メンバーの証言からバンドを追ったドキュメンタリー
今回は、最近見た音楽関連の映画の感想です。
ハードロックの祖として、今なお多くのミュージシャンたちに影響を与えつづけているロックバンド、レッド・ツェッペリン。そんな偉大なバンドのメンバーの生い立ちから結成・ブレイクまでの軌跡を追ったドキュメンタリー映画が公開されました。「レッド・ツェッペリン:ビカミング」。メンバー本人たち初公認ということでも大きな話題となっているようです。
構成的には基本的にシンプルなドキュメンタリー。基本、インタビューを軸としつつ、その間に当時の映像や、さらにバンド本人のライブ映像もさしはさみつつ、バンドの歩みを追っていくスタイル。語られている内容は、熱心なファンにとっては特に目新しさはない内容のようで、ただ一方でバンドの歩みをしっかり追っているため、比較的バンド初心者にとっても難なく内容を理解し、楽しめるドキュメンタリーになっていたように思います。
そんな比較的シンプルなドキュメンタリー映画なのですが、ただ大きな特徴が2つあります。ひとつはインタビューがバンドメンバーだけにおこなれているという点。通常、この手の音楽ドキュメンタリーは、バンドメンバーだけではなく様々な関係者にインタビューを行い展開しているのが通常です。しかし本作は、あくまでもバンドメンバーのみからのインタビューにこだわっています。そもそも他のドキュメンタリー映画で様々な関係者からインタビューを行っているのは、ミュージシャンを多面的に捉えるため。一方、本人たちのみのインタビューは、確かに本人たちが実際に経験したことを語っているようで、実は本人たちの思い違いや偏った見方が往々にして「真実」として捉えられる危険性があり、ドキュメンタリーとして必ずしも望ましいスタイルとは言えません。しかし、それでも本作がバンドメンバー本人のインタビューにこだわったというのは、おそらく監督としてはレッド・ツェッペリンがどんなバンドだったのか、ということ以上に、レッド・ツェッペリンがメンバーにとってどんなバンドだったのか、ということをこの映画では残したかったのかもしれません。
特に今回の映画で印象的だったのは、若くして亡くなったドラムスのボンゾことジョン・ボーナムの貴重なインタビュー音源を使用していた点で、今回の目玉のひとつとなっています。このインタビュー音源も非常に貴重なのですが、それ以上に今回印象に残ったのは、映画の終盤、ボンゾがバンドについて語る音源を、メンバーがそれぞれ聴いているシーンがあります。その時のメンバーのなんとも言えない表情が、とても心にしみて・・・今回の映画でもっとも印象に残るシーンでした。
もうひとつ大きな特徴なのが、バンドの演奏シーンを、ほぼフル演奏で聴かせてくれる点。この手のドキュメンタリー映画は、ドキュメンタリー性を重視し、ライブ音源はダイジェスト、というケースが少なくありません。ただ、今回のドキュメンタリーについては、大迫力の演奏を画面越しに楽しむことが出来る、いわばライブ映画としての側面も兼ね備えています。今回のドキュメンタリー映画、このタイプの映画としては異例のヒットを記録しているのですが、このライブ体験が出来るという点がヒットの大きな要因かもしれません。また、インタビューをメンバーだけに絞ったのも、時間をたっぷりとって、バンドのライブ演奏を聴かせるため、という要素が強かったのかもしれません。
このライブ音源というのが、とにかく迫力満点。非常にヘヴィーでダイナミック、そして息の合った演奏は、今聴いても古さを感じさせません。レッド・ツェッペリンとしてのバンドの魅力を存分に感じることが出来ます。それと同時に、ちょっと不思議だったのは、なぜあのメンバーで、突然、あれだけのヘヴィーな音を出せたのか、という点。映画ではメンバーの生い立ちとして、それぞれ、影響を受けたミュージシャンたちを取り上げています。今回の(確かジミー・ペイジへの)インタビューで、「レッド・ツェッペリンは異なる音楽から影響を受けた4人のメンバーがちょうど交わった場所で生まれた」という趣旨の発言をしているのですが、彼らの影響を受けたミュージシャンは、誰もあれだけヘヴィーな音を出してはいません。本人たちのインタビューだけであるため、当時の音楽シーン全体の中での彼らの位置づけが、今回のドキュメンタリー映画ではいまひとつ不明確なのですが、なぜ彼らが、あれだけの音を出すことが出来たのか・・・今回の映画を見終わった後、残った疑問のひとつでした。
また、今回の映画、「ビカミング」という副題の通り、ドキュメンタリーで追いかけているのは彼らの生い立ちからバンド結成、そしてブレイクまで。具体的には2枚目のアルバムまで、となっています。バンドとして昇り基調を追ったドキュメンタリーのため、全体的に明るい雰囲気であり、ストレスなしで楽しめる内容にもなっています。ただ一方、これから先のバンドとしての終盤まで追ったドキュメンタリーも見てみたかったかも、とも感じました。ひょっとしたら第2弾も計画されている可能性もあるのですが・・・。
そんな訳で、初心者から熱心なファンまで楽しめるドキュメンタリー。あらためてレッド・ツェッペリンというバンドの偉大さを実感できる内容でした。迫力のライブ映像は、映画館で是非!
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