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2025年8月 3日 (日)

バンド色が濃くなった区切りのアルバム

Title:スペシャル
Musician:スカート

デビュー15周年を迎えた澤部渡のソロプロジェクト、スカートがリリースする、メジャーでは5枚目、インディーズを含めると10枚目となるニューアルバム。いろいろな観点からも区切りのアルバムといっていい作品。もともと、決して派手さはないものの、聴いているうちに心に染み入ってくるような良質なポップスを書き続けている彼ですが、今回のアルバムもそんな非常に良質なポップソングが並ぶアルバムに仕上がっていました。

作品は非常に力強いバンドサウンドが特徴的の「ぼくは変わってしまった」からスタート。変わっていく自分を認識しながら前に進んでいこうとする、区切りのアルバムの1曲目にふさわしい楽曲なのですが、もともとこの曲は同窓会に出席した時に思いついた歌詞だとか・・・確かに、こういう気持ちになる理由はわかるような気がします・・・。その後もギターロック色の強い「緑と名付けて」へと続きます。今回のアルバム、インタビューによるとバンドメンバー全員がアイディアを出し合って作ったアルバムだそうで、澤部渡のソロプロジェクトながらも、バンドとしての色合いを強く感じさせる内容となっています。

その後も、このギターサウンドを主軸としながらもバラエティー富んだ音楽性が特徴的。ワウワウギターが入ってソウル風のサウンドが魅力的な「遠くへ行きたい」やアコギの弾き語りでフォーキーに聴かせる「トゥー・ドゥリフターズ」、ファンキーなギターが特徴的な「期待と予感」、メロウなギターが印象に残る「四月怪談」、ラストのタイトルチューン「スペシャル」はちょっと懐かしいネオアコ的なギターポップの作品となっています。

全体的には前述の通り、バンドメンバー全体で作り上げたということもあって、バンドサウンドが比較的、前に押し出されたような構成となっており、確かにこの手のソロ作にありがちな「宅録」的な要素は薄く、バンド色の強い作風に仕上がっています。オルタナティブ系ロックのギターサウンドがメインとなっている中、ソウルやファンク、フォークやネオアコなど多彩な音楽性を垣間見せており、この点、澤部渡の幅広い音楽的素養を感じさせる内容にもなっていました。

ちなみに今回のアルバムではコーラスとして「トゥー・ドゥリフターズ」ではSmooth Aceの重住ひろこ、「ひとつ欠けただけ」ではHomecomingsの畳野彩加、さらに「スペシャル」では柴田聡子がコーラスとして参加。多彩なゲストもアルバムのひとつの魅力となっています。

ただ・・・確かに良質なポップソングが並んでいるアルバムであるには間違いないのですが、全体的にどうしても地味という印象は否めず。ここらへん、女性ボーカルをゲストとして参加させたのも、少しでも華を持たせるためだったのかなぁ、と感じなくもないのですが・・・。傑作であることは間違いないと思うのですが、もうちょっと楽曲としてインパクトが欲しいかなぁ・・・とも感じてしまいました。まあ、この地味さもひとつの彼の味ではあるのかもしれませんが。

評価:★★★★★

スカート 過去の作品
CALL
20/20
トワイライト
アナザー・ストーリー
SONGS
Extended Vol.1


ほかに聴いたアルバム

jaguar hard pain(1944-1994)/THE YELLOW MONKEY

本作は、1994年にリリースされた彼ら3枚目のアルバムを、リリース30周年記念としてリマスターされたもの。Disc2として当時のツアー音源が、Disc3にはBlu-rayとして1994年7月17日に日比谷野外大音楽堂で行われた「JAGUAR HARD PAIN ENCORE TOUR'94 ~つわものどもの熱帯夜~」のライブ映像が収録されています。本作ではオリコン最高位28位を記録。次作「smile」が初のベスト10ヒットを記録し、まさにバンドとしてブレイク寸前だった時期にリリースされた本作。ちなみに内容はコンセプトアルバムになっており、吉井和哉も公言しているそうですが、デヴィット・ボウイの「ジギー・スターダスト」からの影響の強いアルバムとなっています。

ただ、そんなバンドとして勢いの出てきた時期の曲だけに、楽曲としてはかなり完成度の高く、彼らの脂ののった状況を感じさせます。非常にムーディーでエロチックな雰囲気を漂わせながらも、歌謡曲の要素を入れつつ、しっかりとロックとして成立させているその内容は、その後のTHE YELLOW MONKEYとしてのスタイルを完成させていることを感じます。ブレイク前夜らしい、バンドとしての上り調子を強く感じさせる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

THE YELLOW MONKEY 過去の作品
COMPLETE SICKS
イエモン-FAN'S BEST SELECTION-
砂の塔
THE YELLOW MONKEY IS HERE.NEW BEST
9999
Live Loud
30Years 30Hits
THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE(夜行性のかたつむり達とプラスチックのブギー)
Sparkle X

WHO IS BENZIE?/浅井健一

ご存じ、元Blankey Jet Cityのボーカリスト、ベンジーこと浅井健一のベストアルバム。ソロでのベストは2011年にリリースした「CORKSCREW WORLD -best of Kenichi Asai-」以来のアルバムとなります。Blankey Jet Cityの「2人の旅」やAJICOの「キティ」のセルフカバーも収録した本作。彼自身がセレクトしたベスト盤だそうで、初心者向けにも代表曲をほどよく網羅した構成になっています。確かに、独特のくすんだ世界観に色気を感じさせるボーカル、そしてヘヴィーなバンドサウンドは非常にカッコいいものを感じます。ただその反面、哀愁たっぷりのメロは良くも悪くも似たようなタイプの曲が多く感じてしまいますし、ベスト盤の割りにはインパクトもちょっと弱い感じも・・・。ソロ活動後、あと一歩惜しいといった感じのアルバムが目立つ彼ですが、ベスト盤に関しても同様の印象を抱いてしまいました。

評価:★★★★

浅井健一 過去の作品
Sphinx Rose
PIL
Nancy
METRO(浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS)
Sugar(浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS)
BLOOD SHIFT
Caramel Guerrilla
Mellow Party -LIVE in TOKYO-(浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS)
OVER HEAD POP

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