国民的アイドルへの初のトリビュートアルバム
Title:中森明菜 Tribute Album “明響”
80年代に一世を風靡し、松田聖子と並び、今なお、国民的アイドルとして支持を集める中森明菜。最近では、芸能活動は再開しているものの、比較的、活動量は限定的であり、相変わらず彼女の姿を見かける機会はあまり多くありません。そんな中、初となるトリビュートアルバムがリリース。数多くのミュージシャンたちが彼女の代表曲のカバーに挑戦しています。
中森明菜と言えば、その歌唱力に定評があるだけに、そのカバーというとそれなりにハードルが高くなってしまうのですが、そこはしっかり歌い手のセレクトはされており、全員、最低限のハードルはクリアしているため、中森明菜のファンにとっても違和感なく楽しめるのではないでしょうか。そんな中でも何人か、なかなか聴かせるカバーもあり、まず「トワイライト -夕暮れ便り-」をカバーしたGYUBIN。彼女については完全に初耳なのですが、韓国の18歳のシンガーソングライターだそうですが、アイドル的な歌い方の中に、ちょっと掠れた声を入れて色っぽさを感じさせるカバーが耳を惹きます。
Adoの「十戒(1984)」も見事。以前、彼女は「飾りじゃないのよ涙は」をカバーしており、その相性の良さを感じたのですが、こちらのカバーも絶品。オリジナル曲だとどうしても押し一辺倒になりがちな彼女のボーカルですが、こちらではしっかりと抑え気味のボーカルでも表現をあらわしており、彼女のボーカリストとしての実力を感じさせます。
バンドサウンドでダイナミックに聴かせてくれるのはJUJUの「DESIRE -情熱-」。彼女も以前から数多くのカバーを歌ってきたシンガー。ただ、いままであまり彼女の曲を聴いてこなかったのですが、こうやってあらためて聴くとボーカリストとしての実力をしっかり感じさせます。その実力を再認識したという意味では中島美嘉の「難破船」。正直彼女のボーカルは、かつては非常に不安定で、あまり「上手い」という印象を受けなかったのですが、いまではしっかりボーカルも安定し、その感情表現に彼女の実力を感じさせる内容となっています。
ただ一方、全体的には原曲に忠実な、卒なくこなしたカバーが多く、意外性はなし。特にアレンジ面で挑戦したカバーがあればもっと面白かったと思うのですが、そこらへんはあくまでもミュージシャンではなく「歌手」に対するトリビュートなので、サウンドの側面はあまりいじれなかったのでしょうか。その点はちょっと物足りなさも感じました。
そして今回のアルバム、デラックス版だとDisc2として、トリビュートアルバムでカバーされた楽曲の原曲を収録したCDがついてきています。まさに中森明菜のベスト盤となっているのですが、さらに今回のトリビュートアルバムは曲順がリリース順。そのため、こちらのベスト盤も彼女の代表曲が発表順に並んでいます。
その結果、ボーカリストとしての中森明菜の歩みが非常によくわかる構成となっており、デビュー作「スローモーション」では初々しい、いかにもアイドルな歌声を聴かせてくれている彼女が、徐々に大人としての色気と迫力をボーカルに加えてきている過程がよくわかり展開となっています。また、あらためて彼女のオリジナル曲を聴くと、ただ声を張り上げるのではなく、むしろ抑えぎみのボーカルで感情を表現している点、彼女のボーカリストとしての実力をあらためて実感させられました。
トリビュートアルバムだけだと★4つ、ただ中森明菜のオリジナルのベスト盤付ということで★1つ追加で。トリビュートアルバムの参加ミュージシャンも魅力的でしたが、それ以上に中森明菜の魅力も強く感じられたアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY/YMO
YMOが1979年に行った、ロンドン、パリ、ニューヨークでのツアーの模様を収めたボックスセット。世界進出を目指していた彼らの貴重な記録と言えるでしょうし、このライブの雰囲気から伝わるところだと、確かに彼らは海外でも受け入れられていたんだな、ということを実感できるライブ音源となっています。全体的にどこか異国情緒、エキゾチックさも感じさせる点、彼らがどのように欧米で受け入れられたのか、というのも垣間見れる記録に。かなりボリューミーな内容でしたが、聴きごたえのあるボックスセットでした。
評価:★★★★★
Yellow Magic Orchestra 過去の作品
LONDONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON 15/6 08-
GIJONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08-
YMO
NO NUKES 2012
NEUE TANZ
SONGS 50th Anniversary Edition/シュガー・ベイブ
かつて山下達郎や大貫妙子が在籍し、伝説的なグループとなったシュガー・ベイブが唯一リリースし、現時点でシティポップの名盤としても名高い「SONGS」。そのリリース50周年及び山下達郎デビュー50周年を記念し、50周年記念盤がリリースされました。10年前には40周年記念盤がリリースされ、ここでも紹介しましたが、本作の聴きどころはDisc2。1994年に行われた「TATSURO YAMASHITA Sings SUGAR BABE Live」の模様を収録。「SONGS」がはじめてオリジナル・マスターによりCD化されたことを記念し、中野サンプラザで4日のみ行われたシュガー・ベイブの楽曲だけで構成された山下達郎のライブ。彼が41歳の時のステージで、まさに脂ののった時期でのステージ。シュガー・ベイブの楽曲もさらにパワーアップし、聴きごたえ十分。あらたに生まれ変わった魅力的なライブ音源となっています。既にオリジナルアルバムを聴いている方も要チェックの音源です。
評価:★★★★★
シュガー・ベイブ 過去の作品
SONGS-40th Anniversary Ultimate Edition-
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