彼女の死生観を反映させた久々の新作
Title:潮汐
Musician:二階堂和美
世間的には、ジブリ映画「かぐや姫の物語」の主題歌「いのちの記憶」を歌ったことでも知られるシンガーソングライター、二階堂和美の、実にオリジナルアルバムとしては約14年ぶりとなるアルバム。途中、彼女初のエッセイ集がリリースされたり、テレビ番組に出演していたりと、「活動」は行っていたものの、音楽作品としては実に久しぶりの作品となりました。ただ、その14年間、彼女には様々な出来事が起こりました。結婚、出産、実家の家業を承継して、住職(!)としての活動。さらには2022年に突然訪れた夫の急逝・・・。時々、ニュースなどで取り上げられることも多かったので、彼女の動向については一応知ってはいたのですが、波乱万丈と言ってしまってもいいかもしれません。今回のアルバムタイトル「潮汐」は、潮の満ち引きのこと。まさに、この14年間の間の彼女を象徴するかのようなタイトルといっていいかもしれません。
今回のアルバムの収録曲は全8曲。久しぶりのアルバムとしてはちょっと短めかもしれません。また、共同プロデュースにクラムボンの原田郁子を起用したほか、キセルの辻村豪文、ceroの高城晶平、minä perhonenの皆川明も楽曲を提供する作品となっています。楽曲は、基本的にピアノを中心として、ベースとドラムスのみのシンプルな演奏で、ジャジーな雰囲気も漂う楽曲。静かに彼女の歌と歌詞を聴かせるような作品になっています。
アルバムの前半はそんな他のミュージシャンたちが楽曲を提供した曲が並びます。高城晶平作詞作曲による「リトル・トラベラー」はピアノと歌のみでシンプルに聴かせるジャジーな楽曲。人生を旅に仮借したように感じる歌詞は、ある意味、この14年間の彼女を綴ったともとれる内容に。ある意味、亡き夫に対するラブソングにもとれる歌詞になっています。逆に皆川明が歌詞を書いた「つけっぱなし」は生命力あふれる歌詞と歌となっている、こちらは子供に対しての思いとも解釈できそうな内容になっています。
その後もちょっとコミカルでラテン風の原田郁子作詞作曲による「あれもこれも」や辻村豪文作詞作曲によるピアノバラード「恋しがっているよ」など、前半は様々な作家陣を入れたからこそのバラエティーある展開が魅力的。辻村豪文の「恋しがっているよ」は、最初、ピアノの雰囲気から原田郁子っぽい、と思っただけに、彼の作詞作曲だったのはちょっと意外。二階堂和美が歌うことによって、キセルとはまた違う、辻村豪文の曲の魅力を感じることが出来ます。
一方、後半には二階堂和美の作詞作曲による楽曲が並ぶのですが、こちらは彼女の死生観がストレートに反映されたような曲が並びます。ジャジーで軽快なポップ「BILLIE」は、軽快な曲ながらも「死んだあとに残るのは歌だけ」とある意味、ストレートな主張。まるでQUEENの曲を彷彿とさせるような力強いリズムが鳴り響く「つながりあって生きている」も、タイトルそのままストレートに「命」を歌う曲。ピアノのみで静かにスタートしつつ、途中からアコーディオンや太鼓、トランペットも入って賑やかになってくる「うまれてきたから」も、「産まれてきたものは必ず死ぬ」というシンプルながらも真理をつく死生観をそのまま綴った曲。後半の彼女が作詞作曲を手掛けた曲に関しては、少々教条主義的な感もあるのですが、この死生観をしっかりと歌った歌詞が、僧侶としても活動している彼女らしさを感じます。
そしてラストを締めくくる「あうん」は、仏教で終わりと始まりを指す言葉なのですが、終わりというよりもむしろ明日への希望を感じさせる新たな「始まり」の歌。次につながる希望を感じさせる締めくくりとなっています。
様々なミュージシャンたちの力を借りつつ、二階堂和美の14年、さらには今、感じていることをしっかりと反映させたアルバム。全8曲36分という、比較的短いアルバムでしたが、非常に密度の濃い作品になっていました。ミュージシャンとしての新たなスタートを切った彼女ですが、今後はコンスタントに活動をしてくれるのでしょうか。今後の彼女の活躍にも期待です。
評価:★★★★★
二階堂和美 過去の作品
にじみ
ジブリと私とかぐや姫
GOTTA-NI(二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band)
ほかに聴いたアルバム
HEAVEY METAL COMMANDER/SEX MACHINEGUNS
マシンガンズ約2年半ぶりとなるニューアルバム。基本的にはマシンガンズらしい、疾走感あるメタルサウンドをしっかりと聴かせてくれるアルバムになっているのですが、正直、今回のアルバムは特に歌詞の面でインパクトが薄い・・・。「こういう視点があったか!」という曲も、「こんな歌詞をメタルで歌うのか!」といった曲も特になく、聴いていて耳を惹くものがありませんでした。もちろん、楽曲自体はマシンガンズらしい安定感ある作品にはなっていたのですが、ただ、そういう「普通のヘヴィーメタル」だと単なるよくありがちなマンネリになってしまうんだろうなぁ。ちょっと残念な新作でした。
評価:★★★
SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES
METAL MONSTER
マシンガンズにしやがれ!!
IRON SOUL
地獄の暴走列車
SEX MACHINEGUNES ゴールデン☆ベスト
ゴスペラーズ30周年記念祭@日本武道館/ゴスペラーズ
メジャーデビュー30周年を記念して、2024年12月21日に日本武道館で行われた30周年記念ライブの模様を収録したライブアルバム。当日歌った全曲が収録されているのですが、彼らのキャリアを総括したライブだったそうで、全アルバム/EPから、必ず1曲はセレクトした選曲となっています。そのため、「永遠に」「ひとり」など代表曲はもちろんですが、結構マニアックな曲までセレクトされているのがユニークなところ。国民的人気番組のテーマ曲として、毎日流れていたのに、なぜかブレイクにつながらなかった「靴は履いたまま」や、かなりアニメに沿った曲調が異色的な「BOO~おなかが空くほど笑ってみたい~」など(実はこの曲、昔から結構好きだったりするんですが・・・)も披露。全38曲2時間半弱というボリューミーな内容ながらも、ヒット曲も多く、エンタメ的な要素も強く、またバンド形式だったりアカペラ形式だったりと、様々なスタイルで聴かせるバラエティーに富んだステージだっただけに、最後まで耳を離せず、飽きることなく楽しめるアルバムでした。というか、ゴスペラーズ、何気にまだ一度もライブを見たことなかったりするんで、これを聴くと、やはり一度ライブに足を運んでみたいかも・・・そう感じさせてくれる、彼らのライブの魅力がしっかりと伝わるライブアルバムでした。
評価:★★★★★
ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
What The World Needs Now
G25 -Beautiful Harmony-
アカペラ2
The Gospellers Works 2
HERE&NOW
Pearl
G30-Beautiful Harmony 2-
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