カントリールーツの郷愁感あるメロが魅力のパンクバンド
Title:Blame The Clown
Musician:Twisted Teens
アメリカはニューオリーンズ出身のボーカルCaspian Hollywellと、ペダルスティールのRJ Santosの2人組によるパンクロックバンド、Twisted Teensの2枚目となるアルバム。この2人のメンバーに、流動的なメンバーを加えてバンド形態となるそうですが、ちょっとユニークなのは、そのメンバーにペダルスティールの奏者がいるという点。ペダルスティールはカントリー音楽に典型的に用いられる楽器となりますが、その楽器が示す通り、ガレージパンクにカントリー的を融合したという点が大きな特徴のバンドだそうです。
ただ、そのパンク+カントリーという要素、パンクロックの破壊的な音楽に、カントリーという郷愁感という、ある意味、真逆の要素が加わることにより生じる独特な音楽性が、実に魅力的に感じさせてくれます。まず惹きつけられたのが1曲目「Is It Real?」のイントロ。ガレージパンク風のノイジーなギターリフのバックに流れてくるギターのフレーズが非常にメランコリック。なんか、このイントロ、聴いたことあるな・・・と思ったんですが、これ、すごくthe pillowsっぽいんです!確かにthe pillowsも、ガレージロックにどこか郷愁感のあるメロが特徴的でしたが・・・全く関係ないバンド同士に偶然の一致を感じさせます。
そんなパンク+カントリー的要素が魅力的なのが2曲目「Wild Connection」で、ノイジーなギターが鳴り響く中、どこか暖かみのある郷愁感あるボーカルとメロ、そしてそのバックに流れるペダルスティールの郷愁感あるメロがこれがまたいいんです・・・。続く「I Operate」は軽快なリズムで、こちらはパンク色は薄く、カントリーの色合いが強いナンバーに。カントリーという彼らのルーツが前に押し出された曲になっています。
その後も「Little Seed」「100 Bill Is Gone!」のような、パンク色が強いナンバーながらも、カントリールーツのような、郷愁感ある切ないメロが魅力的な曲が続いたり、逆に「Peekaboo Hand」のような、ペダルスティールを前に押し出したカントリー色の強い曲があったり、後半には逆に「Circus Clown」のようなパンクの色合いが強い曲があったりと、パンクロックとカントリーを上手く融合させたような曲が続きます。
バリエーション的には、パンクを前に押し出してメランコリックなメロを聴かせるか、カントリーを前に押し出すか、という2パターンであり、シンプルな形態であるものの、全12曲入り30分という短さもあって、あっという間に聴けてしまうため、中だるみ感もありません。パキッシュな勢いが最後まで保たれた作品となっています。
ただ、例えば最近注目のバンドWedesdayなどもシューゲイザーにカントリーの要素を入れたバンドだったり、どちらかというとオールドファッションというイメージのあったカントリーを積極的に取り入れるオルタナ系のバンドが増えているような印象があります。日本人にとって、歌謡曲的なメロが、ある種の郷愁感を誘い、最近では、以前は忌避されていた歌謡曲的な要素を肯定的に取り入れるミュージシャンが増えてきたように、アメリカ人にとってもカントリーがある種の郷愁感を誘い、そのため積極的に取り入れるバンドが増えてきたのでしょうか。
カントリーというと、決して日本では人気のあるジャンルではありません。しかし、これが不思議なことに、彼らの曲については、カントリー的な要素がちょうどよい郷愁感となって、日本人にとってもどこか心の琴線に触れるようなメロディーが流れてきます。純粋なカントリーミュージシャンは日本人にとって「受け」はよくないのですが、こうやってパンクロックといった要素を混ぜると、カントリーミュージックの中にある、日本人受けしない「癖」みたいなものが薄れるのかもしれないですね。
個人的にはこのメロも含めて、かなりツボにはまった1枚。年間ベスト候補の1枚にあげさせてもらえる作品だったと思います。とても心地よく最後まで楽しめた傑作でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Wuthering Hights/Charli XCX
前作「BRAT」が各種メディアで軒並み年間チャート上位にランクインし、大きな話題となったCharil XCXの新譜。ただ、今回のアルバムは純粋なオリジナルアルバムではなく、同タイトルの映画のサントラ盤。正直、そのため、前作のイメージで聴くとかなり拍子抜けする作品になっています。全体的にストリングスとエレクトロサウンドで荘厳さ、ダイナミックさを表現した曲が並んでおり、ある意味、いかにも映画音楽といった感じの作品に。日本のサントラ盤によくありがちな、ワンアイディアの断片の羅列、といった感じではないため、1つのアルバムとしても楽しめますが、残念ながら印象はかなり薄いアルバムでした。
評価:★★★
Charli XCX 過去の作品
BRAT
Peanut/Otto Benson
アメリカはニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動するインディーミュージシャンによる新作。いままで、エレクトロサウンドを中心とした音楽づくりを続けてきたそうですが、本作ははじめて本格的にボーカルを導入したアルバム。全体的にローファイ気味の作風で、ギターでダウナーにしんみり聴かせるフォークや、あるいはアンビエント的な作風の多い作品。ただ、所々にエレクトロサウンドも取り入れているのですが、今回はじめて彼の作品を聴いたのですが、本来の彼の路線はこちらだったのでしょうか?かなり地味な感じで渋い作風の楽曲。DIYテイストも強く、派手さはないものの、しっかりと、その歌を聴かせてくれる作品でした。
評価:★★★★
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