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2026年4月 6日 (月)

m-floの「新たな一歩」とは言えないが・・・

Title:SUPERLIMINAL
Musician:m-flo

2017年に、オリジナルメンバーLISA復活で活動を再開したm-flo。ただ、その後の活動については必ずしも順調とは言い切れないように思います。2019年にメンバー3人による待望のアルバム「KYO」がリリースされたものの、その後の活動は比較的散発的。時々のライブの出演や新曲を時々発表する程度で、活動中にも関わらずm-floという名前を聴く機会はあまり多くなかったように思います。

ただ、そんな中、2024年にはlovesシリーズとして、再び様々なミュージシャンとのコラボによる配信シングルのリリースをスタート。特に昨年は6月から9月にかけて毎月配信シングルをリリースするなど、ようやく積極的な活動を行った・・・と思った矢先、9月に「リミナル期間」に入ると宣言し、本作のリリース及び2月19日の東京ガーデンシアターでのライブを最後に、再び無期限の活動休止期間に入ってしまいました。

そんな彼らの「リミナル期間」突入前最後のアルバムとなる本作を聴くと、確かに2017年の再結成後、現在に至るまで活動がいまひとつ停滞気味で、かつ、「リミナル期間」に突入する理由もなんとなくわかるような気がします。m-floというと、かつては最先端の・・・というよりは、徐々に普及してきた半歩先のサウンドを積極的に取り入れてポップにまとめあげる、というスタイルが、非常に刺激的で新鮮で、ワクワクするようなサウンドを聴かせてくれていました。今回のアルバムも、確かに今風のクラブ系のサウンドを積極的に取り入れています。ただ、非常に斬新で新しいサウンドか、と言われると微妙に感じます。

例えば本作では彼らの代表曲でヒット曲の「come again」が、「come again*Reloaded」が収録されています。あの櫻井翔が参加しているという超豪華な組み合わせなのですが、過去のヒット曲の焼き直しをしてしまうあたりがちょっとm-floっぽくない感じもしますし、基本的には原曲に重低音のビートを加えて、それなりに今風にアップデートしているのですが、目新しいか、と言われると微妙な感じがしてしまいます。

「You Got This」なども、かつてのm-floらしさが全快のR&B風のエレクトロナンバー。LISAのボーカルを上手く使っているメロウなポップにまとめているのですが、こちらもある意味、m-floらしすぎて「大いなるマンネリ」にも感じてしまいます。こちらもあまりm-floらしい目新しさは感じません。

・・・とここまでかなりネガティブに本作を語っていましたが、じゃあ、この作品がm-floらしさが出ていない残念な作品だったか、と言われると全くそうではなく、むしろかつてのm-floのアルバムと同様、聴いていて楽しくなる非常にポップな作品に仕上がっていました。

また、いつものように本作の世界観を反映させたユニークなオープニングからスタート。「EKO EKO」では韓国のラッパーZICOとのコラボ。途中、韓国語も入るグローバル志向の作品となっていますが、基本的に軽快でリズミカル、ラップパートもどこかユーモラスで楽しいポップに。続く「RUN AWAYS」もちょっとハードコア的な要素を入れつつ、ハイテンポなエレクトロビートがポップで楽しいHIP HOPの楽曲。そして前述の「You Got This」は、前述の通りm-floらしい「大いなるマンネリ路線」なのですが、逆に言えば、LISAが復活したからこそ、ある意味、こういう曲を待っていた!といった感じのナンバーとも言えるかもしれません。

その後の「GateWay」もパンキッシュなエレクトロチューンでワクワク感のあるポップですし、ちょっとのパートですぐに彼だ!とわかるDiggy-MO'のラップも楽しいナンバー。こちらもマイクリレーが楽しい「ARIGATO」は、m-flo以上に参加しているRIP SLYMEらしい楽曲になっています。「CHARANGA」はお祭り的なビートの楽しい、ラテン的な要素の入ったナンバーになっていますし、ディスコ風な「MARS DRIVE」、ダイナミックでロッキンな「Reckless」など、バラエティー富んで様々な音楽的な要素を加えつつ、しっかりとポップにまとめあげている、ある意味m-floらしい曲の連続に、素直にワクワクさせられます。

そんな訳で、バラエティー富んだ曲調で、とにかくポップに楽しませてくれる、というm-floのスタイルは今回のアルバムも間違いなく健在。正直、バラエティーに富みすぎて、アルバム全体として若干バラバラに感じてしまう点はマイナスでもあるのですが、それを超える楽しさのある作品であることは間違いないと思います。アルバムとしては十二分に楽しめた作品だったので、十分すぎるほど「傑作」と言える作品。ただ一方、最初にも書いた通り、常に新たな一歩を進み続けたm-floにとっては、「新たな一歩」というよりは「いままでの集大成」的な側面は否めません。LISAが参加しながらも、再びlovesシリーズを開始したあたり、あらたなミュージシャンとのコラボで、あらたな化学反応を探ったのかもしれませんが、結果「リミナル期間」に入ってしまうあたり、予想していたほどの化学反応が出なかったのかもしれません。

ただ、この「リミナル期間」は単なる無期限の活動休止期間ではなく、本人たちいわく「さらなる進化を遂げるため」の期間と言っており、その間に「新しい音、新しい出会い、新しいインスピレーションを見つけ、次なるステージへと進みたい」と言っており、かなり前向きな決断にも感じられます。個人的にはその言葉を信じ、次の一歩であらたなm-floを見せてくれることに期待したいところ。少なくとも楽しくポップという彼らのスタイルは本作でも健在だっただけに、次なるm-floを期待して待っていたいと思います。

評価:★★★★★

m-flo 過去の作品
electriCOLOR -COMPLETE REMIX-
Award SuperNova-Loves Best-
m-flo inside-WORKS BEST III-
MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-
m-flo inside-WORKS BEST IV-
SQUARE ONE
m-flo DJ MIX"BON ENKAI"
NEVEN
FUTURE IS NOW
KYO


ほかに聴いたアルバム

「MOTHERのおんがく。」〜THE MUSIC OF MOTHER〜/鈴木慶一&TONZURA MOTHER BAND

ゲームとして、今なお多くのファンをかかえる「MOTHER」。鈴木慶一の手掛けるゲーム音楽も、ゲームという枠組みを超えて高い評価を得ているのですが、本作は2024年6月22日に行われた「MOTHER3」発売30周年を記念して行われた配信ライブの模様を収録したライブアルバム。バンドメンバーにはゴンドウトモヒコ、澤部渡(スカート)など豪華メンバーが並び、ゲストボーカルとして坂本美雨も参加した豪華なステージ。途中、メンバーとのトークなどもそのまま収録されており、電子音楽であるゲーム音楽とは異なり、こちらはオーガニックな暖かい雰囲気のライブ。メランコリックに聴かせる楽曲の数々は、確かにゲームという枠組みを超えて高い評価を受ける理由もわかります。基本的にはアコースティックにメロディーを聴かせる楽曲なのですが、一部はサイケなサウンドを入れて挑戦的な一面も。ゲームを知る人も知らない人も、鈴木慶一のライブ音源として十二分に楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

鈴木慶一 過去の作品
シーシック・セイラーズ登場!
ヘイト船長回顧録
謀らずも朝夕45年
Records and Memories
MOTHER MUSIC REVISITED

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