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2026年5月 4日 (月)

「死」をテーマとしたコンセプチュアルな作品

Title:The Moutain
Musician:Gorillaz

約3年ぶりとなるGorillazのニューアルバム。いまやすっかりデーモン・アルバーンにとってのメインプロジェクトとなってしまっていますが、今回のアルバムも、全英チャートで1位を獲得した他、アメリカのビルボードチャートでも7位となるなど、人気面でも相変わらず高い評価を維持しています。

さて、Gorillazといえば、毎回、主にデーモンの幅広い音楽的な興味が反映されたようなアルバムとなっていますが、今回のアルバムについてもその特徴は顕著。まず目立つのは全体的にシタールやタブラなどといったインド古典音楽からの影響。オープニングを飾るタイトルチューンでもある「The Mountain」では、シタールの響きでスピリチュアルな雰囲気を醸し出していますし、「The Empty Dream Machine」でもイントロではシタールの音色が。「The Shadowy Light」では、インドの古典音楽で使われる弦楽器、サロードの奏者であるAyaan Ali Bangashがゲストで参加しています。

もちろん取り入れている音楽はインド音楽に限定されず、エレクトロサウンドを取り入れてポップに仕上げた「Orange County」、IDLESが参加した「The God of Lying」はポストパンク的な作品となっていますし、もちろん今回のアルバムでもHIP HOP的な要素が随所に見られます。相変わらずデーモンの幅広い音楽的な興味が反映された自由な音楽性を聴かせてくれる作品となっています。また、使われている言語も英語だけではなく、アラビア語や

そして今回のアルバムで一番大きなポイントとなっているのは本作のコンセプト。今回のアルバムでは「死、悲しみ、そして死後の世界」がテーマとなっており、これは制作中にデーモン・アルバーンやジェイミー・ヒューレットの近親者の死を経験したことが大きなインスピレーションになっているそうです。

そのコンセプトがわかりやすいのが、まず、故人のミュージシャンによる音源を多く用いていること。「The Hardest Thing」では2020年に亡くなったトニー・アレンが参加しているほか、「The Manifesto」では2006年に亡くなった、HIP HOPグループD12のメンバーでもあったProofの音源が用いられていたり、「Delirium」では2018年に亡くなった、ポストパンクバンドThe Fallのメンバー、Mark E.Smithが参加していたりと、まさに死後の世界と現世をつなぐような参加ミュージシャンとなっています。

楽曲的にもアルバムの冒頭を飾る「The Mountain」は死後の世界を彷彿とさせるような幽玄な雰囲気を醸し出していますし、続く「The Moon Cave」でも"If You're Leaving/Don't make it harder than it is/Let me Know"(もし君が去る時は、これ以上複雑にしないでください。ただ私に知らせてください。)と、死を彷彿させるようなフレーズが登場します。またラストを飾る「The Sad God」も荘厳な曲調に仕上がっており、"Even if they let me into heave/I would prolly just move back soon"(もし彼らが天国に私を受け入れても、すぐに戻るつもりです)と、死と、その先にある再生を示唆するような歌詞を聴かせてくれています。

そもそもインド音楽の要素を多く取り入れているのも、特にデーモンのようなイギリス人にとっては、インド音楽でイメージされる幽玄な音楽性が死や死後の世界をイメージさせるのでしょう。日本人にとっても同じようなイメージはありますが、特に西洋的な価値観と、インドのような東洋的な価値観のギャップは、おそらく私たち日本人がイメージするよりも大きく作用しているのではないでしょうか。

全体的には様々な音楽性を取り入れた作品となっており、決して派手でわかりやすいポップなナンバーはありません。いままでの作品以上に音楽面ではデーモンのパーソナルな作品になっているようにも感じました。ただ一方、「死」をテーマとしたコンセプトがあった影響で、アルバム全体の統一感が生まれたようにも感じました。

そんな訳で、デーモンのパーソナルな作品という意味でちょっと地味な印象も受ける一方、アルバム全体としての流れもしっかりと感じられ、その多彩な音楽性を合わせて、文句なしの傑作アルバムに仕上がっていたと思います。デーモンの幅広い音楽的な興味もあわせて楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz
The Now Now
Song Machine: Season One – Strange Timez
Cracker Island


ほかに聴いたアルバム

Xavier/xaviersobased

Xavier

アンダーグラウンドHIP HOPの中で、今、最も注目を集めるミュージシャンのひとり、xaviersobasedの最新アルバム。終始、エレクトロをベースとしたサウンドが流れ、全体的に浮遊感を覚えるビートも特徴的。そこにxaviersobasedのオフビート気味のラップがのり、独特の雰囲気を醸し出しているアルバム。前作「keep it goin xav」ではラップのメランコリックなフロウが特徴的で、本作でもそんなフロウを聴かせてくれる曲はあるものの、全体的には1曲あたり2、3分と短いものの、次から次へと繰り広げられるトラックメイキングの妙がおもしろい作品になっていました。

評価:★★★★

xaviersobased 過去の作品
keep it goin xav

As Of Now/LORD JAH-MONTE OGBON

Asofnow

アメリカ・ノールカロライナ州はシャーロット出身のラッパーによる新作。最近、アンダーグラウンド・ヒップホップでは注目を集めているラッパーだそうで、本作も高い評価を得ています。サウンド的にはいわゆるブーンバップ系で、暖かみのあるソウルやジャズの要素を入れたトラックが魅力的。トラップ的な、今時のリズムを取り入れつつも、ムーディーに聴かせるトラックにローファイ気味の独特のラップが楽しめる作品になっています。高い注目も納得の、そのソウルなトラックが強い印象に残る作品でした。

評価:★★★★★

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