« 2026年5月 | トップページ

2026年6月

2026年6月 5日 (金)

その「音楽的素養」に驚き

Title:BAA,AS THE SHADOWS LOOM
Musician:No.MEN

今回紹介するのは、最近、注目をあつめつつある4人組ガールズバンド。ガールズバンドと言われると、いかにもチャットモンチー直系のポップスロックバンド的なものを想像しますが、彼女たちのタイプは全く別。ブラックミュージックやファンクなどの要素を取り入れた、独特の音楽性が注目を集めています。

まさにこのアルバムも、オープニング的な1曲目「BAA,AS THE SHADOWS LOOM」ではメロウなサックスからスタート。気だるい感じの語りからスタートする、80年代ソウル的な楽曲からスタート。さらに「黙示録」でも、ファンキーなベースラインが特徴的な、ファンクやソウル、ジャズなどの要素を取り入れた作品に。MVも作成され、アルバムの表題曲ともなっている「Unlovable」もメロウなソウルチューンとなっており、軽快でファンキーなリズムが心地よい、アーバンな楽曲に仕上がっています。

ただ、そんなソウルやファンクの要素を取り入れた楽曲をベースにしつつも、それだけにとらわれない幅広い音楽性も大きな特徴で、まず序盤「Setelan」は、ファンキーなトラックを聴かせつつも、HIP HOP的な要素を取り入れた曲。ソウルからの影響にはルーツ志向を感じさせる彼女たちですが、一方では、ちゃんと「現代風」な音も楽曲に加えています。

さらに中盤の「GAME」は、エレクトロサウンドを中心に据えたディスコチューン。続く「Dear B.Dash」もエレクトロサウンドを取り入れたスペーシーな作風となっており、前半のソウルやファンク、ジャズ中心の作風からはグッと変わったエレクトロチューンのリズミカルな楽曲が並んでいます。

そして後半は比較的シンプルなギターロックがメインに。「斜陽」は、しんみり聴かせるちょっとフォーキーな作風の作品に。さらに「Hug」では、ポップで軽快なギターロックのナンバーに。シンプルなギターロックのサウンドは、ちょっと少年ナイフっぽさも感じさせる部分も。さらにはラストを飾る「surrender」はダウナーでノイジーなギターサウンドを主軸に入れたサウンドで、ちょっとシューゲイザーからの影響すら感じさせるあたり、序盤の彼女たちの作風からは大きく異なり、その音楽性の広さは驚きでもあります。

そんな感じで幅広い音楽性に驚かされる1枚なのですが、さらにメンバーの平均年齢が18歳という若さにも驚き。特にソウルやファンクの影響を受けた曲に関しては、非常に大人なサウンドを醸し出しており、これだけ若いメンバーが、どこでその音楽的素養を身に着けたのか、驚かされます。ちなみに、彼女たち、名古屋出身のバンドということで、その点でも応援したくなりますが・・・本当に末恐ろしい感じもあるバンド。徐々に注目を集めてきているようですので、今のうちに是非ともチェックしておきたいところ。これからの活躍が、本当に楽しみになってくる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SHISHAMOでした!!!/SHISHAMO

今年6月の等々力陸上競技場でのワンマンライブを最後に活動休止を発表した3ピースガールズバンドSHISHAMOが最後にリリースしたベストアルバム。メンバーそれぞれがセレクトした楽曲が収録されており、宮崎盤は切ないラブソングが目立ち、松岡盤はほっこりとしたラブソングが目立ち、吉川盤はロックなナンバーが目立つと、それぞれの嗜好が見えてくるのがおもしろいところ。ただ、全体的に良くも悪くもシンプルなオルタナ系のギターロック+女の子の素直の心境を綴ったラブソングというスタイルがメインで、それはそれでインパクトもあってよく出来ている一方、バラエティーという観点ではちょっと物足りなさも感じてしまいます。歌詞かサウンドか、どちらかにもうちょっとバラエティーを広げてもらったらもっとおもしろいバンドになったと思うのですが・・・。

評価:★★★★

SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5
SHISHAMO BEST
SHISHAMO 6
SHISHAMO 7
ブーツを鳴らして-EP
恋を知っているすべてのあなたへ
ACOUSTIC SHISHAMO
SHISHAMO 8

kurayamisaka tte, doko? #6 「くらやみざかより愛を込めてツアー」 (kawasaki CLUB CITTA')/kurayamisaka

Kurayamisakattedoko6

最近注目のロックバンド、kurayamisakaの配信限定ライブアルバム。昨年11月9日に、神奈川のCLUB CITTA'で行われたライブの模様を収録したアルバム。90年代のオルタナ系ロックやシューゲイザー系の王道を行くようなサウンドで、ある意味、目新しさはないものの、奇をてらわないストレートなオルタナ系ロックへの愛情が心地よさを感じます。ライブで轟音で聴くのは気持ちよさそう。一度、ライブにも足を運んでみたいなぁ。チケットを確保するのは難しいようですが・・・。

評価:★★★★★

kurayamisaka 過去のアルバム
kurayamisaka yori ai wo komete

| | コメント (0)

2026年6月 4日 (木)

BTS、HANAは変わらず

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

BTSとHANAは先週から変わらず。

まずBTS「ARIRANG」は今週で通算9週目の1位獲得。ベスト10及びベスト3ヒットを11週連続に伸ばしており、また、ストリーミング数も11週連続で1位となっています。また、HANA「HANA」も先週から変わらず3位をキープ。こちらは14週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒット。ストリーミング数も11週連続の2位となり、11週連続、ストリーミング数はBTSとHANAが1位2位で並ぶ結果となっています。

その間を縫うように2位にランクインしたのがIVE「LUCID DREAM」。CD販売数1位、ダウンロード数4位。韓国の女性アイドルグループ。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上11万9千枚で1位初登場。直近は韓国盤のアルバム「REVIVE+」で同作の初動1万6千枚(8位)からアップ。国内盤の前作「Be Alright」の初動16万5千枚(1位)からはダウンしています。

4位以下の初登場盤は、4位に韓国の女性アイドルグループaespa「LEMONADE」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数1位、ストリーミング数16位。5位にはPRODUCE 101 JAPAN 新世界「35 BOYS 5 CONCEPTS」が先週の19位からランクアップし、ベスト10初登場。JO1やINIを輩出した男性アイドルのオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」で披露された曲を集めたオムニバス盤。9位にも韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIM「'PUREFLOW'pt.1」が初登場。ダウンロード数5位、ストリーミング数7位。さらに10位には、韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIORのメンバー、イェソンのソロアルバムSUPER JUNIOR-YESUNG名義による「咲き誇る時を待つのは」が初登場。CD販売数2位。

ロングヒット盤ではヨルシカ「二人称」が8位から7位にアップ。これで13週れんぞくのベスト10入り。「超かぐや姫!」は6位から8位にダウン。こちらは17週連続のベスト10ヒットとなりました。一方、King&Prince「STARRING」は12位にダウン。ベスト10ヒットは通算21週でストップ。また、現在、Hot100で「夜の踊り子」が躍進中のサカナクションですが、今週「sakanaction」は11位にダウンしてしまいました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは今週もOddRe:「睡る君」が1位獲得。これで3週連続の1位獲得。ラジオオンエア数は2週連続の1位。ただ、Hot100は30位から38位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は大漠波新「メモリー」が先週の4位からアップし、チャートイン2週目にして1位獲得。大漠波新は2021年から活動を行っているボカロP。2025年には、「無色透明祭Ⅱ」で話題となった「のだ」がヒットを記録しています。2位はぬゆり「つづく闘争」が初登場で獲得。3位には先週1位、ピノキオピー「歌姫失格」がツーランクダウンながらもベスト3をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2026年6月 3日 (水)

女性アイドルグループが初登場で並ぶ中

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず上位には女性アイドルグループの初登場曲が並びました。

まず1位はアソビシステム所属の女性アイドルグループCUTIE STREET「キュートなキューたい」がランクイン。テレビ東京系アニメ「ポケットモンスター」エンディングテーマ。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上44万1千枚で1位初登場。前作「キューにストップできません!」の初動37万8千枚(2位)からアップ。

2位は大阪に拠点を置くAKB48の姉妹グループ、NMB48「初めてのオール」。CD販売数2位、ラジオオンエア数6位。オリコンでは初動売上11万8千枚で2位初登場。前作「青春のデッドライン」の初動13万3千枚(2位)からダウン。

そしてサカナクション「夜の踊り子」は先週からワンランクダウンながらも3位にランクインとベスト3をキープ。ストリーミング数は3週連続の1位。ダウンロード数も3週連続の3位。ただし、動画再生回数は1位から2位にダウンしています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場曲は1、2位の2曲のみ。一方、ベスト10圏外からの返り咲きが2曲ランクイン。まず7位に嵐「Five」が先週の13位からランクアップ。4月1日付チャート以来、9週ぶりのベスト10返り咲き。もちろん、先月31日に東京ドームで行われたラストライブの影響でしょう。

もう1曲、M!LK「アイドルパワー」が13位から10位にアップ。3週ぶりにベスト10返り咲き。特に動画再生回数が19位から4位にアップしています。M!LKは「好きすぎて滅!」が先週と変わらず4位に、「爆裂愛してる」も同じく先週と同順位の5位をキープ。「好きすぎて滅!」は動画再生回数が3週ぶりの1位返り咲きで、カラオケ歌唱回数は11週連続の1位。これで26週連続のベスト10ヒット。「爆裂愛してる」も16週連続のベスト10ヒットとなりました。

ほかのロングヒット曲は、米津玄師「IRIS OUT」が先週と変わらず6位をキープ。ストリーミング数は3週連続の3位。これでベスト10ヒットは37週連続に。

また、Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も8位から9位にダウンしたもののベスト10入り。これで通算18週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

| | コメント (0)

2026年6月 2日 (火)

12年ぶりにオシャレキシ登場!

レキシ vs オシャレキシ TOUR 2026~RETURN OF OSHAREKISHI~

会場 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール 日時 2026年5月27日(水) 18:15~

ほぼ毎回、足を運んでいるレキシのライブ。今回のライブツアーは、オシャレキシこと上原ひろみとのコラボツアー。2014年にもこの上原ひろみとのコラボツアーが開催されているのですが、それ以来、約12年ぶりのレキシとオシャレキシのコラボツアーとなりました。

Osyarekishi

この日のライブは18時15分スタートという早めのスタート。ただ、18時半スタートと勘違いして、会場に到着したのは18時20分頃。もうライブはスタート。完全に遅刻してしまいました・・・。とはいえ、この時点でまだ1曲目がスタートした段階。あわてて席につき、ライブに参加します。

その1曲目ですが、いつもはアンコールで行う「狩りから稲作へ」からはじまっておりちょっとビックリ。ただ、レキシのいつもの曲の中で、上原ひろみが自由にピアノの演奏を行い、途中からはレキシのライブバンドに指示をして、自由に演奏をはじめる始末。完全に翻弄されつつ、途中でレキシがピアノの蓋を閉めて強制終了(笑)。そのままオシャレキシはステージ上から追い出される形で、ライブは進行しました。

続いて「姫君Shake!」へと続いたのですが、段ボールで作られた電信棒の作り物が登場。その電信棒に隠れる(?)形でこっそりオシャレキシが再登場。もちろん、バレバレの登場にレキシに突っ込まれて、再度、オシャレキシがピアノにつきます。その後の「姫君Shake!」ではいつもと異なるジャジーなアレンジが加わるスタイル。

この曲の途中でメンバーのソロパートが加わります。この日のライブでは、レキシのいつものライブメンバーに加えて、今回のライブのために新たなが加わるスタイル。途中、トランペットがマイク持参でステージの中央にやってきて、レキシを突き飛ばして、無理やりソロをスタートさせます。このトランペットのMC輔大夫こと佐瀬悠輔は今回のライブで新たに加わったメンバーで、突き飛ばされたレキシは「誰だ、お前は!」と怒りながら(?)突っ込みます。

さらにおなじみの「GOEMON」もオシャレキシが加わることによりジャズアレンジに。この日はなんと五右衛門にちなんで五拍子のアレンジとなっており、微妙に難しい拍子にレキシが翻弄されつつも、ちょっといつもと異なる雰囲気の「GOEMON」を聴かせてくれます。その後も「SAKOKU」へと続き、ここでレキシとオシャレキシが共にビニールのイルカをもって登場。こちらもちょっと早めの「KMTR645」となります。「自分のライブではこういうことやらないからうれしいんでしょ!」とレキシに突っ込まれる、ワクワクでビニールのイルカをかかえるオシャレキシがかわいらしかった(笑)。

そんな訳で観客席にイルカが投げ入れられ、おなじみ、イルカが観客席で舞います。そんな中、オシャレキシは一度ステージから去り、今度はおしゃれな装飾をほどこされたピンクのイルカを持って再登場。このピンクのイルカがピアノの端にセットされ、途中からはジャズアレンジでの「KMTR645」となります。全く違った曲調の「KMTR645」にしばし魅了されます。

そしてここでみんな着席。ジャズのスタンダードナンバー「チュニジアの夜」と、レキシの「縄文オンリーナイト」を(無理やり)合体させたナンバーに。意外な試みながらも、意外とピッタリとはまり、ジャジーな雰囲気でしんみり聴かせます。さらには「きらきら武士」へ。途中、再びトランペットのソロがあり、MC輔太夫がレキシを突き飛ばすというネタも。後半はオシャレキシのメロウなピアノソロと展開する中、ジャズのスタンダードナンバー「Just Two Of Us」を聴かせ、その後、レキシが「サザエさん」やら「となりのトトロ」やら「銀河鉄道999」やら「ガンダーラ」やらを、メロウなピアノにのせて無理やり歌う、というある意味、レキシのライブらしい展開となります。

その後は「salt&stone」へ。ここで途中、ドラムの蹴鞠Changこと玉田豊夢のダイナミックなソロパートがありつつ、その後、レキシが、白いマントに電飾をつけたド派手な服で登場し、会場を笑わせます。ここではレキシがキーボードを持っての登場。レキシの弾くキーボードとオシャレキシのピアノのセッションが繰り広げられます。レキシこと池田貴史はもともとキーボーディストですから、いわばミュージシャン池田貴史の本領発揮、となりました。

そして本編ラスト「LOVEレキシ」へ。こちらもジャズなアレンジを加えつつしんみり聴かせ、本編は一度幕を下ろします。

もちろん、その後はアンコールへ。やがてメンバーが登場。オシャレキシも登場し、ムーディーはセッションを聴かせるのですが、途中から「YO~!YO~!」とHIP HOP風の掛け声が流れてきます。この「YO~!YO~!」が続いたかと思ったら、レキシと、トランペットのMC輔太夫がラッパーの(それもオールドスクールの)衣装を着て、ラッパーのスタイルで登場。客席を笑わせます。あの、トランペットがレキシを突き飛ばす演出は、ここへの前振りだったんですね。ラップバトルらしいものをはじめるのですが、もちろんグタグタ(笑)。「名古屋はなごやかな人が多い~」と、無理やり韻を踏んだラップ(??)で会場を沸かせます。

アンコールはそのまま「SHIKIBU」、そしてちょっと意外だったのですが、再び「狩りから稲作へ」へ!会場には大盛り上がりとなり客席では稲穂が揺れます。最後は「高床式~」から「劇団四季~」となって、「キャッツ!!」というお約束の展開に。ある意味、いつものレキシのライブで会場の幕は下ろされます。

終了はほぼ21時で、約2時間45分のステージ。基本的にはいつものレキシのステージに上原ひろみが参加するスタイルでのステージ。ただ、レキシではおなじみのお笑い芸人をつかった映像ネタは登場しませんでしたし、アンコール後のバンドメンバー全員でのコスプレのネタもなし。あくまでもオシャレキシとのセッションに軸を置いたステージになっていました。

ただ、今回思ったのですが、レキシのライブとジャズ的なセッションの相性はよさそうですね。いつものレキシのライブも、曲の途中でいきなりレキシのネタが挟まれる、自由度の高いステージ。こういうライブのスタイルは、ある意味、自由なジャズのセッション的とも言えるように思います。そういう意味でも、レキシのライブ自体、ジャズのライブのスタイルとも相性がよく、この日のステージも、オシャレキシとのセッションが多く挟まれ、演奏もジャズアレンジに大きく変わっていたのですが、基本的にはいつものレキシのライブというスタイルを変えることなく、エンタテイメント性高いパフォーマンスを楽しむことが出来ました。

相変わらずのレキシのライブは楽しかったですし、オシャレキシこと上原ひろみのピアノのパフォーマンスも堪能できたステージ。次はいつになるかわかりませんが、また、レキシvsオシャレキシのライブも見てみたいです。とても楽しいひとときでした。

| | コメント (0)

2026年6月 1日 (月)

大人のシンガーソングライターへの脱皮

Title:Ricochet
Musician:Snail Mail

アメリカのシンガーソングライター、リンジー・ジョーダンによるソロプロジェクト、Snail Mailの約5年ぶりとなるアルバム。比較的シンプルなオルタナ系ギターロックとポップなメロディーラインが心地よい作品を聴かせてくれ、毎作、高い評価を得ている彼女ですが、ちょっと久々となるニューアルバムについても、比較的シンプルでポップな楽曲を聴かせてくれる、心地よい傑作に仕上がっていました。

本作が3作目となるアルバム。いままで2作品も彼女の作品を聴いてきたのですが、前作「Valentine」に関しては、1枚目の「Rush」と比べるとあか抜けた、という印象を受ける作品になりました。今回の作品に関しては、前作に比べて、より清涼感のあり、カントリー寄りとなった作風は、前作以上にあか抜けた印象を受ける作品となっていました。

例えば序盤の「Light On Our Feet」はストリングスを取り入れて、伸びやかで清涼感ある作風になっていますし、「Cruise」も、比較的カントリーの色合いの強い作風が特徴的。後半の「Hell」なども、ストリングスが入って清涼感ある心地よいポップチューンとなっていますし、ラストを締めくくる「Reverie」もフォーキーに聴かせるタイプの曲となっており、初期衝動的な感じのあった初期のオルタナ系ギターロック路線に比べると、かなり「大人」になったという印象も受けます。

もっとも、初期の彼女から変わらない、オルタナ系ギターロックの王道を行くような作品ももちろん聴かせてくれており、1曲目を飾る「Tractor Beam」はストリングスを入れつつも、基本的にはギターロックの作品になっていますし、「Agony Freak」は力強いギターサウンドを聴かせてくれる作品になっていますし、ノイジーなギターをバックにダウナー気味のボーカルが加わる「Nowhere」はまさにそんなオルタナ系の王道といった感じの作風。「Butterfly」も彼女の声を生かしたキュートなメロを聴かせつつ、テンポよいギターサウンドが加わる、いわばオルタナ系ギターロックが好きなら壺に入りそうな作品ですし、前述の「Hell」も後半では、ノイジーなギターサウンドが楽曲に加わってきたりもします。

デビュー時に19歳だった彼女も現在は26歳。まだまだ「若い」というイメージも強いのですが、間違いなく大人のシンガーソングライターに成長を遂げているといった感じを受けます。そんな「大人寄り」になった今回の作品は、初期衝動的な部分が魅力だった以前の作品に比べると、賛否がわかれている部分があるようですが、シンプルでポップなメロを聴かせるギターロックというスタイルは大きくは変わっていませんし、そんなポップな楽曲は本作でも魅力的。間違いなく、オルタナ系ギターロックが好きなら気に入りそうなアルバムだと思います。もちろん、まだまだ今後の成長の余地も感じられ、彼女自体、その途上といった感じでしょう。Snail Mailの活動からはまだまだ目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

Snail Mail 過去の作品
Lush
Valentine


ほかに聴いたアルバム

Future Soul/Tedeschi Trucks Band

テデスキ・トラックス・バンドの約4年ぶりとなるニューアルバム。いままでの彼らの作品と同様、カントリーやブルースの色合いの強い、いわばアメリカーナ的な曲調のロックが目立つ反面、ハードロックやさらにはグランジの影響を感じさせる曲も見受けられる本作。「Future Soul」というアルバムタイトル通り、新たなスタイルのロックを取り入れた未来志向のアルバム、と言えるかもしれません。もっとも、グランジにしても、もう30年近く前のジャンルではあるのですが・・・。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND
Let Me Get By
Signs
I Am The Moon:Ⅰ.Cresent
I Am The Moon:Ⅱ.Ascension
I Am The Moon: III. The Fall
I Am The Moon:Ⅳ.Farewell
Tedeschi Trucks Band and Leon Russell Present:Mad Dogs&Englishmen Revisited Live at LOCKIN'(Tedeschi Trucks Band&Leon Russell)

U/underscores

Underscores

アメリカ・サンフランシスコ出身のミュージシャン・プロデューサー、April Harper Greyによすソロプロジェクトの新作。力強いエレクトロビートに、彼女の清涼感あるボーカルがのるスタイル。前作はかなり実験的な作品で、本作も、そんな実験性を感じるものの、彼女のポップな歌が入ることによって、比較的、聴きやすさもある作風に。また、トライバルなリズムを取り入れたり、フォーキーなサウンドが入っていたりというバラエティーも感じさせます。

評価:★★★★

| | コメント (0)

« 2026年5月 | トップページ