの形式でレコーディングした作品となります。

このThe Family Sugarのメンバーがなかなか豪華。バンドマスターはキーボードの森俊之、ドラムスは沼澤尚、ベースは松原秀樹、ギター間宮工と、音楽好きであればおそらく一度は名前を聴いたことのあるような名うてのセッションミュージシャンばかり。特に森俊之や沼澤尚などは、いまや日本を代表するようなミュージシャンながらも、The Family Sugar結成時はまだ若手ミュージシャンだったことを考えると、あの頃だからこそ集まれたメンバーなんだろうなぁ、という気もします。

そんな豪華なメンバーが再集結した今回のアルバム。スガシカオの初期のナンバーを、今のメンバーで再度演奏する、というコンセプトの内容になっています。彼の代表曲が数多く演奏しているのですが、楽曲タイトルにはいずれも末尾に「S」をつけており、オリジナルとはまた違う曲という、ある種のこだわりを感じさせます。

ライブセッションで演奏された模様をそのまま収録している、ということであり、オリジナル音源に比べるとグッとバンド感の増した作品に仕上がっています。冒頭を飾るのは「ストーリーS」。最初、ドラマーの掛け声からスタートするあたりもライブセッションならではですが、オリジナルに比べてグッとサウンドの太さが増した楽曲になっています。続く「19才S」でもオリジナルに比べてノイジーなギターサウンドを前に押し出したアレンジに。ファンキーなリズムと、よりロック感の増した楽曲に仕上がっています。

「ドキドキしちゃうS」もオリジナルよりファンキーなリズムが増して、グッとグルーヴ感あふれるサウンドに仕上がっていますし、SMAPに提供して大ヒットした楽曲のセルフカバー「夜空ノムコウS」も、ライブセッションならではの歌とバンドサウンドが一体となった空気感を味わえる作品になっています。

特にライブセッションらしさが印象的だったのが最後を飾る「日曜日の午後S」で、アコギ1本のみでの歌い出しは、緊迫感ある演奏を聴かせてくれますし、さらに後半ではジャムセッションも登場。力強いグルーヴ感あふれるサウンドを繰り広げており、ライブセッションならではの展開となっています。

このように、ライブセッションにより、初期のスガシカオの楽曲が生まれ変わった作品。30年近い月日を経て、スガシカオ本人もバンドメンバーも大きく成長した結果、新たな進歩を感じさせるサウンドとリズム、そして歌を聴かせてくれます。ただし一方で、いずれの楽曲もオリジナルのイメージを大きく変えるものではありません。楽曲によってはアレンジをかなり変えてきている曲もありますが、それでも基本的にはオリジナルのイメージに沿ったリアレンジとなっており、オリジナル音源に慣れた人にとって違和感あるような展開にはなっていなかったかと思います。そういう側面では今回のアルバムはスガシカオの初期ベストとしても楽しめる作品にもなっていましたし、スガシカオの曲の魅力をあらためて認識できた作品にもなっていました。

最初にも書いた通り、2027年にデビュー30周年を迎えるスガシカオ。本作はそのキックオフということで、今後は様々な作品がリリースされていくのでしょう。スガシカオの今がわかり、そしてこれからが楽しみになってくる作品。まさに30周年を迎える彼のキックオフとしてふさわし傑作でした。

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-

THE LAST
THE BEST-1997~2011-

フリー・ソウル・スガシカオ
労働なんかしないで 光合成だけで生きたい
SugarlessⅢ
イノセント
Acoustic Soul 2021~2024


ほかに聴いたアルバム

MarginaliaⅧ/高木正勝

彼がライフワークとしている「Marginalia」シリーズの第8弾。兵庫県の里山にある自宅スタジオにおいて、2024年5月から2025年4月までの1年間にわかって録音された作品で、基本的には自然の音をそのまま取り込んだうえに、ピアノの即興演奏を重ねるというスタイルの作品。全体的にアンビエントでしんみり聴かせる作風。時々、微妙にスタイルが変化するのがおもしろかったりするのですが、今回については特にそんなイベントもなく、ただ淡々と美しいピアノと自然の音が流れてくるような作品になっていました。そういう意味で目新しさはないものの、心地よい気持ちで聴ける、そんな作品になっていました。

評価:★★★★

高木正勝 過去の作品
Tai Rei Tei Rio
TO NA RI(原田郁子+高木正勝)
おむすひ
かがやき
Marginalia
MarginaliaⅡ
MarginaliaⅢ
MarginaliaⅣ
MarginaliaⅤ
MarginaliaⅥ
スタジオ地図 Music Journey Vol.2-高木正勝 うたの時間
MarginaliaⅦ

Never Skip Me/Worldwide Skippa

Neverskipme

昨年、排外主義的なラップに対するカウンター「ダサくて助かる」をリリースして話題になった名古屋出身、現在、25歳のラッパーによるデビュー作。若い世代がこのような排外主義にノーを突きつけるようなラップを発表するのは非常に頼もしい限りですが、HIP HOPの1ジャンルであり、パーティーチューンの色合いが強いクランクを楽曲に取り入れており、ダウナーな雰囲気の中でも軽快さを感じさせる作風が特徴的。リリックは名古屋であることを主張しつつ、自身の自負心を前に押し出したようなリリックが目立ちます。まずは挨拶代わりのアルバムといった感じですが、地元出身ですし、今後の活躍に期待したくなるラッパーです。

評価:★★★★

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2026年9月10日 (木)

今週もちいかわが健闘

今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週もまた、ちいから映画の関連楽曲が上位に欄でいます。

まず青木遥「机さする」が3週連続で1位を獲得。ただ、Hot100でも46位から58位ダウン。さらに、ハチワレ(田中誠人)「くつずれ」が2位、うさぎ(小澤亜李),モモンガ(井口裕香),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (リズム感のある者たちver.)」が3位とベスト3を独占しました。ただ、「島のうた(セイレーンver.)」は11位に、「うさぎラップ (ソロver.)」は14位までダウンしており、若干勢いが落ちているようにも感じる結果となっています。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラック」は先週に引き続き3位をキープ。ストリーミング数は今週も2位となっています。

一方1位は旧ジャニーズ系。King&Prince「So Honey EP」が獲得。CD販売数及びダウンロード数1位、ストリーミング数5位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上19万1千枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「STARRING」の初動25万枚(1位)からダウン。

2位はSnow Man「AMENITY」が先週に引き続き2位をキープしています。

4位以下の初登場盤は1枚のみ。10位に韓国の男性アイドルグループTREASURE「NEW WAV」がランクイン。4枚目となるミニアルバム。

また、今週はベスト10返り咲きも。まず7位に旧ジャニーズ系timelesz「MOMENTUM」がベスト100圏外からランクアップ。5月6日付チャート以来のベスト10返り咲き。これはダウンロードとストリーミングが解禁になった影響で、ダウンロード数3位、ストリーミング数7位にランクイン。Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」も11位から9位にアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。これで通算76週目のベスト10ヒットとなります。

ロングヒット盤ではBTS「ARIRANG」が6位から4位にアップ。これで25週連続のベスト10ヒット。ILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」は3週連続の5位。これで18週連続ベスト10ヒットとなります。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週はアボガド6「デビットビット」は先週に引き続き1位を獲得。一方、2位にはテコまる「謎の民族ヌンババユカリ」、3位DECO*27「洗脳」と、いずれも初登場曲がランクインしています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上!チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年9月 9日 (水)

EBiDAN返り咲きにミセスが追う

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はEBiDAN返り咲きにミセスからの大森元貴ソロ作が追う展開となっています。

まず1位にはEBiDAN「Yes!東京」が先週の3位からランクアップし、3週ぶりの1位返り咲きで2週目の1位獲得。特にCD販売数が3週ぶりの1位返り咲き。動画再生回数が3週連続の1位となっています。

そして2位はMrs.GREEN APPLEのボーカル大森元貴のソロ作「灰色」が先週の12位から大きくアップし、ベスト10初登場。映画「白鳥とコウモリ」主題歌。特にラジオオンエア数が1位となっており、今回の躍進の大きな要因となっています。そのほか、ダウンロード数4位、ストリーミング数12位、動画再生回数20位。ストリーミング数と動画再生回数が伸び悩んでおり、ここらへんの指標をどれだけ伸ばせるかが今後のヒットの鍵になりそう。

ちなみに今週7位にはMrs.GREEN APPLE「Brand New」が先週の6位からワンランクダウンながらもベスト10をキープ。これで8週連続のベスト10ヒットに。特にストリーミング数は8週連続1位を獲得しています。

3位はアソビシステム所属の女性アイドルグループfav me「にゃんてずるいの!」が獲得。CD販売数2位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上4万5千枚で2位初登場。前作「すきなんかじゃ・・・にゃい!」の初動3万6千枚(1位)からアップしています。

4位以下の初登場曲は5位にavex所属の女性アイドルグループわーすた「わったらいふ!」がランクイン。CD販売数3位。オリコンでは初動売上3万1千枚で3位初登場。前作「Sweet Fancy Chu-n」の初動2万6千枚(5位)からアップしています。

6位には旧ジャニーズ系King&Prince「So Honey」が初登場。ダウンロード数1位、ストリーミング数13位、ラジオオンエア数2位、動画再生回数9位。9月2日発売予定のEP盤からの先行配信となります。

ほかのロングヒット曲としては、M!LK「好きすぎて滅!」は2ランクダウンの9位。これでベスト10ヒットは連続40週に。ただ、「爆裂愛してる」は12位にダウンし、ベスト10ヒットは通算28週で再びストップ。またILLIT「It's Me」も13位にダウン。こちらもベスト10ヒットは通算11週で再びストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年9月 8日 (火)

笑顔あふれるステージ

JAILHOUSE presents「Hello End Vol.6」

THE BAWDIES/金属バット

会場 THE BOTTOM LINE 日時 2026年9月4日(金) 19:00~

Helloendvol6

久しぶりにTHE BAWDIESのライブに足を運んできました。彼らのライブに行くのは2023年のアコースティック形式でのライブ以来、約3年8カ月ぶり。通常のバンド形式でのステージは2013年以来、実に約13年ぶりのステージとなります。今回は対バン形式ということで、対バン相手はお笑いコンビの金属バットというコンビ。私自身、お笑いに疎いため、実は金属バットというコンビ、今回はじめて知ったのですが、こういう形での対バンもおもしろそう、ということで足を運んできました。

会場はボトムライン。THE BAWDIESの人気を考えると、ちょっと狭めのキャパのような感じもしたのですが・・・そのためか、会場はほぼ満員。ステージ上はバンドセットが既にセットされていたのですが、19時5分くらいになると、おもむろにセンターマイクが漫才でよく使われるようなマイクにチェンジ。最初は金属バットのステージからのスタートとなります。

金属バットはスキンヘッドと長髪というちょっと奇妙なコンビによるお笑いユニットで、THE SECONDで準優勝を取ったこともあるグループだそうです。この日は漫才というスタイル。最初は「なぞかけ」をテーマとした漫才。こういうライブでの漫才ということもあり、下ネタやかなりやばそうな危ないネタを含んでの漫才で、まずは会場を沸かせていました。

金属バットが漫才を一席披露した後はTHE BAWDIESのステージに。メンバーは水色にストライプの入ったジャケットを着てのステージ。最初は「COME ON,LET'S PARTY」からスタート、さらに「HERE ARE THE BAWDIES」とハイテンションの楽曲からスタートし、会場のテンションは一気にあがっていきます。このまま「PARTY PARTY」「YOU GOTTA DANCE」とライブではおなじみのナンバーが続いて、序盤から飛ばしまくります。ただ、まずこの4曲を披露し、メンバーは一度脇に下がり、MARCYだけがステージに残ります。

そのMARCYの力強いドラムソロを出囃子に、再び金属バットが登場。再び漫才となります。2番目の漫才は「自販機」がネタ。自販機を運営する場合に並べたいジュースという話。毒がたっぷりだった最初の漫才と比べると、こちらは比較的オーソドックスな感じの漫才で、再び会場を沸かせてくれました。で、1席が終わると、再びTHE BAWDIESとチェンジとなります。

で、最初に簡単なMCで、中京テレビで放送している「オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。」のオープニング音楽を担当したという話。名古屋で流れている番組なので、THE BAWDIESの知名度があがったという話になり、その「(Theme From)The Odozehi」に。この曲をスタートに、続いてもハイテンションな曲が続きます。「SUNNY SIDE UP」「SUGAR POP」と、ここで比較的キュートでポップなナンバーを聴かせたかと思うと、TAXMANボーカルの「B.P.B」へ。そして「GIMME GIMME」へと続き、最初から最後までハイテンションの中、再びMARCYを残してメンバーはステージを去りました。

で、再びMARCYのドラムを出囃子に金属バットの登場となるのですが、今度は金属バットと並んでROYも一緒に登場。3人で漫才をやりはじめます。何の突っ込みもなく、ROYが参加していたので、どこかでこの突っ込みが入るかな・・・と思いきや、そのまま漫才が進行。ちなみに3番目のネタはビーガンの女の子が日本に留学に来たというネタで、こちらTHE SECONDで披露されたネタだそうです。こちら、最後の最後のオチまで笑いの部分がない、というかなり斬新なネタのようですが、最後のオチの後、「なんじゃそりゃ!」とROYがベースを弾きまくるという、今回の対バンならではのオチとなっていました。

そして3タビTHE BAWDIESのステージ。ここからがある意味、クライマックスとなる訳で、「POPCORN」「IT'S TOO LATE」と彼らのライブの定番曲が続き、そして最後は「JUST BE COOL」と最後まで会場を盛り上げまくっていました。最後はアウトロ的な短い曲で終了。会場のテンションは最高潮のまま、メンバーは再びステージ上から去ります。

もちろん会場では大きなアンコールが沸き起こります。やがて再びメンバーが登場してきます。最後のステージは金属バットと一緒に登場。かなり汗がかいてしまったため、ジャケットが縮んでしまった、というネタ。実際に縮んだジャケットをJIMが着てみたのですが、確かに、腕が半分くらい出てしまうくらい、おもいっきり縮んでいました。激しいステージパフォーマンスが魅力の彼らですが、本当に汗まみれになるんですね・・・。

で、本編ラストはお決まりの「HOT DOG」で締めくくり。最後は、金属バットの2人を含んで法被が配られて、メンバー全員法被を着て、全員が「わっしょい」の掛け声の中で万歳して締めくくり。前回のアコースティックセッションの時もやりましたが、この締めくくりはTHE BAWDIESのお約束。この日は金属バットの2人も参加し、締めくくりとなりました。

アンコール含めて、約2時間弱のステージ。THE BAWDIESのステージの合間に金属バッドの漫才が挟まる構成になっており、予想していたよりもたっぷりTHE BAWDIESのステージが見れて大満足でした。なんといってもTHE BAWDIESのステージは最初から最後までハイテンションのロックンロールのナンバーが続いて、本当にワクワクするロックンロールのパフォーマンスが魅力的。ただ一方、若干一本調子な部分は否めないため、途中入った金属バットの漫才で、ちょうどよいバランスになっていたような。THE BAWDIESのコンセプトとしてロックンロールを通じてみんなを笑顔にする、というものがあるそうですが、まさにTHE BAWDIESの陽気なロックンロールと金属バットの漫才で、終始、笑顔になれた、そんな対バンライブでした。THE BAWDIESのステージはやはり楽しい!今度は一度ワンマンも行きたいなぁ。

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2026年9月 7日 (月)

あらたな一歩・・・かと思いきや・・・。

Title:Birthday
Musician:渡辺美里

純粋なオリジナルアルバムとしては実に約7年ぶりとなるニューアルバム。途中、カバーアルバムやベスト盤、過去のアルバムの復刻版などのリリースもあったので、そんなにたつのか・・・という感も強いのですが、オリジナルアルバムで7年のインターバルというのは過去最長となってしまいます。正直、全盛期は毎年夏に必ずオリジナルアルバムをリリースしていたことから考えると隔世の感はあるのですが・・・。

さて、そんな今回のアルバムなのですが、まず目を惹くのはそのジャケット。彼女の顔をアップした写真に、重なるようにアルバムタイトルと「Misato」という文字。ファンならこのジャケットを見ただけですぐにピンと来るでしょう。このジャケット、明らかにデビューアルバム「eyes」を意識したオマージュとなっています。

髪を切られそうになっている渡辺美里のアップの写真。特にどこか不安そうで、かつ不満げな彼女の目が印象的なジャケットは、どこか社会の中で押し付けられ、そんな中での不満を感じていた、80年代の10代の若者を象徴するような写真として印象的でした。一方、今回のジャケット写真は対照的に、非常に明るい雰囲気の彼女の姿。オリジナルのジャケットのはさみを模したような手のポーズも印象的。40年以上の月日を経た、彼女の変化も感じさせます。

そんなデビューアルバムを意識したジャケットに、「Birthday」というタイトル。久々というオリジナルアルバムと合わさって、原点回帰、もしくは新たな一歩を意識したアルバム、最初、そんな印象も抱きました。ただ、残念ながら本作は原点回帰といった感じでもありませんし、彼女の新たなデビューアルバム、といった感じでもありません。彼女らしいロックのテイストを取り入れた軽快なポップチューンが並ぶ作品となっているのですが、正直、新機軸といった感じもありません。

1曲1曲で聴くと決して悪くはありません。槇原敬之作詞作曲による「折りたたみ傘」はいかにもマッキーらしい切ないラブソング。これマッキー本人が歌ってもいいんじゃない?というほどで彼の曲としても出来は悪くありません。事実上のタイトルチューンとなっている「毎日がバースデイ」は、「恋するパンクス」でもおなじみ、奈良部匠平作曲によるナンバー。「恋するパンクス」も彷彿とさせるような軽快なロックンロールになっていますし、「そして歌がはじまった」では久々に木根尚登が参加。服部隆之編曲によるアレンジで、ストリングスを加えてスケール感のある作風に。「歌」の力を伝えるような歌詞になっており、彼女の「歌」に対する思いも感じさせる楽曲となっています。

特に前作「ID」で相性の良さを感じた田中明仁や、現在のバンマスの奥野真哉は今回も参加。田中明仁作曲、奥野真哉編曲の「BITTER☆SWEET ROCK'N'ROLL」は、80年代90年代の彼女を彷彿とさせるような明るく軽快なロックチューンになっており、本作でも相性の良さを感じさせます。また、一時期は原則すべて渡辺美里本人が作詞を担当していましたが、「折りたたみ傘」の槇原敬之や「Deep Breath」の川村結花のように、他の作家に任せる歌詞も目立ちます。それに影響されたのか、一時期、ちょっと今一つだった渡辺美里自身の歌詞も「大人の」歌詞に進化しているように感じました。

そんなこともあり、アルバム全体の出来としては悪くありません。さすがに80年代90年代初頭の全盛期と比べると厳しいものがありますが、迷走気味に感じられた90年代後半や2000年代あたりの作品に比べると、特にここ数作、グッと良くなったようにも感じます。ただ一方、今回のアルバム、「eyes」のオマージュ的なジャケット写真、原点回帰的、あるいは新たな一歩を狙ったような「Birthday」というタイトルから考慮してしまうと、いまひとつアルバムとしてのコンセプトもはっきりしませんし、不完全燃焼な感じも否めません。原点回帰としては、前々作「オーディナリー・ライフ」のような、明確な方向性もありませんし、新機軸としても、今回のアルバムで目新しい曲もなければ、「こんな人と組むんだ!」というビックリするような作家陣の参加もありません。そういう点が非常に残念にも感じてしまいました。

決して悪いアルバムとは思わないのですが、良くも悪くも「無難」な感も否めないアルバム。それならば、次はせめてもうちょっとアルバムのリリーススパンを短くしてほしい感じもするのですが・・・。惜しい感じもするのですが・・・そういった感想を抱いてしまう作品でした。

評価:★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ
eyes-30th Anniversary Edition-
Lovin'you -30th Anniversary Edition-
ribbon-30th Anniversary Edition-
ID
harvest
tokyo-30th Anniversary Edition-
うたの木 彼が好きな歌
Face to Face~うたの木~
ULTRA POP


ほかに聴いたアルバム

I AM HERO/宮本浩次

オリジナルアルバムとしては約4年半ぶりとなる作品。ある意味、ミュージシャンとして集大成的なアルバムで、比較的売れ筋のポップな曲から、泥臭く、力強く聴かせる曲、バンドサウンドを前に押し出した曲、哀愁感もって聴かせる曲までバラエティー富んだ内容となっており、まさに今の宮本浩次として表現したい音楽を詰め込んだ内容となっています。還暦となった区切りに作られた作品ではあるものの、年齢を感じさせない若々しさと勢いもあり、ミュージシャンとしてはまだまだこれからというある種の決意も感じさせます。ただ一方、ソロでここまでやられるとエレカシとしての出番がなく、バンドとして復帰することはもうないのか・・・というちょっと心配な気分にもさせられますが・・・。まさにミュージシャン、シンガー宮本浩次を1枚で主張した作品となっていました。

評価:★★★★★

宮本浩次 過去の作品
宮本、独歩
ROMANCE
縦横無尽
秋の日に

NIAGARA TRIANGLE Vol.1 VOX

ナイアガラ・トライアングルが1976年にリリースしたアルバムの50周年を記念してリリースされたボックスセット。この時のナイアガラ・トライアングルは大滝詠一、山下達郎、伊藤銀次のコンビだったのですが、全体的にはやはり山下達郎が目立つ感じ。ただ一方では、大滝詠一らしい、もっとノベルティ色の強い作品や、伊藤銀次らしい、もうちょっとソウル的な要素が加わったような曲もあり、ここらへんの3人の微妙なバランスがユニークな感じ。基本的に、Disc2以降については、リミックスやカラオケなので、マニア以外はオリジナル作で十分かと思うのですが、非常に聴きごたえのある作品でした。

評価:★★★★★

NIAGARA TRIANGLE 過去の作品
NIAGARA TRIANGLE Vol.2 30th Edition
NIAGARA TRIANGLE Vol.2 40th Anniversary Edition

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2026年9月 6日 (日)

元祖、本家、そして「知られざる」ガールズポップミュージシャンたち

今回紹介するのは、各レコード会社共通の廉価版タイトル「GOLDEN☆BEST」シリーズの作品。以前、歌謡曲のシンガーたちをまとめて取り上げましたが、今回は70年代から90年代にかけて活躍した「元祖」「本家」そして「知られざる」ガールズポップのミュージシャンたちを紹介します。

ガールズポップとは、主に90年代に登場した、アイドルとミュージシャンの間を行くような女性シンガーたちのこと。当時はアイドル冬の時代で、アイドルがほとんど見向きもされない中、そのスキマを埋めるように、アイドルばりのルックスを持ち、アイドル的な人気を確保しつつ、ボーカリスト、あるいはシンガーソングライターとして「本格的なミュージシャン」的に活躍していたシンガーたちのこと。アイドル全盛の今でも、このタイプの女性シンガーは少なくありませんが、特に90年代においては、ひとつのムーブメントとして一世を風靡しました。

Title:GOLDEN☆BEST 太田裕美
Musician:太田裕美

まずはある意味、このガールズポップの「元祖」とも言えるシンガー、太田裕美。一般的にはこのアルバムにも収録されている「木綿のハンカチーフ」の大ヒットで知られています。その後も同作に続くシングルで、本作にも収録されている「赤いハイヒール」「最後の一葉」などもヒットを飛ばしており、決して「木綿のハンカチーフ」の一発屋ではないのですが、現在、彼女を紹介される時は、どうしても「木綿のハンカチーフ」のシンガー、という紹介のされ方をされてしまっています。

そんな彼女のデビュー作「雨だれ」から、2001年にリリースされ、NHK「みんなのうた」の曲として注目もされた「パパとあなたの影ぼうし」まで収録されている本作。まず感じるのは楽曲として良くも悪くもバラエティーがあるという点。特にデビュー作「雨だれ」や「最後の一葉」などはムード歌謡曲の傾向が強いのですが、「木綿のハンカチーフ」もそうですが、同作ヒット後は比較的フォーキーな作風の曲が増えます。かと思えば哀愁感あってドラマチックな大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」を歌ったり(大滝詠一バージョンしか知らなかったのですが、こちらがオリジナルなのですね・・・)、「満月の夜 君んちへ行ったよ」のようなテクノ歌謡とラテンを融合させたような曲もあり、バラエティーに富んでいます。

彼女の曲は非常に清涼感のある歌声で、ある種の包容力も感じさせ、良く言えば、曲を選ばない歌声ということも言えるのですが、一方、70年代の歌謡曲を聴いて感じた、シンガーのイメージをあまり大事にしない、シンガーに対する「雑」な取り扱いという感じもします。もっとも、彼女の場合は、「木綿のハンカチーフ」のヒット後は、比較的フォーキーなイメージが前に押し出されており、そういう意味ではまだミュージシャンイメージというものを大事にされたのでしょうが・・・。

評価:★★★★

Title:ゴールデン☆ベスト 永井真理子
Musician:永井真理子

そしてこちらは90年代ガールズポップの代表格。まさに「本家」といっていいミュージシャン、永井真理子。キュートなルックスながらもボーイッシュな元気印のスタイルで、アイドル的な人気を博しました。本作にも収録されている「ミラクル・ガール」が当時大ヒットしたアニメ「YAWARA!」の主題歌にもなり大ヒット。「ZUTTO」では紅白出場を果たすなど、数多くのヒット曲をリリースしてきました。本作はそんな彼女の代表曲を収録されているのですが、リリース順ではなく、曲の並びも考えられた構成となっています。

彼女も基本的にはシンガーソングライターではなく、他の作家の曲を歌う「シンガー」になるのですが、この頃になると、やはりミュージシャンの「イメージ」ということも大事にされはじめたのか、70年代歌謡曲にような「なんでもあり」みたいな雑な扱いはなく、基本的にはヒットした「ミラクル・ガール」や、(現時点で)最後のヒット曲となった「chu-chu」のような、まさにボーイッシュなイメージ通りの元気印の楽曲を多く歌う一方、ヒットした「ZUTTO」や「やさしくなりたい」「瞳・元気」のようなしんみりと聴かせるタイプの曲も多く、ここらへんのギャップがまた、当時は多いに受けたのでしょう。

実は私自身、リアルタイムでは永井真理子についてそこまではまっていなかったのですが、ただあらためて聴くと、やはり良い意味でいかにも90年代的な、当時の社会全体の「明るさ」も感じさせるようなポップな楽曲が多く、やはり元気印の彼女の楽曲にはすごく魅せられてしまいます。もちろん今でも現役で活動されているそうなので、ライブなども機会があったら見に行きたいかも。これぞガールズポップといった感じの魅力的な作品でした。

評価:★★★★★

永井真理子 過去の作品
My foot steps-20th anniversary memorial collection-
GOLDEN☆BEST-complete singles collection-

Title:GOLDEN☆BEST/チューインガム
Musician:チューインガム

そしてこちらは「知られざる」ガールズポップといったところでしょうか。松田りか、松田マミという実の姉妹2人組によるフォークデゥオ、チューインガムのベストアルバム。1972年に「風と落葉と旅びと」でデビュー。デビュー当時はまだ小学生だったようで、「天才小学生デゥオ」と話題になったようで、同作もオリコン最高位16位とスマッシュ・ヒットを記録しています。

確かに、この「風と落葉と旅びと」は、アコギアルペジオと、彼女たち2人の幼さも感じさせるものの、声変わり前の清涼感ある歌声のハーモニーが絶妙で、確かに「天才小学生デゥオ」という名前が嘘ではなく、今聴いても非常に魅力的な作品となっています。その後も物語性ある内容でメランコリックな「岡田さんの手紙」やハワイアンの要素を入れた「海のみえる放送局」など、彼女たちの魅力的なハーモニーを聴かせるフォーキーな作品が続き、耳を惹かれます。また、基本的に本人たちも作詞作曲も手掛けており、ミュージシャンとしての実力もしっかりと感じさせてくれます。

その後も基本的にはフォーキーな作品が目立つのですが、やはり70年代当時はミュージシャンイメージを軽視していたためか、また、大きなヒットを出せなかったためか、徐々にいかにも歌謡曲といった感じの曲が増えてきており、清涼感あるハーモニーのフォークソングという彼女たちの魅力が薄れていってしまう感じになってしまうのが残念。また、逆に「天才小学生」というイメージが足を引っ張ったのか、全体的にカーペンターズあたりを彷彿とさせるような優等生的なソフトロックという路線が目立ち、これはこれで「大人」になっていく彼女たちのイメージチェンジを阻害するような要因になってしまったようにも感じました。

ただ、彼女たちの存在を今回はじめて知ったのですが、非常に魅力的なグループであることは間違いなく、まだまだ素晴らしいミュージシャンが数多くいるんだな、ということを感じさせる出逢いのあったベスト盤でした。

評価:★★★★

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2026年9月 5日 (土)

バンドサウンドを加えて深化

Title:Frozen Charlotte
Musician:Jack White

約2年ぶりとなるJack Whiteのニューアルバム。前作「No Name」ではレコードショップの紙袋の中に、こっそり新作のLPを挿入するという、ユニークかつ奇抜な方法でのリリースが話題となりましたが、今回はそんなギミックはなし。ただし、今回のアルバムは、前作と同じく、ベースにドミニク・デイヴィス、ドラマーにパトリック・キーラーというメンバーでの構成となっており、そういう意味で前作「No Name」からつながる形での新作と言えるかもしれません。

そのため、アルバム全体としては基本的に前作「No Name」からの延長線上にあるようなスタイル。まずアルバムの1曲目を飾る「G.O.D.And The Broken Ribs」がカッコいい!!ヘヴィーなギターリフからスタートする、これぞハードロックなナンバーといった作品で、ヘヴィーなバンドサウンドはレッドツェッペリンあたりを彷彿とさせてくれそう。続く「Derecho Demonico」も同じく、ヘヴィーなギターリフで聴かせるハードロックなナンバーとなっており、ガツンとくるサウンドに、ロック好きならば心踊らされるのは間違いありません。

その後も、先行シングルとなった「Dollar Bill」のようにギターリフを主導に、シャウト気味なボーカルで盛り上がりそうなナンバーや、荒々しいバンドサウンドでどこか不穏な雰囲気も漂う「I Can't Believe What I'm Hearing」、同じくギターリフを軸にしつつ、疾走感のあるハードロックナンバーとなっている「She's In A Frenzy」など、ヘヴィーなギターリフとバンドサウンド主体に、これぞハードロックといった感じの楽曲が並びます。

基本的にはシンプルな構成で、バリエーションという面では若干乏しい感もあるのですが、最後を締めくくるアルバムで最長の5分の楽曲となっている「Neighbors Blues」ではハードロック的なギターリフを主導としつつ、ボーカルパートに強いリバーブをかけて、ちょっとサイケな雰囲気も醸し出しているブルースロックのナンバーに。最後の最後でじっくりと聴かせる作品で締めくくっています。

前作「No Name」の延長線上となる本作ですが、ただ前作と変わった点がひとつあり、それがバンドサウンドを前面に押し出しているという点。ギターサウンドを前面に押し出して、バンドサウンドとしては比較的シンプルだった前作と比べると、本作ではサウンドの厚みが格段に増して、ロックバンドとしての一体感を覚えるサウンド構成になっていました。前作と変わらないバンドメンバーを擁している点、メンバーとの相性もよかったのでしょうし、それゆえにJack Whiteのソロ以上に「バンド」としての要素を押し出した作品となったのでしょう。

今回のアルバムも文句なしの傑作アルバム。前作「No Name」で示したスタイルを、バンド寄りに深化させた作品といった感じでしょうか。前作同様、かなりルーツ志向なロックなのですが、音の分厚さやどこか感じるオルタナ的な要素の影響か、古臭さを感じさせないのも大きなポイント。前作同様、ロックの魅力をこれでもかというほど感じられる作品でした。

評価:★★★★★

Jack White 過去の作品
BLUNDERBUSS
Lazaretto
Boarding House Reach
Fear of the Dawn
Entering Heaven Alive
No Name


ほかに聴いたアルバム

Spontaneous Music Live/SML

ロサンゼルスを拠点とする5人組インプロヴィゼーション・バンドの作品。本作は、長尺のライブ演奏をそのまま収録した内容になっており、即興演奏がそのまま収録。全50分弱のアルバムですが、20分以上の長尺曲が2曲のみ収録されているアルバムとなっています。広くジャンルとしては「ジャズ」ということになるのでしょうが、ファンク、アフロビート、ロック、サイケ、ノイズなど自由な演奏がダイナミックに続いていくスタイルで、スリリングな演奏が最後まで釘付けとなる作品となっています。ライブも体験したくなる、そんな臨場感あふれる作品でした。

評価:★★★★★

The Wow!Signal/MUSE

イギリスのロックバンドMUSEの約4年ぶりとなるニューアルバム。The Wow!Signalとは、1977年に地球外生命体探査プロジェクトの観測を行っていた中、ビックイヤー電波望遠鏡が受診した電波信号で、強度の強い信号が観測され、そのため、観察者がそのシグナルを赤ペンで囲って「Wow!」と記載したことに由来します。現時点においても、その信号が受信された理由は不明で、天文学における未解決案件の一つとされています。

そんな天文学的事項をタイトルとした本作は「宇宙」をテーマとした作品。いままで、ハードロックやエレクトロなどの要素を取り入れつつ、全体的にダイナミックな作風を体現化してきたMUSEですが、まさに「宇宙」というイメージにもピッタリ。今回はハードなバンドサウンドとエレクトロを融合させた、これでもかというほどスケール感のある、悪く言えば仰々しいサウンドを繰り広げられます。ある意味、非常にMUSEらしいといえる作品で、良くも悪くも圧巻といった感じ。仰々しさは感じられ、サウンド的にちょっとのべっとした印象を受ける反面、これでもかというほどのスケール感は素直に気持ちよさを感じる部分も。

評価:★★★★

MUSE 過去の作品
The Resistance
The 2nd Law(邦題 ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則)
Live at the Rome Olympic Stadium
Drones
SIMULATION THEORY
Will Of The People

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2026年9月 4日 (金)

ヤバTらしさを貫いたデビュー10周年の作品

Title:Magical Tank-top Parade
Musician:ヤバイTシャツ屋さん

今年、メジャーデビュー10周年を迎えたヤバイTシャツ屋さんのニューアルバム。前作から約3年3か月ぶり。途中ベストアルバムを挟んだものの、ちょっと久々、インターバルが開く形での新譜となりました。正直なところ、人気面においては一時期よりも若干落ち着いた感もある彼ら。とはいえ、今年は2度目となる志摩スペイン村でのライブを成功。さらに来年も同じくスペイン村でのライブを予定しているなど、まだまだ勢いのあるところも感じます。

まず本作で特徴的なのは、タイアップ曲が多く収録されている点。タイトルチューンである「Magical Tank-top Parade」はポカリスウェットの夏フェスムービーに起用されているほか、「ええがな」は「【推しの子】」実写ドラマシリーズ第5話の主題歌になっていたり、「すこ。」はテレビアニメ「村井の恋」のエンディングに起用されていたりします。また、その他にも「PAC-MANISM」はタイトル通り、あのPAC-MANとのコラボ曲であったり、「WEST NIGHT」は男性アイドルグループWEST.に提供した曲へのセルフカバーであったりと、タイアップやコラボ曲が多く収録されたアルバムになっています。

そして、アルバム全体としてはいつものヤバTのスタイルを貫いている作風。基本的に現代の流行に寄せた、くだらない題材にちょっと皮肉的な視点を加えた歌詞、一方、ポップスパンクのメロディアスなメロディーラインにほどよくメロコアの要素を加え、ハードな要素を加えた作風と、いつものヤバTらしい楽曲が並びます。

特徴的なのがMVも公表されている「アルゴリズムの犬」で、「Z世代」「ドバガキ」など最近はやりの単語を用いつつ、現代社会をユーモラスに皮肉ったナンバー。サビの部分もかなりインパクトのある点もヤバTらしい曲となっています。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAをフューチャーした「コンプライアンス」もユニークな作品。くだらない歌詞をラウドロック風にカッコよくアレンジして歌っている点もユニークですし、こちらも現代社会をどこかユーモラスに皮肉っている点も彼ららしさを感じます。

またアルバムの最後を締めくくる「Song Battle」も印象的。彼ららしいハイテンポなポップスパンクの曲なのですが、ユーモラスな歌詞の中にこれからのバンドとしての自負心と、これからの決意を感じさせる歌詞が印象的。一見、おふざけ風ながらもロックバンドとしての矜持を感じさせる楽曲が印象的です。

そんな感じで、いままでのヤバTのスタイルを貫きつつも、ロックバンドとしての矜持を感じさせる作品だった本作。基本的にはいままでの彼らの作品の延長線上といった感じなのですが、一方で、いままでの作品とくらべるとありぼぼのボーカルがちょっと多かったようにも感じます。その点は、男女デゥオというスタイルをとっているヤバTの特徴を強調した、といった点もあるのでしょうが、一方で、ありぼぼのボーカルはアニメ声のハイトーンボイスで、ある程度ならばアルバムの中でちょうどよいインパクトとなるのですが、前に出すぎてしまうと、個人的にはちょっと違和感も・・・。ここらへんは正直、好き嫌いの範疇ではあると思うのですが・・・。

デビュー10周年を迎えた彼ら。いままでの彼らのスタイルをさらに前に進めた本作。これからの彼らの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

ヤバイTシャツ屋さん 過去の作品
We love Tank-top
Galaxy of the Tank-top
Tank-top Festival in JAPAN
You need the Tank-top
Tank-top Flower for Friends
BEST of the Tank-top


ほかに聴いたアルバム

Rooom/Aooo

元赤い公園の石野理子やボカロPとしても人気を博しているすりぃが結成したバンドAoooの、フルアルバムとしては2枚目となる作品。直近のEP「Fooocus」で彼女たちの楽曲ははじめて聴いてみたのですが、ほどよくインパクトのあるJ-POPなメロやサウンドに軽快なギターロックというスタイル。全体的には明るいポップチューンがメインで、いい意味で広い層に聴きやすいタイプのアルバムとなっています。今後のさらなるブレイクも期待できそう。

評価:★★★★

Aooo 過去の作品
Fooocus

HALO/SHAKALABBITS

2024年に活動を再開したSHAKALABBITSの、実に約9年2ヶ月ぶりとなる新作。活動再開後初の新作ということもあり、挨拶代わり的な要素も強く、基本的にはSHAKALLABTSの王道を行くような、軽快でポップな作品が並びます。力強いバンドサウンドも魅力的で、SHAKALABBITSの魅力をあらためて確認できるようなアルバムに。今後の活動にも期待したいところです。

評価:★★★★

SHAKALABBITS 過去の作品
SHAKALABBITS
4 ALL AGES
Phasemeter Trippin' Bug Shake
Condenser Baby
BRACKISH
Rabbits,Rabbits,All the way 1
Rabbits,Rabbits,All the way 2

What do I crave to see?
Her

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2026年9月 3日 (木)

まだまだちいかわ強い!

今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

まだまだ強い映画ちいかわ関連曲。今週もHeatseekers Songsにはちいかわの曲がズラリと並びました。

今週も、青木遥「机さする」が先週に引き続き1位を獲得。Hot100でも46位までランクアップしています。ほかにもセイレーン(鈴木みのり),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「島のうた(セイレーンver.)」が3位、ハチワレ(田中誠人)「くつずれ」が4位、うさぎ(小澤亜李),モモンガ(井口裕香),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (リズム感のある者たちver.)」が5位、うさぎ(小澤亜李),人魚(大木咲絵子),人魚(七瀬彩夏)「うさぎラップ (ソロver.)」が8位と、今週もちいかわ映画の劇中歌がズラリと並んでおり、その人気のほどを感じます。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』オリジナル・サウンドトラック」は今週は3位に。ストリーミング数は2位にダウンしたものの、まだまだ総合順位でベスト3をキープ。まだまだ「ちいかわ」人気は続きそうです。

一方1位は韓国の男性アイドルグループENHYPENの8枚目となるミニアルバム「THE SIN:BLISS」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数7位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上18万9千枚で1位初登場。前作「THE SIN:VANISH」の初動28万9千枚(2位)からダウン。

2位は旧ジャニーズ系Snow Man「AMENITY」が初登場。ダウンロード数及びストリーミング数1位。10月7日発売予定のアルバムですが、全14曲中9曲が先行配信としてリリースされたものとなります。

4位以下の初登場盤は、4位に韓国の男性アイドルグループALPHA DRIVE ONE「UNBREAKABLE:少年BEAST」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数8位、ストリーミング数11位。7位に同じく韓国の男性アイドルグループNCT127「BLINGY」が初登場でランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数2位、ストリーミング数18位。8位には和歌山出身のラッパー、MIKADOの「FAME FLAME」がランクイン。ストリーミング数5位。そして10位初登場は韓国の女性アイドルグループTWICEのベスト盤「TWICE BEST ALBUM|#BEST 2015-2025」。CD販売数5位、ダウンロード数15位。

また、9位には韓国の男性アイドルグループBOYNEXTDOOR「HOME」が先週の36位からランクアップ。11週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。特にCD販売数が3位にランクイン。来日公演があったので、その影響でしょう。

ロングヒットではILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が先週と変わらず5位をキープ。17週連続のベスト10ヒット。BTS「ARIRANG」も先週と変わらず6位。こちらも24週連続のベスト10ヒットに。一方、Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は11位にダウン。ベスト10ヒットは通算75週でストップ。また今週、HANA「HANA」が3位から一気に13位にダウン。ベスト10ヒットは26週連続でストップ。こちらはリカレントルールにより、ストリーミング数が2位から9位に大きくダウンした影響。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はアボガド6「デビットビット」が先週の8位からランクアップし、ランクイン2週目にして1位獲得。「ボカコレ2026夏」で6位にランクインした曲となります。かなり病んだ感じの歌詞で、どこか感じるアングラ的な雰囲気がユニークな作品。2位はOSTER project「音楽はつづく」が先週と同順位をキープ。3位は山本「重音テトvsダンプカー」が先週の4位からランクアップしています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上!チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年9月 2日 (水)

比較的新譜は少ないが・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は比較的新譜は少ないものの、そのような週によくみられるロングヒット勢の巻き返しはありませんでした。

まず今週1位は=LOVE「恋、はじめました。」が獲得。元AKB48の指原莉乃プロデュースによる声優アイドルグループ。CD販売数1位、ストリーミング数9位、動画再生回数8位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上51万4千枚で1位初登場。前作「劇薬中毒」の初動36万枚(1位)からアップしています。

2位は韓国の男性アイドルグループRⅡZE「Sunburst」が初登場。CD販売数及びラジオオンエア数2位。オリコンでは初動売上25万1千枚で2位初登場。前作「All of You」の初動28万7千枚(3位)からダウン。

3位はEBiDAN「Yes!東京」が先週から同順位をキープ。特に動画再生回数は2週連続の1位、ストリーミング数も2週連続の2位となっています。

4位以下の初登場は1曲のみ。5位にアソビシステム所属の女性アイドルグループMORE STAR「サマーゴー!!」が初登場でランクイン。CD販売数2位。オリコンでは初動売上6万7千枚で3位初登場。本作がデビュー作となります。

ロングヒット曲はM!LK「好きすぎて滅!」は6位から7位にダウン。一方「爆裂愛してる」は9位から8位にアップ。これでそれぞれ39週連続、通算28週目のベスト10ヒットになっています。またILLIT「It's Me」は8位から10位にダウン。これで通算11週目のベスト10ヒットとなりました。一方、サカナクション「夜の踊り子」は10位から14位にダウン。ベスト10ヒットは通算13週でストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年9月 1日 (火)

「多様性」を感じるコンピレーション

Title:Official FIFA World Cup 2026™ Album

Fifa_album

今年最大級のスポーツイベントとして、大きな話題となったサッカーワールドカップ。日本も3大会連続決勝リーグ進出を決め、残念ながら決勝リーグでは1回戦敗退だったものの、大いに盛り上がった大会となりました。今回紹介するのは、そんな2026年FIFAワールドカップの公式アルバム。ワールドカップ同様、世界の様々な地域やジャンルのミュージシャンたちを集めた作品となっています

内容的にかなり豪華なメンバーが集まったアルバムとなっており、アメリカ出身のutureや南アフリカ出身のTyla、プエルトリコ出身のDaddy Yankee、ナイジェリア出身のBurna Boy、コロンビア出身のShakiraなど豪華なミュージシャンたちが参加。さらには韓国の女性アイドルグループBlack PinkのLisaも参加し、K-POP勢からの参加となっています。まさに全世界からあつまるサッカーワールドカップの公式アルバムらしいラインナップとなっています。

その中でも特に注目なのはThe Rolling Stonesが「In The Star」で参加している点。原曲をベースにリミックスされた作品となっており、打ち込みベースのスペーシーなアレンジで今風な雰囲気の曲となっており、ストーンズよりずっと下の世代の他のミュージシャンたちの曲ともマッチ。もちろん、ミックジャガーのボーカルやキースのギターもそんなアレンジに負けておらず、年齢を感じさせない勢いを感じる作品になっています。

またユニークなのはBlack PinkのLISAが参加した「Goals」。この曲は、ブラジリアンポップのミュージシャン、Anitta、ナイジェリア出身のミュージシャンRemaとのコラボとなっており、K-POPとブラジリアンポップ、アフロビートが融合した独特の楽曲となっており、冒頭に配置されているように、世界各国のミュージシャンが集合したこのアルバムを象徴するような作品となっています。

さらに興味深いのは「Champions」を歌っているIShowSpeedというミュージシャン。日本ではほとんど知名度がありませんが、こちらアメリカでは著名なYouTuberらしく、こういう「ミュージシャン」が参加している点、現代的に感じますし、そんなYouTuberとストーンズが並んで曲を提供している点にもユニークさを感じます。

そんな世界各国の音楽を取り入れたアルバムではあるものの、全体的にはメキシコも開催国のひとつであり、またアメリカでもヒスパニックの比率が高いため、ラテン系の曲が目立ちます。「Mi Mexico Lindo」ではメキシコを代表するシンガーのAlejandro Fernándezが参加。郷愁感たっぷりの歌声を聴かせてくれますし、「Partidazo」でもベネズエラ出身のDanny Oceanがリズミカルなラテンポップを聴かせてくれます。最後を締めくくる「Dai Dai」では、ラテンを代表する歌姫ShakiraがナイジェリアのBurna Boyとタッグを組み、ラテンとアフロポップを融合させたリズミカルなポップを聴かせてくれています。

このような世界各国のミュージシャンたちが参加し、様々なジャンルの音楽を詰め込んだ、まさに「多様性」を感じさせるコンピレーション。ただ、今、この「多様性」というキーワードに逆風が吹いています。特に今回のワールドカップの開催国、アメリカにおいては、トランプ大統領がこの「多様性」を否定するような方針を次々と打ち出しています。さらに、このトランプとFIFAの癒着が問題となっており、今回の大会ではアメリカ代表選手の処分にトランプが介入し、FIFAがそれに応じるという事態が生じ、猛反発や批判の声があがりました。それだけに、このような多様性の魅力を感じさせるコンピレーションをFIFAが、アメリカが開催国が加わっている大会においてリリースすることに、非常に皮肉を感じました。

もうひとつ今回のコンピレーションで気になったこととして、日本のミュージシャンが参加していないがあげられます。今回、日本はワールドカップに出場しており、一方でK-POPのミュージシャンも参加しているにも関わらず、残念ながら日本のミュージシャンは一切、参加していません。

ここ最近、特に日本のメディアにおいて「J-POPが海外でうけている」という話題をよく取り上げたりします。ただ、実際、アメリカのチャートでもイギリスのチャートでもBABYMETALをのぞいて、J-POPがチャートにあがってくることはほとんどなく、このニュースには以前から眉唾的な疑問を感じていました。そんな中、このコンピレーションで、これだけ世界のミュージシャンが参加していながら日本のミュージシャンが選ばれていない、という事実こそが、今のJ-POPの立ち位置なんだろうな、という現実を実感させられます。このコンピ盤ではそんなJ-POPがどうみられているのか、という事実を強く感じました。

そんな気になる点はあるとはいえ、豪華なミュージシャンが参加し、様々な音楽性を取り込んだ本作は、前述の通り、まさに人間が多様であり、その多様性が音楽に対して、いかにプラスの要素を与えるのか、ということを実感できるコンピレーションアルバム。ロック、HIP HOP、EDM、ラテン、アフロビートなどなどの要素をごった煮にしたような作風がとても楽しく、ワールドカップやサッカーに興味がなくても是非とも聴いてほしいアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Magazine/YHWH Nailgun

実験的な音楽性で注目を集めるニューヨークの4人組ロックバンドによる新作。前作「45 Pounds」は非常に挑戦的かつ実験的な作風が大きな魅力となっていましたが、今回もその路線を引き継ぎ、アイディア豊富、パンクやファンク、ノイズ、エレクトロなどを融合させたアグレッシブな作品が並びます。ただ、前作も10曲21分という短い作品でしたが、10曲入りわずか11分という短さ。どんどんと新しい曲が展開していくような内容ですが、さすがにここまで行くと短すぎるという感触は否めず、ただ、アイディアを並べているだけ、という感じになっていました。さすがに、もうちょっと曲としての体裁を保ってほしい感じも。惜しい感じもする新作でした。

評価:★★★★

YHWH Nailgun 過去の作品
45 Pounds

EXIT 2B/BOYG1RL&NOVAGANG

Exit2b

マイアミ出身のデゥオ、BOYG1RLと、アメリカのHIP HOPグループNOVAGANGによるコラボアルバム。強いビートのハイパーポップを軸に、ハイチのダンスミュージックやブラジリアンファンクなどワールドワイドな要素を入れた楽曲。ただ、基本的には攻撃的なビートのリズミカルなポップが終始流れるアルバム。若干、勢い重視な感もあるのですが、全11曲入りながらも24分という短い時間もあり、最後まで一気に楽しめるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

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