爽やかさとヘヴィネスさが絶妙にブレンド
Title:Singin'to an Empty Chair
Musician:Ratboys
今回紹介するのはアメリカはシカゴ出身のインディーロックバンド。ギターボーカルのジュリア・スタイナーと、彼女のパートナーのギタリスト、デイヴ・サガンによって結成され、現在は4人組バンドとして活動しているRatboysの6枚目となるアルバム。デビューが2015年なので、そろそろ中堅のバンドなのですが、今回、はじめてアルバムを聴きました。
楽曲としてはオルタナ系のギターロックにカントリーの要素を加えた楽曲で、カントリーらしい爽やかでサウンドに、ノイジーで、ちょっとヘヴィネスさもあるギターサウンドのバランスがちょうどよい感じ。さらにボーカルのジュリア・スタイナーのボーカルと歌が清涼感あって、ポップで心地よいメロディーラインを楽しむことが出来ます。アルバムの冒頭を飾る「Open Up」はまさにそんなタイプの曲で、最初は爽やかなカントリー風の曲調からスタートし、後半はここにノイジーなギターサウンドが加わる展開。比較的シンプルでポップなギターロックに仕上がっており、非常にポピュラリティーのある作風となっています。
全体的にとてもポップで聴きやすいアルバムという印象。ジュリア・スタイナーのボーカルはキュートでインパクトもあって、メロディーラインは至ってポップ。爽やかなサウンドをベースとしつつ、ノイジーなギターサウンドがほどよいヘヴィーさがスパイスとなっています。特に「Anywhere」など疾走感あるポップでキュートなメロがインパクトがあって、ともすればJ-POP的にすら感じてしまいます。
ミディアムポップの「The World,So Madly」もメロディアスでキュートな印象が強い作品ですし、「What's Right?」も軽快なポップチューンでメロディーにインパクトも。いい意味で広いリスナー層に聴きやすいポップロックなナンバーに仕上がっているような印象を受けます。一方、ミディアムチューンの「Strange Love」などはよりカントリー色の強い印象。「Burn It Down」もブルージーなギターをしっかりと聴かせて、泥臭さのあるカントリーロックになっており、バンドとしての音楽性の広さを感じさせます。
一方、ポップなイメージのサウンドやメロディーと異なり、歌詞は人間関係の断絶や誤解がテーマとなっているそうで、意外とヘヴィーさがある点も特徴のひとつ。「Open Up」は歌詞を直訳すると「心を開いて」となるのですが、タイトル通り、「心を開くには何が必要?」と問いかけるような内容。「Always」などでは歌詞に適用障害という単語まで登場する、かなりヘヴィーなラブソングとなっています。ポップで爽やかなメロとサウンドとは裏腹な、意外とヘヴィーな歌詞も、このバンドの魅力であると言えるでしょう。
ただ、ここらへんの英語詞は、日本人である私たちにはストレートにわからないという点はマイナスであり、かつ、純粋にポップなメロを楽しむためにはプラスの要素にもなるかもしれません。とにかく、ポップでキュートなメロと、爽やかながらもヘヴィネスさもあるサウンドの組み合わせが絶妙かつ非常に魅力的。個人的には今年のベスト盤候補の1枚と言っていいかも。インディーロック好きやオルタナロック好きはもちろん、広いリスナー層にお勧めできる傑作でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Marty Supreme(Original Soundtrack)/Daniel Lopatin
普段はOneohtrix Point Neverの名前で活躍しているミュージシャンが、本名名義でリリースした作品は、3月より日本でも公開している映画「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」のサントラ盤。彼らしいちょっとドリーミーで、80年代っぽさも感じるエレクトロの楽曲が並びます。映画は見ていないのですが、1950年代を舞台とした映画だそうで、そこにこういう、50年代基準では近未来的なサウンドを取り入れるというアンバランスなユニークさを感じます。映画のサントラということで、1曲あたりは短く、ワンアイディアで曲を構成されている感じですが、彼らしさはしっかりと感じられるため、Oneohtric Point Neverが好きならばチェックしておきたい作品でしょう。
評価:★★★★
Oneohtrix Point Never 過去の作品
Age of
Magic Oneohtrix Point Never
Again
Tranquilizer
Everybody's Gotta Learn Sometime/BECK
BECKのアルバムは8曲入りのコンピレーション。基本的に8曲中7曲はカバーで、オリジナル曲は「Ramona」1曲のみ。カバー曲も既発表の曲が多く、どちらかというと企画盤的な内容となっています。カバーの方はエルヴィス・プレスリーやジョン・レノンから、ブラジル音楽の巨匠Caetano Velosoまで幅広い内容なのですが、全体的にフォーキー、ブルージーにメランコリックに聴かせる作風が多く、統一感ある内容に。派手なカバーはありませんが、これはこれでBECKのひとつの魅力を感じさせるアルバムになっていました。
評価:★★★★
BECK 過去の作品
The Information
Mordern Guilt
Morning Phase
COLORS
Hyperspace
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2026年」カテゴリの記事
- クラブ系寄りだが、ポップスセンスは健在(2026.05.12)
- ちょっと意外な約10年ぶりの新作(2026.05.09)
- 隠遁生活している女性が主人公(2026.05.05)


コメント