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2025年11月14日 (金)

社会と個人の断絶/分断をテーマに

Title:Antidepressants
Musician:Suede

oasis再結成によりにわかに注目を集めるブリットポップ・・・といった感じではありませんが、oasis再結成に合わせたoasis関連の書籍で、彼らと同時代のバンド、ミュージシャンたちも取り上げられるような機会も増えたような感もあります。ただ、ブリットポップムーブメントは遥か過去に去ってしまいましたが、往年のバンドたちのうちいくつかは、いまだに積極的に活動し、90年代に勝るとも劣らない出来栄えのアルバムをリリースしていたりします。ブリットボップの代表格のひとつとも言うべきSuedeも、まさにそんなバンドのひとつと言えるかもしれません。

2011年の再結成以降、比較的コンスタントに活動を続ける彼ら。本作は2022年にリリースされた「Autofiction」以来、約3年ぶりとなる新作。再結成以降の作品はチャート的にも高評価を維持しているようで、前作は全英チャートで2位を記録。それに続く本作も、前作に引き続き2位を獲得し、いまなお人気の高さを感じさせる結果となっています。

今回のアルバムに関しては、比較的シンプルでストレートなギターロック、ほどよくゴシックロックの要素が入ったSuedeらしいアルバムといった印象を受けました。基本的にポップなメロディーラインが主導となっており、いい意味でリスナー層を限定しない聴きやすさを感じさせ、また、ゴシックの側面についても、必要以上に耽美的にならず、ほどよくSuedeらしさを出した作品で、ブリットポップという言葉にピンと来るような方にとってはおすすめできる作品になっていたと思います。

アルバムの冒頭を飾る「Disintegrate」は力強いリズムと荒々しいギターサウンドが特徴的。よりヘヴィネスさを加えてダイナミックに聴かせる楽曲からスタートし、まずはリスナーの耳を惹きつけます。タイトル自体「崩壊/分解」という意味だそうで、アルバムの冒頭の「Connected/Disconnected」という警告音が印象的。社会や個人の断絶というのは本作のテーマとなっており、不気味な雰囲気が、社会の分裂が続く現在の社会情勢への警告になっているような印象も受けます。

そんな「断絶」というテーマ性から考えると、続く「Dancing With The Europeans」は印象的。タイトル通り、ヨーロッパ人と一緒に踊るという題された、軽快でメロディアスなナンバーとなっており、スケール感のある楽曲。人々のつながりを歌ったような楽曲となっています。

その後もタイトルチューン「Antidepressants」は、伸びやかに歌い上げるゴシック色も取り入れたようなスケール感あるロックチューン。ミディアムテンポでゆっくりと歌い上げる「Somewhere Between An Atom And A Star」もまさに、哀愁感たっぷりに聴かせるナンバーで、Suedeらしい楽曲となっています。特に後半になるにつれて「Trance State」「June Rain」のようなメランコリックに歌い上げるような楽曲が目立つような印象を受けます。

一方でライブで盛り上がりそうなロックアンセムとして「Broken Music For Broken People」が印象的。伸びやかで力強いバンドサウンドに、爽やかに歌い上げるポップなメロがインパクト十分。タイトルの通り、分断された社会や人々に対する力強いメッセージとなっており、まさにライブでも盛り上がりそうなナンバー。そしてアルバムラストの「Life is Endless,Life is A Moment」は力強く歌い上げるダイナミックな楽曲で締めくくり。まさにアルバムを締めくくるにふさわしいラストとなっています。

「社会や個人の断絶/分断」というテーマ性を掲げつつ、彼ららしいゴシックな要素を取り入れ、一方ではシンプルでポップなギターロック路線が印象的な作品。バンドとしての目新しさはありませんが、Suedeらしさをしっかり抑えた作品になっていたと思います。何よりも、2020年代の今となっても、バンドとして十分すぎるほどの現役感を覚える勢いも感じさせる作品。ファンならずとも、ブリットポップが好きだった、あるいは、ギターロックが好きな方はおすすめできる作品だと思います。今なおSuedeの健在さをアピールする作品でした。

評価:★★★★★

suede 過去の作品
night thoughts
The Blue Hour
Autofiction


ほかに聴いたアルバム

The Passionate Ones/Nourished by Time

前作も大きな話題となったアメリカ人シンガーソングライターの2作目のアルバム。R&Bやシンセポップなどを取り入れた楽曲はいずれもポップでいい意味で聴きやすく、80年代あるいは90年代のR&Bを彷彿とさせる、どこか懐かしいポップチューンが並んでいます。「9 2 5」のようなダンスチューンもあったり、前作以上にエレクトロ色が強くなった印象も。いい意味で聴きやすいポップチューンが並び、前作同様、比較的広いリスナー層が楽しめるポップアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Nourished by Time 過去の作品
Erotic Probiotic 2

Live Laugh Love/Earl Sweatshirt

Odd Futureのメンバーであり、現在は主にソロとして活躍するEarl Sweatshirtの新作。毎回、1分~2分程度の長さのラップでアルバム全体も30分程度という短く、聴きやすい作品が続いていますが、本作も全11曲ながらも24分という長さに留まる作品となっています。今回も、全体としては淡々としたラップが続き、1曲あたり2分程度の長さのため、楽曲が次々と展開していく構成。ムーディーな雰囲気の作品から、コミカルな作風の曲まであり、全体的に聴きやすいアルバムとなっています。ただ一方、全体として目新しさはちょっと薄かったような感じも。いままで聴いてきた2作に比べると、ちょっと物足りなさも感じてしまいました。

評価:★★★★

Earl Sweatshirt 過去の作品
Some Rap Songs
FEET OF CLAY

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