考えずに、踊れ!
Title:DON'T TAP THE GLASS
Musician:Tyler,The Creator
昨年、アルバム「CHROMAKOPIA」をリリース。ビルボードのアルバムチャートで3作連続となる1位を獲得し、いまだ変わらぬ人気を見せつけた一方、評価の面でも各種メディアでベストアルバム上位に選ぶなど、高い評価を受け、その実力のほどを見せつけました。そんな前作のリリースからわずか8ヶ月。早くもサプライズリリースとなったTyler,The Creatorの新作。ただ、その内容について、いままでの彼の作品から大きく変化し、そんな内容を含めて大きな話題となっています。
今回のアルバムは、エレクトロなビートを前面に押し出したダンサナブルなアルバム。「考えずに踊れ」がテーマだそうで、いままでの彼の作品にあった感情表現や物語性は一切排除となっています。軽快にループするトラックにのせてリズミカルにラップする「Big Poe」からスタートし、ダンサナブルなエレクトロサウンドを前面に押し出した「Sugar On My Tongue」と、序盤から直感的に楽しめるダンサナブルなナンバーが続きます。
その後もベースが強調されたリズミカルなトラックが特徴的な「Stop Playing With Me」や、80年代ディスコ風のファンキーな「Ring Ring Ring」、リズミカルなラップも前に押し出したタイトルチューン「Don't Tap That Glass/Tweakin'」など、楽曲にバリエーションを加えながらリズミカルな楽曲が続きます。後半の「Don't You Worry Baby」「I'll Take Care of You」「Tell Me What It Is」の3曲は女性ボーカルが入り、メロウに聴かせる楽曲となっているものの、こちらもリズミカルなビートが加わっており、アルバムのテーマ性は最後まで貫かれています。
アルバムタイトルである「DON'T TAP THE GLASS」=ガラスを叩くなの「ガラス」はどうもスマホ画面を意味しているようで、「自意識や監視にとらわれず、自由に動け」という意味だとか。実際、そのテーマの通り、まずは難しいこと抜きに自由に楽しめるアルバムで、おそらく、HIP HOPに興味がなくても、いやむしろ興味がないからこそ楽しめるアルバムに仕上がっていたと思います。
個人的にも難しいこと抜きにまずは頭をからっぽにして楽しめたアルバム。一方、そんなテーマ性から外れて、この楽曲自体の話をすると、正直、エレクトロやダンスの楽曲として目新しい点はあまりありません。全10曲、28分という短さなので最後まで飽きることなく一気に楽しめることが出来る反面、目新しさという点ではちょっと物足りなさも否めなかったかも・・・。もっとも、難しいこと抜きに楽しめるアルバムというコンセプトがゆえに、あえて聴きやすい作風に仕上げた、ということなのかもしれませんが・・・。ただ、その点を含めて、アルバムとしては十分傑作であることは間違いないと思います。HIP HOPという枠組みを超えて、是非聴いてほしいアルバムです。
評価:★★★★★
TYLER,THE CREATOR 過去の作品
Goblin
Wolf
CHERRY BOMB
Flower Boy
IGOR
CALL ME IF YOU GET LOST
CHROMAKOPIA
ほかに聴いたアルバム
Idrache (Traces Of The Past)/Tinariwen
「砂漠のブルース」と呼ばれる音楽を奏で、世界的な人気を誇る、北アフリカのトゥアレグ族のバンドTinariwen。本作はそんな彼らのレア音源、未発表曲を集めたアルバムです。Tinariwenのアルバムは毎作聴いているのですが、実は本作に関してはリリースされていたことに気が付かず、先日、本サイトでも取り上げた「ミュージック・ガイドブック」に紹介されていたため、リリースに気づき、遅ればせながら聴いてみた作品だったりします。ただ、内容的にはいつものTinariwen同様、時折ブルースとの共通項を感じさせるようなサウンドを聴かせつつ哀愁たっぷりに聴かせる楽曲が魅力的。数多くのアルバムをリリースされている中、なぜ「ミュージック・ガイドブック」ではレア音源集を取り上げたのかは不明なのですが・・・これはこれでオリジナルアルバムと同じ感覚で楽しむことが出来る作品でした。
評価:★★★★★
TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)
ELWAN
Amadjar
Amatssou
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