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2026年3月14日 (土)

エチオ・ジャズの魅力が伝わる

Title:Tension
Musician:Mulatu Astatke&Hoodna Orchestra

今回も、2025年の各種メディアでベストアルバムで取り上げられた作品を後追いで聴いた作品。「Music Magazine」誌のワールド・ミュージックで7位にランクインしていたアルバムとなります。本作はエチオピア独自のジャズであるエチオ・ジャズの創始者であるムラトゥ・アスタトケと、イスラエル・テルアビブを拠点に活動するHoodna Orchestraのコラボによる作品となっています。

エチオ・ジャズについては聴いたことある方も少なくないかと思います。彼、ムラトゥ・アスタトケが70年代に確立した作風で、エチオピアの伝統音楽と、ジャズやラテンミュージックを融合させた独特の音楽性が特徴的。特に90年代以降のレア・グルーヴ・ムーブメントの高まりによって再評価され、広く世界中で聴かれることとなったようです。

そんな彼の奏でるエチオ・ジャズの大きな特徴として、独特の旋律があるのですが、これがどこか日本の歌謡曲やさらに演歌すら彷彿とさせるような、日本人にとってノスタルジックあふれる懐かしさを感じるもの。そこにヴィヴラフォンやローズピアノの音色が乗り、ファンキーなリズムでグルーヴィーなサウンドを繰り広げるのた特徴的。今回のアルバム、1曲目のタイトルチューン「Tension」からまさにそれで、ぶっといサックスのフレーズにローズピアノの音色が乗る独特のグルーヴ感をかもしつつ、メロディーラインはどこか懐かしい、レトロで哀愁感たっぷりのメロが大きな魅力となっています。

続く「Major」も、テンポよいラテン風のサウンドやリズムが特徴的。こちらも、途中、ローズピアノの音色でグルーヴを醸し出しています。さらにそこからの「Hatula」「Yashan」「Delilah」はいずれもムード感たっぷりのメロディーラインが魅力的。昭和歌謡どころか、戦前の歌謡曲を彷彿とさせるようなレトロなサウンドもたまりません。個人的には小島麻由美にボーカルとして歌を歌わせたらピッタリマッチするかも・・・。バックで鳴り響くパーカッションのリズムも独特なグルーヴ感を生み出しています。

ラストを飾る「Dung Gate」はこのアルバムで一番「アフリカ的」と言わるかもしれません。特に前半はトライバルなパーカッションが楽曲のメインに。途中から思いっきりブロウするサックスが、非常に怪しげながらもジャズの雰囲気を醸し出しつつ、アルバムのラストは再びトライバルなパーカッションで締めくくり。最後はある意味、アフリカ的に幕を下ろす構成となっていました。

アルバムとしては全6曲、31分という比較的コンパクトな内容。途中「Yashan」が7分に及びますが、他の曲は4分から5分程度の比較的コンパクトにまとまっており、いい意味で聴きやすさを感じます。エチオ・ジャズと言われる音楽をそれほど聴いている訳ではないのですが、エチオ・ジャズのエッセンスがしっかりつまっていると感じられるアルバム。確かに年間ベストとして納得感のある傑作だったと思います。ちなみにムラトゥは現在82歳だそうで、まだまだお元気なのは驚かされます。このアルバムを聴く限りだと、音楽家としての意欲に衰えは感じられません。まだまだ末永く、お元気で!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Let God Sort Em Out/Clipse

Clipse

こちらも各種メディアで2025年のベストアルバムとして選ばれていたアルバムを後追いで聴いた1枚。「Music Magazine」誌「ラップ/ヒップホップ」部門で1位を獲得したほか、各種メディアでベスト盤を集計したサイトAOTY2025でも6位にランクインしています。Clipseはノー・マリスとプシャ・Tの兄弟からなるラップデゥオ。2002年のアルバム「Lord Willin'」が全米で100万枚を売る大ヒットを記録したものの、2010年に活動を休止。ただし、2019年には活動を再開。本作は活動再開後初、実に約16年ぶりとなるニューアルバムとなります。

本作は全編、かのファレル・ウィリアムズプロデュースによる作品。全体的にバラエティーに富んだトラックに、リズミカルなラップが特徴的。「Ace Trumpets」では和風なサウンドが登場したり、「Chains&Whips」では太いエレクトロビートが登場したり、比較的バラエティーが豊かで、なおかつしっかりとポップに聴かせる内容になっている点は、ファレルの実力といった感じでしょうか。サウンド的には決して「今風」という感じではないのですが、比較的幅広いリスナー層が楽しめそうなアルバムでした。

評価:★★★★

Canções Que Fiz Pra Quem Me Ama/Paulo Flores

Pauloflores

こちらも同様、2025年ベストアルバムを後追いで聴いた1枚。こちらは同じ「Music Magazine」誌の「ワールドミュージック」部門で4位を獲得した作品。サンバのルーツとも言われているアンゴラのセンバの巨匠によるアルバム。楽曲は、いかにもサンバのルーツらしい、ラテン風のリズムをベースに、アフリカらしいトライバルなリズムが加わった感じ。さらに本作ではジャズやブラジル音楽の要素も感じることが出来る幅広い音楽性も取り入れています。本作のタイトルは「私を愛してくれる人たちのために作った歌」というタイトルだそうで、長年のファンや支えてくれた人々への感謝を込めた内容になっています。そのため、全体的に明るい雰囲気の曲が多く、ポジティブな作風となっています。素直にセンバのリズムが楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

Paulo Flores 過去の作品
Independencia

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