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2025年12月 2日 (火)

貴重なRAGEのライブ音源

Title:Live On Tour 1993
Musician:RAGE AGAINST THE MACHINE

Ragelive1993

様々な言動が問題を呼び起こしているアメリカのトランプ大統領。人々が長い期間をかけて築いてきた自由、平等、公正の概念が崩れ落ちそうな危機的状況となっており、問題視されていますが、そんな中、音楽業界でその不在を残念に感じるのがRAGE AGAINST THE MACHINEの存在でしょう。その強い政治的メッセージが話題となり、ラップメタルのヘヴィーな音楽性と合わせて、特に90年代初頭に高い人気を誇りました。2000年に解散し、その後、2007年と2022年に再結成を果たすものの、2022年のライブ以降、解散状況となっており、トランプの大統領就任後も特に活動を再開させていません。

今回紹介するのは、そんなRAGE AGAINST THE MACHINEが1993年に行われたライブツアーの模様を収録したライブアルバム。4月のレコード・ストア・デイでアナログ盤がリリースされ、その後、9月に配信リリースされています。1993年というと、彼らのデビューアルバム「Rage Against The Machine」をリリースした直後のツアー。バンドとしてまだ若々しく、そして勢いのある時期のライブ音源がつめこまれています。

今回のライブ音源の特徴的な点は、ツアーの時の音源に全く手を加えられておらず、音源のミックス処理も行われていない、まさにそのままの状況で収録されているという点でしょう。楽曲がはじまる前の短いMCもそのまま収録。ライブ会場の音をそのまま詰め込んだ音となっており、当時のライブの模様がそのままパッケージされた音源となっています。

ちなみに収録曲は、デビューアルバムの曲を全曲、アルバムの曲順に収録した内容。音源も、1か所で収録されたものではなく、ワシントンやアトランタ、パリやミラノなど、このライブツアーで行われた音源をピックアップしたものとなっています。音源はそのまま収録している一方、ライブ会場については様々な場所のつまみ食いしているあたり、リアリティーという観点からはどうなのか、という点は気になるのですが、ただ、デビューアルバムの楽曲を、当時の演奏で聴けるという点では、貴重な音源と言えるでしょう。

そんな音源であるからこそ、迫力満点の演奏が実に魅力的。オリジナルと比べると、良くも悪くも荒々しさを感じますが、そんな荒々しさを含めてRAGE AGAINS THE MACHINEの、この頃のライブの魅力と言えるのでしょう。「Settle for Nothing」の焦燥感のあるザックのシャウトも、オリジナル以上に胸に響いてくるものがありますし、「Bullet In the Head」の冒頭に観客をアジるよるな短いMCもあるのもライブ音源ならではの魅力。アレンジ的にはオリジナルから大きく変化しているものはありませんが、ライブならではのRAGEの演奏を楽しめるライブアルバムとなっています。

ただ、ちょっと残念だったのが前述の通り、デビューアルバムの楽曲をデビューアルバムの曲順に並べたライブ盤であり、ある1か所のステージをそのまま収録した内容ではない、という点。個人的にはやはり、1つのステージを最初から最後までそのまま収録したライブ盤の方が、当日のライブの空気感もよくわかりますし、より、当時のRAGEのライブがどのようなものであったのか、理解できたような気がします。次は、是非、どこか1つのステージをそのまま収録したライブアルバムを聴いてみたいです。

RAGE AGAINST THE MACHINEの不在が非常に残念に感じる今の時代。是非、トランプ政権への抗議として、RAGEの歌を聴きたいところなのですが・・・。ただ、ザックは移民摘発を批判するTシャツなどの販売を手掛けているようですし、トム・モレロもロサンゼルスでのアメリカ移民関税執行局への抗議運動を展開している模様。ここらへんの活動はさすがだな、とも思いつつ、やはり音楽での活動も期待したいところです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Sysivalo/Ø

Sysivalo

2017年に急逝したフィンランドの電子音楽家MIKA VAINIOが、生前に制作途中だった作品をまとめて関係者により完成させた作品。私は彼の作品を聴くのがはじめてなのですが、Øとしての作品はいままでインダストリアルやノイズ的なヘヴィーな作品が多かったとか。しかし、遺作となったこの作品は、終始静かなアンビエント的な作品となっており、これが最期となることを悟っていたかのような作風となっています。ただ、所々でノイズやインダストリアルの要素が垣間見れるところがおもしろいところ。全体的に静かなアンビエントとなっているので、賛否はわかれそうな感じですが・・・。

評価:★★★★

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