ラテン音楽を網羅的に濃く紹介
今回は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。
「ゼロからわかる!ラテン音楽入門」。書店に行くとよく並んでいる、初心者向け、というよりもそのジャンルをさらっとなぞるだけなぞってみよう・・・程度の興味しかないような層に向けてのお手軽な入門書レベルのシリーズ・・・かと思いきや、ラテン音楽について実によくまとめられた、ラテン音楽に興味がある方はもちろん、ワールドミュージック全般に興味がある方にもおすすめできる、入門レベルながらもかなり濃い内容の1冊でした。
「ラテン音楽」とは、いわば中南米地域の音楽。もともとスペインやポルトガルの植民地だったこれらの地域に、奴隷としてアフリカの黒人が連れてこられた結果、スペインやポルトガルなどの西洋系の音楽と、アフリカ系の音楽が混在した独自かつ豊かな音楽文化が生まれました。
本書では、そんな「ラテン音楽」を網羅的に紹介しています。第1章ではラテン音楽に関する概要の紹介。第2章ではラテン音楽の主なジャンルについて紹介した後、第3章では、そんなラテン音楽の代表的なミュージシャンたちを紹介。第4章では、そんなラテン音楽の現在の状況を、第5章ではラテン音楽の歴史を紹介した後に、第6章では中南米の音楽を国ごとに紹介。最後の第7章では、ラテン音楽と様々な音楽ジャンルとのつながりを紹介しています。全192ページというボリュームの中で、ラテン音楽をあらゆる切り口から紹介しており、かなりボリューミーな内容に仕上がっています。
内容的にかなり詰め込んだ内容になっているため、入門レベルとはいえ、様々な固有名詞が次々と登場。その点はちょっと読みにくい部分があったことは否めませんが、次々と登場してくるラテンのミュージシャンたちには俄然、興味が湧いてきます。特にうれしいのは、それぞれのジャンルにおすすめのアルバムも載っており、読んだ後、どんな作品に手をつければよいのかもわかりやすく紹介しているのはうれしいところ。さらに章ごとにSpotifyのプレイリストがQRコードで紹介されており、こちらもSpotifyによって代表的なラテンの楽曲についてチェックすることもできます。
さらに第6章のラテンアメリカ各国の音楽についてはかなりマニアックな部分も網羅。ブラジルやメキシコのような大国だけではなく、例えばニカラグアやウルグアイといった、ちょっとマニアックな国の音楽までちゃんとフォローしてあり、入門書でありながらも、コアなリスナー向けでも読み応えがあるかも。第4章では、ラテン音楽の現在もしっかりとフォローしており、ここでは当サイトでも紹介したこともあるBad BunnyやRosaliaといった、最近話題のラテン系ミュージシャンも紹介されています。
そして第7章も非常に興味深い内容で、ラテン音楽と他のジャンルとのつながりを紹介。日本の歌謡曲やHIP HOPとのつながりや、ジャズ、さらにはクラシックとのつながりも紹介しています。ポピュラーミュージックの書籍だと、どうしてもクラシックについてはあまりフォローされないケースが多いのですが、そんなクラシックに対してラテン音楽がどのような影響を与えてきたのかも紹介されており、本書の網羅する範囲の広さを感じさせます。
なお、一方でラテン音楽を広く網羅的に紹介している影響で、例えばブラジル音楽にように、それだけで大きな市場があるような国の音楽については、サラッと触れた程度。例えばラテンのスターの紹介でも、ブラジル音楽の大物、ジョアン・ジルベルトやカルメン・ミランダのようなミュージシャンたちは紹介されていません。また、レゲエに関しては完全にスルー。ジャマイカの音楽としても紹介されていません。レゲエはレゲエで、ラテン系音楽からは独立したジャンル、という位置づけなのでしょうか。
そんな点は差し引いても、ただラテン音楽の入門書としても、さらに多少ラテン音楽を知っているような方にでも、かなりおすすめできる網羅的、かつ内容の濃い、読み応えのある1冊になっていました。今後、これを機に、ここで紹介されているアルバムをいろいろとあさって、ラテン音楽についても積極的に聴いていきたいです。
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