意外とAOR色も濃く
Title:愛は元気です。(2024 Remaster)
Musician:谷村有美
昨年から続いている谷村有美の過去作のリマスターシリーズ第5弾。今回は1991年にリリースされた彼女の5枚目となるオリジナルアルバムです。もともと3月にリリースが予定されていましたが、録音の都合か、リリースが延期され、5月に満を持して発売した作品となります。前作ではオリコンチャート最高位4位と一気に飛躍した彼女ですが、今回のアルバムでは最高位3位とベスト3ヒットを記録。まさに人気が最高潮に達しようとしている時期のアルバムとなっています。
ちなみに前作「PRISM」では半数が谷村有美作曲による作品でしたが、今回、彼女が作曲を手掛けたのは3曲のみ。残りは前作同様、西脇辰弥が手掛け、作詞は2曲が戸沢暢美が手掛け、残りは彼女本人が作詞。また、最後に収録されている「今が好き」は作詞が神沢礼江、作曲は伊秩弘将が手掛けた曲になっており、全体的にシンガーソングライター志向は一歩後退という構成になっています。ひょっとしたら売上的に大きく伸びてきたので、作曲は専門家の比重を高めて、より大きなヒットを狙おうとしたのかもしれません。
実は個人的に、このアルバムと、オリジナルアルバムとしては次作となる「Docile」は最も思い入れのある作品。リアルタイムで聴いていたということもありますし、次作「Docile」については彼女に一番はまっていた時期の作品ということもあります。また、この作品に思い入れの深い理由としては、1曲目のタイトルチューン「愛は元気です。」にあって、この曲、名古屋地区の朝の情報番組のオープニングに長く用いられてきました。まさに朝の情報番組のオープニングにピッタリくるような、目覚まし時計の音とも取れそうなイントロからスタートし、非常に爽やかさを感じる楽曲になっており、ちょうど中学生から高校生だったこの時期、朝、いつもこの曲で目覚めていたな、ということを今さらながら懐かしく思い起こします。
さて、以前のアルバムレビューにも書いたのですが、谷村有美というと、90年代のアイドル冬の時代において、アイドル的なキュートなルックスでありながらも、ミュージシャンとしての活動はシンガーソングライター寄りというスタイルで、当時はアイドル的な人気を博していた部分がありました。そのイメージがありましたし、1曲目「愛は元気です。」はかなりポップス色の強い楽曲でしたので、このアルバム、イメージとしてはかなりポップス色の強い作品だった、という印象がありました。
ただ、久しぶりにこのアルバムを聴いてみると、かなりAOR色の強い作風になっており、表題曲やジャケット写真のイメージからはちょっと異なるような「大人」な雰囲気の漂うアルバムになっていました。「消せない想い」は、まさにホーンセッションも軽快なAORで、ちょっとムーディーな雰囲気の漂う作品になっていますし、それに続く「友達」もしんみり聴かせるナンバー。「Pajama Days」や「どうでもいいの」なども、大人な恋愛要素が加わったシティーポップな楽曲に仕上がっています。
一方では打ち込みも入ってリズミカルな「OH MY GOD!!」や軽快で明るいポップチューン「パレード・パレード」なども聴かせてくれており、全体的には表題曲を含めて明るい雰囲気も漂います。ここらへんの明るい雰囲気の曲も目立つことから、リアルタイムで聴いた時は、特にポップなアルバムというイメージを受けたのかもしれません。
実際、大人な雰囲気のAORなナンバーと、明るいポップスがほどよく配されているバランスのよい構成も魅力的で、ここらへん、谷村有美のミュージシャンとしての勢いも感じさせるアルバムだったと思います。ある意味、ミュージシャンとして最も脂ののったころにリリースされそうな、彼女を代表する1枚に仕上がっていたようにも感じました。懐かしく聴きつつ、谷村有美の魅力を再確認できた1枚でした。
評価:★★★★★
谷村有美 過去の作品
タニムラベスト
Believe In(2024 Remaster)
Face(2024 Remaster)
Hear(2024 Remaster)
PRISM(2024 Remaster)
ほかに聴いたアルバム
あそび/いきものがかり
いきものがかりの水野良樹がSNSに、チケットの売れ行きが旨を投稿し、悪い意味で最近の人気が話題となってしまったいきものがかり。確かに、一時期一世を風靡した頃に比べると、人気はひと段落ついてしまっている点は否定しようがありません。ただ一方、作品的にはいい意味で安定しており、本作も彼ららしい前向きな応援歌的な曲から打ち込みを入れたリズミカルな曲、ストリングスで爽やかに聴かせるナンバー、バンドサウンドを前に押し出した曲などバラエティー豊富。ハンバート ハンバートやfox capture plan、松下奈緒など様々なミュージシャンとのコラボが特徴的だった作品ですが、しっかりいきものがかりらしさを打ち出しており、ポップミュージシャンとして円熟味すら感じさせるアルバムとなっています。ポップミュージシャンとして貫禄すら感じさせる1枚でした。
評価:★★★★
いきものがかり 過去の作品
ライフアルバム
My Song Your Song
ハジマリノウタ
いきものばかり
NEWTRAL
バラー丼
I
FUN! FUN! FANFARE!
超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~
WE DO
WHO?
〇
DRIVE 1993〜2026 -GLAY complete BEST/GLAY
GLAYのオールタイムベスト。収録曲はファン投票によって決められ、曲順は順位通りになっているそうです。2000年に「DRIVE」というタイトルの、同じくファン投票によってセレクトされたベスト盤をリリースしていますので、それに続く形のベスト盤ということになるのでしょう。ちなみに、通販限定盤やストリーミングでは1993年から2006年まで一括してひとつのアルバム扱いとなっていますが、通常のCDでは「1993~2009」と「2010~2016」と2作品に分かれています。特にこのうち、「1993~2009」に収録されている楽曲については、全盛期だった当時、聴きなじみのある大ヒット曲ばかりで熱心なファンでなくても楽しめそう。ただ、ちょっと意外なのは彼ら初のベスト1ヒットとなった「口唇」は圏外で未収録なんですね・・・。「2010~2016」は人気面でひと段落した後の作品なだけに、印象は薄め。とはいえ、どちらもインパクトあるポップな楽曲が並んでおり、CDにして4枚組、配信では60曲5時間というボリュームなのですが、十分楽しめたアルバムでした。
評価:★★★★
GLAY 過去の作品
GLAY
JUSTICE
GUILTY
MUSIC LIFE
SUMMERDELICS
NO DEMOCRACY
REVIEWII~BEST OF GLAY~
REVIEW 2.5 〜BEST OF GLAY〜
FREEDOM ONLY
HC 2023 episode 2 -GHOST TRACK E.P-
Back To The Pops
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