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2026年3月15日 (日)

今、最も「売れている」女性シンガーの1人

Title:Man's Best Friend
Musician:Sabrina Carpenter

2025年、特に海外の音楽シーンにおいて間違いなく最も話題となったミュージシャンのひとりが彼女、サブリナ・カーペンターでしょう。本作にも収録されているシングル「Manchild」がアメリカのビルボードHot100で1位を獲得するなどの大ヒットを記録。その後リリースされた本作も、アメリカ、イギリスをはじめ各国で大ヒットを記録し、まさに2025年を代表するヒットアルバムの1枚となりました。

そんな訳で、いまさらながらその2025年を代表するアルバムを紹介する訳ですが、こちらも2025年にベストアルバムとして各種メディアで紹介されていたアルバムを後追いで聴いた1枚で、「rockin'on」誌の年間ベストアルバムで7位にランクインした1枚。売上面では文句なく、他のメディアの評価も悪くはないのですが、年間ベストクラスとして評価しているメディアはあまり多くないようですが・・・。良くも悪くも「売れているアルバム」を高く評価しがちな、ロッキンオンらしい評価とも言えるのですが。

さて、そんなアルバムをいまさらながら聴いてみたわけですが、聴いてみた感想としては「確かに、このアルバムは売れるだろうな」という印象でした。とにかくフックの効いたメロディーラインのインパクトあるポップソングが続きます。アルバム冒頭を飾るのは前述の通り大ヒットした「Manchild」。未熟な恋人("manchild"=精神的に子供な男性)を皮肉ったこの曲は、カントリー風の軽快で爽快なポップチューン。一度聴いたら忘れられない軽快なメロディーも印象的です。

個人的に印象に残ったのが続く「Tears」で、80年代的な要素を感じるディスコチューン。ちょっと懐かしさを感じられるメロディーラインが耳に残りますし、メロウでセクシーさを感じるサブリナのボーカルも印象的な楽曲になっています。これに続く「My Man on Willpower」もちょっと懐かしさを感じさせる80年代や90年代のテイストを感じさせる爽快なポップチューンと、アルバム冒頭からキラーチューンとも言えそうなポップチューンが並びます。

中盤は一転、ミディアムチューンが並び、特に中盤の「We Almost Broke Up Again Last Night」は最初のフォーキーな出だしが印象的。ちょっと気だるさを感じるボーカルには彼女のボーカリストとしての幅広さを感じます。その後は、ちょっとファンク的な要素を入れた「When Did You Get Hot?」や軽快さも感じるカントリー風のポップチューン「Go Go Juice」など、メランコリックさを感じさせる曲も並びます。

そして最後も再び80年代のディスコチューン「House Tour」に、ラストを飾るにふさわしいタイトルの「Goodbye」へ。こちらも爽やかながらも、ちょっと切なさを感じるメロディーラインが耳に残ります。最後の最後まで、強いフックのあるメロディーラインのあるポップなキラーチューンが並ぶアルバムとなっています。

正直言って、80年代や90年代的な要素を感じさせるポップチューンは音楽的には目新しいものではありません。実際、このアルバムの評価でも、ポップソングとして、決して奥は深くない点がマイナス評価として上がっているそうです。ただ、本作はなによりもインパクトのあるポップなメロを素直に楽しめる内容となっていますし、マイナス評価が気にならないレベルの勢いと、メロディーの良さを持っています。だからこそ、大ヒットを記録したのでしょう。日本でももっと売れてもいいアルバムだと思うのですが・・・。遅ればせながら、彼女がなぜ、あれだけ今売れているのかがわかる1枚でした。

余談。ちなみにラストの「Goodbye」という曲を聴いていると、いきなり「サヨナラ」という日本語が飛び込んできます。どんな使われ方をしているなかなぁ・・・と調べたら、こんな歌詞になっていて

"Well,sayonara,adiós
You're not billingau
But you should know"
(和訳 じゃあ、サヨナラ、アディオス
あなたはバイリンガルじゃないけど
このくらいはわかるよね)
From "Goodbye" Written by Amy Allen/Jack Antonoff/Sabrina Carpenter

要するに、「サヨナラ」って言葉って、アメリカにおいても「日本語で"Goodbye"の意味だ」ということは、一般常識として知られている、ということなんですね。勉強になりました。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

choke enough/Oklou

本作も2025年ベストアルバムを後追いで聴いた作品。各種メディアのベスト盤をまとめたサイトAOTY2025で9位にランクインしたアルバム。フランスのミュージシャン、Oklouのデビューフルアルバム。シンプルなエレクトロポップの作品。比較的静かでシンプルなエレクトロサウンドが流れる作品なのですが、中世的な対位法を用いるなど、クラシック的な音楽理論も背景にある作品だそうです。そう言われて詳しくはわかっていないのですが・・・ただ、クラブ志向の凝ったサウンドが用いられつつも、そこに流れるメロディーラインは至ってポップで、彼女のボーカルもキュートで心地よく、素直なポップミュージックとしてしっかりと機能している作品となっています。まだデビューしたての新人ミュージシャンですが、これからの活躍が楽しみです。

評価:★★★★★

Around You Is A Forest/Thomas Morgan

Aroundyouisaforest

こちらも2025年ベストアルバムを後追いで聴いた作品。こちらは「MUSIC MAGAZINE」誌「ジャズ」部門で1位を獲得したアルバム。アメリカのジャズベーシストで作曲家のThomas Morganによる、初のリーダーアルバムになるそうです。このアルバムで特徴的なのは、モーガン自身が考案したという、パソコン上の仮想楽器「WOODS」を用いているという点。西アフリカのリュート、アジアのツィター、チェンバロ、マリンバの特性を併せ持った楽器だそうです。ただ、正直、聴いていてどの音が「WOODS」なのかよくわからないのですが・・・アルバムでメインになっているアコギのような音色の楽器がそれでしょうか?基本的にシンプルでアコースティックテイストの音がメインとなっているのですが、楽曲的には実験テイストの強い作品に。かなりアバンギャルドなサウンドを聴かせる曲もあったりして、独特のサウンドを聴かせてくれています。ちょっと不思議な雰囲気の音の空間は、まさにタイトル通り、幻想的な「森」を彷彿させるような感じも。独自の音世界が楽しめる作品です。

評価:★★★★★

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