1位には疑問を感じるが・・・。
本日は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。
「60~70年代のロック・アルバム200」。レココレアーカイブスシリーズの1冊。過去に音楽雑誌、レコードコレクターズに掲載された記事のうち、好評だった記事を別途復刻した1冊で、本作は、2022年「レコードコレクターズ」5月号、6月号に掲載された「ロック・アルバム200」を復刻した書籍となります。
タイトル通り、60年代、70年代のロック・アルバムをランキングし、紹介した名盤ガイド。ミュージックマガジン社のスタイルとなるのですが、音楽評論家やミュージシャンなど、41名の選者が、それぞれ30枚のアルバムをピックアップし、順位付けして、それを集計。その結果をランキング形式で紹介するスタイルとなっています。
個人的に、このスタイルについては以前から懐疑的で、正直、選者によってかなり偏りのある選択をしている人も少なくなく、本当に、雑誌を代表してロックのアルバムを紹介した場合、このアルバムを選んで本当にいいの??と思うようなアルバムが選ばれることが少なくありません。具体的に言ってしまうと、この1960年代のロック・アルバムのランキング、ビートルズやストーンズ、ビーチボーイズ、ボブ・ディラン、ジミヘンなど、数多くのミュージシャンたちが名盤をリリースしてきたこの時代に、1位が「The Velvet Underground&Nico」で本当にいいの???とすごく疑問に感じてしまいます。
いや、間違いなく同盤はロック史に残る名盤なのは間違いないでしょう。少なくともベスト10にランクインしてくる名盤だとは思います。ただ、60年代のアルバムで、まず1枚といった場合に、このアルバムがその1枚になるかどうかはかなり疑問。また、9位にThe Zombiesの「Odessey And Oracle」というのも、名盤だとは思うけど、ここまで上位か?と思いますし、ストーンズも最高位が11位の「Beggars Banquet」というのも、その影響力を考えてベスト10落ちというのは正直どうなんだろう・・・?と思ってしまいます。
60年代については、確かにロックの名盤が多く、20枚を選ぶのも難しいとは思うのですが、それにしても選者が全体的に奇をてらいすぎでは?特にひどく感じたのが和久井光司で、1位がPlastic Ono Bandの「Live Peace In Tronto 1969」って・・・本当に、これが60年代を代表する1枚だと本気で思っているのでしょうか??
70年代に関しても、1位がSteely Danの「Aja」というのも・・・いや、こちらもベスト10に入ってくる名盤だとは思うのですが、それにしても1位かなぁ、とは思ってしまいます。ただ、70年代に関しては、上位にランクインしているアルバムは概ね妥当な印象で、ベスト10については、おそらく、その順番とともかく、多くの方が70年代を代表する10枚と言われて、まずは選びそうな10枚が入っている印象を受けました。
そもそも、選者41名というスタイルが非常に中途半端で、雑誌の「顔」となるような名盤集を作りたいのならば、もっと限られた評論家と雑誌編集者が話し合いの中で選択すべきだと思うし、こういう選者のランキングを集計させるならば、選者の「癖」が反映されてしまうような41名という少なさではなく、それこそ100名、200名単位の選者にお願いするか、もしくは読者アンケートにすべきではないでしょうか。
そんな感じでかなり疑問に残る「名盤集」になっていましたが、とはいえ、順位はともかくとして、その結果選ばれた200枚については、今後、過去のロックの名盤を聴くための「羅針盤」としてはちょうどよいガイドブックになっているようにも思います。セレクトに「癖」はありますが、その「癖」も含めて、名盤の参考にはなるガイドだったと思います。
また、もうひとつの楽しみ方として、個人的にいつも注目しているのは、各選者のランキングの最下位、30位に入っているアルバム。おそらく、選者の一番のこだわりがここで、一般的にはあまり「名盤」とは考えられなくても、選者がどうしても入れておきたいような、「自分だけが好きな」アルバムがケースが多く、この「30位」を眺めるのも、実は知られざる本書の楽しみの1つだと思います。是非、ご注目あれ。
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