「光」をテーマに
Title:光学
Musician:ACIDMAN
ACIDMANの約4年ぶりとなるニューアルバム。ちょっと久々となる新作は、わかりやすいコンセプチャルなアルバムに仕上がっています。タイトル通り、テーマは「光」。ACIDMANのリードボーカルでリーダーでもある大木伸夫がいままで表現してきた「生命・宇宙・存在の本質への探求」を、「光」という視点で描いた作品となっています。
まずアルバムの冒頭を飾る「光学(introduction)」は、オープニング的なインスト曲ですが、遥か向こうから光が差し込んでくるようなナンバー。そして、それに続く事実上の1曲目となる「アストロサイト」ではファンキーなリズムも心地よいメランコリックなナンバーですが、オープニングとは対極的に闇を感じさせる雰囲気なのですが、その向こうにあるような希望の光を感じさせるような曲になっています。
さらに映画「ゴールデンカムイ」の主題歌ともなっている「輝けるもの」は、ACIDMANらしい、これでもかというほど狂おしいメランコリックなメロも強いインパクトを受けますが、希望の光を探そうとする歌詞は、まさにアルバムのテーマに沿った内容になっています。
そんな明確に「光」をテーマとした作品となった本作ですが、また、アルバム全体としてバラエティーもあり、聴きどころも多い作品に仕上がっていました。基本となっているのは、ACIDMANらしいメランコリックなメロディーラインとダイナミックなバンドサウンド。「白と黒」ではフリーキーなサウンドを加えたジャズの要素が入り、「feel every love」では合唱も入り、祝祭色の強い楽曲に。また、ダイナミックな前半と比べ、後半は「青い風」「龍」など、しんみり聴かせるナンバーも展開。そしてラストを締めくくる「あらゆるもの」は実に8分にも及ぶナンバー。バンドサウンドを力強くダイナミックに聴かせたかと思いきや、一方では静かに聴かせる展開となったりと、静動あるダイナミックな展開が魅力的なナンバーで、ACIDMANとしての実力をしっかりと聴かせるナンバーを、アルバムの最後に聴かせてくれています。
ある意味、非常にACIDMANらしいアルバムなのですが、「光」というテーマを一本据えることにより、ACIDMANらしさがより魅力的に強調されたアルバムに仕上がっていたように感じました。個人的には、ACIDMANのここ何年かのアルバムの中では間違いなく最高傑作と言える作品でした。
評価:★★★★★
ACIDMAN 過去の作品
LIFE
A beautiful greed
ALMA
Second line&Acoustic collection
ACIDMAN THE BEST 2002-2012
新世界
有と無
Second line&Acoustic collection II
ACIDMAN 20th Anniversary Fans'Best Selection Album "Your Song"
Λ
INNOCENCE
そして、この「光学」のリリースに合わせて、ACIDMANのトリビュートアルバムもリリースされました。
Title:ACIDMAN Tribute Works
ELLEGARDENやストレイテナー、the band apartといったACIDMANと同世代のバンドやスカパラ、Dragon Ash、BRAHMANのような先輩格のバンド、そしてちょっと意外なのはじんやjon-YAKITORYのようなボカロPもトリビュートアルバムに参加してACIDMANの数々の代表曲をカバーしています。
どのミュージシャンも、基本的にACIDMANの作品を、自らの土俵に持ち込んでカバーしたような作品が多く、ACIDMANの楽曲の良さを生かしつつ、しっかりと自分たちの色も出したカバーに仕上がっています。スカパラがカバーした「to live」は、まさにスカパラらしいスカのカバーになっていますし、the band apartのカバーした「夜のために」も、彼ららしい軽快なギターロックに仕上げています。
downyによる「風、冴ゆる」も全面的にノイズを入れた、まさにdownyらしい曲に仕上げていますし、BRAHMANの「SILENCE」も、こちらも非常に力強いアレンジにBRAHMANらしさを感じます。
それぞれ、自らの色を入れつつも、一方では基本的な軸となる部分はACIDMANの原曲から大きくは乖離しておらず、そういう意味でしっかりACIDMANへのリスペクトも感じさせます。ACIDMANの良さと、カバーしたそれぞれのミュージシャンの良さをほどよくバランスさせた曲が目立ち、理想的とも言えるトリビュートアルバムに仕上がっていました。ACIDMANのオリジナルアルバムともどもチェックしておきたい作品。ACIDMANのファンも、参加しているそれぞれのミュージシャンのファンも、それぞれお勧めしたいアルバムです。
評価:★★★★★
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