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2026年7月

2026年7月31日 (金)

人生を振り返って

Title:The Boys of Dungeon Lane
(邦題 ダンジョン・レインの少年たち)
Musician:Paul McCartney

ロックの黄金期といわれた60年代70年代。その頃、最前線で活躍してきたレジェンドたちも、最近はすっかり年を取ってしまいました。ただ、年をとってもいまなお元気で活躍を続けるミュージシャンたちも少なくありません。ご存知、ポール・マッカートニーもその1人。言うまでもなく「レジェンド・オブ・レジェンド」とも言える彼ですが、84歳となった今でもバリバリの現役で活動を続けています。本作は、そんな彼が、約5年半ぶりにリリースしたニューアルバムとなります。

ただ、さすがに80歳を超えて人生の終りを徐々に意識せざる得ない年になってきたからでしょうか、今回の作品は、いわばいままでの人生を振り返り、総括するような、そんなアルバムになっていました。そもそもアルバムタイトルとなっているダンジョン・レインとは、リヴァプールに実在する道で、彼にとっては想い出の場所だそうです。

他にも特に歌詞には、彼の人生を振り返ったような作品が目立ち、例えば「Days We Left Behind」は懐かしいリヴァプールでの日々に思いをはせるような内容になっていますし、「Down South」は、彼が若いころにジョージ・ハリスンとマージー川にヒッチハイクで出かけた想い出を歌にした内容だとか。さらに「Home to Us」ではかのビートルズの盟友、リンゴ・スターがドラムで参加し、またリンゴとポールとのデゥオという楽曲となり注目を集めています。

そして「We Two」では、過去の友人に対するメッセージを歌った曲になっており、ジョン・レノンとの友情を彷彿とさせる楽曲に(リンダという説もあるようですし、ひょっとしたらこの2人ともを意識した歌詞かもしれませんが)。そして最後を締めくくる「Momma Gets By」は母親への想いを歌った曲で締めくくられています。

メロディーやサウンド的にもどちらかというと過去の彼の音楽人生を総括するような作品が並んでおり、アコギでフォーキーに聴かせる「As You Lie There」からスタートし、前述の先行シングル「Days We Left Behind」は郷愁感を覚えるポップスで、美しいメロディーラインにメロディーメイカーとしてのポールの実力を感じます。中盤の「Moutain Pop」もサイケな要素の入ったギターロックが中期ビートルズを彷彿とさせますし、「We Two」もビートルズっぽさを感じさせるメロディアスなポップに仕上がっています。

全体的にまさに過去を振り返る作品となっている本作。ある意味、いままでの人生の集大成とも言える作品ともなっており、84歳という年齢を考えると「終活的なアルバム」と捉えられる作品かもしれません。ただ一方で、総括的な内容とはいえおそらくポールとしては、これでおしまいとは考えていないような感もあり、例えば「Days We Left Behind」でも「Since the day I knew they'd stay/With me for evermore」(あの日から分かってた これからも永遠に彼らは僕と共にあると)のように、これからも終わらないというようなメッセージ性を感じることが出来ますし、また、アルバム全体からの悲壮感も特になく、ポールらしい明るくポップな作品にまとまっています。

何よりもポールのボーカルに現役感があるのが印象的。正直、ここ数作の彼のアルバムは、どこか寄る年波に勝てないようなボーカルに違和感を覚えましたが、今回のアルバムに関しては以前の作品に比べるとそんな違和感はありません。むしろこの年になって若々しさが戻ってきたかのような感すらあります。

そういう意味では、80歳を越えて終活的な側面も意識したかもしれませんが、一方では、自分はまだまだ現役という自負も感じさせる作品と言えるのかもしれません。まあ、彼の先達たち、チャック・ベリーも90歳超えてからアルバムをリリースしていましたし、B.B.KINGも90歳近くまで現役で活動していましたし、Buddy Guyもまだまだ現役ですし、そう考えるとポールもまだまだかもしれません(笑)。次回作にも期待しましょう。

評価:★★★★★

PAUL McCARTNEY 過去の作品
Good Evening New York City
NEW
Egypt Station
McCartneyIII
McCartney III Imagined
One Hand Clapping(Paul McCartney&Wings)
WINGS(Paul McCartney&Wings)


ほかに聴いたアルバム

Train on the Island/Aldous Harding

ニュージーランドのシンガーソングライターによる4枚目のアルバム。全体的にアコースティック主体のサウンドでフォーキーに聴かせるスタイル。どこかダウナーでけだるさを感じさせつつも、清涼感あるボーカルも魅力的。また、脱力感ありつつも、アコースティックなサウンドの中に、シンセやエレピ、ダークなバンドサウンドなどちょっとしたスパイス的な要素も入ってくる点、楽曲に奥行きも感じさせます。今後、さらに注目を集めそうなミュージシャンです。

評価:★★★★★

Aldous Harding 過去の作品
Warm Chris

Poem 1/Ana Roxanne

アメリカのエクスペリメンタルミュージシャンによる2枚目のフルアルバム。ファルセット気味のボーカルと、ピアノを用いたアンビエントなサウンドが魅力的。そこにエレクトロサウンドを加えて、ドリーミーな雰囲気を醸し出しつつ、同時に荘厳さも感じさせるサウンドとなっています。全体的に静かなで、淡々としたメロディーラインが流れるアンビエント的な要素の強いアルバムで、派手さはなく、またサウンド的にも特異なものには乏しいだめ、BGM的に楽しめてしまう感のある作品。その点、ちょっと物足りなさもなきにしもないですが、ドリーミーなアンビエントは十分に楽しめる作品になっていました。

評価:★★★★

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2026年7月30日 (木)

Hot Albumsは今週も新譜少なめ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週と同様、Hot100と対照的に新譜が少なめな結果となっています。

まず1位は初登場。MECHATU-A「On-Deck!」がランクイン。CD販売数及びダウンロード数1位。MECHATU-AはVTuberグループ「にじさんじ」所属のVTuberのユニット。これで「めちゃつえー」と読むそうです。本作は彼ら初となるミニアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上24万1千枚を獲得して1位初登場となっています。

2位は韓国の女性アイドルグループaespa「KISS N TELL」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数4位、ストリングス数20位。日本盤では初となるミニアルバム。オリコンでは初動売上7万枚で2位初登場。

3位はHANA「HANA」が先週から同順位をキープ。なんとストリーミング数が2位から1位にアップ。3月18日付チャート以来、19週ぶりの1位返り咲きとなっています。これで通算18週目のベスト3ヒット&22週連続のベスト10ヒット。そして今週、BTS「ARIRANG」は4位にダウン。ストリーミング数も2位にダウンしています。長らく、ストリーミング数は1位BTS、2位HANAの並びで、総合チャートでもBTSがHANAの上を走っていましたが、今週、なんと順位が逆転という結果に。BTSはこれで19週連続のベスト10ヒットとなりましたが、BTSとHANAの今後の動向も気にかかります。

今週、4位以下は初登場盤はなし。ただ、ベスト10圏外からの返り咲きが1枚。サカナクション「sakanaction」が先週の15位からランクアップ。5月27日付チャート以来、9週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。

ロングヒット盤ではILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」は先週から変わらず5位をキープ。これで12週連続のベスト10ヒットに。Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は先週からワンランクダウンの9位。これで通算72週目のベスト10ヒットとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseekers Songs、1位は名誉伝説「新女神」が獲得。最近、徐々に注目を集めているこたにとけっさくの2人組バンド。ラジオオンエア数3位。Hot100でも27位にランクインして、ブレイク一歩手前の状況となっています。ただ、離婚伝説と名前がごっちゃになりそうな・・・。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャート1位は■37「ふぁうんどふってーじ」が獲得。ちなみにミュージシャン名は「しかくざかな」と読むそうです。2位はAnythingBecomeMoe「ヤラララ(YARARARA)」がワンランクアップ。3位にはDECO*27「ダミーロマンス」が、逆にワンランクダウンとなっています。

今週のHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年7月29日 (水)

今週も新譜ラッシュ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に引き続き今週も新譜ラッシュに。ただ、ロングヒット曲の巻き返しも・・・

まず1位初登場は乃木坂46「是非に及ばず」。CD販売数1位、ダウンロード数10位、ストリーミング数18位、ラジオオンエア数19位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上50万9千枚で1位初登場。前作「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」の初動51万8千枚よりダウン。

2位はMrs.GREEN APPLE「Brand New」が先週と同順位をキープ。ストリーミング数1位は先週と変わらず。これはロングヒットになりそうな予感がします。

3位はDXTEEN「Wanna」が初登場。CD販売数2位、ラジオオンエア数6位。吉本興業と韓国のCJ ENMの合弁会社LAPONEエンタテインメント所属の男性アイドルグループ。オリコンでは初動売上9万6千枚で2位初登場。前作「両片想い」の初動7万8千枚(4位)からアップ。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず4位に男性アイドルグループM!LK「You!Joy!Parade!」が先週の20位からランクアップし、ベスト10初登場。ダウンロード数3位、ストリーミング数12位、ラジオオンエア数1位、動画再生回数2位。9月16日リリースのミニアルバム「LOVE ENG!NE」からの先行配信曲。M!LKは先週9位までダウンした「好きすぎて滅!」が8位にランクアップし、ベスト10ヒットを34週連続に伸ばしたほか、「爆裂愛してる」も11位から9位にアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。ベスト10ヒットを通算23週としています。

5位初登場はSTARGLOW「Drivin'My Life」。SKY-HIが設立したBMSG所属の男性アイドルグループ。CD販売数5位、ダウンロード数2位、ラジオオンエア数4位、動画再生回数15位。オリコンでは初動売上2万9千枚で5位初登場。前作「USOTSUKI」の初動2万8千枚(3位)から若干のアップ。

6位はハロプロ系女性アイドルグループアンジュルム「BaBaBa Burining Love!」が初登場。CD販売数3位。オリコンでは初動売上5万3千枚で4位初登場。前作「アンドロイドは夢を見るか?」の初動6万1千枚(2位)からダウン。

初登場最後7位には男性アイドルグループaoen「ハジマリCOLOR」がランクイン。韓国の芸能事務所HYBE傘下のJCONIC所属の男性アイドルグループ。オリコンでは初動売上6万3千枚で3位初登場。前作「秒で落ちた」の初動7万5千枚(3位)からダウン。

さて今週も10曲中6曲まで初登場となりましたが、ロングヒットの返り咲きも。前述の「爆裂愛してる」に加えて、サカナクション「夜の踊り子」が13位から10位にアップし、見事2週ぶりにベスト10返り咲き。ベスト10ヒットを通算11週に伸ばしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャート!

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2026年7月28日 (火)

あまりにも保守的な・・・。

Title:COVERS
Musician:徳永英明

昨年、はじめて徳永英明のライブに足を運んだのですが、その時に感じたのが「演歌のリサイタルみたい・・・」という印象でした。悪い意味で客の年齢層が高い・・・。彼と同世代のミュージシャンのライブは、それこそ最近でもTM NETWORKや米米CLUB、聖飢魔Ⅱなどのライブに足を運んでいるのですが、もうちょっと下の年齢層も見受けられるのですが、彼のライブは私以上の年代がほとんど。いや、彼の活躍時期を考えると、私よりも下の世代もいてもおかしくないのですが、ともすれば私より年上の、それも女性がほとんどで、そのため、まるで「演歌のリサイタル」みたいな印象を受けてしまいました。

ただ、そういう客の構成になってしまうのも正直ちょっと納得してしまうのも今回のアルバム。2000年代に「VOCALIST」シリーズが大ヒットを飛ばした彼ですが、今回のアルバムはその続編的なカバーアルバム。「『いちご白書』をもう一度」「飾りじゃないのよ涙は」「つぐない」など、数多くの名曲をカバーしています。

カバーの出来自体はもちろん悪くありません。名曲の数々が、徳永英明の、清涼感がありつつも独特の渋みのあるボーカルで感情たっぷりに歌い上げられています。基本的にしっかりと歌を大切にするようなカバーとなっており、独自のアレンジや解釈はなく、楽曲の持つ本来的な良さをしっかりと救い上げるカバーとなっています。選曲も「昭和の名曲」的な曲から、「JAM」「Story」といった、J-POP以降のヒット曲もカバーしています。

しかし、ここから感じられるのはあまりにもな保守性。なんか、完全に過去の名曲のカバーだけで食べていこうとしていないですか?ミュージシャンとしての歩みを完全に止めてしまい、過去のヒット曲だけで生きていこうとする、演歌歌手のような雰囲気を感じてしまい、そしてそれが前述の、彼のキャリアを考えるとあまりにも「狭い」客層につながっているようにも思います。

とはいえ、ちょっと意外だったのがカバーアルバムとしては「VOCALIST6」から11年ぶりという、久々のカバーアルバムだったという点。ただ、その間、カバーアルバムでのベストアルバムを4枚も(!)リリースしており、その結果、彼が「カバー曲を歌う歌手」というイメージを定着される結果になっていたと思います。一応、その間にオリジナルアルバムを2枚もリリースはしているのですが・・・。ただ、もうこうなっては、彼の過去の栄光と他の人のふんどしを借りる形でのカバーで生きていくしかないのかなぁ・・・とちょっと悲しくも感じてしまいカバーアルバムでした。

評価:★★★

Title:HIDEAKI TOKUNAGA Concert Tour 2025 ALL REQUEST
Musician:徳永英明

で、こちらは私も参加した昨年のライブツアーの模様を収録したライブアルバム。タイトル通り、ファンからのリクエストに基づいた選曲になっており、カバー曲を含む、彼の過去の代表曲を網羅したセットリストとなっています。ちなみに前述の「COVERS」では初回盤としてライブアルバム「HIDEAKI TOKUNAGA Concert Tour 2024 ALL BEST 3」がついているバージョンもあり、その音源も聴いたのですが、オールタイムベスト的なセットリストは前作も同様です。

セットリスト的には、変わり映えしない部分もあり、目新しさはないものの、ただ、ベスト的なセレクトということでやはり聴かせるものがあります。現在、65歳(!)という年齢でもほとんど衰えを感じさせない(というよりも、年齢を経て、渋みが強くなった)ボーカルは今でも魅力的。そういう意味で往年のファンにとっては、満足のいくライブアルバムになっていると思います。

また、彼の強みとして、過去に数多くのヒット曲を生み出してきたがゆえに、カバー曲と並べたとしても、彼のオリジナル曲が全く見劣りしない点。このライブアルバムでも「駅」「ハナミズキ」「愛の讃歌」といったカバーが収録されていますが、「レイニーブルー」「壊れかけのRadio」のような徳永英明のオリジナル曲と並べても、メロディーラインのインパクトや、なによりも楽曲の知名度を比べても全く遜色ありません。最近ではすっかり「カバー曲歌手」になってしまった感もある彼ですが(といってもオリジナルアルバムもちゃんとリリースしているですが)、オリジナルでもしっかり勝負できている点が、彼の大きな強みに感じました。

とはいえ、こちらも基本的に過去のヒット曲に頼っている感じが、やはりかなり保守的である点は否定はできません・・・。素直に楽しめるライブアルバムではあることは間違いないと思うのですが。

評価:★★★★

徳永英明 過去の作品
SINGLES BEST
SINGLES B-Side BEST

WE ALL
VOCALIST4
VOCALIST&BALLADE BEST
VOCALIST VINTAGE
STATEMENT
VOCALIST 6
ALL TIME BEST Presence
Concert Tour 2015 VOCALIST&SONGS 3 FINAL at ORIX THEATER
ALL TIME BEST VOCALIST
BATON
永遠の果てに~セルフカヴァー・ベストI~
太陽がいっぱいPlein Soleil~セルフカヴァー・ベストII/徳永英明
LOVE PERSON
Concert Tour 2023 ALL BEST 2


ほかに聴いたアルバム

Archive/三浦大知

三浦大知の楽曲を数多く手掛ける、音楽プロデューサーUTAが手掛けた楽曲のみを収録したコンピレーションアルバム。いかにも今時のR&Bな感じの売れ線ポップから、かなり挑戦的なエレクトロチューンまで、基本的には三浦大知の良さを生かしたメランコリックなメロに、エレクトロなサウンドを加えた楽曲がメインなのですが、同じR&Bという枠内でありつつも非常に幅広い音楽性を感じさせるコンピレーションアルバム。三浦大知とUTAの相性の良さを感じます。全41曲、かなりボリューミーな内容ですが、三浦大知とUTAの魅力を存分に感じられるアルバムでした。

評価:★★★★★

三浦大知 過去の作品
D.M.
The Entertainer
FEVER
HIT
BEST
球体
OVER
DAICHI MIURA ARENA LIVE 2024 OVER at 有明アリーナ(2024.3.24)

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2026年7月27日 (月)

Drakeの逆襲?

アメリカで高い人気を誇るラッパー、Drake。一時期は圧倒的な人気を誇った彼ですが、最近、ちょっと雲行きが怪しくなる事件がありました。それは2024年のケンドリック・ラマーとのビーフ騒動。ビーフとはHIP HOPにおいて、お互いにDisし合う抗争のことなのですが、ケンドリックがDrakeに向けた「Not Like Us」が大ヒットを記録。勝負もケンドリックの勝ちという評価が圧倒的で、Drakeは面目を失う結果となりました。

そんなDrakeが今年、突如、アルバム3作を同時リリースしたことで大きな話題となっています。

Title:ICEMAN
Musician:Drake

Iceman

まず3枚のうち「ICEMAN」というタイトルの作品は、近年のDrakeにない、本格的にラップ色の強い作品となっています。本格的にラップを聴かせる「Make Them Cry」からスタートし、続く「Dust」はしっかりと歌を聴かせてDrakeらしさっを感じさせつつも、不穏なビートとダークなラップが展開。「Janice STFU」も最初はメロディアスなフロウからスタートするものの、途中からダークなラップが展開される構成となっています。

かなりケンドリックとのビーフを意識した作品になっているようで、前述の「Dust」は相手を「いずれはほこりになる」と揶揄するようなリリックとなっていますし、「Janice STFU」もケンドリックを皮肉った作品になっているようです。そもそもおそらくですが、本格的なラップを展開しているあたり、ラッパーとしてのDrakeの実力をアピールしようとする作品に感じられます。

トラップなど今時のビートを取り入れつつ、全体的に不穏なサウンドが流れる作風である一方、リズミカルなラップは聴きやすさを感じさせ、所々に入るメロディアスなフロウも聴きやすさという点から、ダークな側面とのちょうどよいバランスになっています。そういう意味では本格的なラップというスタイルとポップなメロという側面を上手く両立させており、ここらへんのバランス感覚はさすがだな、という印象を受けます。

ただ一方、全18曲1時間超えという構成はちょっと長かったような・・・。特に3作に分けたことにより、ひとつのアルバムには似たようなタイプの曲が並んでしまった結果、最後の方はちょっとダレてしまった感もあったかな。仕方ない部分もあるとは思うのですが。

評価:★★★★

Title:HABIBTI
Musician:Drake

Habibti

こちらはメロウな歌モノが多い作品。オープニングの「Rusty Intro」はいきなりアコギでフォーキーに聴かせるナンバーで、ちょっと驚かされますが、続く「WNBA」はメロウなフロウが特徴的なHIP HOPチューン。「Slap The City」では中盤、Qendresaが聴かせるメロウで美しい歌声も魅力的です。

その後もSexyy Redをゲストに迎えた「Hurrr Nor Thurrr」では憂いを帯びたようなメランコリックな歌が耳を惹きますし、終盤の「Fortworth」もこれでもかというほどメロウに聴かせる歌が魅力的。最後の「Prioritizing」もコンピューターゲームのようなエレクトロトラックをバックに、感情たっぷりと歌い上げ、アルバムは幕を下ろします。

ちなみにタイトルのHABIBTIはアラビア語で「愛しい人(女性)」という意味をあらわすそうで、そのタイトルの通り、愛しい女性に対する思いを綴ったようなメロウな楽曲が並びます。Drakeの作品の中でも、特にR&Bという路線を強調した歌モノの作品に。ここらへんの音楽性の幅の広さがDrakeの魅力であり、実力なのでしょう。

評価:★★★★★

Title:MAID OF HONOUR
Musician:Drake

Maidofhonour

そして、こちらはリズミカルでポップな楽曲を並べた作品。1曲目「Hoe Phase」もリズミカルなエレクトロトラックとラップで盛り上がりそうですし、続く「Road Trips」も、ある意味、非常にわかりやすさを感じるエレクトロダンスチューンと、非常にラップでも盛り上がりそうなリズミカルなナンバーが続きます。

その後もCentral Ceeをゲストに迎えた「Which One」ではリズミカルなラップで盛り上がりそうなナンバーですし、「BBW」でもダウナーなラップを聴かせつつ、トラックはリズミカルで盛り上がりそうな作品になっていますし、後半「Q&A」「Stuck」などはメランコリックな歌を聴かせる「歌モノ」のナンバーとなっていますが、これらの曲でもポップで聴きやすい楽曲を聴かせてくれています。

3作の中で、明らかにポップで聴きやすい作風となっている本作。ほかの2作に関しても、もちろんDrakeのポップな側面を感じさせる作品となっているのですが、その中でも特に、彼のポップな側面を強調した作品となっています。ある意味、他の2作で、HIP HOPな側面、R&Bの側面をしっかりと収録しているがゆえに、結果、この作品ではDrakeのポップでわかりやすい側面をより強調することが出来たのでしょう。

評価:★★★★

そんな訳でたっぷり3枚のアルバムで、Drakeの様々な側面を感じることが出来る作品で、なおかつ、その音楽的な幅の広さには、さすが・・・と舌を巻かざるを得ません。今回のアルバム同時リリースは、「お前にこんなことが出来るのか!」というDrakeのケンドリックに対する逆襲にも感じますし、結果として、特にアルバム「Iceman」や、シングル「Janice STFU」はヒットを記録しているそうで、ビーフでケンドリックに負けた時は、一時期、完全に「過去の人」になりかけたDrakeの面目躍如を果たすことの出来た3作と言えるかもしれません。まだまだDrake健在を感じることの出来た3作でした。

DRAKE 過去の作品
Thank Me Later
TAKE CARE
Nothing Was The Same
If You're Reading This It's Too Late
VIEWS
More Life
SCORPION
Care Package
Dark Lane Demo Tapes
Certified Lover Boy
Honestly, Nevermind
For All The Dogs
$ome $exy $ongs 4 U(PARTYNEXTDOOR&DRAKE)

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2026年7月26日 (日)

今年も開催!社長1人のライブツアー!

明和電機★UMEツアー2026 全国47都道府県ひとりツアー

会場 愛知芸術劇場小ホール 日時 2026年7月13日(月)19:00~

昨年行われた、明和電機の社長が1人で全国をめぐるUMEツアー。今年も出かけてきました。昨年は、愛知県は豊橋での開催だったため、より近場の大垣に足を延ばしたのですが、今年は名古屋市内での開催なので、もちろん愛知県の会場に出かけてきました。

ちなみに今年のUMEツアーは昨年からバージョンアップされており、「社長全国追跡マップ」として、社長が今、どこにいるのかGPSを使用してリアルタイムに把握できるアプリがリリースされていたり、また、昨年も行われていた、ポットキャスト的な「UMEラジオ」も、昨年は後半からスタートしたものが今年はスタート当初から、ほぼ毎日リアルタイムに更新されており、まさに昨年以上にこのライブツアーをドキュメンタリー的に体感できる工夫がされていました。

さて、この日の会場はソールドアウトになったそうで満員の会場。時間になると社長自らのナレーションからスタート。さらに社長が登場が登場するのですが、子供の声で「社長がんばれよ!」の声援がかかり、笑いが起こります。社長は今回のグッズであるボーンバー(折るとぽきぽき音がするキーホルダー状のおもちゃ)の大きなバージョンを持っての登場となります。

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さらに今年もパチモクを背負っての登場。指パッチんしながら木魚がビートを刻みます。

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そして前半は主にユニークな楽器の紹介。今回もバックには電動ドラムマシン、自動鍵盤ハーモニカのピアメカ、輪ゴムをつかったベースマシン、ゴムベースDX、そして自動チター演奏マシンのメカチターが並び、それぞれについて説明していきます。そして、「社長ひとりだと寂しい」ということで、ダンスロボットのパンチくんとレンダちゃんの紹介。最後はお決まりの首が発射される締めくくりで、会場が湧きます。

さらにおなじみのサバオも登場。形態しやすいように四角い箱になったサバオから、さらに社長がサバオをお面をかぶります。ここでSUSHI BEATの紹介となるのですが、今回はここに新キャラ、すしよし君が登場。サバオのお面に鉢巻や太眉をつけた、お寿司屋の大将的なお面をつけて、SUSHI BEATを演奏しました。

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そして登場したのが今回のキューアイテム。ベロミン。

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舌の部分をはじいて音を出しつつ、耳の部分で音程を調整するという楽器(?)。これで「ゲゲゲの鬼太郎」のテーマ曲を演奏してくれました。

続いては、このサバオのお面に髪の毛と、骨を取り付けて、原始人サバオの登場。今回のニューアイテム、ボーンバーを使いつつ、新曲「俺の骨オレ」を演奏し、客席からはボーンバーのポキポキ音が鳴り響きます。

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途中、サバオのお面につけた骨が何度かとれるという小さなトラブルもありつつ、サバオはこの曲で一度退場。お面を外して、社長が再度登場(?)します。そして今度はゴムベースの紹介。前回同様、ゴムベース1本で全米制覇。さらには日本武道館への凱旋公演・・・という体でのステージ。「ゴムベースの歌」となりましたが、観客席からは武道館風の大歓声があがり、会場はこの日も武道館と化しました。ちなみに演奏が白熱しすぎたのか、ここでも社長が眼鏡を落とすという小さなハプニングが。客席からのヘルプもあり、なんとか眼鏡を社長がみつけていました。

その後は無人の状態で楽器だけが自動演奏で曲を奏でる「バクの歌」へ。社長は一度退場。ステージ上で楽器だけが無人で曲を奏でるというシュールな光景となります。

ここからライブは後半へ。楽器の紹介がメインだった前半から一転、後半は歌中心のステージとなります。最初はメカチターを社長がかかえ、チターの哀愁帯びた音色を聴かせつつ「白い乾電池」をしんみりと聴かせます。ここではなんと、パチモクの木魚の玉が落ちるというおそらくこの日最大のトラブルが。木魚の玉はその後、社長が客席に投げ入れていました。

ここで、明和電機最大のヒット作、オタマトーンの紹介。全世界で200万本も売れているそうです。今回はじめて販売されたオタマトーンQに、大型のオタマトーンデラックスも並べて、オタマトーンの演奏に。

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先日、松平健の公式YouTubeチャンネルで、マツケンがオタマトーンを弾く動画が登場し、また注目をあつめているそうで、そのお礼(?)で、「暴れん坊将軍のテーマ」をオタマトーンで演奏。さらに、会場にもオタマトーンを持参した人も多く、会場のファンとオタマトーンで「カエルのうた」の合唱となりました。さらに、昔、社長がプロデュースを手掛けたアイドルグループが歌っていた、オタマトーンも登場する曲「おめでトーン♡ありがトーン」のセルフカバーとなりました。曲の間奏で、オタマトーンで「カエルのうた」を奏でる部分も。しかし社長、アイドルのプロデュースなんかもやっていたんだ・・・。

さらにはこのツアーのテーマ曲「ジョリジョリジャーニー」へ。全体と同様、電球型のライトを振り回します。続く「結線のトレイン」では、観客みんなで、振り付けで踊ります。「ロックは『ト』ではなく『チョ』ですから、「トレイン」ではなく「チョレイン」で」ということで、みんなで「結線のチョレイン」で盛り上がりました。そして本編ラストは明和電機の愛唱歌「地球のプレゼント」へ。最後は会場全体大盛り上がりで本編終了となりました。

・・・で、アンコールなのですが、時間の関係(?)か、社長は舞台袖に戻ることなく、そのままアンコール(?)に。最後はおなじみ「明和電機社歌」なのですが、まず、前回同様、明和電機のユニフォームを着て、お面をつけたファンが、ステージ上に呼び出されます。昨年の大垣公演は4、5名程度だったのですが、今回は熱心なファンが多く、舞台上にズラリとファンが並びました。

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最後は舞台上のファンと一緒に、おなじみ「明和電機社歌」で会場全体が大盛り上がりで、ライブは幕を大盛況の中、幕を下ろします。

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この段階で時間は20時35分。社長自らファンに時間を確認した上で、22時までに完全撤収ということで、公開撤収となります。前回の大垣公演では、遠隔地で時間がなかったということもあり、撤収を見ないで帰ってしまったのですが、この日は時間に余裕もあるため、最後まで会場に残ります。

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社長は黙々と、手際よく片付けを進めていきます。ファンはステージ前に集まり、片付けを行う社長をフレームに入れての、疑似2ショット撮影会となりました。

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あれだけの楽器が、見事、4つの箱におさまります。

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片付けや約15分強くらいで終了。最後は撮影会となり、「ありがとうございました。」の一言で、社長は会場を去っていきました。完全終了は21時ちょっと前でした。

そんな訳で、昨年に引き続いての明和電機のライブ。基本的には昨年のパフォーマンスを一部変更した形となります。ただ、相変わらずユーモラスで楽しいパフォーマンス。非常に楽しめました!ちなみにこの日のステージは、小さなトラブルはあったものの、演奏に影響するような大きなトラブルもなく無事終了。社長のトラブル対応の時にファンが歌う「社長、がんばれ~♪」の歌はなかったのは、正直、ちょっと残念でしたが(笑)。ちなみに、このUMEツアー、来年も開催するそうなので、来年も絶対に行きたいです!

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2026年7月25日 (土)

明和電機の魅力がつまった映像作品

昨日は、明和電機の最新アルバム「梅 明和電機」を紹介しましたが、今回は、そのアルバムと同時リリースとなった映像作品「『明和電機47都道府県ひとりコンサート 明和電機★UMEツアー2025』 ファイナル公演」の紹介です。公式サイトで配信チケットがリリースされていたので、さっそく購入し、視聴してみました。

こちらはタイトル通り、昨年、明和電機が行った「明和電機★UMEツアー2025」の最終公演、2025年8月3日に茨城県つくば市のノバホールで行われたライブステージをすべてそのまま収録した作品。この「UMEツアー」については、私も昨年、7月に行われた岐阜・大垣での公演に足を運び、その時のライブレポートもアップしています。ライブは基本的にその時の構成と同じです。

最初はパチモクを背負った社長が登場。この日使用したユニークな楽器の紹介からまずはスタート。ダンサーのパンチくんとレンダちゃんを紹介し「パンチくんダンス」へ。さらには社長自ら曰く「明和電機より有名」になったオタマトーンの紹介から、このオタマトーンで「君をのせて」を披露してくれます。さらにゴムベースの紹介から「ゴムベースのうた」へ。サバオやサバオのママが登場し、「ママミミモミモミ」へ。そしてインスト曲「バクの歌」で前半が終了となります。

後半も、三協アルミのCMソングから、「白い乾電池」「ジョリジョリジャーニー」「結線のトレイン」「地球のプレゼント」と基本的に岐阜公演と同じ流れで、後半は楽曲メインのライブステージとなります。そしてアンコールでは明和電機の作業服にお面をつけたファンがズラリと檀上に並びます。数名だった岐阜公演と異なり、さすがツアーファイナル。広いステージ上に並びきれないほどのたくさんのファンが檀上に並び、みんなで盛り上がり「明和電機社歌」を歌い、ライブ本編は終了となりました。

そんな訳で、基本的に私が見た岐阜公演と同じ構成でのステージとなっていますが、なんといっても明和電機のライブの醍醐味と言えば、機械ながらも「アコースティック」なスタイルで演奏する楽器たちのため、その日その日のステージによってトラブルなどが発生し、日によって展開が異なってくるという点でしょう。特に社長ひとりが会場を回る「UMEツアー」では、ライブを進めながら、都度発生するトラブルに対応し、徐々に問題点を補強。また、パフォーマンスも少しづつ改善し、「完成形」に近づけていったライブとなります。そのため、この最終日の公演は、まさにそんな「UMEツアー」の完成形と言えるでしょう。

しかし、そんな最終公演でもトラブルが発生。「ジョリジョリジャーニー」の時には電球がつかないというアクシデントが。観客から「社長、がんばれ~♪」の合唱が流れ、最後は社長がその歌にのりながらも、「う~ん、気が散る!」と締めくくるというお決まりの展開になりました。ちなみに単純に電球のコードをさすプラグの位置を間違えていただけのようで、トラブルはあっさり解決していました。ただ、こういったアクシデントもまた、このライブツアーのひとつの味であったと思います。

先日、Yahooニュースで、「推し活で、ライブツアーをめぐっているが、どこのライブも同じ曲、同じ構成なので飽きた」という記事がありました。正直なところスタジアムクラスのライブで、どこの会場も同じ構成になるのは今にはじまった話ではありませんし、ライブハウスクラスでは、通常、どこの会場も同じとなるケースはないのですが、ただ、明和電機のライブに関しては、まさにそんなスタジアムクラスのライブとは真逆。こういうトラブルも含めて楽しめるライブであり、また、この最終日のライブはステージとして完成形でありつつ、トラブルもしっかりおさめられている点、明和電機のライブの魅力をまさに網羅したパフォーマンスを楽しむことが出来ます。

先日の「梅 明和電機」の感想では、音源だけ聴いていても十分楽しめないと書いたのですが、まさに楽器の演奏する姿も見れる明和電機のライブパフォーマンスこそ、明和電機の魅力。明和電機がどんなアーティスト知りたい、という方には、まずこちらの映像作品を見ることをお勧めしたいところです。ちなみに本作では、社長が楽器を設置しているシーンや、ライブ後の片づけのシーンも収録。さらにはファンが出待ちする場面や、最後、明和電機の本拠である「アトリエ」に到着し、このUMEツアーがすべて終わる瞬間までおさめられています。この点でもファンには必見の映像作品となっています。

ただ、非常に残念なことに本作、10月末までの限定配信という点。せっかく購入しても10月末までしか見れません・・・。興味のある方はいまのうちに急げ!あと、10月末までで見れなくなるのは非常に残念。DVDとかで販売してくれないかなぁ。それとも、11月以降は、何らかの形で見れるようにしてもらえるのかもしれないけど・・・それを期待して・・・。

そしてこの「UMEツアー」、今年も開催。私も足を運んできました!そのライブレポは明日更新!

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2026年7月24日 (金)

「UMEツアー」で生まれた楽曲を収録

Title:梅 明和電機
Musician:明和電機

Umemeiwa

電気を使用しながら、アナログなスタイルで音を鳴らす奇妙な楽器を生み出し、それをもとにパフォーマンスを行っている芸術ユニット明和電機。今回紹介するのは、そんな明和電機が、実に24年ぶりにリリースしたニューアルバムです。今回のアルバムは、昨年行った47都道府県をすべて回るライブツアー「UMEツアー」で演奏された楽曲を集めた作品。タイトルの「梅」とは「松竹梅」の「梅」で、フルセットのバンドでのパフォーマンスを「松」、数人のメンバーでのライブを「竹」とカテゴライズした上で、明和電機の社長、1人だけでのパフォーマンスを「梅」とカテゴライズ。その1人のみで行われたライブツアーなので「UMEツアー」と名付けられ、今回のアルバムタイトルともなっています。

独特の楽器を用いたユニークなパフォーマンスが特徴的な明和電機ですが、明和電機の主眼はあくまでも独特な楽器。今回のアルバムでも、例えば「ゴムベースの歌」で用いられている楽器は「ゴムベース」と言って、太いゴムを鳴らしてベース音を出すというシンプルかつユニークな独自の楽器ですし、風船でピアニカを鳴らす自動ピアニカやチターを自動演奏するメカチターなど、ライブでは、電気で動くのを見ているだけでユニークな楽器でのパフォーマンスが大きな魅力となっています。

そのため、正直言ってしまえば、音楽的にはさほど特筆するほどの独自性があるわけではありません。あくまでも楽器演奏を楽しんでライブを盛り上げるための音楽であって、ある意味、音楽自体が明和電機の一番やりたいこと、ではありまえん。しかし、とはいってもここはミュージシャンとしても30年以上のあるキャリアのある明和電機。音楽自体も決して手を抜いている訳ではありませんし、むしろパフォーマンスを楽しむため、ちゃんと壺を抑えたような作品が並んでいます。

例えばアルバム冒頭を飾るのは、このライブツアーのテーマソングともなった「ジョリジョリジャーニー」ですが、47都道府県をすべて回るというツアーの雰囲気にピッタリマッチするような、ちょっとカントリー風のロードムービー風の作品になっていますし、前述の「ゴムベースの歌」も、ゴムベース1本で武道館を制覇した、という物語がバックにあり、ちゃんとスタジアムロック風の作品に仕上げています。「SUSHI BEAT」という寿司型のモジュールを元とした「スシスシパーティー」はテクノのダンスチューンを聴かせてくれます。

感情たっぷりの「白い乾電池」はしっかりと泣きのメロディーを聴かせてくれ、シンガーソングライターとしての実力をみせてくれますし、「ママミミモミモミ」は、「マ」と「ミ」と「モ」だけで歌詞を構成するという、ユニークかつアバンギャルドな作風となっており、こちらも音楽の側面でもキテレツな明和電機らしさを感じる作品となっています。

ただ、このアルバム、演奏しているのは前述の明和電機が独自に発明したユニークな楽器たち。どのように演奏されているのか、パフォーマンスとしては間違いなく楽しい楽器たちなのですが、音だけ単独で聴いていると、正直言ってしまって、チープでスカスカという面は否めません。もちろん、このチープさが明和電機のひとつの「味」であることは間違いなく、ファンにとってはそれも含めて楽しめるのは間違いないのですが、楽器自体の背景を知らないと、どうしてもスカスカな感じがあり、純粋に音だけで聴くとちょっと物足りなくなってしまう点は否めません。こればかりは仕方ないのかもしれませんが。

ちなみに本作は、現時点でストリーミング配信等は行われておらず、公式サイトの通販でのダウンロード販売もしくはライブ会場でのCDの販売のみとなっています。公式サイトの通販では、デモ音源や社長による同時解説の音源、さらにハイレゾ音源がついているバージョンもリリースされています。ただ、公式サイト通販で、「UMEツアー」の最終日、筑波での公演の模様を収録した映像も販売されているので、明和電機がはじめて、という方には、まずこちらの映像を見た方が、より明和電機の魅力を感じることが出来るかも。ちなみに、私はこちらの映像作品も購入。こちらの感想は明日アップする予定です!

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

PYRAMID/Novelbright

約2年ぶりとなるニューアルバム。彼ららしい爽やかでメランコリックなポップチューンが並ぶ一方、韓国のシンガーソングライターEric Namとコラボした「Everywhere I Go」のような、今時の洋楽のR&Bポップ風なナンバーがあったり、「Chasing blood」のようなダイナミックでヘヴィーなロックチューンがあったりと、彼らにしては挑戦心を感じさせるナンバーも見受けられます。ただ、これらの曲はどこかよそ行きというか、無理やり背伸びして演奏している感がいなめず、ちょっとチグハグさも感じます。まあ、今後、徐々にこういったいろいろなタイプの曲に挑戦し、自分たちのものに出来ればいいとは思うのですが。

評価:★★★★

Novelbright 過去の作品
WONDERLAND
開幕宣言
Assort
CIRCUS

CYCLE HIT PLAYLIST 2025→1991 Spitz Debut 35th Limited-time Edition/スピッツ

Cyclehitplaylist20251991

スピッツのデビュー35周年を記念して配信されたプレイリスト。スピッツの最新シングル「灯を護る」から、デビューシングル「ヒバリのこころ」まで、すべてのシングルをリリースとは逆順に並べられたプレイリストとなっており、来年の3月24日までの限定配信となっています。スピッツのシングルをこうやって並べて聴くと、最新シングルからデビュー時のシングルまで、いい意味でそのスタイルにあまり変化がないことい驚かされます。大いなるマンネリという部分も否めませんが、ただ、デビュー35年を経て、いまだに新鮮味を感じさせるスタイルに驚かされますし、それだけ長い期間、同じようなスタイルでも新鮮味を感じさせるのは、なんといってもメロディーラインの圧倒的な良さが要因でしょう。正直、最新シングル「灯を護る」も非常に魅力的なメロディーを聴かせてくれており、ともすれば90年代のシングルと並べても全く違和感がありません。全51曲約3時間半というボリューミーなプレイリストでしたが、それでも全く飽きさせない内容になっていました。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる
おるたな
小さな生き物
醒めない
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
見っけ
花鳥風月+
ひみつスタジオ
劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro
空の飛び方 30th Anniversary Edition
新しい季節に聴きたいスピッツ
ハチミツ 30th Anniversary Edition

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2026年7月23日 (木)

こちらは新譜少な目

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もHot100とは対照的に、新譜が少ないチャートとなっています。

1位はBTS「ARIRANG」が2週連続で獲得。通算11週目の1位獲得。ストリーミング数は18週連続1位で、ベスト3&ベスト10ヒットも18週連続となっています。また、HANA「HANA」も先週から変わらず3位。こちらもストリーミング数は18週連続の2位で、通算17週目のベスト3ヒット&21週連続のベスト10ヒットとなっています。

その間に挟まるように2位初登場となったのが剣持刀也「Augment」。CD販売数1位、ダウンロード数9位。「にじさんじ」所属のバーチャルYouTuber。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上7万2千枚で1位初登場。本作が、初のEPとなっています。

4位以下の初登場盤はあと1作のみ。4位に韓国の男性アイドルグループTOMORROW×TOGETHERのメンバーYEONJUNのソロアルバム「NO LABELS:PART 02」が4位に初登場となっています。CD販売数2位、ダウンロード数4位、ストリーミング数12位。

ロングヒット盤ではまずILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が4位から5位にダウン。これで11週連続のベスト10ヒットに。また、先週ベスト10に返り咲いたMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は9位から8位にアップ。こちらは通算71週目のベスト10ヒットとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songs1位はM.Sasuke「GG EZ」が先週から2週連続で獲得。ただし、ストリーミング数は16位から18位にダウン。Hot100の順位も26位から29位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は東京真中「ブレインロット」が先週の5位からランクアップ。2月25日付チャート以来の1位返り咲き。初登場での1位獲得以降、上位を安定的にキープし、チャートイン22週目にして2度目の1位獲得となりました。2位はDECO*27の新曲「ダミーロマンス」が初登場で獲得。3位は先週2位のAnythingBecomeMoe「ヤラララ(YARARARA)」がベスト3をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年7月22日 (水)

怒涛の新譜ラッシュ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はなんと10曲中9曲までが初登場という怒涛の新譜ラッシュとなりました。

まず1位はTOBE所属の男性アイドルグループNumber_iの配信限定シングル「BUGS LIFE」が獲得。ダウンロード数及びラジオオンエア数1位、ストリーミング数11位、動画再生回数2位を獲得し、総合順位で1位となりました。

2位はMrs.GREEN APPLE「Brand New」が初登場。こちらも配信限定シングルで、ストリーミング数では1位を獲得。ほか、ダウンロード数4位、ラジオオンエア数2位、動画再生回数11位。映画「スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ」の日本版主題歌。良くも悪くもJ-POPっぽい爽やかなナンバーで、映画との親和性はどうなんだろう・・・と思ってはしまいますが。

3位は韓国の男性アイドルグループNCT WISH「YO-I-DON!」が初登場。CD販売数2位、ラジオオンエア数3位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上31万1千枚で2位初登場。前作「Songbird」の初動7万1千枚(3位)からアップ。

4位以下も初登場が並びます。4位は女性アイドルグループFRUITS ZIPPER「ぱわーオブらぶ」が初登場でランクイン。オリコンでは初動売上53万5千枚で1位初登場。前作「はちゃめちゃわちゃライフ!」の初動31万6千枚(1位)からアップ。

5位には米津玄師「夜鷹」がランクイン。ダウンロード数及びストリーミング数3位、ラジオオンエア数及び動画再生回数6位。映画「キングダム 魂の決選」主題歌。ただ一方、先週までベスト10にランクインしていた「烏」は今週12位にダウンしており、2曲同時ランクインにはなりませんでした。

6位初登場はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループSUPER★DRAGON「Call Me Asap」。CD販売数3位。アニメ「神の雫」オープニングテーマ。オリコンでは初動売上8万2千枚で3位初登場。前作「Break off」の初動6万枚(2位)よりアップ。

7位はホリプロ所属の男性アイドルグループTAGRIGHT「ZERO」が初登場。CD販売数4位、ラジオオンエア数17位。オリコンでは初動売上5万7千枚で4位初登場。CDシングルは本作が初となります。

10位には旧ジャニーズ系男性アイドルグループSixTONES「マイオンリー」が初登場でランクイン。ダウンロード数2位、ストリーミング数13位、動画再生回数18位。日テレ系ドラマ「告白-25年目の秘密-」主題歌。9月9日リリース予定のシングルからの先行配信となります。

そして今週、大きな話題となったのが8位に、T.M.Revolution「HOT LIMIT」が先週の17位からランクアップし、ベスト10入りを果たした点でしょう。1998年にリリースされ大ヒットした曲なのですが、今回、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で歌われたことがきっかけで、動画再生回数が大幅に上昇。動画再生回数で見事1位を獲得したほか、ダウンロード数17位、ラジオオンエア数18位を獲得し、ベスト10入り。当初リリース時点ではビルボードチャートがありまえんでしたので、こればHot100では初のベスト10ヒットとなりました。

一方、先週のランクイン曲で唯一ベスト10に残ったのがM!LK「好きすぎて滅!」で今週6位にランクイン。ベスト10ヒットを33週連続に伸ばしています。一方、「爆裂愛してる」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは22週連続でストップ。また、ほかのロングヒット曲でもサカナクション「夜の踊り子」が今週13位にダウン。こちらもベスト10ヒットは連続10週でストップしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャート!

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2026年7月21日 (火)

ライブ感が増した新作

Title:Look For Your Mind!
Musician:The Lemon Twigs

毎回、60年代ポップスを現代に再現した、キュートでメロディアスなギターポップを聴かせてくれる、アメリカのロック・デゥオ、The Lemon Twigs。今回のアルバムもまた、胸にキュンと来てしまうようなポップチューンが並んでおり、レトロな感じで懐かしさを感じさせるポップチューンの数々が、リスナーを魅了するアルバムとなっています。

まずアルバムはハーモニーも美しいタイトルチューン「Look For Your Mind」からスタート。60年代そのままのギターロックチューンからスタートし、まずはグッと心をつかまされそう。続く「2 or 3」も、分厚いハーモニーが美しく聴かせるポップチューンとなっており、往年のブライアン・ウィルソンあたりを彷彿させるような曲調に。さらに「Gather Round」は、完全にポール・マッカートニーを意識したかのようなピアノポップのナンバー。そして軽快なマージービートの「I Just Can't Get Over Losing You」と、まさに60年代、70年代をそのまま現代にパッケージしたような曲が並びます。

さらに後半も、往年のビーチボーイズを彷彿させるギターロック「Bring You Down」やメランコリック漂うソフトロックナンバー「I Hurt You」、ストリングスを入れて感情たっぷりに聴かせる「Joy」など、最後まで60年代、70年代を彷彿とさせるキュートなギターポップチューンが並びます。そして印象的なのはラスト前の「My Heart Is In Your Hands Tonight」で、ハーモニーを上手く入れた60年代ギターポップチューン。メロディアスながらも切ないメロディーラインが印象に残るナンバーで、個人的にはこの美メロから、海外のバンド以上に、日本のL⇔Rやスピッツあたりを彷彿としてしまいました・・・。

そして、このアルバムで特徴的なのは、いつもよりライブ感を増した作りとなっている点で、基本的に彼らのアルバムはブライアン・ダダリオとマイケル・ダダリオの兄弟を中心に様々なメンバーが参加しているそうですが、本作ではライブでのサポートメンバーがそのまま参加しているとか。そのため、例えば「Nothin'But You」「Fire and Gold」など、比較的バンドサウンドの力強さを押し出しているような曲も目立ちます。

ただ、とはいっても全体的に60年代70年代の英米ポップスのいいとこどりという方向性は今回も変わらず。そこに若干現代的な要素を加味して、いい意味で聴きやすく仕上げている点が彼らの大きな特徴であり魅力という点では変わりません。チャート的にも本国アメリカではいまひとつ奮わず。イギリスのアルバムチャートで27位という好成績を記録しているほか、オリコンチャートで39位にランクインするなど大健闘。この手のポップスは日本で受けやすいんだ・・・という感じもします。メロディーラインもわかりやすいですしね。キュートなポップが、理屈抜きに心地よい作品でした。

評価:★★★★★

The Lemon Twigs 過去の作品
Songs For The General Public
EVERYTHING HARMONY
A Dream Is All We Know


ほかに聴いたアルバム

You Got It/Skindred

1998年から活動を続けるイギリスのロックバンドの新作。本作がイギリスのアルバムチャートで1位を獲得したのではじめて聴いてみました。ヘヴィーメタルにラップ、さらにはレゲエを融合させたミクスチャーが特徴的。といっても、日本にもSiMみたいなバンドがいるので目新しさはあまりありません。正直、楽曲的にも「ベタ」といった印象があって、前の説明で想像できるような、そのままの音が流れてくるような感じ・・・。そういう意味で、安心して聴ける作品であることは間違いない一方、あまりおもしろみがなく、これを聴くならSiM聴いていた方がいいかも・・・とも思ってしまいました。

評価:★★★

Middle of Nowhere/Kacey Musgraves

ここ最近、リリースするアルバム毎に大きな評価を受けるアメリカのカントリーミュージシャン、Kacey Musgravesの約2年ぶりとなるニューアルバム。もともとカントリーやフォーク寄りのシンプルなメロディーラインを聴かせるミュージシャンですが、今回はより、シンプルなサウンドの作品を聴かせてくれるアルバムに。ジャンル的にはカントリー・・・なのですが、曲調的にはフォークのイメージに近いかも(ただ、この両者のジャンルの差はさほどないと思うのですが)。ただ、何よりも、いままでの彼女の作品と同様、美しいメロディーラインが強い印象に残る作品。シンプルがゆえに、そのメロディーラインの良さが、より際立った傑作でした。

評価:★★★★★

Kacey Musgraves 過去の作品
Golden Hour
Deeper Well

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2026年7月20日 (月)

先行き不安な世の中だからこそ。

Title:TAKE IT ROSY!
Musician:及川光博

通常、ミュージシャンの活動パターンというのは、まずアルバムとして新作を作り、その新作に関するツアーを行う。それが終わったら、新たなアルバムの制作にうつる・・・そういうパターンの繰り返し、というのがまずは王道のルーティンだったりします。ただ、その一方、まずはライブ活動ありきで、そのライブで、新作で盛り上がるためにアルバムをリリースする、というパターンのミュージシャンもいます。おそらくミッチーこそ及川光博は、完全に後者のパターンでしょう。アルバムは積極的にリリースしているのですが、いずれも「ライブで盛り上がるため」ということを意図した作品が続いています。

今回のアルバムはデビュー30周年を記念してリリースされた、約2年ぶりの新作。アルバムタイトル「Take It Rosy」はいうまでもなく「Take It Easy」(=気楽に行こう)のもじりなのですが、「物事をバラ色に捉えよう」「前向きに生きよう」という意味だとか。また、「戦争、経済不安、格差社会など、未来が不透明で、生きづらい時代だからこそ、”バラ色の未来”をイメージして、日々を笑顔で送ることの大切さを歌っている」と公式サイトでも紹介されており、彼らしい前向きのメッセージにあふれる作品に仕上がっています。

そんなアルバムの収録曲だからこそ、まさにライブで盛り上がりそうな、明るく前向きなポップチューンが並びます。ホーンセッションも入って、ミッチーらしい明るさにあふれた「スターダスト・カーニバル」も、まさに前向きな歌詞をあわせて、聴いていてウキウキ楽しくなってくる明るいポップチューンになっていますし、「デンジャラス・ビューティー」も彼らしい明るくポップでファンキーな楽曲に仕上がっています。

「心配性エレジー」は非常にユニークな歌詞も印象的。この手のユーモラスな歌詞をファンキーなリズムに乗せて歌うあたり、ある意味、ファンクの王道的なナンバーと言えるかもしれません。タイトル通り、心配性な人間の悩みを歌ったような曲なのですが、ただそれを明るい曲で歌い上げる点、ある意味、アルバムのテーマとも言える、世の中に対して必要以上に心配に抱え込むような人たちに対して笑い飛ばすような歌詞と言えるかもしれません。

作品的には、全体的にミッチーらしいファンクの要素を入れてリズミカルにまとめあげた明るいポップチューンが並びます。一方で、エレクトロサウンドを入れて、80年代風な雰囲気を醸し出す「FAKE IN LOVE」やビートロック風の「明日も。」といった曲もあり、全体的にバラエティーも。ただ、アルバムとしては新しいことに挑戦した、というよりも、ミッチーらしい明るいライブ向けのポップチューンを並べたような作品になっています。

正直、アルバムとしては1曲目、9曲目が事実上のイントロ、アウトロとなっており、事実上、7曲入りというミニアルバムレベルの作品。約2年ぶりのアルバムが7曲入りというあたり、ちょっと物足りなさも感じてしまいますが、ライブを前にして、ライブで盛り上がる新曲を作り出したという感もあるのでしょう。ライブでは盛り上がりそうな曲が並んでいました。

そんな訳で、まさにライブのために作られた感もある1枚。また、前向きに進もうというメッセージも、ある意味、ミッチーなりの社会性を持ったコンセプトも印象的な作品となっています。ただ、そんなこと抜きに、純粋に楽しいポップチューンで盛り上がりそう。ミッチーのライブも久しぶりに行きたいなぁ、と思いつつ・・・。とりあえずは彼のライブの楽しさを思い描ける新作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TM NETWORK TOUR 2025 YONMARU+01 -LIVE-/TM NETWORK

Yonmaru01

昨年10月から続いていた、7ヶ月連続でサブスク解禁されてたTM NETWORKのライブアルバムの最終作。昨年3月から4月にかけて行われた「YONMARU+01」の模様を収録した作品。40周年記念のライブシリーズのラストを飾るツアーだったようですが、ただ昔の作品は少なく、それぞれの曲についてもかなりアレンジをほどこされた内容となっています。ある意味、これはこれで彼らが現役のミュージシャンだ、というアピールにも感じるのですが、一方でやはり全盛期の80年代90年代の曲を期待していた向きからすると、ちょっと物足りなさも感じてしまうアルバム。最後の締めくくりとしてはちょっと不完全燃焼感もあります。まあ、あくまでも現在進行形のミュージシャンにとっての「通過点」に過ぎない、という見方も出来るのかもしれませんが。

評価:★★★★

TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
Gift from Fanks T
Gift from Fanks M
LIVE HISTORIA T 〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
LIVE HISTORIA M〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
DEVOTION
40+ ~Thanks to CITY HUNTER~
How Do You Crash It?
TM NETWORK TOUR 2022"FANKS intelligence Days"at PIA ARENA MM-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~DEVOTION~-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~YONMARU~-LIVE-
TM NETWORK 2024 intelligence Days FANKS inside -LIVE-

Awesome City Club BEST Ⅱ/Awesome City Club

昨年、デビュー10周年を迎えた彼らですが、2026年で活動休止を宣言した彼ら。本作は、その10年間の歩みをまとめた集大成的なベストアルバム。もちろん大ヒットした「勿忘」も収録されています。全体的にはメロウな歌を聴かせる爽やかなポップチューンが並ぶ作品。この10年間の作品を並べて聴いてみると、彼らの大きな魅力は、2人の男女ツインボーカル。atagiとPORINの2人のボーカルが上手く絡みあい、楽曲の魅力を高め、また楽曲を個性的なものとしています。たった10年で活動休止というのはちょっと残念ですが・・・今後のメンバーのソロでの活躍に期待しましょう。

評価:★★★★★

Awesome City Club 過去の作品
Awesome City Club BEST
Torso
Catch The One
Grow apart
Grower
Get Set
Cheers to 10!!

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2026年7月19日 (日)

ポールの魅力を感じられるバランス取れた評伝

今回も、最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。

言わずと知れたビートルズの一員であり、80歳を超えた現在でも、精力的な音楽活動を続ける、ポピュラーミュージック史上のレジェンド中のレジェンド、ポール・マッカートニー。本作は、そんな彼のいままでの活動を追った評伝「ポール・マッカートニー伝」。著者は「ビートルズ研究家」を自称し、数多くのビートルズ関連の書籍で知られる、音楽評論家の藤本国彦による著作となります。ポール・マッカートニーは先日もアルバム「ダンジョン・レインの少年たち」をリリースし、話題となっていますが、そんなアルバムリリースに合わせるように出版された1冊です。

名前の通り、ポール・マッカートニーの半生を追った1冊で、彼の誕生からビートルズの結成、さらに解散後のWINGSとしての活動からその後のソロ活動まで網羅的に追った1冊となっています。まず全体的に非常にバランスが取れた、かつ比較的淡々と彼の活動を追った構成が魅力的。「評伝」と記載がされていますが、著者の変な思い入れのあるような記載もなく、著者独自の見解のようなものを入れることもなく、ある意味、非常にバランスの取れた記載でポールの半生を追いかけています。ポールの熱心なファンでなくても、あらためてポール・マッカートニーというミュージシャンがどのような歩みを進めてきたのか、とてもよくわかる内容となっています。

また、やはり今回の著書であらためて詳しく知ることが出来たのが、ビートルズ解散後の活動で、ビートルズ時代については、そのエピソードも含め、様々な著作が世に出ているため、ほとんど聴いたことあるようなエピソードばかりだったのですが、一方、ビートルズ解散後のポールの動向については、もちろんWINGS結成やその後のソロなど、リリースされている作品については知っているのですが、詳しいエピソードなどについては今回はじめて知ったことも多く、あらためてポールの活動の歩みを知ることが出来ました。

そしてそんな中でやはりクローズアップされるのはジョン・レノンとの関係。もともと著者は2020年に同じような評伝「ジョン・レノン伝」を出版しており、それの続きとなるそうで、前作「ジョン・レノン伝」の裏テーマが、ジョンとヨーコの物語であり、一方で本作の裏テーマはジョンとポールの物語、と記載しています。正直、「裏テーマ」というほどジョンとポールの物語が記載されていたようには思わなかったのですが、ただ、著書の中ではジョンとポールについての関連性について記載した箇所も多く、興味深く読み進めることが出来ました。

そこで特に感じたのは、やはりジョンとポール、永年の幼馴染の友人同士の彼らには、外からはわからない特別な関係性があるんだろうなぁ、ということでした。よく知られているエピソードとして、ジョン・レノンが発表した「How Do You Sleep?」がポールを批判した曲として、2人の確執について語られますが、ただ、これを読む限りでは、最終的には2人の仲は修復されたようですし、そもそもこの手のお互いのやり取りについても、この2人だからこそ許されるような関係性もあったようです。ジョンとポールの物語、という裏テーマの通り、お互いの関係性についても、あらためて知ることが出来ました。

さらにこの評伝で感じられるのは、ポールの人間性。どこか神格化されてしまった感のあるジョン・レノンと比べると、レジェンド中のレジェンドでありながらも、どこか親しみやすさを感じるのがポールで、本書でも「『うっかり発言』を無意識にしてしまうのもポールの魅力だ。」と記載されているように、大物然とした感じではなく、どこか抜けた部分も感じられるのもポールの大きな魅力に感じます。本書ではそんなポールの人間性あふれる部分もしっかりと感じられることが出来ました。

そんな訳で、バランスを取れた記述でポール・マッカートニーがどんなミュージシャンだったのか、そしてどういう人物なのかをあらためて知ることが出来た1冊で、よりポール・マッカートニーというミュージシャンを魅力的に感じられる、そんな1冊となっていました。文章もいい意味で癖がなく、非常に読みやすい文体。ビートルズのこと、ポールのことをより深く知りたい方にはうってつけの評伝でした。

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2026年7月18日 (土)

豪華なメンバーがズラリとならぶチャリティーアルバム

Title:HELP(2)

ロシアとウクライナの戦争や、アメリカとイランの戦争など、昨今、「戦争」が話題にのぼることが多く、きな臭い状況が続いています。そんな中で特に日本においては、なぜか「戦争反対」と言うこと自体が一部で「偏っている」と捉えられるような異常とも言える状況となっており、嘆かわしい状況となっています。そんな中、今回リリースされ大きな話題となっているのが、イギリスでリリースされたコンピレーションアルバム。War Childという慈善団体がリリースしたアルバムで、このWar Childという団体は「紛争を経験する子供たちの権利を保護し、教育し、擁護するために活動する」慈善団体だとか。もともと1995年にコンピレーションアルバム「The Help Album」をリリースし、当時大ヒットを記録し話題となったそうで、本作はその続編的なアルバムとなっており、慈善団体への寄付のためのチャリティーアルバムとなっています。

なんといっても豪華なのがその参加メンバーで、アルバムの冒頭を飾るのがArctic Monkeysの「Opening Night」。もともと2010年代初頭に書かれながら未発表だった曲を完成された作品で、約4年ぶりの新曲として話題とあんっています。ノイジーなバンドサウンドをバックにメランコリックに聴かせるナンバーとなっており、物悲しくもメロディアスな歌は、このアルバムの冒頭を飾るのにもピッタリとマッチしています。

その後も、これでもかというほど豪華なメンバーがズラリと並んでいる作品になっています。Wet LegやOlivia Rodrigoといった若手のミュージシャンたちから、Afro Parks、Big Thiefのようなオルタナティブなミュージシャン、さらにはDamon AlbarnやPulpといった大御所勢も参加していますし、さらにはDepeche Modeといったような、レジェンド的な立ち位置のミュージシャンも参加しています。さらに、CDではシークレットトラックとして、oasisの「Acquiesce」が収録。こちらは昨年の再結成ツアーの音源。他のミュージシャンたちが新曲かカバー曲を提供している中、ライブ音源なのはちょっと残念ですが、これはこれで貴重な音源となっています。

他にも聴きごたえある曲が並ぶ本作。Damon Albarnの新曲「Flag」は、Fountaines D.C.のフロントマン、Grian Chattenと、イギリスの詩人であるKae Tempestとの、本企画のためのコラボとなっていますし、「Lilac Wine」ではArooj AftabとBECKがコラボ。前半はArooj Aftabがスモーキーなサウンドで哀愁たっぷりに聴かせつつ、後半はBECKが入って徐々に賑やかになってくるあたり、BECKらしさを感じる展開を聴かせてくれます。

Depeche Modeの「Universal Soldier」はカバー曲なのですが、反戦曲として知られるナンバーだそうで、彼らの主張を感じます。力強くも物悲しさも感じるエレクトロチューンになっており、ベテランとしての底力も感じます。

その後もエリオット・スミスの「Say Yes」をカバーしたbeabadoobeeも、かわいらしくも感情たっぷりのフォーキーな曲調が魅力的。Fountaines D.C.の「Black Boys on Mopeds」も、後半、ノイジーなサウンドを力強く聴かせる展開となっており迫力あるバンドサウンドを聴かせてくれます。また、こちらも大ベテランPulpも新曲「Beggining for Change」を提供。先行シングルとなっているそうですが、疾走感あるロックンロール風のナンバーとなっており、ベテランになっても変わらない勢いを感じさせる作品となっています。

全体的に90年代以降のイギリスのオルタナティヴロック全体を概観できるようなラインナップになっており、オルタナ系ロックが好きなら文句なしに楽しめるコンピレーションアルバムになっていたと思います。基本的にこのコンピレーションのための新曲やカバーであり、アルバムの趣旨からして決して派手な作品はないものの、一方で各自の主張も感じられる良質な作品が並ぶコンピレーションに仕上がっていました。また、アルバム全体としてもバランスを考えた選曲、曲順になっており、ひとつの作品として楽しめる構成にもなっていました。ちなみに配信もされていますが、シークレットのoasis「Acquiesce」はCD限定のようなので、チャリティーという趣旨からしてもCDでの購入がお勧めです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

At Baker's Keyboard Lounge: The Complete Recordings/THE OSCAR PETERSON TRIO

ジャズピアニストのレジェンド、オスカー・ピーターソンが、1960年8月にBarker's Keyboard Loungeで行われた公演を完全収録したアルバム。メンバーはオスカー・ピーターソンのピアノをはじめ、ベースのRay Brown、ドラムスのEd Thigpenという「黄金期のトリオ」と呼ばれているメンバーがそろっており、オスカーの最盛期の貴重な音源となっています。完全収録ということで、その場の空気がそのままつまったようなアルバムとなっており、客席も100席程度の小さなクラブだったようで、客席との親密さを感じる距離感も感じられるアルバム。全体的には、これぞジャズといった感じの王道な作風となっているのですが、オスカーの魅力を存分に感じされるアルバムでした。

評価:★★★★★

LTD Vol.1:North Face Nace/Starker

Ltd1

今回紹介するStarkerは、ニューヨークのアンダーグラウンド・ヒップホップシーンを代表するMCのひとり。ドラムレスなブーンバップのサウンドに、ハイテンポのラップが特徴的。ジャズやソウルの要素を強く感じさせるメロウでちょっとレトロなトラックが耳を惹き、またハイテンポのラップも目立ちます。このメロウなトラックと、高速のラップのギャップがなかなかユニークでかつ独特な印象を受けます。全19曲ながらもアルバム全体の長さが32分というのも特徴的で、次々とテンポよく展開する作品です。

評価:★★★★

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2026年7月17日 (金)

現在のボカロシーンについて紹介

今回は最近読んだ書籍の感想です。

「ボカロが世界に与えた衝撃ー一億回再生の意外な背景」。タイトル通り、現在、音楽シーンを席巻しているボーカロイド音楽について、特に世界的に評価を受けている現象を中心に、このボーカロイド音楽を巡る背景について紹介・分析した1冊となります。

個人的には、以前から当サイトでも取り上げている通り、このボーカロイドというソフトとそれによって生み出された音楽の潮流については非常に興味深く見ています。というのはこのボーカロイドの大きな特徴として、いままで自ら音楽を作るにはどうしても避けて通れなかった「ボーカル」というパートが、これによって機械に任せることが出来るようになったという点があげられます。これにより、いままで音楽によって自らを表現したくても、「ボーカル」が見つからなかったことによって表現できなかった層が、自らの主張をボーカロイドにのせて広く世の中に表現できるようになり、これは、音楽を演る敷居が大きく下がったという意味では、60年代の自作自演ミュージシャンの登場、70年代のパンク音楽の登場、80年代のHIP HOPの登場と並ぶ、ポピュラーミュージックの大きな変動に近い現象にすら感じています。

特にその結果、新たな「表現者」として登場してきたのが、社会の中で鬱屈した思いや孤独をかかえつつも、コミュニケーションが決して上手くないため、自らボーカルを取る自信もなければ、他のボーカリストを探してくるようなことも出来ないような人たち・・・今の言葉で言えば、いわば「陰キャ」と言われるような人たち。同書でも、楽曲ガイドとして「これだけは押さえておきたいボカロ音楽」として「生と死の葛藤/自己存在の危機/孤独と断絶、孤独感/関係性の痛み、愛と傷/社会との軋轢、抑圧と反抗」というテーマで50曲のボカロ曲を紹介していますが、まさにこのテーマ性は、いままで社会の中で自らを表現できなかったものの、ボーカロイドという武器を手に入れたことによってはじめて自らを表現することが出来た「陰キャ」たちの心の叫びをあらわしている、といっていいでしょう。

本書では、特に「世界に与えた衝撃」という点をテーマに、特にボカロPの中でもワールド・ツアーを成功させたきくお、そして2015年にわずか20歳をいう若さでこの世を去ったボカロP、椎名もたに焦点をあてて楽曲の紹介、分析を行っているほか、現在のボカロシーンについて様々なコラムで紹介し、概括的な分析を行っています。個人的にはきくおについても椎名もたについても楽曲を聴いたことがなく、本書をきっかけにはじめて知ったミュージシャン。そのため、これを機に、彼らの曲を聴いてみなくては、という思いを強く受けました。

コラムでも、特にボカロシーンを中心としつつ、いわゆるボカロ小説や「歌い手」、また音楽シーンの流れとしてのハイパーポップという分野についても紹介し、ボカロシーンにからむ文化についても様々に紹介。ボカロシーンについて様々な切り口で紹介しており、このシーンについて幅広く理解できるような構成になっています。まさに現在のボカロシーンについて概括的に捉えた1冊であり、私も本書でいろいろと勉強になることの多い1冊でした。

ただ一方、何点か気になる部分も少なくありませんでした。まず1点が「世界に与えた衝撃」という、本書の主軸になっている部分。確かにボカロが海外に与えた影響は多かれ少なかれあるのでしょう。ただ、具体的にその影響がどの程度なのか、本書ではいまひとつわかりません。残念ながらビルボードやイギリスのチャートを見ても、上位にボカロ関連の曲があがってくることはありませんし、メインストリーム的にボカロが話題になっている、というニュースはあまり聴きません。おそらく「影響を与えている」といっても現時点ではアンダーグラウンドの一部のシーンに留まるのでしょう。そこらへんの影響がどの程度なのか、いまひとつ客観的なデータが見えてこないだけに、この「世界に与えた衝撃」というサブタイトルは、ともすれば過大な煽り的にも感じられてしまいます。

2つ目として、ボカロの表現として、社会の中で孤立したような人たちの叫びばかりにスポットをあてているような印象を受けてしまう点でした。昨今のボカロシーンとして一方では、例えばおととし大ヒットした「強風オールバック」や昨年ヒットした「好きな惣菜発表ドラゴン」のように、ノベルティーソングもひとつの大きな潮流となっていますし、メジャーでは絶対に流れてこないような、この手の脱力系ソングもまたボカロの大きな魅力と思っています。また、歌詞についてばかりスポットがあてられている点もあり、原口沙輔や東京真中のようなサウンド面でおもしろいことをおこなっているボカロPについても取り上げられていません。正直言うと、その点、ボカロ系の音楽が、ともすれば「陰キャの叫び」的な表層的なイメージで捉えられかねない内容になっている点が非常に気になりました。

この2点については気になる点としては正直結構大きなポイントで、特に2点目については、本書の構成的にあえてスポットを絞ったのかもしれませんが、ボカロ系を概括的に取り上げた冊子としては若干、一面的になってしまっているのではないか、という点が気になりました。もうちょっと音楽的に深掘りして、ボカロ系を紹介するようなガイドブックが欲しいかも。興味深い記事も多い1冊でしたが、ちょっと気になる点も目立ってしまった、そんな1冊でした。

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2026年7月16日 (木)

BTSとHANA、返り咲き

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100とは異なり新譜は少な目。ロングヒット盤が上位に返り咲いています。

まずBTS「ARIRANG」は6週ぶりの1位返り咲き。通算10週目の1位獲得となりました。ストリーミング数は17週連続1位。ベスト3&ベスト10ヒットも17週連続となっています。さらにHANA「HANA」も4位から3位にアップ。こちらは3週ぶりにベスト3返り咲き。こちらもストリーミング数は17週連続の2位を獲得。通算16週目のベスト3ヒット&ベスト10ヒットは20週連続となりました。

2位は韓国の男性アイドルグループRⅡZE「Ⅱ」が初登場で獲得。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上4万4千枚で1位初登場。前作「ODYSSEY」の初動3千枚(10位)からアップ。

4位以下初登場盤は1枚のみ。8位にPSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「DIFFERENT」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数19位。また、ベスト10返り咲きも2作あり、まずMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週の13位から9位にアップし、3週ぶりのベスト10返り咲き。ベスト10ヒットはこれで通算70週目に。またなにわ男子「ND5」も先週の16位から10位にアップし、2週ぶりにベスト10返り咲きを果たしています。

ほかのロングヒット盤ではILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が8位から4位にアップ。こちらは10週連続のベスト10ヒットとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songs1位はM.Sasuke「GG EZ」が獲得。M.SasukeはAIツールを導入した楽曲制作が話題となっているミュージシャンだそうで、本作はダンスカバーがネット上で注目を集め、BTSのJUNG KOOKがこの曲を使用したダンス動画を投稿するなど、話題となっているそうです。ストリーミング数で16位を獲得。Hot100でも26位にランクインしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャート1位は電キ鯨「童話になったらいいのに」が初登場で獲得。電キ鯨は2018年にデビューしたボカロP。いままで「クーネ・エンゲイザー」などがヒットを記録しています。2位はAnythingBecomeMoe「ヤラララ(YARARARA)」がワンランクダウン。3位にはナナホシ管弦楽団「LADY BUG」が初登場。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年7月15日 (水)

アイドル系の新譜が目立つチャートに

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週までのロングヒットが目立つチャートから一転、今週は新譜ラッシュとなりました。

今週1位を獲得したのは旧ジャニーズ系、Snow Manのデジタルシングル「グッタイム」が獲得。ダウンロード数1位、ストリーミング数5位、ラジオオンエア数2位で、総合順位で1位獲得となっています。

2位も初登場。スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループBUDDiiS「キミは都市伝説」がランクイン。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上9万2千枚で2位初登場。前作「SM:)LE」の9千枚(7位)よりアップ。

3位にはハロプロ系女性アイドルグループOCHA NORMA「ダントルで愛して」が初登場。CD販売数2位。オリコンでは初動売上8万4千枚で3位初登場。前作「女の愛想は武器じゃない」の初動6万8千枚(3位)からアップ。

4位以下の初登場は、5位に男性アイドルグループパンダドラゴン「IDOL OF POP」がランクイン。CD販売数3位。オリコンでは初動売上10万6千枚で1位初登場。前作「Winter Song 防衛隊」の初動12万1千枚(1位)からダウンしています。

また、今週8位に、アソビシステム所属の女性アイドルグループSWEET STEADY「SWEET STEP」がベスト100圏外からランクアップし、4月1日付チャート以来のベスト10返り咲きとなっています。返り咲きの理由は不明ですが、シングルの発売リリースイベントを行っており、その販売分がまとめて加味された影響でしょうか?

一方、今週は新譜が多かった影響で、ロングヒット曲は軒並みダウン。まずM!LK「好きすぎて滅!」は3位から6位に、「爆裂愛してる」は5位から10位にダウン。それぞれベスト10ヒットは32週連続及び22週連続に。ただし、「好きすぎて滅!」はストリーミング数が4位から2位にアップしています。

サカナクション「夜の踊り子」も4位から9位にダウン。これで10週連続のベスト10ヒット。ストリーミング数は3位から4位、動画再生回数も5位から7位にダウンと、全体的に下落傾向となっています。

さらに米津玄師「IRIS OUT」は6位から12位、嵐「Five」は9位から18位と、それぞれベスト10陥落。「IRIS OUT」は通算41週、「Five」は通算10週でベスト10はストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャート!

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2026年7月14日 (火)

50年かけてつくったアルバム

Title:1976
Musician:奇妙礼太郎

先日の「森、道、広場」で久しぶりに奇妙礼太郎のライブを見てきました。海をバックにしたステージでのライブで、海辺という雰囲気にもピッタリとするアコースティック主体で、いい意味での脱力感のあるほんわかとしたステージに魅了されてきました。その後見た、坂本美雨のステージにもゲストとして参加し、そちらでも肩の力の抜けたボーカルを聴かせてくれていました。

そんな彼の最新作「1976」。この数字は彼の生年である1976年に由来しているとか。今年は彼にとって50歳という節目の年であり、さらに7月3日には、なんと自身初となる日本武道館での単独ライブも行われるなど、まさに彼にとって区切りの年とも言える今年。このアルバムも自身が「たぶん50年かけて作りました。」とコメントしており、いままでの彼の集大成とも言える作品になっています。

ただ、そんな集大成的なアルバムですが、それゆえに非常にシンプルに「歌」を聴かせるアルバムになっていました。CMのタイアップ曲にもなっている「元気でやってるか」は、まさにタイトル通り、ピアノやホーンが祝祭色を感じる明るく歌い上げるポップチューン。TBS系ドラマ「終のひと」の主題歌にも起用された「愛がすべてのこと」も、ピアノやホーンでメロウにソウルに聴かせるナンバーですが、こちらもどこか明るさを感じさせる「歌」を主軸とした作品になっています。

その後もフォークやソウル、ジャズ、ブルースなどの要素を取り入れ、音楽的な素養の高さを感じさせつつ、基本的にはあくまでも「歌」を聴かせるシンプルな作風に終始しています。しんみりフォーキーに聴かせる「silvers」やブルージーでムーディーな「Budda Beat Clubへようこそ」、バンドサウンドをバックに力強く歌い上げる「陽炎」、最後はジャジーなピアノを入れて力強く歌い上げる「わたしのうた」はタイトル通りに自らを見つめなおし、そして肯定するという、明るく前向きな精神を感じさせるナンバーで締めくくり。まさに50年の集大成にふさわしい締めくくりと言えるでしょう。

さらに今回のアルバムの特徴としてはカバー曲が多く収録されている点。アルバム冒頭から「オー・シャンゼリゼ」からはじまりますし、さらに「愛の讃歌」、さらに「いとしのエリー」のカバーにも挑戦しています。選曲に関してはお決まりのナンバーといった感じで、ある意味、非常にベタな感じもするのですが、これらのカバーはカバーで、奇妙礼太郎のボーカリストとしての魅力を強く感じる仕上がりとなっています。「オー・シャンゼリゼ」はどこか脱力感ある気の置けないボーカルが彼らしいですし、「愛の讃歌」はシャンソンの名曲を力強く歌い上げ、ボーカリストとしての力量を感じさせるカバーに。「いとしのエリー」も、彼らしい素朴なボーカルにより、サザンの原曲とはまた異なる魅力を感じさせるカバーに仕上がっていました。

奇妙礼太郎というと、アニメーションズ、天才バンド、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団と、数々のバンドやグループのボーカルとして曲を発表してきましたが、50年の区切りの年に、やはりソロの、奇妙礼太郎という生身のひとりの人間としての、「歌」にスポットをあてたアルバムをリリースしているあたり、このシンプルな「歌」こそが彼の原点である、ということを主張しているようにも感じました。そして今回のアルバムに関しては、そんな奇妙礼太郎のシンガーソングライター、そして「歌手」としての魅力を存分に感じられる作品になっていたように感じます。決して派手ではありませんし、挑戦的でもありません。以前の彼の作品でよく見られた、エロをテーマとした飛び道具的な作品もありません。あくまえでも「歌」に向き合った1枚。シンプルがゆえに聴きごたえある作品でした。

評価:★★★★★

奇妙礼太郎 過去の作品
More Music
ハミングバード
たまらない予感
奇妙礼太郎
オールウェイズ


ほかに聴いたアルバム

Éclore/GLIM SPANKY

ベスト盤リリースを経てリリースされたGLIM SPANKYの新作は、いままでよりもグッとポップでメロディアスな色合いが増えた作品に。もともとGLIM SPANKYといえばゴリゴリのルーツ志向の楽曲が魅力的な一方、ちょっと中途半端にJ-POP寄りといった印象も受けたのですが、今回のアルバムに関しては、「春色ベイビーブルー」のようなポップ色が強い作品もあり、その点にもっと振り切れたように感じます。もちろん、いままでの通り、ルーツ志向の強い作品もあり、また、ボーカル松尾レミのスモーキーなボーカルを生かしたスタイルも相変わらず。ベスト盤リリース後、新たな一歩を踏み出した感のある新作。この方向性が今後、さらなるケミストリーを生み出すのか・・・注目したいところです。

評価:★★★★

GLIM SPANKY 過去の作品
ワイルド・サイドを行け
Next One
I STAND ALONE
BIZARRE CARNIVAL
LOOKING FOR THE MAGIC
Walking On Fire
Into The Time Hole
The Goldmine
All the Greatest Dudes

Excuse Error/WANIMA

WANIMAの新作は、7曲入りのミニアルバム。WANIMAといえば、いわゆる陽キャの典型みたいな形でネットミーム的に写真が使われたりもするのですが、今回のアルバムでは内省的な歌詞も覗かせ、単なる明るいだけの彼らではない姿を垣間見せる楽曲も。ただ、とはいえ全体的には彼ららしいメロディアスパンクの曲がメインとなっており、パッと聴いた感じだけだと、いつものWANIMAらしさが継続されています。ただ、そんな中で新たな歩みも感じさせる作品となっており、今後の展開も気になってくる、そんな1枚でした。

評価:★★★★

WANIMA 過去の作品
Are You Coming?
Everybody!!
COMINATCHA!!
Cheddar Flavor
Fresh Cheese Delivery
愛彌々(MONGOL800×WANIMA)
Catch Up
愛彌々2(MOGOL800×WANIMA)
Sorry Not Sorry

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2026年7月13日 (月)

脱力感ある内容ながらも音楽的にはクオリティーの高い傑作

Title:エナジー風呂
Musician:U-zhaan&Ryuichi Sakamoto feat. 環ROY×鎮座DOPENESS

なんか、タイトルだけで脱力感があるのですが・・・本作は、日本を代表するタブラ奏者とかの坂本龍一がコラボし、さらに環ROY×鎮座DOPENESSによるラップが加わった「エナジー風呂」を軸とした4曲入りのEP盤。もともと2019年に発表した表題曲、さらに2018年にリリースされた坂本龍一の「energy flow」をU-zhaanがリメイクした「energy flow-rework」に、さらに新曲2曲が加わるという構成になっています。

この「エナジー風呂」という作品。言うまでもなく1999年に坂本龍一が発表して大ヒットを記録した「energy flow」のリメイク。「flow」と「風呂」をかけたおやじギャグ的な作品なのですが、そのおやじギャグテイストを引き継いだコミカルさを残しつつ、一方では音楽的には非常にユニークな作品に仕上がっています。ピアノのパートをタブラにがらっと置き換えて、さらにお風呂を絶賛するコミカルながらもクオリティーの高いラップが加わり、さらにサウンド的にはエクスペリメンタルの要素が加わった作品。ユーモラスな作品ながらも、音楽的にはかなり挑戦的な作品となっています。

ちなみに「energy flow-rework」は、この「エナジー風呂」からラップパートだけ抜いた作品になっているので、「エナジー風呂」のサウンド的な実験精神の高さを実感できる作品に。一方、2曲目「天然エナジー風呂」はタブラをメインにもってきていた「エナジー風呂」と異なり、こちらはオリジナルの「energy flow」をアレンジしたような作風。坂本龍一のピアノを軸に、タブラとラップを彩り的に添えた感のある作品。これはこれで「エナジー風呂」とは異なる魅力を感じることが出来ます。

さらにYMOの「テクノポリス」のカバー。メロディーラインをトランペットとピアニカに置き換えてタブラを加えた脱力感あるユニークなアレンジに。ラップというよりもトークのように展開されるラップもユニーク。実はこの曲ではじめて「テクノポリス」のポリスって警察じゃなかったと気が付きました(笑)。ちなみに新録音ながらも、ピアニカは坂本龍一本人による演奏のようで、ちょっと前に録音していたってことでしょうか。かなり貴重なセッションとなっています。

4曲のみのEPで、うち3曲が「energy flow」のリアレンジという内容なのですが、4曲が4曲ともそれぞれの特徴を持っており、非常に聴きごたえのあるEP。また、ユーモラスで聴いていて楽しくなる内容ながら、音楽的にはかなりレベルの高いことを演っているという意味でも、文句なしに傑作と言える作品でした。

評価:★★★★★

U-zhaan 過去の作品
TABLA ROCK MOUNTAIN
2 Tone(蓮沼執太&U-zhaan)
HENCE(OREN AMBARCHI,JIM O'ROURKE AND U-ZHAAN)
たのしみ
(U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS)
Good News(蓮沼執太&U-zhaan)
Tabla Dhi,Tabla Dha

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS
Year Book 1985-1989
「天命の城」オリジナル・サウンドトラック
BTTB-20th Anniversary Edition-
BLACK MIRROR : SMITHEREENS ORIGINAL SOUND TRACK
Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020
12
サウンドトラック「怪物」
TRAVESIA RYUICHI SAKAMOTO CURATED BY INARRITU
The Best of Tohoku Youth Orchestra 2013~2023(東北ユースオーケストラと坂本龍一)
Opus


ほかに聴いたアルバム

JEKYLL/HYDE

ご存知ラルクのボーカリストによるソロアルバム。今回の作品ではオーケストラによるサウンドを中心に据えて、映画音楽やジャズの要素を取り入れた、全体的にメランコリックに聴かせるアルバムになっています。いままでのハードな作風から一転し、「静」のアルバムになっている本作。いわば「ハイド」に対して「ジキル」という、彼の二面性をあらわしている、といった感じでしょうか。耽美的でメランコリックな雰囲気は基本的に変わりませんが。

評価:★★★★

HYDE 過去の作品
HYDE
ANTI
HYDE[INSIDE]

フジエダEP/ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジカンの新作は4曲入りEP。アジカンの後藤正文が中心となって設立した音楽支援NPO「アップルビネガー音楽支援機構」が静岡県藤枝市に開設した、滞在型レコーディング施設「MUSIC inn Fujieda」で制作されたことからこのタイトルがついています。4曲入りのEPですが、ある意味、アジカンの王道とも言うべき疾走感あるギターロック「膝栗毛」からスタートし、分厚いサウンドでメランコリックに聴かせる「おかえりジョニー」、沖縄民謡風のスピッツのカバー「ナンプラー日和」、ミディアムテンポで郷愁感をおぼえる「ペダルボート」と、わずか4曲ながら、四曲四様にアジカンの魅力を切り取ったような曲が並んでおり、アジカンの魅力をしっかりと伝えるEPになっていました。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future
ソルファ(2016)
BEST HIT AKG 2(2012~2018)
BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"
BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"

ホームタウン
プラネットフォークス
サーフ ブンガク カマクラ(半カートン)
サーフ ブンガク カマクラ(完全版)
Single Collection

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2026年7月12日 (日)

暖かいパフォーマンス ロックバンドとしての魅力も

STEREOLAB Japan Tour 2026

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2026年6月30日 19:00~

今回は、90年代から活動するポップスロックバンド、ステレオラブのライブに行ってきました。来日公演は実に約17年ぶりということ。会場はおおよそ7割程度の人の入りといった感じで、比較的余裕を持ってみられる感じに。ただ、他の外タレの公演と比較しても、外国人の割合が多かったのが印象的。なぜでしょうか?

ライブは19時5分くらいにスタート。メンバーが登場し、1曲目は「Aerial Troubles」から。1曲目が終わった後に、ボーカルのレティシア・サディエールが「ありがとう、こんばんは」と日本語で挨拶してくれました。

Stereolablive1

その後、「Vermona F Transistor」ではレティシアがトロンボーンの演奏も披露。

Stereolablive2

全体的にギターロックにシンセのサウンドを取り入れた、ちょっと懐かしい感じのするネオアコ風のサウンドで楽しませてくれますが、そんな中、「Peng!33」は彼女たちの作品の中でも特にオルタナティブロックの色合いが強いナンバーとなっており、会場を沸かせ、前半のライブの中でもちょうどよいアクセントとなっていました。

続く「The Flower Called Nowhere」の後には簡単なMC。「調子はどう?」という会話はわかりました(笑)。その後は「Melodie Is a Wound」へ。シンセが入ったメロディアスなギタポを心地よく聴かせてくれます。ただラストはサイケなバンドセッションが入り、ロックバンドとしてのステレオラブの側面も覗かせます。

その後は再び簡単なMCへ。こちらもすべては聴き取れませんでしたが・・・途中、「No More War」という訴えがあったのが印象的。もともと社会派な側面もあるバンドだそうで、彼女たちのそんなスタンスを感じさせます。さらに「ちょっと寒い」と、レティシアは上着を取り出して、その後は上着を羽織ってのステージに。

続いては「If You Remember I Forgot How to Dream」へ。こちらでもトロンボーンが入って軽快なパフォーマンスを聴かせてくれます。

Stereolablive3

その後も「Miss Modular」ではダンサナブルなリズムで盛り上げたり、「Esemplastic Creeping Eruption」では力強いバンドサウンドで再びロックバンドとしての側面を聴かせてくれたりと会場を盛り上げます。

簡単なMC(フランス語だったと思います・・・)を経て、本編ラストは「Electrified Tennybop!」へ。最後は力強いビートを聴かせてくれ、会場が盛り上がる中、まず本編は幕を下ろしました。

もちろん会場からはアンコールが起こるのですが、その後比較的すぐにメンバーが戻ってきてアンコールがスタート。アンコール1曲目は「Immortal Hands」へ。こちらはしんみり聴かせるナンバー。途中には再びトロンボーンも登場し、会場の雰囲気はしっとりした感じとなります。

そしてラストは「Cybele's Reverie」へ。こちらは明るい軽快なギタポで会場は再び盛り上がりました。

Stereolablive4

最後は「サンキュー、メルシー、ありがとう」と3か国語で挨拶。みんなでピースサインで盛り上がり、最後、レティシアは胸の前で手でハートマークをつくり、かわいらしく退場し、ライブは終了となりました。

終了時間は8時35分。約1時間半というちょっと短めのステージで、比較的シンプルなライブだったのですが、最後にレティシアの作ったハートマークがあらわされるように、全体的にハッピーで暖かい雰囲気の漂うステージでした。時折はさまれるヘヴィーなバンドサウンドに彼女たちのロックバンドとしての魅力を感じつつ、軽快なポップチューンが非常に魅力的なステージ。約17年ぶりということでなかなか貴重な来日公演でしたが・・・また来日ライブが行われたら、是非とも足を運びたいなぁ。

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2026年7月11日 (土)

よりロック色を強めた久々の新作

Title:Believe
Musician:本日休演

京都在住3人組ロックバンド、本日休演。前作「MOOD」ではじめて彼らの音源に触れたのですが、独特なサウンドで彼らだけの特別な世界観を提示するバンドで、一発で気に入り、2021年の私的年間ベストアルバムで2位にランキングさせるなど、個人的にかなりお気に入りの1枚となりました。

その後、アルバムのリリースからはしばらく遠のいていたのですが、前作「MOOD」から約5年。待望のニューアルバムがリリースされました。前作「MOOD」ではある種のアングラ的な雰囲気を感じる独特の雰囲気が大きな魅力でした。今回のアルバムに関しても、ある種「アングラ」的と表現されそうな、ちょっとくすんだ退廃的な雰囲気が魅力的に感じられる作品に仕上がっていました。

ただ一方、前作からもまた変化した要素もあり、その最大な要素が、全面的にバンドサウンドを取り入れてサイケデリックな側面やロックな側面をより強調したアルバムに仕上がっているという点。イントロを挟んだ事実上の1曲目「FALLIN' ANGEL」は、サイケ味のあるノイジーなギターが特徴的なロックチューン。ちょっとレトロな雰囲気は彼ららしいものの、ガレージ色も強い作品に。続く「巻上がる祝風」もサイケデリックフォークなナンバー。メロも明るい雰囲気があり、歌詞も前向きな要素がありつつ、どこか退廃的な雰囲気を醸し出している点も彼ららしさを感じます。

その後もファンキーなギターが特徴的な「信じられない」や、モータウンビートを取り入れたダンサナブルなビートを聴かせるガレージチューン「踊りと呪文」、ドリーミーなサイケチューン「雲の通り道」など、中盤もバンドサウンドを生かしたナンバーが並びます。ただ、その中でも特にバリエーションの富んだ作品が中盤には並び、バンドとしての音楽性をより広げるような展開を見せてくれます。

後半の「BURNING EMOTION」もテンポよいバンドサウンドながらもアングラな雰囲気も漂わせるナンバーとなっており、ある意味、前作「MOOD」の雰囲気をより残したようなナンバーに。そしてラストを飾る「SUNNY GIRL」はミディアムテンポで聴かせるフォーキーな作風ながらも、ノイジーで力強いサイケなバンドサウンドが加わるサイケフォークなナンバー。このアルバムを象徴するような締めくくりとなりました。

このように、全体的にバンドサウンドを取り入れたロックやサイケの方向性が明確になった作品。より実験的、挑戦的な楽曲も増えて、バンドとしての音楽性を広げる作品となっています。ただ、前作のような独特な、ダウナーでアングラ的と言えるような雰囲気はちょっと薄れ、その点、アルバムとしての一貫した雰囲気やバンドの独自性はちょっと薄まったような感もあります。個人的にもそういう点で前作は超えられなかったかな、とも思いつつ、本作も本作で、また彼らの実力をしっかり示してくれる傑作であることは間違いないと思います。今後の活躍も楽しみになる1枚です。

評価:★★★★★

本日休演 過去の作品
MOOD
LIVE 2015-2019


ほかに聴いたアルバム

A BAND/大橋トリオ

大橋トリオのアルバムは、「ロック」をテーマに掲げた作品で、タイトル通り、バンドサウンドを前に押し出したサウンドが特徴的なアルバムになっています・・・・・・が、正直言ってしまえば、いわゆる大橋トリオらしさからあまり変化はありません。確かに、アルバム冒頭の「シナリオ」のような、バンドサウンドを前に押し出した曲は少なくありませんが、いつもと同様、ジャジーでメランコリックなサウンドというスタイルはいつもと変りなく。音を絞ったサウンドも結果としてアコースティックなサウンドの感触と大きな変化はなくなっています。これはこれで洗練した大人なサウンドが大橋トリオの良さ、とも言えるのですが・・・。もちろん、いい意味で安心して聴ける1枚であることは間違いありませんが。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS
THUNDERBIRD
This is music too
NEW WORLD
ohashiTrio best Too
ohashiTrio collaboration best -off White-
カラタチの夢
Trio&Charm(大橋トリオ&THE CHARM PARK)
GOLD HOUR
MONO-POLY

[SKA]SHOWDOWN/東京スカパラダイスオーケストラ

スカパラの新作は、2022年から続けてきた「VS.シリーズ」の集大成的なアルバムで、稲葉浩志や浅井健一というレジェンドクラスのベテランから、アイナ・ジ・エンド、Chevonといった若手ミュージシャン、さらにはムロツヨシまで、様々なミュージシャン(+α)とコラボを行っています。アイナ・ジ・エンドとのコラボ「崖っぷちルビー」ではHIP HOP風の要素が入ったり、ALIとのコラボ「サボタージュ」ではファンキーになったりと、コラボ先に応じたバリエーションのある作風が特徴的。稲葉浩志とのコラボ「Action」は完全に稲葉浩志の作品となっているのはさすがといった感じ。浅井健一の「盗まれたZIPANGU」は、このタイトルといい、最近、悪い意味で保守化してしまった浅井健一の思想から、排外主義を煽っているのではないか、という懸念もあったのですが、内容的には特にそんな部分はなく、こちらは素直に浅井健一らしいカッコよさが出ている作品に。ただ、全体的にはポップな作品が多く、2022年からのコラボ作に共通するのですが、スカパラのカッコよさ、やばさがあまり出ていないような感じ・・・。聴きやすい作品でしたが、ここ数年の彼らの作品と同じく、ちょっと残念にも感じる作品でした。

評価:★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
GLORIOUS
2018 Tour「SKANKING JAPAN」"スカフェス in 城ホール" 2018.12.24
TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~
SKA=ALMIGHTY
S.O.S. [Share One Sorrow]
JUNK or GEM
35
NO BORDER HITS 2025→2001 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜

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2026年7月10日 (金)

コミカルでちょっとミステリあるな天才ピアニストの生涯

今回は最近見た音楽関連の映画の紹介です。

「ジェイムズ・ブッカー/愛すべきピアノ・ジャンキー」。主に60年代から70年代に活躍した、ニューオリンズ生まれニューオリンズ育ちのピアニスト。自らの名前での作品以上に数多くのミュージシャンへのセッションピアニストとしての参加で知られており、ウィルソン・ピケット、B.B.キング、リトル・リチャードなど、そうそうたるミュージシャンたちのバックでピアノをプレイしていたピアニストです。

本作は、そんなジェイムズ・ブッカーの生涯を追ったドキュメンタリー。彼と関わった様々なミュージシャンや人物がブッカーについて語っていきます。その面子たるや、ドクター・ジョン、アラン・トゥーサン、チャールズ・ネヴィルなどまさにそうそうたるメンバーがズラリ。いかにブッカーが様々なミュージシャンたちに影響を与え、そしてリスペクトを受けていたのかがわかります。

ただ、正直、本作、音楽ドキュメンタリーとしてよく出来ているかどうか、と言われれば微妙なところ。基本的にこの手のドキュメンタリーにありがちな、当時にミュージシャン本人の映像を間に挟みつつ、関係者のボトムアップの映像での証言をつなぐようなスタイル。この点、あまり面白味のある展開ではありませんし、全体的にいまひとつ説明不足の感もあり、ジェイムズ・ブッカーの生涯について、初心者にとってはわかりにくさを感じる部分も少なくありませんでした。

また、この手のドキュメンタリーは、貴重なライブ映像を見れる、というのが大きな売りなのですが、残念ながらそういった映像は多くありません。基本的にジェイムズ・ブッカーについてはセッション・ピアニストという側面が大きいのでしょう、当時のライブ映像については限定的であり、本作の中でもあまり多く見ることが出来ません。そういう意味ではちょっと残念にも感じました。

ただ一方で、この映画を見終わった後、やはりジェイムズ・ブッカーはどのようなピアノを弾いていたのか、俄然、興味は出てきました。正直言えば、私自身、ジェイムズ・ブッカーというミュージシャンについてはこの映画ではじめて知りました。セッション・ミュージシャンでの活躍がメインだったために、なかなか名前が出てこないということもありますし、また、彼はクラッシックからソウル、ジャズ、ブルースなど幅広いジャンルのピアノを弾いていたのですが、えてしてこのような「幅広い音楽を手掛ける」ミュージシャンは焦点がぼけてしまい、逆にいろいろなメディアに取り上げられずらくなるような感じもします。

ただ、この映画では、ジャズピアニストのハリー・コニックJr.が彼のピアノプレイの特徴やその難しさをしっかりと解説。彼のピアノの聴きどころについてもしっかりと解説してくれますし、またジェイムズ・ブッカー本人の映像にしても、片目の視力を失ったためにつけている眼帯がどこか怪しげでありつつも、おしゃれでかつコミカル、洒脱な印象を受ける外見が魅力的。その片目を失った経緯もいまひとつ不明という点もどこかミステリアスで彼の魅力を引き上げています。

そういう意味では見終わった後、しっかりジェイムズ・ブッカーの魅力を感じ、かつ、彼の作品を聴きたくなる、という点で、本作は映画として十分すぎるほど「成功している」と言えるのかもしれません。彼自身、ちょっとマニアックなミュージシャンであるため、万人にお勧めという感じではないのですが、ソウルやブルースが好きな方、ニューオリンズの音楽が好きな方はチェックして損のない、そんな作品でした。

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2026年7月 9日 (木)

今週もアイドル系が並ぶチャートに

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は再びアイドル系が上位に並ぶチャートとなっています。

まず1位初登場はNiziU「Portfolio」。CD販売数2位、ダウンロード数3位。彼女たち初となるベストアルバム。オリコン週間アルバムチャートでは初動売上8万枚で2位初登場。直近のオリジナルアルバム「New Emotion」の初動17万4千枚(1位)からダウンしています。

2位はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループICEx「FRESH!!」がランクイン。CD販売数はこちらが1位でしたが、ダウンロード数は13位と伸び悩み、総合チャートでは2位に。オリコンでは初動売上8万2千枚で、こちらが1位獲得。前作「Retro Toy Pop」の初動3万7千枚(2位)からアップ。

3位はBTS「ARIRANG」が先週と同順位をキープ。ストリーミング数は今週も変わらず1位で、これで16週連続1位に。ベスト3&ベスト10ヒットも16週連続に伸ばしています。

4位以下の初登場盤では、5位に浦島坂田船「TA1300」が初登場。CD販売数3位。6位にはTOMORROW×TOGETHER「7TH YEAR:A Moment of Stillness in the Throns」が初登場でランクイン。韓国盤のミニアルバム。CD販売数4位。

一方、ロングヒット盤ではHANA「HANA」は先週の5位から4位にアップ。これでベスト10ヒットは19週連続に。ストリーミング数は16週連続の2位。また、ILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」は先週の7位から8位にダウン。こちらは9週連続のベスト10ヒットを記録しています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songs今週の1位はSIX LOUNGE「君が眩しいから僕は星が見えない」が初登場でランクイン。SIX LOUNGEは2012年に結成し、2015年にインディーデビューを果たした中堅の3人組ロックバンド。本作は2024年にリリースされたEP「All Right」の収録曲ですが、TikTokをきっかけに話題となり、今週、見事Heatseekers Songsで1位を獲得しました。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はAnythingBecomeMoe「ヤラララ(YARARARA)」が2週連続の1位を獲得。2位はナユタン星人「でぃすこみゅーたんと!」が、3位はなきそ「い咒り」が、それぞれ初登場でランクインしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年7月 8日 (水)

今週もロングヒット系が目立つチャートに

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は先週に引き続き、ロングヒット曲が目立つチャートとなっています。

とはいえ、まず1位にはBE:FIRST「Missing」がランクイン。CD販売数、ダウンロード数、ストリーミング数、ラジオオンエア数及び動画再生回数と、すべてのチャートで1位を獲得しています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上9万4千枚で1位初登場。前作「BE:FIRST ALL DAY」の初動5万3千枚(4位)からアップしています。

2位は米津玄師「烏」が先週より同順位をキープ。ただし、ストリーミング数は1位から2位に、ラジオオンエア数及び動画再生回数は2位から6位にダウンしています。一方「IRIS OUT」は、こちらも先週と変わらず6位をキープ。動画再生回数7位は先週から変わりませんが、ストリーミング数は3位から5位にダウンしています。これで通算41週目のベスト10ヒットとなりました。

3位はM!LK「好きすぎて滅!」が4位からアップし、昨年12月31日付チャート以来のベスト3返り咲き。ストリーミング数は4週連続の4位。ただし動画再生回数は1位から2位にダウン。これで31週連続のベスト10ヒットとなりますが、意外なことにベスト3ヒットはこれで2週目。一方、「爆裂愛してる」は先週と変わらず5位をキープ。こちらもベスト10ヒットは21週連続となりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず8位にGAN「Who's Next」がランクイン。三代目J Soul Brothersのメンバー、岩田剛典のソロシングル。CD販売数2位。オリコンでは初動売上2万9千枚で2位初登場。前作「TORICO」の初動3万7千枚(3位)からダウン。

10位にはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループEBiDAN「Yes!東京」がランクイン。ストリーミング数9位、動画再生回数8位。15周年記念のシングルだそうで、8月11日にはCDリリースも予定されています。

一方、今週は冒頭に書いた通り、ロングヒット曲も目立つチャートとなり、まずサカナクション「夜の踊り子」が4位にランクイン。先週からワンランクダウンとなったものの、これで9週連続のベスト10ヒットとなっています。これで3位から6位までロングヒット曲がズラリと並ぶ展開に。また9位には嵐「Five」が先週よりワンランクアップでベスト10をキープ。こちらも通算10週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers Songs&ボカロチャート!

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2026年7月 7日 (火)

勢いのある王道のロック作

Title:Your Favorite Toy
Musician:Foo Fighters

新ドラマーとしてイラン・ルービンを迎えての初となるFoo Fightersのニューアルバム。そんな彼らのニューアルバムは一言で言ってしまうと、ロックリスナーとしては聴いていて非常に心地よさを感じさせるアルバム。かなりストレートなパンクやオルタナティブロックの疾走感あふれるロックチューンが並んでおり、パワフルでアグレッシブな楽曲が続きます。新メンバーを迎えるにあたって、バンドとして心機一転といった感じでしょうか。

まずアルバムのオープニング「Caught In The Echo」から、ノイジーなギターストロークのイントロから期待が高まりますし、さらにそこに重なるデイヴ・グロールのシャウトにも否応なしに期待が高まります。疾走感あるパンキッシュなナンバーながらもメロディアスなメロも重なるナンバーで、まずはロックリスナーとしてはグッと、そのハートをつかまれそうです。

アルバム前半に配されたタイトルチューン「Your Favorite Toy」もこのアルバムの核であり、またこのアルバムを象徴するようなナンバー。リズミカルで力強いバンドサウンドと、デイヴのシャウト気味のボーカルが重なる、ダンサナブルでかつアグレッシブなオルタナ系のギターロックナンバー。ライブで、みんながこぶしをあげて盛り上がるような姿が目に浮かぶようです。

その後も「Sprit Shine」「Amen,Caveman」のような、ノイジーなギターサウンドとシャウト気味なボーカルで力強く聴かせるパンキッシュなナンバーでリスナーのテンションはグングンとあがっていきます。まさにロックバンドとしてのFoo Fightersの魅力を存分に感じられる展開となっています。

また一方で、そんな中に配されたメロディアスな楽曲も魅力的。前半の「Window」も、分厚いバンドサウンドをバックに流れる、ちょっとメランコリックさを感じるメロが大きな魅力の楽曲になっていますし、後半にも「Child Actor」のように、同じくノイジーなバンドサウンドをバックに、メロディアスな歌をしっかりと聴かせるナンバーもあり、こちらもアルバムの中では大きな魅力となっています。

そしてラストの「Asking For A Friend」は、迫力のあるバンドサウンドをこれでもかというほど力強く聴かせてくれるスケール感もあるミディアムチューン。力強いデイヴのボーカルもしっかりと聴かせてくれる、アルバムのクロージングにふさわしい、ダイナミックなナンバーで締めくくってくれています。

アルバムは全10曲約36分という比較的コンパクトな内容なのも、このシンプルなロックテイストあふれる作品にピッタリの長さといった感じでしょう。新メンバーを迎えてFoo Fightersの原点に立ち返ったといった感じもする勢いのあるオルタナティヴロックのアルバム。聴いていて素直に気持ちよさを感じさせる傑作であり、またライブでも盛り上がりそうな印象を受ける作品でした。彼らも既に結成から30年以上がたつベテランバンドとなりましたが、まだまだ勢いは衰えない、そう感じさせるアルバムです。

評価:★★★★★

FOO FIGHTERS 過去の作品
ECHOES,SILENCE,PATIENCE&GRACE
GREATEST HITS
WASTING LIGHT
Saint Cecilia EP
SONIC HIGHWAYS

Concrete and Glod
02050525
00959525
Medicine at Midnight
Hail Satin(The Dee Gees/Foo Fighters)
But Here We Are


ほかに聴いたアルバム

sunn O)))/sunn O)))

ドローンメタルを代表するアメリカのロックデゥオ、sunn O)))の初のセルフタイトルとなるアルバム。極端に遅いテンポで、重低音のギターの持続音を奏でるというのが彼らの楽曲のスタイルですが、今回のアルバムもセルフタイトル作だけに、彼ららしいスタイルを踏襲した感じ。終始、ギターの持続音、ドローンが続くアルバムとなっています。その轟音ノイズに身をゆだねるような作品。そこに心地よさを感じる作品となっていました。

評価:★★★★

Sunn O))) 過去の作品
Life Metal
PYROCLASTS

My New Band Believe/My New Band Believe

元Black MidiのベーシストだったCameron Pictionがスタートさせたプロジェクト。「バンド」という名前は入っていますが、ピクトン以外のメンバーについては流動的になっているそうです。楽曲としては、アコースティックなサウンドをメインとしたメロディアスな作風となっており、Black Midiのイメージからすると最初は意外性も感じるのですが、所々、アバンギャルドな展開、複雑なリズム構成、ダイナミックなバンドサウンドなどを織り交ぜての展開となっており、Black Midiの実験精神はしっかりと引き継がれていることを感じます。Black Midiが好きだったのならば、間違いなく要注目の作品です。

評価:★★★★★

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2026年7月 6日 (月)

DIR EN GREYらしさが詰まった鬱々な作品

Title:MORTAL DOWNER
Musician:DIR EN GREY

独特な音楽性で世界的な評価も高いDIR EN GREYの約4年ぶりとなるニューアルバム。本作に関しては、かなり「賛否両論」にわかれた作品となっているようです。彼らのコンセプトである「痛み」や「不安」という要素を前に押し出して、いままで以上にダークな雰囲気を醸し出した作風となっており、「日刊スポーツ」のような大衆向けスポーツ誌のレベルで、賛否両論のコメントが取り上げられているほど。まさに文字通りの「問題作」となっています。

ただ、個人的な感想を言ってしまうと、いままで聴いてきたDIR EN GREYのアルバムの中で、かなり上位に位置するような傑作だったように感じます。その一番大きな理由として、京のボーカルがサウンドの中によく溶け込んでおり、非常に自然な形でサウンドとマッチしているという点。DIR EN GREYの楽曲というと、いわゆるヴィジュアル系的な特徴とも言えるのですが、メロディーラインが非常にメランコリックで耽美的という特徴があります。それはそれで特にファンにとっては大きな魅力とも言えるのでしょうが、ただ、非常に癖の強いポイントであり、個人的には苦手・・・というよりも重厚なサウンドに対してちょっと浮いているという印象を受ける部分もありました。

しかし、今回のアルバムに関してはそんな浮いている不自然さはなく、重厚なサウンドの中で楽曲を構成するひとつの機能として、上手く形作られていたように感じます。結果として、コメントの中の「否」の要素としてもメロディーにインパクトがないという意見もあるようですが、今回のアルバムに関しては、メロディーラインを前に押し出しておらず、サウンドの中に溶け込ませている点もまた、このアルバムで評価する大きな点でした。

また、いつも以上にヘヴィーでダークというイメージですが、確かにアルバム全体としてどこか救いようのない楽曲が続きます。オープニングを挟んで事実上の1曲目「灰燼に帰す」はヘヴィーなギターリフで、とにかくダークな雰囲気の楽曲。歌詞もラストは「変死体と変われ」と救いようのない歌詞で締めくくられますし、続く「蜿蜒」も、こちらは比較的メランコリックな歌が押し出されている曲となっているのですが、プログレッシブメタル的なヘヴィーなサウンドに、「命が砕けて/誰もいない敗北者の視点」と鬱々とした歌詞が特徴となっています。

中盤の「There's nothing else」は疾走感あるスクリームのナンバーで、アルバム中盤のサウンド面でのインパクトとなっているのですが、「何も残されていない」というタイトル自体、このアルバムを象徴するかのよう。また、中盤の核とも言える「The Devil In Me」は、メタリックな重低音とデス声でのボーカルに、中盤では一転、神々しいようなサウンドが挟まれる展開のユニークさもありつつ、まさに「自分の中の悪魔」というダークなテーマもまた、本作のダークさに拍車をかけています。

後半は「禊」や、「Demand」など、比較的ダイナミックなナンバーを挟みつつ、「盲目が故に」のようなヘヴィーな鬱々としたナンバーを挟み、ラストの「no end」は荘厳な雰囲気のサウンドをバックにゆっくりと歌い上げるバラードナンバーですが、歌詞的には最後まで鬱々とした雰囲気は変わらず。最後までダークな雰囲気で作品は幕をおろします。

最初から最後まで、ある意味救いのない世界観が展開される構成。確かに賛否はわかれそう・・・というか、この世界観はDIR EN GREYのファンならば、むしろ大好物では??個人的にはもちろん彼らの「ファン」と言えるほどではないものの、DIR EN GREYらしさが全面に押し出されており、かなり良かったように感じます。そんな世界観にもピッタリなサウンドを含めて、確かに広いリスナー層が違和感なく聴けるようなアルバムではないのかもしれませんが、DIR EN GREYらしさがつまっていて、間違いなく「傑作」と言えるような作品だったと思います。この世界観にはまったら、一気にDIR EN GREYにはまりそうな、そんな雰囲気の作品でした。

評価:★★★★★

DIR EN GREY 過去の作品
UROBOROS
DUM SPIRO SPERO
THE UNRAVELING
ARCHE
VESTIGE OF SCRATCHES
The Insulated World
PHALARIS


ほかに聴いたアルバム

ゴールデン☆ベスト Moon Dogs/Moon Dogs

レコード会社を横断する形でリリースされている廉価版ベストシリーズ「ゴールデン☆ベスト」。今回紹介するのは、イクラちゃんこと井倉光一率いるソウルバンド、Moon Dogsのベスト盤。「イクラちゃん」と言われても、おそらく若い世代にとってはなじみがないかと思いますし、私くらいのアラフィフ世代の方でも「そういえばいたね!」といった感じの感想になりそうですが、一時期、「イクラちゃん」というニックネームと、それとはギャップのあるいかついルックスが特徴的な、バラエティー番組で活躍していたタレント。実はミュージシャンだったんですね。個人的に今回初めて知りました。最近はテレビ番組にはあまり出演していないみたいですが、芸能活動は継続中の模様で、また音楽活動も再開されているみたいです。

さて、今回はじめてこのMoon Dogsというバンドを知ったのですが、ソウルやドゥーワップを取り入れた本格派という印象で、タレントというイメージも強かったイクラちゃんのイメージがちょっと変わりました。ただ、一方で、本場のソウルを取り入れというよりも、良くも悪くも日本的に解釈している部分も強く、また正直、ドゥーワップについてはラッツ&スターで良いのでは?と思ってしまうような部分も・・・。とはいえ、これはこれでなかなかカッコいいので、興味ある方にはちょうどよい入門盤的なベストかも。

評価:★★★★

Singles 2000/中島みゆき

1994年にリリースされた「空と君のあいだに」から2000年の「地上の星」までのシングルを収録したシングルコレクション。もともと2002年にリリースされたアルバムが、このたびリマスターして再発売されました。他にも「命の別名」「旅人のうた」などヒットシングルも多く、特に自分くらいのアラフィフやアラフォー世代くらいにとっては、中島みゆきのリアルタイムに経験したヒット曲というとおそらくここらへんの曲を指すかと思います。いい意味で90年代J-POPにアップデートされた曲が並んでいるため、若い世代にも聴きやすいタイプの曲が多く、中島みゆきの入門としてもピッタリかと。

評価:★★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集
組曲(Suite)

中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』
中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016-LIVE SELECTION-

相聞
中島みゆき ライブ リクエスト -歌旅・縁会・一会-
CONTRALTO
ここにいるよ
中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」
世界が違って見える日
Singles
中島みゆき コンサート「歌会 VOL.1」

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2026年7月 5日 (日)

シーンの充実ぶりを感じさせるコンピ盤

Title:0401 - The Best Days of 重音テト 2026

最近、ボカロシーンは間違いなく、もっとも「面白さ」を感じさせるシーンになっています。国内のヒットシーンは「推し活」の名前の下に、アイドル勢ばかりとなっていますし、そのアイドル勢も、挑戦的な楽曲が多かったひと昔前と比べると、シーンが大きくなるのと逆比例して、過去の焼き直しのような「無難な」曲が増えているように感じます。海外に目を向けても、正直、特にアメリカでは保守的なカントリー風のポップがチャートを席巻しており、わざわざ洋楽を聴くインセンティブを感じられるような面白さはありません。

そんな中、ボカロシーンに関しては、ここ最近、独特な個性を感じさせるユニークな曲のヒット曲が目立ちます。こちらもひと昔前は、ヒット狙いのJ-POPをそのまま模倣したような曲がメインだったのですが、徐々にボカロシーンとしての独自性を確立し、メインストリームではまずお目にかかれないようなユニークな曲が増えていますし、それと同時に、米津玄師が典型的ですが、ヒットシーンの中心で活躍するようなボカロP出身のミュージシャンたちも急増しています。

そして、ここ最近目立つのか重音テトというキャラクター。本来は、ヤマハが開発した「VOCALOID」ではなく、無料の合成音声ソフト「UTAU」を拡張したソフトだそうで、正確には「ボカロ」ではないそうですが、もともと2008年のエイプリルフールのネット上の企画から登場した、というあたりも、いかにもネット発文化といった感じがします。

本作は、そんな重音テトを使った楽曲をまとめたコンピレーションアルバム。特徴的なのは、ここ最近のヒット曲が数多く収録されている点。特に冒頭から吉田夜世の「オーバーライド」、サツキの「メズマライザー」、さらに柊マグネタイト「テトリス」に雨良「ダイダイダイダイダイキライ」と、まさに昨年から今年にかけてシーンを席巻したヒット曲がズラリと並んでいます。また後半にはマサラダの「カンケーガール」など、本作への書きおろし作も収録されています。

あらためて聴くと、やはりボカロシーンだからこそ誕生したような個性的な曲が目立ちます。大ヒットした「オーバーライド」も、疾走感あるメランコリックなエレクトロチューンで早口のボーカルもボカロっぽいのですが、虚無感を覚える歌詞もまた、ボカロっぽさを感じます。ロシア民謡を上手くつかっている「テトリス」もかなりユニーク。こちらも自虐的な歌詞もある種のユーモラスを感じさせ、個性的なものを感じます。

サウンド的に圧倒的にユニークなのが、原口沙輔の「イガク」で、重音テトも一種の楽器のように用いられて、エレクトロサウンドと一緒にコラージュされている、独特の感覚のある楽曲。東京真中の「ドゥーマー」もエレクトロなサウンドが耳を惹くダンスチューンで、エレクトロの作品としてテクノやハウスが好きな方なら十分すぎるほど楽しめそうな楽曲となっています。

ほかにも、トライバルなビートを取り入れたTAKの「PPPP」や、ユーモラスを感じさせる「カンケーガール」、郷愁感あるメロが魅力的なkamome sano「コトダマ」など、魅力的な楽曲が多く、シーンの充実ぶりを感じさせます。

ただ一方、ちょっと難に感じたのは、前述の原口沙輔や東京真中などを除いて多くのボカロPの作品について、サウンドがちょっとチープであるという点。以前、おなじくボカロシーン出身のYOASOBIの楽曲が、プリセット音源を使っていておもしろさがない、という点が一部で批判を集めたことがあるのですが、ひと昔前ならともかく、今ならばもうちょっと音自体に気を使ってもいいのでは?と思うような部分も少なくありませんでした。

そんな気になる部分はありつつも、全体としてはボカロシーンの充実ぶりを強く感じさせるコンピ盤になっていましたし、またヒット曲の多さから、あまりシーンを追いかけていない方にとっても入門盤として最適な作品と言えると思います。音楽ファンにとっても、ヒット曲をつまみ聴きしているようなライトリスナーの方とってもお勧めしたいコンピ盤です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Naked E.P./サンボマスター

サンボマスターの4曲入りのEP。バンド結成25周年を機にリリースされた作品で、自身のスタジオ=MONOLITHIC BUS STUDIO=ではじめて録音された曲となります。楽曲としてはミディアムチューンがメイン。特に1曲目「We Need Love & Peace」は、かなりストレートな反戦を歌った曲となっており、現在の社会情勢の中、胸をうつ作品となっています。ただ、このEPは実質、この曲のシングルといった感じとなっており、4曲入りながらもわずか9分という短さ。楽曲のバリエーションもあまりなく、その点はEPとして聴くと物足りなさも感じます。ただ、収録曲は彼ららしさが発揮された曲ばかりで、次のアルバムへの期待が高まる、そんなEPでした。

評価:★★★★

サンボマスター 過去の作品
音楽の子供はみな歌う
きみのためにつよくなりたい
サンボマスター究極ベスト
ロックンロール イズ ノット デッド
終わらないミラクルの予感アルバム
サンボマスターとキミ
YES
はじまっていく たかまっていく E.P.
"超"究極ベスト-全員優勝Edition-
ラブ&ピース!マスターピース!

Magic if/秋山黄色

約1年半ぶりとなるニューアルバム。前作は、それまでのAOR色の強かった作風からロック路線にシフトした感がありましたが、今回のアルバムはさらにそれを推し進めた感のある作品で、「Quest」「Wannabe」のような、かなりヘヴィーなバンドサウンドを聴かせてくれる曲もあったりします。ただ、前作同様、百花繚乱状態の男性シンガーソングライターシーンの中で、ポップに振り切れる訳ではなく、独特のサウンドを追求するではなく、ちょっと中途半端な感は否めない状態。もう一工夫が欲しいところなのですが・・・。

評価:★★★★

秋山黄色 過去の作品
From DROPOUT
ONE MORE SHABON
Good Night Mare

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2026年7月 4日 (土)

Nine Inch Nailsのクラブ志向な側面を強調したリミックス盤

Title:Nine Inch Noize
Musician:Nine Inch Nails×Boys Noize

Nin

今回紹介するのはご存知Nine Inch Nailsと、ドイツ・ハンブルグ出身のアレックス・リダによるエレクトロ・ユニット、Boys Noizeによるコラボアルバム。Boys NoizeはNine Inch Nailsのツアー「Peel It Back Tour」のBステージに参加するなどの交流があり、その流れで今回のコラボに至ったようです。

基本的に今回のアルバムに関しては、この両者によるコラボの新作、ではなく、Nine Inch Nailsの曲をBoys Noizeによりリミックスされた楽曲が収録されています。Boys Noizeによるリミックスは、4つ打ちのリズミカルなテクノのビートを取り入れて、ダンサナブルに仕上げたもの。Nine Inch Nailsの楽曲の持つ、インダストリアルらしい不穏な空気感は残しつつも、一方では軽快なテクノのダンスチューンにまとめあげています。

例えば「She's Gone Away」などは序盤は不気味な雰囲気でスタートしつつも、後半はリズミカルなダンスチューンに変化。「Parasite」も、こちらはトレント・レズナーの別ユニットHow to Destroy Angelsによるナンバーなのですが、ダークなオリジナルと異なり、リズミカルなダンスチューンの変化。「Me,I'm Not」も、もともとエレクトロ色の強いナンバーであったものの、ダウナーな色合いの強かった原曲と比べて、トランシーで高揚感も覚える作風に変化しています。

Nine Inch Nailsの楽曲が4つ打ちのダンスチューンに大きく変化した本作。クラブ感覚が強くなったアレンジで、踊りやすいリズムはいい意味で非常にわかりやすく、ともすれば「ベタ」という印象すら受けるほど。ただ、ライブでの高揚感は半端なさそうで、とにかく盛り上がりそう、という印象を強く受けます。これは、是非ともライブで一度見てみたい!そんな印象を強く受ける作品になっていました。

一方、アルバム全体としてリズミカルなアレンジがほどこされているのですが、原曲と比べると思ったほど変化はないな、という印象を受ける曲も少なくありません。例えば「Copy of a」などは原曲からして、トランシーな楽曲だっただけに今回のバージョンでも基本的にはオリジナルを生かしたアレンジとなって、アルバムの中に溶け込んでいます。Nine Inch Nailsの代表曲である「Closer」にしても、インダストリアル的なイメージが強いのですが、本作の中では基本的に原曲に準拠したアレンジとなっており、思ったよりもリズミカルな楽曲なんだな、ということを再認識しました。

Boys Noizeにより、Nine Inch Nailsの楽曲がフロア志向に大きく変化したリミックスアルバムであるのと同時に、Nine Inch Nailsの楽曲がもともと持っていたダンサナブルな側面、クラブミュージックを取り入れた側面を上手く抽出し、より強調したアルバムであると言えるかもしれません。そういう意味でおそらくNine Inch Nailsが好きな方でも違和感なく楽しめることが出来るアルバムだったと思いますし、一方ではBoys Noizeが好きな方にとってのクラブ志向の作風を期待してもピッタリと当てはまる、そんな作品だったように思います。

とにかくアルバムとしてはクラブ志向のリズミカルなアレンジで素直に楽しめるアルバムで、ライブでは大盛り上がりになりそうな作品。文句なしの傑作だったと思います。Nine Inch NailsのファンもBoys Noizeのファンも間違いなく要チェックなアルバムです。

評価:★★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks
Not The Actual Events
Add Violence
Bad Witch
Ghosts V:Together
Ghosts VI:Locusts
TRON:Ares(Original Motion Picture Soundtrack)
TRON Ares:DIvergence


ほかに聴いたアルバム

Wendy Eisenberg/Wendy Eisenberg

Wendy

アメリカ・ブルックリンを拠点に活動するシンガーソングライターによるセルフタイトルのアルバム。アコースティックなサウンドを基調に聴かせるフォーキーな作風が魅力的。ただ彼女はもともと、ノイズや実験音楽のジャンルでも活躍しているミュージシャンのようで、この作品でもフォーキーな作風の中、メロディーラインにはフリーキーな部分も感じられ、彼女の音楽の実験性が垣間見られます。ただ、基本的にはフォーキーな美しいメロディーラインと彼女の清涼感あふれる歌声が魅力的な作品となっており、比較的広いリスナー層が楽しめそうな作品に。個人的にアバンギャルドなフォークってちょっと苦手な部分があるのですが、これは文句なしに楽しめました。

評価:★★★★★

An Undying Love for a Burning World/Neurosis

アメリカ・オークランドで結成されたロックバンドの実に約10年ぶりとなるアルバム。ヘヴィーメタルを中心に、インダストリアルやアンビエントなどの要素も取り入れた実験的な作風が特徴的。このアルバムも、基本的にはヘヴィーメタル、ハードコア的な要素を主軸としつつも、アンビエント的な要素を取り入れたり、インダストリアル風な作品が顔を覗かせたりと、挑戦的な作風も垣間見れます。とはいえ、ヘヴィーメタルな楽曲がメインとなって統一感があるので、ここらへんは好き嫌いがわかれるかも。

評価:★★★★

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2026年7月 3日 (金)

自主レーベル設立で原点に立ち返る新作

Title:THIS IS THE PARTY
Musician:THE BAWDIES

自主レーベル「HOT DOG RECORDS」を立ち上げて初となるTHE BAWDIESのフルアルバム。ルーツ志向の陽気なロックンロールを奏でる彼らですが、今回のタイトル「THIS IS THE PARTY」はまさに彼らの音楽的なスタンスをあらわしているといっても間違いないタイトルでしょう。今回のアルバムは、自主レーベル立ち上げ後最初のアルバムということで、まさに彼らにとって原点に立ち返った1枚、と言ってもいいかもしれません。

アルバムの1曲目を飾るのは、まさにストレートなタイトルの「PARTY PARTY」。THE BAWDIESらしい軽快なギターリフ主導の陽気なロックンロールナンバーとなっています。さらに続く2曲目は「HERE ARE THE BAWDIES」と、まさにご挨拶代わりといった感じのタイトルが印象的。こちらもTHE BAWDIESの王道を行くような軽快なロックンロールのナンバーに。そして3曲目は先行シングルともなった「SUNNY SIDE UP」と続きますが、こちらもサーフロック風のロックンロールナンバーと実に彼ららしい楽曲が続きます。

その後もモータウンビートで、ソウルからの影響をより強く感じせる「MOVE YOUR SOUL」、ちょっとノスタルジックさを感じさせるメロを前に押し出した「SOMEDAY」、シャウト気味なボーカルで、疾走感のある「PARTY STOMP」、メロウなメロディーラインでポップ色の強い「FORKS」など、彼らの持つ様々な音楽性を取り込みつつ、基本的にはTHE BAWDIESの王道を行くような陽気なナンバーが並んでおり、あらためてTHE BAWDIESの原点に立ち戻ったような作品。ファンならば間違いなく納得するようなナンバーとなっています。

アルバムの中でちょっと毛色が違うのが終盤の「DEVIL'S BLUES」でしょう。ノイジーなギターはブルースの要素を強く感じさせつつもかなりヘヴィーなサウンドとなっており、ブルースロックの影響を受けつつも、ハードロック的な色合いもあるナンバーとなっており、彼らにしてはヘヴィネスさの強い作品に。ラストの「SHAKE YOUR MONEY MAKER」も同じくギターのノイズを前に押し出したナンバー。こちらは彼らのルーツであるロックンロール、ブルースロック、さらにはガレージロックの要素を強く感じさせる楽曲になっており、これはこれであらためてTHE BAWDIESのルーツを志向した、という意味合いを強く感じさせる曲になっています。

自主レーベル設立最初のアルバムということで、THE BAWDIESとしての原点をあらためて追求した感のあるアルバム。いや、むしろ何ら迷いもなく、彼らのやりたいことを演ったアルバムと言えるでしょう。前作「POPCORN」も、ストレートなガレージロック路線を貫いていたのですが、一時期、音楽的にいろいろと模索していた彼らですが、ここ数作、吹っ切れた感もあります。あらためてロックンロールバンドTHE BAWDIESの魅力を感じさせてくれる傑作アルバム。まさに「THIS IS THE PARTY」という名前の通り、終始陽気なロックンロールを楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
Boys!
「Boys!」TOUR 2014-2015 –FINAL- at 日本武道館
NEW
THIS IS THE BEST
Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019 FINAL at 日本武道館
Section#11
BLAST OFF!
FREAKS IN THE GARAGE-EP
POPCORN


ほかに聴いたアルバム

Fire Inside Us/Nothing's Carved In Stone

フルアルバムとしては「ANSWER」以来、約4年ぶりとなるアルバム。coldrainのMasatoをゲストに迎えた、全英語詞の「All We Have」のような、よりヘヴィー寄りでダイナミックになった挑戦作ともいえる楽曲を含みつつも、アルバム全体としてはいつもの彼らのようにシンセサウンドを加えたヘヴィーでダイナミックなバンドサウンドにメランコリックでポップなメロというスタイルは変わらず。ただ、以前よりはJ-POP寄りというよりは、よりあか抜けてきた印象もあります。フルアルバムとはいえ10曲入り40分程度の長さの作品であり、勢いで一気に楽しめるような作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

Nothing's Carved In Stone 過去の作品
Strangers In Heaven
By Your Side
ANSWER
BRIGHTNESS

玉置浩二の音楽世界Ⅳ

玉置浩二が他のミュージシャンたちに提供した楽曲を集めたコンピレーションアルバム第4弾。田原俊彦や中森明菜、荻野目洋子など、そうそうたるメンバーが顔をそろえており、最近ではKing&Princeの「We are young」も収録されています。ただ、さすがに第4弾ともなると、目立ったヒット曲もなく、どちらかというと知る人ぞ知る的な曲がメイン。ただ、基本的にポピュラーミュージックとしてしっかりと壺を抑えたような、歌謡曲テイストの哀愁メロのナンバーが並んでおり、ソングライターとしての彼の実力を感じられるコンピとなっていました。もっとも、そろそろネタ切れな感もありますが・・・。

評価:★★★★

玉置浩二の音楽世界
玉置浩二の音楽世界Ⅱ
玉置浩二の音楽世界Ⅲ

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2026年7月 2日 (木)

1位は・・・アルバムなのか?

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位は、本来的にアルバムなのかかなり疑問が残るのですが・・・。

1位初登場は桑田佳祐「人誑し / ひとたらし」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数2位。ただ、こちら公式サイトでもシングルとして公表されており、Hot Albumsにランクインしてきたのはかなり疑問な感じも。CDでは(配信でも)7曲入りとなっており、それでアルバム扱いなのでしょうが、ただ4曲目以降は書き下ろしたCMソングながらも1分に満たない曲が並んでおり、意地悪な言い方をしてしまうとシングルだとHot100で上位に食い込めないため、水増ししてアルバム扱いにしてHot Albums狙い・・・といった印象も受けてしまいます。アイドル系でそのようなことをした事例はあるのですが、桑田佳祐レベルがそのようなことをしてしまったとしたら非常に残念です・・・。ちなみにオリコンでもアルバム扱いとなっており、オリコン週間アルバムランキングでも初動売上11万6千枚で1位初登場。アルバム扱いとすると、直近のベストアルバム「いつか何処かで」の初動15万4千枚(1位)からダウン。シングルだとすると、直近の「君への手紙」の初動7万枚(2位)から大きくアップしており、かなり健闘した結果となっているのですが。

2位はNEXZ「Hellmate」が初登場。CD販売数2位。韓国のJYPエンターテインメント所属の日韓合同の男性アイドルグループ。オリコンでは初動売上6万7千枚で2位初登場。前作「Beat-Boxer」の初動2千枚(22位)からアップ。

3位はBTS「ARIRANG」が先週の2位からダウン。ただし、ストリーミング1位は今週も変わらずで、これで15週連続の1位。またベスト3&ベスト10ヒットも15週連続となっています。

4位以下初登場盤は、4位にロックバンドSUPER BEAVER「人生」が初登場。CD販売数5位、ダウンロード数3位、ストリーミング数5位。8位にアイドルグループJuice=Juice「MORE!MORE!EP」が初登場。CD販売数3位、ダウンロード数5位。さらに9位にYOASOBI「THE BOOK for,」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数1位となっています。

一方、ロングヒット盤ではHANA「HANA」は今週5位にダウン。これで18週連続のベスト10ヒット。また、ストリーミング数は今週も2位で、これで15週連続となっています。また、韓国のアイドルグループILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が7位にランクイン。これで8週連続のベスト10ヒットとなりました。

また、先週、ベスト10に返り咲いたKing&Prince「STARRING」は今週一気に83位にダウン。ベスト10ヒットは通算22週でストップ。Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」も10位から13位にダウン。こちらもベスト10ヒットは通算69週でふたたびストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseekers Songsは、がらり「レンズ」が2週連続で1位を獲得。ラジオオンエア数は先週からワンランクダウンの4位。Hot100では35位から45位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はAnythingBecomeMoe「ヤラララ' (YARARARA)」が3週目にして初の1位獲得。AnythingBecomeMoeは韓国のクリエイターで、海外でもボカロが受け入れられている実態が反映されたチャートとなりました。2位は大漠波新「メモリー」が先週の10位からランクアップ。1位を獲得した6月3日付チャート以来、4週ぶりのベスト3返り咲きに。また3位はルシノ「ループザルーム」が9位からランクアップ。こちらも1位を獲得した4月29日付チャート以来のベスト3返り咲きとなりました。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年7月 1日 (水)

ロングヒット曲が上位に並ぶ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はロングヒット曲が上位に並ぶチャートとなっています。

ただし、そんな中で1位を獲得したのは声優アイドルグループ≠ME「愛をくださいませ」。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上31万枚で1位初登場。前作「排他的ファイター」の初動30万3千枚(1位)からアップ。

2位は先週1位だった米津玄師「鳥」がワンランクダウン。ただし、ストリーミング数1位、ラジオオンエア数及び動画再生回数の2位は先週から変わらず。ちなみに米津玄師は「IRIS OUT」も先週と変わらず6位をキープ。これでベスト10ヒットは通算40週となりました。

3位にはサカナクション「夜の踊り子」が先週の4位からランクアップ。2週ぶりのベスト3ヒット返り咲き。これで今週、ベスト10ヒットは8週連続を記録。またベスト3も通算5週目に。ストリーミング数も「鳥」に1位は譲ったものの、これで2週連続の2位となっています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、7位に男性アイドルグループMAZZEL「So Strawberry」がランクイン。SKY-HIが運営するBMSG所属のグループ。ダウンロード数及び動画再生回数4位、ストリーミング数10位。

9位には旧ジャニーズ系、SixTONES「Dance Forever」が初登場。配信限定シングルで、ダウンロード数が2位にランクインしています。

一方、3位に「夜の踊り子」、6位に「IRIS OUT」とロングヒット曲が並んでいますが、4位にはM!LK「好きすぎて滅!」、5位には同じくM!LK「爆裂愛してる」が並んでランクイン。「好きすぎて滅!」は30週連続、「爆裂愛してる」は20週連続のベスト10ヒット。これで3位から6位までロングヒット曲が並ぶ結果となっています。

また、10位には嵐「Five」が先週の8位からダウンしているものの今週もベスト10をキープ。これで通算9週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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