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2026年4月

2026年4月30日 (木)

6週連続はならず

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

BTSの連続1位は5週でストップです。

今週1位は、韓国の音楽事務所YX LABELS所属の日本人7名、台湾人1名、韓国人1名による男性アイドルグループ&TEAMのEP「We on Fire」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数18位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上55万9千枚で1位初登場。直近作はミニアルバム「Back to Life」で、同作の初動53万1千枚(1位)からアップしています。

2位はBTS「ARIRANG」がワンランクダウン。ただし、ストリーミング数は今週で6週連続の1位、ダウンロード数も2位から1位にアップしています。

3位はHANA「HANA」が先週から同順位をキープ。ストリーミング数は6週連続の2位。これで9週連続のベスト10ヒット&ベスト3ヒットとなりました。

4位以下初登場は、4位にローレン・イロアス「No One」がランクイン。VTuber集団「にじさんじ」所属のVTuber。9位にはK-POPの男性アイドルグループNCTからの派生グループNCT WISH「Ode to Love」が初登場でランクインしています。

一方、ロングヒット盤はまず「超かぐや姫!」が先週と変わらず6位をキープ。これで12週連続のベスト10ヒット。ヨルシカ「二人称」が7位から8位にダウンするもベスト10をキープし、これで8週連続のベスト10ヒットとなっています。一方、King&Prince「STARRING」は今週12位にダウン。ベスト10ヒットは17週連続でストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週は、クレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」が先週の2位から返り咲き。通算6週目の1位獲得となりました。Hot100も先週の80位から70位にアップ。なにげにしぶとい人気を保っています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はルシノ「ループザルーム」が今週も1位を獲得。これで3週連続1位に。また2位は東京真中「ブレインロット」が先週から引き続き2位をキープ。3位にはMIMI「ぴょん」が初登場でベスト3入りとなっています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年4月29日 (水)

やはりミセスは強い・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はミセスが躍進したチャートとなっています。

まず1位はINI「All 4 U」が獲得。CD販売数及びダウンロード数1位。吉本興業と韓国の芸能事務所、CJ ENMの合弁会社、LAPONEエンタテイメント所属の男性アイドルグループ。オリコン週間シングルランキングでは、同作を収録した「PULSE」が初動売上63万9千枚で1位初登場。前作「THE WINTED MAGIC」の初動87万9千枚(1位)からダウンしています。

そして2位には先週3位にランクインしたMrs.GREEN APPLE「風と町」がワンランクアップ。ラジオオンエア数が今週10位から1位にアップし、総合順位もランクアップしています。ただし、ダウンロード数は1位から2位、ストリーミング数も3位から7位にダウン。今週はさらに先週ベスト10から陥落した「lulu.」も10位にアップし、2週ぶりにベスト10返り咲きで、通算14週目のベスト10ヒット。ミセスはこれで2曲同時ランクインで、その人気のほどを見せつけました。

3位はアソビシステム所属の女性アイドルグループCANDY TUNE「HAPPY BOUNCE BIRTHDAY」が獲得。CD販売数2位。オリコンでは初動売上15万2千枚で2位初登場。前作「「推し♡好き♡しんどい」の初動6万4千枚(2位)からアップしています。

4位以下の初登場曲は、まず7位にOfficial髭男dism「スターダスト」が先週の13位からランクアップし、チャートイン2週目にしてベスト10入り。TBS系ドラマ「GIFT」主題歌。CD販売数8位、ダウンロード数3位、ストリーミング数16位、ラジオオンエア数4位。オリコンでは初動売上1万3千枚で7位初登場。前作「Chessboard」の初動1万6千枚(6位)からダウン。ヒゲダンは最近、ロングヒットを出していないだけに、そろそろ久々のヒットが欲しいところですが、ストリーミング数のランキングの低さが気になります。

8位初登場は22/7「二つの道」。CD販売数3位。秋元康プロデュースによる、声優とバーチャルアイドルをミックスしたアイドルグループ。オリコンでは初動売上4万2千枚で3位初登場。前作「あなたでなくちゃ」の初動5万枚(2位)からダウンしています。

一方、ロングヒット盤はM!LK「爆裂愛してる」が先週と変わらず4位をキープ。ストリーミング数は6週連続の1位。これで11週連続のベスト10ヒット。一方、「好きすぎて滅!」は6位から5位にアップ。カラオケ歌唱回数は6週連続の1位。一方、動画再生回数は1位から2位にダウン。これで21週連続のベスト10ヒットとなっています。

米津玄師「IRIS OUT」は7位から6位にアップ。ストリーミング数は3週連続の2位、動画再生回数も3週連続の4位と、相変わらずの強さを見せつけています。これでベスト10ヒットは32週連続に。

さらにしぶとい強さを見せるKing Gnu「AIZO」は先週から変わらず9位をキープ。ストリーミング数は先週から変わらず5位をキープ。これで通算15週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年4月28日 (火)

バンドの岐路に立つ新作

Title:I KNOW HOW NOW
Musician:GEZAN

前作「あのち」も高い評価を受け、徐々に注目度が高まっているロックバンドGEZAN。ただ、私が聴いた前作「あのち」も前々作「狂(KLUE)」も非常に実験的な作風であり、「マニアック」と表現されるようなタイプの音楽でした。それだけに、かなり意外だったのが3月に行われた日本武道館ワンマンライブ(!)。正直なところ、特に音楽ファンに高い支持を受けているバンドということはわかっていたのですが、武道館をワンマンで埋めれるバンドというのにはビックリ。彼らのようなタイプのバンドを支持する人たちは私が思っているよりもずっと多いのですね。個人的にはうれしくなってしまう事実でした。

そんな人気面でも上昇基調にあるGEZANが、ちょうど3年ぶりとなるニューアルバム。2025年に47都道府県ライブツアーと、さらには海外のライブの結果を受けた上でリリースされた新作。「予感にたどりつくまでのプレイリスト」というコンセプトを元に作成された作品だそうです。

そして、今回のアルバムで大きな特徴となった作品があります。それは非常にポップで聴きやすい歌モノのアルバムとなっていたという点。前述の通り、いままでのアルバムでは実験的な作風の曲が多く、良くも悪くも万人受けしない、マニアックな面が強かった点が否めません。それはそれで作品の魅力ではあったのですが、今回の作品については一気にポップな歌が流れる作風に大きく変化しています。

1曲目「beat」もアコギ1本で静かに聴かせる、フォーキーでノスタルジックがあふれる作品になっていますし、続く「Amrita」も力強いバンドサウンドで、郷愁感あふれるメロディアスな歌モノになっています。「TRANSIT」もバンドサウンドでグルーヴィーなサウンドを奏でつつ、ちょっとダウナー気味ながらもメロディアスな歌がしっかりと流れる作品に仕上がっています。

その方向性をポップにシフトさせた本作は、ある意味、GEZANにとってひとつの岐路と言えるかもしれません。ただ一方で、ポップな歌モノ路線にシフトしたからといって、GEZANの魅力が大きく減った、という感じではありません。むしろ、歌モノ路線になって、彼らのギアがさらに一段階上にシフトした、とも考えられる作品に仕上がっています。

それは、もともとGEZANの曲は、実験的である一方で、メロについては比較的ポップであった、という点も大きいでしょう。また、ポップな歌モノといっても、そこで奏でるサウンドは独特のグルーヴ感もあり、かつ独特なもの。「HAPPY HIPPIE」などは、タイトル通り、ヒッピー感あふれるハッピーでグルーヴィーな楽曲。「Memoria」も疾走感あるファンキーなリズムでグルーヴ感あふれる作品になっています。そして何よりユニークなのが「数字」で、いきなりiPhoneでよくありがちな呼び出し音からスタートしてビックリするのですが、様々な音が飛び出してくる、目くるめく展開から耳を離せなくなるようなユニークかつ独特なサウンド構成が実にユニークです。

最後の「予感」も「声」を上手く取り入れつつ、様々な音が重層的に重なる構成で、今回のアルバムの中では比較的前作「あのち」と地続きになるような作品になっており、ここでも彼らのユーモラスさが感じさせます。さらに何と言っても明日への希望を感じさせる歌詞も印象的。「予感にたどりつくまでのプレイリスト」というのが本作のテーマであるのですが、まさに明日への希望の予感が最後に待っていた、というあたり、実にGEZANらしい構成の作品だな、と感じさせます。

そんな訳で、全体的に歌モノメインでポップな内容になっただけに、バンドとしての岐路とも言える作品になっている本作。ただ、武道館ワンマンを成功させて、まさにバンドとして「売れている」タイミングでこういうアルバムをリリースしても、決して単純に「売れること」を志向しているアルバムと感じないのは、GEZANらしいサウンドやグルーヴをしっかりと作品に感じられるからでしょう。未来への希望も感じさせる歌詞も含めて、全体的に祝祭感や希望を感じさせる傑作アルバム。今年を代表する1枚となること間違いなしの作品です。

評価:★★★★★

GEZEN 過去の作品
狂(KLUE)
あのち(GEZAN with Million Wish Collective)


ほかに聴いたアルバム

SHADOW WORK/アンジェラ・アキ

2023年から活動を再開したアンジェラ・アキの実に約14年ぶりとなるニューアルバム。全体的に内省的な歌詞が多いものの、結婚、離婚、再婚、出産という人生経験を経た彼女だからこそ書けるような、ある意味、達観した視点を感じ、いい意味での「年齢なり」の歌詞を感じます。特に「Rental」など、「この世の全ては借り物」というある種の仏教的な概念が入っており、まさにこの年だからこそたどり着いた境地という感じもします。楽曲的にもピアノを主軸とした分厚いサウンドが特徴的ながらも、ヘヴィーなロックテイストの曲やゴスペルを入れた曲、打ち込みを入れてリズミカルにした曲などバラエティーも豊富。久しぶりの新作でしっかり「大人」な姿を見せてくれた作品でした。

評価:★★★★

アンジェラ・アキ 過去の作品
ANSWER
LIFE
WHITE
SONGBOOK
BLUE
TAPESTRY OF SONGS-THE BEST OF ANGELA AKI
アンジェラ・アキ sings「この世界の片隅に」

Bedford Hedgehog/Enfants

本作がデビューフルアルバムとなる4人組ロックバンド。全く知らないバンドだったのですが、ヒットチャートでいきなり上位に顔を出し、音的にも好みな感じのロックバンドだったので聴いてみました。聴いてみた後に知ったのですが、このバンド、2021年に活動を休止したロックバンドLAMP IN TERRENの松本大によるバンドということで、いきなり注目を集めるのも納得です。サウンド的には確かにLAMP IN TERRENと同じくオルタナ系のギターロックとなっているのですが、よりポップ色が強く、BUMP OF CHICKENのフォロワーっぽかったLAMP IN TERRENに比べると、音がグッとハードになり、グランジやガレージの色が濃くなったように感じ、微妙に印象も異なります。楽曲によっては、打ち込みを取り入れたり、シューゲイザーの色が強くなったり、バラエティーも。全体的には王道路線といった感じで、もう一歩、個性が欲しい気もしますが、これからの活躍に期待したいバンド。評価は期待値を含めて。

評価:★★★★★

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2026年4月27日 (月)

滲むポップス

Title:PIN
Musician:堂島孝平

先日、紹介したUAもデビュー30周年を記念してリリースしたアルバムでしたが、こちらもデビュー30周年の記念作。ポップ職人、堂島孝平の約3年半ぶりとなるオリジナルアルバムとなります。彼も、もうデビューから30年も経過した完全にベテランといえるシンガーソングライターとなってしまったことに、ちょっと驚きもします・・・。

さて、堂島孝平といえば、正直なところ、これまで大きな大ヒットを出していない一方で、そのポップスセンスの良さからか、Kinki Kidsの楽曲提供を行ったり、フジテレビ「トリビアの泉」の音楽監督を行ったり、テレビ番組「堂本兄弟」にレギュラー出演するなど、いわゆる芸能界で多く活躍しています。その影響なのか、それとも彼自身の人柄によるのか、交友関係が非常に広いようで、今回のアルバムで大きな特徴なのが、様々なミュージシャンとのコラボとなっています。

「One day,One step」では、あのオーイシマサヨシこと大石昌良とのデゥオ。メロウな雰囲気もあるメランコリックなポップスに。「True Magic」では、シンガーソングライターの眉村ちあきとのコラボ。爽やかで軽快なシティポップ風の作品に仕上がっています。さらに、なんといっても彼の交友範囲の広さを示しているのが「シュガーパイ・バップ」で、こちらはなんと藤井隆とのコラボ。ちょっと80年代のアイドルポップっぽさを感じる、メランコリックなダンスナンバーに仕上がっています。

そんなコラボ曲がひとつの核になっている今回のアルバムですが、テーマとなっているのが「滲むポップス」らしいです。正直、この「滲むポップス」ってなんじゃい?と思うのですが、アルバムに関するコメントとして本人が「滲み出る思いや感情を音に、歌にできたかなと嬉しくなっています。」と語っています。実際、アルバムの1曲目を飾る「心 goes on」も、ちょっと切なく内省的なポップスで、その心の中の感情が滲み出るような歌詞とメロディーに。前述の「True Magic」も、どこか郷愁感のある歌詞とメロディーラインが魅力的で、こちらも心の感情が滲み出るようなポップスに仕上がっています。

もちろん、堂島孝平らしい「うむむHoliday」や非常に前向きに明るいポップチューン「真夜中のファンファーレ」のような、彼らしいキラキラした感じのあるポップスも少なくないのですが、全体としては「滲むポップス」というテーマに沿ったような、ちょっとメロウな感の漂う内省的なポップスに仕上がっています。

とはいえ、アルバム全体としては、堂島孝平らしいキュートでポップなメロというのはいままでと変わらず。いい意味でデビュー30年を経ても変わらない、若々しさすら感じるポップチューンを聴かせてくれています。このエバーグリーンなポップス路線はこれからも変わらなさそう。いい意味で安心できる珠玉のポップスといった印象も受けました。デビュー30周年を迎えた彼ですが、今後の活躍にも大いに期待です。

評価:★★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP
Best of HARD CORE POP!
A.C.E.
A.C.E.2
シリーガールはふり向かない
フィクション
オモクリ名曲全集 第一集 堂島孝平篇
VERY YES
BLUE-FANTASIA
FIT


ほかに聴いたアルバム

BUMP OF CHICKENが配信でリリースしたライブアルバム2作の紹介です。

BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous at The Kanazawa Theatre/BUMP OF CHICKEN

Bump_kanazawa

BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous at TOKYO DOME/BUMP OF CHICKEN

Bump_tokyo

2024年9月から12月にかけて行われた全国ツアー「Sphery Rendezvous」から、11月25日に行われた金沢歌劇座のライブと、最終日、12月8日に東京ドームで行われたライブの模様を収録したライブ盤。もともと、映像作品「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous at TOKYO DOME」の特典としてついてきたライブCD部分を配信リリースしたもの。直近のアルバム「Iris」からの楽曲をメインとしつつも、彼らの代表曲も多く収録。特に金沢ではラスト前に「ガラスのブルース」、東京ドームでは「K」といった懐かしい曲も披露。どちらも多いに盛り上がっている会場の空気感もそのまま伝わるような内容となっており、久しぶりにバンプのライブに足を運びたくなってくるような、そんなライブ盤でした。

評価:どちらも★★★★★

BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]

RAY
Butterflies
aurora arc
Iris
BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024 at ARIAKE ARENA-DAY2-

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2026年4月26日 (日)

デビュー30年目にして、さらに進化!

Title:NEWME
Musician:UA

オリジナルアルバムとしては、2016年の「JaPo」以来、実に約10年ぶりとなるUAのニューアルバム。ただ、前作「JaPo」リリース後は、しばらくUAの名前を聞く機会は減ったのですが、2021年にAJICOを始動。2022年にはEP「Are U Romantic?」のリリース、さらには2024にはAJICOとしてのEP「ラヴの元型」をリリースするなど、ここ最近は比較的積極的な活動を続けており、その流れとなる、待望のニューアルバムとなりました。

今回のアルバムはそんなUAのデビュー30周年を記念するアルバムとなります。通常、この手の区切りのアルバムで、なおかつ久しぶりとなると、どちらかというと集大成的な内容というケースが少なくありません。ただ、今回のUAのアルバムに関しては、そんな集大成的な感じは皆無。「NEWME」というタイトルからもわかるように、デビュー30年目にして、新たなUAを模索するようなアルバムとなっていました。

オープニングを挟んで事実上の1曲目となる「Mood」こそ、UAらしいダウンビートのR&Bチューンとなっていますが、続く「Happy」はタイトル通り、非常に明るいポップなナンバーで、UAの曲の中でも、特に明るさの強い楽曲になっています。さらに特徴的だったのが続く「ZOMBIE」で、こちらはエレクトロサウンドを大胆にいれつつ、タイトル通りの怪しさを感じさせるような楽曲。彼女の新たなスタイルを提示するような曲になっています。

今回のアルバムではこのエレクトロ路線が目立っており、「GORILLAS are still very shy」でも、リズミカルなエレクトロビートを主軸に据えた、アートポップ風の作品に。「ALK」もアンビエント風のエレクトロチューンと、いままでのUAの作品とも異なる、意欲的な作品に仕上がっています。

さらに今回の作品で彼女の意欲を感じさせるのは、様々なミュージシャンが参加し、UAの新たな可能性を広げているという点でしょう。「Mawaru Mirai」では藤原さくらが参加。ストリングスとピアノを入れたフォーキーな作風に。「WAKE UP」では女性ラッパーのMFSが参加し、こちらはHIP HOP色の強い作品となっています。さらにラストを締める「Twilight Before Sunrise」はなんと坂本龍一が楽曲提供を行った作品。UAと坂本龍一は、神山まるごと高専の校歌「KAMIYAMA」を、共同制作した繋がりがありますが、本作はそれ以前に、2022年にUAが坂本龍一の古希記念プレイリスト企画に参加したことを機に、坂本龍一に直接楽曲提供を依頼した作品だそうで、坂本龍一の最晩期の作品としても注目されています。坂本龍一らしいアンビエント色も強い、ピアノとギターでメランコリックに聴かせる作品。タイトルから想像されるような、どこか明日につなぐ、希望の明るさも感じさせる作品で、アルバムのラストを飾るにふさわしい作品となっています。

そして注目なのは前述した「ZOMBIE」で、こちらでは俳優の村上虹郎が参加・・・そう、彼、UAの実の息子で、母子共演となっています。あえて子供と共に楽曲を作るという点も、彼女にとっては大きな一歩、なのかもしれません。

デビュー30年目を迎えつつ、新たなUAを提示し、さらに前に進み続ける彼女には、ある種の頼もしさとたくましさを感じます。直近のAJICOのアルバムも傑作でしたし、ここに来て、今の彼女は非常に脂にのった状態なのかもしれません。今後はさらに積極的な活動が続くのでしょうか。さらなる彼女の進化を楽しみにしていたいところです。

評価:★★★★★

UA 過去の作品
ATTA
ハルトライブ
KABA
JaPo
Are U Romantic?


ほかに聴いたアルバム

若者たち 30周年記念デラックス・エディション/サニーデイ・サービス

1995年にリリースされた、サニーデイ・サービスのデビューアルバムの発売30周年を記念してリリースされたデラックス・エディション。アルバム本編がリマスターされた他、1994年12月に下北沢Club Queで行われたライブの模様を収録した音源などが追加されています。「若者たち」本編は、その後のサニーデイに通じるようなフォーキーな作品もありつつ、バンドサウンドを前に押し出したヘヴィーな曲もあったりして、方向性は見えつつも、まだ模索気味な姿を感じます。特にライブ音源の方は、より荒々しいロックバンドという側面を押し出しており、ラストには「Anarchy In The UK」のカバーまで披露しています。今となっては、こういう方向性も違和感はなくなりましたが、「東京」や「愛と笑いの夜」でブレイクした直後に聴いたらちょっとビックリしただろうなぁ。まだまだそのスタイルを模索中の、若々しく、荒々しいサニーデイの姿がパッケージされた作品でした。

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)
the CITY
DANCE TO THE POPCORN CITY
the SEA
サニーデイ・サービスBEST 1995-2018
いいね!
もっといいね!
冷し中華EP
DOKI DOKI
サニービート

はらいそ、の音楽 コーヒーハウス・モナレコーズの細野晴臣さんトリビュート・アルバム

デビュー55周年を迎えた、日本音楽界の偉人、細野晴臣へのトリビュートアルバム。かの小西康陽が発揮人となった企画で、下北沢のライブハウスmona recordsで行われたイベント「コーヒーハウス・モナレコーズ」に参加したミュージシャンたちが参加したトリビュートアルバムで、小西康陽はもちろん、スカートこと澤部渡や直枝政広、さらには細野晴臣ご本人も登場。ライブ音源も収録しているのですが、こちらにはMCも収録されていて、曲にまつわるエピソードを細野晴臣本人が語るという貴重な録音も。どの曲もアコースティックベースにしんみりと暖かく聴かせるアレンジとなっており、細野晴臣の曲の持つ魅力がしっかりとわかるトリビュートアルバムとなっています。

評価:★★★★★

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2026年4月25日 (土)

誰もが知るロックのスタンダードナンバーの連続に大興奮

DEEP PURPLE MAD IN JAPAN TOUR

会場 岡谷鋼機名古屋公会堂 日時 2026年4月15日(水) 19:00~

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ディープ・パープルのライブに足を運んできました。正直言って、彼らの大ファン・・・という訳ではないのですが、やはりレジェンド中のレジェンド。メンバーがほぼ全員、70代後半から80代という「おじいしゃん」となってしまって、やはり今のうちに機会があれば見ておかないと、という気持ちからライブに足を運びました。

この日の名古屋公会堂はソールドアウトで満員。やはり年齢層はかなり高めで、ファンもバンドと同じ世代のおじいちゃんおばあちゃんがメイン。自分より若い世代は、40代くらいはチラホラ見かけたものの、それ以下はいないことはないけど・・・くらいな感じでした。まあ、彼らが人気だった頃を考えると仕方ないよね・・・。

ライブは19時4分頃にスタート。メンバーが出てくると、いきなり最初はディープ・パープルで一番有名な曲ともいえる「Highway Star」からスタート。いきなり疾走感あるハードロックなナンバーからスタートで、大ファンじゃなくてもテンションがあがりまくります。

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前述の通り、メンバーのほとんどが70代という彼らですが、バンドの演奏はいまでも迫力満点。むしろサウンドに関しては、現代にアップデートしているためか、往年よりも音は分厚くなったような印象も受けます。ただ、ボーカルのイアン・グランは、正直、高音部に関してはかなり辛い印象が。とはいえ、彼は御年80歳(!)。高音部以外についてはしっかり声も出ており、80歳としては十分すぎるくらい力強いボーカルを聴かせてくれました。

その後は「Bit On The Side」から往年の「Hard Lovin' Man」「Into The Fire」と続き会場を盛り上げます。ただ、さすがに「Into The Fire」の高音の金切り声は、声が出ていなかった・・・。

続いてはこの日最初のMCに。かつてのメンバーで2012年に亡くなったジョン・ロードに捧げます、というトークも。そしてギタリストの紹介からギターソロに入ります。ディープ・パープルのギタリストと言えば、言わずと知れたリッチー・ブラックモアなのですが、残念ながら既に脱退しており、今回は2022年からメンバーに加わったサイモン・マクブライドというギタリストがギターをつとめます。おじいちゃんバンドの中で、彼は唯一47歳という若手(?)。力強いギターの演奏を聴かせてくれます。

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その後も基本的に比較的最近の曲と往年のナンバーを入り混ぜたセットリストが続きます。途中のMCが比較的多かったのは、やはり年齢的に歌い続けると体力的に厳しいからかな、なんてことも思ってしまいました。特に中盤では「Lazy」や「When a Blind Man Cries」「Anya」など、往年のナンバーが続き、会場を盛り上げます。

「Anya」の後は、今度はキーボードのドン・エイリーのソロ。彼も、2022年に加入したばかりの新メンバー。最初は荘厳なオルガンのような音色を聴かせつつ、途中からクラシカルなピアノの演奏を聴かせてくれます。途中に「上を向いて歩こう」を弾いてくれる、なんていうサービスも。

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その後も比較的最近のナンバー「Bleeding Obvious」から、往年の「Space Truckin'」へと続き、ここでギターのサイモン・マクブライドがステージ中央へ。イントロのギターをスタートするのかしないのか、じらしながら、そしてロック好きなら誰もが知る、あのギターリフへ!おなじみ「Smoke On The Water」に突入します。

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もちろん会場はこの日最高潮となる盛り上がりに。やはり私も、あのおなじみなギターリフを聴けたというのは非常に興奮してしまいます。サビでは会場から大合唱も起こりました。

そんなスタンダードナンバーで本編は終了。メンバーは一度、袖に引っ込み、アンコールへ。ただ、ここは比較的あっさり本人たちが再登場し、アンコールに突入となりました。アンコール1曲目は「Guinnesis」という、このライブ初披露らしいナンバー。さらに、こちらもおなじみの「Hush」へ。リズミカルなナンバーで、会場のテンションはあがっていきます。その後、ギターとキーボードによるジャムセッションが行われた後、ラストはこれまた彼らの代表曲「Black Night」へ。途中、ギターソロと客とのコールアンドレスポンスという、あまり見られない、ある意味、ディープパープルらしい客とのやり取りで盛り上がりつつ、ライブは幕を下ろしました。

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ライブ終了は21時ちょっと前。2時間弱という比較的あっさりとしたステージ。途中、MCやジャムセッションも多く、イアン・グランも前にも書いた通り、既に御年80歳(!)。さすがに2時間とはいえ、フルスピードでのステージは厳しいといった感じだったでしょうか。確かに高音部は出ていませんでしたし、最近の曲はともかく、高音部を聴かせる昔のナンバーに感じては、安定感にも懸念がありました。ただ、バンドサウンドと合わせて、往年の迫力、魅力もしっかりと感じられたステージだったと思います。

また、熱心なファンではない人間が彼らのライブを見ると、ディープパープルのメインはボーカルではなくギターなんだな、ということを感じます。特にメロディーラインよりもギターを前面に押し出した曲も多く、今回のディープパープル来日に関しては、SNSなどで「リッチー・ブラックモアがいないディープパープルはディープパープルではない」「リッチー・ブラックモアがいないディープパープルに興味はない」という意見も見られ、それはそれで賛否ある意見だとは思うのですが、こういう意見を述べたくなる理由も、なんとなくわかるような気がしました。

といっても、新ギタリストのギターのサイモン・マクブライドもかなり健闘していたと思います。特にメンバーの中では年齢が圧倒的に若いため、彼のアグレッシブなギターが、バンド全体に若々しさを与えていたようにも感じました。ちなみにギターとキーボードの見せ場が比較的多かったようにも思うのは、いずれも比較的最近のメンバーなので、彼らをファンに紹介する意図もあったのでしょうか?個人的には、レジェンドのステージということで、個人的には貴重な経験が出来た2時間だったと思います。まだまだ十分すぎるほど現役感のあったステージ。末永くお元気で!

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2026年4月24日 (金)

10年を経て完成したジル・スコットの集大成

Title:To Whom This May Concern
Musician:Jill Scott

アメリカのネオ・ソウルのシンガー、ジル・スコットによる、実に約10年7ヶ月ぶりとなるニューアルバム。前作「Woman」以来、実に10年以上の月日を経てしまったのですが、本人曰く、「インスピレーションが湧くのも待った」ということで、まさにそれに10年かかったということでしょう。しかし、そんな待ちに待った作品なだけに、まさにその期待に違わない、傑作アルバムに仕上がっていました。

本作で大きな要素としては、70年代ソウルやネオソウル、HIP HOPやジャズ、ゴスペルなどの要素を取り混ぜ、さらにエレクトロの要素も取り入れたジャンル横断的な作品に仕上がっていること。それを、ジル・スコットの力強く感情たっぷりのボーカルで歌い上げている点が大きな特徴であり、魅力となっています。

オープニングを挟んで、事実上の1曲目となる「Be Great」は、まさにアルバムのオープニングを飾るにふさわしいパワフルな作品。トロンボーン・ショーティも参加した本作は、彼のトロンボーンも加わり、ソウルフルでファンキーな作品になっています。続く「Beautiful People」もメロウに聴かせるファンキーでメロディアスな作品に。ただ、その中から徐々に彼女の力強いボーカルが前に押し出され、楽曲は盛り上がっていき、最後はパワフルなボーカルを聴かせる、高揚感ある作品に仕上がっています。

他にも感情たっぷりのボーカルをメロウに聴かせる「Pressha」や、力強くソウルフルなボーカルが特徴的な、ネオソウルナンバー「Don't Play」、さらにアルバムの最後を締めくくる「Sincerely Do」などは、ピアノをバックにソウルフルで感情たっぷりに歌い上げるボーカルが心に響きます。このように、彼女のソウルフルで感情たっぷりなボーカルをしっかり聴かせるナンバーが並びます。前作から10年以上の月日が経ち、様々な経験を経たからこそ、その感情表現にもより深みが増したのではないでしょうか。

一方で、「Norf Side」はラッパーのTierra Whackが参加した作品。70年代ソウル寄りの異なり、こちらはHIP HOP曲の強いナンバーに仕上がっています。他にもラッパーのAb-Soulが参加した「Ode to Nikki」や同じくラッパーのJIDが参加した「To B Honest」など、HIP HOP色の強いナンバーも目立ちます。特に「To B Honest」はジル・スコットの力強いボーカルとJIDのラップが対比する構成となっており、ソウルフルな曲調の中に、ラップを上手く溶け込ませている作品に仕上がっています。

他にも「Offadaback」「Pressha」のような、ジャジーな要素を取り入れた楽曲もあったり、「Right Here Right Now」のような、エレクトロサウンドを取り入れた、ダンスチューンがあったりと、様々な音楽的要素を取り入れたジャンル横断的な作風が魅力的。そんな様々な音楽性を彼女のソウルフルなボーカルでひとつにまとめ上げた作品、といった印象を受けました。

そして、もうひとつ大きな特徴と感じたのが、トライバルな要素を取り入れた、という点でしょう。ジャケットの写真も、いかにもアフリカ的な画風になっていますし、そんな「アフリカ」的な要素がアルバムの中で様々に感じさせます。

前述の「Beautiful People」にもトライバルなリズムが入ってきていますし、「BPOTY」もファンキーなボーカルの中、リズムはトライバルに。「Liftin' Me Up」もトライバルなパーカッションが鳴り響きます。さらにハイライトとも言えるのがラスト1曲目の「Àse」というナンバー。楽曲自体はメロウに聴かせるソウルなナンバーなのですが、このタイトル自体、アフリカ系のスピリチュアルな概念の意味を持つそうで、まさに「アフリカ」的な要素を作品に取り入れた曲となっています。

そんな彼女のブラックアメリカンとしてのルーツを追求した上で、70年代ソウルやファンク、ジャズといった彼女の音楽性ルーツ、そして一方ではHIP HOPという「今」も取り入れた今回のアルバム。まさに前作から10年という月日を経て出来上がった、様々な面からのジル・スコットの集大成とも言えるべき作品と言えるかもしれません。それを彼女の、年齢や経験を経て出来上がった、よりソウルフルで感情たっぷりのボーカルをまとめあげた傑作。その実力と魅力をあらためて実感した作品でした。

評価:★★★★★

Jill Scott 過去の作品
The Light Of The Sun


ほかに聴いたアルバム

Wormslayer/Kula Shaker

昨年のoasis再結成ライブの影響もあって、90年代のブリットポップが再び注目を集めていますが、まだまだ現役で活動するバンドも少なくありません。Kula Shakerもそんなバンドのひとつで、本作も前作から約2年ぶりという作品となって、その活動の活発さが目立ちます。そんな彼らの最新作は、これぞKula Shakerらしい、エキゾチックな要素を取り入れたギターサウンドで、グルーヴィーに聴かせるロックチューンが魅力的な作品。原点回帰的な作品となっており、初期のファンにとってはうれしいアルバムかも。一方、その分、目新しさに欠ける部分は否めないのですが。とはいえ、Kula Shakerもまだまだ現役で元気、ということを実感できる作品でした。

評価:★★★★★

Kula Shaker 過去の作品
Revenge of the king
STRANGE FOLK
Pilgrim's Progress
K2.0
1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs
Natural Magick

We Gotta Groove: The Brother Studio Years/The Beach Boys

1960年代後半に、精神状態の悪化で活動休止状態だったビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン。彼が一時期落ち着き、バンド活動に復帰した1976年~77年頃の音源をまとめた3枚組のコンピレーション。同時期のアルバム「Love You」のリマスターの他、同時期のセッション音源やアウトテイクをまとめて収録した作品となります。ただ、ブライアンのコンディションもあまり良好とは思えず、「Love You」自体の出来も、彼らしい美しいメロは聴けるものの、どこかまとまりの欠いた内容。セッション音源も、いまひとつ中途半端な出来に仕上がっています。貴重な音源ですし、この時期の彼らの状況を知るには重要な音源ではあるのですが、熱心なファン向けのアイテムかと。

評価:★★★

THE BEACH BOYS 過去の作品
SMILE
THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO(ゴッド・メイド・ザ・ラジオ~神の創りしラジオ~)

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2026年4月23日 (木)

これで5週連続

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週で5週連続1位となりました。

今週1位はBTS「ARIRANG」が5週連続の1位獲得。ストリーミング数は5週連続の1位に。ダウンロード数は3位から2位、CD販売数も14位から10位に再度アップしています。

2位は、こちらもK-POPの男性アイドルグループのミニアルバムが初登場。TOMORROW X TOGETHER「7TH YEAR: A Moment of Stillness in the Thorns」。CD販売数及びダウンロード数で1位、ストリーミング数4位。オリコン週間アルバムランキングでは、同作が初動売上22万9千枚で1位初登場。直近作は日本盤のアルバム「Starkissed」で、同作の初動31万8千枚(1位)からはダウンしています。

3位はHANA「HANA」が先週の2位からワンランクダウンながらもベスト3をキープ。ストリーミング数は5週連続の2位。これで8週連続のベスト10&ベスト3ヒットとなっています。

4位以下の初登場盤は、4位に甲斐田晴「WEATHER」が初登場。にじさんじ所属のバーチャルYouTuber。8位には、PLAVE「Caligo Pt.2」がランクイン。こちらは韓国発のバーチャルアイドルグループ。

ロングヒット盤では「超かぐや姫!」が先週と変わらず6位をキープ。これで11週連続のベスト10ヒット。King&Prince「STARRING」は9位から10位にダウン。こちらは17週連続のベスト10ヒット。一方、先週までヒットを続けていたXG「THE CORE-核」は今週11位にダウン。ベスト10ヒットは12週連続でストップです。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

Heatseekers Songsはクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」が1位をキープしていましたが、今週はついに2位にダウン。代わって1位を獲得したのは三四少女「一生仲仔」が初登場でランクイン。テレビ朝日系アニメ「オタクに優しいギャルはいない!?」主題歌。Hot100では78位に初登場。三四少女は「さんすーがーる」と読み、大阪を拠点に活動する男女3人組バンド。本作はメジャーデビュー作のEP盤に収録されたタイトルチューンとなります。ちなみに「仲仔」とは「なかこ」と読み、主に2000年代にはやったギャル用語らしいです。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートはルシノ「ループザルーム」が2週連続で1位を獲得。2位は東京真中「ブレインロット」が先週の3位からアップ。3位はkr-KuuRa「ラプス」が初登場でベスト3入りを果たしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年4月22日 (水)

今週も新譜ラッシュ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も新譜ラッシュのチャートとなっています。

まず1位は旧ジャニーズ系男性アイドルグループTravis Japan「陰ニモ日向ニモ」がランクイン。テレビ朝日系ドラマ「ぜんぶ、あなたのためだから」挿入歌。CD販売数1位、ダウンロード数3位、ラジオオンエア数7位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上27万2千枚で1位初登場。前作「Say I do」の初動14万3千枚(1位)からアップ。

2位は、こちらはTOBE所属の男性アイドルグループIMP.「INVADER」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数7位、ラジオオンエア数1位。オリコンでは初動売上5万9千枚で2位初登場。前作「Cheek to Check」は公式通販限定販売だったため、オリコンでは対象外となっていました。

3位はMrs.GREEN APPLE「風と町」が初登場でランクイン。ダウンロード数1位、ストリーミング数3位、ラジオオンエア数10位。NHK連続テレビ小説「風、薫る」主題歌。一方、先週までロングヒットを続けていた「lulu.」は今週11位にランクダウン。ベスト10ヒットは13週連続でストップとなりました。

4位以下の初登場曲ですが、まず5位にMISIA「ラストダンスあなたと」がベスト10初登場。ダウンロード数4位、ストリーミング数11位、ラジオオンエア数2位。劇場版「名探偵コナン ハイウェイの堕天使」主題歌。毎回、大ヒットを記録する映画で、主題歌も注目を集めていますが、こちらもロングヒットとなるのでしょうか。

8位には吉本興業所属男性アイドルグループOCTPATH「Steppin'!!!」が初登場。CD販売数3位。オリコンでは初動売上4万3千枚で3位初登場。前作「スターライトランデブー」の初動6万2千枚(3位)からダウン。

またベスト10返り咲きとして、=LOVE「劇薬中毒」が先週の15位から10位にランクアップ。2週ぶりにベスト10返り咲き。CD販売数は5位から4位にアップ。

ロングヒット曲ではM!LKの「爆裂愛してる」は2位から4位、「好きすぎて滅!」は4位から6位にそれぞれダウン。ただし「爆裂愛してる」はストリーミング数は今週も1位獲得で、これで5週連続の1位。「好きすぎて滅!」は動画再生回数が先週の2位から1位にアップし、2週ぶりの1位獲得。カラオケ歌唱回数も5週連続の1位となっています。これで「爆裂愛してる」は10週連続、「好きすぎて滅!」は20週連続のベスト10ヒット。

米津玄師「IRIS OUT」は5位から7位にダウン。ただし、ストリーミング数は先週から変わらず2位をキープ。こちらはこれで31週連続のベスト10ヒットとなります。

そしてKing Gnu「AIZO」も6位から9位にダウンながらもベスト10をキープ。ストリーミング数は3位から5位にダウン。一方、動画再生回数は先週と変わらず8位をキープ。こちらはこれで通算14週目のベスト10ヒットとなります。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年4月21日 (火)

1位には疑問を感じるが・・・。

本日は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「60~70年代のロック・アルバム200」。レココレアーカイブスシリーズの1冊。過去に音楽雑誌、レコードコレクターズに掲載された記事のうち、好評だった記事を別途復刻した1冊で、本作は、2022年「レコードコレクターズ」5月号、6月号に掲載された「ロック・アルバム200」を復刻した書籍となります。

タイトル通り、60年代、70年代のロック・アルバムをランキングし、紹介した名盤ガイド。ミュージックマガジン社のスタイルとなるのですが、音楽評論家やミュージシャンなど、41名の選者が、それぞれ30枚のアルバムをピックアップし、順位付けして、それを集計。その結果をランキング形式で紹介するスタイルとなっています。

個人的に、このスタイルについては以前から懐疑的で、正直、選者によってかなり偏りのある選択をしている人も少なくなく、本当に、雑誌を代表してロックのアルバムを紹介した場合、このアルバムを選んで本当にいいの??と思うようなアルバムが選ばれることが少なくありません。具体的に言ってしまうと、この1960年代のロック・アルバムのランキング、ビートルズやストーンズ、ビーチボーイズ、ボブ・ディラン、ジミヘンなど、数多くのミュージシャンたちが名盤をリリースしてきたこの時代に、1位が「The Velvet Underground&Nico」で本当にいいの???とすごく疑問に感じてしまいます。

いや、間違いなく同盤はロック史に残る名盤なのは間違いないでしょう。少なくともベスト10にランクインしてくる名盤だとは思います。ただ、60年代のアルバムで、まず1枚といった場合に、このアルバムがその1枚になるかどうかはかなり疑問。また、9位にThe Zombiesの「Odessey And Oracle」というのも、名盤だとは思うけど、ここまで上位か?と思いますし、ストーンズも最高位が11位の「Beggars Banquet」というのも、その影響力を考えてベスト10落ちというのは正直どうなんだろう・・・?と思ってしまいます。

60年代については、確かにロックの名盤が多く、20枚を選ぶのも難しいとは思うのですが、それにしても選者が全体的に奇をてらいすぎでは?特にひどく感じたのが和久井光司で、1位がPlastic Ono Bandの「Live Peace In Tronto 1969」って・・・本当に、これが60年代を代表する1枚だと本気で思っているのでしょうか??

70年代に関しても、1位がSteely Danの「Aja」というのも・・・いや、こちらもベスト10に入ってくる名盤だとは思うのですが、それにしても1位かなぁ、とは思ってしまいます。ただ、70年代に関しては、上位にランクインしているアルバムは概ね妥当な印象で、ベスト10については、おそらく、その順番とともかく、多くの方が70年代を代表する10枚と言われて、まずは選びそうな10枚が入っている印象を受けました。

そもそも、選者41名というスタイルが非常に中途半端で、雑誌の「顔」となるような名盤集を作りたいのならば、もっと限られた評論家と雑誌編集者が話し合いの中で選択すべきだと思うし、こういう選者のランキングを集計させるならば、選者の「癖」が反映されてしまうような41名という少なさではなく、それこそ100名、200名単位の選者にお願いするか、もしくは読者アンケートにすべきではないでしょうか。

そんな感じでかなり疑問に残る「名盤集」になっていましたが、とはいえ、順位はともかくとして、その結果選ばれた200枚については、今後、過去のロックの名盤を聴くための「羅針盤」としてはちょうどよいガイドブックになっているようにも思います。セレクトに「癖」はありますが、その「癖」も含めて、名盤の参考にはなるガイドだったと思います。

また、もうひとつの楽しみ方として、個人的にいつも注目しているのは、各選者のランキングの最下位、30位に入っているアルバム。おそらく、選者の一番のこだわりがここで、一般的にはあまり「名盤」とは考えられなくても、選者がどうしても入れておきたいような、「自分だけが好きな」アルバムがケースが多く、この「30位」を眺めるのも、実は知られざる本書の楽しみの1つだと思います。是非、ご注目あれ。

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2026年4月20日 (月)

タイプの異なる12曲が並ぶ

Title:儚くも美しき12の変奏
Musician:くるり

前作「感覚は道標」から約2年4ヶ月ぶりとなるくるりのニューアルバム。くるりというと、デビュー直後からアルバム毎にスタイルを大きく変化させてくる音楽性が特徴的でしたが、今回のアルバムも前作から大きく変化をさせた作品となっています。前作「感覚は道標」はオリジナルメンバーの森信行がドラムとして参加。3人編成のくるりとなって、基本的にはスリーピースバンドとして、シンプルなロックアルバムに仕上げた作品となっていました。

一方今回のアルバムはその雰囲気がかなり異なる内容となっています。まず大きいのは収録曲12曲、それぞれが異なる音楽性を取り入れた作品であるという点。タイトルでもある「儚くも美しき12の変奏」は、まさに本作に収録されている、異なる12曲についてタイトルとしたものでしょう。その結果、基本的に3ピースバンドの演奏がメインだった前作と比べると、様々な楽器の音を取り入れた作品になっていますし、さらにドラマーとして、森信行で固定した前作と一転、7人のドラマーが参加した作品に。前作から、ファンファンが脱退し、くるりは再び2人組になったのですが、そこにオリジナルメンバーを加えて再び3人組となった前作から一転、今回は2人組だからこその自由度を感じさせる作品に仕上がっていました。

さて、そんな12の変奏が並んだ本作は、まずフォーキーなアコギをバックに、岸田繁がつらつらと考えたことを語りのように綴る「たまにおもうこと」からスタート。どちらかというとオープニングのような1曲目に続くのは、ゲストボーカルとしてHomecomingsの畳野彩加が参加した「Regulus」に。バンドサウンドをバックに、爽やかでメロディアスなギターポップとなっているのですが、様々なサウンドを取り込んで複雑に構成されたアレンジにも耳が行きます。

その後の、和風なサウンドで郷愁感たっぷりの「瀬戸の内」が流れたかと思えば、「La Palummella」は一転、哀愁たっぷりのナポリ歌曲風のナンバーに展開。クラッシック風な楽曲は岸田繁の趣味っぽい感じですが、和と洋という展開もユニーク。さらにここから「C'est la vie」は、なんとヘヴィーメタル的な要素の入った楽曲となっています。

先行シングルともなった「oh my baby」はくるりらしい、郷愁感あふれるポップチューンになっていますが、続く「はたらくだれかのように」は、エレクトロサウンドが入って浮遊感あるサウンドが特徴的。ユニークな歌詞にも耳が行きます。さらに、ピアノ曲のような美しいピアノの音色とストリングスをバックに静かに歌う「セコイア」は、こちらもクラッシック音楽の要素がたっぷり感じさせるナンバーに。そして、先日のライブでも披露され、サビの部分をみんなで合唱した「ワンダリング」もアルバムの最後を飾るにふさわしいスケール感ある楽曲。こちらもバンドサウンドにストリングスや打ち込みなども加わりつつ、複雑ながらも絶妙に音が組み合った、くるり岸田のアレンジ力を感じさせる曲になっています。

そんな「儚くも美しき12」の曲が収録された本作。前述の通り、いろいろな面で前作とは対照的で、直感的、感覚的だった前作に比べると、今回のアルバムは、ある意味、くるり岸田繁によって考え抜かれた12曲が収録されています。ただ、その結果、正直言うと、ちょっと頭でっかちに感じてしまいました。もともと、特にくるりの岸田繁は、どうも理屈っぽさを感じる部分が少なくないのですが、ある意味今回のアルバムに関しては、この収録曲についても、彼が頭で考えましたといった感が強く、理屈っぽい部分が前に出てきてしまっていたように感じます。

そういった意味では前々作「天才の愛」にタイプの近い作品だったように感じます。傑作かどうか、と言われると、十分傑作ですし、年間ベストアルバムにもランクインしてきそうなレベルの作品であることは間違いないと思うのですが、ただ、個人的には「感覚は道標」のような作風が好きかも。まあ、岸田繁的には、このようなタイプの作品と、前作のようなタイプの作品を並列的にリリースしていきたいのでしょうが・・・。

評価:★★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧
くるりの一回転
THE PIER
くるりとチオビタ
琥珀色の街、上海蟹の朝
くるりの20回転
ソングライン
thaw
天才の愛
愛の太陽 EP
感覚は道標


ほかに聴いたアルバム

Chopin Orbit/角野隼斗

現在、最も注目を集めるピアニスト角野隼斗の新作は、彼にとって最も重要な作曲家、ショパンの作品を中心とした作品。基本的にはショパンの曲と、彼自身のオリジナルを並べて披露するという作品で、自身の曲とショパンの曲を並べて配置するというあたりはかなり大胆不敵な感じもするのですが・・・ただ、ショパンの曲に比べても、決して引け劣らないのが見事なところ。時には優しく、時には軽快に、さらに時には力強く聴かせてくれるピアノの音色の美しさに酔いしれるアルバムです。

評価:★★★★

角野隼斗 過去の作品
Human Universe

Cheers to 10!!/Awesome City Club

Cheersto10

メジャーデビュー10周年を迎えたAwesome City Club。2024年10月から10作連続リリースとして、9作の配信シングルをリリースし、本作はその10作目となる作品。ただ、基本的に配信シングルをリリース順に並べただけの内容になっており、10周年の記念としては若干物足りなさも。そして4月1日での活動休止も発表しており、10作連続リリースは最後の最後で力を振り絞った感の強い感じになっています。ただ、それだけに内容としてはAwesomeらしい爽やかで軽快なポップが並ぶ者の、Awesome最後の集大成といった感は強く、目新しさはなし。また、楽曲としてはインパクトもいまひとつ弱く、聴いた後にいまひとつ印象に残らない感も・・・。なんとなく、活動休止になってしまう理由も垣間見えてしまうアルバムでした。

評価:★★★

Awesome City Club 過去の作品
Awesome City Club BEST
Torso
Catch The One
Grow apart
Grower
Get Set

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2026年4月19日 (日)

Base Ball Bearらしさが詰まったミニアルバム

Title:Lyrical Tattoo
Musician:Base Ball Bear

ちょうと1年1ヶ月ぶりとなるベボベのミニアルバム。全7曲入りの比較的シンプルなミニアルバムとなります。先行配信ともなった「Lyrical Tattoo」は、オンライン上の虚構が現実へと食い込んできた状況の中、自分だけが感知しているものを、今一度見つめなおそうという楽曲だそうで、アルバムを貫くひとつのテーマとなっています。

今回のアルバムで大きな特徴となっているのは基本的に3ピースバンドという彼らの特性をそのまま生かしたシンプルなギターロックのアルバムとなっているという点。前作「天使だったじゃないか」も彼らの原点であるギターロックに向き合ったアルバムとなっていましたが、今回のアルバムも基本的にその路線を引き継ぐスタイルとなっています。

タイトルチューンの「Lyrical Tattoo」は、ほどよく分厚くノイジーなギターサウンドが心地よい作品。ちょっとノスタルジックなメロディーラインも耳に残ります。「caramel dog」もエッジの効いたギターサウンドに力強さを感じる楽曲に。「TIME SHIFT GIRL」もテンポよいギターロックなのですが、ちょっと切なく爽やかなメロディーラインがBase Ball Bearらしい作品となっています。

関根詩織がボーカルをつとめるアコースティックなミディアムチューン「Remains」を挟み、個人的にこのアルバムの中でもっともお気に入りで、かつ核になっていたのが「夏の細部」。ダウ90000の演劇公演「旅館じゃないんだからさ」の主題歌として書き下ろされた曲らしいのですが、分厚いバンドサウンドをバックに歌われるのが、絶妙な切なさを感じさせるメロにキュンとさせられる作品。Base Ball Bearらしい楽曲になっています。

ヘヴィーで疾走感ある「BLUE、たる」を挟んでラストを締めくくる「(The rise of)Offline Souls」もほどよく切なさを感じさせるメロにインパクトのある楽曲。

「わらかないことはきっと わからないままでいいよ
ざわめく心を連れていこう」
(「(The rise of)Offline Souls」より 作詞 小出祐介)

という歌詞は、この情報化社会の中で翻弄される私たちへのメッセージのように感じますし、また、冒頭に書いた、このアルバムのテーマを締めくくるメッセージにも感じます。

前作「天使だったじゃないか」と同様に、シンプルなバンドサウンドで構成されたストレートなオルタナ系ギターロック。さらに前作では、核となるような曲がなく、物足りなさを感じた一方、本作では「夏の細部」のような、いわば「ベボベ節」とも言える、切なさとノスタルジックさが炸裂した曲も聴けます。実にBase Ball Bearらしい、そして彼らの魅力の詰まった傑作でした。

評価:★★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
増補改訂完全版「バンドBのベスト」
光源
ポラリス
Grape
C3
DIARY KEY
天使だったじゃないか


ほかに聴いたアルバム

深海/なとり

デビューシングル「Overdose」でいきなりブレイクした男性シンガーソングライター、なとりの2枚目となるアルバム。前作「劇場」ではジャジーなAORをベースにバラエティーのあるポップチューンを聴かせてくれました。今回のアルバムは、ジャジーという主軸はちょっと薄くなった感もあるものの、基本的にメランコリックに聴かせる路線に大きな変化はなく。一方、スカ風のリズムを取り入れた曲やパンキッシュな曲、エレクトロ路線の曲など、楽曲のバリエーションはより広がった感も。基本的に哀愁メロ路線なので、メロディーにもうちょっと独自のインパクトが欲しい感じはするのですが。

評価:★★★★

なとり 過去の作品
劇場

BEST OF AK-69 "Yellow Gold"/AK-69

活動30周年を記念してリリースされたラッパーAK-69のベストアルバム。今年、自身6度目となる日本武道館公演を実施するなど、一時期に比べて落ち着いたものの、いまだに高い人気を誇る彼。率直なところ、彼の楽曲を聴いてもあまり目新しさがないのですが、ただ、ベスト盤を聴いてあらためて感じるのは良くも悪くもベタで、一般的な「HIP HOP」のイメージを体現化している、という点。このベスト盤のジャケ写にしても、彼が愛用する時計「FRANCK MULLAR」と、いかにもな感じですし、楽曲もほどよくハードで、ヤンキー的なギラギラ感を醸し出しつつもも、意外とポップな聴きやすさを備えています。ここらへんの典型的なHIP HOPのイメージを上手く取り込んでいるのが、彼の魅力でもあり人気の理由でもあるんだろうなぁ・・・そういうことを漠然と感じたベスト盤でした。

評価:★★★★

AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
THE THRONE
DAWN
無双Collaborations -The undefeated-
THE ANTHEM
ハレルヤ-The Final Season-
LIVE:live
The Race
Flying To The Top(AK-69&¥ellow Bucks)
My G's

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2026年4月18日 (土)

より「伝える」を意識

Title:いばら
Musician:鈴木実貴子ズ

個人的に、地元名古屋を中心に活動しているという点を含めて、もっとも注目しているバンドのひとつ、鈴木実貴子ズ。ここでも何度か紹介していますが、日本では珍しい、メンバーの人名をバンド名とした2人組で、ギターボーカルの鈴木実貴子と、ドラムの「ズ」の2名から成るバンド。前作「あばら」でメジャーデビューを果たし、続く本作は、「あ」から「い」へとバンド名が進化しています。次は「うばら」という言葉はないので、さしずめ「うなばら」か?

本作は、そんな彼女たちのメジャー2作目となるアルバム。彼女たちの楽曲の大きな特徴は、何よりも鈴木実貴子が綴る歌詞で、上手くいかない現実を感情をこめて吐露したような歌詞が大きな魅力。その気持ちを赤裸々に綴ったインパクトある言葉が非常に心にズシリと響いてくる作品がその特徴となっています。

ただ、そんな彼女たちの2枚目のアルバムは、感情をむき出しにするよりも「伝える」ことを意識した曲作りをした、ということ。実際に、前作に比べると、感情をむき出しにして、気持ちをそのままぶつけるような言葉を用いた歌詞は少なくなったように思いますし、一方、アルバムのラストを飾る「ちいさなうた」は、感情を吐露するというよりも、その今の自分について、言葉を選びつつ綴っているという印象を受けますし、「四月の風」でも「白む空 動く空気 はじまる春の呼吸」と、しっかりとなされた風景描写に、「伝える」という意識も感じさせます。

感情をただただぶつけるだけではなく、どうやって伝えるかということを意識した本作は、彼女たちにとって大きな進歩に感じる反面、率直に言うと、インパクトという面では前作に比べると若干弱くなってしまった点は否めません。前作「あばら」ではよく見られた、胸をえぐられるようなドキリとするようなフレーズは、今回は前作に比べると減ってしまった感はあります。

とはいえ、今回のアルバムでもその感情をストレートにぶつけた楽曲も収録されており、典型的なのは1曲目の「ががが」

「ガガガガ 頑張れ なんて ガガガガ 言ったら殺すぞ
ガガガガ 分かるよ なんて ガガガガ 言ったら殺すぞ」
(「ががが」より 作詞 鈴木実貴子)

安易な同情を拒否する歌詞も強いインパクトですが、「殺すぞ」というフレーズをそのまま使ってくるあたり、まさに感情をそのままぶつけた曲。こういった曲も、本作でもしっかりと聴くことが出来ます。

また、鈴木実貴子ズといえば、シンプルで力強いサウンドも特徴的。私が見た彼女たちのステージもそうでしたし、「瞬間的備忘録」についてきたDVDのライブ映像もそうだったのですが、ライブでは2ピースでの演奏もあるそうです。ただ、本作はサポートを入れた4人でのバンド形態。ただ、個人的には2ピースの方がいいんじゃないか?とも思ってしまいます。2ピースでの演奏ではギターとドラムがむき出しに対峙するサウンドが、緊張感がありエッジも聴いていて(2人が離婚した元夫婦ということ関係性も、絶妙な距離感を作り出しているのですが)、ともすればeastern youthあたりにも通じそうな、重い迫力ある演奏を聴かせてくれていますが、4人組だと、そういった緊迫感や迫力が薄れるように感じました。曲によっては音の広がりのある4人組の演奏の方がいい曲もありそうですが、2人のみの演奏を何曲が入れた方が、ともすればサウンド面にはバリエーションが少ないだけに、アルバムにもメリハリが生じてよりよかったのではないでしょうか。

感情をむき出しにする楽曲から、より「伝える」という点を意識した今回のアルバム。前作同様、傑作であることは間違いありませんが、インパクトという面ではちょっと弱くなってしまった感じもします。ただ、「伝える」ということを意識した作風は、バンドとしても進化だと思いますし、この「むき出しの感情の吐露」と「伝える」という2つの側面を、より高い次元で融合できれば、前作、本作をはるかにしのぐ、とんでもない傑作が生みだされる予感もします。今後も彼女たちの活動から目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

鈴木実貴子ズ 過去の作品
あばら
瞬間的備忘録


ほかに聴いたアルバム

あまりもの/奥田民生

奥田民生の新作は全8曲入りのEP盤。新曲「うちょうてん」「あまりもの」をはじめ、Kinki Kids提供曲のセルフカバー「スピード」、「Sony Park展」でのイベント「カンタビレIN THE PARK」の公開レコーディングで発表された「僕的地」「銀座のソニー」のあまりものヴァージョン、YouTubeの番組で所ジョージとの共作で発表された「上限64馬力」、そしてシングル「太陽が見ている」「ハナウタ」のあまりものヴァージョンが収録。どれもシンプルな奥田民生らしいギターロックなのですが、彼らしい脱力感がさらに強くなっているような感じが。特に所ジョージはタイプ的に似たような感じなのか、非常に相性の良さを感じさせますし、イベントでの曲ということで、まさに肩の力を抜きまくったような「銀座のソニー」もユニーク。そんな脱力した作品ながらも、楽曲的にはもちろん申し分ない出来前となっており、締めるところはしっかり締めているのは奥田民生らしい感じも。彼らしさがあふれるミニアルバムでした。

評価:★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
O.T.Come Home
秋コレ~MTR&Y Tour 2015~
奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン"
奥田民生になりたいボーイに贈るプレイリスト
サボテンミュージアム

カンタンカンタビレ
MTRY LIVE AT BUDOKAN
ひとり股旅スペシャル@日本武道館

昭和おもしろ歌謡大全集

1960年代から80年代までにクラウンからリリースされた歌謡曲のうち、ノベルティテイストの強い作品を収録したオムニバスアルバム。「自動車ショー歌」のような、この手の企画でおなじみの曲から、レアな音源まで収録されている、なかなかユニークな作品。個人的にはロス・プリモスの「ラブユー貧乏(ボーカル編)」が、流行った時期をリアルタイムで体験しているので懐かしさを感じます。小学生のころ、結構みんな歌ってたよなぁ・・・。一方で「DISCO・翔んでる寅さん」は、まさかの寅さんボーカルによるディスコナンバーで、イメージがかなり異なる・・・。ここらへんの悪く言えば無節操さ、良く言えば包容力は、昭和の時代の良さであった(同時に悪さでもあった)んだよなぁ、とも思います。良くも悪くも癖のある収録曲ばかりですが、聴きごたえある内容でした。

評価:★★★★

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2026年4月17日 (金)

抽象度が増して進化

Title:ヤッホー
Musician:坂本慎太郎

その強烈な個性と世界観でアルバム毎に傑作をリリースし続ける坂本慎太郎。そんな彼の約3年半ぶりとなるニューアルバム。前々作から前作までのスパンが約6年だったので、それに比べれば比較的早めのリリースとはいえ、今回の待ちに待った感のある本作ですが、そんな新作も、待ちに待ったかいのある傑作アルバムに仕上がっていました。

基本的に今回のアルバムも、音楽的な方向性は前作から大きくは変わっていません。ハワイアンやソウル、ブルースにサイケや歌謡曲的な要素も加えた独特の作風が特徴的。メロウでハワイアン的な「おじいさんへ」からスタート。エフェクトかかったドリーミーなサウンドがサイケ気味な「あなたの場所はありますか?」、サーフロック風の「時計が動き出した」に、ファンクでグルーヴィーなサウンドが心地よい「麻痺」、妖艶な雰囲気が耳に残る「なぜわざわざ」、そして最後を締めくくるタイトルチューンの「ヤッホー」は、幻想的で気だるい雰囲気のサイケでグルーヴィーなサウンドが独特の余韻を残す曲となっています。

そんな今回のアルバムで特徴的なのは、前作に比べてよりシンプルで、かつ空間を聴かせるような作風になってきている、という点。もともとシンプルな最小限のサウンドで、独特のグルーヴ感を演出するのが彼の大きな特徴で魅力なのですが、今回の作品はより、その方向性が進んだ作品となっています。彼がかつて所属していたゆらゆら帝国も、活動の中で徐々に空間を聴かせるような作風を志向し、解散前はそのものズバリ「空洞です」というアルバムをリリースしましたが、ある意味、坂本慎太郎のソロでも、同じように、より音の間を聴かせるような作風に進んでいるように感じます。

ただ、ではこのアルバムが坂本慎太郎の「集大成」といった感じか、と言われると、そんな印象も受けません。むしろ今なお進化の途中、といったイメージが強いかもしれません。まだ突き抜けた感もありませんし、様々な作風とあわせて、彼自身が、まだまだ自分の音楽性を模索の途中、といった感も受けます。もちろんそれはこのアルバムが中途半端といった意味ではなく、まだまだこれから、坂本慎太郎がどんな音の世界を見せてくれるだろうか、楽しみになってくるアルバムになっています。

一方、同じく空間を聴かせるという意味で魅力的なのが、その歌詞の世界。非常にシンプルながらも、行間を読ませるような歌詞が魅力。一見、温厚な感じの歌詞ながらも、よくよく聴くと、強烈な社会風刺のような内容にも取れるような歌詞が大きな魅力となっています。例えばアルバムの冒頭を飾る「おじいさんへ」では

「おじいさん どこか 安全な場所で
おばあさん たちと 過ごしていてください」
(「おじいさんへ」より 作詞 坂本慎太郎)

と、非常に温厚そうな内容なのですが、歌詞をよくよく読むと、老人に、その場所を譲れと言っている、老害批判のようにも取れます。続く「あなたの場所はありますか?」も

「声がでかい人であふれてる
涙もろい客を集めてる」
(「あなたの場所はありますか?」より 作詞 坂本慎太郎)

と、声が大きい一部の人を優遇したり、単純に、感情に訴えかけるような報道やコンテンツにあふれている社会風刺に読み取れます。

このように、シンプルで、ユーモラスながらも、行間からは強烈なメッセージや社会風刺の漂う歌詞が大きな魅力。もちろん、そのスタンスは以前から変わらないのですが、今回もその世界観が炸裂している歌詞が並んでいました。

このように音の間や行間を読み取る楽曲が多いため、正直、最初聴いた時はシンプルすぎて違和感を抱くかもしれません。私も最初聴いた時は、ピンと来ませんでした。ただ、2度3度聴くうちに、その世界観にズブズブとはまっていってしまうような傑作。ちなみにCDではDisc2としてインスト版も収録されているため、サウンドのグルーヴ感をより実感するためにはこのインスト版も非常に魅力的。今回の作品も、間違いなく年間ベスト候補と言える傑作でした。

評価:★★★★★

坂本慎太郎 過去の作品
幻とのつきあい方
ナマで踊ろう
できれば愛を
物語のように


ほかに聴いたアルバム

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜/TM NETWORK

昨年10月から、7ヶ月連続でサブスク解禁されているTM NETWORKのライブアルバム第4弾。本作は40周年プロジェクト第2シーズンとなるホールツアー「TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~」の最終日、TACHIKAWA STAGE GARDENのライブの模様を収録したライブアルバム。オープニング的な「WORDS」からスタートすると、いきなり1曲目に、彼らがTMNとして最初に活動休止となった際のラストシングル「Nights of the Knife」からスタートするのはちょっとビックリ。選曲的にも比較的再活動後の作品が多く、再活動後の2000年代以降の活動にスポットをあてているようなセットリストになっています。ノルタルジックな選曲になっていない点、彼らが現役のグループということを主張しているセット、と言えるかもしれません。

評価:★★★★

TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
Gift from Fanks T
Gift from Fanks M
LIVE HISTORIA T 〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
LIVE HISTORIA M〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
DEVOTION
40+ ~Thanks to CITY HUNTER~
How Do You Crash It?
TM NETWORK TOUR 2022"FANKS intelligence Days"at PIA ARENA MM-LIVE-
TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days~DEVOTION~-LIVE-

ゴールデン☆ベスト BON CHIC/BON CHIC

レコード会社共通の廉価版ベスト盤シリーズ「ゴールデン☆ベスト」。今回紹介するのは1987年から94年まで活動をしていた3人組ユニットBON CHIC。あの「イカ天」にも出場経験があるそうで、90年にメジャーデビュー。91年にフジテレビ系ドラマ「もう誰も愛さない」の主題歌「とどかぬ想い」の日本語バージョンをリリース。オリコン最高位42位というスマッシュヒットを記録しています。

ただ、今回彼女たちについては音を聴くのもはじめてであり、かつ名前を聞くのもはじめて。タイプ的には打ち込みを多用するポップのスタイルで、初期の作品については、ニューウェーヴ風の作風がいかにも80年代っぽい感じ。後半はメランコリックな楽曲をメロウに聴かせるような曲も多く、後半になるにつれ、よりムーディーな雰囲気の曲が増えてきます。ジャンル的にはシティポップにカテゴライズされても不思議ではない感も。ただ、全体的にはこれといった個性も薄く、結果、あまりブレイクにつながらなかったのも「さもありなん」といったイメージ。

評価:★★★

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2026年4月15日 (水)

上位2作はロングヒットになるか?

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

上位2作はロングヒットの様相です。

今週1位はBTS「ARIRANG」が4週連続の1位獲得。特にストリーミング数はこれで4週連続の1位に。また2位にはHANA「HANA」が先週の3位からアップ。こちらもストリーミング数では4週連続2位。この2作が今度、ロングヒットとなっていきそうです。

3位には男性アイドルグループMAZZEL「Bonquet」が初登場でランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数1位、ストリーミング数6位。BE:FIRSTやHANAが所属するBMSG所属のグループ。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上8万2千枚で2位初登場。前作「Parade」の初動3万枚(3位)からアップしています。

4位以下の初登場盤では、4位に男性アイドルグループNEWSのメンバー、増田貴久によるカバーアルバム「増田貴久のカバー」が初登場。また10位にはラッパーKohjiya「TIMELESS」が初登場でランクインしています。

ロングヒット盤では「超かぐや姫!」が5位から6位にダウン。これで10週連続のベスト10ヒット。XG「THE CORE-核」が9位から8位にアップ。こちらは12週連続のベスト10ヒット。そしてKing&Prince「STARRING」は7位から9位にダウン。16週連続のベスト10ヒットとなります。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週もクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」が3週連続の1位獲得。これで通算5週目の1位獲得となりました。中毒性の高い曲なので、こういう曲が1位になるのはHeatseekers Songsらしい感じもします。何かのきっかけがあれば一気にブレイクする可能性もありそうですが・・・。ただHot100は80位から86位にダウンしています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はルシノ「ループザルーム」が先週の9位からアップ。チャートイン16週目にして初の1位獲得となっています。もともと昨年11月に行われた、作詞作曲者不明の状態で投稿される「無色透明祭3」に投稿された楽曲。その後、作者であるルシノによって正式公開され徐々に人気を確保。今週、見事に1位獲得となっています。2位はぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「『ヒトグイ、」がランクイン。3位は東京真中「ブレインロット」が先週の8位からランクアップし、5週ぶりのベスト3返り咲きとなっています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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アイドル系の新譜の中、健闘するロングヒット曲

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

アイドル系の新譜が目立つ中、ロングヒット系の奮闘が続いています。

まず1位は秋元康系女性アイドルグループ、乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」が初登場。CD販売数1位、ダウンロード数9位、ストリーミング数19位。楽曲タイトルがいかにも秋元康っぽい感じです。オリコン週間シングルランキングでは初動売上51万8千枚で1位初登場。前作「ビリヤニ」の初動55万4千枚(1位)からダウン。

2位はM!LK「爆裂愛してる」が先週の3位からアップ。ストリーミング数が4週連続の1位、動画再生回数も2位から1位にアップし、6週ぶりお1位返り咲き。これで9週連続のベスト10ヒット&通算6週目のベスト3ヒットに。M!LKは「好きすぎて滅!」も5位から4位にランクイン。動画再生回数は「爆裂愛してる」に譲る形で2位にダウン。一方、カラオケ歌唱回数は4週連続通算5週目の1位獲得となっています。これでベスト10ヒットは連続19週に。

3位には吉本興業所属の男性アイドルグループOWV「ROCKET MODE」がランクイン。CD販売数2位、ラジオオンエア数9位。オリコンでは初動売上5万枚で2位初登場。前作「BLACK CROWN」の初動4万1千枚(1位)からアップしています。

続いて4位以下での初登場盤ですが、こちらもアイドル系が初登場。まず9位ですがCLASS SEVEN「心にキスをした」が初登場。TOBE所属の男性アイドルグループ。CD販売数7位、ラジオオンエア数2位。前作に引き続き、CDはTOBE公式通販限定販売のため、オリコンではランキング圏外となっています。

そして10位にはBTS「2.0」が、ランクイン3週目にしてベスト10入り。ストリーミング数8位、動画再生回数3位。先日リリースされたアルバム「ARIRANG」収録曲。

そんな感じでアイドル系の初登場が今週も目立ちますが、一方、ロングヒット曲の奮闘も目立ちます。

まず米津玄師「IRIS OUT」は7位から5位にアップ。ストリーミング数はここに来て3位から2位にアップ。動画再生回数も5位から4位にアップ。これでベスト10ヒットは30週連続に。ダウントレンドだった先週から巻き返す結果となりました。

King Gnu「AIZO」も、先週から同順位の6位をキープ。こちらも通算13週目のベスト10ヒットに。ただ、こちらはストリーミング数が2位から3位に、動画再生回数も6位から8位にダウンしています。

さらにMrs.GREEN APPLE「lulu.」も先週から同順位の8位をキープし、しぶとい人気を見せつけています。ストリーミング数は先週から5位と同順位をキープ。こちらもベスト10ヒットを13週連続に伸ばしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年4月14日 (火)

爽やかさとヘヴィネスさが絶妙にブレンド

Title:Singin'to an Empty Chair
Musician:Ratboys

今回紹介するのはアメリカはシカゴ出身のインディーロックバンド。ギターボーカルのジュリア・スタイナーと、彼女のパートナーのギタリスト、デイヴ・サガンによって結成され、現在は4人組バンドとして活動しているRatboysの6枚目となるアルバム。デビューが2015年なので、そろそろ中堅のバンドなのですが、今回、はじめてアルバムを聴きました。

楽曲としてはオルタナ系のギターロックにカントリーの要素を加えた楽曲で、カントリーらしい爽やかでサウンドに、ノイジーで、ちょっとヘヴィネスさもあるギターサウンドのバランスがちょうどよい感じ。さらにボーカルのジュリア・スタイナーのボーカルと歌が清涼感あって、ポップで心地よいメロディーラインを楽しむことが出来ます。アルバムの冒頭を飾る「Open Up」はまさにそんなタイプの曲で、最初は爽やかなカントリー風の曲調からスタートし、後半はここにノイジーなギターサウンドが加わる展開。比較的シンプルでポップなギターロックに仕上がっており、非常にポピュラリティーのある作風となっています。

全体的にとてもポップで聴きやすいアルバムという印象。ジュリア・スタイナーのボーカルはキュートでインパクトもあって、メロディーラインは至ってポップ。爽やかなサウンドをベースとしつつ、ノイジーなギターサウンドがほどよいヘヴィーさがスパイスとなっています。特に「Anywhere」など疾走感あるポップでキュートなメロがインパクトがあって、ともすればJ-POP的にすら感じてしまいます。

ミディアムポップの「The World,So Madly」もメロディアスでキュートな印象が強い作品ですし、「What's Right?」も軽快なポップチューンでメロディーにインパクトも。いい意味で広いリスナー層に聴きやすいポップロックなナンバーに仕上がっているような印象を受けます。一方、ミディアムチューンの「Strange Love」などはよりカントリー色の強い印象。「Burn It Down」もブルージーなギターをしっかりと聴かせて、泥臭さのあるカントリーロックになっており、バンドとしての音楽性の広さを感じさせます。

一方、ポップなイメージのサウンドやメロディーと異なり、歌詞は人間関係の断絶や誤解がテーマとなっているそうで、意外とヘヴィーさがある点も特徴のひとつ。「Open Up」は歌詞を直訳すると「心を開いて」となるのですが、タイトル通り、「心を開くには何が必要?」と問いかけるような内容。「Always」などでは歌詞に適用障害という単語まで登場する、かなりヘヴィーなラブソングとなっています。ポップで爽やかなメロとサウンドとは裏腹な、意外とヘヴィーな歌詞も、このバンドの魅力であると言えるでしょう。

ただ、ここらへんの英語詞は、日本人である私たちにはストレートにわからないという点はマイナスであり、かつ、純粋にポップなメロを楽しむためにはプラスの要素にもなるかもしれません。とにかく、ポップでキュートなメロと、爽やかながらもヘヴィネスさもあるサウンドの組み合わせが絶妙かつ非常に魅力的。個人的には今年のベスト盤候補の1枚と言っていいかも。インディーロック好きやオルタナロック好きはもちろん、広いリスナー層にお勧めできる傑作でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Marty Supreme(Original Soundtrack)/Daniel Lopatin

普段はOneohtrix Point Neverの名前で活躍しているミュージシャンが、本名名義でリリースした作品は、3月より日本でも公開している映画「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」のサントラ盤。彼らしいちょっとドリーミーで、80年代っぽさも感じるエレクトロの楽曲が並びます。映画は見ていないのですが、1950年代を舞台とした映画だそうで、そこにこういう、50年代基準では近未来的なサウンドを取り入れるというアンバランスなユニークさを感じます。映画のサントラということで、1曲あたりは短く、ワンアイディアで曲を構成されている感じですが、彼らしさはしっかりと感じられるため、Oneohtric Point Neverが好きならばチェックしておきたい作品でしょう。

評価:★★★★

Oneohtrix Point Never 過去の作品
Age of
Magic Oneohtrix Point Never
Again
Tranquilizer

Everybody's Gotta Learn Sometime/BECK

BECKのアルバムは8曲入りのコンピレーション。基本的に8曲中7曲はカバーで、オリジナル曲は「Ramona」1曲のみ。カバー曲も既発表の曲が多く、どちらかというと企画盤的な内容となっています。カバーの方はエルヴィス・プレスリーやジョン・レノンから、ブラジル音楽の巨匠Caetano Velosoまで幅広い内容なのですが、全体的にフォーキー、ブルージーにメランコリックに聴かせる作風が多く、統一感ある内容に。派手なカバーはありませんが、これはこれでBECKのひとつの魅力を感じさせるアルバムになっていました。

評価:★★★★

BECK 過去の作品
The Information
Mordern Guilt
Morning Phase
COLORS
Hyperspace

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2026年4月13日 (月)

ヘヴィーなノイズを展開するが、リズミカルなエレクトロに聴きやすさも

Title:URGH
Musician:Mandy,Indiana

イギリスのマンチェスターで結成し、マンチェスターとベルリンを拠点とする4人組のエクスペリメンタル・ロックのよる2作目のバンド。ボーカルのバレンタイン・コールフィールドはパリ出身のため、使われている言語はフランス語。イギリス、フランス、そしてドイツと、ある意味、ヨーロッパをまたにかけているバンドということになります。グローバルな・・・と言ってしまうにはヨーロッパだけ、なのですが。

基本的にノイズやインダストリアルを前に押し出しているバンドなので、決して取っつきやすい訳ではありません。このアルバムも、冒頭を飾る「Sevastopol」はヘヴィーなノイズミュージックであり、決して万人受けするようなタイプの音ではありません。ただ、まずは聴きやすさを感じ、楽曲としてのインパクトを感じるのは続く「Magazine」。中盤からリズミカルなエレクトロビートが入ってきており、テクノやある意味、ビッグビートの色合いが強いナンバーに。Prodigyあたりが好きな人なら楽しめそうな感じで、いい意味での聴きやすさを感じる人も多いのではないでしょうか。

そして、一度、彼らのノイズ混じりのダイナミックでロッキンなビートに慣れると、そこからは非常に心地よい世界が待っています。ポエトリーリーディング気味のボーカルが力強い「try saying」、ダイナミックでヘヴィーなノイズを聴かせる「Life Hex」も、後半にはテンポよいエレクトロビートが楽しめます。

後半の「ist halt so」はヘヴィーなバンドサウンドをバックにラップが展開されるHIP HOP色の強いナンバー。さらに続く「Sicko!」では最近話題のラッパーbilly woodsが参加。ここらへんはHIP HOPのテイストの強い楽曲が続きます。かと思えば終盤の「Cursive」はリズミカルなエレクトロトラックが主導となるテクノ色の強いナンバーに。比較的、軽快な楽曲となっており、「ポップス」さも感じさせる曲になっています。

ちなみに前述の通り、ボーカルのバレンタイン・コールフィールドはフランス語が母語のため、歌は基本的にフランス語によるもの。海外のレビューコメントでは「フランス語であることが壁に感じる」とネガティブなコメントもついているようですが、それは我々日本人がいつも洋楽に関して感じることだよ・・・と思いつつ、ただ、フランス語の独特の響きもまた、バンドの味になっているような感じがします。ヘヴィーでとげとげしさを感じるバンドサウンドに対して、まろやかで丸みを帯びた印象を受けるフランス語とのバランスがユニークに感じました。

ヘヴィーでインダストリアル、ノイズも混じった楽曲は最初、聴きにくさもありますが、テクノ、ビッグビートの影響も感じるリズミカルなエレクトロサウンドはポップで聴きやすく、ダイナミックなロックサウンドも加えて、慣れていくと非常に癖になるような、完全にはまってしまうバンドだと思います。NINE INCH NAILSあたりのインダストリアル好きはもちろん、Prodigyあたりが好きな方でもお勧めできそうなアルバム。私もついついはまってしまった傑作でした。

評価:★★★★★

Mandy,Indiana 過去の作品
i've seen a way


ほかに聴いたアルバム

private music/Deftones

こちらは2025年ベストアルバムを後追いで聴いた1枚。こちらは「rockin'on」誌のベストアルバムで第〇位に入ったアルバム。アメリカのオルタナティヴ・メタル・バンドによる約5年ぶり10作目となるアルバム。「メタルバンド」というイメージが強かったので、いままでDeftonesについてはあまり聴いてきておらず、今回はじめて聴いた作品となるのですが、メタリックなサウンドを取り入れつつも、ノイジーなギターサウンドはオルタナ系の影響も色濃く感じられ、個人的には思ったよりも楽しめたアルバムになっていました。メランコリックなメロディーラインも耳なじみやすく、良い意味で聴きやすさも感じさせるアルバムとなっています。

評価:★★★★

hickey/Royel Otis

こちらも2025年ベストアルバムを後追いで聴いた1枚。こちらも「rockin'on」誌のベストアルバムで第〇位に入ったアルバム。てっきり男性ソロシンガー・・・かと思っていたのですが、オーストリア出身のロイエル・マッデルとオーティス・パブロビックによるデゥオだそうです。シンセも入りつつ、メランコリックでメロディアスなオルタナ系のギターロックな作品。いい意味で王道のストレートな感じのポップチューンになっており、気持ちよく楽しむことが出来ました。2月に初の単独来日公演が行われましたが、今後、日本での人気も高まりそう。

評価:★★★★★

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2026年4月12日 (日)

今度はクラシックの名盤100

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

イースト・プレスから出版された「クラシック名盤100」。著者はクラシック音楽評論家の許光俊となります。本書はイースト・プレスから出版されている「名盤100」シリーズの最新作。いままで、「日本語ラップ名盤100」「ヒップホップ名盤100」「20世紀ジャズ名盤100」を紹介してきましたが、そのシリーズの第4弾となります。

この手の名盤ガイドというと、通常は初心者向けに書かれたものになるのですが、このイースト・プレスから出版されている「名盤100」シリーズは、一般的なそのジャンルの名盤とはちょっと異なる、一癖のある作品を紹介しており、素直に初心者がこの名盤ガイドに沿って聴き始めると、良くも悪くも、ちょっと異なる道に迷い込んでしまうような、そんなガイドになっていました。

そのため、この「クラシック名盤100」についても、一般的に初心者が最初に聴くべき名盤が収録されている・・・かどうかは、正直なところ、クラシック音楽にさほど知見がないためわかりません・・・。ただ、紹介されている曲に関して言えば、ヴィヴァルディの「四季」やモーツァルトの「トルコ行進曲」、ベートーベンの「運命」などといった、定番中の定番が並んでいます。ただ、もっともクラシック音楽にとっては、楽曲自体に加えて、指揮者やオーケストラ、演奏家なども重要な要素。そういう観点からは、本作で紹介されているアルバムが、王道を行くようなセレクトなのか、ちょっとひねったセレクトなのかはわかりません・・・。

一方で、本書に書かれた紹介文の方は、初心者向けで非常にわかりやすかったように感じます。著書の許光俊は、以前、「はじめてのクラシック音楽」という著書をここまで紹介しましたが、かなり癖のある物言いのする評論家。もちろん、それはそれで彼の魅力とも言えるのですが、一方、好き嫌いはわかれそうな感じはします。実際、「はじめてのクラシック音楽」でも、カラヤンや小澤征爾といった、おそらくクラシック初心者でも名前くらい聞いた事ある程度に有名な指揮者をケチョンケチョンに悪く言っています。

ただ、本書に関しては、彼の文章は非常に読みやすかったように感じます。もともと、「はじめてのクラシック音楽」でも平易な文章は書いていたのですが、この手のクラシック本にありがちな、音楽性に言及する難易度の高い物言いは皆無。かといって、よく書店に並んでいる「クラシック音楽入門」みたいな音楽の教科書にそのまま出てきそうな程度の、表面をさらっとなぞる程度の浅い表現にもなっておらず、そういう意味では、「よくわかるクラシック名曲集」みたいな感じの、10枚組で3,000円くらいで売っていそうな、クラシックのよく知られた曲の有名な部分だけを集めたようなアルバムを卒業して、指揮者やオーケストラを基準に、クラシックの名盤を聴いてみよう、と心がける、「入門」の次の段階にはうってつけの名盤集になっているようにも感じます。特に「関連盤」としては、同じ楽曲の、他の指揮者、演奏家によるアルバムを紹介しており、「聞き比べ」も出来るような紹介方法をとっていました。

率直なところ、私自身も完全にクラシック音楽の初心者であるがゆえに、本書が本当に初心者向けなのか、またここで紹介されているアルバムが、一般的にどの程度の評価を受けているのか、正確なところはわかりません。ただ、初心者としても、読んでいて、本書を参考にいろいろと聴いてみたいな、と思わせるような1冊だったと思います。クラシック音楽に興味がある方は、チェックして損はない1冊ではないでしょうか。いろいろと参考になりそうな1冊でした。

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2026年4月11日 (土)

10代兄妹のバンドによる注目のデビューアルバム

Title:Wasted On Youth
Musician:The Molotovs

基本的にヒットチャートは、日米英のチャートを毎週チェックしているのですが、イギリスのヒットチャートはアメリカのビルボードと比べ市場が小さいため、アメリカに比べてバラエティー富んだミュージシャンたちがチャート上位に顔をのぞかせることが少なくありません。特に、ロックバンドについてはアメリカに比べて、まだまだロックの人気が高いため、おもしろいバンドがいきなりチャート上位にランクインしてくることも少なくありません。

今回紹介するバンドThe Molotovsも、そうやってイギリスのアルバムチャートをチェックしている中で見つけたバンドのひとつ。10代の兄妹、マシュー・カードリッジとイッセイ・カードリッジによる2人組バンドとなっています。異性の兄弟による2人組バンドと言えば、ご存じThe White Stripesを思い起こさせますが、こちらはおそらく本当の兄弟ではないかと思われます、多分。もともと2020年に結成。ただこの時は、例のCOVID-19によるパンデミックが起こり、イギリスでもライブハウスが軒並み閉鎖されたそうで、その影響で当初は路上や公園などでライブを行い、徐々に腕を磨き、The LibertinesやIggy Popのオープニングアクトに起用されるなど大きな話題を呼びました。そして2025年にマーシャル・レコードと契約。このレーベル、あの伝統的なアンプメーカーのマーシャルが2016年に立ち上げたレコードレーベルだとか。そして、デビューアルバムである本作が今年の1月にリリース。イギリスの公式チャートでいきなり3位を記録するなど、大ヒットとなっています。

そんな彼らの奏でるロックは、一言で言えば非常にストレートなパンクロック。アルバムの1曲目「Get A Life」は、いきなり「OK」というキューの音がそのまま入っているあたり、音源の一発録りのライブ感を意識したような感じになっていますし(本当に一発録りなのかはわかりませんが)、The JAMあたりを彷彿とさせる、イギリスの伝統的な、とも言えるストレートなパンクロックが展開するような作品となっています。

デビューシングルともなっていた「More More More」も3曲目に収録。こちらもかなりストレートで心地よい、ガレージロックの色合いも感じさせるストレートなロックチューン。メロディーラインもポップな感があり、デビューシングルだからこそ、The Molotovsらしさを表現した作品となっています。

そんな感じでストレートなロックナンバーが11曲つまったこのアルバム。それで全32分、1曲あたり3分弱という長さもまた、シンプルなパンクロックらしい好印象を受ける構成で、最後まで一気に聴ける内容となっています。ただ、おもしろいのは前述の通りのパンクロック、あるいはガレージロックをストレートに表現するロックチューンだけではなく、微妙に雑食性も感じさせる部分が顔をのぞかせている点。例えば2曲目の「Daydreaming」など、イントロのギターから完全にoasisの影響も感じられます。出だしの歌い方や、その後の節回しも完全にoasisって感じで、ちょっとストレートすぎない?と思ってしまう点も。

また、中盤の「Come On Now」のヘヴィーなギターリフも、パンクロックというよりはむしろハードロックからの影響を感じさせますし、中盤から後半にかけてのナンバー、例えば「Newsflash」あたりはむしろGREEN DAYあたりを彷彿とさせるメロパンク系の楽曲になっています。一方、中盤に配置された「Nothing Keeps Her Away」などはアコギでメランコリックに聴かせるナンバーとなっており、アルバムの中のチルアウト的なナンバーとしてちょうどよいインパクトも。また、ラストの「Today's Gonna Be Our Day」は軽快なロックンロールの色合いも強いナンバーとなっており、彼らの雑食性を感じさせる構成となっています。

ただ、全体的には軽快なパンクロックバンドで統一されており、勢いもあって最後まで一気に楽しめる楽曲。正直言うと、シーンを切り開くような圧倒的な目新しさ、みたいなのはちょっと欠ける部分はありますし、メロディーラインのインパクトという点でもちょっと物足りなさを感じる部分もありました。この手のロックバンドはいかにも日本人好み・・・というよりは、日本のロック系メディア好みなのに、さほど大きく盛り上がっていないのは、国内盤がリリースされていないから、というビジネス上の事情もありつつ、もろ手あげて大絶賛するには躊躇するような要素もあるからかもしれません。

しかし、気になる点はありつつも、やはりこのシンプルでストレート、なによりも勢いのあるパンクロックは実に魅力的。ライブもかなり盛り上がりそうだし、ロック好き、特にパンクロックやガレージロックが好きな層にはストレートにぶっささりそうなアルバムだと思います。ちなみにバンド名の「Molotov」とは、ソ連の政治家から名前をとった火炎瓶のことで、ここらへんのロックらしい、でも微妙にベタな命名センスもまたいい感じ。間違いなく、これからに期待したいロックバンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Janji/Dayang Nurfaizah

Janji

2025年ベストアルバムで聴き逃していたアルバムを後追いで聴いた作品。本作は「Music Magazine誌」の「ワールドミュージック」部門で8位にランクインした1枚。1999年にデビューしたマレー語のポップスシーンを代表する女性シンガーによるアルバム。バラードを中心にしんみりと歌い上げるスタイルが特徴的で、楽曲的にはむしろ日本のムード歌謡曲にすら近い感じの哀愁たっぷりに聴かせるスタイル。ただし、途中、今風のR&Bな楽曲も聴かせてくれており、ベテランらしい、包容力あるボーカルにバリエーションの富んだ作品を聴かせてくれています。

評価:★★★★

Dayang Nurfaizah 過去の作品
BelaguⅡ

ESPERANSA(邦題 エスペランサ~希望~)/Nancy Vieira&Fred Martins

こちらも2025年ベストアルバムで聴き逃したアルバムを後追いで聴いた作品。本作も同じく「Music Magazine誌」の「ワールドミュージック」部門で10位を獲得したアルバム。カーボ・ヴェルデ出身の歌手、Nancy VieiraとブラジルのシンガーでギタリストでもあるFred Martinsによるデゥオ。カーボ・ヴェルデとブラジルの音楽性を取り入れつつ、他にもキューバやポルトガルなど様々な国の音楽を取り入れた作品。また「Saiko Dayo」という作品は、1970年代に日本のマグロ漁船がカーボ・ヴェルデに寄港した時に日本人が口にした言葉を元にしているなど、まさにワールドワイドな作品となっています。全体的にはブラジルのボサノヴァなどの影響を感じさせる、メロウで優しい雰囲気のポップが流れる作品で、いい意味で広い層に聴きやすい、暖かいポップチューンが流れる作品となっています。世界には素晴らしい音楽があふれていることを感じさせる1枚です。

評価:★★★★★

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2026年4月10日 (金)

若干、テーマ設定がわかりにくいが・・・。

TM NETWORK TOUR 2026 QUANTUM

会場 愛知県芸術劇場 大ホール 日時 2026年4月2日(木) 19:00~

2024年に行ったライブ以来、ちょうど2年ぶりにTM NETWORKのライブに足を運んできました。今回は名古屋の愛知県芸術劇場。会場は満員。私は先行予約だったにも関わらず、5階席の後ろの方という、ほぼ最後尾。芸術劇場は何度も足を運んできたのですが、5階席ははじめて。ステージ全体は見渡せるのですが、さすがに遠い・・・。

ライブはちょうど19時にスタート。最初は「RESISTANCE」からスタート。メンバー3人はいずれも真っ白い服に身を固め、「RESISTANCE」はアコースティックなアレンジで聴かせてくれます。ステージ上はグランドピアノが設置され、小室哲哉はピアノでの演奏。木根尚登はアコギを惹いての演奏となりました。

さらに、「DON'T LET ME CRY」へと続き新曲「We Can't Stop That Way」へ。その後、スクリーン上にメッセージが。「QUANTUM=量子」と名付けられた今回のツアーのテーマは「量子のもつれ」だそうで、量子のもつれの説明がされていたのですが、これ、作っている人、ちゃんと理解してテーマ設定したのかな?という疑問はふつふつとわいてきました(笑)。まあ、あくまでも「イメージ」なんでしょうが。

その後はインスト曲が続きますが、このライブツアーで披露された新曲「組曲 QUANTUM」だそうです。続く「RUN THROUGH THE NIGHT」は、木根尚登ボーカルでウツがアコギという珍しい編成での曲をしんみり聴かせ、その後は「Human System」へ。感情たっぷりのナンバーで、個人的にも大好きな楽曲なのでしんみり聴き入ります。

「TIMEMECHINE」とまた懐かしいナンバーから「組曲 Major Turn Round」でインスト曲を聴かせ、「FOOL ON THE PLANET」へ。ここらへんは聴かせる曲が続きます。続く小室哲哉のソロパートでは、小室哲哉のボーカルパートもあり、珍しく小室哲哉の歌声を聴けるシーンとなっていました。

ここからライブは後半戦へ。「BEYOND THE TIME~メビウスの宇宙を越えて~」から「Kiss You」へ。ここでウツはマリリン・モンローの絵が描かれたジャケットを着て登場。このジャケット、「Kiss You」のMVで使われたものだそうで、会場からは歓声があがります。そして、さらに「Get Wild」へ。ここではバックのスクリーンに当時のMVが流れ、昔の映像と、今の彼らがリンクするという演出が。ここらへんは「量子のもつれ」を意識したのでしょうか??

さらに、ここで今度は木根尚登がグランドピアノの演奏を披露。一度バックに下がったウツが再び戻ってくると、なぜか名古屋市のキャラクター、はちまるのぬいぐるみとダンシングフラワーをもって登場。この2つをグランドピアノの上に置くと、「You Can Dance」へ。アップテンポなダンスナンバーで盛り上がります。ラストは「CUBE」で締めくくり。最後はメンバー3人がステージ前で挨拶をして締めくくり。メンバーが去ると、スクリーンにはエンディングのメッセージとクロージングが流れ、最後の最後に新曲を作るというメッセージも。うれしいサプライズでライブは幕を閉じました。

終了はほぼ21時。今回もTMらしい、時間通りのスケジュールでのライブとなっていました。今回も、懐かしいナンバーもたくさん聴けたし、特に終盤は盛り上がりましたし、とても楽しい時間を過ごせたライブでした。また、サポートメンバーが入っていた前回のライブと異なり、今回は3人のみのステージ。特に小室哲哉と木根尚登がお互いの持ち場を入れ替わって演奏したり、ウツがアコギを弾いたりと、3人のみだからこそのパフォーマンスも見どころだったように感じます。

ただ、途中の組曲のパートは、ミディアムテンポの聴かせる曲が多く、また正直なところ、小室哲哉のインスト曲であまりおもしろい曲がないので、ちょっと中だるみしてしまった感も・・・。また、「量子のもつれ」というテーマ設定が、わかりにくなったような感じもしました(というか、テーマ設定した本人が本当にわかっているのかも疑問・・・)。

まあ、そんな気になる点はあったものの、全体的にはやはりとても楽しいステージだったのは間違いありません。また近いうちに新曲も聴けそうですし、また是非、TM NETWORKのライブ、足を運びたいです!

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2026年4月 9日 (木)

3週連続の1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで3週連続の1位獲得となりました。

今週1位はBTS「ARIRANG」が先週に引き続いての、これで3週連続1位を獲得です。CD販売数は3位から4位にダウンしましたが、ダウンロード数2位、ストリーミング数1位は先週から変わらずとなります。

2位はNiziU「GOOD GIRL BUT NOT FOR YOU」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数11位。2枚目となるEP盤。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上19万2千枚で1位初登場。前作のフルアルバム「New Emotion」の初動17万1千枚(1位)からアップしています。

3位はHANA「HANA」が先週と同順位でランクイン。ストリーミング数は3週連続で2位を獲得しています。

4位以下の初登場盤では8位にYe「BULLY」がランクイン。ストリーミング数で7位獲得。こちら、アメリカの人気HIP HOPミュージシャン、カニエ・ウェストの現在の名義。カニエ人気はもちろん、RADWIMPS野田洋次郎が参加したことが話題になった影響でしょう。カニエは過去に反ユダヤ的な発言を行ったり、ヒトラーを礼賛するような曲を作ったりと、問題となる言動を多く行っています。最近、日本移住が噂されているそうで、よく来日しているそうですが、ここらへんの発言でアメリカにいられなくなりつつある、という要素も大きい模様。そんな中、野田洋次郎が嬉々として参加しているのは、まあ、ミュージシャンとしてはカニエに声をかけられたら参加するよね、というのはあるし、実際、アメリカでもトラビス・スコットやらローリン・ヒルやらカニエの作品に参加するミュージシャンは今でも多いようですが、それにしても、参加に関して少しはエクスキューズが合ってもよいのでは?とは思ってしまいます。

ロングヒット盤では「超かぐや姫!」が7位から5位にアップ。これで9週連続のベスト10ヒット。King&Prince「STARRING」も8位から7位にアップ。こちらは15週連続のベスト10ヒット。XG「THE CORE-核」は先週から同順位の9位をキープ。こちらは11週連続のベスト10ヒットとなっています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週もクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」が2週連続の1位獲得。これで通算4週目の1位獲得となりました。ちなみにHot100では88位から80位にアップ。若干盛り返しています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位はOmoi「スパイラル・メロディーズ」が先週の10位からランクアップし、チャートイン4週目にして初の1位獲得。ポケモンと初音ミクのコラボ企画「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs High↑」から生まれた曲となります。2位はカラスヤサボウ「たびだちのうた」が先週の6位からランクアップ。こちらも同じコラボ企画から生まれた曲。3位も同じくポケモンとのコラボ企画から、kz×TAKU INOUE「クロスロード」が、こちらは先週の2位からワンランクダウンとなっています。今週、ベスト3にポケモンとのコラボ曲が並びましたが、こちらは3月20日から22日に、同企画のイベント「ポケモン feat.初音ミク VOLTAGE Live!」が開催された影響と思われます。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年4月 8日 (水)

アイドル系の新譜が目立つ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もアイドル系が目立つチャートとなりました。

まず1位は=LOVE「劇薬中毒」が獲得。元AKB48の指原莉乃プロデュースによる声優アイドルグループ。CD販売数1位で、その他はランク圏外ながらも総合チャートでも1位獲得。オリコン週間シングルチャートでは初動売上36万枚で1位初登場。前作「ラブソングに襲われる」の初動33万枚(1位)からアップ。

2位はavex所属の男性アイドルグループSTARGLOW「USOTSUKI」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数2位、ラジオオンエア数1位。オリコンでは初動売上2万8千枚で3位初登場。前作「Star Wish」の初動4万2千枚(1位)からダウン。

3位はM!LK「爆裂愛してる」が先週の2位からダウン。ストリーミング数が3週連続の1位を獲得し、これで8週連続のベスト10ヒット&通算5週目のベスト3ヒットとなりました。ちなみに「好きすぎて滅!」もワンランクダウンながらも5位にランクイン。動画再生回数は2週連続、カラオケ歌唱回数は3週連続通算4週目の1位獲得。これで18週連続のベスト10ヒットとなっています。

4位以下の初登場曲では、まず9位にHANA「Bad Girl」がランクイン。Apple「グループセルフィーをiPhone 17 Proで」キャンペーンソング。いままでの彼女の曲とは異なりロック調の曲になっています。ダウンロード数及びラジオオンエア数が7位、ストリーミング数及び動画再生回数が9位。ただ一方、「Blue Jeans」は今週13位にダウン。ベスト10ヒットは通算33週で再びストップしています。

10位にLDH所属の男性アイドルグループKID PHENOMENON「Mirror」がランクイン。CD販売数2位。オリコンでは初動売上4万4千枚で2位初登場。前作「Black Flame」の初動4万5千枚(3位)より微減。

ロングヒット曲では、King Gnu「AIZO」がここに来て8位から6位とランクアップ。特にストリーミング数が5位から2位に大幅にアップしています。これで通算12週目のベスト10ヒットとなります。

一方、米津玄師「IRIS OUT」は5位から7位にダウン。ストリーミング数は今週2位から3位にダウン。一方、動画再生回数は6位から5位にアップ。これで29週連続のベスト10ヒットとなりましたが、このままじり貧となるか、再度の巻き返しがあるか??

Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も6位から8位にダウン。ストリーミング数は4位から5位にダウン。一方、ダウンロード数は12位から9位にアップしています。これでベスト10ヒットは12週連続となりました。

そんな訳で、アイドル系が目立った今週のチャートでしたが、そんな中、嵐「Five」は9位から14位にダウン。ベスト10ヒットはわずか4週で終了となりました。現在、ラストライブツアー中の彼らで、各地でそれに伴う混雑ぶりも大きな話題となっていますが、ただ、この売上の結果から考えると、ファンの間では盛り上がっているものの、それ以外への波及は限定的で、やはり今話題のM!LKやHANAなどと比べると「過去のアイドル」となってしまった感は否めません・・・。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2026年4月 7日 (火)

横山剣の思い出がたっぷり語られる昭和歌謡の評論本

今回は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

ご存じ、クレイジーケンバンドのボーカリスト、横山剣が、昭和歌謡曲の名曲を紹介する「昭和歌謡イイネ!」。週間ポストで2022年から2025年にかけてコラムとして掲載されたものをまとめた1冊となります。今年2026年は昭和元年から起算し、ちょうど「昭和100年」にあたる年。その影響もあってか、昨年あたりから、昭和歌謡曲をテーマとして紹介する書籍が多く出版されています。ただ、そんな中でも本書を書いた横山剣と言えば、彼が率いるクレイジーケンバンドは、昭和の歌謡曲的要素を楽曲に取り入れているバンドとして知られ、特に昭和歌謡曲の再評価の嚆矢的なバンドとも言えるバンド。それだけに、彼が語る「昭和歌謡」に興味を抱き、この本を読んでみました。

基本的に本書に紹介されている「昭和歌謡曲」は、あくまでも横山剣自身がピックアップしたものであり、彼の思い入れのある楽曲が紹介されています。本書では発売順に紹介されているのですが、美空ひばりの「お祭りサンボ」からスタートし、「ブルー・ライト・ヨコハマ」や「喝采」など、この手の書籍に大抵紹介されるような歌謡曲の王道を紹介。一方ではイエロー・マジック・オーケストラの「ライディーン」やプラスチックスの「トップ・シークレット・マン」など、昭和の曲ながらも、歌謡曲の範疇からは外れそうな曲も取り上げられています。さらにユニークなのは、「11PMのテーマ」や「ウルトラセブンの歌」、「マッハGoGoGo主題歌」などといった曲も紹介。横山剣の思い入れのある曲が多岐にわたって紹介されています。逆に、彼の好みではなかったような曲はあまり紹介されておらず、特に顕著なのがフォーク系で、完全に彼の好みから外れているようで、ほとんど取り上げられていない他、ロック系も、彼が所属していたクールスや矢沢永吉近辺が多く取り上げられている一方、RCサクセションは取り上げられておらず、はっぴいえんど近辺もYMOや大瀧詠一近辺は取り上げられている一方、細野晴臣は取り上げられておらず、ここらへん、彼の趣味性が多く反映された選曲となっていました。

そんな少々癖のある選曲にはなっているのですが、ただ、これが読んでいて非常におもしろい内容になっており、読んでいる手が止められないような内容でした。横山剣の文章自体、とても軽快な文章でありつつ、軽薄になりすぎない読みやすい文章だったのもあるのですが、全体的に、横山剣の自叙伝を読んでいるような、彼のこれまでの思い出を反映させた文章がとても印象的な内容になっています。

基本的に歌謡曲の紹介なのですが、文章の主体となっているのは、横山剣の曲に関する個人的な思い出がメイン。もちろん、楽曲自体の簡単な紹介や、プロならではの曲の分析もあるのですが、これを読んでいると、楽曲自体よりも、むしろ横山剣個人のこれまでの歩みについて印象に残るような内容になっていました。

要するに、歌謡曲を使って「自分語り」をしている訳で、これが凡百の音楽ライターがこれをやってしまうと(某ロケノン系みたいに)不快感の残るレビューになってしまうのですが、横山剣のこれまでの人生自体がとても洒脱であり、読んでいて惹かれてしまいます。もともと彼は、父親がTBSに勤めていたりして、芸能関係とは比較的近い環境に育った上、高校はかの堀越高校(一般コースらしいのですが)。さらに高校中退後はちょっと不良になっていたようですが、横浜近郊で自由気ままに遊んでいたようで、芸能界の華やかな世界とも近い、都会的な生活をしていたようで、それだけに曲に関する思い出も、独特で、ちょっとうらやましくなるような都会的なキラキラ感のあるエピソードも多く、それだけでも読んでいて楽しくなってきました。

また、本書では特別対談として、昭和歌謡を彩って来た人達との対談が組まれているのですが、堀越高校出身の岩崎宏美、浅野ゆう子とは、まさに「同じ高校出身」らしいトークが繰り広げられており、こちらも横山剣ならではの対談となっています。とても読み応えのある対談でした。

まさに横山剣しか書けないような「昭和歌謡曲」の評論となっており、おそらく昭和歌謡曲に直接興味がなくても楽しめる1冊だったと思いますし、クレイジーケンバンドが好きならば、昭和歌謡以上に横山剣の本として、必読の1冊だと思います。昭和歌謡に対してだけではなく、この本自体に対して「イイネ!」と言いたくなるような良書でした。


ただ、この本については、前述の通り、「良書」だと思うのですが、最近、この手の「昭和歌謡」を語る書籍に関して、強烈な違和感を覚えることが少なくありません。それは、この「昭和歌謡」として、いわゆるヒットチャートの中心で歌謡曲として人気となっていた曲と、例えば(本書でも取り上げられている)YMOや山下達郎や松任谷由実といった「ニューミュージック」や「ロック」で括られるような曲が、ともすれば「昭和歌謡」の一言で同一視されている点に、どうにも違和感を覚えます。この「ニューミュージック」「ロック」と呼ばれた、いわばサブカルチャー的な音楽は、ともすれば「アンチ歌謡曲」的に当時はリリースされたはずなのに、それも「昭和歌謡」と一緒にされて、ともすれば「現在の音楽」に対する批判にすら用いられている点には、疑問にも感じてしまいます。

この点、以前、本サイトでも紹介した、「演歌=日本の心」のような議論を実証的に検討し、その虚偽性を暴いたとして高い評価を受けた輪島裕介著「創られた『日本の心』神話」の中でも批判的に取り上げられており、「『歌謡曲』『昭和歌謡』といった言葉で、昭和四〇年代から昭和末期までの主流的なレコード歌謡をあたかも一つのジャンルとして括る」という「歴史の読み替え」は、「かつて『演歌』ないし『艶歌』という言葉で昭和三〇年代までのレコード歌謡をジャンル化したことと、ある種の類似性を持っており同程度のバイアスを含んでいる」と記載しています。要するに、本書の中で取り上げられている、「演歌=日本の心」というある種のバイアスにまみれた歴史を作り上げた構造と類似している、と指摘しています。

そういう意味で、確かに昭和時代のポップスは、非常に幅広く多様性があったのは間違いないと思うのですが、それを「昭和歌謡」という言葉で括ってしまうのは、ちょっとその時代のポップスを単純化しすぎてしまっているのではないか、という疑問は強く抱いてしまいます。本書では横山剣個人の好みが強く反映されているので、そこまで違和感は抱かなかったのですが・・・これが、昨今の「昭和歌謡」本に関して、私が強く疑念を抱いている大きな要因だったりします。変に単純な「昔はよかった」論に陥らないようにしたいものです。

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2026年4月 6日 (月)

m-floの「新たな一歩」とは言えないが・・・

Title:SUPERLIMINAL
Musician:m-flo

2017年に、オリジナルメンバーLISA復活で活動を再開したm-flo。ただ、その後の活動については必ずしも順調とは言い切れないように思います。2019年にメンバー3人による待望のアルバム「KYO」がリリースされたものの、その後の活動は比較的散発的。時々のライブの出演や新曲を時々発表する程度で、活動中にも関わらずm-floという名前を聴く機会はあまり多くなかったように思います。

ただ、そんな中、2024年にはlovesシリーズとして、再び様々なミュージシャンとのコラボによる配信シングルのリリースをスタート。特に昨年は6月から9月にかけて毎月配信シングルをリリースするなど、ようやく積極的な活動を行った・・・と思った矢先、9月に「リミナル期間」に入ると宣言し、本作のリリース及び2月19日の東京ガーデンシアターでのライブを最後に、再び無期限の活動休止期間に入ってしまいました。

そんな彼らの「リミナル期間」突入前最後のアルバムとなる本作を聴くと、確かに2017年の再結成後、現在に至るまで活動がいまひとつ停滞気味で、かつ、「リミナル期間」に突入する理由もなんとなくわかるような気がします。m-floというと、かつては最先端の・・・というよりは、徐々に普及してきた半歩先のサウンドを積極的に取り入れてポップにまとめあげる、というスタイルが、非常に刺激的で新鮮で、ワクワクするようなサウンドを聴かせてくれていました。今回のアルバムも、確かに今風のクラブ系のサウンドを積極的に取り入れています。ただ、非常に斬新で新しいサウンドか、と言われると微妙に感じます。

例えば本作では彼らの代表曲でヒット曲の「come again」が、「come again*Reloaded」が収録されています。あの櫻井翔が参加しているという超豪華な組み合わせなのですが、過去のヒット曲の焼き直しをしてしまうあたりがちょっとm-floっぽくない感じもしますし、基本的には原曲に重低音のビートを加えて、それなりに今風にアップデートしているのですが、目新しいか、と言われると微妙な感じがしてしまいます。

「You Got This」なども、かつてのm-floらしさが全快のR&B風のエレクトロナンバー。LISAのボーカルを上手く使っているメロウなポップにまとめているのですが、こちらもある意味、m-floらしすぎて「大いなるマンネリ」にも感じてしまいます。こちらもあまりm-floらしい目新しさは感じません。

・・・とここまでかなりネガティブに本作を語っていましたが、じゃあ、この作品がm-floらしさが出ていない残念な作品だったか、と言われると全くそうではなく、むしろかつてのm-floのアルバムと同様、聴いていて楽しくなる非常にポップな作品に仕上がっていました。

また、いつものように本作の世界観を反映させたユニークなオープニングからスタート。「EKO EKO」では韓国のラッパーZICOとのコラボ。途中、韓国語も入るグローバル志向の作品となっていますが、基本的に軽快でリズミカル、ラップパートもどこかユーモラスで楽しいポップに。続く「RUN AWAYS」もちょっとハードコア的な要素を入れつつ、ハイテンポなエレクトロビートがポップで楽しいHIP HOPの楽曲。そして前述の「You Got This」は、前述の通りm-floらしい「大いなるマンネリ路線」なのですが、逆に言えば、LISAが復活したからこそ、ある意味、こういう曲を待っていた!といった感じのナンバーとも言えるかもしれません。

その後の「GateWay」もパンキッシュなエレクトロチューンでワクワク感のあるポップですし、ちょっとのパートですぐに彼だ!とわかるDiggy-MO'のラップも楽しいナンバー。こちらもマイクリレーが楽しい「ARIGATO」は、m-flo以上に参加しているRIP SLYMEらしい楽曲になっています。「CHARANGA」はお祭り的なビートの楽しい、ラテン的な要素の入ったナンバーになっていますし、ディスコ風な「MARS DRIVE」、ダイナミックでロッキンな「Reckless」など、バラエティー富んで様々な音楽的な要素を加えつつ、しっかりとポップにまとめあげている、ある意味m-floらしい曲の連続に、素直にワクワクさせられます。

そんな訳で、バラエティー富んだ曲調で、とにかくポップに楽しませてくれる、というm-floのスタイルは今回のアルバムも間違いなく健在。正直、バラエティーに富みすぎて、アルバム全体として若干バラバラに感じてしまう点はマイナスでもあるのですが、それを超える楽しさのある作品であることは間違いないと思います。アルバムとしては十二分に楽しめた作品だったので、十分すぎるほど「傑作」と言える作品。ただ一方、最初にも書いた通り、常に新たな一歩を進み続けたm-floにとっては、「新たな一歩」というよりは「いままでの集大成」的な側面は否めません。LISAが参加しながらも、再びlovesシリーズを開始したあたり、あらたなミュージシャンとのコラボで、あらたな化学反応を探ったのかもしれませんが、結果「リミナル期間」に入ってしまうあたり、予想していたほどの化学反応が出なかったのかもしれません。

ただ、この「リミナル期間」は単なる無期限の活動休止期間ではなく、本人たちいわく「さらなる進化を遂げるため」の期間と言っており、その間に「新しい音、新しい出会い、新しいインスピレーションを見つけ、次なるステージへと進みたい」と言っており、かなり前向きな決断にも感じられます。個人的にはその言葉を信じ、次の一歩であらたなm-floを見せてくれることに期待したいところ。少なくとも楽しくポップという彼らのスタイルは本作でも健在だっただけに、次なるm-floを期待して待っていたいと思います。

評価:★★★★★

m-flo 過去の作品
electriCOLOR -COMPLETE REMIX-
Award SuperNova-Loves Best-
m-flo inside-WORKS BEST III-
MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-
m-flo inside-WORKS BEST IV-
SQUARE ONE
m-flo DJ MIX"BON ENKAI"
NEVEN
FUTURE IS NOW
KYO


ほかに聴いたアルバム

「MOTHERのおんがく。」〜THE MUSIC OF MOTHER〜/鈴木慶一&TONZURA MOTHER BAND

ゲームとして、今なお多くのファンをかかえる「MOTHER」。鈴木慶一の手掛けるゲーム音楽も、ゲームという枠組みを超えて高い評価を得ているのですが、本作は2024年6月22日に行われた「MOTHER3」発売30周年を記念して行われた配信ライブの模様を収録したライブアルバム。バンドメンバーにはゴンドウトモヒコ、澤部渡(スカート)など豪華メンバーが並び、ゲストボーカルとして坂本美雨も参加した豪華なステージ。途中、メンバーとのトークなどもそのまま収録されており、電子音楽であるゲーム音楽とは異なり、こちらはオーガニックな暖かい雰囲気のライブ。メランコリックに聴かせる楽曲の数々は、確かにゲームという枠組みを超えて高い評価を受ける理由もわかります。基本的にはアコースティックにメロディーを聴かせる楽曲なのですが、一部はサイケなサウンドを入れて挑戦的な一面も。ゲームを知る人も知らない人も、鈴木慶一のライブ音源として十二分に楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

鈴木慶一 過去の作品
シーシック・セイラーズ登場!
ヘイト船長回顧録
謀らずも朝夕45年
Records and Memories
MOTHER MUSIC REVISITED

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2026年4月 5日 (日)

彼女の死生観を反映させた久々の新作

Title:潮汐
Musician:二階堂和美

世間的には、ジブリ映画「かぐや姫の物語」の主題歌「いのちの記憶」を歌ったことでも知られるシンガーソングライター、二階堂和美の、実にオリジナルアルバムとしては約14年ぶりとなるアルバム。途中、彼女初のエッセイ集がリリースされたり、テレビ番組に出演していたりと、「活動」は行っていたものの、音楽作品としては実に久しぶりの作品となりました。ただ、その14年間、彼女には様々な出来事が起こりました。結婚、出産、実家の家業を承継して、住職(!)としての活動。さらには2022年に突然訪れた夫の急逝・・・。時々、ニュースなどで取り上げられることも多かったので、彼女の動向については一応知ってはいたのですが、波乱万丈と言ってしまってもいいかもしれません。今回のアルバムタイトル「潮汐」は、潮の満ち引きのこと。まさに、この14年間の間の彼女を象徴するかのようなタイトルといっていいかもしれません。

今回のアルバムの収録曲は全8曲。久しぶりのアルバムとしてはちょっと短めかもしれません。また、共同プロデュースにクラムボンの原田郁子を起用したほか、キセルの辻村豪文、ceroの高城晶平、minä perhonenの皆川明も楽曲を提供する作品となっています。楽曲は、基本的にピアノを中心として、ベースとドラムスのみのシンプルな演奏で、ジャジーな雰囲気も漂う楽曲。静かに彼女の歌と歌詞を聴かせるような作品になっています。

アルバムの前半はそんな他のミュージシャンたちが楽曲を提供した曲が並びます。高城晶平作詞作曲による「リトル・トラベラー」はピアノと歌のみでシンプルに聴かせるジャジーな楽曲。人生を旅に仮借したように感じる歌詞は、ある意味、この14年間の彼女を綴ったともとれる内容に。ある意味、亡き夫に対するラブソングにもとれる歌詞になっています。逆に皆川明が歌詞を書いた「つけっぱなし」は生命力あふれる歌詞と歌となっている、こちらは子供に対しての思いとも解釈できそうな内容になっています。

その後もちょっとコミカルでラテン風の原田郁子作詞作曲による「あれもこれも」や辻村豪文作詞作曲によるピアノバラード「恋しがっているよ」など、前半は様々な作家陣を入れたからこそのバラエティーある展開が魅力的。辻村豪文の「恋しがっているよ」は、最初、ピアノの雰囲気から原田郁子っぽい、と思っただけに、彼の作詞作曲だったのはちょっと意外。二階堂和美が歌うことによって、キセルとはまた違う、辻村豪文の曲の魅力を感じることが出来ます。

一方、後半には二階堂和美の作詞作曲による楽曲が並ぶのですが、こちらは彼女の死生観がストレートに反映されたような曲が並びます。ジャジーで軽快なポップ「BILLIE」は、軽快な曲ながらも「死んだあとに残るのは歌だけ」とある意味、ストレートな主張。まるでQUEENの曲を彷彿とさせるような力強いリズムが鳴り響く「つながりあって生きている」も、タイトルそのままストレートに「命」を歌う曲。ピアノのみで静かにスタートしつつ、途中からアコーディオンや太鼓、トランペットも入って賑やかになってくる「うまれてきたから」も、「産まれてきたものは必ず死ぬ」というシンプルながらも真理をつく死生観をそのまま綴った曲。後半の彼女が作詞作曲を手掛けた曲に関しては、少々教条主義的な感もあるのですが、この死生観をしっかりと歌った歌詞が、僧侶としても活動している彼女らしさを感じます。

そしてラストを締めくくる「あうん」は、仏教で終わりと始まりを指す言葉なのですが、終わりというよりもむしろ明日への希望を感じさせる新たな「始まり」の歌。次につながる希望を感じさせる締めくくりとなっています。

様々なミュージシャンたちの力を借りつつ、二階堂和美の14年、さらには今、感じていることをしっかりと反映させたアルバム。全8曲36分という、比較的短いアルバムでしたが、非常に密度の濃い作品になっていました。ミュージシャンとしての新たなスタートを切った彼女ですが、今後はコンスタントに活動をしてくれるのでしょうか。今後の彼女の活躍にも期待です。

評価:★★★★★

二階堂和美 過去の作品
にじみ
ジブリと私とかぐや姫
GOTTA-NI(二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band)


ほかに聴いたアルバム

HEAVEY METAL COMMANDER/SEX MACHINEGUNS

マシンガンズ約2年半ぶりとなるニューアルバム。基本的にはマシンガンズらしい、疾走感あるメタルサウンドをしっかりと聴かせてくれるアルバムになっているのですが、正直、今回のアルバムは特に歌詞の面でインパクトが薄い・・・。「こういう視点があったか!」という曲も、「こんな歌詞をメタルで歌うのか!」といった曲も特になく、聴いていて耳を惹くものがありませんでした。もちろん、楽曲自体はマシンガンズらしい安定感ある作品にはなっていたのですが、ただ、そういう「普通のヘヴィーメタル」だと単なるよくありがちなマンネリになってしまうんだろうなぁ。ちょっと残念な新作でした。

評価:★★★

SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES
METAL MONSTER
マシンガンズにしやがれ!!
IRON SOUL
地獄の暴走列車
SEX MACHINEGUNES ゴールデン☆ベスト

ゴスペラーズ30周年記念祭@日本武道館/ゴスペラーズ

Gos_30live

メジャーデビュー30周年を記念して、2024年12月21日に日本武道館で行われた30周年記念ライブの模様を収録したライブアルバム。当日歌った全曲が収録されているのですが、彼らのキャリアを総括したライブだったそうで、全アルバム/EPから、必ず1曲はセレクトした選曲となっています。そのため、「永遠に」「ひとり」など代表曲はもちろんですが、結構マニアックな曲までセレクトされているのがユニークなところ。国民的人気番組のテーマ曲として、毎日流れていたのに、なぜかブレイクにつながらなかった「靴は履いたまま」や、かなりアニメに沿った曲調が異色的な「BOO~おなかが空くほど笑ってみたい~」など(実はこの曲、昔から結構好きだったりするんですが・・・)も披露。全38曲2時間半弱というボリューミーな内容ながらも、ヒット曲も多く、エンタメ的な要素も強く、またバンド形式だったりアカペラ形式だったりと、様々なスタイルで聴かせるバラエティーに富んだステージだっただけに、最後まで耳を離せず、飽きることなく楽しめるアルバムでした。というか、ゴスペラーズ、何気にまだ一度もライブを見たことなかったりするんで、これを聴くと、やはり一度ライブに足を運んでみたいかも・・・そう感じさせてくれる、彼らのライブの魅力がしっかりと伝わるライブアルバムでした。

評価:★★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
What The World Needs Now
G25 -Beautiful Harmony-
アカペラ2
The Gospellers Works 2
HERE&NOW
Pearl
G30-Beautiful Harmony 2-

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2026年4月 4日 (土)

大人向けの曲と子供向けの曲を並べたコンセプトアルバム

Title:kodomo to otona
Musician:SAKANAMON

ミニアルバムとしては7枚目となるロックバンドSAKANAMONのニューアルバム。毎回、挑戦心と遊び心あふれる傑作アルバムを聴かせてくれており、個人的にもっともっと注目を集めてよいミュージシャンの一組だと思っています。そんな彼らの最新作は、これまた非常に遊び心があふれるのと同時に、挑戦心のあるアルバムに仕上がっています。「kodomo to otona」と名付けられた今回のアルバムは、子供向けの楽曲と大人向けの楽曲が交互に収録されているというアルバム。ただ、どちらの曲に関しても聴きどころがあふれるアルバムとなっていました。

最初は言葉遊びがユニークな子供向けの「ありありあり」からスタート。途中、ゲストで声優、茶風林(個人的にはコナンの目暮警部のイメージが)が語りで参加しています。そんなポップな曲からスタートしたかと思えば、続く「ただそれだけ」はラップも入り、ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるロック色の強い大人のナンバー。現代社会を風刺しているような歌詞になっており、1曲目からの振れ幅の大きさもまた非常にユニークです。

続く「すきなきもちもち」はテレビ東京系で放送されている、乳幼児向け番組「シナぷしゅ」に提供した楽曲。乳幼児向けといって馬鹿にできない曲で、こちらも言葉遊びを用いつつ、様々な音を取り入れた非常に挑戦的な作品に仕上がっています。NHKの幼児向け番組で使われる曲もそうなのですが、特に乳幼児向けだと、まず「音のおもしろさ」を直感的に強調する曲が多いので、意外と実験的な曲が少なくないんですよね。この曲も、乳幼児向けにも関わらず、というよりも乳幼児向けだからこその実験感覚を覚える楽曲になっています。

子供向けにも関わらず非常に挑戦的かつ実験的と言えば「とのさまとファラオ」で、日本の殿様とエジプトのファラオが文化交流するという歌詞がユニーク(ある意味、排外主義が表に出てきてしまっている現代社会への警告という見方もできますが)なのですが、音楽的にも日本のパートでは和風な音階、エジプトのパートではアラブの音階、さらには沖縄音階なども用いられており、音楽の異文化交流を、1曲の中で行っているという、かなり実験的な曲作りとなっています。

大人向けの曲の方も、アコギでフォーキーに聴かせつつ、ドリーミーな曲調が特徴的な「jellyfish」に、最後を締めくくるのも疾走感ある正統派なオルタナ系ギターロックの「unique」で締めくくり。大人向けの作品の方もバラエティー富んだ作品が並んでいました。

まさに大人向けの楽曲と子供向けの楽曲を並べるという、非常にわかりやすいコンセプチュアルな作品。結果、バラエティー富んだ内容ながらも、コンセプトがあるからゆえの統一感もある作品に仕上がっていました。特に子供向けの作品は、子供向けだからこそ出来るような挑戦心を感じさせましたし、大人向けの作品もしっかりとロックバンドとしての実力を提示した作品が並んでいるように感じました。SAKANAMONの実力をあらためて実感させられる傑作アルバム。このコンセプトのユニークさも合わせて、年間ベストクラスの傑作だったと思います。やはり、もっともっと評価されてもいいと思うんだけどなぁ、SAKANAMONは・・・。

評価:★★★★★

SAKANAMON 過去の作品
ARIKANASHIKA
あくたもくた
HOT ATE
OTSUMAMIX

・・・
HAKKOH
liverally.ep


ほかに聴いたアルバム

meta millefeuille/Daoko

Metamillefeuille

5曲入りの配信限定EP。「Kawaii」をテーマとしたエレクトロポップな作品になっており、永井聖一やボカロPのx0o0x_、namitapeなど、新進気鋭の様々なミュージシャンとのコラボを行った意欲作。タイトル通り、ミルフィーユ構造(=多層的)なアルバムとなっています。ある意味、今時のサウンドにアップデートしようとした作品とも言えるかも。キュートなポップチューンは聴いていて素直に気持ちよかったのですが、今時のクリエイターと組んだのならば、もっと斬新さを追求してもよかったのでは、といった印象も。

評価:★★★★

DAOKO 過去の作品
DAOKO
THANK YOU BLUE
私的旅行
anima
Slash-&-Burn

逆鱗/ポルカドットスティングレイ

フルアルバムとしては5枚目。前作から約3年3か月ぶりとちょっと久しぶりになるアルバム。「踊れる曲」をコンセプトとしたアルバムだそうですが・・・ただ、正直、そこまで踊れるかなぁ、というのが正直な感想。彼女たちらしいギターロックを主軸にしつつ、R&Bやジャズ、ファンクやラップにまで手を伸ばして、バラエティーは出そうとしている感もあるのですが、ちょっと手を広く伸ばしすぎな感も。基本的にはギターロックを主軸にしつつも、良くも悪くも幅広すぎるという印象を受けるのは、逆にアルバムの軸となるようなインパクトのある曲に欠けたせいかもしれません。前作が、かなり会心の出来の傑作だっただけに、ちょっと残念に感じました。

評価:★★★

ポルカドットスティングレイ 過去の作品
大正義
全知全能
一大事
有頂天
ハイパークラクション
新世紀
何者
赤裸々
踊る様に

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2026年4月 3日 (金)

CDのみというリリース形態も話題に

Title:fragile Report
Musician:Nikoん

最近、注目を集めている新人バンドNikoん。ギター&ボーカルのオオスカとベース&ボーカルのマナミオーガキの2人組によるユニット。2024年9月にアルバム「public melodies」でインディーズデビュー。昨年9月に、同作がメジャーから再リリースされ、同時に2枚目となるアルバムである本作がリリースされ、メジャーデビューを果たしたばかりのバンドです。

まずユニークなのがそのリリース方法で、本作はストリーミングでのリリースが一切ありません。YouTubeにアップされているのも一部のMVのみであり、今時珍しい、ネット上で音源をほとんど聴くことができないミュージシャンとなっています。さらに本作ではリリースに際してCDを買うと、全国ツアーのライブに漏れなく招待というスタイル。非常にユニークなそのアルバムの売り方も話題となりました。

もともと私が彼らのことを知ったのも、当サイトで取り上げましたが、ビルボードのHeatseekers Songsで、本作にも収録されている「(^o^)// ハイ」が1位を獲得した影響。ネット上でいろいろ探りまくっても同曲を聴くことが出来ませんでした。ただ、他の曲の音源をYouTubeで聴いたところ、なかなかよさげだったので今回アルバムを聴いてみました。

まず、その顔文字をつかったタイトルがユニークでかつ今風な「(^o^)// ハイ」。2ピースバンドなのに意外と分厚いバンドサウンドの、スタンダードなオルタナ系ロックのサウンドに、マナミオーガキのボーカルによる清涼感あるハイトーンボーカルがメロディアスで切なさも感じられ、インパクトあり心地よさを感じる楽曲に仕上がっています。

そんな本作はタイトルチューン「fragile report」からスタートするのですが、こちらもエレピで静かにスタートするのですが、中盤からヘヴィーでダイナミックなバンドサウンドがスタート。特にエッジの効いたギターが、かなりヘヴィーなギターリフを繰り広げており、予想以上にヘヴィーなロックナンバーに。続く「bend」もかなりヘヴィーなバンドサウンドで力強く音を響かせる楽曲。予想以上に骨太な感のあるロックチューンが並びます。

ただ、そんな中で非常におもしろく、バンドに独自の色を加えているのが、清涼感あるものの淡々とした感のあるマナミオーガキのボーカルで、例えば「靴」なども、エレクトロサウンドに力強いバンドサウンドを加えた、ちょっとサイケなロックチューンとなっているのですが、淡々としたボーカルで歌われるメロディーが、どこかネオアコっぽさを感じさせますし、「dried」も、ヘヴィーなバンドサウンドを聴かせる曲なのですが、ピアノの音色や、その歌の影響により、どこかフォーキーな雰囲気を感じさせるのも非常にユニークな感じます。

かと思えば後半の「とぅ~ばっど」など、メタルの要素すら感じさせるヘヴィーなサウンドを聴かせてくれますし、逆にそれに続く「グバマイ!!」などは疾走感ある正統派のオルタナ系ギターロックチューン。ロックバンドとしてのバリエーションの広さや、それの裏付けとなる足腰の強さも感じさせます。

そんな感じで、楽曲的には王道のオルタナ系ギターロックを軸としつつ、よりメタリックな音やサイケな音なども取り入れつつ、サウンドの幅広さを感じさせるロックバンド。「(^o^)//ハイ」や「とぅ~ばっど」、あるいは「nai-わ」なんてタイトルだったり、そもそもNikoんという奇妙なバンド名だったりが、いかにも現代的な言語感覚で、今時のバンド、といった印象を受けるのですが、そこで聴かせる楽曲に関しては、むしろ「正統派」という印象を受けるバンドでした。今、注目を集めるのも納得のロックバンド。これからの活躍も楽しみになってくるアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Screaming Newborn Baby/Hi-STANDARD

ドラマーの恒岡章が2023年に急逝というショッキングなニュースを経て、2025年には新メンバーZAXが加入。新たなスタートを切ったハイスタ。本作は、そんな新メンバーによる初のアルバムで6曲入りのミニアルバムとなります。アルバムタイトルからも彷彿とさせるように、心機一転を意図したようなアルバムで、楽曲もハイスタらしい、パンキッシュで力強いメロコアのナンバーが並びます。ここからがハイスタの新たなスタートということを感じさせるアルバム。今後のハイスタの活躍に期待です。

評価:★★★★★

Hi-STANDARD 過去の作品
The Gift
Live at YOKOHAMA ARENA 20181222

UMA LAND/ズボンズ

バンドデビュー30周年を記念してリリースされた約9年ぶりのニューアルバム。かなり久しぶりに聴いたアルバムになるのですが、力強いバンドサウンドでグルーヴィーに聴かせるスタイルは以前と変わらず。曲によってはサイケロックやガレージの要素も強く、ロックンロールを主軸に様々に展開する構成は以前と変わらず。ただ、出だしは申し分なかったのですが、後半になるにつれ、以前に比べてちょっと薄味になったような感覚も・・・。もっとさらにグルーヴ感あふれるロックを聴かせてくれていたような印象を受けるのですが・・・。

評価:★★★★

ズボンズ 過去の作品
Nightfriend of ZOOBOMBS
The Sweet Passion

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2026年4月 2日 (木)

ミスチル1位成らず!

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

2週連続の1位獲得です。

今週1位はBTS「ARIRANG」が先週に引き続いての2週連続1位を獲得。CD販売数は3位、ダウンロード数は2位でしたが、ストリーミング数で1位を獲得し、総合順位では1位となりました。

そして、残念ながら2位止まりとなったのがMr.Children「産声」。約2年5か月ぶりのアルバムで、CD販売数及びダウンロード数は1位でしたが、ストリーミング数は3位に留まりこの順位に。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上14万8千枚で1位初登場。前作「miss you」の初動16万5千枚(1位)よりダウンとなっています。

3位は先週2位のHANA「HANA」がワンランクダウン。ストリーミング数は先週から引き続きの2位獲得。

4位以下の初登場盤は4位にDX TEEN「Heart Beat」が初登場。韓国のCJ ENMと日本の吉本興業の合弁KAPONEエンタテイメント所属の男性アイドルグループ。6位にはずっと真夜中でいいのに。「形藻土」がランクイン。

一方、ベスト10返り咲きとしてKAT-TUNのベストアルバム「10TH ANNIVERSARY BEST "10Ks!」が10位にランクインし、2016年4月13日付チャート以来のベスト10返り咲き。デビュー20周年を記念して、全作品のストリーミングが解禁になった影響のようです。

ロングヒット盤はNetflix映画のサントラ盤「超かぐや姫!」がワンランクダウンの7位ながらも今週で8週連続のベスト10ヒットに。King&Prince「STARRING」もワンランクダウンの8位で14週連続のベスト10ヒット。一方、因縁の対決相手Number_i「No.Ⅱ」は今週16位にダウンし、ベスト10ヒットは26週連続でストップ。今週、チャートイン27週目でリカレントルールが適用された模様。XG「THE CORE-核」もワンランクダウンの9位。こちらもベスト10ヒットを連続10週に伸ばしています。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週もクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」が先週の3位から1位にアップ。3週ぶりに1位に返り咲き、3週目の1位獲得となりました。ちなみにHot100でもは88位にランクイン。ただし、先々週は63位までアップしていたので、残念ながらヒットのピークは超えてしまったか?


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートの1位は山本「デロスサントス」が3週ぶりに1位返り咲き。これで3週目の1位獲得。なんだなんだいってこういう曲が好きなんですね(笑)。2位はkz×TAKU INOUE「クロスロード」が6位からアップ。3位は先週1位のSohbana「個々々々々々人」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2026年4月 1日 (水)

男性アイドルグループの栄枯盛衰?

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も先週に引き続き、男性アイドルグループが目立つ結果となっています。

まず1位は旧ジャニーズ系。King&Prince「Waltz for Lily」が初登場。CD販売数及びダウンロード数1位、ラジオオンエア数3位。映画「鬼の花嫁」主題歌。オリコン週間シングルランキングでは初動売上31万2千枚で1位初登場。前作「What We Got~奇跡はきみと~」の初動32万枚より若干のダウン。

2位は先週4位のM!LK「爆裂愛してる」がランクアップし、3週ぶりのベスト3入り。ストリーミング数は2週連続の1位獲得。なおM!LKは「好きすぎて滅!」も先週の6位から4位にランクアップ。2曲同時ランクイン。カラオケ歌唱回数は2週連続通算3週目の1位、動画再生回数も初の1位獲得で、17週連続のベスト10ヒットとなっています。

3位はBTS「SWIM」が先週の17位からランクアップし、ベスト10初登場。ダウンロード数が5位から3位、ストリーミング数も36位から9位にアップ。長らくの活動休止期間を経て復活というのが大きなニュースとなっていますが、この曲に関しても、まだそこまでの勢いはなく、今後の動向が気にかかります。

そんな感じで1位から4位まで男性アイドルグループが並ぶ一方、ラストシングルとして話題の嵐「Five」は5位から9位にダウンと、思ったほど勢いはありません。解散ライブも大きな話題となりましたが、こちらの曲はロングヒットには結びつかなさそう。男性アイドルも栄枯盛衰といった感じでしょうか。

ほか、4位以下の初登場曲は、7位にSWEET STEADY「SWEET STEP」が初登場。CD販売数2位。アソビシステム所属の女性アイドルグループ。オリコンでは初動売上4万5千枚で2位初登場。前作「YOKIMOCHI」(2位)からは初動売上は横バイ。

また、新譜ラッシュだった先週と比べて、新譜も減ったため、ベスト10圏外からの返り咲きも。まずKing Gnu「AIZO」が13位から8位にアップ。特にストリーミング数が8位から5位にアップ。通算11週目のベスト10ヒットに。

HANA「Blue Jeans」も14位から10位にアップ。こちらはストリーミング数が7位から6位にアップ程度と、大幅な伸びはありませんでしたが、これで通算33週目のベスト10ヒットとなりました。

ほかのロングヒット曲では、米津玄師「IRIS OUT」が7位から5位にアップ。ストリーミング数は2週連続の2位。これでベスト10ヒットは28週連続となっています。

Mrs.GREEN APPLE「lulu.」も10位から6位にアップ。ストリーミング数が5位から4位にアップ。これで11週連続のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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