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2026年6月

2026年6月30日 (火)

往年のマイケルのパフォーマンスを疑似体験できる作品

今回は最近見た音楽関連の映画の感想です。

Moviemichael

最近話題の映画「Michael/マイケル」を見てきました。言わずと知れたKING OF POP、マイケル・ジャクソンの人生を描いた映画。この手のミュージシャンの人生を描いた映画は、かの「ボヘミアン・ラプソディー」の大ヒットでも知られていますが、ある種、映画の題材の定番中の定番。いままで様々なミュージシャンの伝記的映画がつくられています。ただそんな中、マイケルの自伝的映画である本作は大きな話題となっており、先日のヒットチャートでもマイケル関連のアルバムが多くランクインして話題となりました。死後16年がたった彼ですが、今なお、その人気ぶりが伺わされます。

さて、この映画、比較的賛否がわかれている部分があります。正直、映画の出来としては決して高い評価は得ていません。ただ一方、観客の評価は上々で、国内映画ランキングでも1位を獲得するなど、高い人気を誇っています。

一部では「映画ファンの評判は悪いけど、音楽ファンの評判は良い」という感想を見かけました。そして映画を見た感想としては、確かにこの評価が一番、的を射ているように感じます。率直な感想として映画としての出来は決して良くはありません。映画としては主に強権的にマイケルを縛り付けようとする父親との確執を軸に、ジャクソン5時代からソロとして大成功するまでの栄光を描いています。ただ、全体的にその描き方がすごく薄っぺらく通り一遍といった感じ。公式サイトでは「早熟の天才ゆえの孤独感」と書いていますが、こういうマイケルの内面についてもさほど描かれておらず、映画の出来は、かなり薄っぺらいものを感じます。

ただ一方、マイケルの音楽を映画館の環境で聴きたい、マイケルの往年のパフォーマンスを追体験したい、という観客(主に音楽ファン)にとっては、その要望にダイレクトに答えてくれる内容になっていたと思います。今回、マイケル役を演じるのは、マイケルの兄、ジャーメインの息子、ジェファー・ジャクソンが演じているのですが、このパフォーマンスには舌を巻きます。特にマイケルと言えば、その天性の才能を感じさせる独創的なダンスパフォーマンスが大きな魅力なのですが、その難しいダンスを劇中、しっかりと演じ切っています。映像を見ていると、本物のマイケルがそこで踊っているものと思ってしまうほどの完成度の高いステージで、まさに往年のマイケルのパフォーマンスを映画館のスクリーンで疑似体験できる内容になっています。間違いなく、マイケルのパフォーマンス、音楽を楽しみたいという観客にとってはかなり満足の行く内容だったのではないでしょうか。

映画的に薄っぺらいと書いたのですが、ただ逆に、マイケルのパフォーマンスを見たい、という観客層にとっては、薄っぺらいストーリー展開のため、映画を見る中でストレスをほとんど感じることがなく、音楽の部分だけを純粋に楽しめる、という点ではよかったのかもしれませんし、ひょっとしたら制作側としてはそれを狙っていたのかもしれません(もっとも、映画的に薄っぺらいだけに、クライマックスで味わえるカタルシスも薄いのですが・・・)。

そんな訳で、マイケル・ジャクソンが好きなら文句なしに見るべき映画だと思いますし、マイケルの音楽が好き、「スリラー」が好き、もっと言えば、マイケルがキライじゃなければ、その音楽を十分すぎるほど楽しめる映画だと思います。一方、ストーリー展開を楽しみたい、純粋に映画的に見たい、という方にとっては物足りなさをかなり感じてしまうかも・・・。以下、詳細なネタバレ感想は「つづく」から!

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2026年6月29日 (月)

貫禄のパフォーマンス

JANET JACKSON JAPAN 2026

Opening Act:HANA

会場 IGアリーナ 日時 2026年6月17日(水) 18:30~

2日続けてのライブ。前日のインディー色満載のコートニー・バーネットから一転、今回はジャネット・ジャクソン。それも日本限定のライブツアーに参加してきました。会場はIGアリーナ。昨年できたばかりの真新しい会場で、ここでライブに参加するのは昨年のSTING以来、2度目となります。

Janet1

自分の席はS席で、アリーナ中央あたりだったのですが、自分の席に行ってみると、なんと自分のブロックが機材席となっていて、席がない・・・!席が交代になったのですが、なんと、新たに割り当てられた席が、最前列(!!)。ステージの一番左側の端という場所だったのですが、通常ならSS席相当の席にグレードアップ。この日も目前に何度もジャネットがあらわれるなど、大興奮の席となっていました。

そして、この日のオープニングアクトはHANA。言うまでもなく現在、人気絶頂の彼女たち。彼女たちのライブもなかなかチケットが取れるような状況ではないですし、オープニングアクトとはいえ、ライブが見れるのはちょっとラッキーでした。

ライブは「ALL IN」からスタート。ステージ前面でリズミカルなパフォーマンスを見せてくれます。今をときめくグループなだけに会場は大盛り上がり。HIP HOPの要素を多く取り入れた、今時なサウンドとパフォーマンスはやはり見ていて非常にカッコよさを感じます。見ていると、概ねメンバーみんながボーカルを取っているようですが、今回はじめて知ったのですが、特にCHIKAはパワフルなボーカルを聴かせてくれ、非常に歌の上手さを感じます。その後の「Blue Jeans」のようなおなじみのヒット曲ではみんなに歌わせたり、そしてラストを飾るのがおなじみ「ROSE」。こちらも文句なしにカッコいいパフォーマンスを披露し、約30分のパフォーマンスを見せてくれました。

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その後はセットチェンジとなるのですが、これがなかなかライブがスタートしない・・・。45分くらいを経過し、19時45分頃、ようやくライブがスタート。ついにジャネットの登場。男性ダンサーを引き連れてのパフォーマンスで、最初から「BURNITUP!」「2nite」とダンサナブルなナンバーの連続。それも、メドレー的な構成となっており、次々と彼女の代表曲が披露されていきます。

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ただ、正直、最初は「あれ?」といった感想でした。ジャネットは黒いジャケットのようなものを羽織り、全体としてもっさりとしたスタイル。ジャネットも今年60歳という年齢なだけに、さすがに寄る年波には勝てないのか・・・と思っていたのですが・・・。

しかし、その後、ジャケットを脱ぎ捨て、全身金色という派手なスーツに身を包んだ姿にチェンジ。ここからは明らかにパフォーマンスのキレが変わりました。身体につけていた重いおもりを脱ぎ捨てて、本来の身体の動きを取り戻したような・・・なんかドラゴンボールを彷彿とさせるような展開ですが、そんな姿を感じさせ、60歳という年齢を全く感じさせない、キレッキレのダンスを見せてくれます。

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「Rock With U」や「Throb」などリズミカルな曲が次々と続き、「ナゴヤサイコー!!」という掛け声から「Go Deep」や「That's the Way Love Goes」とダンサナブルなパフォーマンスが続きます。そしてその後、「Twenty Foreplay」や「I Want You」ではマイクスタンドに向けて、しっかりと表現力のこもったボーカルで「歌」を聴かせてくれ、ボーカリストとしての実力も感じさせます。

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その後は一度暗転し、「Promise」「After You Fall」が会場に流れ、ジャネットは衣装チェンジ。再び「Velvet Rope」「All for You」とダンスナンバーを聴かせてくれます。特に代表曲「All for You」では会場から大きな手拍子が起こり、大盛り上がりとなります。その後も「Miss You Much」や「Feedback」などのダンスチューンの連続で会場は大盛り上がりとなります。

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ここでバックバンドによるインスト曲の演奏に。ここもメロウでファンキーなリズムの曲で、さすがジャネットのバックバンドなだけにしっかりと聴かせてくれます。ここで簡単なMCを挟んだ後、ステージ真ん中に椅子も登場し、ミディアムテンポなナンバーをしんみりと聴かせてくれました。

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「Funny how Time Flies(When You're Having Fun)」「Come Back to Me」と続き、続く「Let's Wait Awhile」ではファンのみんながスマホの光りを光らせて、会場全体が星のような光で包み込まれます。

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「I Get Lonley」も最初は座ってしんみり聴かせつつ、途中からダンスが。「Any Time,Any Place」になり、一度ジャネットはステージ脇へ。再びバンドによるインストパートを挟み、「What Have You Done for Me Lately」「Nasty」「When I Think of You」など、次々と展開し、彼女の魅力的なダンスを次々と披露していきます。

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再びインストを挟み、ここで彼女は再度、着替え。「The Knowledge」「If」と、あらたな衣装でのダンスパフォーマンスを魅せてくれます。

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ここでジャネットは再び舞台袖に下がり、ここからはDJコーナーへ。ここでジャクソン5やジャクソンズの楽曲をDJが流します。途中「I Want You Back」や「ABC」などおなじみの楽曲もあり、会場は大いに盛り上がります。そしてここでバックのスクリーンにマイケル・ジャクソンの写真が写り、大きな歓声が。ジャネットが戻ってくると、バックのスクリーンでのマイケル・ジャクソンの映像と共に、マイケルの「Scream」を聴かせてくれます。なんともうれしい兄妹の共演となりました。

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本編ラストは「Black Cat」そして「Rhythm Nation」と、これまた彼女の代表的なナンバーで締めくくり。会場のテンションは最高潮の中、最後はジャネットの「アイシテル~!!」の一言で本編は幕を下ろしました。

もちろん、その後は盛大なアンコールへ。再び会場にジャネットが登場すると「Someone to Call My Lover」、そして「Together Again」へ。ラストの「Together Again」ではバックのスクリーンに、ジャネットが幼い時、お兄さんたちと一緒に撮った写真が写し出され、ちょっとキュンとしてしまいました(写真下)。(ちなみに見切れてしまっていますが、一番左には、若い頃のマイケルとジャネットの写真が写っていました)。

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さらにラストにはHANAもステージ上に再度登場。挨拶だけでしたが、一瞬のジャネットとの共演で、会場からは大きな歓声も沸きました。

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そんな大盛り上がりの中、ライブは終了。スタートは遅めだったのですが、終了は21時30分前くらい。約1時間45分弱のステージでした。ただ、メドレー形式で次々と彼女の代表曲が展開していくステージで、そのため曲数はかなり多め。ダンサナブルなパフォーマンスやしんみり歌を聴かせてくれるパートなど見せ場も多く、文句なしに充実した大満足のステージでした。

今回、はじめてジャネットのステージを見たのですが、予想していた以上に素晴らしいステージでした。最前列という場所の良さもあったのですが、終始、そのパフォーマンスに魅了され、このままこの時間が続いていけばいいのに・・・と感じたステージ。間違いなく、今年のベストライブのひとつといえるライブだったと思います。なによりも60歳という年齢を全く感じさせない、キレキレのパフォーマンスが素晴らしく、ステージ上の立ち振る舞いもまさにカリスマ的なオーラも感じられ、その姿に惹きつけられたステージでした。ジャネット・ジャクソンというミュージシャンのすごみを感じられるステージ。これが最前列で見れたというのは本当にラッキーでした。

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2026年6月28日 (日)

シンプルなパフォーマンスで魅せるステージ

COURTNEY BARNETT Creature of Habit Tour

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2026年6月16日 19:00~

前回のTORTOISEに続いて、今回もクワトロで外タレのライブ。今回はオーストラリア出身の女性シンガーソングライター、コートニー・バーネットのワンマンライブ。今回、日本でのライブツアーで名古屋でもライブを行う、ということで足を運んできました。

クワトロは比較的、余裕のある客の入りで、おそらく満員の6割程度の入りでしょうか。そのため、余裕をもってライブを楽しむことが出来ました。スタートは19時10分頃。会場にコートニーがあらわれます。メンバーはコートニーがギターボーカルで、プラス、ベースとドラムスのサポートというシンプルな3ピースの形態でした。

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ライブは「Stay In Your Lane」からスタート。まずはテンポよいナンバーで会場を暖めつつ、続く「City Looks Pretty」は原曲以上に力強いバンドサウンドをゆっくりと聴かせます。

「Avant Gardener」を挟んで「Small Poppies」では力強いギターソロも披露(下の写真)。会場を沸かせます。

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その後は「Mantis」「Same」と最新アルバムからの曲を披露。しっかりとバンドサウンドを聴かせつつメロディアスな楽曲はインパクト十分。曲が終わると「コンバンワ」と日本語で軽く挨拶し、簡単なメンバー紹介となりました。

「Turning Green」から、「Histroy Eraser」ではバンドサウンドを前面に押し出して力強く聴かせたかと思えば、最新アルバムからの「Site Unseen」ではメロディアスに聴かせてメロディーメイカーとしてのコートニーの魅力をみせてくれます。さらに「Anonymous Club」では原曲に比べ、より感情を込めたステージを披露。しっかりとその演奏を聴かせてくれます。そして「Depreston」では最初はギターソロからスタート。こちらもより感情のこもった彼女のギタープレイをしっかりと聴かせるステージングとなっていました。

ここらへんからライブは後半。最新アルバムから「Great Advice」は個人的にも聴きたかったナンバーで、ヘヴィーなギターサウンド主導でテンポよく聴かせてくれます。さらに「Elevator Operator」はイントロから会場から大きな手拍子が。かなりダイナミックなドラムのリズムも入り、原曲以上に迫力たっぷりのステージをみせてくれます。

テンポよくダイナミックなステージングを見せてくれる楽曲からはここで一転。最新アルバムから「Sugar Plam」「Wonder」とメロ主体のミディアムテンポなナンバーを聴かせてくれた後、ライブは終盤。「Before You Gotta Go」「Write a List of Things to Look Forward to」とテンポよいナンバーが続き、ラストはこれまた最新アルバムから「One Thing At A Time」で、途中、力強いコートニーのギターを響かせ(下の写真)ヘヴィーで力強い演奏で会場を沸かせ、まず本編は幕を下ろします。

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その後はもちろんアンコールへ。まずはコートニー1人だけ登場。こちらも最新アルバムから「Mostly Patient」へ。この曲は彼女のギター1本だけでしんみりと聴かせてくれます(下の写真)。

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曲が終わると、「アリガトー」と日本語で一言。そして再びバンドメンバーもステージに。ラストは「Pedestrian At Best」そして「Nobody Really Cares If You Don't Go To The Party」。どちらも原曲に比べると、よりヘヴィーでダイナミックなライブらしい演奏を聴かせてくれます。もちろん会場は大盛り上がり。大盛況の中、ライブは幕を下ろしました。

ライブ終了は20時50分頃。実質、約1時間40分程度のステージ。MCはほとんどなく、基本的に非常にシンプルなステージだったと思います。楽器もギター、ベース、ドラムスというシンプルな3ピースバンド形態。若干打ち込みのリズムが入る部分もありましたが、非常にシンプルなステージだったと思います。なによりも、このシンプルなバンド形態はクラブクアトロというライブハウスにもピッタリとマッチし、いかにもインディーバンドによる「ライブハウスでのライブ」といったイメージがピッタリ来るようなパフォーマンスで、ビール片手に楽しむには最高のステージでした。

楽曲もシンプルなオルタナ系ギターロックとなるのですが、激しいパフォーマンスを聴かせてくれる楽曲については原曲よりも、よりダイナミックな演奏が魅力的。一方、メロディアスに聴かせる楽曲については、より感情のこもった演奏に。下手な演出のないステージだったのですが、それだけにロックバンドのライブらしいライブパフォーマンスを見せてくれたように感じます。シンプルながらも、それだけしっかりと彼女の曲の魅力が伝わるパフォーマンス。非常に満足した心持で会場を後にすることが出来たライブでした。

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2026年6月27日 (土)

直感的に楽しめるエレクトロポップ

Title:WOR$ST GIRL IN AMERICA
Musician:Slayyyter

最近、急速に注目を集めているアメリカの女性シンガーソングライター、キャサリン・グレース・ガーナーことSlayyyterの3枚目となるフルアルバム。2018年に活動を開始し、デビュー作が2021年という、まだまだ若手のミュージシャン。特にデビュー直後はSoundCloudやTwitterから登場した「インターネット発」のポップスターとして注目を集めたそうです。

そんな彼女の作品を今回はじめて聴いてみたのですが、まずはリズミカルなエレクトロダンスチューンがとにかく気持ちよいポップアルバムとなっていました。冒頭を飾る「DANCE...」は、まさに文字通り、リズミカルでトランシーなハイパーポップチューン。哀愁感あるメロがちょっとメランコリックな後味を残すので、「...」がついているのかもしれません。さらに「BEAT UP CHANEL$」もタイトル通り、ヘヴィーなエレクトロビートで疾走感あるダンスチューンとなっています。

特に前半に関しては、ある意味「ベタ」という表現も出来そうな、聴いていて素直に気持ちよくなるエレクトロチューンが多く、「OLD TECHNOLOGY」もダイナミックなギターサウンドを加えて、ビックビート的なサウンドが耳を惹きますし、続く「CRANK」もトライバルさを感じさせるビートに、シャウトを加えたパンキッシュな楽曲となっており、自然に身体が動きだしそうなリズミカルな楽曲となっています。

その後も「YES GODDD」「I'M ACTUALLY KIND FAMOUS」「$T.LOSER」など、ノイジーなギターサウンドを前面に押し出しつつ、ヘヴィーでダイナミックなエレクトロビートを聴かせるダンサナブルなナンバーが目立ちます。ある意味、リスナーの身体をストレートに揺らしてくるような、ただただリズムに合わせて暴れたくなるような、心地よいダンスチューンが並び、ハイパーポップやエレクトロ、あるいはパンクロックやビックビートあたりが好きな方には文句なしに楽しめる作品になっています。

一方では、いわゆるキュートな歌声とメロを聴かせてくれる今風のエレクトロポップチューンもあり、典型的なのが「WHAT IS IT LIKE,TO BE LIKED?」で、リズミカルなエレクトロポップながらも、キュートな歌声が前に出ているポップなナンバーに。ラストを飾る「BRITTANY MURPHY.」もメロディアスなポップチューンに仕上がっており、最後は軽快なポップというイメージでアルバムは締めくくられます。

かなり分厚いサウンドが特徴的で、それはそれで賛否もあるようですが、J-POP的なサウンドに慣れている我々にとっては、それも逆にいい面でのインパクトになっているような感じも。その点も含めて、日本人にとっても心地よく楽しめるアルバムではないでしょうか。直感的に楽しめるエレクトロポップといった感のある作品。ライブも楽しそうだなぁ。

評価:★★★★★

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2026年6月26日 (金)

ロック路線に回帰した充実作

Title:Creature of Habit
Musician:Courtney Barnett

オーストラリア出身のシンガーソングライター、コートニー・バーネットによる、約5年ぶりとなるニューアルバム。オルタナ系ギターロック直系のローファイ気味でメロディアスな作風が特徴的な彼女。このたび制作拠点をメルボルンからロサンジェルスへ移したそうで、あらたな一歩を踏み出した作品と言えるのではないでしょうか。

さて、前作「Things Take Time, Take Time」で大きな特徴だったのが、いままでのローファイギターロック路線よりメロディアスでポップなメロという路線が前面に出た作品になっていた点でした。これはこれでコートニーの魅力を感じさせる作風になっていた反面、いままでのローファイなオルタナ系ロック路線を期待していたリスナーとしては、若干物足りなさを感じる、賛否両論といった作風となっていました。

しかし、今回のアルバムに関しては、前々作以前のいわば王道を行くようなローファイ気味のオルタナ系ギターロック路線が戻って来た作風になっています。まずなんといってもアルバムの冒頭を飾る「Stay In Your Lane」がギターロック路線を期待するリスナーにとっては非常に心地よいのではないでしょうか。冒頭、いきなりヘヴィーなギターリフのイントロからスタート。このギターリフが主導するテンポよいギターロックの作品からスタートします。

その後も、先行シングルにもなった「One Thing At A Thing」も力強いバンドサウンドが主導するローファイ気味のロックチューンとなっていますし、後半の「Great Advice」もいかにもインディー系ロック風のノイジーなギターリフが心地よい、軽快なギターロックナンバーに仕上がっているなど、全体的にオルタナ系ギターロック路線が戻って来た作風となっています。

一方では前作で培ったようなポップなメロディーラインを本作でも聴かせてくれています。例えば「Stay In Your Lane」に続く2曲目「Wonder」はちょっと切ないメロが耳に残りますし、彼女と同じく、ソロシンガーソングライターWaxahatcheeと組んだ「Site Unseen」では、Waxahatcheeの作風に寄せた、フォーキーでメロディアスなナンバーに仕上げています。このように、彼女の書くポップなメロの魅力も十分に感じられる作風になっています。

さらに後半の「Mantis」「Same」など、テンポよいメロディアスなメロを聴かせつつも、しっかりとバンドサウンドも鳴っている作品になっており、ポップなメロを進歩させている一方、ちゃんと彼女の持ち味であるギターロックも聴かせている作品となっており、ちゃんとこの両者のバランスの取れた作風に仕上がています。そういう意味でも、メロディー主体であった前作を経て、ミュージシャンとしてのさらなる成長を感じさせる作品と言えるでしょう。

間違いなく彼女の最高傑作では?・・・とまでは言えないまでも、彼女の作品の中では1、2を争う傑作だったと思います。残念ながら売上的には、賛否両論だった前作の影響か、本国オーストラリアでもベスト10入りを逃すなど、ちょっと芳しくないようですが、ミュージシャンとしては充実作と言える本作。次回作以降は再び上り調子となるのでは?コートニーの魅力をしっかりと感じることの出来る傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Courtney Barnett 過去の作品
Sometimes I Sit & Think & Sometimes I Just Sit
Lotta Sea Lice(Courtney Barnett&Kurt Vile)
Tell Me How You Really Feel
Things Take Time, Take Time

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2026年6月25日 (木)

珍しく洋楽が目立つアルバムチャート

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100同様、先週まで吹き荒れていた嵐旋風も終了。先週10位だった「Time」も22位までダウンし、今週、ベスト20に嵐のアルバムはゼロという結果になりました。

一方、今週1位となったのは旧ジャニーズ系。なにわ男子「ND5」が獲得。CD販売数及びダウンロード数1位、ストリーミング数5位という結果になっています。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上40万9千枚で1位初登場。前作「BON BON VOYAGE」の初動33万4千枚(1位)からアップ。

2位はBTS「ARIRANG」が先週と変わらず同順位をキープ。これでベスト3&ベスト10ヒットは14週連続。ストリーミング数も14週連続の1位となっています。そして3位にはHANA「HANA」が先週の5位からランクアップ。3週ぶりのベスト3返り咲き。これでベスト10ヒットは17週連続、ベスト3ヒットは通算15週となりました。またストリーミング数は14週連続の2位となっています。

4位以下初登場盤ですが、まずは4位にマイケル・ジャクソン「スリラー」が先週の11位からランクアップしベスト10入り。ビルボードジャパンのHot Albumsでは初のベスト10ヒットを記録しています。本作は1982年にリリースされ、全世界で7千万枚から1億枚が売り上げられ、世界で一番売れたアルバムとしてギネス世界記録に認定されている作品。もちろん本家アメリカのビルボードチャートでは通算37週にわたって1位を獲得するというとんでもない記録をたたき出しています。現在、マイケルの生涯を描いた映画「Michael/マイケル」がヒットを記録し話題となっていますが、それに伴い、本作もストリーミング数が3位に入るなどヒットを記録。また14位にも「バッド」がランクインしており、マイケル人気の相変わらずの高さを見せつける結果となっています。

さらに今週は8位にオリヴィア・ロドリゴ「恋に落ちた女の子にしては、なんだかずいぶん悲しそうだね」がランクイン。彼女はアメリカで人気のシンガーで、本作が3枚目。珍しく邦題がついていますが、オリジナルタイトルは「You Seem Pretty Sad for a Girl So in Love」と、直訳です。ストリーミング数で6位にランクイン。これだけ日本でも人気があるというのはちょっと意外な印象です。

そんな訳で今週はアルバムチャートで2作のK-POP以外の洋楽がランクインするなど、最近では珍しく、洋楽が目立つチャートとなっています。昨今、洋楽が売れなくなってきていると言われていますが、マイケルはともかく、オリヴィアがこれだけヒットしているように、まだまだ受け入れられる需要はそれなりにあるのでは?とは思ってしまいます。

一方、今週はベスト10圏外からの返り咲きも。まずKing&Prince「STARRING」が18位から9位にアップ。4週ぶりのベスト10返り咲き。通算22週目のベスト10ヒット。またMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」も16位から10位にアップし、こちらは5週ぶりのベスト10ヒット。通算69週目のベスト10ヒットとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseekers Songsは、がらり「レンズ」が獲得。2022年から活動を開始するシンガーソングライター。今年5月にメジャーデビューを果たし、EP「螺旋の街」をリリースしています。本作は全国ラジオ局のパワープレイに決定。作風はエレクトロアレンジのメランコリックな今風のポップチューンとなっています。ラジオオンエア数で3位を獲得。Hot100では35位にランクインしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャート1位は、椎乃味醂「ハーモニー」が2週連続で獲得。2位はAnythingBecomeMoe「ヤラララ (YARARARA)」が4位からランクアップしベスト3入り。3位にはotone「君死にたまえ」が初登場でランクインしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年6月24日 (水)

ワールドカップ開幕!に合わせて・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

6月11日に開幕し、大きな盛り上がりを見せているサッカーワールドカップ。今週1位はその関連曲となります。

今週1位を獲得したのは米津玄師「鳥」。2026NHKサッカーテーマソング。ワールドカップに合わせて流れまくっている曲が見事1位獲得。ダウンロード数及びストリーミング数1位、ラジオオンエア数及び動画再生回数2位という高順位で見事1位獲得となっています。なお、米津玄師は「IRIS OUT」が今週も6位にランクインしているため、今週は2曲同時ランクイン。「IRIS OUT」は通算39週目のベスト10ヒットとなっています。

2位にはジャニーズ系男性アイドルグループAぇ! group「でこぼこライフ」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数3位、ラジオオンエア数10位。 映画「おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?」主題歌。オリコン週間シングルランキングでは初動売上48万4千枚で1位初登場。前作「Chameleon」の初動45万5千枚よりアップ。

3位にはM!LK「爆裂愛してる」が先週の6位からアップし、5週ぶりのベスト3返り咲き。特にCD販売数が5位にアップしており、ランクアップの要因となっています。6月12日から、ビクターのオンラインストアで大ヒットキャンペーンを行っている影響ではないかと思われます。ちなみに「好きすぎて滅!」は今週5位にランクイン。カラオケ歌唱回数は14週連続の1位、動画再生回数は3週ぶりの1位。ちなみに「爆裂愛してる」の方に加算されているCDは、この両曲が両A面として収録されています。CD販売数以外は、すべての指標で「好きすぎて滅!」が「爆裂愛してる」を上回っており、どちらかというとヒットしているのは「好きすぎて滅!」の方では?と思うのですが。ちなみに「爆裂愛してる」は19週連続のベスト10ヒット。ベスト3ヒットは通算8週目。「好きすぎて滅!」はこれで29週連続のベスト10ヒットとなります。

続いて4位以下ですが、今週は初登場曲がなし。一方、ベスト10返り咲きとしてCUTIE STREET「キュートなキューたい」が先週の39位から7位にランクアップし、4週ぶりにベスト10返り咲き。特にCD販売数が17位から2位に大きくアップしています。こちらのCD販売数が大きく回復した理由はいまひとつ不明でした・・・。

ロングヒット曲では嵐「Five」が8位にランクイン。これで通算8週目のベスト10ヒットとなりました。ただ、先週までベスト10入りしていた「Love so sweet」は13位、「Hapiness」も18位にダウン。今週、嵐の曲はベスト20圏内に3曲のみという結果となっています。

ちなみにサカナクション「夜の踊り子」は今週4位にランクイン。ストリーミング数1位は米津玄師「鳥」に譲り、2位に留まったのですが、これで7週目のベスト10ヒットに。まだまだ上位にランクインし続けそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2026年6月23日 (火)

多幸感あふれる世界に没入

Title:Dreamworld-The Greatest Hits Live
Musician:PET SHOP BOYS

一度聴いたら忘れられないような心地よい多幸感あふれるポップチューンで数多くのヒット曲を世に送り出してきたポップデゥオ、PET SHOP BOYS。本作は、彼らの活動40周年を記念して行われたグレイテスト・ヒッツ・ライブ・ツアーの中から、2023年7月7日にコペンハーゲンのロイヤル・アリーナで行われたライブの模様を収録したライブアルバム。その後、2024年に劇場公開され、さらに今回、CD2枚+Blu-rayという形でのリリースとなりました。

そんな「グレイテスト・ヒット・ライブ」の模様を収録したライブアルバムですので、彼らの代表曲がこれでもかといったほど、出し惜しみなしに披露されています。「Suburbia」からスタートし、「It's a Sin」「Always on my mind」「West end girls」といった彼らの代表曲が次々と繰り広げられています。(ただ、なぜか「Go West」は披露されていないのですが・・・)

とにかく聴いていて純粋に幸せな気持ちになれるようなポップチューンの連続。基本的にクラブカルチャー的な要素を取り入れたエレクトロアレンジや、あるいはゲイカルチャーを意識した歌詞が特徴的であるのですが、まずは難しいことを考えずに素直に楽しめるインパクトあるメロディーラインのポップなナンバーが並んでいます。

彼らが演奏しているエレクトロアレンジについては、時代を経て大きく進歩するため、今回のライブではサウンド的にはちゃんと今風にアップデートされています。そのため、オリジナル音源ではちょっと時代を感じてしまうような楽曲でも、ちゃんと今風の音に作り替えられているのも特徴的。もっとも基本的にはオリジナルのアレンジに沿ったリメイクとなっているため、原曲のイメージを大きく崩すものはありません。そういう意味では、今風のサウンドにアップデートされた、特に今のエレクトロサウンドしか聴いた事ないような若い世代が最初に聴くにはピッタリの、オールタイムベストと言えるかもしれません。

そして、特によかったのが、Blu-rayの映像作品の方。正直なところ、CDを聴いている時点においては、漠然と「やはりいい曲が多いな」という程度で聴いていました。しかし、俄然、魅了されたのはこのライブ映像を見始めた後。PET SHOP BOYSの多幸感あふれるポップチューンの連続に、グイグイと惹きつけられていきました。

不思議なんですよね・・・特にライブ映像といっても、特別な部分はあまりありません。ステージ上で失礼ながらおっさん2人が演奏している「図」が流れているだけで、目を惹くような映像ではありません。当日は、巨大スクリーンに映像が流れており、それが楽曲を合わさって、没入効果を生み出していたそうですが、このライブ映像では、スクリーンの画像がそれほど押し出されている訳でもありません。でも、そのステージにグイグイと惹かれていく・・・視覚と聴覚で、同時にPET SHOP BOYSの世界を体感しているだけに、より没入感が生じ、その世界に惹かれていくのでしょうか。映像を見て、はじめてこの作品の魅力に本当に触れられたように感じました。

そんな訳で、音源のみならばサブスクでも配信されていて気軽に楽しむことが出来ますし、それでも十分、PET SHOP BOYSの入門としては機能しているためお勧めできるのですが、なによりも映像作品を見て、PET SHOP BOYSの世界に没入してほしいと感じさせるライブアルバム。PET SHOP BOYSも、まだ一度もライブへ行ったことないだけに、一度ライブにも行きたいなぁ。PET SHOP BOYSの魅力をあらためて実感したライブ作品でした。

評価:★★★★★

PET SHOP BOYS 過去の作品
Yes
ULTIMATE PET SHOP BOYS(邦題:究極のペットショップボーイズ)
The Most Incredible Thing
Elysium(邦題 エリシオン~理想郷~)
ELECTRIC
SUPER
Agenda
Hotspot
Monkey business
My Beautiful Laundrette
SMASH~The Singles 1985-2020
Nonetheless


ほかに聴いたアルバム

Easter Lily EP/U2

Ear

配信限定でサプライズリリースとなった6曲入りのEP盤。2月にリリースされたEP「Days of Ash」は社会派な曲の並ぶ作品でしたが、今度は一転、内省的な作品の並ぶアルバムとなっていました。作品的には前作「Days of Ash」と同様、王道的なバンドサウンドのロックチューンが並んでいます。そういう意味では、U2らしい作品が並んでおり目新しさはありませんが、一方では安心して聴ける作品にもなっています。次はそろそろフルアルバムか?

評価:★★★★

U2 過去の作品
No Line on the Horizon
Songs of Innocence
Songs Of Experience
The Virtual Road – U2 Go Home: Live From Slane Castle Ireland EP
Live At Red Rocks: Under A Blood Red Sky EP
The Virtual Road – PopMart Live From Mexico City EP
The Virtual Road – iNNOCENCE + eXPERIENCE Live In Paris EP
Songs Of Surrender
ZOO TV Live In Dublin 1993 EP
How To Dismantle An Atomic Bomb(Re-Assemble Edition)
Days of Ash

Kammerkonzert/Squarepusher

Squarepusherの新作はかなりユニークな作品で、従来の彼の作品から一転、ストリングスやピアノなどを取り入れた、クラシックや室内楽的な色合いを前面に押し出した作品に。オーケストラ的な作風ながらも、時折、フリーキーな演奏やアバンギャルドな音色などを取り入れて、Squarepusherらしさを感じさせるアルバムで、オーケストラをSquarepusherなりの解釈で取り扱った結果・・・といった感じなので、それはそれで彼らしい実験精神を感じる作品なのですが、一番驚かされるのは、それと、SquarepusherことTom Jenkinson本人が単独で制作・演奏されたという点。ある意味、この点が一番驚かされました。

そんな彼らしい、ある種の遊び心と実験精神あふれる作品。とはいえ、基本、ストリングスメインの作風になっており、彼の作品としては刺激が少ない作品になっており、その点はちょっと物足りなさを感じる部分もありました。ただ、それを承知の挑戦だったのではないでしょうか。これもこれで実にSquarepusherらしい、といえる作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

SQUAREPUSHER 過去の作品
Just a Souvenir
SHOBALEADER ONE-d'DEMONSTRATOR
UFABULUM
Music for Robots(Squarepusher x Z-Machines)
Damogen Furies
Be Up A Hello
Lamental EP
Dostrotime

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2026年6月22日 (月)

30周年のトリビュートアルバム+貴重なオリジナル音源集

今回紹介するのは、1990年代以降、日本のアンダーグラウンドシーンで活動を続ける豊田道倫の、活動30周年を記念してリリースされたトリビュートアルバムです。また、このトリビュートアルバムで収録された曲のオリジナル音源を収録したコンピレーションアルバムも同時にリリースされました。

Title:移動遊園地~パラダイス・ガラージ/豊田道倫トリビュート

正直言うと、豊田道倫というミュージシャンの曲は過去に聴いた事がありますが、いままであまり積極的に音源を聴いてはきませんでした。率直に言うと、彼の音楽は、ローファイ気味な宅録やフォークを基調としつつ、いわゆるヘタウマ的なボーカルでフリーキーに歌を聴かせるスタイル。正直言うと、このボーカルスタイルが好みではありませんでした。

さて、今回のトリビュートアルバム、曽我部恵一や七尾旅人、川本真琴など豪華なミュージシャンたちがズラリと並んだアルバムで、豊田道倫の影響力の強さを感じますが、それぞれ自分たちのスタイルに引き寄せて、豊田道倫の楽曲をカバーしている、という点が大きな特徴となります。

例えば曽我部恵一がカバーした「FOREVER LOVE」は、彼らしいフォーキーなアレンジとなっており、完全に曽我部恵一の作品となっていますし、dipのヤマジカズヒデが、田畑満、吉田達也と組んだMISSING HEADSの「夏に向かって」はアバンギャルドなバンドサウンド。元N'夙川ボーイズのリンダ&マーヤによる「viva! Rock and Roll」はシンプルなガレージロックナンバーになっていますし、地下アイドル太宰ちゃんの「仕事」も特徴的なボーカルが耳に残る、いわばいかにも地下アイドルっぽい作風となっています。

ただ、どのミュージシャンからも感じるのは真摯に楽曲に向き合い、自分なりのスタイルで豊田道倫の楽曲を解釈しようとするスタイル。そのため、自分たちのスタイルでカバーを行っても、どこか豊田道倫の楽曲及び彼自身への敬意を感じさせます。そういう意味でも豊田道倫のファンにとっても納得いくトリビュートアルバムだったのではないでしょうか。もちろん、それぞれのミュージシャンのファンも楽しめる1枚です。

評価:★★★★

Title:移動遊園地-ORIGIN-
Musician:パラダイス・ガラージ/豊田道倫

で、こちらがそのトリビュートアルバムに収録されていたオリジナル音源をまとめたコンピレーションアルバム。既にオリジナルの音源は廃盤になっており、聴くことが困難になっている作品もあるそうで、そういう意味では貴重なコンピレーションアルバムと言えるでしょう。

前述の通り、以前彼の作品を聴いた時は、そのフリーキーな歌唱スタイルが私の好みではないなぁ、と思って、以降敬遠してきました。それ以降、私も様々なスタイルの曲を聴いて、受け入れられる音楽の「許容範囲」を広げてきました。その上で彼の作品を聴いたらどう感じるのかなぁ・・・とは思ったのですが、ただ、やはり自由度の高いヘタウマの歌のスタイルは私の好みではないな、という印象は変わりませんでした。

とはいえ、ただただ抵抗感を覚えた以前と比べると、自由度の高く、ある意味、「素朴」とも捉えられる彼の音楽的な魅力はアルバムから感じ取ることが出来ます。また、楽曲的にもギター弾き語りのフォーキーな楽曲だけではなく、バンドサウンドでダイナミックに聴かせるような曲もあったり、「City Lights 2001」のように、ストリングスやホーンを入れて賑やかに聴かせるような曲もあったりと、思ったよりもバラエティー富んだ展開も楽しむことが出来ました。

あとひとつこうやってトリビュートアルバムと比較して聴いてみると彼の楽曲には、ある種の「余白」のようなものと感じます。自由度の高い楽曲スタイルだからこそ、様々な解釈を許す余地を残しており、だからこそ、その結果として、トリビュートアルバムにように、楽曲への敬意を保ったまま、自分たちのスタイルにあった作風を作りあげることが出来たのではないでしょうか。このオリジナル音源からは、そんなトリビュートアルバムにつながるような、豊田道倫の楽曲の特徴を感じるました。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

不屈の男達の物語 ~The Story Of Indomitable Men~/ラッパ我リヤ

約2年ぶりとなるラッパ我リヤの新作。相変わらず彼ららしい硬いライムを聴かせてくれる一方、サウンドについてはエレクトロサウンドが目立ち、彼らにしては軽い感じのイメージ。いままでの彼らの曲の中では、良くも悪くも聴きやすいという印象を受けました。また、「ダイヤ」のように、リリックでそのまま「介護」をテーマにした曲が入ってくるあたり、ある意味、今だからこそ綴れるリリックという印象も。まあ、HIP HOPも介護をラップするような時代になったんですね・・・。もっとも、こういうテーマを選ばない点も、ある意味、HIP HOPの魅力かもしれませんが。

評価:★★★★

ラッパ我リヤ 過去の作品
ULTRA HARD
CHALLENGER

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2026年6月21日 (日)

オールタイムベスト的なセットリストが魅力

Title:Makihara Noriyuki 35th Anniversary Concert2025"TREASUarenaTOUR"
Musician:槇原敬之

Treasuarena

槇原敬之が去年行われたデビュー35周年記念のアリーナツアーの模様を収録したライブアルバム。映像作品としてDVD/Blu-rayとしてリリースされたほか、配信限定のアルバムとしてもリリースされました。今回紹介するのはその配信限定のアルバムとなります。

まず本作の大きな特徴なのがセットリスト。35周年の記念ライブということもあり、オールタイムベストのような構成となっています。オープニングに続いて「僕が一番欲しかったもの」からスタートするのですが、2曲目にいきなり彼最大のヒット曲「もう恋なんてしない」からスタート。「ズル休み」「LOVE LETTER」など、90年代の懐かしいナンバーが続きます。

特に後半では「TREASUarenaMELDLEY」と題して、彼の代表曲のメドレーも収録。「SPY」「どうしようもない僕に天使が降りてきた」「GREEN DAYS」など数多くの彼の代表曲を一気に聴かせてくれています。その後ももちろん「どんなときも。」「遠く遠く」なども披露。SMAPに提供した「世界に一つだけの花」のセルフカバーも歌ってくれています。

興味深かったのがアンコールの2曲で、「君は僕の宝物」「ANSWER」と、大ヒットした3枚目のアルバムのタイトル曲と、ブレイク前の2ndシングルと、知る人ぞ、知る・・・といった感じではなく、ファンにとってはそれなりにおなじみの曲ながらも、大ヒットした曲ではないナンバーが最後にならぶ点、彼のこだわりみたいなものも感じます。

また、もうひとつ興味深かったのが今回、彼の初期、90年代のナンバーも多く歌われていましたが、2024年に90年代の曲で構成したライブツアー「TIME TRAVELING TOUR」で歌われた曲と、一部の代表曲を除き、かぶっていないという点。私が知るのは、ライブアルバム収録曲なので、ひょっとして会場によっては異なるのかもしれませんが、前述の曲以外にも「HAPPY DANCE」「PAIN」なども歌われているのですが、曲かぶりがありません。おそらく直近のツアーということで意識したのではないでしょうか。それにも関わらず、懐かしい90年代の名曲が並んでおり、「TIME TRAVELING TOUR」でのアルバム評でも書いたのですが、槇原敬之の名曲のあまりの多さにあらためて驚かされます。

そして、ライブアルバムならではの大きな特徴として、ストリングスによるアレンジが施されていたこと。昨年リリースされたアルバム「マキハラボ」でもストリングスアレンジに挑戦していましたが、それの延長線上とも言えるアレンジになっています。ただ正直、このストリングスアレンジについては、斬新か、と言われると、よくありがちなアレンジであり、正直なところあまり面白味はありません。一方で、ストリングスアレンジを施されていても曲のイメージにほとんど変化はなく、そういう意味で「オリジナルアレンジで聴きたかった・・・」みたいなライブでありがちな欲求不満を感じることはないでしょう。また、それはおそらく、ストリングスのアレンジでも大きな変化が生じていない、という部分がある一方で、歌自体がもつ強度がゆえに、ちょっとばかりアレンジを変えても曲の雰囲気は変わらないという、彼の歌の良さに起因している部分が大きいのかもしれません。

相変わらずの名曲の多さに、ライブツアー行きたかったなぁ・・・という感想を抱くライブアルバム。オールタイムベスト的な内容なので、マッキーの入門的にもピッタリですし、90年代にファンだった・・・という方にとっても最近の曲も収録されているだけに、久々に彼の曲を聴くにも最適なライブアルバムだと思います。あらためて槇原敬之の実力と魅力を存分に感じられたアルバムでした。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。
Listen To The Music 3
Lovable People
Believer
Design&Reason
The Best of Listen To The Music
宜候
Bespoke
Buppu Label 15th Anniversary “Showcase!”
Makihara Noriyuki Concert 2024 “TIME TRAVELING TOUR” 2nd Season ~Yesterday Once More~
マキハラボ
Makihara Noriyuki Concert 2025 Buppu Label 15th Anniversary "Showcase the Live!"


ほかに聴いたアルバム

singer-songwrither/岡本真夜

実に約7年半ぶりとなる岡本真夜のニューアルバム。デビュー30周年を迎えた彼女の、いわば集大成的なアルバムとなっているのですが、ただ、たった6曲のみ。うち1曲は岩崎宏美への提供曲のセルフカバーと、アルバムが約7年半ぶりというインターバルと合わせて、ちょっとスランプ気味に感じてしまいます。ただ、収録されている楽曲については、ビッグバンド風の曲やしんみり聴かせるバラードナンバー、軽快で明るいポップスなど、岡本真夜らしい楽曲が、バリエーションを富んで収録されています。短い内容ながらも、タイトル通り、シンガーソングライターとしての矜持も感じられるアルバム。次はフルアルバムを期待したいところですが・・・。

評価:★★★★

岡本真夜 過去の作品
seasons
Crystal Scenery II
My Favorites
Close To You
Tomorrow
岡本真夜 20th Anniversary ALL TIME BEST~みんなの頑張るを応援する~
Love Story
Happy Days
笑顔のおまじない
岡本真夜25th Anniversary BEST ALBUM~Thanks a million~

THE BADDEST~Son of R&B/久保田利伸

日本におけるR&Bの先駆者、久保田利伸による今回のベスト盤は、彼の作品の中でも特にR&B色が強い作品をあつめた企画盤的な内容。メロウに聴かせる楽曲が並び、長年、日本でR&Bを追求してきた久保田利伸の真骨頂とも言える作品が並んでいます。ただ、全体的にゆっくり聴かせる曲が多かったり、リズムで特徴づけるような曲が多かった一方、ソウルらしい、甘いキュンとするようなメロディーは少ない印象もあり、個人的に、ブラックミュージックが好きでもあまり彼にはまれない理由のひとつかも。それでも彼が実力のあるミュージシャンであることは間違いないとは思うのですが。

評価:★★★★

久保田利伸 過去の作品
Timeless Fly
Gold Skool
THE BADDEST~Hit Parade~
L.O.K.
THE BADDEST~Collaboration~
3周まわって素でLive!~THE HOUSE PARTY! ~
Beatiful Peaple
THE BADDESTⅣ&Timeless Hits

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2026年6月20日 (土)

幻の4thアルバム

Title:Disque 4-'76 Studio et Live-
Musician:裸のラリーズ

Disque4

水谷孝の逝去後、音源のリリースが相次いでいる裸のラリーズ。その音源はいずれも、過去の残されたライブ音源を蘇らせたものとなっていますが、今回の作品はちょっと毛色の違う作品、とも言えるかもしれません。本作は、水谷孝が生前に構想していた「幻の第4のアルバム」を、没後に再構成させ、完成させたもの。スタジオ録音に、ライブでの録音も加えて完成させたアルバムとなっており、ライブアルバムとは違う、裸のラリーズの「オリジナルアルバム」となっています。

このアルバムがいままでの作品とは大きく異なる点は、なによりも楽曲の構成、輪郭がはっきりして、水谷孝が楽曲で意図したことがより明確になっているという点でしょう。ライブ音源に関しては、即興的な要素が強く、フィードバックノイズを前面に押し出した迫力重視の作品になっています。そのため、その轟音に圧倒される一方、裸のラリーズのコアな部分については、少々わかりにくくなっているという点がありました。

今回のアルバムに関して言えば、ライブ音源に比べて音が圧倒的にクリアになっており、そして楽曲本来のメロディーラインや構成がわかりやすくなっていました。例えばアルバムの1曲目を飾る「黒い悲しみのロマンセ 或いはFallin'Love With」は哀愁感ある歌がしっかりと感じられる歌モノの作品になっていましたし、特に「白い目覚め」では歌を前面に押し出したドリーミーな雰囲気の楽曲となっており、しっかりとしたメロディーを書け、さらには歌も魅力的なバンドだったんだ、ということを再認識させられます。

もちろん、ライブ的な要素を押し出した楽曲も少なくありませんが、それらの曲についても、圧倒的に音がよく、聴きやすくなり、楽曲の構成がわかりやすくなっています。「夜の収穫者たち」も、疾走感あるガレージロックのサウンドが魅力的。しっかりとした爆音が流れつつも、音が全体的に襲ってくるのではなく、ギター、ドラム、ベースそれぞれの音がしっかりと聴きとれる、グルーヴ感ある演奏を聴くことが出来ます。「夜の風 そして 夜明けのロウソクの炎」も、郷愁感あるギターフレーズを繰り返すナンバーで、ギターの残響を聴かせるライブ感ある楽曲なのですが、これも、音がよりクリアとなり、ギターの残響の魅力をしっかり感じられる録音に仕上がっています。

ラストの「夜、暗殺者の夜」は、そんな中でも、ライブの裸のラリーズの要素がそのまま残った作品と言えるでしょう。楽曲は終始フォードバックノイズが載る、迫力あるバンドサウンドが魅力。ただ、そんな中でも、ライブ音源だと後ろに隠れがちだった歌がしっかりと前に出てきており、本作のあるべき姿がよりわかりやすくなっている録音となっていました。

もちろん、轟音を前面に押し出した迫力満点のライブ音源も魅力的ですが、裸のラリーズのコアな部分をより知ることが出来る作品。ライブ音源での轟音の中で隠れてしまいがちなメロディーメイカーとしての魅力や、バンドのアンサンブル的な側面の魅力を感じることが出来る作品となっています。音も非常に良いため、裸のラリーズの最初の1枚としてもうってつけかと。(もっとも、ライブ音源で、これでもかというほどのフィードバックノイズの洗礼を受けるのも、裸のラリーズの最初の出会いとしてうってつけかもしれませんが)文句なしの傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

裸のラリーズ 過去の作品
67-’69 STUDIO et LIVE
MIZUTANI / Les Rallizes Dénudés
'77 LIVE
CITTA'93
BAUS'93
屋根裏 YaneUra Oct.'80
屋根裏 YaneUra Sept. '80
拾得 Jittoku ‘76


ほかに聴いたアルバム

IMI/パスピエ

前作からほぼちょうど1年ぶりとなるパスピエのニューアルバム。結成15周年を経たバンドがパスピエらしさを再定義したアルバムだそうで、実際、シンセポップをメインに、アップテンポで軽快なポップチューンがメインのいかにもパスピエらしい楽曲が並ぶアルバムとなっています。ポップで聴きやすく、パスピエ初心者に対してうってつけとも言える内容である一方、目新しさがない点はちょっとマイナスな感じも。

評価:★★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM
娑婆ラバ
&DNA
OTONARIさん
ネオンと虎
more humor
synonym
印象万象有象無象
あちゃらか
カリギュラ

Still Shine - Her Songs, Our Harmony -/CHEMISTRY

女性ボーカル曲限定となるCHEMISTRYのカバーアルバム。基本的に既発表曲をまとめたものですが、新曲として安室奈美恵の「Baby Don't Cry」とglobeの「DEPARTURES」のカバーが収録されています。2人の息の合ったハーモニーは非常に美しく、ボーカルのみを取り出せば文句なしのカバーになっているのですが、一方、アレンジの方がどうにも陳腐・・・。特に「DEPARTURES」は、小室哲哉の楽曲はしばしばありがちなのですが、オリジナルのアレンジと比べ、曲とのバランスがどうにもチグハグになっています。ボーカルが素晴らしかっただけにちょっと残念に感じるカバーアルバムでした。

評価:★★★

CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
CHEMISTRY 2001-2011
Trinity
はじめてのCHEMISTRY
CHEMISTRY
THE Best&More 2001~2022
BLUE CHEMISTRY

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2026年6月19日 (金)

ファルセットを駆使して聴かせる歌が大きな魅力

Title:Distracted
Musician:Thundercat

フライング・ロータスやケンドリック・ラマーの作品への参加で高い注目を集めているベーシスト、Thundercat・・・というよりも、自身もシンガーソングライターとして活躍し、数多くの傑作をリリースしていますので、もう説明の必要もないでしょう。そんな彼の実に約6年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。フュージョンやソウル、ファンクなどの要素を取り入れ、メロウでポップにまとめあげた曲が大きな魅力の彼ですが、本作もそんないままでのThundercatのスタイルに沿った傑作アルバムに仕上がっています。

今回は、前作以上に豪華なゲストの参加が目立った作品となっており、「I Did This To Myself」では盟友のフライング・ロータスやリル・ヨッティー、「Funny Friends」ではエイサップ・ロッキーが参加しているほか、「No More Lies」ではTame Impala、「What Is Left To Say」ではThe Lemon Twigsとロックフィールドからもゲストが参加。さらに「She Knows Too Much」では2018年に亡くなったマック・ミラーが参加した作品となっており、話題となっています。

そんな豪華なゲストが揃った今回のアルバム。特に前半においては、そんな豪華なゲストを生かしたバラエティー富んだ展開が楽しめます。オープニングを飾る「Candlelight」では彼の超絶ベースプレイをまずは聴かせてくれますし、Tame Impalaが参加した「No More Lies」では、Tame Impalaらしさを生かしたリズミカルなナンバーに。「She Knows Too Much」「I Did This To Myself」ははラップが入り、HIP HOP的な要素の強い作品となっています。

一方、アルバム全体としては、サンダーキャットのファルセットボーカルを生かしたメロディアスな歌が主軸となった作品となっていました。前述のThe Lemon Twigsも参加した「What Is Left To Say」は、まさに70年代のソフトロックの要素を感じさせるメランコリックな歌が、キュンと来るようなメロディーを聴かせてくれていますし、「Walking on the Moon」も彼のファルセットボーカルでメロウに聴かせるメロディーラインが魅力的。WILLOWが参加した「ThunderWave」でもスペーシーなサウンドの中、ドリーミーに聴かせる2人のデゥオが魅力的な作品に仕上がっています。

特に後半に関しては、ポップな歌モノの作品が並んでいるだけに、一部でちょっとしりすぼみ気味という意見もあるようですが、なかなかどうして、後半に至るまでファルセットボーカルで、ソウルやファンク、フュージョンの要素を入れたメロディアスなポップチューンを聴かせてくれており、まさに聴いていてキュンキュン(笑)してしまうような歌の連続で、最後まで耳を離せません。今年を代表する傑作の1枚といって間違いないでしょう。終始、サンダーキャットの魅力に酔いしれることが出来る傑作でした。

評価:★★★★★

Thundercat 過去の作品
Drunk
Drank
It Is What It Is


ほかに聴いたアルバム

BULLY/Ye

その発言が、いろいろと物議をかもしており問題ともなっているYeことカニエ・ウェストの新作。先日はイギリスで開催予定だった彼が出演予定だった音楽フェスから多くのスポンサーが撤退。彼自身もイギリスに入国拒否となり、音楽フェス自体が中止になる事態が生じました。彼をめぐる状態が決して良いものではないなかリリースされた本作。ここ最近のアルバムは酷評が続いていたのですが、この新作に関しては、決して悪くありません。特に前半は今時のビートミュージックを取り入れて、最新のスタイルにアップデートしたカニエの姿を感じます。後半のメロウなフロウの曲中心の曲は若干マンネリ気味とはいえ、カニエらしさも感じる楽曲。最盛期と比べると・・・とは思うのですが、純粋な音楽的には決して悪いアルバムではありませんでした。

とはいえ、過去の発言が決して許される訳がない彼。世間的には厳しい目にさらされています。とはいえ、本作ではTravis Scotなど多くのミュージシャンが参加した中、あのRADWIMPSの野田洋次郎も参加し、話題となっています。ただ、この点において、何ら野田洋次郎からカニエの過去の言動に対してのエクスキューズがない点は気になります。全体的に日本においてはカニエの言動に関して甘い評価が多いですし(最近彼がよく来日している大きな理由もそこだったりします)、そこらへんの意識の低さが悪い意味で野田洋次郎らしくも感じてしまうのですが・・・。いろいろと考えることの多い新作でした。

評価:★★★

KANYE WEST 過去の作品
GRADUATION
808s&Heartbreak
MY BEAUTIFUL DARK TWISTED FANTASY
YEEZUS
The Life Of Pablo
Ye
Jesus Is King
Donda
VULTURES 1(¥$)

Honora/Flea

レッチリのベーシスト、フリーによるソロデビューアルバム。かなり挑戦的な作品になっており、前半はトライバルなリズムを聴かせる作品。中盤はジャジーな内容となっており、後半はポストロック的な感じと、まさにソロらしい、フリーがいろいろとやりたい音楽を自由に展開しているような内容に。正直、中盤のジャジーな作風はいかにもといった感じなのですが、前半のトライバルな作風と後半のポストロック的な作風はかなりおもしろい内容になっており、レッチリファン以外でも楽しめるかと。なにげにソロとしての今後の活躍も期待したくなる1枚でした。

評価:★★★★★

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2026年6月18日 (木)

こちらも「嵐」の後

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

こちらも先週はのラストライブの影響があらわれたチャートとなりましたが、今週は落ち着き、先週ベスト10入りしてきた「Time」が10位にダウンしつつベスト10入り。先週6位だった「5×20 All the BEST!! 1999-2019」は15位、9位だった「僕の見ている風景」は12位にそれぞれダウン。ベスト20にもこの3作だけという結果となっています。

今週1位は韓国の男性アイドルグループBOYNEXTDOOR「HOME」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数6位、ストリーミング数7位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上15万9千枚で1位初登場。本作が初となるフルアルバム。直近のミニアルバム「The Action」の初動14万6千枚(2位)よりアップしています。

2位はBTS「ARIRANG」が先週と同順位をキープ。これで13週連続のベスト10&ベスト3ヒット。ストリーミング数も13週連続の1位となっています。

3位は吉田仁人「東京」がランクイン。アイドルグループM!LKのメンバーによる5曲入りのEP盤。CD販売数2位、ダウンロード数1位。オリコンでは初動売上7万8千枚で2位初登場。

4位以下の初登場は1作のみ。6位に男性アイドルデゥオ、ROIROM「CLASSIC WAVE」が初登場。CD販売数3位、ダウンロード数2位となっています。

ロングヒット盤ではHANA「HANA」はワンランクダウンの5位。これで16週連続のベスト10ヒットとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsで1位を獲得したのは男性アイドルグループVIBY「HANAMARU」。BTSやTOMORROW X TOGETHERらの開発に関わったキム・ミジョンが設立した新レーベル「Rii.MJ」の第1弾グループだそうです。ラジオオンエア数で9位。ただし、Hot100ではベスト100圏外となっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャート1位は、椎乃味醂「ハーモニー」が獲得。本作は、今年2月に行われたボカコレ2026冬で3位を獲得。その時はチャートでも3位にランクインしたのですが、このたび、再びランクインし、見事初の1位獲得となっています。2位は猫舘こたつ「ビッグ・ラヴ・ミュージック」が獲得。3位は先週1位だったマサラダ「カンケーガール」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年6月17日 (水)

「嵐」の後には

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週は、ラストライブの影響での楽曲が一気にランクインしました。今週は、ラストライブから時間が経て、ちょっと落ち着いたものの、まだ多くの楽曲がランクイン。まず「Five」が先週からワンランクながら3位とベスト3をキープ。ただ、先週1位だったダウンロード数及びストリーミング数がいずれも2位にダウン。動画再生回数も2位から4位にダウンしています。

他には、「Love so sweet」が先週と変わらず9位、「Happiness」が7位から10位にダウンと、先週と変わらず3曲同時ランクイン。以下12位に「Monster」(先週と変わらず)、15位に「One Love」(先週は13位)、18位に「A・RA・SHI」(先週は14位)と、ベスト20圏内に6曲の楽曲がランクイン。今週もまだ「嵐」が吹き荒れる結果となりました。

一方、1位を獲得したのは秋元康系女性アイドルグループ櫻坂46「Lonesome Rabbit」。CD販売数1位、ダウンロード数6位、ストリーミング数14位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上52万2千枚で1位初登場。前作「The growing up train」の初動51万7千枚(1位)からアップしています。

2位はサカナクション「夜の踊り子」が先週の6位から大きくアップし、2週ぶりのベスト3返り咲き。動画再生回数は2週連続通算4週目の1位。先週、嵐に譲ったストリーミング数1位も今週奪回し、通算4週目の1位を獲得しています。

続いて4位以下ですが、今週初登場は櫻坂46の1曲のみ。一方、先週、嵐に押し出される形でベスト10落ちした曲の返り咲きも目立ちました。まず米津玄師「IRIS OUT」が11位から5位にアップ。特にストリーミング数が6位から3位にアップ。ベスト10ヒットを通算38週に伸ばしています。さらにILLIT「It's Me」も先週の15位から8位にアップ。こちらも2週ぶりにベスト10返り咲きとなっています。

またロングヒット曲は、M!LK「好きすぎて滅!」が8位から4位に、「爆裂愛してる」が10位から6位にアップ。それぞれベスト10ヒットを28週連続及び18週連続に伸ばしています。また、「好きすぎて滅!」はカラオケ歌唱回数が今週も1位を獲得し、これで13週連続の1位となります。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2026年6月16日 (火)

わずか20分ながらも「濃い」ファンクを聴かせる

Title:ガンバレ!FUNK☆SAURUS
Musician:ファンクザウルス

Gambarefunksaurus

かのスガシカオ率いるファンクバンド、ファンクザウルス。昨年はアルバム「ファンクザウルスLP」がリリースされ話題を呼びましたが、本作は、その後の約8ヶ月の活動休止期間を経てリリースされた新作・・・といっても、メンバー全員、それぞれの活動でも忙しいメンバーばかりなので、たった8ヶ月のインターバルを「活動休止期間」と言ってしまっていいのかはかなり疑問なのですが・・・全6曲のミニアルバムは、「ファンクザウルスLP」と同様、ファンクへの愛があふれる作品に仕上がっていました。

全体的にはファンクへの愛情あふれる楽曲と、ノベルティー色のある歌詞というスタイルは前作と同様。冒頭を飾る「FUNKでモテたら失格~We're FUNK SAURUS」は、バンドのテーマ曲といってもいい作品で、どちらかというとPファンク色の強い作品。タイトル通り、ファンクを女性にもてない音楽と自虐するユーモアセンスあふれる歌詞も大きな魅力。続く「昭和ボーイズ」も同じくPファンク風のシンセが入ってリズミカルなナンバー。こちらも昭和生まれのおじさんたちが自分たちのことを自虐的に歌詞にした内容がユニークです。

雰囲気がグッと変わった「長崎のシカプリオ」は、メロウなミディアムチューンのナンバー。シカプリオはスガシカオとディカプリオをかけたユーモラスな言葉遊びですが、楽曲自体は、ある意味、ファンクザウルスというよりもスガシカオの王道を行くような、しんみり聴かせる楽曲に。アルバムの真ん中で、ちょっとチルアウト的なナンバーとなっています。

「魔法の言葉」もシンセでスペーシーなファンクが特徴的。商売上、宣伝目的の「売り文句」に惹かれる心境をユーモラスに表現した曲。「愛マヨネーズ」もタイトル通り、マヨネーズへの愛情を歌ったナンバー。こちらはリズミカルなディスコ風のナンバーに。ラストを締めくくる「ぜんぶ忘れた」はホーンセッションも入って力強いJB直系のファンクナンバーで締めくくられてます。

今回のアルバムは、全6曲入り、全20分程度と、EPであって作品としては短い内容となっていますが、ただ1曲1曲についてはどれも非常に濃い内容に仕上がっている作品に。特に今回は、JB直系のぶっといサウンドで聴かせるファンクというよりも、シンセ主導でスペーシーな作風を聴かせるPファンクからの影響が強い構成に仕上がっていた点も特徴的でした。

また、ノベルティー色の強い歌詞のインパクトはさらにアップ。前述の通り、どこか自虐的な歌詞がメインながらも、非常にユーモラスで、かつファンクへの愛情も感じられる作品が目立ちます。

そして前作と同様、やはりアルバムのキーともなっているのがスガシカオの端正なボーカル。特にアルバム中盤に配された「長崎のシカプリオ」は、こちらもユーモアな歌詞ながらも、ムーディーな大人の雰囲気を漂わせるミディアムバラードとなっており、アルバム全体に奥行きを与えています。

今回もまさに、ファンクへの愛情あふれるインパクトの強い傑作アルバムに。前述通り、わずか20分とはいえ、聴きごたえのある傑作に仕上がっていました。メンバーそれぞれが個人での活動も忙しそうなので、今後もコンスタントにファンクザウルスとしての活動が続くかどうか微妙なところですが、是非とも、これからも活動を続けてほしいなぁ。ただ、そろそろスガシカオの新作も聴きたい感もあるのですが。

評価:★★★★★

ファンクザウルス 過去の作品
ファンクザウルスLP


ほかに聴いたアルバム

二人称/ヨルシカ

ヨルシカの最新アルバムは非常にユニークな試みがされています。「書簡型小説」と題された小説と連動したアルバムとなっているのですが、詩を書く「少年」と「先生」での手紙でのやり取りを通じて世界を広げていくというスタイル。その「手紙」が封筒に詰められた形で、小説として販売されています。そんな異色的な小説に連動したアルバムとなっており、その小説を読むことで本作の世界観をより理解することが出来る、という構成となっています。

アルバムの方は基本的に配信というスタイルでのリリース。作品はシティポップ的な作品から、ギターロック、ファンク、ジャズ、ボッサなど、かなりバラエティー富んだ作風で、かつ、全体的にスタイリッシュな雰囲気の曲が目立ちます。n-bunaの幅広い音楽性と実力を感じられる作品になっています。ただ、全22曲1時間20分強という長さはちょっと長すぎる・・・。アルバムとして一気に聴く、というよりは、小説を読みながら、順次聴き進めるというスタイルなのかもしれませんが・・・ちょっとアルバムとして一気に聴くにはダレてしまう部分は否めませんでした。

小説の方にも興味はあるのですが、残念ながらこちらは読んでいません。税込8,470円という高さもさることながら、書店で見かけたのですが、封筒がたくさんつまっているだけにかなりの大きさとなっており、正直、保管場所にも困りそう・・・。手紙は手書きのスタイルとなっており、実際の紙で読んでほしいというこだわりを感じさせる一方、かなり熱心なファン以外には敷居が高い感じも。ある程度時間を置いてからでいいので、通常の書籍のスタイル、もしくは電子版でのスタイルでも、もっと安くしてリリースしてほしいなぁ。

評価:★★★★

ヨルシカ 過去の作品
エルマ
盗作
創作
幻燈

Soul Quake 3/Watson

Soulquake3

徳島県小松島出身のラッパー。「Soul Quake」シリーズとして、いままで作品をリリースしてきましたが、それの第3弾であり最終作となるのが本作だそうです。トラップやドリルなど、今時のサウンドを取り入れたトラックに、全体的にメランコリックでメロディアスなフロウの曲が多く、いい意味でポップで聴きやすさを感じさせる内容。全体的に地方出身のラッパーとしてのリアリティーや、成功談が多いのは、良くも悪くも「いかにも」といった感じですが、ポップな雰囲気も重なり、変な粋がりみたいなのは感じられません。今回、ビルボードチャートでいきなりベスト10ヒットを記録したのですが、人気の訳もわかるような作品でした。

評価:★★★★

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2026年6月15日 (月)

素のマイルス・デイヴィスも垣間見れる、交流を描いたドキュメンタリー

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと~マイルス・スピークス~」。音楽ジャーナリストである小川隆夫による著作で、もともと2016年に出版された著作ですが、マイルスの生誕100周年ということで文庫化。それが話題になった、ということもあり、今回読んでみました。

マイルス・デイヴィスといえば、「モダン・ジャズの帝王」とも呼ばれ、ジャズ界を代表するジャイアントのひとりと言われる人物。小川氏はそんな彼に1985年にはじめて対面。その後、1991年に彼が亡くなるまで、20回にもわたり彼と直接会話し、さらにはインタビューを行ってきた、おそらく晩年のマイルスにもっとも対面した日本人と言えるでしょう。本作は、その20回にも及ぶ彼との会話をまとめたインタビュー集・・・というよりも、彼がどのようにしてマイルスに出会い、会話し、様々な交流を行い、そして別れたか、と描いた、いわばマイルスとの出会いのドキュメンタリー。マイルスといつ、どのような形で出会ったのか、時系列順に並べられてまとめられています。

そして、このドキュメンタリーがめちゃくちゃおもしろい!小川氏がマイルスと出会った1985年、既にマイルスはジャズ界の帝王として、その名を馳せている、文字通りのビップ中のビップ。さらに「評論家嫌い」だったようで、非常に気難しさを感じさせる印象の出会いとなっています。それだけに、毎回、出会う前は小川氏自体、非常に緊張していたようで、受け答えのひとつひとつ、マイルスがどのような答えを望むのか、考えながら、緊迫感のあるやり取りを繰り広げています。そのやり取りの緊迫感が、本を通しても私たちに伝わってくるようです。

そんなドキュメンタリーだけに、1回1回のマイルスとの出会いが、どのようなきっかけで生じ、どんな会話や交流がなされたのか、読んでいるだけで小川氏の緊迫感と、それと同時に小川氏のマイルスに対する敬意の念が伝わってきて、読んでいてとても興味深く楽しめる内容となっていました。マイルスとの交流も、ジャズにまつわる会話だけではなく、ジャズとは関係ないような会話や交流も描かれており、読んでいる私たちもマイルスと出会って会話しているような、そんな錯覚に陥ってしまうような1冊となっていました。おそらくマイルスをあまり聴いた事ないような方でもひとつのドキュメンタリーとして楽しめるのではないでしょうか。

インタビューの内容自体もマイルスのいままでの生い立ちや、音楽やジャズに対する考え方が、マイルス自身から語られて非常に興味深さを感じさせるようですが、それ以上に興味深かったのは、その会話や交流から垣間見れるマイルスの人柄。「帝王」と呼ばれる大物で、気難しさも感じさせる反面、その言動からすると、意外と気さくさも感じさせる人柄の良さも感じさせます。特に途中、マイルスに買い物を頼まれた著者が、買い物を終えて戻ろうとすると土砂降りに合ってしまうのですが、その時、マイルスが自ら傘を持って著者を迎えに来るシーンなど、「めちゃくちゃいいやつじゃん!」と思ってしまいます。他にも途中、お姉さんが登場したら、齢50歳を超えた帝王マイルスなのに、お姉さんの前では、いつまでたっても単なる「弟」に戻ってしまったりするのもユニーク。著者には、気さくに食事をふるまったりもしていますし、なにげに著者との会話で怒り出して、著者を追い出してしまう、なんてシーンもほとんどありませんし、素のマイルスは、気遣いもできるとてもいい奴、という印象を受けます。

もちろん、そんなマイルスの姿を感じられるのは、著者自身の人柄やコミュニケーション能力に依る部分も大きいのでしょう。ただ、その点を差し引いても、おそらくマイルスは元来、とても人柄もよく気さくな性格なのでしょう。そんな「帝王」の素の部分が、小川氏との交流を通じて感じられる著書となっていました。おそらく、晩年の彼について、ここまでフレンドリーに交流できたのは彼くらいだったのでは?そういう面でも非常に貴重なドキュメンタリーとなっていました。

もちろん、音楽的な側面でも貴重な証言も多く、また、新しい音楽を積極的に取り入れようとする姿も印象的。個人的にも本書を読んでいて、あらためてマイルスのアルバムを聴きなおしたくなりました。ちなみに本書、マイルス・デイヴィスの歩みをまとめて著書「マイルス・デイヴィスの時代: ジャズの帝王とモダン・ジャズの軌跡」と同時リリース。こちらの方はまだ未読なのですが、俄然、読んでみたくなりました。ジャズ好きでなくてもドキュメンタリーとして楽しめ、またジャズやマイルス好きにはたまらない1冊だと思います。傑作です。

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2026年6月14日 (日)

ロックバンドとしての実力を感じるステージ

TORTOISE Japan Tour 2026

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2026年6月3日 19:00~

今回、足を運んだライブはポストロックの代表的なバンドで、シカゴ音響派の雄ともいえるTORTOISEの来日ツアー。その名古屋CLUB QUATTROのライブに行ってきました。ちょうどこの日は台風が日本が接近し、ライブ開催もちょっと心配したのですが、この日の午後には台風は無事通過。ライブも問題なく開催されました。

ステージは19時10分頃からスタート。ステージ上にはドラムが中央に2台設置されており、そのバックにシンセが設置しているというスタイル。1曲目は「Vexations」からスタートとなったのですが、とにかく力強い演奏で、ドラムのリズムが腹に来ます。音源で聴くよりもかなりダイナミックな、「ロック然」としたステージとなっていました。

続く2曲目「Gigantes」では、ジョン・マッケンタイアとジョン・ハーンドンの2人によるツインドラムによる演奏。迫力あるパフォーマンスを聴かせます。

Tortoise_live1

TORTOISEのメンバーは5人。ただ今回は、ギターのジェフ・パーカーが来日できなかったようで、代わりのギターにジェームズ・エルキントンが参加しての5名体制となっていました。ユニークなのはこの5名、メインとなる楽器はあるものの、メンバーそれぞれ様々な楽器を入れ替わり立ち代わり担当するスタイル。例えば続いての「I Set My Face to the Hillside」ではジョン・マッケンタイアとジョン・ハーンドンの2人はドラムに代わり電子マリンバを叩いて軽快な音色を聴かせてくれていましたし、続く「Promenade à deuz」ではジョン・ハーンドンは舞台袖に下がり、マッケンタイアのみで力強いドラムのビートを聴かせてくれました。

さらに「Monica」では会場からは歓声が。エレクトロサウンドを聴かせつつ、再びマッケンタイアとハーンドンによるツインドラムでダイナミックな演奏を聴かせてくれます(写真下)。

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ライブは「In Sarah,Mencken,Christ,and Beethoven There Were Women and Men」から「Oganesson」へと続き、ここでは複雑なリズムでTORTOISEらしいグルーヴを聴かせます。「Glass Museum」では再び電子マリンバの音色でメランコリックに聴かせてくれます。

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「Works and Days」はドラムもなしのナンバー(写真上)。マッケンタイアもシンセを担当。打ち込みでサイケなサウンドを聴かせてくれます。

ダイナミックな「The Eauator」に続き、「Ten-Day Interval」では、再びマッケンタイアとハーンドンが2人で電子マリンバの音色を奏で、ドリーミーに聴かせてくれます(写真下)。

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本編ラストは「Swung From the Gutters」。こちらは再びツインドラムでのダイナミックなナンバーで締めくくり。最後はベースのダグ・マッコームズが軽く挨拶をし、メンバーは会場から去りました。

もちろん、その後は盛大なアンコールが。メンバーが再びステージに戻って来ると「Dot/Eyes」でダイナミックな演奏を聴かせ、今度はハーンドンによる簡単なMC。さらにアンコール2曲目は「Crest」へ。ダビーなアレンジも取り入れて、ゆっくりと聴かせる楽曲となっていました。

アンコール2曲でメンバーが再びステージを去り、客電もついたのですが、会場からは再び盛大なアンコールが。どうなるか?と思いきや、なんとメンバーが再度登場しダブルアンコールへ!ダブルアンコールのラストは「Rated OG」へ。サイケでダイナミックな演奏で会場を沸かせ、ステージは幕を下ろしました(写真下)。

Tortoise_live5

約1時間半のステージ。最後はダブルアンコールまで披露してくれ、かなりボリューミーなステージでした。前述の通り、基本的に自分の主たる楽器の他にも様々な楽器を持ち替えてのパフォーマンスとなっており、メンバー全員が、プレイヤーとしての高いスキルを感じさせるパフォーマンスでした。ポストロックバンドの雄として名高い彼らですが、ライブパフォーマンスではツインドラムを用いてダイナミックな演奏がメインとなっており、ロックバンドとしての矜持を感じさせる迫力のあり、グルーヴィーな演奏を聴かせてくれます。その高いパフォーマンス能力を合わせて、なによりもロックバンドとしての実力を実感できたライブでした。

非常に充実したステージで、最初から最後まで目の離せないパフォーマンスで、存分に楽しめた1時間半でした。もうひとこと「さすが・・・」という感じですね。満足した気持ちで会場を去ることが出来た、素晴らしいライブでした。

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2026年6月13日 (土)

コンセプトに感じる強烈な違和感

Title:GOODBYE
Musician:清竜人25

様々なスタイルでの音楽活動が注目の的となる、「異才」という表現もピッタリなシンガーソングライター、清竜人。彼が2014年に結成したのがアイドルグループ清竜人25で、「一夫多妻制アイドル」というコンセプトのもとに、清竜人本人もメンバーとして含むアイドルグループを結成。2017年の解散まで活動を続けました。

その後は清竜人ソロとして活動を続けていたのですが、2024年5月に清竜人25の再結成を発表。再び活動を開始したものの、昨年10月、新たな音楽活動に向けての準備期間として、清竜人としての活動をすべて中止することを発表。そのため、清竜人25も活動終了となりました。

本作は、そんな清竜人25の再結成後初にして最後のアルバム。3枚組のCDとBlu-rayという豪華な内容になっており、Disc1は再結成後に発表された楽曲を収録したオリジナルアルバム。残り2枚のアルバムはアコースティックアレンジとバンドアレンジによるライブ音源。Blu-rayは同じくライブ映像とMVが収録という内容となっており、いわば再結成後の清竜人25のアーカイブ的な内容となっています。

清竜人25といえば、アイドルグループでありつつも、あくまでも清竜人のプロジェクトとして、彼の個性が発揮された楽曲が並びますが、今回の作品についても、基本的にはその方向性で貫かれています。基本的には、再結成前の作品のリメイクが多いのですが、冒頭を飾る「Will you marry me?」はメロウでファンキーな清竜人らしさがより前に出ているアレンジが出ているリメイク作に。同じくリメイク作「アバンチュールしようよ」もよりメロウにリメイクされています。

ただ、全体的には再結成前の作品よりも、清竜人が後ろに下がって、より「アイドルポップ色」が強くなった作品が目立ちます。再結成前の作品は、ともすれば清竜人がメインで、女の子たちはバックコーラス的な立ち位置な曲すら目立った印象がありましたが、今回の作品については清竜人を前に押し出した曲は少なく、清竜人を期待して聴くと、ちょっとがっかりするかも。また、リメイク作が続く前半に対して、後半は再結成後の新曲が並びますが、いずれもアイドルポップ色が強い作品となっており、こちらも清竜人の独特な色合いは薄くなってしまい、良くも悪くも「普通の」アイドルグループ然とした感じになっています。

そして、このアルバム全体を通じて感じる強烈な違和感があり、それは、30代後半のいい年したおっさんが、20代の若い女の子を(ネタ的とはいえ)奥さんとして率いる構図が、どう考えてもキモチ悪いという点でした。全体的に再結成前のメンバーと比べると、女の子たちの平均年齢は上がっているのですが、それでも清竜人と一回り以上年齢に差異があるメンバーもいます。前回の清竜人25の時は、清竜人本人も20代で、メンバーとの年齢差も10歳に満たない程度だったため、一夫多妻というコンセプトも、ネタとして違和感はなかったのですが、さすがに30代後半のおっさんが、20代の女の子たちを「奥さんたち」として率いる図は、ネタだとしても違和感を覚えてしまいます。

今回、清竜人25としての活動はわずか1年強という非常に短いものでした。清竜人自体の活動を休止するという理由もあったのですが、やはりこの清竜人25のコンセプト自体、清竜人本人の年齢もあって限界が来ている、というのを感じたからではないでしょうか(・・・というか、いい大人として「そうあってほしい」のですが)。こればっかりは仕方ないですし、もし再結成するにしても、次からは、「女の子たちをパトロン的にサポートするおじさま」的なコンセプトにチェンジしてほしい感じも・・・。当初のコンセプトとしてはおもしろいと思いましたし、楽曲的にももちろん悪くはないのですが、この違和感が非常に残念に感じ、コンセプト的な限界も感じたアルバムでした。

評価:★★★

清竜人 過去の作品
WORLD
MUSIC
WORK
BEST
WIFE(清竜人25)
TOWN(清竜人TOWN)
REIWA
FEMALE
COVER


ほかに聴いたアルバム

TM NETWORK 2024 intelligence Days FANKS inside -LIVE-/TM NETWORK

Tminside

昨年10月から、7ヶ月連続でサブスク解禁されているTM NETWORKのライブアルバム第6弾。2024年12月31日に東京ガーデンシアターで行われたライブの模様を収録したライブ音源。年末の、ちょっと落ち着いた雰囲気の時期でのライブだった影響か、全体的に比較的、フォーキーに聴かせるタイプの曲が多かったような印象も。

評価:★★★★★

TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
Gift from Fanks T
Gift from Fanks M
LIVE HISTORIA T 〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
LIVE HISTORIA M〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
DEVOTION
40+ ~Thanks to CITY HUNTER~
How Do You Crash It?
TM NETWORK TOUR 2022"FANKS intelligence Days"at PIA ARENA MM-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~DEVOTION~-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~YONMARU~-LIVE-

Paledusk/Paledusk

海外での活躍も注目されているロックバンドによる、フルアルバムとしては初となる作品。2枚組の作品となっており、1枚目はオリジナルアルバム、2枚目はインディーズ時代の楽曲を集めたベスト盤となります。基本的にハードコアにエレクトロを加えたようなヘヴィーロックバンド。インディーズ時代の曲に関しては、勢い一本調子で攻めてくるような感じで、轟音が心地よくも、少々単調に感じる部分もあるのですが、オリジナルアルバムの方はそれなりにバリエーションも増してきており、バンドとしての成長も感じます。これからに期待といった感じでしょうか。

評価:★★★★

Paledusk 過去の作品
Palehell

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2026年6月12日 (金)

いまさらながらですが・・・

Title:orange pekoe All Time Best 2001-2025 春夏秋冬、日々詠歌
Musician:orange pekoe

ボーカルのナカジマトモコとギターの藤本一馬の2人組ユニット、orange pekoe。2002年にリリースされたメジャーデビューシングル「Happy Valley」がFM32局でヘヴィーローテーション曲に選ばれスマッシュヒットを記録。その後にリリースされたアルバム「Organic Plastic Music」も30万枚以上を売り上げるなど、一躍ブレイクしました。

その後は徐々に人気も落ち着き、2010年代中盤からはそれぞれのソロでの活動が中心となり、orange pekoeとしての活動は限定的になってしまいました。そんな中、昨年10月に、2026年に開催されるライブを最後に活動終了というアナウンスが行われ、今年3月、彼らの母校である関西学院大学でのライブをもって活動が完了。その28年の歴史に幕を下ろしました。

本作は、そんな彼女たちが最後にリリースしたオールタイムベストアルバム。四季を通じて自分たちの音楽がこれからも日常に寄り添ってもらえれば、という想いから、彼女たちの作品を「春 夏盤」「秋 冬盤」の2枚にわけて30曲を選曲。コンセプチャルなベストアルバムとなっています。「春 夏盤」は「太陽のかけら」「さくら」「極楽鳥~Bird of Paradise~」のような、いかにも春や夏を感じさせるような曲を収録。一方、「秋 冬盤」については、彼女たちの代表曲「Happy Valley」をはじめ、「ホットミルク」「selene」などしんみり聴かせるナンバーに、最後はCD初収録となった「メリークリスマス、ハッピークリスマス」も収録。こちらはいかにも秋から冬の寒い季節にピッタリくるようなナンバーが並んでいます。

orange pekoeについては、過去のベスト盤やオリジナルアルバムを取り上げたこともあるのですが、正直言って、かつての私の彼女たちへの評価はさほど高いものではありませんでした。曰く「優等生的」、曰く「隙のないサウンド」といった感じで、ブラジル音楽、ジャズ、ソウルなどの要素を上手くポップスに取り入れた彼女たちの作風は、いわば「通好み」といった印象も強く、スノッブ的といった印象も強く受けていました。

そんな印象の中、今回のベスト盤で久しぶりにorange pekoeの楽曲を聴きました。正直、以前の印象からあまり期待せずに聴き始めたのですが、久々に聴いた彼女たちの楽曲、率直なところ、こんな魅力的な曲を作っていたのか!といまさらながらorange pekoeの楽曲の良さにはまってしまいました。

おそらく、私自身、以前彼女たちの曲を聴いた時から年齢を経て、音楽的な嗜好が若干変化してきたという面も大きいのかもしれません。特に、彼女たちが楽曲に多く取り入れているブラジル音楽について、以前、このサイトでも紹介したブラジル音楽の歴史を紹介した本を読んだ後、いろいろとブラジル音楽の名盤を聴いた結果、いまさらながらブラジル音楽の魅力にはまってしまったから、という点も大きいように感じます。

また、「Happy Valley」以降の曲についても、あらためて聴いてみてもポップミュージックとしてメロディーラインのインパクトも強く、ブラジル音楽やジャズ、ソウルといった音楽とポップスとのバランス感覚も絶妙。マニアックになりすぎず、かといってしっかりと彼女たちのルーツも表に出しているという楽曲のバランスの良さに、彼女たちの実力を感じさせます。彼女たちのオリジナルアルバムでベスト10ヒットを記録したのは1枚目から3枚目までの3作のみですが、もっと売れてもよかったのではないか、と今更ながら感じてしまいました。

正直、いまでもスノッブ的、優等生的という印象もあることはあります。そういった点が、ひょっとしたら私意外でも感じる方が多く、人気が落ちていった要因になったのかもしれません。ただ、あらためて聴くと、そんなマイナスポイントよりもプラスの方がずっと多いミュージシャンであることをいまさらながら感じることが出来ました。ちょっと遅きに失した感は否めませんが、いまさらながら活動休止を残念に感じてしまったベスト盤。ただ、これからのメンバーそれぞれの活躍にも期待したいところです。

評価:★★★★★

orange pekoe 過去の作品
orenge pekoe 10th Anniversary Best Album SUN&MOON
CRYSTALISMO


ほかに聴いたアルバム

Wormhole / Yumi AraI/松任谷由実

今回の松任谷由実の新作は、「AIと人間の共生」をテーマとして、「もし荒井由実が肉体を離れ、別の次元で生きていたら?」「“多次元の世界”があるとするなら、そこに存在する荒井由実はどんな音楽を作っているのか?」というコンセプトで、荒井由実時代から現在に至るまでのボーカルを音声合成ソフト「SynthesizerV」で学習させ、再構築。「第三の」松任谷由実の声で作りあげた楽曲となっています。

それだけ意欲的なプロジェクトなのですが、そんなに「荒井由実」っぽいかと言われると、どうなのかなぁ・・・といった感じ。ちょっと懐かしさのあるメロに荒井由実っぽさを感じないわけではないけれども、「荒井由実の新作」ではなくて、間違いなく「松任谷由実の新作」。その意欲的な試みがどれだけ反映されていたか、と言われるとちょっと微妙にも感じました。

ただ一方、ユーミンも現在、72歳。このくらいの年齢の人って、AIやら音声合成ソフトやら、新しい技術を毛嫌いする人も多いのですが、そのような中、新しい技術を積極的に取り込むあたり、その好奇心、挑戦心の強さには関心させられます。ここらへんの心の若々しさが、70歳を超えても第一線で活躍を続ける要因なのかもしれません。そういう観点では、実にユーミンの良さが出たアルバムだったと思います。

評価:★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show
日本の恋と、ユーミンと。
POP CLASSICO
宇宙図書館
ユーミンからの、恋のうた。
深海の街
ユーミン万歳! ~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~
ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム〜

麻婆思考EP/サニーデイ・サービス

Mabo

サニーデイの新作は、最新アルバム「サニービート」に収録された「麻婆思考」にリミックスを施したEP盤。Nasca Carによるエレクトロなリミックスや、新曲「運命」についてもダブアレンジが施されていたりと実験精神の強い作品に。もともと、食品メーカー「ユウキ食品」とのコラボによる企画だそうで、ライブ音源のMCでもその旨が述べられています。彼ららしい遊び心と実験精神のあふれるEPとなっていました。

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)
the CITY
DANCE TO THE POPCORN CITY
the SEA
サニーデイ・サービスBEST 1995-2018
いいね!
もっといいね!
冷し中華EP
DOKI DOKI
サニービート
若者たち 30周年記念デラックス・エディション

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2026年6月11日 (木)

Hot Albumsも吹き荒れる「嵐」

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

嵐のラストライブの影響で、嵐の曲が多くランクインしてきた今週のHot100でしたが、Hot Albumsについても嵐のアルバムが多くランクインしています。まず6位に嵐「5×20 All the BEST!! 1999-2019」がランクイン。昨年5月14日付チャート以来のベスト10返り咲き。通算17週目のベスト10ヒットとなります。また、7位には2007年リリースの7thアルバム「Time」が、9位には2010年リリースの9thアルバム「僕の見ている風景」がそれぞれランクイン。いずれのアルバムもビルボードではこれが初のベスト10ヒットとなります。

11位以下でも11位に「ウラ嵐BEST 2008-2011」、16位に「One」、18位に「LOVE」とランクイン。ベスト20に合計6作が同時ランクインとなっています。

一方、1位には韓国の男性アイドルグループTREASUREの4枚目となるミニアルバム「NEW WAV」がランクイン。CD販売数1位、ダウンロード数5位、ストリーミング数6位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上8万5千枚で1位初登場。前作「[LOVE PULSE]」の初動10万3千枚(4位)からダウン。

2位はBTS「ARIRANG」がワンランクダウン。1位は9週連続でストップ。一方、ベスト10ヒット&ベスト3ヒットは12週連続に伸ばしており、またストリーミング数も12週連続で1位を獲得しています。

3位には韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIM「'PUREFLOW' pt.1」が先週の9位からランクアップし、ベスト3入りを果たしています。

4位以下は嵐以外に初登場はなし。ロングヒット盤はHANA「HANA」が今週4位にダウン。これで15週連続のベスト10ヒット。ただし、ストリーミング数は12週連続の2位となり、今週もストリーミング数はBTS、HANAが1位2位に並ぶ結果となっています。

一方、嵐に押し出される形で、ヨルシカ「二人称」は13位に、「超かぐや姫!」は14位にそれぞれダウン。それぞれベスト10ヒットは13週連続、17週連続でストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週のHeatseekers Songs1位は楽音「mosi mosi?」が初登場で1位獲得。ラジオオンエア数で2位。楽音はこれで「ささね」と読み、SNSを中心に活躍しているモデルでインフルエンサー。TikTokでの総再生回数が4億回を達成するなど、日本のみならず世界規模で話題となっているとか。作詞作曲を手掛ける向田民子も「未だ平成を生きる音楽家」として注目を集めるシンガーソングライターで、渋谷系や初期中田ヤスタカの作風を彷彿とさせるような、ちょっと懐かしさもあるポップソングに仕上がっています。Hot100では今週37位で初登場。今後の動向も注目されます。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートではマサラダ「カンケーガール」が初登場で1位獲得。2023年に「ライアーダンサー」でデビューした、若手ボカロP。昨年5月には「イレギュラーマン」が1位を獲得しています。本作はコンピレーションアルバム「0401-The Best Days of 重音テト 2026」に書き下ろした楽曲。ボカロチャートでも見事1位獲得となっています。以下、2位はぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「『ヒトグイ、」が4週ぶりのベスト3返り咲き。3位にはkoyori(電ポルP)「心一等」が初登場でベスト3入りを果たしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年6月10日 (水)

吹き荒れる「嵐」

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のチャートではまず目立つのは、5月31日にラストライブを行ったでした。そのラストライブの影響もあり、今週、嵐の曲が上位に一気にランクインしています。まず先週7位にランクインした「Five」が今週2位にアップ。ストリーミング数、ダウンロード数も1位獲得。動画再生回数も2位にアップしています。

さらに2007年にリリースされたシングルで、ラストライブの本編ラストに歌われた「Happiness」が7位に、同じく2007年にリリースされた「Love so sweet」が9位にランクインと、ベスト10入り。いずれもリリース時にはビルボードチャートがなかったことから、ベスト10初登場となっています。さらに11位以下でも「Monster」が12位、「One Love」が13位、「A・RA・SHI」が14位、「感謝カンゲキ雨嵐」が16位、「Troublemaker」が17位、「GUTS!」が19位と、ベスト20のうち9曲が嵐という結果となっています。

一方、1位初登場は、J1 BLUE「景色」がランクイン。サッカー日本代表「最高の景色を2026」公式テーマソング。日本サッカー協会及びアディダスの「最高の景色を2026」キャンペーンのために結成された、男性アイドルグループJO1及びINIのメンバーによるスペシャルユニット。CD販売数及びラジオオンエア数1位、ダウンロード数19位。オリコン週間シングルランキングも初動売上26万4千枚で1位初登場となっています。

3位はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループLienel「メロ・コレクション」。CD販売数2位。オリコンでは初動売上14万1千枚で2位初登場。前作「超絶SUMMERでバカになれ」の初動5万5千枚(4位)からアップ。

4位以下ですが、嵐の初登場が目立つ一方、今週はアイドル系の新曲が目立ちます。4位には秋元康系女性アイドルグループ僕が見たかった青空「FUNKY SUMMER」がランクイン。CD販売数及びラジオオンエア数4位。オリコンでは初動売上6万枚で4位初登場。前作「あれはフェアリー」の初動7万9千枚(2位)からダウン。

そして5位にはつばきファクトリー「FireWorks」が初登場。CD販売数3位。オリコンでは初動売上7万2千枚で3位初登場。前作「My Days for You」の初動6万1千枚(2位)からアップしています。

今週は嵐の楽曲と初登場曲の多さで、ロングヒット曲が軒並み大きくダウンしています。M!LK「好きすぎて滅!」は4位から8位に、「爆裂愛してる」は5位から10位にそれぞれダウン。それぞれ27週連続、17週連続のベスト10ヒット。ただし「好きすぎて滅!」のカラオケ歌唱回数は今週も1位で、12週連続を記録しています。

一方、米津玄師「IRIS OUT」は今週ついに11位にダウン。ベスト10ヒットは連続37週でストップ。Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も9位から18位にダウンし、こちらもベスト10ヒットは通算18週で再度ストップとなりました。

また、サカナクション「夜の踊り子」は今週3位から6位にダウン。ただし、ストリーミング数こそ嵐の「Five」に負けて2位となりましたが、動画再生回数は2週ぶりの1位返り咲きを果たしており、まだまだ強さを感じます。来週以降のランクアップが期待されます。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heat Seekers&ボカロチャート!

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2026年6月 9日 (火)

2025年を代表するHIP HOPアルバム2枚

数か月前、HIP HOPの年刊誌「ele-king presents HIP HOP 2025-26」を紹介しました。今回は、ちょっと遅くなってしまいましたが、同誌で紹介されていた1位2位にランキングされていたアルバムの紹介です。

Title:BLACK'!ANTIQUE
Musician:Pink Siifu

Blackantique

まず年間1位にランクインされていたアルバム。アラバマ州バーミングハム出身のラッパー、Pink Siifuのアルバム。様々なジャンルを取り入れた実験的なHIP HOPが特徴的で、現代のHIP HOPの重要人物として高い評価を受けるラッパーだそうです。

「ele-king presents HIP HOP 2025-26」では、アンダーグラウンドHIP HOPを特集しており、その中でも彼は取り上げられていたのですが、確かに本作はPink Siifuの様々なアイディアを内包した、実験性の高い作品に仕上がっています。特に序盤はインダストリアル色の強いサウンドが特徴的。ヘヴィーでノイジーなタイトルチューンの「BLACK'!ANTIQUE」から、狂暴なノイズの炸裂する「ALIVE&DIRECT'!」など、前半のサウンドについては、むしろロックリスナーの方が親和性が高いのではないか、と思うようなヘヴィーなサウンドの曲が並びます。

一方後半は、「U.ALREADY'!」「OUTSIDE'!」など、メロウなトラップビートの曲が並び、こちらは今風のHIP HOPといった感じ。かと思えば「TRANSLATION'!」ではラテンのサウンドを取り入れたり、「FACECARD'!」のようなシンプルなエレクトロトラックで実験性の強い楽曲もあったり、「8)」のようなドリーミーな作品があったりと、楽曲ごとにPink Siifuの様々なアイディアがつまった展開となっており、最後まで耳を離せないアルバムとなっています。

全19曲1時間17分。アルバムとしてはちょっと長い作品になっており、様々なアイディアの詰まった作品の連続は、ちょっと散漫さも感じる点は否定できないのですが、一方では次々と繰り広げられる楽曲の数々に最後まで耳の離せない作品、とも言えるかと思います。年間1位という高い評価も納得のアルバムでした。

評価:★★★★★

Title:Life Is Beautiful
Musician:Larry June,2 Chainz&The Alchemist

こちらは同誌で年間2位にランクインしていたアルバム。サンフランシスコ出身のラッパー、Larry Juneとサウスのトラップ・ラッパーとして知られる2 Chainz、さらにプロデューサーのThe Alchemistが組んだアルバムです。

基本的に特にThe Alchemistのサウンドメイキングが聴いていてとても心地よい作品となっていました。非常に滑らかで、メロウなトラックが魅力的。Larry Juneのラップは、どこか力の抜けたようなフロウが印象的で、力強さのある2 Chainzのラップとは対照的。いわば異なるスタイルの2人のラッパーの対比が特徴的なのですが、ただ全体的にはメロウなトラックも合わさり、脱力感のある楽曲が特徴的。ある意味「大人なHIP HOPのアルバム」と言ってもいいような作品に仕上がっています。

The Alchemistのトラックや、Larry Juneのラップによって、トータルとして聴くと正直、あまり派手さはなく、淡々と展開していく作品となっていますが、心地よいトラックやフロウが合わさり、ずっと聴いていたくなるような、そんな心地よさを感じるアルバムになっていました。年間2位ということですが、そういう「今年を代表するアルバム!」と高らかに謳うような作品とはちょっと違うような感じはするのですが、ついつい聴きたくなるような、いわば「ベストアルバムの次の1枚」として選びそうな、そんな作品だったと思います。

評価:★★★★★

The Alchemist 過去の作品
The Elephant Man's Bones(Roc Marciano&The Alchemist)

さて、そんな2025年度の1位2位に選ばれたHIP HOPのアルバムを紹介しましたが、この2枚を聴いて感じるのは、確かにHIP HOPシーンが現在、停滞気味である理由がなんとなくわかるような気がしました。いや、この2枚が駄作、という訳ではありません。どちらも文句なしの傑作アルバムだと思います。ただ、いままで次から次へと新しいスタイルが登場し、シーンを切り開いていったHIP HOPというジャンルにおいて、この2枚はいずれも「2025年ならでは」という印象はありません。一時期、シーンを席巻したトラップも完全に飽きられた感もありますし、それに続くあたらしいHIP HOPのスタイルも正直、出てきているように感じません。このままHIP HOPは、過去に隆盛を誇った他のジャンルの末路と同様、「過去のジャンル」となってしまうのか、それとも巻き返しにはかるのか・・・。ジャンルとして岐路に立っているようにも感じます。今後のシーンの動向に注目していきたいところです。

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2026年6月 8日 (月)

希望にみちた、ライブ感ある新作

Title:産声
Musician:Mr.Children

アルバムタイトルに合わせた赤ちゃんの泣き顔が印象的なジャケットの、約2年5ヶ月ぶりとなるミスチルのニューアルバム。今回のアルバムタイトル「産声」は「胸の中で新しい命が産声をあげる」というテーマをあげており、閉塞感のただよう現代において、将来への希望を意識したような作品になっています。

さて、そんな本作ですが、前作「miss you」が内省的な作品になっていたため、今回のアルバムはライブ感を意識したアルバムになっているそうです。序盤に配された「Again」はドラマ「リブート」主題歌となった先行シングルですが、メランコリックなスタートから、サビにむかって大きく開けるような展開、ストリングスやサックスも入れたサウンドで感じさせるスケール感など、まさにライブ感を意識したような作品となっています。

アルバム構成としても全体的にライブを意識したような構成となっており、スケール感のある序盤から、ちょっと切ないメロがミスチルらしい「ウスバカゲロウ」やイギリスの音楽フェス、グラストンベリーをタイトルとして、ホーンやギターの使い方がちょっとUKっぽさを感じつつ、聴かせるメロとスケール感を同居させたようなナンバーである「Glastonbury」、閉塞感ある現状を歌いつつ、それでも生きていくための希望を歌うメランコリックなギターロック「禁断の実」など、アルバム前半は比較的聴かせるナンバーが続きます。

そして、ライブさながらに後半にかけては盛り上がるような目立ちはじめます。タイトルからしてユニークな「空也上人」は、軽快なギターロックで徐々にテンションがあがっていき、「Stupid hero」「Nowhere Man~喝采が聞こえる」は、まさにホーンやストリングスも入って、明るく盛り上がりそうなナンバー。スタジアムバンドらしいスケール感も覚えます。さらに本作のハイライトとも言えるのがタイトルチューンの「産声」で、バンドサウンドにホーンセッションも入れて、明るくスケール感もって歌い上げるナンバー。「今日生きてるってこと/それだけで奇跡なんだろう」と歌う、希望に満ちた歌詞も印象的で、今後のライブの定番になりそうな予感もします。

ラスト「Umbrella」「家族」と最後はちょっとフォーキーで聴かせるナンバーで締めくくり。いわばチルアウト的な感じでしょうか。「家族」に関しては、桜井の過去の恋愛遍歴を考えると、どの口が言うか、感は否めないのですが(笑)。

そんな感じで、内向きな感のあった前作に対して、全体的にライブ感あふれる外向きを意識した本作。ポップなメロとスケール感あるアレンジ、さらに前向きで希望を感じさせる歌詞と、非常にミスチルらしい作品となっていました。そういう意味でファンならまずは安心して楽しめる傑作であることは間違いないでしょう。ただ一方で、ミスチルらしい作品であるという意味は、あまり驚きもなかったな、という意味でもあります。良くも悪くも大いなるマンネリ感もあり、「高位安定」というイメージも強かった本作。傑作だとは思うのですが、目新しさも感じなかった、そんな新作でした。

評価:★★★★★

Mr.Children 過去の作品
SUPERMARKET FANTASY
SENSE
Mr.Children 2001-2005<micro>
Mr.Children 2005-2010<macro>

[(an imitation) blood orange]
REFLECTION
重力と呼吸
SOUNDTRACKS
Mr.Children 2011-2015
Mr.Children 2015-2021&NOW
miss you


ほかに聴いたアルバム

OITOMA/大森元貴

現在人気沸騰中のバンドMrs.GREEN APPLEのボーカリスト、大森元貴による初のソロEP。NHKEテレの「天才てれびくん」に提供した「こたえあわせ」のセルフカバーも収録されていて、娘が同番組を見ているのですが、この曲、かなりよく口ずさんでいます。ここらへんの曲のインパクトの強さ、いい意味に万人受けする曲の壺を心得ている点が、彼の才能であり、ミセスが人気を確保している大きな理由なのかな、と思ったりもします。今回のソロ作、バンドとして人気絶頂期の今にあえて出すということもあって、バンドで出来ない実験的な作風・・・というのが一般的な評価で、確かにアンビエント的な色合いを強めた曲などもあって、その挑戦は垣間見えるのですが・・・基本的にはミセス同様、メロディアスでポップな作風が主軸。基本的に根っからのポップミュージシャンで、「実験的な曲」に本来は合ったミュージシャンじゃないんでしょうね。まあ、ソロ作なのでそこらへんは自由に演ればいいですし、それが出来るというのはミセス人気があるからの特権だと思うのですが。

評価:★★★★

Bloomin'/ユッコ・ミラー

その奇抜なファッション性と、見た目に寄らず高い技術を持ったサックスプレイで注目を集めるジャズサックスプレイヤー、ユッコ・ミラーのメジャーデビュー10周年を記念したアルバム。今回は初の全曲オリジナル曲という意欲的な作品で、彼女らしいアグレッシブなサックスプレイを聴かせてくれる曲を軸に、「AKUJYO」では和太鼓を取り入れて和風な楽曲に仕上げてきたり、「Hair Style」「Anemone」ではなんと本人がボーカルに挑戦。このボーカルがなかなか魅力的で、最初、本人歌唱と気が付かなかった・・・。メジャーデビュー10年目にして、さらに先へと向かおうとする彼女の挑戦心を強く感じる、意欲的な作品でした。

評価:★★★★★

ユッコ・ミラー 過去の作品
SAXONIC
Kind Of Pink
Ambivalent
Link(ユッコ・ミラー feat.H ZETTORIO)

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2026年6月 7日 (日)

はじめて(?)のクラシックコンサート

第30回記念スーパークラシックコンサート ペルカ・ポペルカ指揮 ウィーン交響楽団

ピアノ 角野隼斗

会場 愛知県芸術劇場コンサートホール 日時 2026年5月28日(木)18:45~

Classic1

今回はライブ・・・・・・というよりもコンサートのレポートです。それもクラシック音楽。以前から、クラシックのアルバムについてもちらほら聴いていて、コンサートも行きたいなぁ、と思っていたのですが、足を運んできました。ウィーン交響楽団によるコンサート。さらにピアノはあの角野隼斗がゲストで参加!交響楽団のコンサートは、おそらく子供の頃に親につれられて足を運んだことがあるような気もするのですが、おそらく、海外の交響楽団によるコンサートに足を運ぶのは初めての経験。どんな感じだろう・・・とちょっとドキドキしつつ足を運びました。

観客層は、シニア層がやはり一番目立つ一方、30代、40代あたりもチラホラ。年齢層の平均は高めながらも、全体的には30代以上、幅広い観客層だったように感じます。コンサートは定刻通り、18時45分にスタート。劇団員が会場入りし、最後に指揮者のぺルカ・ポペルカが盛大な拍手の中にステージに入り、コンサートがはじまります。

1曲目はドヴォルザークの序曲「謝肉祭」Op.92。はじめて聴きます。そしていざ演奏がはじまると・・・まず感じたのは、演奏がすごく美しい!いや、交響楽団の演奏は、もちろんCDで何度も聴いているのですが、こうやって生で聴くと、その演奏の美しさがより際立つ感じがします。とにかく聴いていて心地よい、そんな感覚がまず最初に来ます。とても心地よく、演奏を楽しむことが出来ました。

それに続く2曲目はラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調M.83。ここでピアノに角野隼斗が登場。ステージ中央に設置されたグランドピアノでの演奏をはじめます。

この曲もおそらくはじめて聴いた1曲なのですが、これはラヴェルがアメリカの音楽に影響を受けて書いた曲だそうで、クラシックのイメージよりも、よりモダンな感じが。トランペットの軽快なサウンドが加わり、ジャズ的な要素も感じさせる曲で、そういう意味では、クラシックにあまりなじみの薄い私のような人間でも、すんなり楽しめるような曲だったと思います。角野隼斗のピアノをふくめて、とても楽しむことが出来ました。

終わった後、盛大な拍手が。角野隼斗はステージ袖に下がりますが、拍手に応じてすぐに戻ってきて、さらに再びステージ袖へ。2回目の登場の後、アンコールへ。さきほどの曲が、ラヴェルがアメリカの音楽に影響を受けたということで、今度は逆にアメリカの音楽家がヨーロッパ音楽に影響を受けた曲、ということでガーシュインの「パリのアメリカ人」を披露。こちらはトランペットとコントラバス、パーカッション、ピアノの四重奏による演奏なのですが、パーカッションのリズムも加わって、角野隼斗のピアノもどちらかというとジャズ寄りの演奏。クラシック音楽とはかなり雰囲気の異なるステージながらも、易々とジャズ風の演奏をこなす角野隼斗の実力も感じさせるステージでした。

その後は20分の休憩に入り後半へ。後半はドヴォルザークの交響曲第9番 ホ短調 Op.95「新世界より」。特に第1楽章のメロディーは、歌詞がつけられて、「遠き山に日は落ちて」という歌でも知られている曲ですね。耳なじみのあるフレーズが登場し、私のような初心者にもおなじみの楽曲。心地よく、その演奏を楽しむことが出来ました。

演奏が終了すると盛大な拍手が。指揮者は一度舞台袖に下がった後、再び登場。さらに舞台袖に下がり、2度目の登場の後、アンコールへ。アンコールはドヴォルザーク スラブ舞曲Op.72-2という曲。5分程度の短い楽曲でした。その後も盛大な拍手が起こり、舞台袖に戻った指揮者が再び2度、ステージに戻った後、ダブルアンコールへ。2曲目はヨハンシュトラウスⅡのポルカOp.324「雷鳴と電光」という曲を披露。ここでコンサートは終了。終了は21時ちょっと前で、2時間強のコンサートでした。

そんな訳で事実上、はじめてのクラシックのコンサート。クラシック初心者の私にとって、ともすれば退屈に感じるのではないか、とも心配していたのですが、全然そんなことはありませんでした。まずなにより、とても美しい交響楽団の音色やハーモニーに酔いしれて、曲が知っているかどうかよりも、この「音色」に終始、惹きつけられたステージでした。この美しい音色はずっと聴いていられるような感じ。全体的に優しく包み込むような感じの演奏に感じられ、これは指揮者の個性が出ていたのでしょうか。とても心地よさを感じるステージでした。

一方、クラシック初心者ゆえにとまどう「お約束」の部分も。クラシックのコンサートでもアンコールがあるのははじめて知りましたし、指揮者が舞台袖に引っ込んだ後、すぐに登場する(それも何度も!)アンコールのスタイルも、ポップスのライブになじみのある人間にとっては、ちょっと奇妙な印象も受けました。

予想以上に楽しく、満足感のあるコンサートでした。さすがにポップスのライブにあれだけ足を運んでいて、それプラス、クラシックの、というのはなかなか時間が取れないのですが、機会を見つけてまた、良さげなクラシックのコンサートに足を運びたいなぁ。すっかりクラシック音楽に魅了された2時間でした。

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2026年6月 6日 (土)

トゥアレグ族としての原点をみつめつつ、政治性のあるメッセージも

Title:Hoggar
Musician:Tinariwen

本サイトでも毎作取り上げていますので、すっかりおなじみかと思います。サハラ砂漠西部を拠点とする、ベルベル人系の遊牧民、トゥアレグ族によるバンド、Tinariwen。現地の民族音楽の要素を取り入れたそのサウンドは、ブルースに近い雰囲気を醸し出しているため、「砂漠のブルース」と呼ばれ、世界中で高い評価を受けています。

本作はそんな彼らの10枚目となるオリジナルアルバム。直近作「Idrache (Traces Of The Past)」は未発表音源を集めた企画盤的な作品でしたので、オリジナルアルバムとしては「Amatssou」以来、約3年ぶりとなる新作となります。前作「Amatssou」はカントリーやフォーク、ロックやサイケデリックなどの要素を積極的に取り入れた作品となっていますが、今回のアルバムはトゥアレグ族の民俗音楽に回帰した作品になっている点が特徴的。特に、前作「Amatssou」の後のツアーを実施した後、民族紛争の影響でマリ北部の彼らの本拠地を去り、アルジェリアに移住せざるを得なくなった彼ら。今回のアルバムタイトル「Hoggar」はトゥアレグ族にとって象徴的な場所であるアルジェリア南部のホガール山脈にちなんでつけられたそうで、トゥアレグ社会をあらためて見つめなおした作品と言えるかもしれません。

そんな新作の1曲目「Amidinim Ehaf Solan」は、実に彼ららしいと言えるコールアンドレスポンス主体のデザートブルース。実に彼ららしい楽曲からのスタートとなっており、本作を象徴する出だしとも言えるでしょう。力強いグルーヴィーなサウンドが特徴的な「Erghad Afewo」は、彼ららしい砂漠のブルースの作品。歌詞は民族紛争をテーマとした政治的な作品ともなっており、こちらも本作のテーマに沿った作品に。6分にも及ぶ長尺の曲ながら、彼ららしいミディアムでグルーヴィーなサウンドを聴かせる「Tad Adouya」もまた、彼ららしさを強く感じる作品。ちなみに本作では、アルジェリアの若手ロックバンドImarhanのIyad Moussa Ben Abderahmaneが参加。若手への音楽の継承という、このアルバムのテーマのひとつを象徴する作品となっています。

基本的に、そんなTinariwenらしい作品が並ぶ本作ですが、そんな中でもいままでの作品とはちょっと異なる点は、女性ボーカルを積極的に取り入れている点で、「Sagherat Assani」では積極的に女性ボーカルを前面に押し出した楽曲に。アルバムの中でもひとつのインパクトとなっていますが、この作品は、トゥアレグ族の女性がかかえている問題を提起した作品となっているそうです。

その後もテンポよいリズムと明るいサウンドが気持ちよい「Amidinin Wadar Nohar」やアコースティックなサウンドで渋くブルージーに聴かせる「Khay Erilan」など聴かせどころもたくさん。ラストを飾る「Aba Malik」はサイケな雰囲気たっぷりの妖艶なサウンドとグルーヴィーなリズムが特徴的。ちょっと不気味な雰囲気での締めくくりなのは、現状の容易ならざるトゥアレグ族の状況を描写しているのかもしれません。

全体的には、Tinariwenらしさを感じさせる、トゥアレグ族としての原点を彷彿とさせる原点回帰的な作風となりつつ、女性ボーカルを前に押し出したりすることにより、バリエーションも感じさせるような作品に。実に彼ららしい作品でおそらく、昔からのファンにとっては気に入る作品になっているのではないでしょうか。また、Tinariwenを最初に聴く作品としても、彼らの特徴がしっかりと出ている作品になっていました。彼らの魅力を感じつつ、本作のテーマともなっているトゥアレグ族をめぐる状況も、いろいろと考えさせられる1枚でした。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)
ELWAN
Amadjar
Amatssou
Idrache (Traces Of The Past)


ほかに聴いたアルバム

Live at Rockpalast 1999/Dr.John

Drjohn1999

1999年に、テレビ番組「ロックパラスト」のために行ったライブの模様を収めたライブアルバム。Dr.Johnが軽快に演奏するピアノを主軸に、終始陽気で軽快な楽曲が並ぶ作品。ブルースやファンク、ラテンなどの要素も取り入れて、バラエティーに富んだ作風も魅力的。Dr.Johnの王道とも言える作品が並びますが、それだけに、難しいこと抜きにして楽しめるライブアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Dr.John 過去の作品
Locked Down
Ska-Dat-De-Dat:Spirit of Satch
Live In Sweden 1987(Johnny Winter with Dr.John)
Dr. John: The Montreux Years

Aldeia Coração/Antonio Loureiro

ブラジルのマルチ楽器奏者でシンガーソングライターのAntonio Loureiroの単独名義では約7年ぶりとなるニューアルバム。ブラジル音楽のMPBにジャズの要素を加えた独自の音楽性は相変わらずながら、今回の作品は「Vai Cair」のようにエレクトロの要素も入れた曲もあり、新たな挑戦も感じます。その一方、歌モノの作品も目立ち、いい意味で聴きやすくポップになったような印象も。ジャズ、ブラジル音楽、ポップ、エレクトロがほどよいバランスで聴かせてくれるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

Antonio Loureiro 過去の作品
Antonio Loureiro
So

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2026年6月 5日 (金)

その「音楽的素養」に驚き

Title:BAA,AS THE SHADOWS LOOM
Musician:No.MEN

今回紹介するのは、最近、注目をあつめつつある4人組ガールズバンド。ガールズバンドと言われると、いかにもチャットモンチー直系のポップスロックバンド的なものを想像しますが、彼女たちのタイプは全く別。ブラックミュージックやファンクなどの要素を取り入れた、独特の音楽性が注目を集めています。

まさにこのアルバムも、オープニング的な1曲目「BAA,AS THE SHADOWS LOOM」ではメロウなサックスからスタート。気だるい感じの語りからスタートする、80年代ソウル的な楽曲からスタート。さらに「黙示録」でも、ファンキーなベースラインが特徴的な、ファンクやソウル、ジャズなどの要素を取り入れた作品に。MVも作成され、アルバムの表題曲ともなっている「Unlovable」もメロウなソウルチューンとなっており、軽快でファンキーなリズムが心地よい、アーバンな楽曲に仕上がっています。

ただ、そんなソウルやファンクの要素を取り入れた楽曲をベースにしつつも、それだけにとらわれない幅広い音楽性も大きな特徴で、まず序盤「Setelan」は、ファンキーなトラックを聴かせつつも、HIP HOP的な要素を取り入れた曲。ソウルからの影響にはルーツ志向を感じさせる彼女たちですが、一方では、ちゃんと「現代風」な音も楽曲に加えています。

さらに中盤の「GAME」は、エレクトロサウンドを中心に据えたディスコチューン。続く「Dear B.Dash」もエレクトロサウンドを取り入れたスペーシーな作風となっており、前半のソウルやファンク、ジャズ中心の作風からはグッと変わったエレクトロチューンのリズミカルな楽曲が並んでいます。

そして後半は比較的シンプルなギターロックがメインに。「斜陽」は、しんみり聴かせるちょっとフォーキーな作風の作品に。さらに「Hug」では、ポップで軽快なギターロックのナンバーに。シンプルなギターロックのサウンドは、ちょっと少年ナイフっぽさも感じさせる部分も。さらにはラストを飾る「surrender」はダウナーでノイジーなギターサウンドを主軸に入れたサウンドで、ちょっとシューゲイザーからの影響すら感じさせるあたり、序盤の彼女たちの作風からは大きく異なり、その音楽性の広さは驚きでもあります。

そんな感じで幅広い音楽性に驚かされる1枚なのですが、さらにメンバーの平均年齢が18歳という若さにも驚き。特にソウルやファンクの影響を受けた曲に関しては、非常に大人なサウンドを醸し出しており、これだけ若いメンバーが、どこでその音楽的素養を身に着けたのか、驚かされます。ちなみに、彼女たち、名古屋出身のバンドということで、その点でも応援したくなりますが・・・本当に末恐ろしい感じもあるバンド。徐々に注目を集めてきているようですので、今のうちに是非ともチェックしておきたいところ。これからの活躍が、本当に楽しみになってくる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SHISHAMOでした!!!/SHISHAMO

今年6月の等々力陸上競技場でのワンマンライブを最後に活動休止を発表した3ピースガールズバンドSHISHAMOが最後にリリースしたベストアルバム。メンバーそれぞれがセレクトした楽曲が収録されており、宮崎盤は切ないラブソングが目立ち、松岡盤はほっこりとしたラブソングが目立ち、吉川盤はロックなナンバーが目立つと、それぞれの嗜好が見えてくるのがおもしろいところ。ただ、全体的に良くも悪くもシンプルなオルタナ系のギターロック+女の子の素直の心境を綴ったラブソングというスタイルがメインで、それはそれでインパクトもあってよく出来ている一方、バラエティーという観点ではちょっと物足りなさも感じてしまいます。歌詞かサウンドか、どちらかにもうちょっとバラエティーを広げてもらったらもっとおもしろいバンドになったと思うのですが・・・。

評価:★★★★

SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5
SHISHAMO BEST
SHISHAMO 6
SHISHAMO 7
ブーツを鳴らして-EP
恋を知っているすべてのあなたへ
ACOUSTIC SHISHAMO
SHISHAMO 8

kurayamisaka tte, doko? #6 「くらやみざかより愛を込めてツアー」 (kawasaki CLUB CITTA')/kurayamisaka

Kurayamisakattedoko6

最近注目のロックバンド、kurayamisakaの配信限定ライブアルバム。昨年11月9日に、神奈川のCLUB CITTA'で行われたライブの模様を収録したアルバム。90年代のオルタナ系ロックやシューゲイザー系の王道を行くようなサウンドで、ある意味、目新しさはないものの、奇をてらわないストレートなオルタナ系ロックへの愛情が心地よさを感じます。ライブで轟音で聴くのは気持ちよさそう。一度、ライブにも足を運んでみたいなぁ。チケットを確保するのは難しいようですが・・・。

評価:★★★★★

kurayamisaka 過去のアルバム
kurayamisaka yori ai wo komete

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2026年6月 4日 (木)

BTS、HANAは変わらず

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

BTSとHANAは先週から変わらず。

まずBTS「ARIRANG」は今週で通算9週目の1位獲得。ベスト10及びベスト3ヒットを11週連続に伸ばしており、また、ストリーミング数も11週連続で1位となっています。また、HANA「HANA」も先週から変わらず3位をキープ。こちらは14週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒット。ストリーミング数も11週連続の2位となり、11週連続、ストリーミング数はBTSとHANAが1位2位で並ぶ結果となっています。

その間を縫うように2位にランクインしたのがIVE「LUCID DREAM」。CD販売数1位、ダウンロード数4位。韓国の女性アイドルグループ。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上11万9千枚で1位初登場。直近は韓国盤のアルバム「REVIVE+」で同作の初動1万6千枚(8位)からアップ。国内盤の前作「Be Alright」の初動16万5千枚(1位)からはダウンしています。

4位以下の初登場盤は、4位に韓国の女性アイドルグループaespa「LEMONADE」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数1位、ストリーミング数16位。5位にはPRODUCE 101 JAPAN 新世界「35 BOYS 5 CONCEPTS」が先週の19位からランクアップし、ベスト10初登場。JO1やINIを輩出した男性アイドルのオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」で披露された曲を集めたオムニバス盤。9位にも韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIM「'PUREFLOW'pt.1」が初登場。ダウンロード数5位、ストリーミング数7位。さらに10位には、韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIORのメンバー、イェソンのソロアルバムSUPER JUNIOR-YESUNG名義による「咲き誇る時を待つのは」が初登場。CD販売数2位。

ロングヒット盤ではヨルシカ「二人称」が8位から7位にアップ。これで13週連続のベスト10入り。「超かぐや姫!」は6位から8位にダウン。こちらは17週連続のベスト10ヒットとなりました。一方、King&Prince「STARRING」は12位にダウン。ベスト10ヒットは通算21週でストップ。また、現在、Hot100で「夜の踊り子」が躍進中のサカナクションですが、今週「sakanaction」は11位にダウンしてしまいました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsは今週もOddRe:「睡る君」が1位獲得。これで3週連続の1位獲得。ラジオオンエア数は2週連続の1位。ただ、Hot100は30位から38位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は大漠波新「メモリー」が先週の4位からアップし、チャートイン2週目にして1位獲得。大漠波新は2021年から活動を行っているボカロP。2025年には、「無色透明祭Ⅱ」で話題となった「のだ」がヒットを記録しています。2位はぬゆり「つづく闘争」が初登場で獲得。3位には先週1位、ピノキオピー「歌姫失格」がツーランクダウンながらもベスト3をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年6月 3日 (水)

女性アイドルグループが初登場で並ぶ中

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず上位には女性アイドルグループの初登場曲が並びました。

まず1位はアソビシステム所属の女性アイドルグループCUTIE STREET「キュートなキューたい」がランクイン。テレビ東京系アニメ「ポケットモンスター」エンディングテーマ。CD販売数1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上44万1千枚で1位初登場。前作「キューにストップできません!」の初動37万8千枚(2位)からアップ。

2位は大阪に拠点を置くAKB48の姉妹グループ、NMB48「初めてのオール」。CD販売数2位、ラジオオンエア数6位。オリコンでは初動売上11万8千枚で2位初登場。前作「青春のデッドライン」の初動13万3千枚(2位)からダウン。

そしてサカナクション「夜の踊り子」は先週からワンランクダウンながらも3位にランクインとベスト3をキープ。ストリーミング数は3週連続の1位。ダウンロード数も3週連続の3位。ただし、動画再生回数は1位から2位にダウンしています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場曲は1、2位の2曲のみ。一方、ベスト10圏外からの返り咲きが2曲ランクイン。まず7位に嵐「Five」が先週の13位からランクアップ。4月1日付チャート以来、9週ぶりのベスト10返り咲き。もちろん、先月31日に東京ドームで行われたラストライブの影響でしょう。

もう1曲、M!LK「アイドルパワー」が13位から10位にアップ。3週ぶりにベスト10返り咲き。特に動画再生回数が19位から4位にアップしています。M!LKは「好きすぎて滅!」が先週と変わらず4位に、「爆裂愛してる」も同じく先週と同順位の5位をキープ。「好きすぎて滅!」は動画再生回数が3週ぶりの1位返り咲きで、カラオケ歌唱回数は11週連続の1位。これで26週連続のベスト10ヒット。「爆裂愛してる」も16週連続のベスト10ヒットとなりました。

ほかのロングヒット曲は、米津玄師「IRIS OUT」が先週と変わらず6位をキープ。ストリーミング数は3週連続の3位。これでベスト10ヒットは37週連続に。

また、Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も8位から9位にダウンしたもののベスト10入り。これで通算18週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年6月 2日 (火)

12年ぶりにオシャレキシ登場!

レキシ vs オシャレキシ TOUR 2026~RETURN OF OSHAREKISHI~

会場 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール 日時 2026年5月27日(水) 18:15~

ほぼ毎回、足を運んでいるレキシのライブ。今回のライブツアーは、オシャレキシこと上原ひろみとのコラボツアー。2014年にもこの上原ひろみとのコラボツアーが開催されているのですが、それ以来、約12年ぶりのレキシとオシャレキシのコラボツアーとなりました。

Osyarekishi

この日のライブは18時15分スタートという早めのスタート。ただ、18時半スタートと勘違いして、会場に到着したのは18時20分頃。もうライブはスタート。完全に遅刻してしまいました・・・。とはいえ、この時点でまだ1曲目がスタートした段階。あわてて席につき、ライブに参加します。

その1曲目ですが、いつもはアンコールで行う「狩りから稲作へ」からはじまっておりちょっとビックリ。ただ、レキシのいつもの曲の中で、上原ひろみが自由にピアノの演奏を行い、途中からはレキシのライブバンドに指示をして、自由に演奏をはじめる始末。完全に翻弄されつつ、途中でレキシがピアノの蓋を閉めて強制終了(笑)。そのままオシャレキシはステージ上から追い出される形で、ライブは進行しました。

続いて「姫君Shake!」へと続いたのですが、段ボールで作られた電信棒の作り物が登場。その電信棒に隠れる(?)形でこっそりオシャレキシが再登場。もちろん、バレバレの登場にレキシに突っ込まれて、再度、オシャレキシがピアノにつきます。その後の「姫君Shake!」ではいつもと異なるジャジーなアレンジが加わるスタイル。

この曲の途中でメンバーのソロパートが加わります。この日のライブでは、レキシのいつものライブメンバーに加えて、今回のライブのために新たなが加わるスタイル。途中、トランペットがマイク持参でステージの中央にやってきて、レキシを突き飛ばして、無理やりソロをスタートさせます。このトランペットのMC輔大夫こと佐瀬悠輔は今回のライブで新たに加わったメンバーで、突き飛ばされたレキシは「誰だ、お前は!」と怒りながら(?)突っ込みます。

さらにおなじみの「GOEMON」もオシャレキシが加わることによりジャズアレンジに。この日はなんと五右衛門にちなんで五拍子のアレンジとなっており、微妙に難しい拍子にレキシが翻弄されつつも、ちょっといつもと異なる雰囲気の「GOEMON」を聴かせてくれます。その後も「SAKOKU」へと続き、ここでレキシとオシャレキシが共にビニールのイルカをもって登場。こちらもちょっと早めの「KMTR645」となります。「自分のライブではこういうことやらないからうれしいんでしょ!」とレキシに突っ込まれる、ワクワクでビニールのイルカをかかえるオシャレキシがかわいらしかった(笑)。

そんな訳で観客席にイルカが投げ入れられ、おなじみ、イルカが観客席で舞います。そんな中、オシャレキシは一度ステージから去り、今度はおしゃれな装飾をほどこされたピンクのイルカを持って再登場。このピンクのイルカがピアノの端にセットされ、途中からはジャズアレンジでの「KMTR645」となります。全く違った曲調の「KMTR645」にしばし魅了されます。

そしてここでみんな着席。ジャズのスタンダードナンバー「チュニジアの夜」と、レキシの「縄文オンリーナイト」を(無理やり)合体させたナンバーに。意外な試みながらも、意外とピッタリとはまり、ジャジーな雰囲気でしんみり聴かせます。さらには「きらきら武士」へ。途中、再びトランペットのソロがあり、MC輔太夫がレキシを突き飛ばすというネタも。後半はオシャレキシのメロウなピアノソロと展開する中、ジャズのスタンダードナンバー「Just Two Of Us」を聴かせ、その後、レキシが「サザエさん」やら「となりのトトロ」やら「銀河鉄道999」やら「ガンダーラ」やらを、メロウなピアノにのせて無理やり歌う、というある意味、レキシのライブらしい展開となります。

その後は「salt&stone」へ。ここで途中、ドラムの蹴鞠Changこと玉田豊夢のダイナミックなソロパートがありつつ、その後、レキシが、白いマントに電飾をつけたド派手な服で登場し、会場を笑わせます。ここではレキシがキーボードを持っての登場。レキシの弾くキーボードとオシャレキシのピアノのセッションが繰り広げられます。レキシこと池田貴史はもともとキーボーディストですから、いわばミュージシャン池田貴史の本領発揮、となりました。

そして本編ラスト「LOVEレキシ」へ。こちらもジャズなアレンジを加えつつしんみり聴かせ、本編は一度幕を下ろします。

もちろん、その後はアンコールへ。やがてメンバーが登場。オシャレキシも登場し、ムーディーはセッションを聴かせるのですが、途中から「YO~!YO~!」とHIP HOP風の掛け声が流れてきます。この「YO~!YO~!」が続いたかと思ったら、レキシと、トランペットのMC輔太夫がラッパーの(それもオールドスクールの)衣装を着て、ラッパーのスタイルで登場。客席を笑わせます。あの、トランペットがレキシを突き飛ばす演出は、ここへの前振りだったんですね。ラップバトルらしいものをはじめるのですが、もちろんグタグタ(笑)。「名古屋はなごやかな人が多い~」と、無理やり韻を踏んだラップ(??)で会場を沸かせます。

アンコールはそのまま「SHIKIBU」、そしてちょっと意外だったのですが、再び「狩りから稲作へ」へ!会場には大盛り上がりとなり客席では稲穂が揺れます。最後は「高床式~」から「劇団四季~」となって、「キャッツ!!」というお約束の展開に。ある意味、いつものレキシのライブで会場の幕は下ろされます。

終了はほぼ21時で、約2時間45分のステージ。基本的にはいつものレキシのステージに上原ひろみが参加するスタイルでのステージ。ただ、レキシではおなじみのお笑い芸人をつかった映像ネタは登場しませんでしたし、アンコール後のバンドメンバー全員でのコスプレのネタもなし。あくまでもオシャレキシとのセッションに軸を置いたステージになっていました。

ただ、今回思ったのですが、レキシのライブとジャズ的なセッションの相性はよさそうですね。いつものレキシのライブも、曲の途中でいきなりレキシのネタが挟まれる、自由度の高いステージ。こういうライブのスタイルは、ある意味、自由なジャズのセッション的とも言えるように思います。そういう意味でも、レキシのライブ自体、ジャズのライブのスタイルとも相性がよく、この日のステージも、オシャレキシとのセッションが多く挟まれ、演奏もジャズアレンジに大きく変わっていたのですが、基本的にはいつものレキシのライブというスタイルを変えることなく、エンタテイメント性高いパフォーマンスを楽しむことが出来ました。

相変わらずのレキシのライブは楽しかったですし、オシャレキシこと上原ひろみのピアノのパフォーマンスも堪能できたステージ。次はいつになるかわかりませんが、また、レキシvsオシャレキシのライブも見てみたいです。とても楽しいひとときでした。

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2026年6月 1日 (月)

大人のシンガーソングライターへの脱皮

Title:Ricochet
Musician:Snail Mail

アメリカのシンガーソングライター、リンジー・ジョーダンによるソロプロジェクト、Snail Mailの約5年ぶりとなるアルバム。比較的シンプルなオルタナ系ギターロックとポップなメロディーラインが心地よい作品を聴かせてくれ、毎作、高い評価を得ている彼女ですが、ちょっと久々となるニューアルバムについても、比較的シンプルでポップな楽曲を聴かせてくれる、心地よい傑作に仕上がっていました。

本作が3作目となるアルバム。いままで2作品も彼女の作品を聴いてきたのですが、前作「Valentine」に関しては、1枚目の「Rush」と比べるとあか抜けた、という印象を受ける作品になりました。今回の作品に関しては、前作に比べて、より清涼感のあり、カントリー寄りとなった作風は、前作以上にあか抜けた印象を受ける作品となっていました。

例えば序盤の「Light On Our Feet」はストリングスを取り入れて、伸びやかで清涼感ある作風になっていますし、「Cruise」も、比較的カントリーの色合いの強い作風が特徴的。後半の「Hell」なども、ストリングスが入って清涼感ある心地よいポップチューンとなっていますし、ラストを締めくくる「Reverie」もフォーキーに聴かせるタイプの曲となっており、初期衝動的な感じのあった初期のオルタナ系ギターロック路線に比べると、かなり「大人」になったという印象も受けます。

もっとも、初期の彼女から変わらない、オルタナ系ギターロックの王道を行くような作品ももちろん聴かせてくれており、1曲目を飾る「Tractor Beam」はストリングスを入れつつも、基本的にはギターロックの作品になっていますし、「Agony Freak」は力強いギターサウンドを聴かせてくれる作品になっていますし、ノイジーなギターをバックにダウナー気味のボーカルが加わる「Nowhere」はまさにそんなオルタナ系の王道といった感じの作風。「Butterfly」も彼女の声を生かしたキュートなメロを聴かせつつ、テンポよいギターサウンドが加わる、いわばオルタナ系ギターロックが好きなら壺に入りそうな作品ですし、前述の「Hell」も後半では、ノイジーなギターサウンドが楽曲に加わってきたりもします。

デビュー時に19歳だった彼女も現在は26歳。まだまだ「若い」というイメージも強いのですが、間違いなく大人のシンガーソングライターに成長を遂げているといった感じを受けます。そんな「大人寄り」になった今回の作品は、初期衝動的な部分が魅力だった以前の作品に比べると、賛否がわかれている部分があるようですが、シンプルでポップなメロを聴かせるギターロックというスタイルは大きくは変わっていませんし、そんなポップな楽曲は本作でも魅力的。間違いなく、オルタナ系ギターロックが好きなら気に入りそうなアルバムだと思います。もちろん、まだまだ今後の成長の余地も感じられ、彼女自体、その途上といった感じでしょう。Snail Mailの活動からはまだまだ目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

Snail Mail 過去の作品
Lush
Valentine


ほかに聴いたアルバム

Future Soul/Tedeschi Trucks Band

テデスキ・トラックス・バンドの約4年ぶりとなるニューアルバム。いままでの彼らの作品と同様、カントリーやブルースの色合いの強い、いわばアメリカーナ的な曲調のロックが目立つ反面、ハードロックやさらにはグランジの影響を感じさせる曲も見受けられる本作。「Future Soul」というアルバムタイトル通り、新たなスタイルのロックを取り入れた未来志向のアルバム、と言えるかもしれません。もっとも、グランジにしても、もう30年近く前のジャンルではあるのですが・・・。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND
Let Me Get By
Signs
I Am The Moon:Ⅰ.Cresent
I Am The Moon:Ⅱ.Ascension
I Am The Moon: III. The Fall
I Am The Moon:Ⅳ.Farewell
Tedeschi Trucks Band and Leon Russell Present:Mad Dogs&Englishmen Revisited Live at LOCKIN'(Tedeschi Trucks Band&Leon Russell)

U/underscores

Underscores

アメリカ・サンフランシスコ出身のミュージシャン・プロデューサー、April Harper Greyによすソロプロジェクトの新作。力強いエレクトロビートに、彼女の清涼感あるボーカルがのるスタイル。前作はかなり実験的な作品で、本作も、そんな実験性を感じるものの、彼女のポップな歌が入ることによって、比較的、聴きやすさもある作風に。また、トライバルなリズムを取り入れたり、フォーキーなサウンドが入っていたりというバラエティーも感じさせます。

評価:★★★★

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