にじみ出るグルーヴ感
Title:We Are Love
Musician:The Charlatans
先日のリチャード・アッシュクロフトのアルバムレビューの時も書いたのですが、oasis再結成で注目を集めた、いわゆるブリットポップと言われた90年代のイギリスギターロック勢。昨年のPULPやsuede、そして今年に入ってのKula Shakerのアルバムリリースなど、ここに来て、その現役ぶりを見せつける積極的な活動が続いています。そして、90年代ブリットポップの代表的なバンドの一組、The Charlatansも約8年ぶりとなるニューアルバムをリリースしました。
もっとも彼らの場合、90年代からほぼコンスタントに活動を続けており、1996年にキーボードのロブ・コリンズ、2013年にドラムスのジョン・ブルックスを亡くすという悲劇を乗り越えつつ、今に至るまで人気を確保し続けています。本作もイギリスの公式チャートで8位にランクイン。いまだ衰えない、その人気ぶりを感じさせます。
さて、シャーラタンズといえばマンチェスタームーブメントの影響を強く受けたグルーヴィーなサウンドが魅力的。ただ、今回のアルバムに関しては、そんなグルーヴィーなサウンドはちょっと控えめになり、全体的にシンプルなポップチューンを聴かせる曲が目立ちました。まずタイトルチューンである「We Are Love」はシンプルなギターサウンドに哀愁漂うメロディーをポップに聴かせる楽曲。続く「Many A Day A Heartache」もポップなメロをしっかり聴かせるナンバーとなっていますし、終盤の「Glad You Grabbed Me」も、メロディアスでポップな、比較的シンプルなギターロック。グルーヴィーなサウンドが特徴的だった彼らにしてみれば、今回のアルバムは比較的シンプルなギターロック、という印象を受けるアルバムになっています。
じゃあ、そんなシャーラタンズ独自のグルーヴは鳴りを潜めたか、というとそんな訳でもなく。例えば冒頭を飾る「Kingdom Of Ours」も、ホーンも入った分厚いサウンドに、どこかグルーヴ感を覚えますし、「For The Girls」も後半、サイケなサウンドにグルーヴ感を覚える展開が魅力的。ラストの「Now Everything」は7分近くにも及ぶ長尺の曲なのですが、ゆっくりとメランコリックにスタート。途中から鳴りだすエレクトロなサウンドに独特のグルーヴ感を覚える曲となっています。
このアルバムについて一言で言うならば、シンプルなギターロックの影に、隠しきれないグルーヴ感がにじみだした作品、といった感じでしょうか。シンプルなサウンドに最初はちょっとシャーラタンズらしくなく感じつつ、でも聴いていくとしっかりとシャーラタンズらしさを感じさせる作品だったと思います。ベテランバンドでありながら、毎回、傑作をリリースし続け、その健在ぶりを感じさせる彼らですが、今回のアルバムも文句なしの傑作でした。
評価:★★★★★
The Charlatans 過去の作品
You Cross My Path
Modern Nature
Different Days
ほかに聴いたアルバム
Out The Blue/WNC WhopBezzy&70th Street Carlos
アメリカ・ルイジアナ州のバトン・ルージュ出身によるラッパー、WNC WhopBezzyと70th Street Carlosによるデゥオ。前半はリズミカルなトラックに、2MCによるコミカルで軽快なやり取りが印象的。賑やかな雰囲気の楽曲は、いい意味でポップで、聴きやすさを感じます。一方、後半はダークな雰囲気になり、ポピュラリティーはちょっと薄めに。個人的には前半の路線で最後まで聴きたかった印象も。
評価:★★★★
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