大人向けの曲と子供向けの曲を並べたコンセプトアルバム
Title:kodomo to otona
Musician:SAKANAMON
ミニアルバムとしては7枚目となるロックバンドSAKANAMONのニューアルバム。毎回、挑戦心と遊び心あふれる傑作アルバムを聴かせてくれており、個人的にもっともっと注目を集めてよいミュージシャンの一組だと思っています。そんな彼らの最新作は、これまた非常に遊び心があふれるのと同時に、挑戦心のあるアルバムに仕上がっています。「kodomo to otona」と名付けられた今回のアルバムは、子供向けの楽曲と大人向けの楽曲が交互に収録されているというアルバム。ただ、どちらの曲に関しても聴きどころがあふれるアルバムとなっていました。
最初は言葉遊びがユニークな子供向けの「ありありあり」からスタート。途中、ゲストで声優、茶風林(個人的にはコナンの目暮警部のイメージが)が語りで参加しています。そんなポップな曲からスタートしたかと思えば、続く「ただそれだけ」はラップも入り、ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるロック色の強い大人のナンバー。現代社会を風刺しているような歌詞になっており、1曲目からの振れ幅の大きさもまた非常にユニークです。
続く「すきなきもちもち」はテレビ東京系で放送されている、乳幼児向け番組「シナぷしゅ」に提供した楽曲。乳幼児向けといって馬鹿にできない曲で、こちらも言葉遊びを用いつつ、様々な音を取り入れた非常に挑戦的な作品に仕上がっています。NHKの幼児向け番組で使われる曲もそうなのですが、特に乳幼児向けだと、まず「音のおもしろさ」を直感的に強調する曲が多いので、意外と実験的な曲が少なくないんですよね。この曲も、乳幼児向けにも関わらず、というよりも乳幼児向けだからこその実験感覚を覚える楽曲になっています。
子供向けにも関わらず非常に挑戦的かつ実験的と言えば「とのさまとファラオ」で、日本の殿様とエジプトのファラオが文化交流するという歌詞がユニーク(ある意味、排外主義が表に出てきてしまっている現代社会への警告という見方もできますが)なのですが、音楽的にも日本のパートでは和風な音階、エジプトのパートではアラブの音階、さらには沖縄音階なども用いられており、音楽の異文化交流を、1曲の中で行っているという、かなり実験的な曲作りとなっています。
大人向けの曲の方も、アコギでフォーキーに聴かせつつ、ドリーミーな曲調が特徴的な「jellyfish」に、最後を締めくくるのも疾走感ある正統派なオルタナ系ギターロックの「unique」で締めくくり。大人向けの作品の方もバラエティー富んだ作品が並んでいました。
まさに大人向けの楽曲と子供向けの楽曲を並べるという、非常にわかりやすいコンセプチュアルな作品。結果、バラエティー富んだ内容ながらも、コンセプトがあるからゆえの統一感もある作品に仕上がっていました。特に子供向けの作品は、子供向けだからこそ出来るような挑戦心を感じさせましたし、大人向けの作品もしっかりとロックバンドとしての実力を提示した作品が並んでいるように感じました。SAKANAMONの実力をあらためて実感させられる傑作アルバム。このコンセプトのユニークさも合わせて、年間ベストクラスの傑作だったと思います。やはり、もっともっと評価されてもいいと思うんだけどなぁ、SAKANAMONは・・・。
評価:★★★★★
SAKANAMON 過去の作品
ARIKANASHIKA
あくたもくた
HOT ATE
OTSUMAMIX
・・・
HAKKOH
liverally.ep
ほかに聴いたアルバム
meta millefeuille/Daoko
5曲入りの配信限定EP。「Kawaii」をテーマとしたエレクトロポップな作品になっており、永井聖一やボカロPのx0o0x_、namitapeなど、新進気鋭の様々なミュージシャンとのコラボを行った意欲作。タイトル通り、ミルフィーユ構造(=多層的)なアルバムとなっています。ある意味、今時のサウンドにアップデートしようとした作品とも言えるかも。キュートなポップチューンは聴いていて素直に気持ちよかったのですが、今時のクリエイターと組んだのならば、もっと斬新さを追求してもよかったのでは、といった印象も。
評価:★★★★
DAOKO 過去の作品
DAOKO
THANK YOU BLUE
私的旅行
anima
Slash-&-Burn
逆鱗/ポルカドットスティングレイ
フルアルバムとしては5枚目。前作から約3年3か月ぶりとちょっと久しぶりになるアルバム。「踊れる曲」をコンセプトとしたアルバムだそうですが・・・ただ、正直、そこまで踊れるかなぁ、というのが正直な感想。彼女たちらしいギターロックを主軸にしつつ、R&Bやジャズ、ファンクやラップにまで手を伸ばして、バラエティーは出そうとしている感もあるのですが、ちょっと手を広く伸ばしすぎな感も。基本的にはギターロックを主軸にしつつも、良くも悪くも幅広すぎるという印象を受けるのは、逆にアルバムの軸となるようなインパクトのある曲に欠けたせいかもしれません。前作が、かなり会心の出来の傑作だっただけに、ちょっと残念に感じました。
評価:★★★
| 固定リンク



コメント