王道のシューゲイザーサウンドの中に挑戦心も
Title:Bugland
Musician:No Joy
カナダ・モントリオールを拠点に活動する3人組シューゲイザーバンドの5枚目となるアルバム。彼女たちのアルバムを聴くのは本作がはじめてとなるのですが、いかにもシューゲイザー的なドリーミーなサウンドとロック的なダイナミズムがいい具合にミックスされた、シューゲイザー好きには壺にはまりような作品に仕上がっていました。
1曲目「Garbage Dream House」がまさにそんなシューゲイザー系の王道を行くような作品で、空間を埋め尽くすようなフィードバックノイズと、ダウナー気味ながら清涼感ある女性ボーカル。まさにタイトル通りのドリーミーなポップソングに。さらに3曲目「Bits」も同じように、ギターノイズとダウナーなボーカルでドリーミーな雰囲気を作りつつ、一方で力強いバンドサウンドでダイナミックさも感じさせる作品に。その後も「Bather in the Blood」でもダイナミックでドリーミーなサウンドが魅力的な楽曲に仕上がっています。
また、ボーカルJasamine White-Gluzによるキュートな歌声による清涼感あふれるポップチューンも魅力的で、テンポよいギターロックのナンバーとなっている「My Crup Princess」も、ノイジーなサウンドの向こうで流れる彼女の美しい歌声に、荘厳さすら感じさせますし、「I Hate that I Forget What You Look Like」も清涼感あるポップな歌声が大きな魅力となっています。
そんないかにもシューゲイザーなギターノイズ主体のドリームポップが並ぶ中、バリエーションも感じさせる構成になっており、例えば2曲目のタイトルチューン「Bugland」などは、打ち込みのリズムでリズミカルなビートが流れる楽曲。テンポよいギターサウンドもあり、ダンサナブルな作品となっています。またラストを飾る「Jelly Meadow Bright」も魅力的。ドリーミーなポップチューンとなりつつ、打ち込みのリズムやアバンギャルドなサウンド、さらには後半にはメタルの影響も感じさせるサウンドやシャウト、AOR的なサックスの音色まで混じるかなり実験的な作風となっています。
そんな訳で、シューゲイザーの王道を行くような心地よくドリーミーでキュートなロックチューンが並びつつ、その中にバリエーションや実験的な作品も並べた作品。シューゲイザー好きにとっては間違いなく壺にはまりそうな作品ですし、実際、私にとっても完全に壺にはまった作品となりました。申し分ない傑作アルバムで、今年のベスト盤候補とも言える作品。全8曲入り33分という比較的短いアルバムなのですが、ずっと聴き続けたくなるような、そんな心地よさを感じさせるアルバムでした。
評価:★★★★★
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