大人のシンガーソングライターへの脱皮
Title:Ricochet
Musician:Snail Mail
アメリカのシンガーソングライター、リンジー・ジョーダンによるソロプロジェクト、Snail Mailの約5年ぶりとなるアルバム。比較的シンプルなオルタナ系ギターロックとポップなメロディーラインが心地よい作品を聴かせてくれ、毎作、高い評価を得ている彼女ですが、ちょっと久々となるニューアルバムについても、比較的シンプルでポップな楽曲を聴かせてくれる、心地よい傑作に仕上がっていました。
本作が3作目となるアルバム。いままで2作品も彼女の作品を聴いてきたのですが、前作「Valentine」に関しては、1枚目の「Rush」と比べるとあか抜けた、という印象を受ける作品になりました。今回の作品に関しては、前作に比べて、より清涼感のあり、カントリー寄りとなった作風は、前作以上にあか抜けた印象を受ける作品となっていました。
例えば序盤の「Light On Our Feet」はストリングスを取り入れて、伸びやかで清涼感ある作風になっていますし、「Cruise」も、比較的カントリーの色合いの強い作風が特徴的。後半の「Hell」なども、ストリングスが入って清涼感ある心地よいポップチューンとなっていますし、ラストを締めくくる「Reverie」もフォーキーに聴かせるタイプの曲となっており、初期衝動的な感じのあった初期のオルタナ系ギターロック路線に比べると、かなり「大人」になったという印象も受けます。
もっとも、初期の彼女から変わらない、オルタナ系ギターロックの王道を行くような作品ももちろん聴かせてくれており、1曲目を飾る「Tractor Beam」はストリングスを入れつつも、基本的にはギターロックの作品になっていますし、「Agony Freak」は力強いギターサウンドを聴かせてくれる作品になっていますし、ノイジーなギターをバックにダウナー気味のボーカルが加わる「Nowhere」はまさにそんなオルタナ系の王道といった感じの作風。「Butterfly」も彼女の声を生かしたキュートなメロを聴かせつつ、テンポよいギターサウンドが加わる、いわばオルタナ系ギターロックが好きなら壺に入りそうな作品ですし、前述の「Hell」も後半では、ノイジーなギターサウンドが楽曲に加わってきたりもします。
デビュー時に19歳だった彼女も現在は26歳。まだまだ「若い」というイメージも強いのですが、間違いなく大人のシンガーソングライターに成長を遂げているといった感じを受けます。そんな「大人寄り」になった今回の作品は、初期衝動的な部分が魅力だった以前の作品に比べると、賛否がわかれている部分があるようですが、シンプルでポップなメロを聴かせるギターロックというスタイルは大きくは変わっていませんし、そんなポップな楽曲は本作でも魅力的。間違いなく、オルタナ系ギターロックが好きなら気に入りそうなアルバムだと思います。もちろん、まだまだ今後の成長の余地も感じられ、彼女自体、その途上といった感じでしょう。Snail Mailの活動からはまだまだ目が離せなさそうです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Future Soul/Tedeschi Trucks Band
テデスキ・トラックス・バンドの約4年ぶりとなるニューアルバム。いままでの彼らの作品と同様、カントリーやブルースの色合いの強い、いわばアメリカーナ的な曲調のロックが目立つ反面、ハードロックやさらにはグランジの影響を感じさせる曲も見受けられる本作。「Future Soul」というアルバムタイトル通り、新たなスタイルのロックを取り入れた未来志向のアルバム、と言えるかもしれません。もっとも、グランジにしても、もう30年近く前のジャンルではあるのですが・・・。
評価:★★★★
TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND
Let Me Get By
Signs
I Am The Moon:Ⅰ.Cresent
I Am The Moon:Ⅱ.Ascension
I Am The Moon: III. The Fall
I Am The Moon:Ⅳ.Farewell
Tedeschi Trucks Band and Leon Russell Present:Mad Dogs&Englishmen Revisited Live at LOCKIN'(Tedeschi Trucks Band&Leon Russell)
U/underscores
アメリカ・サンフランシスコ出身のミュージシャン・プロデューサー、April Harper Greyによすソロプロジェクトの新作。力強いエレクトロビートに、彼女の清涼感あるボーカルがのるスタイル。前作はかなり実験的な作品で、本作も、そんな実験性を感じるものの、彼女のポップな歌が入ることによって、比較的、聴きやすさもある作風に。また、トライバルなリズムを取り入れたり、フォーキーなサウンドが入っていたりというバラエティーも感じさせます。
評価:★★★★
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