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2026年3月27日 (金)

「昭和百年」目の最後に

Title:唱和百年
Musician:チャラン・ポ・ランタン

昨年は、昭和換算で100年目にあたるということで、昭和を振り替える書籍が多く発売され、記念式典やイベントなども行われ話題となりました。その昭和百年目の最後の月のクリスマスイブに、駆け込みセーフのようにリリースされたのがチャラン・ポ・ランタンのカバーアルバム。もともとライブなどでは多く披露しているそうですが、カバーアルバムとしてはこれが2作目。カバーアルバムとしての前作「借りもの協奏」では主に彼女たちと同じく2人組のグループの楽曲をカバーしてきましたが、今回のアルバムはタイトル通り、「昭和歌謡曲」をコンセプトとしたカバーアルバムとなっています。

ただ、正直、アルバムを聴き始めた段階ではまず不安が先に立ってしまいました。というのも1曲目は布施明の「君は薔薇より美しい」。ご存知のように布施明といえば、声量あるボーカルで力強く歌い上げるスタール。一方彼女たちは、決して「声量を前に押し出した」のようなスタイルではありませんし、アコーディオン主体のサウンドは非常に軽いもの。この曲のカバーに関しては、オリジナルと比べるとかなりスカスカに感じてしまい、まずは違和感が先に立ってしまいました。

しかし、2曲目以降はその不安は徐々に消えていきます。続く「真赤な太陽」も同じく美空ひばりによる力強いボーカルが印象的な楽曲なのですが、こちらはももがこぶしを利かせた力強いボーカルを聴かせてくれており、違和感はありません。さらに続く「ハチのムサシは死んだのさ」みたいな、ちょっとコミカルさがある楽曲は、チャラン・ポ・ランタンの軽快なサウンドがピッタリとマッチしています。

基本的にカバーは、アコーディオンメインのいつもながらの彼女たちのスタイルで、原曲をシャンソンやキャバレーポップのような、チャラン・ポ・ランタンの世界に引きずり込むようなスタイル。特にコミカルな楽曲については比較的マッチしており、よかったのが「モン・パパ」のカバー。もともと、エノケンや二村定一、岸井明などが歌っていた戦前のコミックソングですが、軽快でコミカルな内容に、ちょっと芝居がかった小春の歌い方もピッタリマッチ。チャラン・ポ・ランタンの世界観ともピッタリマッチしています。

特に女性ボーカルのカバーについては、「魅せられて」や「喝采」のような力強いボーカルで歌い上げるタイプの曲もマッチ。「喝采」はアコーディオンでしんみり聴かせるシャンソン風のカバーが哀愁感たっぷりで曲にもピッタリマッチ。また「サウスポー」などはアコーディオンに打ち込みを加えたユニークな組み合わせ。独自のアレンジで挑戦的な作風に仕上がています。

ただ逆にちょっと残念だったのは男性ボーカルで歌い上げるようなスタイルの曲。前述の「君は薔薇より美しい」もそうですし、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」のカバーもちょっといまひとつ。やはり男性ボーカルで声量をもって歌い上げるスタイルはそのままカバーできないのか、非常に軽い感じでカバーしているのですが、正直、原曲と比べて物足りなさを感じてしまいます。

そういう惜しい感じのカバーもあるのですが、ただ全体としてはチャラン・ポ・ランタンの世界にしっかりと楽曲を引きずり込み、彼女たちしかできないようなカバーにまとめあげた内容になっていたと思います。そもそも彼女たちのアコーディオン片手に、シャンソンやジンタ(は、このアルバムではあまり登場しませんが)、キャバレーポップ風に歌うというスタイルは昭和歌謡曲の世界にもピッタリマッチ。マッチしすぎるからこそ、ひょっとしたらいままであえてこの手のカバーアルバムをリリースしてこなかったのかもしれませんが、しっかし彼女たちの良さを出し切れたカバーアルバムだったと思います。原曲の魅力ももちろん、チャラン・ポ・ランタンの魅力もしっかりと感じられるカバーアルバムでした。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ
ミラージュ・コラージュ
過去レクション
ドロン・ド・ロンド
いい過去どり
こもりうた
紆余曲折集


ほかに聴いたアルバム

AKIKO YANO TRIO featuring Will Lee&Chris Parker Live at Blue Note Tokyo 2025.09.04/矢野顕子

Akiko-yano-trio-featuring-will-leechris-

タイトル通り、矢野顕子が、ベーシストのウィル・リー、ドラマーのクリス・パーカーと組んで、昨年9月にBlue Note Tokyoで行われたライブを収録したライブアルバム。長年共演してきたメンバーで、それだけに息の合った演奏を楽しめます。矢野顕子の曲だけではなくカバー曲も多いセットリストなのですが、特に「ゴジラ」では曲の前にゴジラの咆哮が入り、さらにはメンバーの小芝居(?)もあった上で、おなじみ「ゴジラ」のテーマをジャズアレンジしているユニークなカバー。またYMOの「Rydeen」や、坂本龍一の「千のナイフ」もカバーしており、ここらへん、離婚した元夫の曲だけど・・・と思うのと同時に、その元夫、坂本龍一への追悼的な意味もあるのかなぁ、とも感じました。基本的にジャジーなアレンジながら、シンセが入ったり、軽快なポップチューンになっていたりと、ジャズというカテゴリーを超えて楽しめるライブアルバムになっています。カバー曲から彼女の音楽的遍歴も楽しめるような作品でした。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)
Welcome to Jupiter
矢野顕子+TIN PAN PARTⅡ さとがえるコンサート
(矢野顕子+ TIN PAN)
矢野山脈
Soft Landing
ラーメンな女たち(
矢野顕子×上原ひろみ)
ふたりぼっちで行こう
音楽はおくりもの
君に会いたいんだ、とても(
矢野顕子・野口聡一)
Step Into Paradise -LIVE IN TOKYO-(矢野顕子×上原ひろみ)

Success Is The Best Revenge/SKY-HI

Successisthebestrevenge

SKY-HIによる約3年ぶりとなるニューアルバム。SKY-HIはアイドルグループからスタートしつつ、ラッパーとして一定の評価を得て、自ら設立した音楽事務所BMSG傘下所属のBE:FIRSTやHANAが大ヒットを記録し、一躍、時の人となる経歴の持ち主。そんな中で、かなり挑発的なアルバムタイトルになっていますが、歌詞の内容的にもアイドルとラッパーという立場で揺れ動く心境や、その上で前向きなスタンスを綴った内容となっています。楽曲的にも彼の集大成的な内容になっており、これでもかというほどスキルを聴かせるラップや、メロウな歌モノなどが入ったバラエティーのある内容に。タイトル通り、「成功」を誇らしげに歌い上げる作品となっています。

ただ、「成功」の結果、やっていることが女子高生を夜中に呼び出してイチャイチャすることだったとはね(苦笑)。まあ、みっともない、というよりも「脇が甘い」と思ってしまいますが。なんか、急激な「成功」でも、ほかにも足を取られるような事態が出てきてしまいそうな感じもするのですが・・・うーむ。

評価:★★★★

SKY-HI 過去の作品
FREE TOKYO
JAPRISON
Say Hello to My Minions 2(SKY-HI×SALU)
SKY-HI's THE BEST
八面六臂
THE DEBUT

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