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2025年11月

2025年11月30日 (日)

可愛いポップな作品の並ぶ

Title:可愛い女子
Musician:水曜日のカンパネラ

ボーカルが詩羽に変わってから、早くも4作目となる水曜日のカンパネラのEP。毎年1枚のペースでリリースを続けており、本作も約1年3か月ぶりの作品となっています。タイトルの意味は、「固定観念にとらわれない"かわいさ"や、自分でポップな価値観」を表現したいという詩羽の思いが込められているとか。今回も水曜日のカンパネラらしいポップな曲の並ぶ、全8曲入りの作品となっています。

そんなEPに収められた今回の8曲なのですが、どの曲もシングル曲としてヒットチャートで戦えそうな、インパクトあるポップチューンが並びます。1曲目「ウォーアイニー」もリズミカルなエレクトロポップチューンですが、タイトルからスタートするサビからして、いい意味でわかりやすいインパクトあるサビを持ってきている楽曲。これに続く「サマータイムゴースト」は強いビートでリズミカルなダンスチューンとなっています。

個人的にこのアルバムの中で好きなのが「シャトーブリアン」で、焼肉の種類を連呼するだけのナンバー。「バッキンガム」や「シャクシャイン」などでおなじみの、ある意味、水カンの王道的ナンバー。かなりインパクトがあってシュールなMVも必見の1曲に。そして「怪獣島」もコミカルな歌詞が印象的な楽曲で、こちらはトライバルなリズムが印象的な作品になっています。

「バタフライ」はリズミカルなビートにメランコリックなメロが印象的な楽曲。いままでの明るいポップな雰囲気から一変する、ダークな雰囲気の楽曲になっています。さらに「シャルロッテ」もサビの部分にインパクトのあるポップチューンで、わかりやすいサビがいかにもCMソングといった感じの楽曲に。「動く点P」は、学生時代を思い出してちょっとクスっとなるユニークな歌詞が特徴的なリズミカルな作品。そしてラストを飾る「願いはぎょうさん」は、トランシーなリズムが特徴的ながらも、郷愁感のあるメロが耳に残る作品での締めくくりとなっています。

そんな全ての楽曲にインパクトのある本作ですが、それもそのはず、「シャトーブリアン」以外、なんとすべての曲にタイアップがついています。それも「怪獣島」は、テレビ東京系アニメ「ちびゴジラの逆襲」主題歌だったり、「シャルロッテ」はタイトル通り、ロッテのCMソングだったり(「シャルロッテ」はロッテの社名の由来となった「若きウェイテルの悩み」のヒロイン)、しっかりタイアップ先に沿った曲になっています。こういうタイアップに沿った曲でも、自然にアルバムの1曲としてしまうあたり、水カンの音楽のある種の包容力を感じます。

ただ、結果として今回のEP。シングル曲が並んだベスト盤かプレイリストのような内容となっており、「かわいい」というコンセプトをかかげながらも作品としての統一感はありません。このシングル曲の寄せ集めのような傾向はいままでのEPにもありましたが、今回の作品はその方向性がより顕著だったように思います。水カンは詩羽がボーカルになってから、シングルかEPでのリリースでオリジナルアルバムのリリースがありません。あくまでもEPという形式でのリリースが続くのは、オリジナルアルバムのような、全体で統一感や流れのあるような作品はまだリリースできない、というミュージシャン側の意思なのかもしれません。

そんなEPではあるものの、これはこれで水曜日のカンパネラの魅力を存分に味わえる傑作であるのは間違いありません。同じエレクトロのポップチューンという軸がありつつも、バラエティー富んだ楽曲を歌いこなしているのも彼女ならでは。プレイリストのような作品とはいえ、どの曲も魅力的な楽曲が並び、インパクトの強い作品でした。

評価:★★★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA
SUPERMAN
ガラパゴス
猫は抱くもの(オリジナル・サウンドトラック)
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ&オオルタイチ)
ネオン
RABBIT STAR★
POP DELIVERY


ほかに聴いたアルバム

in my mind/DOPING PANDA

Dopingpandainmymind

途中、EPやthe band apartとのコラボ作を挟みつつ、フルアルバムとしては再結成後2枚目、約3年ぶりとなるニューアルバム。彼らとしては珍しく、日本語の曲がメインだったり、ボッサ風や郷愁感あふれる楽曲があったりする一方、基本的には序盤から、バンドサウンドにエレクトロを加えた、いかにもDOPING PANDAらしいアップ店pでダンサナブルな曲が並ぶアルバムに。新しさを感じつつ、従来からのファンにとっては安心して聴けるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

DOPING PANDA 過去の作品
Dopamaniacs
decadance
anthem
THE BEST OF DOPING PANDA
YELLOW FUNK
Doping Panda
High Hopes
MELLOW FELLOW(DOPING PANDA×the band apart)

THE BADDESTⅣ&Timeless Hits/久保田利伸

恒例とも言える久保田利伸のベストアルバム「THE BADDEST」の第4弾。本編「THE BADDESTⅣ」は2013年以降の作品からセレクトして収録しています。ただ、ちょっと意地悪な言い方をすると、2013年以降、大きなヒット曲が出ていないので「Timeless Hits」としてオールタイムベストを附属した2枚組に。確かに「Timeless Hits」に収録されている過去の彼の代表曲と比べると、「THE BADDESTⅣ」収録曲は、ちょっとマンネリ化してしまっており、勢い不足は否めない印象も。とはいえ、「THE BADDESTⅣ」収録曲も、これはこれで決して悪くなく、ソウルやファンクを、現場の空気感をなるべくパッケージしつつ、日本風にもまとめている久保田利伸らしい楽曲が並んでいます。「Timeless Hits」含め、オールタイムベスト的にも楽しめるベスト盤です。

評価:★★★★★

久保田利伸 過去の作品
Timeless Fly
Gold Skool
THE BADDEST~Hit Parade~
L.O.K.
THE BADDEST~Collaboration~
3周まわって素でLive!~THE HOUSE PARTY! ~
Beatiful Peaple

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2025年11月29日 (土)

シンプルながらも奥行きのある作品

Title:Blurrr
Musician:Joanne Robertson

Blurrr

イギリス・グラスゴーを拠点に活動を行っているシンガーソングライターの新作。カルト的な人気を誇るシンガーだそうで、本作も各種メディアに非常に高い評価をもって受け入れられているそうです。音楽活動のほかに絵画制作も行っているそうで、本作も、そんな絵画制作と、また、子育ての合間に作成された作品だとか。ママさん、お疲れ様です・・・。

アルバムは、全体的にアコギ中心のフォーキーな作風で、ローファイ気味な曲調が特徴的。「Why Me」など、まさにアコースティックギターを聴かせつつ、フォーキーに聴かせるスタイルが印象的。中盤の「Peaceful」やラストを飾る「Last Hay」など、アコギで静かにつま弾きつつ、清涼感ある歌声を聴かせてくれる楽曲が並びます。

また、おなじくシンプルでフォーキーな作風でも、リバーブを使ってよりドリーミーな楽曲も目立ち、冒頭を飾る「Ghost」など、まさにシンプルなサウンドながらもドリーミーな雰囲気に仕上げていますし、「Friendly」なども同様。ダウナーなサウンドと合わせて、独特の世界観が構築されています。

さらに本作のもうひとつ大きな特徴が後半。後半ではチェロでOliver Coastsが参加。前半、アコギと歌だけだった本作に、チェロにより彩りを加えています。「Alwayes Were」は、まさにそんなチェロの音色により、スケール感あるサウンドが構築されていますし、「Grown」も、かなりラフな雰囲気でのギターのサウンドになっていますが、チェロの音色でエキゾチックな雰囲気の作風に。Oliver Coastsが参加したもう1曲「Doubt」も、フォーキーなギターに、チェロの音色を取り込んで、スケール感ある作品に仕上げています。

シンプルな作風ながらも、チェロを取り入れることでバラエティーを持たせた今回のアルバム。ただアルバム全体に共通するのは、あくまでもシンプルなサウンドがゆえに、ボーカルと近接感がある点が特徴的。要するに、プライベイトな部屋の中で、彼女がすぐ近くで歌っているような、そんな親密さが大きな魅力となっているように感じました。

シンプルなのに、いや、シンプルが故に、その歌声も含めて奥行きを感じさせるアルバム。正直、派手なメロディーはありませんし、ちょっととっつきにくい部分もあるかもしれませんが、聴けば聴くほどその魅力にはまっていってしまうタイプの作品だと思います。彼女の歌声に聴きほれた1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

No Rain,No Flowers/The Black Keys

毎作、ルーツ志向のロックの作品をリリースし、特にオールドスタイルのロックが好きなリスナーからは多大な支持を集めるThe Black Keys。かなり活発な活動が目立ちますが、本作も前作からわずか1年4ヶ月というインターバルとなるニューアルバム。ただ、前作もオルタナ色の強いアルバムでしたが、今回のアルバムもルーツ志向のブルースロックを基調としながらも、ディスコやファンクも取り入れ、さらに全体的にポップの色合いが強いアルバムに。ロック好きとしては素直に気持ちよく感じる部分もある一方で、全体的には薄味になってしまった印象も強い作品。もうちょっとゴリゴリのルーツ志向のブルースロックに回帰してほしい印象も・・・。

評価:★★★★

The Black Keys 過去の作品
EL CAMINO
"Let's Rock"
Delta Kream
Dropout Boogie
Ohio Players

Tedeschi Trucks Band and Leon Russell Present:Mad Dogs&Englishmen Revisited Live at LOCKIN'/Tedeschi Trucks Band&Leon Russell

2015年にアメリカ・バージニア州で行われた、LOCKIN'フェスティバルの模様を収録したライブアルバム。1970年に行われた、ジョー・コッカ&レオン・ラッセルによるツアー「マッド・ドッグス&イングリッシュメン」の45周年を記念して行われたトリビュートライブ。10年前のライブ音源となりますが、レオン・ラッセルが2016年に鬼籍に入ったため、今となっては非常に貴重なライブ音源に。基本的にはブルージーなライブなのですが、ゴスペル風のコーラスが入ったり、ホーンセッションやピアノでアップテンポなセッションが繰り広げられたり、様々なサウンドで賑やかなステージを見せてくれています。会場全体が楽しそうな雰囲気につつまれているライブ音源でした。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND
Let Me Get By
Signs
I Am The Moon:Ⅰ.Cresent
I Am The Moon:Ⅱ.Ascension
I Am The Moon: III. The Fall
I Am The Moon:Ⅳ.Farewell 

Leon Russell 過去の作品
The Union(Elton John&Leon Russell)
On a Distant Shore(ラスト・レコーディング~彼方の岸辺で)

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2025年11月28日 (金)

王道を行くセットリスト

電気グルーヴ へびツアー

会場 Zepp Nagoya 日時 2025年11月20日(木) 19:00~

Hebitour

今回、足を運んだのは電気グルーヴのライブ。6月に全椅子席のライブに行ったばかりなので、なんと今年2度目の電気グルーヴワンマンライブ。ワンマンライブに年2回足を運ぶケースは珍しいのですが、やはり電気グルーヴのライブは、基本的に毎回行きたいので・・・今回も足を運んできました。今回はオールスタンディングのライブ。観客の入りは9割程度、といった印象で、ちょうどよい混み具合だったようにも思います。

例によって今回もほぼ19時ちょうどにライブスタート。まずライブの定番曲「Missing Beatz」からスタートし、いきなり会場は大盛り上がりに。さらには「モノノケダンス」「Slow Motion」とおなじみのナンバーが続きます。前半は比較的最近の曲(といっても2000年代以降の曲という意味ですが)の定番曲がノンストップで続きます。「顔変わっちゃってる。」から「The Big Shirts」「Upside Down」「Fallin' Down」と、ここまでライブの定番曲が一気に続き、序盤から会場のテンションは大盛り上がりとなります。

ここで最初のMCに。簡単な挨拶からメンバー紹介へ。前回同様、サポートギターには吉田サトシを迎えたほか、キーボードは高野勲が初参加。さらにサポートでSUGIURUMNが参加。こちらもちょっと懐かしい名前で、また彼がサポートで名古屋に来るのがはじめてだとか。また、高野勲が初参加ということで、吉田サトシと高野勲、そしてピエール瀧で、なぜか即興でのジャジーな演奏をバックに「ニュージーランドにはへびがいない~♪」という、ツアーにちなんだトリビア(?)を、ピエール瀧がジャジーに歌い上げて会場を沸かしていました。

その後は「ガリガリ君」「B.B.E.」と懐かしい曲が続き、オールドファン中心に会場を沸かせた後、「Shameful」と続いた後は、「柿の木坂」「TROPICAL LOVE」と、ここでちょっとまったり目の楽曲に。いままで盛り上がっていた会場が、ちょっとチルアウト気味な雰囲気が流れます。そして、そんなまったり気味の雰囲気の中に彼らの代表曲「Shangri-La」へ。もちろん、会場は再び大歓声で沸きあがります。

ここで2度目のMCに。石野卓球が電子タバコのCMに出ている話に。私も、この電子タバコのCMを見た時ちょっとビックリしました。ちなみにタバコのCMなんでほとんど流れないだろう、ということで受けたそうですが、喫煙所でタバコを吸おうとした時に、喫煙所のモニターにこのCMが流れだして恥ずかしい思いをした、ということを語っていました。

後半は「MAN HUMAN」から再びアップテンポなナンバーに。こちらも懐かしい「N.O.」と続き、懐かしいナンバーで会場を沸かせた後、ライブは一気に終盤戦に。「FLASHBACK DISCO(is Back!)」から「Baby's on Fire」、さらには「かっこいいジャンパー」へと続き会場はクライマックスへ。本編ラストは「ユーフォリック」で締めくくり。最後はチルアウト気味での締めくくりとなりました。

もちろん、その後は盛大なアンコールへ。再びメンバーが戻ってくると、MCの後に、そのまま「人間大統領」に。そしてラストは「カフェ・ド・鬼(顔と科学)」で締めくくり。ステージはちょうど9時頃に終了。あっという間の2時間でした。

前回のライブは、砂原良徳がゲストとして参加していた影響で、彼が在籍していた頃の曲を中心としたセットリストになっていたのですが、今回のツアーでは、特にニューアルバムもリリースされていないタイミングでのステージということもあり、ライブでおなじみのナンバーを中心に、90年代の懐かしいナンバーから、2000年代以降の比較的最近の曲までバランスよく配置。ある意味、彼らのライブの「王道」とも言えるセットリストとなっており、そのため、非常に楽しめるステージになっていたと思います。いい意味で非常にオーソドックスなステージ。文句なく楽しいステージで、満足して会場を後にしました。さすが電気グルーヴ。また、次のライブにも足を運びたいです!

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2025年11月27日 (木)

RADトリビュートがこちらでも

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週、RADWIMPSトリビュートアルバムの楽曲がHot100を席巻しましたが、当然Hot Albumsでも・・・

今週1位は、そのRADWIMPSへのトリビュートアルバム「Dear Jubilee-RADWIMPS TRIBUTE-」が見事1位を獲得。CD販売数は5位に留まりましたが、ダウンロード数及びストリーミング数で1位を獲得。総合順位では1位となっています。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは初動売上3万6千枚で5位。一方、昨日のHot100で紹介した通り、ミセス、Vaundy、米津玄師、My Hair is Badのカバー曲がHot100でベスト10入りを果たしているように、ストリーミングで気に入った曲だけ聴く、というスタイルの人が多いのかも。

2位は韓国のJYPエンタテイメント所属の日本人女性アイドルグループNiziUの3枚目となるオリジナルアルバム「New Emotion」が獲得。CD販売数は本作が1位を獲得。一方、ダウンロード数は4位、ストリーミング数は15位に留まり、総合順位はこの順位に。オリコンでは初動売上17万4千枚で1位初登場。直近のミニアルバム「AWAKE」の初動18万7千枚(1位)からダウン。

3位はNumber_i「No.Ⅱ」が先週と同順位をキープ。これで9週連続のベスト10ヒット&通算7週目のベスト3ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず5位に松任谷由実「Wormhole/Yumi Arai」がランクイン。6位にはLDH所属の男性アイドルグループTHE JET BOY BANGERZ「Let's Dance」が初登場でランクインしています。

一方、ロングヒット盤は「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (Soundtrack from the Netflix Film)」が4位から7位にダウン。これで20週連続のベスト10ヒット。藤井風「Prema」も5位から8位にダウン。こちらは12週連続のベスト10ヒット。Mrs.GREEN APPLE「10」も7位から9位にダウン。こちらも20週連続のベスト10ヒットとなります。一方、Snow Man「THE BEST 2020-2025」は10位から12位に再びダウン。ベスト10ヒットは通算31週で再度ストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週Heatseekers SongsはThis is LAST「シェイプシフター」が先週に引き続き1位獲得となっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週は、「無色透明祭3」関連の作品が上位を占める結果となっています。「無色透明祭」とは、ボカロ楽曲の匿名投稿イベントで、製作者を伏せたまま楽曲を投稿。動画も白色の背景一色というスタイルで、純粋に曲だけを評価するイベントだそうです。ある意味、ボカロだからこそ開催可能なイベントといった感じ。そこで1位を獲得したのが内緒の秘密「ぜったいだった!!!」。内緒の秘密は2023年8月に「チキンラーメン」でデビューした、比較的若手のボカロP。いままで、大きなヒットを出していない、知る人ぞ知る的なボカロPだったようで、これで一気に注目があつまりそう。2位以下も2位雨良 Amala「ユニークエンド」、3位TAKASHI「怪共鳴」と、ベスト10のうち、7位サツキ「メズマライザー」以外、すべて「無色透明祭3」の楽曲が並んでいます。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年11月26日 (水)

RADWIMPSトリビュートアルバム収録曲が一気にランクイン

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100は10曲中6曲が初登場という新曲ラッシュとなったのですが、その中で大きく目立つ曲たちがありました。それが19日にリリースされたRADWIMPSのトリビュートアルバム「Dear Jubilee-RADWIMPS TRIBUTE-」の収録曲。今週、なんと初登場6曲中4曲が、RADWIMPSのトリビュートアルバムに収録された曲となっています。

まずは4位にMrs.GREEN APPLE「狭心症」がランクイン。2011年にリリースしたシングル曲のカバー。ダウンロード数8位、ストリーミング数及び動画再生回数3位。全作の中でトップなのがミセスの人気のほども伺わせます。続く5位にはVaundy「前前前世」がランクイン。ダウンロード数16位、ストリーミング数5位、ラジオオンエア数20位、動画再生回数4位。ご存じ映画「君の名は。」の挿入歌して起用され、2016年を代表するヒット曲となった1曲。米津玄師「トレモロ」はそれに続く6位。ダウンロード数5位、ストリーミング数及び動画再生回数6位。シングル曲ではないもののファンの人気が高い、2006年のアルバム「RADWIMPS3~無人島に持っていき忘れた一枚~」収録曲。

この上位3曲は、そもそも今、絶大な支持を受けるミュージシャンがカバーしている曲だけに、上位ランクインは納得なのですが、それに続いて7位にランクインしたのがちょっと意外。My Hair is Bad「いいんですか?」がランクイン。ストリーミング数4位、動画再生回数13位。こちらも2006年リリースのアルバム「RADWIMPS4~おかずのごはん~」収録曲。

ちなみに、10位以下にも同作収録曲が並んでおり、11位SEKAI NO OWARI「最大公約数」、12位ヨルシカ「DARMA GRAND PRIX」、15位ずっと真夜中でいいのに。「有心論」、16位宮本浩次「おしゃかしゃま」、17位YOASOBI「会心の一撃」となっています。YOASOBIの順位がちょっと低いのが意外な印象もあります。

さて、上位に戻ります。まず1位にはINI「Present」がランクイン。吉本興業と、韓国の芸能事務所CJ ENMの合弁会社LAPONEエンタテイメント所属の男性アイドルグループ。CD販売数及びダウンロード数1位、ラジオオンエア回数2位。オリコン週間シングルランキングでは本作が収録されている「THE WINTER MAGIC」が初動87万9千枚で1位初登場。前作「THE VIEW」の初動63万枚(1位)からアップしています。

そして2位には米津玄師「IRIS OUT」が先週の1位からダウン。連続1位は9週でストップとなりましたが、ストリーミング数、動画再生回数は今週で10週連続の1位、カラオケ歌唱回数も7週連続の1位。これで10週連続のベスト10&ベスト3ヒットに。さらに米津玄師、宇多田ヒカル「JANE DOE」も4位から3位にアップし、2週ぶりにベスト3返り咲き。ストリーミング数は9週連続の2位。動画再生回数も3週連続の2位。これで9週連続のベスト10ヒット&通算6週目のベスト3ヒットとなります。

一方、米津玄師「1991」は、RADWIMPSトリビュート関連曲に追い出され、一気に20位にダウン。一方、米津玄師は前述の通り、今週「トレモロ」があらたにベスト10入りしていますので、今週も3曲同時ランクインとなっています。

4位以下の初登場曲はあと1曲。星野源「いきどまり」が8位にランクイン。映画「平場の月」主題歌。ダウンロード数10位、ラジオオンエア数1位。

一方、ロングヒット曲は、まずアイナ・ジ・エンド「革命道中」が6位から9位にダウン。通算14週目のベスト10ヒットに。また、HANA「Blue Jeans」も5位から10位にダウンしたもののベスト10をキープ。こちらも通算18週目のベスト10ヒット。なお「My Body」は18位にダウンしているため、2曲同時ランクインにはなりませんでした。

来週は、この一連のRADWIMPSトリビュート関連曲が動向が気になりますが・・・。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年11月25日 (火)

「ポップ」なバンドを軸にポピュラーミュージックの歴史を概観するディスクガイド

今回は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「ビートルズ以後のモダン・ポップ完全版」。音楽評論家の和久井光司責任編集による河出書房新社から出版されている「完全版/攻略ガイド」シリーズの1冊。以前、ローリング・ストーンズの作品を網羅し、紹介した「ローリング・ストーンズ完全版」を紹介しましたが、本作はそれと同じシリーズの1冊となります。

今回紹介しているのは「モダン・ポップ」とカテゴライズされたミュージシャンたちの作品。ここで言う「モダン・ポップ」とは、ビートルズ以降の、多重録音が可能になったレコーディング技術に基づいて録音されたポップミュージックと定義されています。ここで題名として「ビートルズ以降」という記載がありますが、率直なところビートルズはあまり関係がありません。確かに、ビートルズに影響を受けたミュージシャンたちが取り上げられていますが、ビートルズと同時代のポップシンガーから取り上げられていますし、一方、ビートルズ自体はもちろん、メンバーのソロの作品は取り上げられていません。そういう意味では、「ビートルズ」という名前を売れるために意図的に使った便乗商法、という見方も出来てしまう感もあります。

ただ本書がユニークだったのが、この「モダン・ポップ」というコンセプトの下で、ビートルズ以降に登場した、ポップ色の強いミュージシャンたちを多く取り上げている点。ホリーズやELO、PILOT、10cc、XTXといったバンドたちの作品が、代表作はもちろん、あまり取り上げられないアルバムや、メンバーソロの作品、バンド結成前の作品なども含めて取り上げられています。これらのバンドは、「ロック中心史観」が強い、ビートルズ以降のポップス史の中で、取り上げられるバンドではある一方、ポップ寄りな作風のためか、あまり中心的に語られることは多くありません。そういうポップバンドによりスポットをあてることにより、「ロック中心史観」とはまた違った視点から、ポピュラーミュージックの歩みについて、魅力的なミュージシャンたちやアルバムを知ることが出来る1冊だったと思います。

ちなみに今回の作品、アルバムレビューの中で、ミュージシャンたちの歩みを語っているという構成上、アルバムが網羅的に取り上げられているため、決して「名盤集」ではありません。実際、かなり強烈に批判されているような「駄作」も紹介されています。そういうアルバムはよほどのマニア以外、聴く必要はない作品なのでしょうが・・・ただ、普通のディスクガイドで取り上げられないような、そんな作品のレビューもまた興味深く、楽しく読むことも出来ました。

そんな興味深い1冊である一方、ちょっと問題点も目立った1冊でもあり・・・まずちょっと残念だったのが、書籍の構成上、ちょっとわかりにくさを感じてしまった点でした。様々なミュージシャンやバンドが紹介されているのですが、その簡単な略歴が、ディスクガイドの間のコラムで紹介されているケースもあれば、ディスクガイドの中で紹介されているケース、また、アルバムだけが紹介されていて、ミュージシャンがあまり詳しく紹介されていないケースなどもあり、全体的に統一感がありませんでした。また、「モダン・ポップ」としての全体の流れもわかりにくい点もあり、読んでいて、「モダン・ポップ」の進化・発展がいまひとつわかりにくいものがありました。

また、もっと残念だったのが、特に和久井光司のコラムに関して、自分の経験談と関連づけて語られたコラムが多く・・・これは、以前の「ローリング・ストーンズ完全版」でも感じたのですが、こういう「辞書的」な書籍としては、あまり好ましくなかったようにも思います。もっとビックリしたのは、p205 B.A.ROBERTSON「Bully For You」のディスク評の中で、「オンナコドモには不人気」という表現が飛び出したこと・・・。まさか、この時代にこんな女性差別的な表現が飛び出すとは思いませんでした・・・校閲の段階で、編集者が指摘しなかったのでしょうか。

そういう問題表現もあり、全体的に残念な部分も少なくありませんでしたが、一方では、前述の通り、「ロック中心史観」とはちょっと異なる、ポップを主軸としたディスクガイドとしてはなかなか興味深く、ここで登場したミュージシャンたちのアルバムも、是非とも聴いてみたい、そうとも感じさせる1冊でした。

最後に余談ですが、この「モダン・ポップ」というジャンル、あまり聴きなじみなく、一般的に使われるような表現なのか疑問に感じ、ネットで調べてみました。そうすると、GoogleのAIによる概要では、「モダン・ポップ」をこの本と同一の定義で用いられており、実際に使用されている音楽用語なのか・・・と思ったのですが、よくよく見ると、AIが参考にしているWebサイトが、この本の紹介サイトでした・・・。こういう点、AIによるまとめは、まだまだそのまま信じるのは危険、ということを感じてしまいます・・・。

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2025年11月24日 (月)

結成15年目にして節目のセルフタイトル作

Title:Ivy to Fraudulent Game
Musician:Ivy to Fraudulent Game

フルアルバムとしては約2年ぶりとなるIvy to Fraudulent Gameの新作。ただ、その間にもミニアルバムをリリースしたり、過去作のリメイクアルバムをリリースしたりと積極的に活動が目立ちました。本作は、初のセルフタイトルとなる楽曲。そのため、いままでの彼らの集大成とも言えるような作品となっていました。黒字に白い文字でアルバムタイトル名(=バンド名)だけが記されたシンプルなジャケットも、ありのままを聴いてほしいという彼らの心意気も感じます。

アルバムは爽やかなポップチューンの「song for you」からスタート。続く「ブルーシアン」は正統派なオルタナ系ギターロックといった感じ。ちょっとBUMP OF CHICKENっぽさも感じられる爽やかなギターロックナンバーに仕上がっています。そんな爽やかな出だしから一転、続く「PASSION」「土の国から」は、ヘヴィーでパンキッシュ、ちょっとゴシックっぽさも感じられる楽曲となっており、バンドとしての音楽性の振れ幅の大きさも感じさせます。

中盤のインストチューン「O」を挟んでアルバムは後半戦となるのですが、この「O」もファンキーなサウンドを聴かせてくれる楽曲で、短いナンバーながらもバンドとしてのポテンシャルを感じさせます。

そして後半は、「BADBYE」「Silent Scream」など哀愁たっぷりの楽曲が続きます。ここらへんのメロディーラインは、良くも悪くもよくありがちなベタなメロディーラインで安直な印象も感じてしまうのですが・・・。続く「FICTION」も力強いバンドサウンドが耳を惹く反面、メロディーラインはメランコリックさを前に出したベタなもので、ここらへんはアルバムの中でちょっと気にかかりました。

ラスト前の「BOW WOW」は疾走感あるギターサウンドに打ち込みを入れたデジタルロック風の楽曲。そしてラストの「love」は、まさに彼ららしさを感じるシューゲイザーの影響を感じるホワイトノイズを入れたスケール感ある楽曲。個人的にはこのアルバムの中で最も惹かれた楽曲でした。

基本的にシューゲイザーやグランジの影響を感じさせるギターロック路線や、ゴシックも取り入れたヴィジュアル系の影響も感じさせる楽曲、さらには王道のJ-POPを行くようなポップ路線などが混じった、彼らの音楽的な幅の広さを感じさせるアルバムで、その幅広さを含めて彼らの集大成とも言える作品だったと思います。ただ一方、前述の通り、メランコリックさに頼ったメロディーラインは良くも悪くもベタさを感じさせ、ちょっと弱さも感じます。個人的には、もっとバンドサウンドをゴリゴリに押し出した方が面白いとも思ったのですが・・・。とはいえ、実力を感じさせるバンドであることは間違いないかと思います。セルフタイトルのアルバムで新たな一歩を踏み出した彼ら。今後の活躍にも期待したいところです。

評価:★★★★

Ivy to Fraudulent Game 過去の作品
継ぐ
回転する
完全が無い
再生する


ほかに聴いたアルバム

華麗/クレイジーケンバンド

ほぼ1年に1枚ペースという、ハイペースなリリースを続けるクレイジーケンバンドの、ちょうど1年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムも彼ららしい、歌謡曲やソウル、アジアンテイストを織り交ぜた音楽性が特徴的な作品。比較的、ソウル基調の作品も目立つのですが、基本的にはいつも通りのクレイジーケンバンドのアルバムに。挑戦的だった前作に対して、今回は彼ららしさを出した作品といった感じでしょうか。タイトルの「華麗」は文字通りの意味と「加齢」をかけたという彼ららしいユーモアさも。今回は目新しさは感じられないアルバムだったのですが、1年に1枚ペースのリリースで、このレベルを保ち続けるというのはさすがといった感じです。

評価:★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
香港的士-Hong Kong Taxi-
CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界
GOING TO A GO-GO
PACIFIC
NOW
好きなんだよ
樹影
世界
火星

フェニックスで弾き語り~初セルフカバー曲集2~/谷山浩子

2008年にリリースされた「タマで弾き語り」から17年ぶりのリリースとなる、谷山浩子が、他のミュージシャンたちに提供した楽曲を公開録音したアルバム。斉藤由貴に提供した「永遠のたそがれ」や、手嶌葵への提供曲で、スタジオジブリ映画「コクリコ坂から」の挿入歌「紺色のうねりが」などのセルフカバーが収録。Disc2では、同作のピアノ弾き語りバージョンも収録されています。谷山浩子らしい、独特のポップソングが提供曲でもしっかり発揮されている一方、本人が歌う曲と比べると、やはり独特の癖はちょっと薄めかな。とはいえ、谷山浩子の新作としても楽しめるアルバムだと思います。

評価:★★★★

谷山浩子 過去の作品
ひろコーダー☆栗コーダー(谷山浩子と栗コーダーカルテット)
HIROKO TANIYAMA 45th シングルコレクション
谷山浩子ベスト ネコとコバン
谷山浩子50周年イヤーフィナーレ ~コンサート2023~
タニヤマヒロコノピアノアルバム

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2025年11月23日 (日)

彼女の長いキャリアの名曲を網羅

Title:ALL TIME BEST 25th Anniversary
Musician:Crystal Kay

1999年にシングル「Eternal Memories」でデビュー。その後、「Boyfriend-partⅡ-」や「恋に落ちたら」などのヒットを飛ばし一躍人気を博し、2024年にはデビュー25周年を迎えたシンガー、Crystal Kay。そんな彼女のデビュー25周年を記念したベストアルバムがリリースされました。前述のデビューシングル「Eternal Memories」からスタートし、昨年リリースされた最新の配信限定シングル「Love myself」まで収録。彼女の活動を網羅したベスト盤となっています。

ちなみに彼女、デビュー25周年というベテランシンガーなのですが、「Eternal Memories」でデビューした時、まだ若干13歳。その若さで清涼感あふれる歌声を披露していたということでも大きな話題となりました。そのため、現時点でもまだ30代という若さ。女性に年齢の話をするのは失礼ながら、これだけ長いこと活動をつづけながらも、まだまだ30代というのはちょっとビックリしてしまいます。

そして今回のベストアルバムを聴いてあらためて感じるのはそのボーカリストとしての魅力。清涼感あふれる歌声に、安定感ある歌唱力。日本で「歌が上手い」というと、ゴスペル的に声を張り上げるシンガーが多い中、ほどよく抑え気味のボーカルながらも表現力もあり、ボーカリストとしての実力をあらためて感じます。今回のベストアルバムは、そんなCrystal Kayの魅力を存分に味わえるベストアルバムだったと思います。

一方で、今回のベストアルバムでもうひとつ感じたのは、Crystal Kayというシンガーは良くも悪くも非常に器用なシンガーだな、という点でした。基本的にR&Bを軸としつつ、時代に応じて、様々なタイプの楽曲を歌いこなす感が、このベストアルバムからは感じられました。

例えば、当時も話題となったデビューシングル「Eternal Memories」はオーガニックのテイストが強い曲で、タイプ的にはR&Bではありません。Crystal Kay loves m-flo名義の「I LIKE IT」「片想い」などはラッパーをフューチャーしておりHIP HOPのテイストが強くなりますし、かと思えば「きっと永遠に」はストリングスやピアノでゆっくり歌い上げるバラードナンバーとなっています。

Disc2になると「こんなに近くで」「Superman」みたいにエレクトロチューンが増えてきますし、LDHのメンバーによるコラボ曲「PLAY THAT」などはいかにもLDHらしい、アイドルテイストも強いダンスチューンに。さらにちょっと意外なところでは、かのOfficial髭男dism「I LOVE」のカバーなども聴かせてくれます。

ここらへんのなんでも歌いこなせる幅の広さは、間違いなく彼女の実力でしょう。一方で、それだけ器用なだけに、逆にCrystal Kayの個性がちょっと薄くなってしまっている感じも否めません。今回のベスト盤でも、いかにも彼女らしさ、というのがちょっと薄いようにも感じます。ここらへんがCrystal Kayの強みであり、同時に弱さでもあるように感じました。

そんなことを考えつつも、ただやはり名曲もそろっているベスト盤。清涼感あふれる彼女のボーカルは非常に魅力的です。彼女のヒット曲を気に入っている方、R&Bが好きな方なら文句なしにお勧めのベストアルバムです。

評価:★★★★★

Crystal Kay 過去の作品
Shining
Color Change!
BEST of CRYSTAL KAY
THE BEST REMIXES of CK
FLASH
Spin The Music
VIVID
Shine
For You
I SING


ほかに聴いたアルバム

基礎からの高橋優【バンド式】 (Live)/高橋優

Kisotakaband

基礎からの高橋優【弾き語り式】 (Live)/高橋優

Kisotakaband

シンガーソングライター高橋優による、2作同時リリースとなる配信限定のライブアルバム。「バンド式」は2015年から2023年の各地のライブの模様を、「弾き語り式」は2022年の日本武道館及び2024年のつくば市のノバホールのライブの模様が収録されています。選曲的には高橋優の代表曲が並び、ベスト盤のような内容となっており、まさに「基礎からの」というタイトルにふさわしい感じが。ただ、正直、良くも悪くも癖の強いSSWの彼だけに、「バンド式」についてはちょっとわざとらしさを感じる部分も。一方、「弾き語り式」の方は、彼の持ち味の歌にしっかりフォーカスされた内容になっており、こちらの方が、より「初心者向け」の内容だったかもしれません。

評価:
「バンド式」★★★★
「弾き語り式」★★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)
BREAK MY SILENCE
今、そこにある明滅と群生
高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』
来し方行く末
STARTING OVER
PERSONALITY
ReLOVE&RePEACE
HAPPY

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2025年11月22日 (土)

前作以上にバラエティー豊富に

Title:Bleeds
Musician:Wednesday

アメリカ・ノースキャロライナを拠点とするインディーロックバンドによる6枚目のアルバム。ギタリストのMJ Lendermanのソロアルバムが注目を集め、さらにバンドとしても前作「Rat Saw God」が高い評価を受け、大きな注目を集めるなど、現在、最も注目されているロックバンドの一組となっています。特に、シューゲイザーにカントリーを合わせた音楽性は、今のアメリカのロックシーンの一つの流れとなっているようで、注目を集めているようです。

今回のアルバムも1曲目「Reality TV Argument Bleeds」では、いかにもシューゲイザー直系の歪んだギターサウンドが鳴り響き、ダイナミックな楽曲を聴かせる、いかにもWednesdayらしい作品からスタート。続く「Townies」も、カントリーの影響を受けたような郷愁感を覚えるメロディーラインに、シューゲイザー直系のノイジーなギターサウンドが特徴的。こちらも、いかにもWednesdayらしい作品と言えるでしょう。先行シングルともなっている3曲目の「Wound Up here(By Holdin On)」も、歪んだギターノイズの洪水の中、メランコリックな歌が流れる、ポップながらもバンドのダイナミズムを感じる作品となっています。

そんないかにもシューゲイザー直系の彼ららしい作品が冒頭に並びつつ、今回のアルバムはいままで以上にバラエティーが豊富な点が特徴的。特に、この3曲に続く「Elderberry Wine」はフォーキーな作風が特徴的で、これまでの3曲とはガラッと雰囲気が変わります。続く「Phish Pepsi」というユニークなタイトルなこの曲も、マーチ的なリズムが特徴的の、軽快な楽曲に。逆に「Wasp」はボーカルがシャウトする、パンキッシュな作風に仕上げていますし、「Carolina Murder Suicide」も、ピアノとギターノイズをバックに静かに聴かせる、ゴシックテイストの楽曲に。いままで以上にバラエティーの富んだ作風が展開されていきます。

ただ、バラエティー富んだ、といってもギターノイズを中心としたダイナミックなバンドサウンドや、フォークやカントリーの影響を受けた郷愁感のあるメロという主軸は変わらず。そのため、バリエーションがあってもアルバムとしてはしっかりとした統一感も覚えます。カントリーパートとグランジパートが交錯するような「Pick Up That Knife」などは、まさに彼ららしい作風と言えますし、オルタナ色が強いポップなギターロックを聴かせる「Bitter Everyday」など、バラエティー富んだ作風の中でもしっかりWednesdayらしい作品も多く収録されています。

また、歌詞も特徴的で、彼らの出身地であるアメリカ南部を舞台として、物語性・寓話性ある歌詞となっているそうです。ただ、日本語の訳詞を読んでも、寓話的な内容なゆえに、正直、わかりにくかったのですが・・・。ただ、例えば「Townies」では、郊外での閉塞感を歌っていたりするそうで、ここらへん、日本もアメリカも、田舎の状況はあまり変わらないんだな、ということを感じたりします。

前作も申し分ない傑作だったのですが、今回も前作に引き続き、年間ベストクラスの傑作アルバムだったと思います。シューゲイザー好き、グランジロック好きからカントリーやフォークが好きな方まで楽しめる作品です。

評価:★★★★★

Wednesday 過去の作品
Rat Saw God


ほかに聴いたアルバム

Who Is The Sky?/David Byrne

元トーキング・ヘッズのデヴィット・バーンによる約7年ぶりのニューアルバム。ソウル、キューバ風なリズムやオーケストラ風なサウンドなど、多彩なサウンドを用いてポップにまとめあげているアルバムで、ある意味、トーキング・ヘッズから変わらない挑戦心も感じさせる作風に。ただ、このバラエティー富んだ作風が若干雑多にも感じられ、上手くまとめあげられていない印象も。楽しくポップなアルバムであることは間違いないと思うのですが。

評価:★★★★

David Byrne 過去の作品
Here Lies Love(David Byrne&Fatboy Slim)
American Utopia

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2025年11月21日 (金)

ヴィンテージなソウルサウンドに多文化なミュージシャンが参加

Title:24 Hr Sports
Musician:El Michels Affair

音楽プロデューサーとして活躍し、数多くの良質なソウルミュージシャンを要するレーベルBIG CROWN RECORDSの中心人物として注目されるレオン・ミッチェルズ率いるソウルバンドEl Michels Affairの5枚目のアルバム。レオン・ミッチェルズは、数多くのグラミー賞作品にも関与するなど、現在、最も注目されるプロデューサーの一人で、彼が率いるEl Michels Affairも大きな注目を集めるバンドとなっています。

このBIG CROWN RECORDSというレーベル自体、レトロなソウルミュージシャンを擁するレーベルのようですが、El Michelas Affairも、60年代70年代のソウルやファンクの影響をストレートに反映された、いわばヴィンテージ・ソウルのサウンドを奏でるバンド。力強いドラムとホーンセッションでマーチ風な「Drumline」からスタート。トランペット奏者Dave Guyを迎えた「Oakley's Car Wash」では、懐かしいソウル風のメロウなナンバーを聴かせてくれていますし、アメリカの女性シンガーClairoを迎えた「Anticipate」も清涼感あるメロウなボーカルが魅力的な歌モノのR&Bチューン。さらに「Carry Me Away」ではノラ・ジョーンズがゲストボーカルとして参加。メロウな歌声を聴かせてくれる、レトロなソウルナンバーを展開しています。

このノラ・ジョーンズをはじめ、El Michels Affairはいままでインスト曲がメインだったのですが、今回は歌モノの楽曲が多く収録されている点が大きな特徴となっています。そして、今回のアルバムでもうひとつ大きなポイントとなっているのが、アメリカのソウルミュージックの影響をダイレクトに反映させたアルバムながらも、アメリカ以外のミュージシャンが数多く参加した多文化的な作品という点。「Mágica」で参加しているRogêはロサンジェルス在住のブラジル人ミュージシャン。基本的にメロウなソウルチューンながらもブラジル音楽の要素も。また、「Say Goodbye」に参加しているFlorence Adooniはガーナ人の女性シンガー。こちらもトライバルな要素が加わっています。

さらに今回のアルバム、日本人も関与しており、まず「Clean The Line」では杉並児童合唱団が参加。メロウでソウルなトラックをバックに、清涼感ある日本語の歌を聴かせてくれています。さらに「Indifference」では坂本慎太郎が参加。彼のボーカルをしっかり聴かせてくれる上、メロウながらも浮遊感あるサウンドは、坂本慎太郎色も強く感じさせる曲になっています。いずれの曲も日本語を前面に押し出している曲になっているので、聴き進める中、いきなり日本語の曲があらわれてビックリするのですが、おそらくアメリカ人などにとっては、日本語の曲がエキゾチックに感じるんでしょうね・・・。

そんな多文化の要素を入れつつ、全体的にヴィンテージなソウルを聴かせてくれる本作なのですが、一方で1曲1曲をピックアップすると、ちょっとインパクトが薄く感じられてしまう点がマイナス要素にも感じられました。El Micheals Affairは、楽曲にストリングスやバンドサウンドを取り入れた作風が特徴で、シネマティックソウルバンドという呼ばれ方もしているそうです。そのため、このアルバムもどこか映画のサントラのような、あくまでも映画で使われることを前提として、楽曲単体のインパクトはちょっと薄い、そんな印象を感じる部分がありました。

そういう点が気になったため、正直4つと迷ったのですが・・・それでもやはりグルーヴィーなソウルサウンドが非常に心地よく、下記のような評価に。また、坂本慎太郎参加曲は、間違いなく彼のファンなら必聴の1曲。60年代70年代ソウルが好きなら、間違いなく気に入る1枚だと思います。

評価:★★★★★

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2025年11月19日 (水)

やはり強い

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

昨年の紅白出場も大きな話題となりました。

1位初登場はB'zのニューアルバム「FYOP」が獲得。昨年末の紅白出演も大きな話題となったB'zの、約3年4ヶ月ぶりとなるニューアルバム。CD販売数で1位を獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上17万8千枚で1位初登場。前作「Highway X」の初動15万6千枚(1位)からアップしていますので、紅白効果もあったのでしょうか?

2位はBE:FIRST「BE:ST」が、3位はNumber_i「No.Ⅱ」が、それぞれ先週から同順位をキープし、2位3位と並んでいます。「No.Ⅱ」はこれで8週連続のベスト10入り。

4位以下の初登場盤では、6位にYEONJUN「NO LABELS:PART 01」が初登場。韓国の男性アイドルグループTOMORROW×TOGETHERのメンバーによる、フルアルバムとしては初の作品となります。また、返り咲き盤としてSnow Man「THE BEST 2020-2025」が先週の12位から10位にアップし、3週ぶりのベスト10返り咲き。通算31週目のベスト10ヒットに。ちなみにSnow Manはニューアルバム「音故知新」が先週の1位から9位に大幅ダウンとなっているものの、今週、2作同時ランクインとなっています。

一方、今週のロングヒット盤は、「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (Soundtrack from the Netflix Film)」が5位から4位にアップ。19週連続のベスト10ヒット。一方、藤井風「Prema」は4位から5位にダウン。こちらは11週連続のベスト10ヒットに。Mrs.GREEN APPLE「10」は先週から同順位の7位をキープ。19週連続のベスト10ヒット。ちなみに先週ベスト10に返り咲いた「ANTENNA」は11位にダウンし、ベスト10ヒットは通算57週で再びストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週Heatseekers Songsで1位を獲得したのはThis is LAST「シェイプシフター」。千葉県柏市で結成された2人組バンドで、爽やかなポップソングが特徴的。本作はTBS系ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」主題歌に起用されており、注目を集めています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週1位は、先週2位に初登場したDECO*27「カイコ」がワンランクアップで、初の1位獲得。2位は先週1位のはろける「目撃!テト31世」がワンランクダウン。3位はサツキ「メズマライザー」が3週連続3位をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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米津玄師の快進撃は続く

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は2位3位が新曲となりましたが、1位は変わらず、あの曲がランクイン。

今週も1位は米津玄師「IRIS OUT」が獲得。これで9週連続の1位。ストリーミング数、動画再生回数は9週連続、カラオケ歌唱回数も6週連続1位獲得しています。今年、大ヒットが少なかった中、年末が近づいたこのタイミングで今年最大のヒット曲になりそう。

米津玄師、宇多田ヒカル「JANE DOE」は2位から4位にダウンしているものの、これで8週連続のベスト10ヒットに。ストリーミング数も8週連続で2位をキープ。一方、米津玄師「1991」は5位から10位にダウン。今週も3曲同時ランクインとなっていますが、来週も3曲同時をキープできるのかは、ちょっと怪しくなっています。

2位は旧ジャニーズ系、timelesz「Steal The Show」が初登場。旧SexyZone。CD販売数1位、ラジオオンエア数17位。テレビ朝日系ドラマ「パパと親父のウチご飯」主題歌。オリコン週間シングルランキングでは初動売上51万2千枚で1位初登場。前作「because」の初動25万3千枚(1位)よりアップ。

3位は秋元康系女性アイドルグループ、NMB48「青春のデッドライン」が初登場でランクイン。CD販売数2位。オリコンでは初動売上13万3千枚で2位初登場。前作「チューストライク」の17万5千枚(1位)からダウンしています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場曲はなし。一方、ロングヒット曲は、まずHANA「Blue Jeans」は3位から5位にダウン。ただ、ベスト10ヒットは通算17週に。ストリーミング数は3週連続の3位。HANAは「My Body」も9位にランクインしており、今週も2曲同時ランクインとなっています。

また、先週ベスト10に返り咲いたアイナ・ジ・エンド「革命道中」は4位から6位にダウン。ただし、ストリーミング数は5位から4位にアップ。これで通算13週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年11月18日 (火)

「あの頃のエモロック」を感じさせる懐かしい作品

Title:Trying Not to Have a Thought
Musician:Algernon Cadwallader

今回紹介するAlgernon Cadwallaerはアメリカの中西部、ペンシルバニア州ヤードリー出身の4人組エモロックバンド。2005年から2012年まで活動し、エモ・リバイバルのヒーローとして賞賛されたそうですが、2枚のアルバムをリリースしたものの解散。しかし、2022年になんと復活。2023年には来日公演も行われたそうで、今年、ついにリリースされた約14年ぶりとなるアルバムが本作となります。

といっても、私自身、その14年前の活動の時点では彼らのことは知らず、アルバムを聴くのは今回がはじめて。アルバムは先行シングルとなる「Hawk」からスタートするのですが、アルバムを聴きはじめてまず感じたのは、まずとても懐かしいという感覚でした。

アルバムは力強いドラムのリズム、そしてギターのフレーズからスタートするのですが、そのギターの音色が実に90年代あたりから2000年代初頭を彷彿とさせるような音色。続く、シャウト気味のボーカルが歌う、メロディアスで、そしてメランコリックな歌も、実にある意味、いかにもエモロックバンドらしさを感じさせる楽曲となっています。

その後も、分厚くノイジーなバンドサウンドを前に押し出した「noitanisarcorP」に、タイトルチューンである「Trying Not to Have a Thought」も疾走感あるギターサウンドに、叙情感ありつつポップなメロが心地よいナンバー。途中から感情を爆発させつつ、終始、軽快なリズムでポップなメロが流れる「You've Always Been Here」など、いずれも分厚いバンドサウンドに、ポップながらもメランコリックなメロディーラインが特徴的。前述の通り、90年代や2000年代のエモコアバンドを聴いていた世代にとってはとても懐かしさを感じさせる楽曲が並んでいます。

一方、歌詞には社会派な内容も多いそうで、例えば「Revelation420」では資本主義や監視社会への怒りをテーマとしているようですし、「Attn MOVE」では、1985年に起こった、フィラデルフィアの警察が「MOVE」と呼ばれる黒人過激派組織を攻撃し、周辺の住人も巻き添えとした「MOVE」事件と呼ばれる出来事をモチーフとした作品になっているそうです。

正直、楽曲自体について前述の通り、90年代や2000年代のエモコアを彷彿とさせる楽曲が並んでおり、懐かしさを感じさせる一方、目新しさはあまりありません。ただ、その分、エモコアらしい魅力は満載の作品が並んでおり、エモロックが好きなら間違いなく気に入るであろうアルバムとなっています。もちろん、傑作アルバムといって申し分ない作品。懐かしさを感じつつ、しっかりとAlgernon Cadwalladerの魅力を感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Play/Ed Sheeran

日本でも高い人気を誇るイギリスのシンガーソングライター、エド・シーランの約2年ぶりの新作。アルバムタイトルの算術記号シリーズは終わり、今後はメディアの制御ボタンシリーズとなるようです。今回のアルバムでは、彼のルーツであるアイルランドのフォークやインド、ペルシャなどの音楽を取り入れた音楽性が特徴的・・・と言っているのですが、正直なところ、音楽的にそれほど大きな変化は感じられず、基本的にいままでの彼らしい、メロディアスで暖かい、シンプルなポップチューンを聴かせてくれる内容に。その分、良くも悪くも安心して聴けるアルバムではあるとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

Ed Sheeran 過去の作品
+
÷
No.6 Collaborations Project


Autumn Variations

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2025年11月17日 (月)

復活後、2作目

Title:The Hives Forever Forever The Hives
Musician:THE HIVES

2000年初頭のガレージロックリバイバルの旗手としても大きな注目を集め、日本でも高い人気を誇ったスウェーデンのガレージロックバンドTHE HIVES。2012年にリリースした「Lex Hives」以来、活動休止状態でしたが、2023年にアルバム「The Death Of Randy Fitzsimmons」で見事復活。それから2年、復活後2作目となるフルアルバムがリリースされました。

前作「The Death Of Randy Fitzsimmons」はバンドとしての初期衝動が復活したような傑作となっていましたが、今回のアルバムも前作に引き続き、THE HIVESらしい力強くも軽快なガレージサウンド、疾走感あるギターサウンドにもマッチするようなポップなメロディーラインが特徴的なガレージロックの楽曲が並んでおり、実に彼ららしいアルバムに仕上がっていました。

イントロを挟んで事実上の1曲目の「Enough Is Enough」はまさに彼ららしいガレージロック。力強いギターリフに、わかりやすくポップなメロディーラインが特徴的。シャウト気味でタイトルを連呼するサビも、一発で耳に残ります。続く「Hooray Hooray Hooray」もヘヴィーなサウンドにポップなメロが印象的。ちょっとメロディアスパンクっぽさも彷彿とさせます。

「Paint A Picture」も、疾走感あるAメロから、サビでは一転、テンポがゆっくりとなりライブではみんなでサビを歌い上げると気持ちよさそうな、ある種のスケール感のある楽曲。1分40秒と、このアルバムの中でも(インターリュードなどを除くと)一番短い「O.C.D.O.D.」はヘヴィーなハードコアパンクな楽曲になっています。

後半に入っても勢いは止まりません。「Roll Out The Red Carpet」は、シャウト気味のボーカルで、こちらもTHE HIVESの王道を行くようなガレージロック。一方、「Born A Rebel」はカウベルが軽快でリズミカルながらも哀愁たっぷりのメロがアルバムの中でインパクトになっていますし、「Path Of Most Resistance」ではニューウェーヴ的なギターやシンセを取り入れてアルバムにバリエーションを加えています。そしてラストのタイトルチューン「The Hives Forever Forever The Hives」も、シンセを取り入れて明るくポップなナンバーで締めくくられています。

アルバムは13トラックのうち、2トラックがイントロとインターリュードなので、事実上11曲入り33分。1曲あたり約3分程度というガレージロックバンドらしい短い楽曲を並べる聴きやすさも魅力的。今回もTHE HIVESらしさをベースとしつつ、その中にバリエーションを加えているアルバムとなっており、前作に引き続きの傑作に仕上がっていたと思います。特に活動再開後、バンドとして求められるものにしっかり答えつつ、そんな期待の中で新たな音楽性も模索している、ある意味、理想的とも言える作品が続いており、バンドとして一段階レベルがアップしたように感じます。アルバムタイトル的に、見方によってはこれが最後・・・なんて見え方もしてしまう点は気になってしまいますが、これだけ勢いのある状況なので、今後も活動は続けてくれるでしょう。THE HIVESのこれからも楽しみになってくる傑作でした。

評価:★★★★★

THE HIVES 過去の作品
The Black and White Album
LEX HIVES
Live At Third Man Records
The Death Of Randy Fitzsimmons

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2025年11月16日 (日)

偉大なるロックバンドの全盛期と成熟期の貴重なライブ音源

Title:Live EP
Musician:Led Zeppelin

ハードロックやヘヴィーメタルの元祖的存在としてあげられ、現在でも伝説的なロックバンドとして多くのフォロワーを生み出しているレッド・ツェッペリン。先日も彼らの伝記的映画「レッド・ツェッペリン:ビカミング」が公開されヒットを記録。大きな話題となりました。そんな中、彼らが1975年にリリースしたアルバム「Physical Graffiti」の発売50周年を記念して、ライブアルバムがリリースされました。おそらく、「ビカミング」の映画公開にも合わせたリリースだと思われますが、あらたなライブアルバムの登場して話題となっています。

今回のアルバムに収録されているのは4曲。最初2曲「In My Time of Dying」「Trampled Under Foot」は1975年5月に、ロンドンのアールズ・コートで行った講演の模様を収録したもの。あとの2曲「Sick Again」「Kashmir」は、1979年8月に、イギリスのネブワース・ハウスで行われた、ネブワース・フェスティバルでのライブの模様を収録した作品となります。ツェッペリンはいままで何枚かライブアルバムをリリースしてきましたが、いずれも1972年から1973年頃のステージ。1975年はバンドとしてもっとも脂ののった時期、1979年はバンドとして成熟期の頃のステージということで、非常に貴重なライブ音源を聴ける作品となっています。

個人的に、なんといってもツェッペリンのカッコよさを感じるのはライブ音源だと思っています。正直、最初、彼らのオリジナルアルバムを聴いた時はさほどピンと来ませんでした。そんな彼らのカッコよさに気が付かされたのが2003年にリリースされたライブアルバム「伝説のライヴ」を聴いてからでした。現代の耳で聴いても全く衰えることのない、そのヘヴィーなバンド演奏に一気に惹かれた作品でした。

先日見てきた彼らの映画「ビカミング」でも感じたのですが、50年近く前の演奏にも関わらず、非常にズッシリと重いそのサウンドは、ハードロックやヘヴィーメタル、あるいはパンクロックやハードコアといったジャンルを経てきた今の耳を持っても、迫力ある演奏としてグッと惹かれるものがあります。いまから50年前に、既にロックバンドとしてこれだけの境地に達していたというのは、あらためてライブ音源を聴いても驚かされるものがあります。

また、今回のライブ音源を聴いて感じた彼らの大きな魅力は、4人のメンバーそれぞれが強烈に個性を主張し、そのヘヴィーなサウンドをぶつけ合いながら、しっかりとバンドとしての一体感を維持している点のようにも感じます。ライブ音源を聴いていると、ボーカルやギターはもちろん、ベースやドラムの音もしっかりとクリアに耳に飛び込んできます。そして同時に、この4つの音がしっかりと組み合わさり、ひとつのサウンドを作りあげているのも魅力的。もっともバンドとして脂ののった時期の演奏だからこその一体感を感じるライブ音源に思いました。

ちなみに前半2曲と後半2曲の聴き比べも楽しく、まだ若々しさと疾走感もある前半2曲に対して、ライブ会場の違いというのも大きいのですが、後半2曲はスケール感とある種の貫禄すら感じさせるステージ。たった4年という歳月ながらもバンドとしての変化も感じますし、また異なった側面での彼らのライブの魅力を感じさせる構成にもなっていました。

本作の長さ自体はたった4曲34分という短さで、もうちょっと聴いていたかったな、という気持ちはあります。ただ、それでも聴きごたえ十分な内容で、新たなライブアルバムの名盤誕生のような予感もする1枚だと思います。ロックリスナーなら年齢問わず聴くべし。偉大なるロックバンドの魅力をあらためて実感できるライブアルバムでした。

評価:★★★★★

Led Zeppelin 過去の作品
MOTHERSHIP


ほかに聴いたアルバム

JAPANESE SINGLES COLLECTION-GREATEST HITS-/Donna Summer

海外のミュージシャンが日本でリリースしたシングル盤を、販売順に収録した日本独自企画のベストアルバム「JAPANESE SINGLES COLLECTION」シリーズ。今回紹介するのは、主に80年代に活躍し、ディスコの女王という異名を持つ、ドナ・サマーのシングル集。80年代を彩った数多くのヒット曲が収録されており、いかにも80年代なアレンジにのせたリズミカルな曲調は、リアルタイムに聴いていなくても、どこかノスタルジックすら感じさせます。ディスコの女王という彼女らしく、全体的に並ぶダンサナブルな楽曲は今聴いてもワクワク感があります。全3枚組(+DVD)というボリューミーな内容ながらも、一気に楽しめたアルバムでした。

評価:★★★★★

A Danger to Ourselves/Lucrecia Dalt

若干、Aphex Twin味も感じさせるジャケットも特徴的な、コロンビア出身で、現在はニューメキシコ州在住の実験音楽家による、Lucrecia Dalt名義では7枚目となるアルバム。ループする打楽器のサウンドやエレクトロサウンド、インダストリアル的なダークなビートなどを用いつつ、一方で優しい彼女の歌声でメランコリックな歌を聴かせてくれる点も特徴的。特に英語とスペイン語を行き来する独特の歌が大きな魅力となっています。前作もそうでしたが、今回の作品も実験的要素の強いサウンドと反して、いい意味で、ポップな聴きやすさを感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

Lucrecia Dalt 過去の作品
¡Ay!

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2025年11月15日 (土)

3人組となり、新たな一歩を進めた新作

Title:Double Infinity
Musician:Big Theif

現代のフォーク・ロックの旗手として注目を集める、アメリカのインディーロックバンド、Big Theif。毎回、アルバムは傑作が続き、高い評価を受けています。そんな中、2024年にベースのマックス・オレアンチックが脱退。彼らにとって6枚目となるアルバムながら、3人組となり、新たな一歩を歩みだした、初となる作品となります。

毎回、フォーク・ロックという枠組みの中でも、様々な音楽性を取り入れて、幅のある作品を作り出している彼ら。今回のアルバムは、特に様々な音楽性を取り入れた、バリエーションある作風が大きな特徴となっています。

まずアルバムの冒頭、「Incomprehensible」のイントロから、いきなりメタリックなサウンドからスタート。スペーシーなシンセを取り入れるなど、エレクトロ的な作風となっています。さらに続く「Words」では、なんと総勢12名にも及ぶプレイヤーが参加した楽曲。分厚く賑やかなサウンドで、ダイナミックな音楽性が展開される楽曲となっています。

中盤の「No Fear」では反復するサウンドが独特のグルーヴ感をかもしていますし、「Grandmother」ではアンビエント界の巨匠、Laraajiが参加。スペーシーな作風は、これまでのBig Theifの作品とはまたことなる雰囲気を作り出しており、アルバムの中でひとつのインパクトとなっています。

もちろん一方では「Los Angeles」のようなギターでフォーキーに聴かせる、郷愁感あふれるナンバーや、「All Night All Day」のような、美しいコーラスラインで清涼感たっぷりに聴かせるナンバーもありますし、タイトルチューンである「Double Infinity」は、まさに郷愁感たっぷりのフォーキーな作品。フォークロックバンドとして、シンプルで暖かい、メロディアスな作品を聴かせるという彼らの魅力は本作でももちろんしっかり感じられます。

また、個人的に良かったのは終盤の「Happy with You」で、エイドリアン・レンカーの清涼感あふれるボーカルがたまらない、爽やかなギターポップの楽曲。ほどよく軽快なバンドサウンドもまたとても心地よい1曲となっています。

Big Theifらしさをちゃんと維持しつつも、さらなる挑戦を感じさせる今回のアルバム。3人組となって新たな一歩のアルバムだからこそ、アルバムの内容ももBig Theifとして新たな一歩を進めた、そう感じた作品でした。そして、それがまた傑作になったのもやはり彼らの実力を感じさせます。今後の彼らの活躍にも俄然期待したくなる作品でした。

評価:★★★★★

Big Thief 過去の作品
U.F.O.F.
Two Hands
Dragon New Warm Mountain I Believe in You


ほかに聴いたアルバム

The Fateful Symmetry/Mark Stewart

イギリスのポストパンクの代表的グループ、THE POP GROUPのボーカリスト、Mark Stewart。2023年に62歳という若さでこの世を去った彼ですが、それから2年、彼の遺作となるアルバムがリリースされました。もともとポストパンクの旗手として知られる彼ですが、このアルバムでもダブやエレクトロ、ディスコサウンドなど様々な音楽的要素を取り入れて、独特のポップスを構築しています。ただ、全体的に小難しい感じはなく、ポップで楽しい雰囲気も感じさせます。ある意味、ラストとして集大成とも言える作品。あらためて早すぎる彼の死を残念に思いつつ、ご冥福をお祈りしたいと思います。

評価:★★★★★

Mark Stewart 過去の作品
EDIT

Burnover/Greg Freeman

アメリははヴァーモント州バーリントンを拠点に活動するオルタナティヴ・カントリーのシンガーソングライターによる2枚目のアルバム。カントリーの影響を強く受けた作風なのですが、全体的にはちょっと気だるいローファイ気味なボーカルと、ノイジーなギターサウンドがベースの、インディーロックの色合いの強いミュージシャン。楽曲によってはサイケやドリームポップ的な色合いの強い作品もあり、カントリーというよりもオルタナティブロックが好きな層がはまりそうな感じな作風になっていました。

評価:★★★★

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2025年11月14日 (金)

社会と個人の断絶/分断をテーマに

Title:Antidepressants
Musician:Suede

oasis再結成によりにわかに注目を集めるブリットポップ・・・といった感じではありませんが、oasis再結成に合わせたoasis関連の書籍で、彼らと同時代のバンド、ミュージシャンたちも取り上げられるような機会も増えたような感もあります。ただ、ブリットポップムーブメントは遥か過去に去ってしまいましたが、往年のバンドたちのうちいくつかは、いまだに積極的に活動し、90年代に勝るとも劣らない出来栄えのアルバムをリリースしていたりします。ブリットボップの代表格のひとつとも言うべきSuedeも、まさにそんなバンドのひとつと言えるかもしれません。

2011年の再結成以降、比較的コンスタントに活動を続ける彼ら。本作は2022年にリリースされた「Autofiction」以来、約3年ぶりとなる新作。再結成以降の作品はチャート的にも高評価を維持しているようで、前作は全英チャートで2位を記録。それに続く本作も、前作に引き続き2位を獲得し、いまなお人気の高さを感じさせる結果となっています。

今回のアルバムに関しては、比較的シンプルでストレートなギターロック、ほどよくゴシックロックの要素が入ったSuedeらしいアルバムといった印象を受けました。基本的にポップなメロディーラインが主導となっており、いい意味でリスナー層を限定しない聴きやすさを感じさせ、また、ゴシックの側面についても、必要以上に耽美的にならず、ほどよくSuedeらしさを出した作品で、ブリットポップという言葉にピンと来るような方にとってはおすすめできる作品になっていたと思います。

アルバムの冒頭を飾る「Disintegrate」は力強いリズムと荒々しいギターサウンドが特徴的。よりヘヴィネスさを加えてダイナミックに聴かせる楽曲からスタートし、まずはリスナーの耳を惹きつけます。タイトル自体「崩壊/分解」という意味だそうで、アルバムの冒頭の「Connected/Disconnected」という警告音が印象的。社会や個人の断絶というのは本作のテーマとなっており、不気味な雰囲気が、社会の分裂が続く現在の社会情勢への警告になっているような印象も受けます。

そんな「断絶」というテーマ性から考えると、続く「Dancing With The Europeans」は印象的。タイトル通り、ヨーロッパ人と一緒に踊るという題された、軽快でメロディアスなナンバーとなっており、スケール感のある楽曲。人々のつながりを歌ったような楽曲となっています。

その後もタイトルチューン「Antidepressants」は、伸びやかに歌い上げるゴシック色も取り入れたようなスケール感あるロックチューン。ミディアムテンポでゆっくりと歌い上げる「Somewhere Between An Atom And A Star」もまさに、哀愁感たっぷりに聴かせるナンバーで、Suedeらしい楽曲となっています。特に後半になるにつれて「Trance State」「June Rain」のようなメランコリックに歌い上げるような楽曲が目立つような印象を受けます。

一方でライブで盛り上がりそうなロックアンセムとして「Broken Music For Broken People」が印象的。伸びやかで力強いバンドサウンドに、爽やかに歌い上げるポップなメロがインパクト十分。タイトルの通り、分断された社会や人々に対する力強いメッセージとなっており、まさにライブでも盛り上がりそうなナンバー。そしてアルバムラストの「Life is Endless,Life is A Moment」は力強く歌い上げるダイナミックな楽曲で締めくくり。まさにアルバムを締めくくるにふさわしいラストとなっています。

「社会や個人の断絶/分断」というテーマ性を掲げつつ、彼ららしいゴシックな要素を取り入れ、一方ではシンプルでポップなギターロック路線が印象的な作品。バンドとしての目新しさはありませんが、Suedeらしさをしっかり抑えた作品になっていたと思います。何よりも、2020年代の今となっても、バンドとして十分すぎるほどの現役感を覚える勢いも感じさせる作品。ファンならずとも、ブリットポップが好きだった、あるいは、ギターロックが好きな方はおすすめできる作品だと思います。今なおSuedeの健在さをアピールする作品でした。

評価:★★★★★

suede 過去の作品
night thoughts
The Blue Hour
Autofiction


ほかに聴いたアルバム

The Passionate Ones/Nourished by Time

前作も大きな話題となったアメリカ人シンガーソングライターの2作目のアルバム。R&Bやシンセポップなどを取り入れた楽曲はいずれもポップでいい意味で聴きやすく、80年代あるいは90年代のR&Bを彷彿とさせる、どこか懐かしいポップチューンが並んでいます。「9 2 5」のようなダンスチューンもあったり、前作以上にエレクトロ色が強くなった印象も。いい意味で聴きやすいポップチューンが並び、前作同様、比較的広いリスナー層が楽しめるポップアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Nourished by Time 過去の作品
Erotic Probiotic 2

Live Laugh Love/Earl Sweatshirt

Odd Futureのメンバーであり、現在は主にソロとして活躍するEarl Sweatshirtの新作。毎回、1分~2分程度の長さのラップでアルバム全体も30分程度という短く、聴きやすい作品が続いていますが、本作も全11曲ながらも24分という長さに留まる作品となっています。今回も、全体としては淡々としたラップが続き、1曲あたり2分程度の長さのため、楽曲が次々と展開していく構成。ムーディーな雰囲気の作品から、コミカルな作風の曲まであり、全体的に聴きやすいアルバムとなっています。ただ一方、全体として目新しさはちょっと薄かったような感じも。いままで聴いてきた2作に比べると、ちょっと物足りなさも感じてしまいました。

評価:★★★★

Earl Sweatshirt 過去の作品
Some Rap Songs
FEET OF CLAY

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2025年11月13日 (木)

男性アイドルグループが並ぶ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は1位から3位まで男性アイドルグループが並ぶ結果となっています。

まず1位は旧ジャニーズ系。Snow man「音故知新」がランクイン。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上103万1千枚で1位初登場。前作「RAYS」の初動108万1千枚から若干のダウン。

2位はBE:FIRSTのベストアルバム「BE:ST」が先週の3位からランクアップ。特にストリーミング数が3位から2位にアップしています。さらに3位にはNumber_i「No.Ⅱ」が5位からアップ。4週ぶりのベスト3返り咲き。ストリーミング数は3週連続の1位を獲得しています。

3位以下の初登場盤は、6位に加賀美ハヤト「ULTIMATE CITY」がランクイン。にじさんじ所属のバーチャルYouTuber。一方、ロングヒット盤では藤井風「Prema」が6位から4位にアップ。これで10週連続のベスト10ヒットに。「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (Soundtrack from the Netflix Film)」も7位から5位にアップ。こちらは18週連続のベスト10ヒット。Mrs.GREEN APPLE「10」も9位から7位にアップ。こちらも18週連続のベスト10ヒット。さらに「ANTENNA」も13位から9位にアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。これで通算57週目のベスト10ヒットとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週1位を獲得したのはGen Kakon「Boy,Don't Cry」が初登場。Gen Kakonは中国出身で14歳の時、日本に移住したシンガーソングライター。爽やかなシティポップ風のナンバーは、ちょっと90年代的な雰囲気が漂い、ある種のなつかしさも漂います。ラジオオンエア数で2位を獲得。Hot100ではベスト100圏外となっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

今週ははろける「目撃!テト31世」がランクイン。はろけるは若干19歳のボカロP。昨年12月に講評した「キャンディークッキーチョコレート」が1000万再生回数を突破し、注目を集めているそうです。2位はDECO*27「カイコ」がこちらも初登場でランクイン。3位はサツキ「メズマライザー」が先週と同順位をキープしています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年11月12日 (水)

ロングヒット曲、復活

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週は新譜ラッシュだったため、ロングヒット曲が軒並みランクダウンしましたが、一方今週は新譜が少な目のため、一気にランクアップしています。

それでもなお強いのが米津玄師「IRIS OUT」。ついに今週で8週連続の1位。ストリーミング数、動画再生回数は8週連続の1位、カラオケ歌唱回数も5週連続1位。ダウンロード数も先週と変わらず3位をキープしています。さらに米津玄師、宇多田ヒカル「JANE DOE」が5位から2位にアップし、2週ぶりのベスト3返り咲きを果たしており、米津玄師「1991」も9位から5位にアップ。米津玄師は今週も3曲同時ランクインとなっています。

さらに3位にはHANA「Blue Jeans」が先週の11位からランクアップで、2週ぶりのベスト10返り咲き。またベスト3は9月17日付チャート以来の返り咲きを果たしいます。これで通算16週目のベスト10ヒット、通算10週目のベスト3ヒットとなります。さらに「My Body」も10位から6位にアップ。今週は2曲同時ランクインとなっています。

4位以下でも4位にアイナ・ジ・エンド「革命道中」が先週の12位からランクアップし、こちらも2週ぶりのベスト10返り咲き。通算12週目のベスト10ヒットを獲得しています。

一方、初登場曲では8位にMAZZEL「Only You」が初登場。ダウンロード数1位、動画再生回数3位。SKY-HIが代表をつとめるBMSG所属の男性アイドルグループ。

10位にはHUNTR/X「Golden」が先週の16位からランクアップ。Netflix映画「K-POPガールズ!デーモン・ハンターズ」に登場する架空のK-POPグループが歌う楽曲。ダウンロード数17位、ストリーミング数9位、動画再生回数16位。チャートインから16週目にして初のベスト10ヒットを記録しています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年11月11日 (火)

応援歌的な前向きなメッセージが印象的

Title:ラストアンサー
Musician:般若

テレビ番組「フリースタイルダンジョン」にラスボスとして登場したり、日本武道館でのワンマンライブを行うなど、高い人気を誇るラッパー、般若の約2年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバム、紹介文では「日常と葛藤、怒りと愛情、絶望と希望。そのすべてを言葉にして刻み込み、般若の“今”をストレートに映し出す全11曲を収録。」という紹介がなされています。

今回のアルバムもいつもの般若の作品と同様、非常に力強い彼のラップが前面に押し出された作品。一言一言丁寧に綴り、言葉をしっかり届けるラップが特徴的なのですが、今回のアルバムもそんな力強い言葉の並ぶラップが綴られています。そんな中、今回のアルバムでは非常に前向きな、「応援歌」的な作品が多かったように感じます。例えば「ふと」では「だから死ぬまで生きるって今言いたい」と非常に力強いメッセージを届けてくれていますし、「Once Again」でも彼の生い立ちを綴りつつ

「だから強くあれ 強くあれ
例え駄目だって Once again
ここじゃ終わらねえ」
(「Once Again」より 作詞 般若/Red Eye)

という前向きなメッセージが特徴的。ラストを飾る「こんな夜を」

「揉めまくったあの夜 泣いた事もそりゃある
クソな事ばっかだよ 死にてえとか言うなだ
俺のLIVE来て言え 俺のLIVE見てから」
(「こんな夜を」より 作詞 般若)

という前向きなメッセージを届けてくれます。

そんな力強い前向きなメッセージを感じる応援歌的なアルバムなのですが、ちょっと気になった曲もありました。それが「konnichiwa」で、サビでは「あくまで俺等日本人」と綴るこの曲、「行儀悪い外人引っ叩く」というリリックも登場する、若干、右よりな感じのリリックが気にかかります。もともと般若が心から敬愛する長渕剛自体、右寄りの思想の持ち主。般若自体もうっすらと保守的な思想も垣間見れることがあったりします。先日紹介したShing02のレビューでも書いたのですが、最近、ミュージシャンでも排外主義的な発言を平気でするような人もチラホラあらわれてきてしまったりしており、今回の般若に関しても、正直、若干気になりました。

とはいうものの、この楽曲自体、外国人に対する差別を煽るようなものではなく、「RESPECTの気持ちみんなにある」「悲しい歴史のリバイバルはやっちゃいけねえって事は理解ある」と、ちゃんと協調の精神も綴られています。ひと昔前ならば、気にすることもないような内容だったのでしょうが・・・。

一方、今回のアルバムで非常にユニークだったのが「愛人~また来る必ず~」で、最初、禁断の恋を歌ったようなラップ・・・かと思いきや、実はラーメンへの愛情を綴ったという、叙述トリック的なラップが非常にユニーク。こういうラップもさらっとできるユーモアセンスもまた、般若の大きな魅力に感じます。

トラックに感じては、呼吸魔、AUDIO RADICALなどが参加。こちらに関しては非常にシンプルなトラックで、あくまでも般若のラップを邪魔しないようなスタイル。ラップを通じて届けないメッセージが重要であることをより感じさせます。こういうスタイルもまた、般若らしい、と言えるでしょう。

若干気になる部分はあったものの、全体的に非常に前向きなメッセージで、リスナーの背中を押してくれるような応援歌的な内容に心強さを感じさせるアルバム。あらためて般若のラッパーとしての魅力を強く感じさせてくれた作品でした。

評価:★★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA
グランドスラム
THE BEST ALBUM
話半分
般若万歳II
IRON SPIRIT
12發
笑い死に


ほかに聴いたアルバム

ロデオ・タンデム・ビート・スペクター/thee michelle gun elephant

デビュー30周年を記念したリマスター企画としてリリースされた2001年にリリースされた彼らの6枚目のアルバムのリマスター盤。チャート的には最高位3位を記録し、結果としてバンドの最高位を記録しています。全体的にロックンロールの色合いが強くなったのと、以前に比べて内省的になった歌詞が特徴的な作品。いままでの彼らの音の集大成的な構成ながらも、歌詞の世界では新たな模索も感じさせる1枚。正直、売上面の成功と反して、彼らの代表作とも言える「ギヤ・ブルーズ」「カサノバ・スネイク」と、ラストのフルアルバムとなった「SABRINA HEAVEN」に挟まれて、ちょっと印象的に地味な印象も。とはいえ、ミッシェルの魅力がしっかりつまった文句なしにかっこいい傑作です。

評価:★★★★★

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 過去の作品
THEE GREATEST HITS
cult grass stars
High Time
Chciken Zombies
GEAR BLUES
カサノバ・スネイク

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2025年11月10日 (月)

HIP HOPへの思いを綴る久々の日本語詞アルバム

Title:抒情詩歌/JOJŌSHĪKA
Musician:Shing02

独特のポエトリーリーディング的なラップが独自の世界を切り開き注目を集めるラッパー、Shing02の、実に約6年ぶりとなるニューアルバム。さらに最近は様々なミュージシャンとのコラボ作が続いていたので、純粋にShing02単独名義で、かつ日本語詞のオリジナルアルバムとしては、実に2008年の「歪曲」以来になるのでは?

そんな久しぶりとなる、Shing02らしさのつまったHIP HOPのアルバムなのですが、久々がゆえにShing02の思いのつまった傑作に仕上がっていました。まず、アルバム全体を流れるトラックが耳を惹きます。岡山を拠点に活動するJO-JAYがサウンドプロデュースを手掛けたのですが、全編、ジャジーな雰囲気を漂わせるトラックが魅力的。アルバムとしてはもちろん主軸になるのはShing02のラップなのですが、必要上に前に出ることはなく、しかししっかりと主張するトラックが耳を惹きます。「燻銀/IBUSHIGIN」「柘榴/ZAKURO」などジャジーなトラックが続いたかと思うと、「摩天牢/MATENRŌ」ではサンプリングを上手く使った、ムーディーでソウルなトラックが魅力的。後半では、「私小説/SHISŌSETSU」のような、哀愁たっぷりの泣きのギターを聴かせるトラックなどもあり、ムーディーな作風の中にバラエティーも備えたトラックが並びます。

そして、なんといってもアルバムの中で最大の魅力と言えば、Shing02の綴るラップでしょう。今回のアルバムでもまた、淡々としたポエトリーリーディングのようなラップで、しっかりとそのメッセージをリスナーの耳に届けてくれます。

今回の歌詞で特徴的なのは、その内省的な歌詞。特に、ラッパーとしてHIP HOPに対する想いを綴ったリリックが目立ちます。「舞台に立つ渋さはいぶき銀」と自らを鼓舞する「燻銀/IBUSHIGIN」から、「テクニクス二台こそ聖なる祭壇」と、まさにストレートにラップへの思いを綴った「聖/HIJIRI」「何小節書いても書き足らん」とリリックへの意欲を綴った「私小説/SHISHŌSETU」に、そのままストレートにHIP HOPについてラップした「摩天牢/MATENRŌ」や「回想録/KAISŌROKU」など、内省的なリリックの中で、自らのHIP HOP、ラップにかける思いを感じさせるリリックが目立ちます。

また、そんな中でも印象に残ったのが「聖/HIJIRI」の中への一節

「この洋上に国境は見当たらず
人種と性、年齢の差別もなく」
(「聖/HIJIRI」より 作詞 Shingo Annen)

HIP HOPというジャンルの特徴を綴ったこの一節ですが、特に排外主義はびこる現在の世界の中だからこそ、グッと心に響くものがあります。特に昨今、日本において一部ラッパーが排外主義的な作品を発表し物議をかもしたことがありましたが、こういうHIP HOPの本質を誤ったような一部ラッパーの言動には非常に残念に感じる部分がありますし、そんな思いがこのリリックでより強くなりました。

久しぶりの日本語詞のアルバムがゆえに、Shing02の思いを強く感じさせる傑作アルバム。ムーディーでジャジーなトラックとのバランスも絶妙で絶品でしたし、HIP HOPリスナーのみならずチェックしてほしい傑作でした。

評価:★★★★★

Shing02 過去の作品
歪曲
SURDOS SESSIONS: Nike+ Training Run
1200Ways(Shing02+DJ $HIN)
S8102(Sauce81&Shing02)
246911(SPIN MASTER A-1&Shing02)


ほかに聴いたアルバム

Running Through the Fire/MONOEYES

細美武士率いるMONOEYESの約5年ぶりとなるニューアルバム。ELLEGARDENやthe HIATUSも同時並行で稼働する中、さすがに全バンドをフルに回転させるのは難しいようで、前作からちょっとインターバルのあるリリースとなりました。ただ、楽曲的には英語詞の曲がメインの中、日本語詞の曲がちょうどよいアクセントとなっているほか、肩の力が抜けたような、ポップで疾走感あるギターロックのナンバーが並んでいます。楽曲的には目新しさはないのですが、バンドサウンドの力強さや、全12曲入り35分程度という短さもあって非常に聴きやすい内容に。ファンにとっては待ったかいのある1枚と言えるのではないでしょうか。

評価:★★★★★

MONOEYES 過去の作品
A Mirage In The Sun
Dim the Lights
Between the Black and Gray

OWARI DIARY/SIRUP

途中、EPのリリースはあったものの、純然たるオリジナルアルバムとしては約4年半ぶりとなる新作。今回は「終わりの始まり」がテーマで、「終わりを受け入れつつ、新たな希望に向かう」というテーマ性のある作品に。基本的に以前のSIRUP同様、ソウル、R&Bの要素の強いメロウなポップチューンがメインの反面、リズミカルなダンスミュージックの要素を取り入れた新たな試みも感じられ、まさにテーマ設定に沿った、どこか明るい希望も感じさせる作風となっています。

評価:★★★★

SIRUP 過去の作品
FEEL GOOD
cure
BLUE BLUR

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2025年11月 9日 (日)

oasis全曲を豊富なエピソードに絡めて紹介

今年、再結成を果たし、先日の日本公演も大盛況で大きな話題となったoasis。その再結成や来日公演に合わせて、oasis関連の書籍がいろいろと販売されています。その中でも面白そうなもの、手軽に読めそうなものをピックアップし、いろいろと読んでいるのですが、今回紹介するのは、そんな中、私が読んでみたoasis関連の書籍の1冊です。

「What's the story? オアシス全曲解説」。NMEの音楽ジャーナリスト、テッド・ケスラーとヘイミッシュ・マクベインによる著書。タイトル通り、oasisが過去に発表した全曲を取り上げて、1曲1曲解説を加えた1冊。「全曲解説」という建付けは伊達じゃなく、アルバムやシングルのカップリング曲はもちろん、日本盤のみでボーナストラックに収録された曲も網羅。まさに文字通り、全曲取り上げて、1曲1曲に解説を加えています。

それだけにかなりボリューミーな1冊で、全452ページ、ハードカバーの本書。そんな読み応えのある一方、文章は比較的平易で読みやすく、スラスラ読める、読みやすい内容に。これは訳者の力でもあるのかもしれませんが・・・。そして、エピソード満載の内容で、個人的には、ここ最近読んだoasisの関連書籍の中で、ダントツで面白い1冊だったと思います。

全曲解説ということで、oasisの楽曲が発表順に並び、それぞれの解説がついている内容となっています。ただ、解説といっても音楽的な分析とかはほとんどなく、基本的にそれらの曲にまつわるエピソードが並んでいる構成。また、楽曲解説の間に、ライブや記者会見など、著者2人がoasisと関わった「現場」でのレポート記事も載っており、こちらもエピソード満載となっています。

このエピソードが非常におもしろく、ドキュメンタリー映画「オアシス:スーパーソニック」で紹介されたエピソードも引用されているのですが、その一方、初耳のエピソードも満載。初期のエピソードはもちろん、本書ではoasis解散まで追った作品になっているため、「スーパーソニック」では取り上げられていない時期のエピソードも多く、特にoasis後期については、自分も一時期に比べて「熱」が醒めていたこともあって、逐一話題を追っていなかったため、今回、はじめて知ったようなエピソードも数多くありました。また、イギリス国内で、CMやテレビ番組などでどのように取り上げられてきたのか、というのは日本でも紹介されないケースが多いため、日本だとあまり知られていないような曲が、本国では人気があったり、また、他のミュージシャンのカバーや、ソロとなってからのノエル、リアムがライブなどでレパートリーに入れた曲もコメントされており、意外な曲が人気だったり、評価が高かったりして、日本での見方とは違った視点での取り上げられ方もまた、新鮮味を覚えました。

また、非常に興味深かったのは、それぞれの曲の元ネタになりそうな曲、「パクリではないか」と話題になった似たようなタイプの曲、影響を受けたような曲も紹介されているのもおもしろいところ。特に元ネタや似たようなタイプの曲は、日本のメディアでは取り上げられることがほとんどないため、こういうところをズバズバ指摘するのも、いい意味でイギリスらしいな、とも感じます。また、元ネタや影響を受けたような曲に関しては、ちょっと意外なミュージシャンや日本ではあまり知名度が高くないバンドなども少なくなく、これを機に、oasisに影響を与えたミュージシャンとしてチェックしてみようかな、とも感じました。

そして、こちらも興味深かったのが、日本に関するエピソードも結構取り上げられていること。日本のメディアでのインタビューなどで日本のファンについて言及することは多いのですが、あくまでも日本のファン向けのファンサービスと思っていましたが、特に結成初期において、英語の通じない、イギリスから遥か遠い島国の日本で熱烈に受け入れられたことは、メンバーにとっても相当うれしかったようです。特に、oasisがはじめてアンコールに応じたライブが名古屋のクラブクアトロでのライブだったそうで、名古屋が意外な形で登場してきたのもちょっとうれしかったりします。

そんな訳で、非常にボリューミーな内容でしたが、読み応え満載の1冊。oasisファンならば、まずは読むべき1冊だと思います。oasisに関しては、アルバムはもちろん全曲聴いているのですが、シングルのカップリングについては聴いていない曲も多く、これを機に、あらためてoasisの楽曲を全曲聴きなおしてみたくなりました。oasisの魅力を再認識できたのはもちろん、これだけ多くのエピソードを曲にからめて紹介した、著者2人のジャーナリストとしての力量に感服した、そんな力作でした

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2025年11月 8日 (土)

BARBEE BOYSのラストとなった傑作2作

Title:√5デトックス
Musician:BARBEE BOYS

以前から紹介しているBARBEE BOYSデビュー40周年を記念した過去作のリマスター版。今回はその第7弾。1989年にリリースされた彼らの6枚目となるオリジナルアルバム「√5」。彼らにとって、初となるチャート1位を獲得している他、彼らの代表作ともいえる「目を閉じておいでよ」も収録。アルバムでの彼らの代表作とも言って間違いない1枚となっています。

そして今回、そのアルバムのリマスターとなるのですが、この作品に関しては、「√5デトックス」と名付けられ、サウンドも大幅に変化。さらには曲順まで変わっており、全く新しくリメイクされた作品に生まれ変わっています。ちなみにこの「デトックス」という名前、いまみちともたかとKONTAが電話でやり取りした際、「リミックス」に代わる面白い言い方をいろいろと探した結果、出てきた言葉だそうです。

まずサウンド面で大きく変わったのも非常にわかりやすくなっています。オリジナルに比べてギターを前に押し出したアレンジになった上、そのギターもノイズを前に押し出したサウンドは、明らかに90年代のオルタナ、グランジ系以降を意識したようなサウンドとなっており、80年代っぽさを感じたオリジナルに比べると、「現代のサウンド」へと「デトックス」されています。

また、曲順も大きく変わっているのですが、1曲目にギターサウンドを前に押し出した「さあ どうしよう」を持ってきた点が特徴的。そこに続いて「噂ばなしはM4」と続き、ロック色が強いイメージとなっています。一方、オリジナルでは、最初にポップ色の強い「ト・キ・メ・キ」から、シングル曲「目を閉じておいでよ」へと続いており、よりポップな雰囲気に。オリジナルはやはり「売れる」ことを意識したのに対して、「デトックス」では、よりこのアルバムの本質の部分を前に押し出した曲順になった、と言えるかもしれません。

もちろんアルバム全体としてもBARBEE BOYSとして完成度の高い、しっかりと彼らの持ち味である男女のデゥオを生かしたヒリヒリするような緊張感も特徴的な楽曲が並びます。文句なしに彼らの代表作とも言える傑作。サウンド的にも今のひとの耳にも違和感なくなじめる作品なだけに、最初の1枚としても最適な作品だと思います。

評価:★★★★★

Title:eeney meeney barbee moe
Musician:BARBEE BOYS

そして本作は、1990年にリリースした彼ら6枚目となるオリジナルアルバム。2年後の1992年の渋谷公会堂ライブを最後に彼らは解散してしまいましたので、本作は解散前ラストのアルバムとなります。

ラストアルバムと言うと、よく解散前らしい、メンバーのソロのような作品が目立ったり、バンドとしてどこかチグハグだったり、逆に最後ならではの集大成的なアルバムをつくってきたりと、いかにも解散前らしい作品になりがち。ただ本作は、まだ解散まで2年ある、という点もあるのでしょうが、あまり解散前の作品といった雰囲気はありません。

ただ一方で彼ららしい、KONTAと杏子のデゥオを上手くいかしたスリリングな曲がある一方、杏子がメインボーカルを取る「静けさに」に、KONTA主導の「Waltz」、さらには「クラリネット」ではいまみちともたかがボーカルを取っており、メンバーそれぞれが個性の主張が若干強まっているように感じます。もちろん、バンドとしてバラバラといった印象はなく、そういう意味で「解散前らしさ」は感じないのですが、一方で後となって考えると、このメンバーそれぞれの主張が強かった点、バンドとしての終幕に徐々に近づいていた証だったのかもしれません。

また、一方、BARBEE BOYSとしての新たな一歩はなく、良くも悪くも「らしい」アルバムになっている点も、これが最後になった理由のひとつなのかもしれません・・・。とはいうものの、そんなメンバーそれぞれの主張の強さを含めて、しっかりBARBEE BOYSらしさも出ていた作品。ラストアルバムながらも文句なしの傑作に仕上がっています。最後まで彼らが魅力的なバンドだったということを実感できる作品でした。

評価:★★★★★

BARBEE BOYS 過去の作品
Master Bee
1st OPTION
Freebee
3rd.BREAK
LISTEN! BARBEE BOYS 4
JUST TWO OF US(RADIO-K・BARBEE BOYS)

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2025年11月 7日 (金)

多彩なゲストでバラエティー富んだ作風

Title:Essex Honey
Musician:Blood Orange

イギリスのシンガーソングライターBlood Orangeのニューアルバム。直近作「Angel's Pulse」はミックステープという取り扱いでしたので、純粋なオリジナルアルバムとしては2018年にリリースされた「Negro Swan」以来、約7年ぶりとなる作品となります。毎回、アルバムは高い評価を得た傑作が続いているのですが、今回のアルバムも、まず聴いていて純粋な心地よさを感じさせる傑作アルバムに仕上がっていました。

今回のアルバムの特徴として、かなり豪華なゲスト陣の参加が大きなポイントでしょう。「Mind Loaded」ではLordeとCaroline Polachekという豪華な女性ボーカリストが参加。清涼感ある美しい歌声を聴かせてくれる、フォーキーでドリーミーなナンバーに仕上がっています。Caroline Polachekは「The Train」でも参加。リズミカルなポップチューンなのですが、こちらも彼女の清涼感ある歌声が魅力的な楽曲に仕上がっています。「Scared of It」ではTurnstileのBrendan Yatesも参加。ちょっと意外な組み合わせですが、ジャジーな雰囲気の作風の中、後半、ノイジーなギターサウンドが加わり、にわかにロックのテイストが強まる構成がユニークなのですが、これはやはり彼が参加している影響でしょうか。

そんなゲスト参加も加わったのも要因となり、バラエティーに富んだ展開が楽しめるのが本作の大きな魅力。前述のゲストボーカルを要したファルセットボイスがドリーミーで魅力的な「Mind Loaded」やサックスも入ってムーディーに聴かせる「Life」、アコギやパーカッションも入ってテンポよく聴かせるポップス色の強い「I Listened(Every Night)」など、様々なタイプの楽曲が楽しめます。

その一方では、全体的にハイトーン気味のBlood Orangeのボーカルでドリーミー、メロウに聴かせるスタイルは各曲に共通。そのため、アルバム全体にもしっかりと統一感を覚えます。また、ミックステープ扱いだった前作は1曲あたり2分程度の長さであったため、次から次へとテンポよく進む構成でした。それはそれでもちろん魅力ではあったのですが、今回のアルバムでは1曲あたり3分程度の長さ。そのため、Blood Orangeのメロウな歌も含めて、今回のアルバムではしっかりと「歌」を聴ける点も大きな魅力に感じました。

全46分、ゆっくりとメロウなそのサウンドと歌の世界に浸りたい作品ですし、浸るにはちょうどよい長さの作品かと思います。毎回、傑作アルバムをリリースしてくる彼ですが、今回も文句なく傑作アルバム。バラエティー富んだ楽曲の世界を楽しみたい作品です。

評価:★★★★★

Blood Orange 過去の作品
Freetown Sound
Negro Swan
Angel's Pulse

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2025年11月 6日 (木)

こちらも新譜ラッシュ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100同様、Hot Albumsも今週は新譜ラッシュとなっています。

まず1位は&TEAM「Back to Life」が初登場。CD販売数1位、ダウンロード数2位、ストリーミング数13位。韓国の芸能事務所HYBE傘下のYX LABELS所属の日本人7名、韓国人、台湾人それぞれ1名による男性アイドルグループ。本作は韓国盤で初となるアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動53万1千枚で1位初登場。前作「雪明かり(Yukiakari)」の初動33万4千枚(1位)からアップ。

2位も韓国の男性アイドルグループZEROBASEONE「ICONIK」が初登場でランクイン。CD販売数2位。既存曲の日本語バージョン3曲が収録されたスペシャルEPという扱いだそうです。オリコンでは初動売上17万9千枚で2位初登場。前作「NEVER SAY NEVER」の初動11万7千枚(2位)からアップ。

3位は、こちらは日本の男性アイドルグループBE:FIRSTのベストアルバム「BE:ST」が初登場。CD販売数4位、ダウンロード数1位、ストリーミング数3位。オリコンでは初動売上9万3千枚で4位初登場。直近のオリジナルアルバム「2:BE」の初動10万6千枚(1位)からダウン。

4位以下の初登場盤は、4位にも韓国の男性アイドルグループTWS「play hard」がランクインしている他、10位にはイギリスのロックバンドoasis「(What's the Story)Morning Glory?」が先週の13位からランクアップし、ベスト10入りしています。ご存じ90年代から2000年代にかけて、一世を風靡したイギリスのロックバンド。2009年に解散したものの、今年再結成。先日行われた東京ドームでのライブが大きな話題となりました。本作は1995年にリリースされた彼らの2枚目のアルバムであり、全世界で2,500万枚以上を売り上げた、ロック史に残る名盤。今年、30周年記念盤がリリースされましたが、来日の話題により、ストリーミング数が7位にアップ。Billboard JAPANのHot Albumsでは初となるベスト10ヒットとなりました。

ほかにロングヒット盤は、藤井風「Prema」は初登場盤におされる形で3位から6位にダウン。ベスト10ヒットは9週連続。ただ、ストリーミング数は今週も2位をキープし、来週以降の巻き返しも期待できそう。「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (Soundtrack from the Netflix Film)」は先週と変わらず7位をキープ。これで17週連続のベスト10ヒット。Mrs.GREEN APPLE「10」は6位から9位にダウン。こちらもベスト10ヒットは17週連続となります。

一方、Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」は13位にダウン。ベスト10ヒットは通算56週で再びストップ。またSnowMan「THE BEST 2020-2025」も14位にダウン。こちらもベスト10ヒットは通算30週でストップとなりました。


今週のHeatseekers Songs

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=heat_seekers

今週の1位はKIM CHAEWON,Dalpalan「Confession」が獲得。韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIMのメンバーによるソロ作。Dalpalanは映画音楽を中心に活躍する韓国の作曲家です。Netflixドラマ「匿名の恋人たち」主題歌となっています。


今週のニコニコVOCALOID SONGS

https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=niconico

ボカロチャートはDECO*27「マシュマロ」が今週で4週連続で1位を獲得。2位はなきそ「いますぐ輪廻」が3位から再びアップ。3位にはサツキ「メズマライザー」が5位からアップし、2週ぶりにベスト3に返り咲いています。

今週のHot Albums&Heatseekers&ボカロチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2025年11月 5日 (水)

新譜ラッシュ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は新譜ラッシュ。ベスト10のうち5曲が初登場となっています。

しかし、そんな中でもまだまだ強いのが米津玄師「IRIS OUT」今週で7週連続の1位を獲得となっています。ストリーミング数、動画再生回数は今週も1位で、これで7週連続の1位。今年を代表するヒット曲になりそうです。

ただし、米津玄師、宇多田ヒカル「JANE DOE」も3位から5位にダウン。米津玄師「1991」も9位にダウン。今週も3曲同時ランクインとなっていますが、「IRIS OUT」以外は厳しい結果に。とはいえ、「JANE DOE」はストリーミング数で6週連続の2位をキープしており、こちらはまだまだヒットが続きそう。

一方、2位には櫻坂46「Unhappy birthday構文」が先週の15位からランクアップ。先週は先行配信でランクインしていましたが、今週、CD販売分が加わったため、ベスト10入りとなりました。CD販売数1位、ダウンロード数10位、ストリーミング数9位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上52万5千枚で1位初登場。前作「Make or Break」の初動47万5千枚(1位)からアップ。

3位には韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIM「SPAGHETTI」が初登場。韓国盤では初となるシングル。BTSのJ-HOPEがラップで参加しています。CD販売数2位、ラジオオンエア数3位、動画再生回数7位。オリコンでは初動売上8万9千枚で2位初登場。前作「DIFFERENT」の初動13万2千枚(2位)からダウン。

4位以下も初登場が続きます。4位には男性アイドルグループBE:FIRST「I Want You Back」がランクイン。10月29日にリリースされたベストアルバム「BE:ST」に収録されたジャクソン5の楽曲のカバー。ダウンロード数2位、ストリーミング数10位、ラジオオンエア数1位、動画再生回数2位。

6位には中島健人「IDOLIC」がランクイン。SexyZoneの元メンバーによる、中島健人名義では2作目となるシングル。CD販売数3位、ダウンロード数11位。オリコンでは初動売上7万5千枚で3位初登場。前作「MONTAGE」の初動5万6千枚(3位)からアップ。

そして7位には旧ジャニーズ系、Travis Japan「Disco Baby」が初登場。12月リリース予定のニューアルバムからの先行配信。ダウンロード数で1位を獲得。ラジオオンエア数5位、動画再生回数19位で総合順位はこの位置となりました。

今週は新譜ラッシュだったため、ロングヒット曲は軒並みベスト10陥落。HANA「Blue Jeans」は6位から11位にダウン。ベスト10は連続15週でストップ。アイナ・ジ・エンドの「革命道中」も8位から12位にダウン。こちらもベスト10ヒットは11週連続でストップとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums&Heatseekers&ボカロチャート!

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2025年11月 4日 (火)

様々な要素の詰まった傑作

Title:It's a Beautiful Place
Musician:Water From Your Eyes

アメリカ・シカゴで結成され、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動してりう男女2人組バンド、Water From Your Eyes。オリジナルアルバムとしては前作「Everyone's Crushed」以来、約2年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは、宇宙の無意味さと人間の重要性の対立と、この困難な世の中での楽観主義への難しさをテーマとしているそうです。前作が高い評価を受け、各種メディアの年間ベストアルバムの上位にランクインしてきましたが、今回のアルバムもまた高い評価を受けているようで、今、注目のインディーバンドの一組となっています。

さて、そんな彼女たちの新作ですが、今回は全10曲29分という比較的シンプルかつ短い内容。さらに、そのうち4曲がインスト曲という構成となっており、実質上、6曲入りというミニアルバムに近い内容となっています。ただ、その短さながらも、インスト曲となっている曲が区切りとなり、アルバムは2部構成となっており、なおかつ、1部と2部で明確な違いのあるという、挑戦的な内容となっていました。

アルバムのオープニングとなっている1曲目「One Small Step」に続いて、前半はヘヴィーなギターサウンドを主軸とする力強いバンドサウンドと、ダウナー気味なボーカルという組み合わせのローファイ気味な作品が並びます。「Life Signs」のような、変拍子を用いた複雑なナンバーもあるのですが、ただ一方、所々に清涼感あるポップなメロディーも垣間見れて、キュートでポップという印象を受けます。ホワイトノイズで埋め尽くす、といった感じではないのですが、完全にシューゲイザーからの影響を感じさせる作品。特に「Born 2」はギターノイズを前面に押し出した作品となっており、シューゲイザーからの影響を顕著に感じます。

一方、中盤のインスト曲を挟んで後半に関しては、後半は1曲毎に作風の異なるバラエティーかつ挑戦的な楽曲がメイン。ギターサウンドにサイケさを増した「Spaceship」は打ち込みも入れたリズミカルなダンスチューンとなっており、実質上、ラストナンバーとなっている「Blood on the Dollar」は比較的シンプルでメロディアスなフォークロックのナンバー。バラエティー富んだ構成が楽しめます。

このように、全体的にハードコア、シューゲイザー、ダンスポップ、フォーク、サイケなどといった様々な要素が加味されて、わずか30分未満の内容でありつつ、バラエティー富み、かつ実験的な構成となっている本作。バンドとしての実力を感じさせるのは十分な内容。短い時間に反して、様々な要素の詰まった中身の濃い、傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Water From Your Eyes 過去の作品
Everyone's Crushed


ほかに聴いたアルバム

STANS(The Official Soundtrack)/EMINEM

Stans

EMINEMのキャリアを、彼の熱狂的なファンの視点を通じて探求しているドキュメンタリー映画「STANS」。2000年のアルバム「The Marshall Mathers LP」に収録された、EMINEMの代表曲「Stan」をモチーフとした作品となりますが、そのサントラが本作。もちろん「Stan」自身も収録されているほか、基本的には過去の彼の作品のうち、映画で使われたものを集めたもの。新曲「Everybody’s Looking At Me」も収録。ただ、2002年のフリースタイルの作品をもとに再構築されたものなので、軽快なラップは楽しめるものの、目新しさはなかったかも。ほかに聴きどころとしては、「Stan」のライブバージョンが収録されているのですが、2001年のグラミー賞授賞式でのステージで、エルトン・ジョンが参加したバージョンが収録され、聴きどころのひとつとなっています。過去作をまとめたものですし、ベスト盤的なラインナップでもないので、EMINEM入門的におすすめ、といった感じではないのですが、新曲や「Stan」のライブバージョンなど、ファンにとってはチェックしておきたい作品かと。

評価:★★★★

EMINEM 過去の作品
RELAPSE
RECOVERY

THE MARSHALL MATHERS LP 2
REVIVAL
Kamikaze
Music To Be Murdered By
Music To Be Murdered By - Side B
Curtain Call 2
The Death of Slim Shady(Coup De Grace)

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2025年11月 3日 (月)

国民的アイドルへの初のトリビュートアルバム

Title:中森明菜 Tribute Album “明響”

80年代に一世を風靡し、松田聖子と並び、今なお、国民的アイドルとして支持を集める中森明菜。最近では、芸能活動は再開しているものの、比較的、活動量は限定的であり、相変わらず彼女の姿を見かける機会はあまり多くありません。そんな中、初となるトリビュートアルバムがリリース。数多くのミュージシャンたちが彼女の代表曲のカバーに挑戦しています。

中森明菜と言えば、その歌唱力に定評があるだけに、そのカバーというとそれなりにハードルが高くなってしまうのですが、そこはしっかり歌い手のセレクトはされており、全員、最低限のハードルはクリアしているため、中森明菜のファンにとっても違和感なく楽しめるのではないでしょうか。そんな中でも何人か、なかなか聴かせるカバーもあり、まず「トワイライト -夕暮れ便り-」をカバーしたGYUBIN。彼女については完全に初耳なのですが、韓国の18歳のシンガーソングライターだそうですが、アイドル的な歌い方の中に、ちょっと掠れた声を入れて色っぽさを感じさせるカバーが耳を惹きます。

Adoの「十戒(1984)」も見事。以前、彼女は「飾りじゃないのよ涙は」をカバーしており、その相性の良さを感じたのですが、こちらのカバーも絶品。オリジナル曲だとどうしても押し一辺倒になりがちな彼女のボーカルですが、こちらではしっかりと抑え気味のボーカルでも表現をあらわしており、彼女のボーカリストとしての実力を感じさせます。

バンドサウンドでダイナミックに聴かせてくれるのはJUJUの「DESIRE -情熱-」。彼女も以前から数多くのカバーを歌ってきたシンガー。ただ、いままであまり彼女の曲を聴いてこなかったのですが、こうやってあらためて聴くとボーカリストとしての実力をしっかり感じさせます。その実力を再認識したという意味では中島美嘉の「難破船」。正直彼女のボーカルは、かつては非常に不安定で、あまり「上手い」という印象を受けなかったのですが、いまではしっかりボーカルも安定し、その感情表現に彼女の実力を感じさせる内容となっています。

ただ一方、全体的には原曲に忠実な、卒なくこなしたカバーが多く、意外性はなし。特にアレンジ面で挑戦したカバーがあればもっと面白かったと思うのですが、そこらへんはあくまでもミュージシャンではなく「歌手」に対するトリビュートなので、サウンドの側面はあまりいじれなかったのでしょうか。その点はちょっと物足りなさも感じました。

そして今回のアルバム、デラックス版だとDisc2として、トリビュートアルバムでカバーされた楽曲の原曲を収録したCDがついてきています。まさに中森明菜のベスト盤となっているのですが、さらに今回のトリビュートアルバムは曲順がリリース順。そのため、こちらのベスト盤も彼女の代表曲が発表順に並んでいます。

その結果、ボーカリストとしての中森明菜の歩みが非常によくわかる構成となっており、デビュー作「スローモーション」では初々しい、いかにもアイドルな歌声を聴かせてくれている彼女が、徐々に大人としての色気と迫力をボーカルに加えてきている過程がよくわかり展開となっています。また、あらためて彼女のオリジナル曲を聴くと、ただ声を張り上げるのではなく、むしろ抑えぎみのボーカルで感情を表現している点、彼女のボーカリストとしての実力をあらためて実感させられました。

トリビュートアルバムだけだと4つ、ただ中森明菜のオリジナルのベスト盤付ということで1つ追加で。トリビュートアルバムの参加ミュージシャンも魅力的でしたが、それ以上に中森明菜の魅力も強く感じられたアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY/YMO

YMOが1979年に行った、ロンドン、パリ、ニューヨークでのツアーの模様を収めたボックスセット。世界進出を目指していた彼らの貴重な記録と言えるでしょうし、このライブの雰囲気から伝わるところだと、確かに彼らは海外でも受け入れられていたんだな、ということを実感できるライブ音源となっています。全体的にどこか異国情緒、エキゾチックさも感じさせる点、彼らがどのように欧米で受け入れられたのか、というのも垣間見れる記録に。かなりボリューミーな内容でしたが、聴きごたえのあるボックスセットでした。

評価:★★★★★

Yellow Magic Orchestra 過去の作品
LONDONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON 15/6 08-
GIJONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08-

YMO
NO NUKES 2012
NEUE TANZ

SONGS 50th Anniversary Edition/シュガー・ベイブ

かつて山下達郎や大貫妙子が在籍し、伝説的なグループとなったシュガー・ベイブが唯一リリースし、現時点でシティポップの名盤としても名高い「SONGS」。そのリリース50周年及び山下達郎デビュー50周年を記念し、50周年記念盤がリリースされました。10年前には40周年記念盤がリリースされ、ここでも紹介しましたが、本作の聴きどころはDisc2。1994年に行われた「TATSURO YAMASHITA Sings SUGAR BABE Live」の模様を収録。「SONGS」がはじめてオリジナル・マスターによりCD化されたことを記念し、中野サンプラザで4日のみ行われたシュガー・ベイブの楽曲だけで構成された山下達郎のライブ。彼が41歳の時のステージで、まさに脂ののった時期でのステージ。シュガー・ベイブの楽曲もさらにパワーアップし、聴きごたえ十分。あらたに生まれ変わった魅力的なライブ音源となっています。既にオリジナルアルバムを聴いている方も要チェックの音源です。

評価:★★★★★

シュガー・ベイブ 過去の作品
SONGS-40th Anniversary Ultimate Edition-

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2025年11月 2日 (日)

ラテン音楽を網羅的に濃く紹介

今回は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

「ゼロからわかる!ラテン音楽入門」。書店に行くとよく並んでいる、初心者向け、というよりもそのジャンルをさらっとなぞるだけなぞってみよう・・・程度の興味しかないような層に向けてのお手軽な入門書レベルのシリーズ・・・かと思いきや、ラテン音楽について実によくまとめられた、ラテン音楽に興味がある方はもちろん、ワールドミュージック全般に興味がある方にもおすすめできる、入門レベルながらもかなり濃い内容の1冊でした。

「ラテン音楽」とは、いわば中南米地域の音楽。もともとスペインやポルトガルの植民地だったこれらの地域に、奴隷としてアフリカの黒人が連れてこられた結果、スペインやポルトガルなどの西洋系の音楽と、アフリカ系の音楽が混在した独自かつ豊かな音楽文化が生まれました。

本書では、そんな「ラテン音楽」を網羅的に紹介しています。第1章ではラテン音楽に関する概要の紹介。第2章ではラテン音楽の主なジャンルについて紹介した後、第3章では、そんなラテン音楽の代表的なミュージシャンたちを紹介。第4章では、そんなラテン音楽の現在の状況を、第5章ではラテン音楽の歴史を紹介した後に、第6章では中南米の音楽を国ごとに紹介。最後の第7章では、ラテン音楽と様々な音楽ジャンルとのつながりを紹介しています。全192ページというボリュームの中で、ラテン音楽をあらゆる切り口から紹介しており、かなりボリューミーな内容に仕上がっています。

内容的にかなり詰め込んだ内容になっているため、入門レベルとはいえ、様々な固有名詞が次々と登場。その点はちょっと読みにくい部分があったことは否めませんが、次々と登場してくるラテンのミュージシャンたちには俄然、興味が湧いてきます。特にうれしいのは、それぞれのジャンルにおすすめのアルバムも載っており、読んだ後、どんな作品に手をつければよいのかもわかりやすく紹介しているのはうれしいところ。さらに章ごとにSpotifyのプレイリストがQRコードで紹介されており、こちらもSpotifyによって代表的なラテンの楽曲についてチェックすることもできます。

さらに第6章のラテンアメリカ各国の音楽についてはかなりマニアックな部分も網羅。ブラジルやメキシコのような大国だけではなく、例えばニカラグアやウルグアイといった、ちょっとマニアックな国の音楽までちゃんとフォローしてあり、入門書でありながらも、コアなリスナー向けでも読み応えがあるかも。第4章では、ラテン音楽の現在もしっかりとフォローしており、ここでは当サイトでも紹介したこともあるBad BunnyやRosaliaといった、最近話題のラテン系ミュージシャンも紹介されています。

そして第7章も非常に興味深い内容で、ラテン音楽と他のジャンルとのつながりを紹介。日本の歌謡曲やHIP HOPとのつながりや、ジャズ、さらにはクラシックとのつながりも紹介しています。ポピュラーミュージックの書籍だと、どうしてもクラシックについてはあまりフォローされないケースが多いのですが、そんなクラシックに対してラテン音楽がどのような影響を与えてきたのかも紹介されており、本書の網羅する範囲の広さを感じさせます。

なお、一方でラテン音楽を広く網羅的に紹介している影響で、例えばブラジル音楽にように、それだけで大きな市場があるような国の音楽については、サラッと触れた程度。例えばラテンのスターの紹介でも、ブラジル音楽の大物、ジョアン・ジルベルトやカルメン・ミランダのようなミュージシャンたちは紹介されていません。また、レゲエに関しては完全にスルー。ジャマイカの音楽としても紹介されていません。レゲエはレゲエで、ラテン系音楽からは独立したジャンル、という位置づけなのでしょうか。

そんな点は差し引いても、ただラテン音楽の入門書としても、さらに多少ラテン音楽を知っているような方にでも、かなりおすすめできる網羅的、かつ内容の濃い、読み応えのある1冊になっていました。今後、これを機に、ここで紹介されているアルバムをいろいろとあさって、ラテン音楽についても積極的に聴いていきたいです。

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2025年11月 1日 (土)

oasis復活に先駆けて

今日は、最近見た音楽関連の映画の紹介、感想です。先日、東京ドームで復活来日公演を行ったoasis。今回はそれに伴い公開された、oasisのボーカリスト、リアム・ギャラガーの映画2本です。

まずこちらは、「リアム・ギャラガー:ライブ・アット・ネブワース2022」。リアム・ギャラガーが2022年にイギリスのネブワーク・パークで行った野外単独ライブの模様を収録したライブ映画。ネブワースと言えば、1996年、oasisの全盛期に行われたライブが、まさに「伝説」となっていますが、それから26年という月日を経て、今度はリアムのソロで行われたライブステージ。その模様を収録したライブ映像となっています。

で、もう1作がドキュメンタリー作品。「リアム・ギャラガーinロック・フィールド オアシス復活の序章」。2022年に、リアム・ギャラガーがアルバム「C'MON YOU KNOW」制作のために訪れたウェールズのロック・フィールド・スタジオでの録音作業の模様を収録したドキュメンタリーとなっています。

さて、まず「ライブ・アット・ネブワース2022」ですが、やはりリアム・ギャラガーの歌う姿は本当に絵になります。その歌声と共に、カリスマ性があるし、純粋にとにかくカッコいい!!ついつい見入ってしまうような「華」があります。今回のライブ映像で、あらためてリアムのボーカリストとしての魅力を実感させられました。

ちなみに歌われた楽曲は、大半がoasisの楽曲。セットリストが公表されていますが、全16曲中、10曲までがoasisの曲。残り6曲のリアムソロの曲も、こうやってあらためて聴くと、決して悪くはないのですが、やはりoasis時代の曲と比べると・・・とは思ってしまいます。そんなoasisの曲、本編ラスト「Live Forever」は「母親に捧げます」と言っているあたり、母親を大切にしているリアムの一面を垣間見れたりします。また、本編最後には、リアムが来てくれたファンへの感謝やファンあっての自分ということを話していたりして、リアムもいい意味で丸くなったなぁ、ということも感じました。

そして、もう一篇のドキュメンタリー。基本的にアルバムのレコーディング風景を収めた内容。サブタイトルに「オアシス復活の序章」と書かれていたり、ノエルに語っているように書かれていたり、いかにもoasis再結成に関係するような宣言がされているのですが、これに関してはかなり詐欺的に近く、ノエルについて語っているのもほとんど一瞬で、内容的にoasis再結成とは全く関係ありません。oasis復活の先駆け的なドキュメンタリーを期待すると、かなり肩透かしをくらうかもしれません。

ただ、その点を差し引くと、oasisのファンとしては非常に楽しめる内容だったと思います。レコーディング風景といっても、グタグタしたような練習風景はほとんどなく、レコーディングスタジオでのセッションがメイン。それも、リアムソロの曲がメインながらもoasisの曲もセッションが行われており、ちょっとしたライブ風景を楽しめる内容となっています。

それ以上にほほえましいのが、このレコーディングにリアムは2人の息子を連れてきており、親子同士のリラックスした会話風景が収録されていること。2人の息子は若そうなのにビールを飲んでいてちょっとビックリしたのですが、調べたら2人とももう成人を迎えているのですね。ただ、この親子の会話は、どちらかというと友達同士のようなフランクリーな感じで、リアムもパパとしてはよいパパなんだなぁ、ということが垣間見れて、とても微笑ましく感じます。この親子の風景を眺められるだけでも、このドキュメンタリーの価値があるように感じました。

ちなみに「ライブ・アット・ネブワース」が80分、「ロック・フィールド」が50分弱と、どちらも映画としては短め。ただ、映画料金は、「ライブ」が2,500円、「ロック・フィールド」が2,000円とフルに取られました。両者合わせても2時間強なので、2つの映画を合体させてほしかった感もするのですが・・・。ただ、どちらの映画も非常に見ごたえのある内容。oasisファンならとりあえずは見ておくべき映画でしょう。あらためてリアムの魅力を感じられた2本でした。

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