« 2026年4月 | トップページ

2026年5月

2026年5月15日 (金)

2年連続の参加!

GRAND SLAM 2026

会場 ダイアモンドホール、SPADE BOX 日時 2026年5月4日(月)

昨年からはじまったゴールデンウィーク中のライブサーキット、GRAND SLAM。昨年も参加したこのイベントですが、今年も参加してきました。ただ、個人的な都合上、4日間の開催のうち1日のみの参加となります。

Grandslum1

会場は新栄にあるダイアモンドホールと、同じビルの地下にあるSPADE BOXの2会場。今回はスタートから参加する予定だったのですが、その前の予定の都合で遅れてしまって、会場に到着したのは14時半頃。ちょうどダイホ1番手超能力戦士ドリアンの演奏中でした。1曲だけ後ろの方で聴いていました。

タイムスケジュール上、ダイホとSPADE BOXと2会場交互でライブを行うため、基本的に全ステージが見れる構成となっているのですが、ダイホがビルの5階で、SPADE BOXが地下1階。最後まで立ちっぱなしで、かつ階段の上り下りがある、というのは年齢的に厳しくて、次のSPADE BOXのライブは見送り、そのまま、ダイホの2番手、デラックス×デラックスのステージまで待って体力温存です。20代の頃なら、おそらく全ステージ見たんでしょうけどね・・・。

デラックス×デラックス@ダイアモンドホール

デラックス×デラックスは、名前の通り、マツコ・デラックスのようなボーカルをはじめとした巨漢4人のバンド隊と、(設定上は)SPを自称するダンサー2人+DJ1名によるバンド。名前だけは知っていましたが、ライブはもちろん、音を聴くのも今回はじめてとなります。

1曲目はいきなり荻野目洋子の代表曲「ダンシングヒーロー」からスタート。基本的にそれ以降もダンサナブルなナンバーがメインとなります。楽曲的にはハードコアにトランスを混ぜたようなタイプの曲調。途中、新曲という「ギギギギルティ」という曲や、ソーラン節的な要素を取り入れた曲なども。また、最後の曲は「セクシー★ダイナマイト」という曲だそうで、最後まで踊れる曲が続きました。

巨漢のバンドメンバーと、やせ型のダンサー2人+DJという対比もなかなかユニークでしたし、曲自体もダンサナブルな曲がメインで、初見で曲を知らなくても楽しめたステージでした。ただ、それなりに激しいステージパフォーマンスで、あの体重を維持するのは逆に大変そうですが(笑)。いろいろな意味でインパクト十分なステージ。また機会があれば見てみたいです。

打首獄門同好会@ダイアモンドホール

また、この後も体力温存でダイホのロビースペースで休憩。ダイホ3番手となるのは打首獄門同好会。今回のお目当てでしたし、5月4日に参加した大きな理由は彼らを見れるから、ということにありました。

さて、この日のイベント、セットチェンジのサウンドチェックでバンドメンバーが出てくるのですが、サウンドチェックでは軽く「きのこたけのこ戦争」と「布団の中から出たくない」を演奏。バックにはスクリーンが張られ、そこにはPVも流されていたのですが、本番さながらに盛り上がります。

そして16時20分から本番スタート。「私を二郎に連れてって」「死亡フラグを立てないで」と続き盛り上がります。上にも書いた通り、バックのスクリーンでは楽曲のPVや、歌詞も流れて、会場を盛り上げます。さらに「歯痛くて」に、GWらしく(?)彼らの代表曲「働きたくない」と続いていきます。

ここでMCとなるのですが、ボーカルの大澤敦史曰く、喉の調子が本格的に悪いそうで、この日のセットリストは彼らとしては珍しい構成で、女性ボーカルパートが多い曲が並んでいるそうです。また、彼らのライブでは曲中に観客にスクワットをやらせる場面があるそうですが、この日はなし。本人曰く、コアなファンほど違和感を抱くようなセットリストになっていたそうです。

ただ、ここまで来てネタ切れになったそうで、みんなで歌って助けてもらうように、誰もが知っている「踊るポンポリコン」へ。ただ、これはかなり盛り上がり、全員で大合唱。さらにダイバーも出現していました。さらにそれでも時間が持たないということで、ヘルプを呼びかけると、この日のトリで予定されている四星球のメンバーが登場。四星球の代表曲「クラーク博士と僕」を急遽、四星球と一緒に演奏し、会場を盛り上げます。

そんな感じでなんとか時間をつなぎつつも、ただ、最後はやはり打首の曲で終わらなければいけないでしょう、ということで彼らの代表曲「日本の米は世界一」で締めくくり。なんだかんだ言っても大盛り上がりの中でライブは幕を下ろします。

打首獄門同好会のステージを見るのが今回がはじめて。やはり楽曲的にはインパクト強い曲が多く、ヘヴィーメタル的な部分と、ポップな部分のバランスもうまくて、やはりこの日のステージの中では一番人気という理由も非常によくわかるような気がします。ただ、通常のライブとはかなり異なるセットリストになっていたそうで、その点は残念。それなりに代表曲も聴けて楽しめるステージだったのは間違いないのですが・・・また、今度は本調子の時に、彼らのステージにも足を運びたいです。

Earthists.@SPADE BOX

で、ここではじめて地下のSPADE BOXへ移動。Earthists.というバンドのステージです。読みにくい名前ですが、「アーシスツ」と呼ぶグループだそうで、4人組のバンド。「ボカロ、テクノ、メタルを融合させたサウンドとメロディアスなボーカルが特徴」というバンドだそうです。

楽曲は、どちらかというとデス声も飛び出して、ヘヴィーメタル的というよりはハードコア的な印象が。ヘヴィーなサウンドにポップなメロディーラインが印象的で、ボーカルの三つ編みスタイルもちょっと奇抜で印象的でした。ヘヴィーなサウンドにシンセを取り入れた感じのサウンドは、マドカプを彷彿とさせるような部分も。モッシュやサークル、ダイブも多く発生していて、盛り上がるステージとなっていました。

圧倒的な爆音と、意外とポップなメロが楽しめたステージで、個人的にも盛り上がりました。ただ、マドカプを彷彿と書いた通り、あと一歩、彼ららしいスタイルはほしかったかも。ボカロを融合といっても、ボカロっぽさはあまり感じなかったし・・・。今後に期待といった感じでしょうか。

次へ

| | コメント (0)

2026年5月14日 (木)

3週ぶりの1位返り咲き

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

3週ぶりの1位返り咲きとなります。

今週1位はBTS「ARIRANG」が先週の2位からランクアップし、3週ぶりの1位返り咲き。今週で8週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒット。1位もこれで通算6週目となります。

2位も韓国の男性アイドルグループTWS「NO TRAGEDY」が初登場で獲得。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上22万枚で1位初登場。前作「play hard」の13万9千枚(1位)からアップしています。

そして3位にはHANA「HANA」が先週から同順位をキープ。こちらは11週連続のベスト10&ベスト3ヒット。ストリーミング数は8週連続の2位となっています。

4位以下の初登場盤は4位に韓国の男性アイドルグループCORTIS「GREENGREEN」が初登場。5位には同じく韓国の、こちらは女性アイドルグループILLIT「MAMIHLAPINATAPAI」が初登場でランクイン。6位にも同じく韓国の女性アイドルグループBABYMONSTER「[CHOOM]」がランクインと、Hot100同様、6位までアイドル系。かつ、HANAを除いてすべてK-POP勢という結果となっています。

ロングヒット盤は「超かぐや姫!」は4位から7位にダウン。14週連続のベスト10ヒット。ヨルシカ「二人称」は7位から9位にダウン。こちらは10週連続のベスト10ヒット。先週ベスト10に返り咲いたKing&Prince「STARRING」は9位から10位にダウンながらベスト10をキープ。これで通算19週目のベスト10ヒット。一方、同じく先週ベスト10に返り咲いたMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は11位にダウン。ベスト10ヒットは通算67週で再びストップです。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週1位はHot Albumsでアルバムがベスト10ヒットを記録した韓国の男性アイドルグループCORTIS「REDRED」が獲得。ラジオオンエア数7位。Hot100でも32位にランクインしています。アルバムでベスト10入りしていて、こちらにランクインするのはHeatseekersの趣旨と違うような感じはするのですが、ルールなので仕方ありません。一方、先週まで1位を続けていたクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」は2位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「『ヒトグイ、」が獲得。もともと2月に公表され、「ボカコレ2026冬」で9位を獲得。4月15日付チャートで3位を獲得し、それ以来のベスト3返り咲き及び初の1位獲得となっています。タイトル通り、ホラーテイストのある不気味な楽曲。2位はSohbana「個々々々々々人」が先週と同順位をキープ。3位にはなみぐる「ド七五サンバ」が初登場しています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2026年5月13日 (水)

上位には男性アイドル勢がズラリ・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は上位に男性アイドル勢がズラリと並ぶ結果となっています。

1位はまず旧ジャニーズ系。Snow Man「BANG!!」が先週の2位からランクアップし、ベスト10ランクイン2週目にして1位獲得となっています。CD販売数は1位から3位にダウンしていますが、動画再生回数が8位から2位に大幅ランクアップしています。

2位はBE:FIRST「BE:FIRST ALL DAY」が先週の41位からランクアップ。7週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。ダウンロード数がベスト50圏外から6位に返り咲いているほか、動画再生回数が10位にランクアップ。5月11日に、同シングルに収録されている「Rondo」のダンスプラクティス動画が公開され、話題になった影響の模様です。

3位はDOMOTO「またね」が初登場。CD販売数1位、ダウンロード数2位。ご存知Kinki Kidsの改名後のグループで、シングルとしてはDOMOTO名義で初となります。オリコン週間シングルランキングでは初動売上15万4千枚で1位初登場。前作「シュレーディンガー」の初動17万9千枚(1位)からダウン。

4位以下も、まずM!LK「アイドルパワー」4位、「爆裂愛してる」5位、「好きすぎて滅!」6位と、4位から6位までを占拠。「爆裂愛してる」はストリーミング数が8週連続の1位でベスト10ヒットは13週連続に。「好きすぎて滅!」はカラオケ歌唱回数が8週連続、動画再生回数も2週連続1位で、23週連続のベスト10ヒットとなっています。

一方、4位以下初登場はいずれも非アイドル系。まずMrs.GREEN APPLEのボーカル大森元貴「催し」が13位から8位にランクアップ。ランクイン2週目にしてベスト10入りとなります。ミセスとは変わってロック色の強いナンバーが特徴的。一方、Mrs.GREEN APPLE「風と町」が今週も9位にランクインしている一方、「lulu.」が11位にダウン。ベスト10ヒットは通算15週で再びストップとなりました。

さらに10位にはサカナクション「夜の踊り子」がベスト10入り。本作はもともと2012年8月にリリースされたシングル曲でしたが、インドネシアの少年によるボート上でのダンス動画に使われて話題となりネットミーム化。ストリーミング数が5位にランクインし、総合順位でもベスト10入り。リリース時にはベスト10ヒットを記録していませんでしたので、これがHot100では初のベスト10ヒットとなりました。

ほかには米津玄師「IRIS OUT」が9位から7位に再度アップ。特に動画再生回数は5週連続の2位を記録。これで34週連続のベスト10ヒットとなり、まだまだ強さを見せつける結果となりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

| | コメント (0)

2026年5月12日 (火)

クラブ系寄りだが、ポップスセンスは健在

Title:Kiss All The Time.Disco,Occasionally
Musician:Harry Styles

もともとはイギリスの男性アイドルグループ、ワン・ダイレクションのメンバーとして活動し、解散後はソロとして、俳優活動に音楽活動に、積極的な活動をみせるハリー・スタイルズ。特に音楽活動においては、シンガーソングライターとして積極的に活動を進め、前作「Harry's House」が各種音楽メディアなどでも高い評価を受けるなど、その評価を確固たるものとしています。

そんな彼の約4年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは、タイトルからしてもわかりやすいのですが、エレクトロサウンドを全面的に取り入れた、クラブ寄りのディスコテイストの強い作品になっています。作品はいきなりビルボードのHot100で1位を獲得した「Aperture」からスタートしますが、エレクトロサウンドを聴かせるミニマルテイストの強い作品。続く「American Girls」も先行シングルで、こちらは比較的、いままでの彼の作風を引き継ぐようなメロディアスでメランコリックなポップチューンとなっていますが、続く「Ready,Steady,Go!」が、まさにこのアルバムの方向性を決めるとも言える、ファンキーでリズミカルなディスコチューン。徐々に力強いサウンドで盛り上がっていき、ライブでも盛り上がりそうな作品となっています。

その後も郷愁感あふれるエレクトロポップの「Taste Back」や、80年代風のエレクトロポップチューンでもある、その名もそのまま「Pop」という作品、さらにタイトルそのまま「Dance No More」は、こちらもいい意味でベタさもあるディスコナンバーに。ただただ音楽にゆだねて踊ろうというストレートな音楽に対するメッセージ性ある歌詞も印象的なナンバーになっています。

そしてラストの「Carla's Song」は最初、抑え気味なバラード風の作風からスタート。後半になるにつれて徐々にハイテンポになり、最後は軽快なエレクトロダンスチューンになって締めくくりと、このアルバムのラストを飾るにふさわしい、大団円的な作品で締めくくられています。

まず、アルバム全体を聴いて感じるのは、とにかくポップで聴きやすい、という点。メロディアスでインパクト十分なポップチューンの連続で、すんなりリスナーの耳に入り、素直に楽しませてくれるような楽曲が並びます。ここらへん、高いエンタメ性を求められるアイドル時代に彼に身に付いた実力なのかもしれません。一方でポップとはいえ単純に流行を追うようなサウンドを追求するのではなく、ハリーならではの個性もしっかり感じられる点も魅力的。ここらへんのメロディーセンスは彼の才能と言えるでしょう。

また、基本的にエレクトロなダンスチューンがメインとなっているアルバムですが、オーケストラアレンジを入れて、スケール感のあるサウンドを聴かせる「Coming Up Roses」や、アコギでしんみりフォーキーに聴かせる「Paint By Numbers」など、ある意味、エレクトロ主体のアルバムの中で、ちょうどよい隠し味のようなポップチューンも入れて、アルバムにインパクトを与えています。ここらへんのアルバム全体の統一感を崩さない程度で入っている、アルバムにとってのスパイスのようなバリエーションのバランス感覚の良さも彼の才能と言えるのかもしれません。

いろいろなタイプの方にとって素直に楽しませてくれる、前作同様、非常に魅力的なポップのアルバムに仕上がっていました。日本でももっと人気が出てもよいタイプのシンガーのようにも思います。幅広いリスナー層にお勧めできる、聴いていて素直に楽しめる、そんなポップな傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Harry Styles 過去の作品
Harry's House


ほかに聴いたアルバム

TRON Ares:DIvergence/NINE INCH NAILS

昨年リリースされた映画「TRON Ares」のサントラ盤をリミックス、再構築したアルバム。文字通り、映画のスコアだったサントラ盤に比べると、ここにNINE INCH NAILSらしい解釈を加えて、雰囲気もグッと変化。特にインダストリアル色が強い作品となり、いい意味でNINE INCH NAILSらしい作品となっています。さらにArca、Boys Noizeなどといった豪華ミュージシャンがリミキサーとして参加し、NINE INCH NAILSらしいインダストリアル的な作品を軸としつつも、新たな音楽性を広げた作風。サントラ盤のリミックス、というよりもサントラ盤を素材として使ったNINE INCH NAILSの新作、といっていい傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks
Not The Actual Events
Add Violence
Bad Witch
Ghosts V:Together
Ghosts VI:Locusts
TRON:Ares(Original Motion Picture Soundtrack)

| | コメント (0)

2026年5月11日 (月)

元CHAIの双子姉妹による新ユニット

Title:DEBUT
Musician:OKAME

Debut_okame

2016年にデビューし、「NEOかわいい」「コンプレックスはアートなり」をコンセプトに、独自の音楽性、個性的な歌詞で高い評価を受けたロックバンドCHAI。2017年にリリースされたデビューアルバム「PINK」は日本だけではなく海外でも高い評価を受け、Pitchforkでは「BEST NEW ALBUM」という評価を受けた上に、年間ベストアルバムにもランクインしてきました。その後はイギリスのSUB POPと契約を結ぶなど、海外進出を視野に活動を続けてきましたが、2024年に残念ながら解散してしまいました。

今回紹介するアルバムは、そのCHAIの双子のボーカリスト、マナとカナによるニュープロジェクト。昨年9月に活動を再開し、シングルをリリース。そして今回、8曲入りのEP盤という形でアルバムデビューを飾っています。

まず楽曲的にはCHAIのサウンドを継承しています。ちょっとヘタウマ的な、マナとカナのユニゾン気味のボーカルがメインにしつつ、比較的シンプルなエレクトロアレンジ中心の、ちょっとドリーミーな雰囲気のアレンジが特徴的となっています。CHAIのサウンドでもエレクトロ主導となった後期の作風がメインなので、前期のバンドサウンド中心の作風に惹かれたリスナーにはちょっと残念に感じるかもしれませんが、一方で、タイトなサウンドづくりは初期のCHAIに通じるものがあり、また、後期のCHAIに感じられた、変に今風を志向したようなR&B路線はなくなり、そういう意味で、マナとカナが本来やりたかった音はこうだったのかな、といった印象も受ける内容となっています。

メロディーラインについては、CHAIの楽曲に比べるとよりポップス感が増した感じがします。特に歌謡曲からの影響は強く感じられ、アルバム冒頭の「おかしなきもち」はレトロな歌謡曲っぽい内容。「たまや」もギターも入って切ないメロディーラインが印象的で、こちらも歌謡曲からの影響を感じさせますし、「それいけ!シンデレラ」も打ち込みのサウンドを含めて80年代歌謡曲といった印象を受ける曲調になっています。もっとも、このポップ路線については、タイアップシングルなどではCHAI時代でも顔を覗かせていた部分ではあり、タイトなサウンドとマッチして、おそらくCHAIの曲が気に入っている方ならば、大きな違和感は覚えないのではないかと思います。

一方、CHAIと比べるとかなり大きな変化があったのはやはり歌詞の部分。もともとCHAIの歌詞はベースのユウキが担っていたということもあり、ルッキズムにとらわれない自分らしさの追求といったCHAI時代の歌詞に比べるとかなりコンセプトが異なり、率直に言うと、普通のラブソングとなっています。特に2023年にカナが結婚したそうで、そこらへんの心境の変化も大きかったのではないでしょうか。ただ、独自性があって、女性はもちろんのこと、自分らしさの追求という点で男性にもある種の共感を覚えた歌詞がなくなってしまった点はちょっと残念にも感じました。

CHAIの良さや個性も残っており、サウンドには独特なものがあるだけに、今後が楽しみな一方、全体的に打ち込みのサウンドはチープさもあり(ひょっとしたらわざとかもしれませんが)、歌詞も含めて圧倒的な個性という面ではCHAIの後継としては物足りなさを感じてしまったのも事実。ただ、CHAIも活動休止前は音楽性がいまひとつ定まらず、迷走していた感もあるので、あらためてマナ&カナがやりたい音楽、ということで方向が定まったという意味も大きいのでしょう。とりあえずは今後に期待、といった感じで。今後もその活動に注目していきたいところです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~YONMARU~-LIVE-/TM NETWORK

昨年10月から、7ヶ月連続でサブスク解禁されているTM NETWORKのライブアルバム第5弾。40周年プロジェクトファイナルシリーズとなるライブの模様を収めたアルバム。このライブツアーに関しては、私も2014年、大阪公演に参加しており、セットリストについては基本的にその時とほぼ同じ。その時のライブレポにも書いたのですが、セットリストは、1980年代90年代の楽曲のうち、知る人ぞ知る的な曲も多く、ちょっとマニアックな感。それがまた40周年の締めくくりにふさわしいと言えるかもしれません。何気に熱心なファンにはうれしい内容となっているセットのライブアルバムでした。

評価:★★★★★

TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
Gift from Fanks T
Gift from Fanks M
LIVE HISTORIA T 〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
LIVE HISTORIA M〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
DEVOTION
40+ ~Thanks to CITY HUNTER~
How Do You Crash It?
TM NETWORK TOUR 2022"FANKS intelligence Days"at PIA ARENA MM-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~DEVOTION~-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜

ケツメイシ14/ケツメイシ

2025年5月にDJ KOHNOが脱退。3人組となってから初となる決明子のニューアルバム。基本的にレゲエ+HIP HOP的なスタイルはいつも通りながらも、エレクトロを取り入れてスペーシーな作品や、同じくエレクトロなダンスチューン、ハワイアン的な要素を取り入れた曲などバラエティーは豊富。ユーモラスをまじえた大人の応援歌的な内容は相変わらずで、3人組になってもいつものケツメイシという路線は変わりません。目新しさはありませんが、良くも悪くも安心して聴ける1枚でした。

評価:★★★★

ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~

KETSUNOPOLIS 8
KETSUNOPOLIS 9
KTMusic(KTMusic)
KETSUNOPOLIS 10
ケツノポリス11
ケツノパラダイス
ケツノポリス12
ケツノポリス13

| | コメント (0)

2026年5月10日 (日)

平安時代から続く「ステージ」

熱田神宮舞楽神事

会場 熱田神宮 日時 2026年5月1日

今回のライブレポート(?)はちょっと毛色が違います。以前、ここで日本古来の音楽、雅楽についての本を紹介しましたが、そこでも紹介されていた、地元熱田神宮で行われる雅楽の神事、「舞楽神事」。毎年5月1日に行われているということで、前述の本で興味を持ったため、出かけてきました。

神事自体は朝10時40分からスタートしているのですが、午前中は仕事をして、午後から熱田神宮に足を運びます。場所は本殿向かって左にある祈禱殿・長床。その長床を舞台として、客席としてテントも設置し、椅子も容易されていました。まずは本殿にお参りをした後、会場へ。椅子はほぼ埋まっていましたが、いくつか空きもある状況。パラパラと立見の人もいるものの、自分の席も確保し、思ったよりも楽な状態で神事を見ることが出来ました。

自分がついた時は、ちょうど午後一の演舞がスタートしたところ。「新靺鞨」という題目だそうで、演舞がはじまる前に内容についての簡単な解説も行われました。

Sinmaka1

このように、正座して再拝したり

Shinmaka2

横になって、手を挙げて孤を描くなど、ユニークな振りが特徴的な演舞で、もともと、題目の靺鞨とは中国東北部のツングース系部族の名前だそうで、そこの舞踏をあらわしているということ。他の演舞とはちょっと異なる雰囲気を楽しめる演舞となっているそうです。

そして続く演目は「胡蝶」。

Kocho

女性4人の踊り子による、優雅な舞が特徴的な演目。「童舞」ということで、子供の舞のようですが、この日は20代くらいの女性4人による踊りでした。

この日の演目の中で、この「胡蝶」が一番有名な演舞だったこともあり、この演舞が終わった後、会場を立ち去る人もチラホラいました。

続いては「抜頭」という演目。

Batou

猛獣によってかみ殺された親の仇を山にわけいって見事に果たし、喜び勇んで山を駆け降りるさまを舞にしたそうで、なかなか激しい舞を見せてくれました。

そして、これに続くのが「還城楽」という演目。蛇を好んで食べる胡国の人が蛇を見つけて喜ぶさまを舞にしたそうで、

Genjoraku1

天狗のようなお面をつけた胡国の人に扮した踊り手が、舞を見せてくれます。さらに途中から「蛇」も登場。

Genjoraku2

左にいる「蛇」の被り物としているのが「蛇」に扮した人。蛇の置物をもって登場し、置物を置いて去っていきます(写真をクリックすると拡大するので、蛇の置物もわかるかと思います)。

この「蛇」を胡国の人が見つけるのですが、その時は、両手と片足を大きく振り上げて、いかにも(というかちょっとベタに)喜んでいる様をあらわした演舞がかなりユニーク。全体的にコミカルさがある演舞で、見ているだけで楽しめました。

最後は、「長慶子」という、舞はない音楽だけの演奏で締めくくり。

Tyogeisi

こんな感じで舞台袖で演奏者が、和楽器を演奏しています。最後の演奏は比較的短く、15時頃に幕を閉じました。

そんな訳で、いつものライブレポートとはちょっと異なりますが、まさに日本古来からの「ライブステージ」ということで、ここでも取り上げてみました。ちょっと堅苦しいイメージもある雅楽ですが、優雅な舞が楽しめる他、演目によってはコミカルな舞もあり、当日は解説を記載した紙も配られたり、またアナウンスも流されたりと、思った以上に楽しめた内容でした。ちなみに平安時代から続く古式ゆかしい行事ということで、毎年5月1日に行われています。来年も来ようかなぁ~。

| | コメント (0)

2026年5月 9日 (土)

ちょっと意外な約10年ぶりの新作

Title:The Romantic
Musician:Bruno Mars

前作「24K Magic」以来、実に約9年3か月ぶりとなるブルーノ・マーズのニューアルバム・・・と書くと、意外に感じる方も多いでしょう。2021年にシルク・ソニックとしてのアルバムをリリースしているほか、2024年にはLady Gagaと組んだ「Die With a Smile」が大ヒットを記録。さらにおなじ2024年には、ROSEと組んだ「APT.」が日本でも大ヒット。ここ数年、ブルーノ・マーズの名前を聴く機会が多かっただけに、彼のオリジナルアルバムが10年近いスパンが空いているというのは、ちょっと意外に感じてしまいます。

さて、そんなヒット曲が続いてブルーノ・マーズの新作ですが、久々のリリースながらも、全9曲入り31分という比較的コンパクトな内容に。さらに彼らしいレトロなソウルやラテンの要素を取り入れた、比較的シンプルな作品に仕上がっています。

アルバムはいきなりバラードナンバー「Risk It All」からスタート。ラテンフレーバーなバラードナンバーからスタートという展開はちょっと意外性もありますし、ちょっと地味目な楽曲からのスタートというのは、彼のアルバムに対する自信のあらわれかもしれません。続く「Cha Cha Cha」はタイトルそのまま、キューバ発祥のラテンダンスナンバーチャ・チャ・チャのナンバー。メランコリックながらも軽快なラテンらしい楽曲となっています。

そして、全米1位も記録した先行シングル「I Just Might」へ。70年代風のディスコナンバーで、軽快なインパクト十分なナンバー。間違いなくアルバムの核となっています。その後もラテンのリズムも加えたソウルバラードの「God Was Showing Off」や、70年代風の軽快なソウルチューン「On My Soul」などが続き、ラストはメロウなソウルバラード「Dance With Me」へ。切なさを感じられる胸キュンのメロが耳に残ります。

全体的にはブルーノ・マーズらしい、ルーツ志向のソウルナンバーがメインながらも、ラテンの要素を取り入れた楽曲も目立つ作品。正直、目新しい作品はないですし、そういう意味では賛否はわかれる作品になっているようです。ただ一方で、先行シングルとなった「I Just Might」のような、アルバムの核となるようなインパクトある曲もありますし、ラストのバラード「Dance With Me」もインパクト十分。ブルーノ・マーズの魅力をしっかりと感じられる作品だったと思いますし、いい意味で、ブルーノ・マーズがちゃんと彼の求められる魅力をしっかり提示した作品になっていたと思います。

ちなみに、「Die With a Smile」も「APT.」も未収録。ここらへん、昔だったら、国内盤のボーナストラックに収録されそうなんですけどね。ここらへんを目当てに聴いてみるとガッカリするかも・・・って、サブスクだから、今の時代、難なく楽曲は聴けるのですが。「APT.」ではじめてブルーノ・マーズを知った方が最初に聴くにもピッタリな、ブルーノ・マーズらしい傑作でした。

評価:★★★★★

Bruno Mars 過去の作品
Doo-Wops & Hooligans
Unorthodox Jukebox
24K Magic
An Evening With Silk Sonic(Bruno Mars, Anderson .Paak, Silk Sonic)


ほかに聴いたアルバム

Prizefighter/Mumford&Sons

前作からわずか11ヶ月というスパンでリリースされたMumford&Sonsの新作は、ニューヨークのスタジオでわずか10日という短さで完成させたという作品。前作はアコースティックな作品とバンドサウンドを取り入れた曲を共存させた作風でしたが、今回のアルバムではフォークに回帰させた、アコースティックメインのシンプルな作風の構成に。短期間で制作された内容だからこそ、よりシンプルな内容になったのでしょうか。原点回帰的な作品で目新しさはありませんが、Mumford&Sonsらしさが強調された、そんな作品になっていました。

評価:★★★★

Mumford&Sons 過去の作品
Sigh No More
Babel
Wilder Mind
Delta
Delta Tour EP
Rushmore

| | コメント (0)

2026年5月 8日 (金)

サウンドと映像のリンクも楽しいステージ

KRAFTWERK MULTIMEDIA TOUR 2026

会場 Zepp Nagoya 日時 2026年4月27日(月)

最近、レジェンドクラスのミュージシャンのライブに積極的に足を運んでいるのですが、今回、足を運んだライブはクラフトワーク。テクノポップの先駆者として知られている彼ら。とはいえ、クラフトワークのライブを見るのは今回がはじめてではなく、以前、エレクトラグライドで来日した時に見たことがあります。彼らがエレグラで来日したのは2002年だったらしいので、実に24年ぶりに見たステージとなりました。

ライブは19時ちょうどにスタート。ステージ上は、4つセットされたパソコンを設置された机のみという、クラフトワークらしいシンプルなステージ。そこに4人が並んで登場し、ライブがスタートとなります。

Kraftwerklive1

ライブは「Numbers」からスタート。曲にあわせてバックのスクリーンでは「1 2 3 4・・・」と数字が強調されます。英語やドイツ語の他、日本語で「いち、に、さん、し」という言葉が流れるシーンもあり、このシーンでは会場から歓声もわきました。

音楽だけではなく、バックのスクリーンに流れる映像も見ているだけで楽しいものがあり、2曲目「Home Computer」に続く「Spacelab」では、宇宙からUFOがやってくる設定だったのですが、UFOが降り立った町が名古屋(!)。最後はZepp Nagoyaの前に降り立つという演出まで見せてくれました。海外のミュージシャンのライブで、ここまでピンポイントな映像を用意してくれるのはうれしいですね!

Kraftwerklive2

↑ UFOは上のように、最初、栄のテレビ塔とオアシス21に降り立ちます。なかなか粋な演出です。

さらに、「Airwaves」「Tango」と続き、彼らの代表曲のひとつ、「The Man-Machine」へ。ここでもやはり観客席からは歓声があがりました。

Kraftwerklive3

その後は「Electric Cafe」「Autobahn」と代表曲が続きます。「Autobahn」ではおなじみのマークにこちらも歓声が。

Kraftwerklive4

ここらへんから会場のテンションはどんどんと上がっていきます。「Computer Love」「The Model」と続き、「Neon Lights」では手拍子で盛り上がります。

そして、ここではじめてで唯一のMC。2023年に亡くなった坂本龍一との思い出を語ります。坂本龍一が主催し、クラフトワークも出演した反原発フェス「NO NUKES」の思い出も語られ、バックには坂本龍一との写真が映し出されます。

Kraftwerklive5

さらにここで坂本龍一の「Merry Christmas Mr.Lawrence」へ。ご存知戦メリの主題歌をしんみりと聴かせてくれます。この坂本龍一への追悼、2024年のフジロックでもライブの中に組み込まれていたそうで、日本オンリーのいわばサービスかな、と思いきや、海外の彼らのライブのセットリストを見る限りでは、この曲も演奏されている模様。それだけクラフトワークの坂本龍一への思いの強さを感じます(と同時に、世界でも通用する坂本龍一の知名度をあらためて驚かされます)。

その後は彼らの代表曲「Radioactivity」へ。途中、広島や福島など、放射能の被害にあった地域の名前を具体的にあげて、日本語で「はやくやめろ」と、かなりストレートで明確な反原発のメッセージも流します。さらに「Tour de France」「Trans-Europe Express」と彼らの代表曲が続き、会場は盛り上がります。

Kreftwerklive6

終盤は「Pocket Computer」「La Forme」「Planet of Visions」と盛り上がり、軽快な「Boing Boom Tschak」から「Musique Non Stop」へ。最後はメンバーが一人ひとり順番にお辞儀しつつステージ上から去り、最後にボーカルのライフ・ヒュッターがお辞儀をし会場を去り、本編は終了となりました。

アンコールはあるかな?と思いつつ、客電も明るくならなかったため、会場からは大きなアンコールが起きます。アンコールは「The Robot」。メンバーそれぞれを模したロボットの映像が流れながら、最後の最後まで会場は大盛り上がりとなります。

Kreftwerklive7

最後はメンバー全員、ステージ前に出て深々とお辞儀し、ライブは終了。アンコール込みでほぼ2時間のステージでした。

Kreftwerklive8

冒頭に書いた通り、これが2度目となるクラフトワークのライブ。文句なしに大満足の非常に楽しいステージでした!バックに映し出される映像と楽曲とのマッチも見ているだけで楽しいものでしたし、そこに流れるリズミカルなエレクトロチューンも、なによりもポップで楽しく、かつ、思わず身体も踊り出すリズミカルなビートが心地よいステージ。なによりも彼らが奏でるメロディーラインが非常に魅力的であるということを、今回のライブであらためて実感しました。

彼らもかなりベテランのミュージシャンなだけに、次の来日公演があるのか不明な部分があるのですが・・・音はまだバリバリの現役。それだけに、まだまだ積極的な活動は続きそう。次の来日公演にも、是非とも足を運びたいです!とてもワクワクした2時間のステージでした。

| | コメント (0)

2026年5月 7日 (木)

2位3位は変わらず

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

2位3位はまだまだヒットが続きそうです。

まず1位は旧ジャニーズ系。timeleszのアルバム「MOMENTUM」が初登場でランクイン。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上32万7千枚で1位初登場。前作「FAM」の初動61万9千枚(1位)からダウンしています。

2位はBTS「ARIRANG」が先週から同順位をキープ。ストリーミング数も7週連続の1位を獲得しています。また3位はHANA「HANA」が、こちらも先週から同順位をキープ。ストリーミング数は7週連続の2位。こちらは10週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒットに。この2作はしばらくヒットが続きそうです。

4位以下の初登場盤は、まず5位に3SKM「Nighthawks」がランクイン。にじさんじ所属のVTuberによるアルバム。8位にはLDK所属の男性アイドルグループBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「BEAT」が初登場でランクインしています。

また、今週ベスト10返り咲きとして、King&Prince「STARRING」が先週の12位から9位にランクアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。ベスト10ヒットを通算18週に伸ばしています。さらにMrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が先週の13位から10位にランクアップ。こちらは2月25日付チャート以来10週ぶりのベスト10返り咲き。ベスト10ヒットを通算67週に伸ばしています。

他のロングヒット盤では「超かぐや姫!」が6位から4位にアップ。ベスト10ヒットは13週連続に。じわりと人気を伸ばしていています。またヨルシカ「二人称」は8位から7位にアップ。これでベスト10ヒットは9週連続となりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週もクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」が2週連続で1位を獲得。通算7週目の1位獲得となりました。ただし、Hot100は70位から74位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は流星P「magnet-recall-」が初登場で1位を獲得。流星Pは湊貴大の名前で活躍しているミュージシャン。本作はもともと2009年にリリースされたヒットした「magnet」のリメイク作。オリジナル版の投稿17周年となる5月1日に公開されたそうです。2位はSohbana「個々々々々々人」が再浮上。4月1日付チャート以来のベスト3返り咲き。3位はDECO*27「ラブパラ」が初登場で3位獲得です。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2026年5月 6日 (水)

1位返り咲き

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

13週ぶりの1位返り咲きとなります。

今週1位はNumber_i「3XL」が2月4日付チャート以来、13週ぶりの1位返り咲き。4月27日にCDがリリースされた影響で、先週の42位から大幅にランクアップ。CD販売数2位、ダウンロード数1位、ストリーミング数10位、ラジオオンエア数2位で、総合順位で1位を獲得しています。例のごとくTOBE通販限定販売のため、オリコン週間シングルランキングではランキング対象外となっています。

2位は旧ジャニーズ系男性アイドルグループSnow Man「BANG!」が初登場。映画「SAKAMOTO DAYS」主題歌。CD販売数1位、動画再生回数8位。オリコンでは初動売上90万6千枚で1位初登場。前作「SERIOUS」の初動88万3千枚(1位)からアップ。

3位にはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループONE N' ONLY「WARAiNA」が初登場。CD販売数3位。オリコンでは初動売上16万2千枚で2位初登場。前作「BLAST」の初動12万2千枚(2位)からアップしています。

4位以下初登場曲は、まず5位にSHOW-WA&MATSURI「ジューンブライド」が初登場。秋元康プロデュースによる昭和をコンセプトとした男性アイドルグループですが、ここに来て、完全にM!LKにお株を取られた感は否めません。CD販売数4位。オリコンでは初動売上12万1千枚で3位初登場。SHOW-WAとしては、前作「東京ジャンクション」の初動9万1千枚(1位)からアップ。MATSURIとしては、前作「アガベの花」の初動5万3千枚(3位)からアップ。SHOW-WA&MATSURI名義としては、前作「僕らの口笛」の初動9万3千枚(3位)からアップしています。

そして、そのM!LK「アイドルパワー」が6位に初登場。配信限定シングルで、ダウンロード数2位、ストリーミング数4位、ラジオオンエア数7位、動画再生回数15位。ちなみにM!LKは「爆裂愛してる」が7位、「好きすぎて滅!」が8位と、6位から8位に3曲並ぶ結果となっています。「爆裂愛してる」はストリーミング数が7週連続1位で、12週連続のベスト10ヒット、「好きすぎて滅!」はカラオケ歌唱回数が7週連続1位、動画再生回数も2位から1位に再度アップし、22週連続のベスト10ヒットとなっています。

一方、ロングヒット勢は、まず米津玄師「IRIS OUT」が6位から9位にダウン。ただし、ストリーミング数は4週連続の2位。動画再生回数もここに来て4位から3位にアップしています。これで33週連続のベスト10ヒット。

Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も先週から変わらず10位をキープ。これで通算15週目のベスト10ヒット。また「風と町」も2ランクダウンながらも4位をキープし、今週も2曲同時ランクインとなっています。

一方でしぶとい人気を見せていたKing Gnu「AIZO」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは通算15週で再びストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

| | コメント (0)

2026年5月 5日 (火)

隠遁生活している女性が主人公

Title:Nothing's About to Happen to Me
Musician:Mitski

三重県出身の日系アメリカ人のシンガーソングライター、Mitskiの、約2年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム。2022年にリリースされたアルバム「Laurel Hell」はビルボードチャートで最高位5位を記録するなど大ヒットを記録。一方、それに続く前作「The Land Is Inhospitable」は最高位12位と残念ながらベスト10落ちしてしまっていましたが、今回のアルバムでは最高位10位と、再びベスト10ヒットを記録しています。

今回のアルバムに関して、まず感じてしまうのは全体的に地味なアルバム、という点でした。この点に関しては前作「The Land Is Inhospitable and So Are We」も同じようなことを感じたので、基本的にその路線を引き継いだ作品と言えるのかもしれません。アルバムの冒頭を飾る「In a Lake」から、いきなりバンジョーの音色からスタートする、カントリーテイストの強いナンバーになっていますし、「Cats」もストリングスでフォーキーに聴かせるナンバー。中盤の先行シングルになった「I'll Change for You」も、ストリングスとホーンセッションで、優雅に聴かせるような楽曲に。終盤の「Charon's Obol」もフォーキーに聴かせる楽曲に仕上げているなど、全体的におとなしいサウンドでメロを聴かせるタイプの曲が並んでいます。

ここらへん、全体的に聴かせるタイプの曲が並ぶのは、アルバムのコンセプトに依る部分も大きいでしょう。今回のアルバムのコンセプトとして、「荒れた家に住む隠遁生活を送る女性の主人公」がテーマだそうで、「家の外では彼女は異端者だが、家の中では自由」というテーマ性の下でのアルバムとなっているそうです。今回、しっかりと聴かせるナンバーが多いのは、主人公の内面を描いたような曲が多いから、という理由なのでしょう。

もちろん、これらの作品についても全体的におとなしく、地味な作風とはいえ、美しく聴かせるメロディーラインは、ソングライターとしてのミツキの実力を存分に感じられるもの。前述の先行シングル「I'll Change for You」も伸びやかな彼女のボーカルを生かしたメロウなメロディーラインが魅力的ですし、軽快なカントリー調の「Rules」も、楽しげなポップなメロが印象的。「Charon's Obol」もシンフォニックなサウンドも取り入れて、美しく聴かせるメロも強いインパクトを持った曲となっています。

一方で、初期の彼女を彷彿とさせるようなギターサウンドを前に押し出したような曲も少なくなく、例えば「Where's My Phone?」もヘヴィーでノイジーなギターを前に押し出した楽曲。「That White Cat」も力強いバンドサウンドを聴かせるロックチューンとなっていますし、最後を締めくくる「Lightning」もバンドサウンドを中心に分厚いサウンドを構成しており、最後にふさわしいダイナミックな曲調とサウンドに仕上げています。

そんな訳で、全体的に地味な印象はぬぐえないアルバムなのですが、カントリーやフォークを取り入れたサウンドやメロディーは美しく、心に残り、また、時折聴かせてくれるバンドサウンドのダイナミックなロックチューンは、アルバムの中でちょうどよいインパクトとなっているように感じました。今回も申し分ない傑作アルバム。シンガーソングライターとしていい意味で安定感も覚える作品でした。

評価:★★★★★

Mitski 過去の作品
Be the Cowboy
LAUREL HILL
The Land Is Inhospitable and So Are We


ほかに聴いたアルバム

Days of Ash/U2

Days_of_ash

U2が急遽リリースした6曲入りのEP盤。「急遽リリース」というのは理由があって、いずれの曲も社会派な曲で構成されており、非常に強い政治的メッセージが込められた曲が並びます。「American Obituary」は、アメリカICEによって射殺されたレネー・グッドに捧げる曲ですし、「Song Of The Future」は、マフサ・アマニ抗議運動に参加し、当局に殴打されて死亡した、16歳のイラン人女子学生に捧げた曲。ラストの「Yours Eternally」は、かのエド・シーランが参加したことでも話題ですが、ウクライナの歌手から兵士になったタラス・トポリアがゲストボーカルとして参加。ウクライナの戦争について歌った歌となっています。

メロディーラインやアレンジは、ある意味シンプルなギターロックとなっており、いつものU2といった感じで目新しさは覚えません。ここらへん、楽曲の完成度よりも、その伝えたいメッセージの適時性を優先させたのでしょう。ある意味U2らしいですし、こういう行動をすぐに行えるあたりもミュージシャンとしての頼もしさを感じます。純粋に楽曲としての出来ならば4つですが、そのメッセージに敬意を表して、1つ追加で。

評価:★★★★★

U2 過去の作品
No Line on the Horizon
Songs of Innocence
Songs Of Experience
The Virtual Road – U2 Go Home: Live From Slane Castle Ireland EP
Live At Red Rocks: Under A Blood Red Sky EP
The Virtual Road – PopMart Live From Mexico City EP
The Virtual Road – iNNOCENCE + eXPERIENCE Live In Paris EP
Songs Of Surrender
ZOO TV Live In Dublin 1993 EP
How To Dismantle An Atomic Bomb(Re-Assemble Edition)

Green Mind (Expanded Edition)/Dinosaur Jr.

アメリカのロックバンド、ダイナソーJr.が1991年にリリースし、オルタナティヴ・ロックを代表する名盤とされる作品。2019年に、B面集&シングル集と、ライブ音源を加えた2CDのデラックス拡張盤がリリースされましたが、本作は、同作にリマスターを加えた再発盤となります。オルタナティヴ・ロックの、ある意味「手本」的なオリジナルの傑作ぶりはもちろんなのですが、本作の聴きどころはやはりDisc2のライブ音源。1991年6月14日に、ハリウッドのパラディウムでのライブの模様を収録しているのですが、かなり荒々しい音源となっており、ダイナソーJr.のコアな部分が如実にあらわれた音源になっています。彼らの「本質」に触れるにはうってつけの音源になっていました。

評価:★★★★★

Dinosaur Jr. 過去の作品
beyond
Farm
Give a Glimpse of What Yer Not
SWEEP IT INTO SPACE

| | コメント (0)

2026年5月 4日 (月)

「死」をテーマとしたコンセプチュアルな作品

Title:The Moutain
Musician:Gorillaz

約3年ぶりとなるGorillazのニューアルバム。いまやすっかりデーモン・アルバーンにとってのメインプロジェクトとなってしまっていますが、今回のアルバムも、全英チャートで1位を獲得した他、アメリカのビルボードチャートでも7位となるなど、人気面でも相変わらず高い評価を維持しています。

さて、Gorillazといえば、毎回、主にデーモンの幅広い音楽的な興味が反映されたようなアルバムとなっていますが、今回のアルバムについてもその特徴は顕著。まず目立つのは全体的にシタールやタブラなどといったインド古典音楽からの影響。オープニングを飾るタイトルチューンでもある「The Mountain」では、シタールの響きでスピリチュアルな雰囲気を醸し出していますし、「The Empty Dream Machine」でもイントロではシタールの音色が。「The Shadowy Light」では、インドの古典音楽で使われる弦楽器、サロードの奏者であるAyaan Ali Bangashがゲストで参加しています。

もちろん取り入れている音楽はインド音楽に限定されず、エレクトロサウンドを取り入れてポップに仕上げた「Orange County」、IDLESが参加した「The God of Lying」はポストパンク的な作品となっていますし、もちろん今回のアルバムでもHIP HOP的な要素が随所に見られます。相変わらずデーモンの幅広い音楽的な興味が反映された自由な音楽性を聴かせてくれる作品となっています。また、使われている言語も英語だけではなく、アラビア語や

そして今回のアルバムで一番大きなポイントとなっているのは本作のコンセプト。今回のアルバムでは「死、悲しみ、そして死後の世界」がテーマとなっており、これは制作中にデーモン・アルバーンやジェイミー・ヒューレットの近親者の死を経験したことが大きなインスピレーションになっているそうです。

そのコンセプトがわかりやすいのが、まず、故人のミュージシャンによる音源を多く用いていること。「The Hardest Thing」では2020年に亡くなったトニー・アレンが参加しているほか、「The Manifesto」では2006年に亡くなった、HIP HOPグループD12のメンバーでもあったProofの音源が用いられていたり、「Delirium」では2018年に亡くなった、ポストパンクバンドThe Fallのメンバー、Mark E.Smithが参加していたりと、まさに死後の世界と現世をつなぐような参加ミュージシャンとなっています。

楽曲的にもアルバムの冒頭を飾る「The Mountain」は死後の世界を彷彿とさせるような幽玄な雰囲気を醸し出していますし、続く「The Moon Cave」でも"If You're Leaving/Don't make it harder than it is/Let me Know"(もし君が去る時は、これ以上複雑にしないでください。ただ私に知らせてください。)と、死を彷彿させるようなフレーズが登場します。またラストを飾る「The Sad God」も荘厳な曲調に仕上がっており、"Even if they let me into heave/I would prolly just move back soon"(もし彼らが天国に私を受け入れても、すぐに戻るつもりです)と、死と、その先にある再生を示唆するような歌詞を聴かせてくれています。

そもそもインド音楽の要素を多く取り入れているのも、特にデーモンのようなイギリス人にとっては、インド音楽でイメージされる幽玄な音楽性が死や死後の世界をイメージさせるのでしょう。日本人にとっても同じようなイメージはありますが、特に西洋的な価値観と、インドのような東洋的な価値観のギャップは、おそらく私たち日本人がイメージするよりも大きく作用しているのではないでしょうか。

全体的には様々な音楽性を取り入れた作品となっており、決して派手でわかりやすいポップなナンバーはありません。いままでの作品以上に音楽面ではデーモンのパーソナルな作品になっているようにも感じました。ただ一方、「死」をテーマとしたコンセプトがあった影響で、アルバム全体の統一感が生まれたようにも感じました。

そんな訳で、デーモンのパーソナルな作品という意味でちょっと地味な印象も受ける一方、アルバム全体としての流れもしっかりと感じられ、その多彩な音楽性を合わせて、文句なしの傑作アルバムに仕上がっていたと思います。デーモンの幅広い音楽的な興味もあわせて楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz
The Now Now
Song Machine: Season One – Strange Timez
Cracker Island


ほかに聴いたアルバム

Xavier/xaviersobased

Xavier

アンダーグラウンドHIP HOPの中で、今、最も注目を集めるミュージシャンのひとり、xaviersobasedの最新アルバム。終始、エレクトロをベースとしたサウンドが流れ、全体的に浮遊感を覚えるビートも特徴的。そこにxaviersobasedのオフビート気味のラップがのり、独特の雰囲気を醸し出しているアルバム。前作「keep it goin xav」ではラップのメランコリックなフロウが特徴的で、本作でもそんなフロウを聴かせてくれる曲はあるものの、全体的には1曲あたり2、3分と短いものの、次から次へと繰り広げられるトラックメイキングの妙がおもしろい作品になっていました。

評価:★★★★

xaviersobased 過去の作品
keep it goin xav

As Of Now/LORD JAH-MONTE OGBON

Asofnow

アメリカ・ノールカロライナ州はシャーロット出身のラッパーによる新作。最近、アンダーグラウンド・ヒップホップでは注目を集めているラッパーだそうで、本作も高い評価を得ています。サウンド的にはいわゆるブーンバップ系で、暖かみのあるソウルやジャズの要素を入れたトラックが魅力的。トラップ的な、今時のリズムを取り入れつつも、ムーディーに聴かせるトラックにローファイ気味の独特のラップが楽しめる作品になっています。高い注目も納得の、そのソウルなトラックが強い印象に残る作品でした。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2026年5月 3日 (日)

あの頃の電気グルーヴ

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「オールナイトロングー私にとっての電気グルーヴのオールナイトニッポンとその時代ー」。1990年代初頭に一世を風靡した、電気グルーヴの深夜ラジオ放送「オールナイトニッポン」で放送作家としてデビューし、現在も活躍している椎名基樹による著書。タイトル通り、彼が描く、初期の電気グルーヴの軌跡を追った内容となっています。この椎名氏、石野卓球の後輩で、電気グルーヴの前身でもある伝説的なグループ、人生のメンバーでもあったそうで、単なる電気グルーヴのラジオ番組を担当したスタッフ、という間柄ではなく、電気グルーヴのメンバーと長く深いつながりを持った、ある意味、電気グルーヴを語るにふさわしい一人による著作となっています。

そして、これは電気グルーヴのファンはもちろん、90年代のサブカルシーンがどういう時代だったのか、興味がある方にとっては必読とも言える非常に興味深く、そして楽しんで読める1冊となっていました。本書は、静岡時代の石野卓球、ピエール瀧にまつわるエピソードから人生の結成・解散から電気グルーヴの結成、東京進出、そして物語のメインとなる電気グルーヴの「オールナイトニッポン」の物語、そしてWIREに至る物語となっています。ここらへんの主な電気グルーヴの歩みについては、以前も映画「DENKI GROOVE THE MOIVE?」でも取り上げられたりしているため、電気のファンなら概ねなじみのある話ではないでしょうか。ただ、物語としては、彼らの後輩である椎名氏の視点から書かれており、この「後輩」という距離感から描かれる石野卓球とピエール瀧の少年から青年時代の物語は、ファンにとっても興味深く、新鮮味があるものではないでしょうか。

さらに本書を読んでいてもっとも興味深く感じたのは、前のパラグラフでも書いた通り、80年代及び90年代のサブカルチャーがどのようなシーンだったのか、どのような時代だったのか、さらにそのようなサブカルシーンの中での電気グルーヴの立ち位置はどのようなものだったのか、実際にサブカルシーンの真っただ中にいた椎名氏の視点から、具体的な体験談として描かれているという点でしょう。

この80年代、90年代サブカルについては、ちょっと前に一部で大きな話題となりました。例の東京オリンピックを巡るコーネリアス小山田圭吾の「いじめ発言」騒動です。この時、小山田圭吾が雑誌で、いじめを行ったことを告白した背景として、90年代サブカルチャーの露悪趣味について話題となり、その時代性があらためて取り上げられました。

本書では、実際にそのサブカルシーンの中にいた著者によって、その時代の空気感、そして電気グルーヴの行動と、それがサブカルシーンの中でどのような意味があったのか、ということを描き出しています。そういう意味では、小山田圭吾の騒動の時に話題となった90年代サブカルを別の視点で理解できると共に、映画で描かれた電気グルーヴの「表の歴史」に対して、本書では電気グルーヴのいわば「裏の歴史」を描いていると言えるかもしれません。

この本で感じるこの時代のサブカルチャーというのは、いわば権力や世間の常識に対して「おちょくる」という姿勢を感じます。それは、それ以前の時代、70年代に見られた、明確な政治権力に対して異を唱えるような、文字通りの「反権力」とも異なりますし、逆に、現在に見られるような権力を容易に容認したり、場合によっては自らが「権力側」にいるようにふるまうような姿勢とも異なりますし、ある種の「反権力」が行き過ぎて、「陰謀論」に陥るような現代の風潮とは異なります。私の世代に近いから特に感じるのかもしれませんが、この時代のスタンスは、「権力」「反権力」に対して、ちょうどよいスタンスのようにも感じられます。

もうひとつ本書で感じたのは、「渋谷系」や「クラブ」のような、いわば都会的で洒落たと捉えられていたサブカルチャーと、漫画、アニメのような「おたく」的なサブカルチャーが、意外と近い距離で受け入れられていたんだな、ということでした。本書でかなり意外だったのは、当時、「おたく」カルチャーのアイコン的な存在だった宅八郎と、電気グルーヴに交流があり、特にピエール瀧と一緒に深夜、ドライブをしたというエピソードはかなり意外に感じます。もっとも宅八郎自体、実際には文字通りの「おたく」ではなく、ファッションにも精通した側面を持っていたそうですが、本書でもサブカルチャーの括りで「おたくの聖地」ともいえる「まんだらけ」の話も飛び出しており、現在、ルサンチマン的な感情で、90年代はアニメ・漫画は迫害されてきたという意見が散見されますが、しかし、アニメ・漫画もおなじサブカルチャーとして受け入れられてきたという事実も知ることが出来ました。

そして、この80年代90年代のサブカルシーンに身を置きながら、当時のスタンスをほぼ維持しつつも、全くバッシングを受けない電気グルーヴのバランス感覚の良さには驚かされます。例えば前述の宅八郎は、結局この頃のスタンスを維持した結果、社会から受け入れられなくなりフェイドアウトしてしまいました。本書でも語られるサブカルシーンの中心で活躍していた香山リカは、いまやリベラル系の論客として、どちらかというと「優等生的」な言説を述べる立ち位置にかわっています。かと思えば前述の通り、小山田圭吾は90年代に残してきた「傷」によって大バッシングを受ける結果となっています。しかし、電気グルーヴは、その頃の立ち位置を変えることなく、さらには当時の言動がバッシングを受けることなく、現在まで活動を続けています。特にピエール瀧が麻薬で捕まった時、石野卓球がTwitter(当時)で取った態度は、「権力」とおちょくるという当時のサブカルのスタンスを貫き、一部メディアには叩かれたものの、ネットを含め世間全般的には概ね好意的に取られました。この電気グルーヴの絶妙なバランス感覚の良さに、彼らの「頭のよさ」と「センスのよさ」を強く感じさせられました。

なお、本書はどちらかというと椎名氏の自叙伝という体裁も強いため、最後の章についてはどちらかというと椎名氏にまつわるエピソード、身近な人物との別れがテーマとなっています。この点は電気グルーヴのファンにとっては求めるものが違うのかもしれませんが、この時代のサブカルシーンの渦中にいた人物が、比較的早くなくなっている点、特にうつ病で亡くなる方が多い点は気になりました。おそらく、世間のいろいろな事象に敏感であるというのは、同時にデリケートな性格の持ち主である、ということなのかもしれません。この最後の章もしっかりと読ませ、そしてその時代のシーンの背景がわかるような章になっていたと思います。

そんな訳で、電気グルーヴというバンドが、80年代90年代のサブカルシーンの中でどのような立ち位置だったのか、どのような活動を行っていたのか、非常によくわかる1冊。電気グルーヴのファンならば、間違いなく読むべきかと思います。個人的に、この時期のサブカルシーンについての理解がクリアになったようにも感じます。椎名氏の文体もとても読みやすい内容でしたし、文句なしにお勧めの1冊です。

| | コメント (0)

2026年5月 2日 (土)

カントリールーツの郷愁感あるメロが魅力のパンクバンド

Title:Blame The Clown
Musician:Twisted Teens

Blametheclown  

アメリカはニューオリーンズ出身のボーカルCaspian Hollywellと、ペダルスティールのRJ Santosの2人組によるパンクロックバンド、Twisted Teensの2枚目となるアルバム。この2人のメンバーに、流動的なメンバーを加えてバンド形態となるそうですが、ちょっとユニークなのは、そのメンバーにペダルスティールの奏者がいるという点。ペダルスティールはカントリー音楽に典型的に用いられる楽器となりますが、その楽器が示す通り、ガレージパンクにカントリー的を融合したという点が大きな特徴のバンドだそうです。

ただ、そのパンク+カントリーという要素、パンクロックの破壊的な音楽に、カントリーという郷愁感という、ある意味、真逆の要素が加わることにより生じる独特な音楽性が、実に魅力的に感じさせてくれます。まず惹きつけられたのが1曲目「Is It Real?」のイントロ。ガレージパンク風のノイジーなギターリフのバックに流れてくるギターのフレーズが非常にメランコリック。なんか、このイントロ、聴いたことあるな・・・と思ったんですが、これ、すごくthe pillowsっぽいんです!確かにthe pillowsも、ガレージロックにどこか郷愁感のあるメロが特徴的でしたが・・・全く関係ないバンド同士に偶然の一致を感じさせます。

そんなパンク+カントリー的要素が魅力的なのが2曲目「Wild Connection」で、ノイジーなギターが鳴り響く中、どこか暖かみのある郷愁感あるボーカルとメロ、そしてそのバックに流れるペダルスティールの郷愁感あるメロがこれがまたいいんです・・・。続く「I Operate」は軽快なリズムで、こちらはパンク色は薄く、カントリーの色合いが強いナンバーに。カントリーという彼らのルーツが前に押し出された曲になっています。

その後も「Little Seed」「100 Bill Is Gone!」のような、パンク色が強いナンバーながらも、カントリールーツのような、郷愁感ある切ないメロが魅力的な曲が続いたり、逆に「Peekaboo Hand」のような、ペダルスティールを前に押し出したカントリー色の強い曲があったり、後半には逆に「Circus Clown」のようなパンクの色合いが強い曲があったりと、パンクロックとカントリーを上手く融合させたような曲が続きます。

バリエーション的には、パンクを前に押し出してメランコリックなメロを聴かせるか、カントリーを前に押し出すか、という2パターンであり、シンプルな形態であるものの、全12曲入り30分という短さもあって、あっという間に聴けてしまうため、中だるみ感もありません。パキッシュな勢いが最後まで保たれた作品となっています。

ただ、例えば最近注目のバンドWedesdayなどもシューゲイザーにカントリーの要素を入れたバンドだったり、どちらかというとオールドファッションというイメージのあったカントリーを積極的に取り入れるオルタナ系のバンドが増えているような印象があります。日本人にとって、歌謡曲的なメロが、ある種の郷愁感を誘い、最近では、以前は忌避されていた歌謡曲的な要素を肯定的に取り入れるミュージシャンが増えてきたように、アメリカ人にとってもカントリーがある種の郷愁感を誘い、そのため積極的に取り入れるバンドが増えてきたのでしょうか。

カントリーというと、決して日本では人気のあるジャンルではありません。しかし、これが不思議なことに、彼らの曲については、カントリー的な要素がちょうどよい郷愁感となって、日本人にとってもどこか心の琴線に触れるようなメロディーが流れてきます。純粋なカントリーミュージシャンは日本人にとって「受け」はよくないのですが、こうやってパンクロックといった要素を混ぜると、カントリーミュージックの中にある、日本人受けしない「癖」みたいなものが薄れるのかもしれないですね。

個人的にはこのメロも含めて、かなりツボにはまった1枚。年間ベスト候補の1枚にあげさせてもらえる作品だったと思います。とても心地よく最後まで楽しめた傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Wuthering Hights/Charli XCX

前作「BRAT」が各種メディアで軒並み年間チャート上位にランクインし、大きな話題となったCharil XCXの新譜。ただ、今回のアルバムは純粋なオリジナルアルバムではなく、同タイトルの映画のサントラ盤。正直、そのため、前作のイメージで聴くとかなり拍子抜けする作品になっています。全体的にストリングスとエレクトロサウンドで荘厳さ、ダイナミックさを表現した曲が並んでおり、ある意味、いかにも映画音楽といった感じの作品に。日本のサントラ盤によくありがちな、ワンアイディアの断片の羅列、といった感じではないため、1つのアルバムとしても楽しめますが、残念ながら印象はかなり薄いアルバムでした。

評価:★★★

Charli XCX 過去の作品
BRAT

Peanut/Otto Benson

Peanut_ottobenson

アメリカはニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動するインディーミュージシャンによる新作。いままで、エレクトロサウンドを中心とした音楽づくりを続けてきたそうですが、本作ははじめて本格的にボーカルを導入したアルバム。全体的にローファイ気味の作風で、ギターでダウナーにしんみり聴かせるフォークや、あるいはアンビエント的な作風の多い作品。ただ、所々にエレクトロサウンドも取り入れているのですが、今回はじめて彼の作品を聴いたのですが、本来の彼の路線はこちらだったのでしょうか?かなり地味な感じで渋い作風の楽曲。DIYテイストも強く、派手さはないものの、しっかりと、その歌を聴かせてくれる作品でした。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2026年5月 1日 (金)

客席が一体となったパフォーマンス

aiko Live Tour「Love Like Pop vol.25」

会場 Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール 日時 2026年4月23日(木)18:30~

今回はaikoのワンマンライブに足を運んできました。aikoのライブに行くのは、今、調べたら2002年に行われた、同じ「Love Like Pop」シリーズのvol.7以来、実に24年ぶり(!)という、かなり久しぶりに足を運んだライブとなりました。いままでも行こう行こうとは思っていたのですが、なかなか取れないからね、aikoのライブチケット・・・。会場はもちろんこの日もソールドアウト。この日も市民会館4階席というほぼ最高列に近い席でした。

観客は若干女性の方が多い感じですが、男女半々というイメージ。年代的にはやはり40代~50代がメインですが、20代や30代の若いファンも少なくありませんでした。ライブは18時35分頃にスタート。ライブメンバーとaikoが登場。まず感じたのはaikoに対する掛け声がやたら多い・・・。男性ファンはもちろん、女性ファンからも多くの掛け声がかかり、いきなり会場は盛り上がります。最初は「星の降る日に」からスタート。ここから序盤は「Smooch!」まで一気に展開。さらにMCでは、「将来は元気になるサプリを販売したい」「それをねずみ講で売る」みたいなトークを挟んで「透明ドロップ」ではかなりロックな演奏を聴かせ会場を盛り上げ、「Skirt」まで、アップテンポな曲が続き、まずは会場の空気は一気に湧いていきました。

その後のMCでは、aikoは積極的に会場のファンと会話し、いわば客いじり的に、延々とファンとのやり取りを行うようなMCに。これ、あらためて2002年のライブレポートを読むと、その時も同じようなことが書いてあったので、このMCのスタイルは当時から変わらないんですね。また、ライブでやけにファンからの掛け声が多かったのも、このファンとaikoの距離の近さに寄るんでしょうね。

で、ここで雰囲気が一転。ステージ中央にエレピが1台置かれて、ここからはaikoのピアノの弾き語りで、「三国駅」をしんみり聴かせます。ここではバックに曲の歌詞が映り、歌詞の内容もかみしめながら、しばし彼女のバラードを聴き入ります。さらに「あかときリロード」「大切だった人」とバラードナンバーをピアノ弾き語りでしんみり聴かせる曲が続きました。

そして、次の曲に入る前にMCとなったのですが、ここで途中入場してくる人にaikoが気が付いて「どうしたの?」と声を掛けると「人身事故で・・・」という答えが(この日、名鉄線で人身事故があったようです)。それはかわいそう!ということで、なんとここでaikoがこの日演奏した最初の楽曲から、ダイジェスト版で全部再度披露というサービスを!彼女が敬愛するミュージシャン、KANのライブでは、アンコールで必ず、その日演奏した曲をすべてダイジェストで演奏する「全曲つなげ」なるコーナーが必ずあったのですが、まさにaiko版のここまでの「全曲つなげ」を即興で披露。曲の間をむりやり、ユーモラスにつなげるシーンなども楽しめましたし、途中、なぜか「オールウェイズラブユー」が挟まるシーンも。即興で対応できるバンドメンバーの実力もさすがですし、なによりも、遅れてきたファンのためのこのサービスにaikoのファンを想う優しさを感じました。そして、この想定外のサービスに会場は大興奮となりました。

ここからライブは後半戦へ。「消しゴム」から再びアップテンポな曲となり、会場のテンションは一気にあがっていきます。aikoもステージ狭しと駆けずり回り、観客席の横に設置されていた「花道」のような通路もフルに使い、まさにステージの右から左へと、行ったり来たりして会場を盛り上げます。

「ストロー」では後ろのスクリーンで、バンドのメンバー紹介。「キラキラ」では客席に紙吹雪も舞います。さらに最後のMCを挟んでラストの「Cry High Fly」へ。最後は銀テープも舞います。ここでうれしかったのは、普通、銀テープが届かないような4階席でもスタッフが銀テープをファンに配っていたこと。この心配りがうれしいですね。本編ラストが新曲というのもちょっと珍しい展開ですが、しっかりと盛り上がり、本編が終了となりました。

ここまででちょうど2時間のステージだったのですが、ここからのアンコールが長い(笑)。もちろん、盛大なアンコールの後、再びメンバーが登場し、アンコールは「青空」「KissHug」そして「オレンジ」へと続きます。ここで1回目のアンコールが終了し、メンバーが再びステージからはける・・・かと思いきや、メンバーがそのままステージ上に残り、みんなで集合し、ちょっと時間をつぶした後、そのまま2度目のアンコールの体でライブ再開。多分、途中、「ダイジェスト版」披露で時間をつかったので、ダブルアンコールの呼び出しの時間を省略した・・・のではないかと思われます。

ダブルアンコールは「未来を拾いに」からスタート。ここからは再びアップテンポなナンバーが続き会場を盛り上げます。ダブルアンコールも、その後「エナジー」「二人」「beat」とたっぷりと曲を披露し、最後は「be master of life」。最高に盛り上がるナンバーで会場のテンションも最高潮に。曲の途中、いきなりaikoがステージ上で寝転んでごねだし「ライブ、おわりたくない~」と叫びだすかわいらしい(?)シーンなども挟みつつ、ライブは幕を下ろします。最後はメンバーの簡単な挨拶もあり、バックのスクリーンでクロージングが流れ、約3時間15分。かなり長丁場でボリューミーなステージが終わりました。

冒頭にも書いたように、かなり久しぶりとなったaikoのライブですが、一言で言って非常に楽しいステージ。彼女の曲をたくさん浴びて、個人的に思っているよりもaikoの曲が好きなんだな、と実感したステージでした。ステージは、前半分が広くベアのステージとなっており、バンドメンバーは後ろにちょっと引っ込んだ形。この比較的広くとられたベアの空間で、aikoが右に左に音楽にあわせて踊ったり駆けまわったりするパフォーマンス。それだけ駆け回りながらも、ボーカルとして非常に安定感のあるもので、あらためて彼女の歌の上手さを実感したライブでした。

ちなみにMCでは観客とのやり取りが頻繁におこなわれており、aikoとファンの距離の近さを感じます。ライブの最中、aikoに対する掛け声がやたら多いのは、aikoがよくこの掛け声を拾って、ファンと会話するからなんでしょうね。比較的広い会場ながらも、会場全体に一体感も覚えるようなステージで、彼女のライブの人気が高いのも納得。彼女のチケットは相変わらずなかなか取れないのですが、また是非とも足を運びたいなぁ。

↓ 最後はライブでは珍しく、その日のセットリストが掲示されていました。こういう心配りもうれしいですね。

Aikolive

| | コメント (0)

« 2026年4月 | トップページ