本格的にブレイク
Title:Fancy That
Musician:PinkPantheress
イギリスで、現在、もっとも注目を集めているシンガーソングライターの一人と言えるPinkPantheress。2023年にリリースしたデビューアルバム「Heaven Knows」で大きな注目を集め、BBCの「Sound Of 2022」を獲得。一躍、注目のシンガーソングライターとしてその名を知られるようになりました。
本作は、そんな注目作に続く新作。内容的には全9曲入りで、MixTapeという扱いにしているようです。注目を集めた前作から約2年ぶりと、注目作直後の作品としてはちょっと間を空けてしまって、かつ収録曲も9曲(うち1曲は短いインターリュードなので、事実上8曲)という少な目な点、プレッシャーによって新曲がなかなかできなかったのか?という心配もしてしまうのですが、そんな心配が杞憂に終わるような傑作に仕上がっていました。
前作「Heaven Knows」の特徴的だったのが、ちょっと懐かしいドラムンベース的なリズムを取り入れつつ、ウィスパー気味のキュートなボーカルでポップに聴かせるスタイルでした。今回のアルバムに関しても、基本的にその方向性を踏襲した作品となっています。1曲目に収録されている「Illegal」がまさにその方向性を明示した作品に。ちょっと懐かしいドラムンベース的なリズムでスペーシーに聴かせるサウンドに、ウィスパー気味で気だるさも感じられる彼女のボーカルが印象に残る作品に。全体的にはポップでキュートな作風に仕上がっており、PinkPantheressらしい作品となっています。
キュートなポップと言えば、先行シングルとなっている「Tongiht」も印象的。UKガラージのサウンドを取り入れた、リズミカルな疾走感あるビートに、キュートな彼女のボーカルが乗るインパクトあるポップチューンが魅力的。クラブ寄りのサウンドづくりをしつつ、楽曲全体としては広いリスナー層にアピールできるポピュラリティーあるものに仕上がている点に彼女の特徴が感じられます。
基本的にドラムンベースやUKガラージなどのリズムを取り入れたポップチューンが収録された楽曲となっていますが、ラストの「Romeo」はストリングスを取り入れてスケール感のある楽曲に。クラブ系のリズミカルなトラックを取り入れつつも、ある意味、クラブを抜け出し、広い世界に飛び出していくような、そんなラストと言えるかもしれません。
前作「Heaven Knows」は注目されつつ、イギリスのチャートでは最高位28位と大ブレイクとまでには至りませんでした。しかし、今回のアルバムはイギリスの公式チャートで最高位3位と名実ともにブレイクした作品になりました。さらに今、本作にも収録されている「Stateside」の、Zara Larssonと組んだバージョンがアメリカのビルボードチャートHot100で大ヒットを記録。まさに世界規模でのブレイクを果たしています。こちらも彼女らしいダンサナブルでポップなナンバー。ある意味、PinkPantheressの王道を行くような曲がブレイクした、ということは今後のキャリアでも順調に人気を伸ばしていくような感じがします。
彼女のキュートなルックスといい、ポップなメロディーラインといい、日本でももっともっと知名度が高まりそうな予感もあるアルバム。今後のさらなる活躍に期待したくなる傑作でした。
評価:★★★★★
PinkPantheress 過去の作品
HEAVEN KNOWS
ほかに聴いたアルバム
Croak Dream/Puma Blue
ロンドン出身でアトランタを拠点に活動を行っているジェイコブ・アレンのソロプロジェクトによる約2年半ぶりとなるフルアルバム。ジャズやトリップポップ、ソウル、エレクトロなどの要素を取り入れたローファイなサウンドに、彼女のムーディーなボーカルが加わる作品。全体的にウェット気味で影を帯びた楽曲が耳を惹く作品。全体的には派手さはなく、淡々と進行するような作品なのですが、メロウな彼女の歌声を相まって、耳の離せない独特の世界が繰り広げられる作品となっています。
評価:★★★★★
I'm a Stranger Here Myself-Wainwright Does Weill/Rufus Wainwright
アメリカのシンガーソングライター、ルーファス・ウェインライトの新作は、ドイツの作曲亞、クルト・ヴァイルへのトリビュートアルバム。日本では主に「三文オペラ」の作曲家として知られる彼ですが、ポピュラーミュージックへ与える影響も大きく、レナード・コーエンやドアーズ、デビット・ボウイなどもその影響を受けているそうです。Pacific Jazz Orchestraとの共演となっている本作は、基本的にストリングスアレンジでムーディーに聴かせる曲が多く、大人のポップスといった印象も強い落ち着いた雰囲気の作品に。良くも悪くも「安心して楽しめる」といった印象のポップアルバムとなっていますが、魅力的なメロディーを楽しめる作品となっていました。
評価:★★★★
Rufus Wainwright 過去の作品
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