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2025年12月 8日 (月)

170万枚を売り上げたスピッツの代表作

Title:ハチミツ 30th Anniversary Edition
Musician:スピッツ

年末も近づき、紅白やレコ大などで、今年1年のヒット曲を振り替えることが多くなってきました。ただ、そのような中で、紅白の出場者やレコ大の候補曲などがあげられた際に、「昔は誰もが知っているヒット曲が選ばれたのに・・・」みたいな話が、いまさらネットニュースなどで話題となっていて驚かされます。だって、そういう「昔は誰もが知っているヒット曲が・・・」的な話って、私が中学生の頃、要するに、もう35年以上昔に、よく、その時の大人世代が今の音楽シーンに対する文句として話題となっていたからです。なんで、スピッツのアルバムの話題で、そういうことを思い出したかというと、スピッツが「ロビンソン」でブレイクした頃、よく、「最近のバンドはよくわからん。スピッツの『ロビンソン』なんてのが流行っているけど、スピッツとロビンソン、どちらが曲名でどちらがミュージシャン名なのか、よくわからない」なんて話があがっていたことを思い出したからです・・・。そう考えると、私が中学生の頃、その頃の40代50代あたりの大人が言っていた、「昔は誰もが知っている・・・」なんてことも本当かどうか、かなり怪しいなぁ・・・。

そんな訳で今回紹介するのは、スピッツがブレイクした「ロビンソン」も収録され、170万枚以上の売上をたたき出した1995年にリリースしたアルバム「ハチミツ」の30周年記念盤。CD本編の方には、オリジナル音源と共に、同作に収録されている「愛のことば」「ロビンソン」などの最近のライブバージョンを収録。さらにBlu-rayが付属しており、こちらにはミュージックビデオや当時のライブ映像が収録されています。昨年、「空の飛び方」の30周年記念盤がリリースされましたが、それに続く「30周年記念盤」の第2弾となります。

前作「空の飛び方」で、既にスピッツとしてのスタイルを完成させていた彼らでしたが、そのため大ブレイクしたこのアルバムに関しても、基本的にはいままでの彼らのスタイルを大きく変えるものではなく、スピッツらしい路線を貫いています。そして、そんなアルバムを30年という月日を経て聴いてみてあらためて感じるのは、その月日を経ても、いまだにアルバムとしての瑞々しさを失っていないという点。おそらく、このアルバムを、今リリースしたとしても、全く違和感がありません。

楽曲的には、ちゃんと広い層に「ポップ」として捉えてもらえるようなお茶の間対応の楽曲に仕上げながらも、歌詞に、どこか死やセックスの影を忍ばせてくる独特の世界観もちゃんと健在。例えば「グラスホッパー」では

「こっそり二人 裸で跳ねる
明日はきっとアレに届いてる」
(「グラスホッパ」より 作詞 草野マサムネ)

と、セックスを彷彿とさせる歌詞ながらも、軽快なギターポップのナンバーに仕上げており、サラリと聴くことが出来ます。「Y」でも「小さな声で僕を呼ぶ闇へと手を伸ばす」と、こちらもとても暗い、ともすれば「死」をも彷彿とさせる表現を使いながらも楽曲としては非常にメランコリックなポップに仕上げています。ここらへんのギャップが間違いなくスピッツの大きな魅力であり、かつ、このような個性は、既にこの段階で完全に確立されていました。

ご存じ「ロビンソン」以外にも「涙がキラリ☆」「ルナルナ」「愛のことば」「トンガリ'95」「君と暮らせたら」などなど、名曲揃いのアルバムで、文句なしに彼らの代表作であり、J-POP史に残る名盤である本作。前述の通り、今聴いても全く色あせないアルバムであるので、もし未聴の方がいたら、これを機に是非。もちろん、リアルタイムで聴いていたリスナーも、これを機に再度チェックしておきたい、そんな作品でした。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる
おるたな
小さな生き物
醒めない
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
見っけ
花鳥風月+
ひみつスタジオ
劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro
空の飛び方 30th Anniversary Edition
新しい季節に聴きたいスピッツ


ほかに聴いたアルバム

ゴールデン☆ベスト 小坂明子/小坂明子

レコード会社共通タイトルによる廉価版ベストシリーズ。今回紹介するのは1973年にリリースしたシングル「あなた」が大ヒットを記録した小坂明子のベスト盤。ワーナー時代の作品を収録したベスト盤で、デビュー作「あなた」からワーナー時代の最終作、1977年のシングル「今だから」までの曲を、カップリング合わせてリリース順に収録。その後に、ワーナー時代のアルバム曲を収録した内容となっています。

小坂明子といえば「あなた」が大ヒットを記録したものの、その後が続かず、「一発屋」的な見方をされることも少なくありません。確かに、こうやってベスト盤を聴くと、明らかに「あなた」以降のシングル曲が露骨に「あなた」の路線を狙ったような曲が目立ち、この点、「あなた」路線を求められすぎた点が不運だったのかな、とも思います。一方で「ごめんなさい」「トワイライト神戸」のような、シティポップ的な作風の曲もあり、この路線をもっと突き詰めれば面白くなれたのに、とも感じてしまいます。そういう意味では、彼女にとってデビュー作のヒットがあまりに大きすぎて重荷になってしまったのかも。そんなことを感じたベスト盤でした。

評価:★★★★

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