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2026年1月20日 (火)

メロウなR&Bとテクノ/ハウスが上手く融合

Title:THE BPM
Musician:Sudan Archives

Thebpm

アメリカのシンガーソングライターで、バイオリニストとしても活動するスーダン・アーカイヴスことブリトニー・デニス・パークスの3枚目となるアルバム。今回のアルバムは前作「Natural Brown Prom Queen」に続くアルバムという形ですが、前作以上にハウスやテクノ、クラブミュージックの要素が強く、彼女のメロウなR&B的な要素の強い歌とマッチし、非常に心地よくも、同時に高揚感も覚える作品に仕上がっていました。

アルバムは、まず挨拶代わりとも言うべき「DEAD」からスタート。最初はゆっくりメロウな彼女の歌を聴かせつつ、中盤以降、リズミカルなエレクトロビートが入り、徐々にダイナミックに盛り上がっていく構成は、メロウなR&B的な要素とリズミカルなエレクトロ要素を明確に表現しており、このアルバムを象徴するような楽曲と言えるでしょう。

序盤は比較的抑えめのビートで聴かせるようなタイプのナンバーが並びます。アフロビート的な要素を入れつつも抑え気味の「COME AND FIND YOU」、ハイトーンボーカルでメロウに聴かせる「TOUCH ME」など、まずはメロウなR&Bの歌という、彼女のひとつの側面を比較的前に押し出したような曲が並びます。

そして、リズミカルなエレクトロビートを前に押し出して高揚感あふれるのが中盤から。ピアノやバイオリンも取り入れてリズミカルに聴かせるハウスチューン「A BUG'S LIFE」で徐々に盛り上がり、「THE NATURE OF POWER」はリズミカルなテクノチューンで一気に気持ちが高ぶっていきます。エレクトロなトラックにHIP HOP的な要素も入れた「MY TYPE」も、リズミカルな彼女のラップで高揚感を覚えるようなナンバー。この中盤においては、エレクトロなダンスチューンという要素を押し出した曲が並んでおり、アルバムは新たな展開を迎えます。

その後もダウナーなノイズを前に押し出した「DAVID&GOLIATH」のようなナンバーや、リズミカルなテクノチューンであるタイトル曲の「THE BPM」、ちょっとエロティックな雰囲気を醸し出しているメロウなナンバー「MS.PAC MAN」など、硬軟入り混ぜたようなバラエティー富んだ展開となります。ただ、この後半に関しては、リズミカルなテクノチューンに関しても中盤ほどの高揚感はなく、どちらかというと、様々なタイプの曲をしっかりと聴かせているような印象を受けました。

そしてラストは、再びリズミカルなエレクトロトラックが印象的な「NOIRE」から、彼女のメロウな歌を聴かせる「HEAVEN KNOWS」で締めくくり。最終盤の2曲はスーダン・アーカイヴスの2つの側面を再び強調するような作品が並び、アルバムを締めくくります。

このように、彼女の歌声でメロウに聴かせるR&B路線のポップスと、テクノ、ハウスの要素を強く入れたエレクトロ路線をバランスよく両立し、上手く融合させた作品となっています。メロウな歌に耳を傾けたかと思えば、アップテンポなエレクトロチューンに高揚感が高まる、1枚のアルバムで様々に楽しめる傑作だと思います。ちなみに彼女、バイオリニストですが、今回もバイオリンの要素は少な目。ただ、曲によってはバイオリンの音色を上手くつかっている曲もあり、その点はバイオリニストとしての彼女の顔を覗かせるナンバーも。R&B好きやテクノ好きなど幅広い層が楽しめる傑作です。

評価:★★★★★

Sudan Archives 過去の作品
Natural Brown Prom Queen


ほかに聴いたアルバム

Power To The People/John & Yoko, Plastic Ono Band

1972年8月30日に、ニューヨーク、マディソン=スクエア・ガーデンで行われたチャリティーコンサートの模様を収録したライブ盤。昼夜2回公演で、その両方の模様が収録されています。ジョン・レノンにとって、ビートルズ解散後、初となる本格的なライブで、かつこれが最初で最後のライブとなってしまったようです。そういう意味で、非常に貴重なライブの模様を収録したライブ盤となります。

ビートルズ時代の曲も含めて、代表曲が並ぶセットリストで、そのライブ会場の雰囲気も収められており、70年代の空気感を感じられるライブ。その貴重さはもちろん、ライブ会場の雰囲気をパッケージしたドキュメンタリー的な作品にもなっていますし、また、耳なじみある名曲も数多く楽しめるライブ盤ということで、初心者からコアなリスナーまで幅広く楽しめるライブ盤となっています。

ただ一方、正直ちょっと辛いのが、オノヨーコの曲で、彼女に対するネガティブな評価は、少なからず女性差別やアジア人差別の要素も入るのであまり組したくはないのですが、アバンギャルドな作風と彼女のキンキン声は(素人が・・・という意見も見受けられるのですが、あのボーカルはわざとでしょう)、ライブの流れを阻害しており、邪魔に感じてしまいました。もっとも、当時のジョンレノンを理解するには、オノヨーコも含めて、なのでしょうから、仕方ないのかもしれませんが・・・。ただ、この点を差し引いても、素晴らしいライブアルバムなのは間違いないと思います。前述の通り、初心者含め広い層にお勧めできるライブ盤です。

評価:★★★★★

John Lennon 過去の作品
GIMME SOME TRUTH.

Cornucopia Live/Bjork

ビョークが「Cornucopia」ツアーの一環として実施した、2023年9月1日のポルトガル・リスボンのアルティス・アリーナで行われたライブの模様を収録したライブアルバム。様々なサウンドを取り込んだ、ダイナミックでドリーミーなステージになっており、ビョークの音世界を満喫できるライブアルバム。このツアー自体は、映像を交えて、全身で体感するステージだったようで、映像がない分、本来のライブの魅力を発揮できている訳ではないのかもしれませんが、それを差し引いても、ビョークのライブの魅力を十分に感じられる傑作のライブアルバムでした。

評価:★★★★★

Bjrok 過去の作品
biophilia
2012-02-12 NY Hall of Science,Queens,NY
Bastards
Vulnicura
Vulnicura Strings
Biophilia Live

utopia
Fossora

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