人生を振り返って
Title:The Boys of Dungeon Lane
(邦題 ダンジョン・レインの少年たち)
Musician:Paul McCartney
ロックの黄金期といわれた60年代70年代。その頃、最前線で活躍してきたレジェンドたちも、最近はすっかり年を取ってしまいました。ただ、年をとってもいまなお元気で活躍を続けるミュージシャンたちも少なくありません。ご存知、ポール・マッカートニーもその1人。言うまでもなく「レジェンド・オブ・レジェンド」とも言える彼ですが、84歳となった今でもバリバリの現役で活動を続けています。本作は、そんな彼が、約5年半ぶりにリリースしたニューアルバムとなります。
ただ、さすがに80歳を超えて人生の終りを徐々に意識せざる得ない年になってきたからでしょうか、今回の作品は、いわばいままでの人生を振り返り、総括するような、そんなアルバムになっていました。そもそもアルバムタイトルとなっているダンジョン・レインとは、リヴァプールに実在する道で、彼にとっては想い出の場所だそうです。
他にも特に歌詞には、彼の人生を振り返ったような作品が目立ち、例えば「Days We Left Behind」は懐かしいリヴァプールでの日々に思いをはせるような内容になっていますし、「Down South」は、彼が若いころにジョージ・ハリスンとマージー川にヒッチハイクで出かけた想い出を歌にした内容だとか。さらに「Home to Us」ではかのビートルズの盟友、リンゴ・スターがドラムで参加し、またリンゴとポールとのデゥオという楽曲となり注目を集めています。
そして「We Two」では、過去の友人に対するメッセージを歌った曲になっており、ジョン・レノンとの友情を彷彿とさせる楽曲に(リンダという説もあるようですし、ひょっとしたらこの2人ともを意識した歌詞かもしれませんが)。そして最後を締めくくる「Momma Gets By」は母親への想いを歌った曲で締めくくられています。
メロディーやサウンド的にもどちらかというと過去の彼の音楽人生を総括するような作品が並んでおり、アコギでフォーキーに聴かせる「As You Lie There」からスタートし、前述の先行シングル「Days We Left Behind」は郷愁感を覚えるポップスで、美しいメロディーラインにメロディーメイカーとしてのポールの実力を感じます。中盤の「Moutain Pop」もサイケな要素の入ったギターロックが中期ビートルズを彷彿とさせますし、「We Two」もビートルズっぽさを感じさせるメロディアスなポップに仕上がっています。
全体的にまさに過去を振り返る作品となっている本作。ある意味、いままでの人生の集大成とも言える作品ともなっており、84歳という年齢を考えると「終活的なアルバム」と捉えられる作品かもしれません。ただ一方で、総括的な内容とはいえおそらくポールとしては、これでおしまいとは考えていないような感もあり、例えば「Days We Left Behind」でも「Since the day I knew they'd stay/With me for evermore」(あの日から分かってた これからも永遠に彼らは僕と共にあると)のように、これからも終わらないというようなメッセージ性を感じることが出来ますし、また、アルバム全体からの悲壮感も特になく、ポールらしい明るくポップな作品にまとまっています。
何よりもポールのボーカルに現役感があるのが印象的。正直、ここ数作の彼のアルバムは、どこか寄る年波に勝てないようなボーカルに違和感を覚えましたが、今回のアルバムに関しては以前の作品に比べるとそんな違和感はありません。むしろこの年になって若々しさが戻ってきたかのような感すらあります。
そういう意味では、80歳を越えて終活的な側面も意識したかもしれませんが、一方では、自分はまだまだ現役という自負も感じさせる作品と言えるのかもしれません。まあ、彼の先達たち、チャック・ベリーも90歳超えてからアルバムをリリースしていましたし、B.B.KINGも90歳近くまで現役で活動していましたし、Buddy Guyもまだまだ現役ですし、そう考えるとポールもまだまだかもしれません(笑)。次回作にも期待しましょう。
評価:★★★★★
PAUL McCARTNEY 過去の作品
Good Evening New York City
NEW
Egypt Station
McCartneyIII
McCartney III Imagined
One Hand Clapping(Paul McCartney&Wings)
WINGS(Paul McCartney&Wings)
ほかに聴いたアルバム
Train on the Island/Aldous Harding
ニュージーランドのシンガーソングライターによる4枚目のアルバム。全体的にアコースティック主体のサウンドでフォーキーに聴かせるスタイル。どこかダウナーでけだるさを感じさせつつも、清涼感あるボーカルも魅力的。また、脱力感ありつつも、アコースティックなサウンドの中に、シンセやエレピ、ダークなバンドサウンドなどちょっとしたスパイス的な要素も入ってくる点、楽曲に奥行きも感じさせます。今後、さらに注目を集めそうなミュージシャンです。
評価:★★★★★
Aldous Harding 過去の作品
Warm Chris
Poem 1/Ana Roxanne
アメリカのエクスペリメンタルミュージシャンによる2枚目のフルアルバム。ファルセット気味のボーカルと、ピアノを用いたアンビエントなサウンドが魅力的。そこにエレクトロサウンドを加えて、ドリーミーな雰囲気を醸し出しつつ、同時に荘厳さも感じさせるサウンドとなっています。全体的に静かなで、淡々としたメロディーラインが流れるアンビエント的な要素の強いアルバムで、派手さはなく、またサウンド的にも特異なものには乏しいだめ、BGM的に楽しめてしまう感のある作品。その点、ちょっと物足りなさもなきにしもないですが、ドリーミーなアンビエントは十分に楽しめる作品になっていました。
評価:★★★★



























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