サザンも年を取ったな・・・
Title:THANK YOU SO MUCH
Musician:サザンオールスターズ
途中、ベスト盤のリリースなどあったものの、ニューアルバムとしては実に約10年ぶりとなるサザンオールスターズの新作。ただ、この10年間、ベスト盤のリリースのほか、新曲を断続的にリリースしたり、茅ケ崎でのライブを行ったり、コロナ禍の中では配信ライブを行ったりと、比較的積極的に活動を行っていた感もあるので、それだけリリース間隔があいたというのは逆にちょっと意外な感じもしました。
そんな元気に活動を続ける彼らですが、とはいえメンバー全員68歳~70歳。ミック・ジャガーは80歳を過ぎてまだまだ積極的に活動を行うなど、ロックンローラーの活動可能年齢はどんどん高くなっていますが、ただ、彼らは夏の野外が暑すぎるとして、夏フェスからの卒業宣言を行うなど、やはり寄る年波には勝てないのかな、と感じる部分は少なくありません。
そしてこのアルバムに関しても、まず感じた感想は「サザンも年を取ったな・・・」というものでした。1曲1曲をピックアップすれば、もちろん十分「名曲」と言える曲が並んでいますし、バラエティー豊富な曲調はさすがサザンといった印象。エレクトロのリズムにのせてダンサナブルなディスコチューン「恋のブギウギナイト」に軽快なロックンロールチューン「ジャンヌ・ダルクによろしく」という、どちらかというとバタ臭いナンバーから「桜、ひらり」では和風な情緒あふれるポップスに展開。さらに哀愁たっぷりの歌謡曲風な「暮れゆく街のふたり」という洋楽風と邦楽風、今風の曲調からノスタルジックあふれるナンバーまで自在に行き来する音楽性は、さすがサザンと舌を巻かざるをえません。
ただ、とはいってもまず感じてしまうのは、どの曲に関してもいままでのサザンで何度も似たような曲があるよな、という印象。もっとも、この点に関しては以前からその傾向はあったものの、その「サザンらしい曲」のバリエーションだけでアルバム1枚が埋まるような幅広い音楽性の持ち主だっただけにあまり気になりませんでした。しかし、それでも今回のアルバムでそう感じてしまったのは、やはり楽曲としての勢いが欠けてしまった部分が否めないようにも思います。例えば、「風のタイムマシンにのって」などは湘南の地名を巧みに織り込んで、聴いているだけで湘南をドライブしているような風景描写に、原由子のボーカルがピッタリとマッチした名曲と感じる一方、この具体的な地名を織り込んで曲を作りあげるという手法自体は「LOVE AFFAIR~秘密のデート」を彷彿とさせてしまいます。
そしてもうひとつ、彼らも年を取ったな、と感じてしまう大きな要素として、日本について歌ったり、昔を懐かしんだりするような曲が目立ったという点でした。ジャケット写真からして日本人形ですし、「歌えニッポンの空」のようなそのままな曲もありますし、「神様からの贈り物」のような歌謡界の先人について歌った歌もありますし、「ミツコとカンジ」のような、倍賞美津子とアントニオ猪木の元夫婦について歌にした曲もあったりと、日本をテーマとしたり、ノスタルジックな感覚のある曲が目立ちます。
もちろんサザン自体、昔から歌謡曲の影響を隠していませんでしたし、むしろロックバンドが歌謡曲的なものだったりを忌み嫌っていた時代から、この手のロックバンドとしては珍しいくらい歌謡曲の要素を取り入れていました。また、日本的、懐古趣味的といっても、決して右傾化、保守化したわけではなく、もっと純粋に日本はいいなぁ、昔はよかったなぁ、という素朴な感じを歌っており、そこに変な感じはありません(むしろ、ここらへんのバランス感覚のうまさはさすがといった感もあります)。
とはいえ、アルバム全体として、以前に聴いたことあるような曲が多いという印象に、日本のことや昔のことを歌った曲が多いという印象が加わることによって、非常の保守的なアルバムに感じてしまいましたし、それはサザンが(というより桑田佳祐が)やはり年を取ったんだなぁ、という印象を抱いてしまいます。もちろん、楽曲自体は十分「名曲」と言える曲も少なくありませんし、メロにしても歌詞にしても凡百のミュージシャンでは足元にも及ばないレベルになっているとは思うのですが、やはりかつてのサザンに比べると物足りなさを感じてしまいました。
もちろん一方ではアルバムの最後を飾る「Relay~杜の詩」のように、美しいバラード風の楽曲を装いながらも、中身は明治神宮外苑の再計画に対して疑義を呈した曲もあったりして、しっかりと主張する部分は主張している点、年をとってもその志は変わらない部分も感じるのですが。
アルバムの出来としてはもちろん悪い訳ありません。ただ、全体的におとなしく、保守的と感じてしまう点、サザンとしては、また、10年ぶりという長いスパンを考えると物足りなさを感じてしまいましたし、何よりも「年を取ったな」と感じてしまうようなアルバムになっていました。ちょっと残念にも感じるのですが、その一方、仕方なくもあるのでしょうね・・・。ただ、今後も少しでも末永く、また少しでも多くの新曲をリリースしてもらえれば、と思います。
評価:★★★★
サザンオールスターズ 過去の作品
葡萄
海のOh,Yeah!!
ほかに聴いたアルバム
ATOMIC CHIHUAHUA/INABA/SALAS
昨年の紅白でもそのパフォーマンスが大きな話題となったB'zの稲葉浩志と、アメリカのギタリスト、スティーヴィー・サラスが組んだユニット、INABA/SALASによる約5年ぶり3枚目となるアルバム。スティーヴィー・サラスのソロ名義のアルバムは聴いたことないのでよくわからないのですが、B'zの時よりもさらに自由度は増している感じ。ハードロックを基調としながらも、シンセなどを入れて明るくポップに仕上げており、ラストの「ONLY HELLO part2」に至っては、「ジョンレノン?」と思わせるようなビートルズ、特にジョン・レノン直系のメロを聴かせてくれています。ポップ路線に走るのか、ハードロック路線で行くのか、若干中途半端な感も否めないのですが、ただ、これはこれで稲葉浩志自身、楽しんで演っているな、ということは感じるアルバムでした。
評価:★★★★
稲葉浩志 過去の作品
Hadou
Singing Bird
CHERRY GROOVE(INABA/SALAS)
Maximum Huavo(INABA/SALAS)
只者
25th THE BEST - ALIVE/AI
デビュー25周年、大ヒットした「Story」から20年を記念してリリースされたベストアルバム。通常盤は1枚、デラックス盤は2枚組という扱いで、通常盤には彼女の代表曲がコンパクトに収録。2枚目にはプラスアルファの曲が収録という構成で、とりあえず初心者の方には通常盤で、というのは、初心者に優しい構成になっています。ただ、配信サイトでは普通にDisc2まで配信されていますし、Disc2にも、チャート最高位という意味では最大のヒットとなった「Believe」やドラマ主題歌となった「VOICE」など、「これ、代表曲じゃないの?」と思うような曲も収録されているため、AIというミュージシャンを知るためにはDisc2まで要チェックでしょう。
AIの曲の中にはちょっとベタすぎる前向き応援歌もあったりして、若干鼻白む部分もあったりするのですが、それを差し引いても圧倒的なボーカル力とメロディーラインの良さが魅力的で、代表曲である「Story」も、感情を掻き立てるようなバラードはちょっと露骨でベタでもあるのですが、それを含めて魅力的ですし、なによりも安室奈美恵をフューチャーした「FAKE」は、もう15年も前の曲ながらも、今聴いてもなお新鮮で、カッコよさを感じさせる楽曲。他にも魅力的な楽曲は多数含まれており、AIというミュージシャンの魅力をあらためて実感できたベスト盤になっていました。
評価:★★★★★
AI 過去の作品
DON'T STOP A.I.
VIVA A.I.
BEST A.I.
The Last A.I.
INDEPENDENT
MORIAGARO
THE BEST
THE FEAT.BEST
和と洋
感謝!!!!! Thank you for 20 years NEW&BEST
IT'S ALL ME - Vol.1
IT'S ALL ME - Vol.2
DREAM
RESPECT ALL






















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