カップリングも名曲だらけ!
Title:KAN B面 Collection
Musician:KAN
2023年にこの世を去った稀代のシンガーソングライターKAN。1年目の命日に、シングル曲を集めた「KAN A面 Collection」がリリースされましたが、本作はそれに続く第2弾。シングルのカップリング曲を集めた、いわゆるB面ベストとなります。「A面 Collection」同様、レコード会社側が勝手にリリースした非公認のベストとなります。ただ、同じような非公認ベストの「A面 Collection」と比べると、アルバム未収録曲も多く含まれているため、レビューなどでは否定的な意見が多かった「A面 Collection」と比べると、ポジティブな意見が目立ち、ファン必聴のアルバムとなっています。
一般的にシングルのカップリングというのは、シングル曲にはできず、アルバムにも収録できなかった、ちょっと異色な曲が少なくありません。実力のあるミュージシャンはえてしてこのカップリングに名曲が収録されているケースが多いのですが、KANについても間違いなく、そんな事例のひとつと言えるでしょう。個人的にKANの曲で一番好きな曲は何か、と言われたら、おそらく「ときどき雲と話をしよう」をあげると思うのですが、この曲はもともとシングル「イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ」のカップリング。その後のアルバム「ゆっくり風呂につかりたい」にも収録されており、おなじみのナンバーではあるのですが、KANを代表する名曲のひとつが最初、シングルのカップリングとしてリリースされたというのは驚きです(正式には「両A面扱い」ではありますが・・・)。
さらに今回のアルバムの聴きどころとして、シングル「Superfaker」のカップリングとして、この「ときどき雲と話をしよう」のライブ音源が収録されていること。これが単なるライブ音源ではなく、一部歌詞の変更が加わっており、ここでしか聴けないバージョンとなっています。いままでアルバム未収録。20年以上前のシングル収録曲で、サブスク未開放なので、本作以外に聴くことは非常に困難な貴重な音源となっています。
他にもカップリング曲にはちょっとコミカルに挑戦(?)した曲も収録されており、特にユニークなのは「女神~VENUS~」「天使~ANGEL~」「迷宮~LABYRINTH~」の3曲。ツアーメンバーと結成したヴィジュアル系バンド、Bon Marché名義の曲で、完全にヴィジュアル系バンドを意識した、巻き舌の歌い方にマイナーコード主体の耽美的なメロディーラインが特徴的。彼らしいユニークな曲に仕上がっています。また「ライバル」と、その続編(もしくはアナザーストーリー)を描いた「続ライバル」もユニーク(若干、ユニコーンの「人生は上々だ」も彷彿とさせる内容ですが)。最後のどんでん返しがかなりコミカルな内容になっています。
また、スピッツの「チェリー」やギルバートオサリバンの「Christmas Song」のカバーも聴きどころ。こちらもアルバム初収録となる音源(ただし、こちらはサブスクで聴けます)。他のミュージシャンのカバーはあまり多くないだけに、ちょっと珍しい、カップリング曲ならではの挑戦といった感じ。KANとスピッツはあまりつながりのない感もあるので、この組み合わせはちょっと意外な感じも。基本的に原曲に愚直な感じのカバーとなっており、正直、草野マサムネの声の方が合っているかも・・・とは思ってしまったのですが・・・。
そんなファンとしては聴きどころたくさんのB面Collection。他にも「小羊」「カラス」のような、代表曲と言ってもよいような名曲も収録されていますし、間違いなくお勧めしたいアルバム。もちろんカップリング曲集ですので、初心者の最初の1枚としては、既存のベスト盤「IDEAS」あたりからまずはチェックして欲しいのですが、ある程度KANの曲を聴いたら、こちらもマニア向けのカップリング曲集としてスルーしないで是非ともチェックしてほしい作品です。本当に彼は名曲を数多く作ってきたなぁ・・・とあらためて早すぎる彼の逝去を惜しむアルバムとなっていました。
評価:★★★★★
KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば
la RINASCENTE
la RiSCOPERTA
23歳
IDEASⅢ~the very best of KAN~
KAN A面 Collection
ほかに聴いたアルバム
MAGIC TIME/T字路s
伊東妙子、篠田智仁による2人組ブルースデゥオ、T字路s。ちょっとビックリしたのは今回、メジャーデビューが決まり、本作がメジャーデビュー作になるということ。どちらかというとマニアックなジャンルというで、決して派手なグループではない彼らがメジャーデビューというのはちょっと驚きです。メジャーデビューして最大の違いはバンドサウンドを取り入れたこと。いままで基本的に2人のみの演奏だったのに対して、サウンドの分厚さがグッと増しています。ただ、とはいえ基本的な楽曲の方向性はインディーズ時代と同様。ドスの利いた伊東のボーカルは分厚いバンドサウンドにも全く負けていません。バンドサウンドを取り入れて音楽的にも幅が出てきたT字路s。これからの活躍にも期待したいところです。
評価:★★★★
T字路s 過去の作品
PIT VIPER BLUES
BRAND NEW CARAVAN
COVER JUNGLE 1
COVER JUNGLE 2
THE BEST OF T字路s
岸田繁 弦楽四重奏作品集 第1巻/岸田繁・Style KYOTO管弦楽団弦楽四重奏
以前、交響曲や管弦楽に挑んだこともあるくるり岸田繁の最新作は、弦楽四重奏曲。昨年6月に京都芸術センターで行われた「岸田繁×Style KYOTO管弦楽団~個展~」の実況録音盤。正直、クラシック愛好家がどのように評価するのかよくわからない部分もあるのですが、率直に言って、一番よかったのはくるりの「奇跡」を弦楽風にアレンジした「岸田繁『奇跡』の主題による12の変奏曲」で、まずはメロディーラインが耳を惹きました。それ以外の曲については、あまり印象に残らず。弦楽曲を作るぞ、という形で気負い過ぎで、岸田繁の良さであるメロディーメイカーとしての側面があまりあらわれていないような感じがします。クラシックを聴くと、なんだかんだいって後世に残る作品というのは、やはり主題のメロディーの良さが際立っているように思いますが、岸田繁もメロディーメイカーとしての才を持っているのだから、ともすれば「ベタ」でもいいから、弦楽曲についてももっとポップに仕上げればいいのに・・・とも思った作品でした。
評価:★★★
岸田繁 過去の作品
まほろ駅前多田便利軒 ORIGINAL SOUNDTRACK
岸田 繁のまほろ劇伴音楽全集
岸田繁「交響曲第一番」初演(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)
岸田繁「交響曲第二番」初演(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)
岸田繁「フォークロア・プレイリスト I」(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)
リラックマとカオルさん オリジナル・サウンドトラック
リラックマと遊園地 オリジナル・サウンドトラック
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