シンプルなロックをバラエティーもって聴かせる
Title:For Love of Grace&the Hereafter
Musician:Iceage
デンマークのロックバンド、Iceage。2008年に結成し、2009年にデビューアルバムをリリースした、そろそろベテランの領域に入りそうなロックバンド。前作「Seek Shelter」ではじめて彼らのアルバムを聴いたのですが、ブリットポップやマンチェスタームーブメントの影響を感じさせるグルーヴィーなサウンドがとても心地よく、2021年の年間私的ベストアルバムで4位にランクインさせるなど、個人的にかなりお気に入りの1枚となりました。
本作はそんな前作から約5年ぶりとちょっと久しぶりとなるニューアルバム。グルーヴィーなサウンドが魅力的でブリットポップの影響も感じさせた前作から一転、今回のアルバムはガレージロックやパンク、またオールドスタイルのロックンロールの影響を感じさせる作品になっていました。ただ、そんな中でも様々なバリエーションを感じさせる曲が並んでおり、シンプルに言ってしまえば、難しいこと抜きにしてロックの楽しさを体現したアルバム、そんな印象を受ける作品となっていました。
アルバムの冒頭を飾る「Ember」は軽快なパンクロックのナンバー。続く「Match Head Girl」もガレージロック風の楽曲となっており、シンプルなロックチューンに、アルバム全体の方向性を感じさせる曲となっています。そして3曲目「The Weak」、こちらは60年代を彷彿とさせるようなロックロールな楽曲。こちらも軽快なリズムに心躍るようなロックチューンとなっています。
中盤の「Salve for Every Sore」はハイテンポのリズムで疾走感のある軽快なナンバー。カントリー風のリズムが入っており、ちょっとアメリカーナ的な要素も感じます。一方「mother-of-pearl」は同じリズミカルなチューンでも明るく軽快でポップなナンバーに。さらに続く「Tender Blades」はノイジーな分厚いギターサウンドが特徴的。こちらは90年代オルタナ系の流れを汲んだような作風となっているなど、バリエーション富んだ展開が続きます。
後半の「Star」は先行シングル曲。ヘヴィーなギターサウンドでグルーヴ感を持って聴かせてくれる楽曲になっており、ここらへんは本人たちの前作からの流れも感じさせます。かと思えば「Lifetime」ではモータウンビートを取り入れた軽快なロックンロールナンバーに。「Holy Water」もテンポよいガレージ風のナンバーと様々に展開。さらにラスト「True Blue」はノイジーなギターがシューゲイザーの影響を感じさせる作風と、最後の最後までバラエティー富んだ作風を楽しむことが出来ます。
そんなバラエティー富んで展開していく作品ではあるのですが、ただ、とはいってもアルバム全体がバラバラ、といった印象は受けません。基本的にアルバムを貫く感じで共通点もあり、まず全体的にシンプルなロックチューンがメインということ。パンクやオルタナ系ロックが軸となっており、シンプルなギターロックが共通項となっています。またメロディアスでポップなメロが流れており、その点もアルバムを貫くポイント。基本的にはこの軸をズラすことなく、最後までロックな楽曲が並ぶからこそ、バラエティーに富んでいてもアルバムの一体感が保たれる作風おあんっていました。
個人的にはグルーヴ感があった前作の方が好みだったのですが、ただこちらもシンプルなロックが楽しめるアルバムで、十二分に楽しめた傑作だったと思います。ロック好きなら間違いなく楽しめる1枚です。
評価:★★★★★
Iceage 過去の作品
Seek Shelter
ほかに聴いたアルバム
Kehlani/Kehlani
アメリカ・カリフォルニア州オークランド出身のシンガーソングライターによる、オリジナルアルバムとしては5枚目となる作品。現代のR&Bシーンを代表するミュージシャンの一人だそうですが、個人的にはこれがはじめて聴いた彼女のアルバムとなります。前作ではカントリーやロックの要素を取り込んだ、実験性の高い作風になっていたそうですが、本作はベイビーフェイスやジャム&ルイスのような90年代あたりに活躍していたプロデューサーたちが参加。90年代から2000年代あたりのR&Bを彷彿とさせるオーセンティックな曲づくりが特徴的なアルバムになっています。特に彼女のメロウで力強いボーカルが魅力的。正直なところ、目新しさはないのですが、彼女のボーカルの魅力に触れながら、安心して聴けるアルバムになっていました。
評価:★★★★★
8-Tracks(極到~8トラックス)/PINK FLOYD
1971年から1979年の黄金期にスポットをあてたピンク・フロイドのベストアルバム。ピンク・フロイドのようなプログレバンドといえば、曲単位ではなくアルバム単位で作品を作りあげるというイメージがあったので、このような単なる8曲のみを収録したベストアルバムのリリースは意外だったのですが、ただ、プロデューサーのSteven Wilsonは曲間を調整し、一続きの作品として聴けるような構成に仕上げています。そのため、アルバム一体としても違和感はなく、また、こうやって代表曲を並べると、音楽的なクオリティーと共に、意外とポップにまとまっているんだな、ということを感じられる作品に。43分という長さもちょうどよく、初心者向けとしてもお勧めできそうな作品です。
評価:★★★★★
PINK FLOYD 過去の作品
The Endless River(永遠(TOWA))
Live At Knebworth 1990
Pink Floyd at Pompeii - MCMLXXII
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