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2025年8月30日 (土)

新たな一歩を踏み出した4枚目

Title:I quit
Musician:HAIM

日本でも高い人気を誇るアメリカの姉妹3人組ガールズロックバンドHAIMの約5年ぶり4枚目となるニューアルバム。今回のアルバムのリリースの前に、彼女たちの永年の共同制作者であり、メンバーのDanielle Haimの元パートナーであったAriel Rechtshaidと別れ、新たな一歩を踏み出した作品だそうで、特に1曲目「Gone」ではジョージ・マイケルの「Freedom! '90」をサンプリングしており、新たな一歩の意思を示しているそうです。

とはいっても、今回のアルバムもいままでのHAIMの作品からそう大きな変化が起きた、という訳ではありません。今回のバリエーションの多いポップソングが楽しめる作品。ギターロックナンバーの「Gone」からスタートし、「Relationships」はメロウさも織り込んだ軽快なポップチューン。「The farm」はアコギで聴かせてくれるフォーキーな作品になっていますし、「Lucky stars」は分厚いギターサウンドにシューゲイザーの影響を感じます。さらに「Spinning」は打ち込みのリズムの軽快なエレクトロポップに仕上がっていますし、「Blood on the street」は力強く聴かせるブルースロック風の楽曲となっています。

ここらへんの楽曲のバリエーションの多さが、彼女たちにとってはひとつの特徴であり魅力である一方、特に初期の作品については軸足の弱さや節操のなさを感じ、ウィークポイントになっていたようにも感じました。ただ、前作「Women in Music Pt. III」から「ロックバンド」により主軸を置いた作品となった結果、全体としてまとまりが生まれてきました。そして今回のアルバムも基本的には前作の路線を引き継ぐような内容となっており、アルバム全体としてのまとまりは前作よりもより強くなったように感じました。

特に冒頭の「Gone」からはじめ、序盤の「All over me」「Down to be wrong」など、ロックテイストの強い作品を並べ、ロックバンドとしてのHAIMの印象を強く受けるような展開に。中盤にも前述の「Lucky stars」のようなロック色の強い曲を配し、終盤もブルースロックの「Blood on the street」から、ラストも強いドラムのビートが印象的な、ロック色の強い「Now it's time」と、全体的に力強いバンドサウンドが耳に残るような構成となっており、結果、アルバム全体としてしっかりとした統一感を持った印象を受けました。

そして何よりも彼女たちの魅力と言えば、ポップでキュートなメロディーラインでしょう。序盤の「Relationships」からスタートし、エレクトロポップ風の「Million years」やエレピで軽快にポップに聴かせる「Try to feel my pain」など、ロックな曲が目立つと同様に、キュートさを感じさせるポップな曲が目立ちます。このポップ路線も以前からのHAIMの方向性でしたが、今回のアルバムでもその路線はしっかりと引き継がれています。

新たな一歩、といっても基本的にいままでのHAIMの魅力はそのままに、ただ、サウンドの統一感が増した点、前作よりもより魅力の増したアルバムに仕上がっていたようにも思います。バンドとしてより成熟してきたという印象も受ける4枚目。新たな一歩を踏み出した彼女たちですが、今後の活躍にもまだまだ期待できそうです。

評価:★★★★★

HAIM 過去の作品
DAYS ARE GONE
Something To Tell You
Women in Music Pt. III


ほかに聴いたアルバム

More/Pulp

日本では残念ながらそれほどではないものの、本国イギリスでは、ブリットポップの代表格として高い人気を誇るロックバンドPulp。2001年に活動を休止し、その後、断続的に再結成を行っているのですが、このたび約24年ぶりとなるニューアルバムがリリースされて話題となっています。その内容は、まさにブリットポップ全盛期を彷彿とさせるような、軽快で明るいポップながら、どこかアイロニックさを感じさせるサウンドが特徴的。復帰作の本作は高い評価を受け、チャートでも1位を獲得したそうですが、それも納得の1枚。ブリットポップが好きだったら、間違いなく大ハマリしそうな作品です。

評価:★★★★★

Young Fashined Ways/Bobby Rush&Kenny Wayne Shepherd

御年、なんと91歳にしてまだまだ現役の、リビングレジェンドとも言うべきブルースミュージシャンBobby Rushが、アメリカのブルースロックギタリストKenny Wayne Shepherdと組んでリリースしたニューアルバム。正直、91歳という年齢を全く感じさせない現役バリバリのBobby Rushのプレイも魅力的。作品的には王道のブルースといった感じで、なんとなくライトニング・ホプキンスを彷彿させるような部分も。目新しさこそありませんが、今なお現役でプレイし続けるというだけでうれしくなってしまうBobby Rushの新作でした。

評価:★★★★

Bobby Rush 過去の作品
All My Love For You

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