圧巻のインタビュー集
今日は最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。
「supersonic~THE COMPLETE,AUTHORISED AND UNCUT INTERVIEWS」(邦題:「スーパーソニック~完全、公式、ノーカット・インタビュー」。2017年にoasisの結成から1996年に行われたネブワースでのライブまでの模様を追ったドキュメンタリー映画「oasis:supersonic」が公開されましたが、本作はその時に行われたインタビューの完全版。ノエルは16時間以上、リアムは12時間以上に及ぶインタビューを行い、その取材模様をノーカットで収録した、圧倒的なインタビュー集となっています。今年、oasisが再結成されて話題となり、この大ボリュームのインタビューの全貌が解禁された、ということでしょうか。
もともと、映画もリアルタイムで見に行って、その後リリースされたDVDも購入してみているので、本書は映画、DVDに続く3度目のアイテムといった感じでしょうか。インタビューで語られている概ねな内容については既に映画でも取り上げられているため、目新しさというのはありません。ただ、映画で見た時とは印象が若干異なったような部分もチラホラ感じます。例えばノエルがリアムのバンドに加わった場面。映画ではもっとノエルが自信たっぷりにバンドに半ば無理やり参加したように描かれていましたが、インタビューではもうちょっと淡々とした感じで描かれています。また、初期メンバーのトニー・マッキャロルが脱退する時のエピソードでも、映画ではトニーに対するいじめの描写が酷かったのですが、インタビューではいじめに対する言及はあまりありません。
映画の方は、インタビューの中からピックアップし、映像を加えてドラマチックに構成しているのに対して、インタビューの方は当事者本人の証言ということで、もうちょっと淡々と語られている印象を受けます。もちろん、トニーの脱退に関する件については、本人たちがいじめを証言しにくいという事情もあったのでしょう。ただ、ここに限らず、全体的に映画に比べて物語は淡々と進んでいった印象は強く、同じような出来事でも映画とはちょっと違った印象を受けるような場面も多々ありました。
また、今回のインタビューで特徴的なのは、とにかく"fuck""fucking"を会話の中で多数登場してくる点(笑)。彼らが会話の中で、この単語を大量に使うということは認識していましたが、ポジティブな文脈にもネガティブな文脈にも使いすぎていて、読んでいて思わず笑ってしまう場面も。インタビューでは雰囲気を伝えるために、訳者があえて「ファック」「ファッキン」とカタカナでそのまま残しているのですが、この2つの言葉をありとあらゆる意味で使っていて、正直、わけがわかりません。まあ、日本語でいうところの若者が多様している「やばい」と同じような感じでしょうか。ちょっとビックリなのはこの2語、リアム、ノエルだけではなく、他のひとたち・・・ともすれば2人の母親まで多様しており、イギリスの労働者階級の雰囲気が垣間見れるようなインタビューとなっています。
さて、そんな訳で圧巻なインタビュー集とはいえ、基本的には映画で紹介されている内容に沿った内容なのですが、それでもやはり、このインタビュー集であらためて興味深く読むことが出来た発言も何か所もありました(ひょっとしたら映画でも取り上げられていたけど、気が付かなかっただけかもしれませんが)。例えば「第四十一章 兄と弟」では、ノエル、リアムお互いにお互いのことを語っているのですが、特にリアムはストレートにノエルのことを「死ぬほど奴を愛しているよ」と語っており、かなりストレートに兄への愛情を語っています。ノエルにしてもなんだかんだいいつつ弟を思っているような部分は垣間見れて、再結成した今となっては、やはりなんだかんだいっても仲がいい・・・とまではいかなくても家族なんだな、ということを感じてしまいます。
また、最後「第五十五章 後悔はない」では、ノエルが「おれは自分自身がそんなにグレートだとは思っていない。おれは歌を書くが、自分自身が果たす役割ってのはすごく小さい。」と謙虚に語っているのも印象的。基本的にはノエルはインタビュー全体にどこか真面目さを感じますが、ここらへんの発言については意外さも感じました。
本にすると全696ページ。かなりボリュームあって分厚い1冊となっており、そのインタビュー内容も含めて圧巻の1冊となっていました。「ファック」をそのまま残した訳も含めて、インタビューの雰囲気も伝わっており、読み応えのある内容。ファンなら是非読んでおくべき1冊です。
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