BEGINの魅力のわかる2枚組ベスト盤
Title:BEGIN さにしゃんベスト
Musician:BEGIN
2024年にデビュー35周年を迎えたBEGINによる2枚組のベストアルバム。2019年に既にベストアルバム「BEGIN ガジュマルベスト」をリリースしている彼らですが、本作はその続編的扱い。1枚組の「BEGIN ガジュマルベスト」が、いわば彼らの代表曲を凝縮した初心者向けアルバムだったに対して、さらに彼らの曲をたくさん聴きたいという方にむけてリリースされたのが今回のベストアルバム。ちなみに「さにしゃん」とは石垣島の方言で「うれしい」という意味だそうで、BEGINの曲をいろいろと聴きたい方にとっての「うれしい」ベストアルバムとなっています。
デビュー35周年を向けて、すっかりベテランバンドの仲間入りを果たしたBEGIN。ご存じのようにもともとは1989年に当時、社会現象とも言えるブームとなったテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」通称「イカ天」で「イカ天キング」に選ばれて、シングル「恋しくて」でデビュー。いきなり大ヒットを記録し、大きな話題となりました。
ただ、当時大ヒットしたシングルはこれ1枚のみ。2枚目からのシングルではチャートを大きく落として、当初はともすれば「一発屋」とみられるような売上の推移をたどっています。しかし、その後は根強い人気を続け、「島人ぬ宝」や「笑顔のまんま」がスマッシュヒットを記録。2002年、2003年にはデビューから10年以上を経て、2年連続紅白にも出場し、今や彼らを一発屋とみなす人はいません。ある意味、デビュー時に「イカ天」ブームにより消費されかかった彼らでしたが、しっかりとその人気を確保し、今に至っています。
今回のベストアルバムではもちろん彼らの代表曲である「恋しくて」「島人ぬ宝」「笑顔のまんま」も収録。ここらへんは「ガジュマルベスト」と被る内容にはなっていますが、それはそれでやはりBEGINのベストとして抑えておきたい楽曲と言えるでしょう。ただ、この曲を含めて、沖縄民謡の要素を取り込んだ、暖かく優しいポップチューンの連続。決して派手さはないものの、しっかりと心に残る楽曲が並んでおり、なるほど、確かに爆発的なヒットこそ「恋しくて」以降なかったものの、35年の間、第一線で人気を確保し、活動を続けてこれた理由はよくわかります。
例えば「防波堤で見た景色」などは1998年にリリースされた楽曲で、チャート的には最高位99位と全く奮わなかったのですが、昔なじみの仲間と、戻れない過去を懐かしむ歌詞は感涙モノのバラードナンバーで思わず聴き入ってしまいます。また、今回のベスト盤に収録されている曲では「ハンドル」も秀逸。こちらもアコギとピアノでしんみり聴かせるフォーキーな曲ですが、居酒屋を営む夫婦を描いた歌詞が非常に印象に残る物語性のある歌詞で、登場人物の描写が心に残る楽曲に。こういうった彼らの実力、魅力のわかる楽曲が多く収録されています。
また、BEGINの大きな魅力と感じるのは、彼らの生まれ故郷、沖縄の民謡を上手く取り入れつつ、様々な音楽的な要素を同時に取り込んだポップチューンに仕上げているという点。彼らの代表曲と言える「恋しくて」はまさに、ブルースの要素を強く取り入れている一方で、同時にハワイアン的な雰囲気や、どこか沖縄民謡の要素を取り入れており、まさにBEGINしか作りえないようなポップソングに仕上げています。また、ベスト盤に最後に収録されている「渋谷百年総踊り」では、タイトル通り、日本の盆踊りを取り入れつつ、ブラジル音楽の要素も取り入れています。このように、沖縄民謡をベースとしつつ、決してそこに留まらない音楽性をしっかり取り入れつつ、かつポップにまとめあげています。決して沖縄民謡だけを取り入れるわけでもなく、かといってしっかりと沖縄を歌にする、このいい意味での彼らの生まれ故郷、沖縄との距離感が彼らの大きな魅力に感じました。
彼らの35年にも及ぶ音楽活動。初心者向けとして確かに「ガジュマルベスト」のような1枚にまとめたベスト盤も必要でしょうが、一方で、彼らの魅力をしっかり伝えようとするとやはり、この程度のボリュームは必要になってくるのでしょう。そして、このベスト盤でしっかりとBEGINの実力、魅力が伝わってきたと思います。あらためて35年間活動を続けるのはやはり伊達じゃない、そう強く感じたベスト盤でした。
評価:★★★★★
BEGIN 過去の作品
3LDK
ビギンの島唄 オモトタケオ3
ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト
トロピカルフーズ
Potluck Songs
BEGIN ガジュマルベスト
BEGINライブ大全集2
ビギンの盆マルシャ
ほかに聴いたアルバム
BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024 at ARIAKE ARENA-DAY2-/BUMP OF CHICKEN
2008年に行われたツアー「ホームシック衛星」のリバイバル公演として行われた「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」のツアーファイナル、有明アリーナでの公演の模様を収録した配信限定のライブアルバム。2008年のツアーのリバイバルということもあって、選曲はかなり懐かしい曲の連続。「メーデー」「ラフ・メイカー」「アルエ」「ガラスのブルース」などなど、かなり感涙モノのセットリストとなっており、ちょっと懐かしさに浸ってしまいました。
評価:★★★★★
BUMP OF CHICKEN 過去の作品
orbital period
COSMONAUT
BUMP OF CHICKEN Ⅰ[1999-2004]
BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]
RAY
Butterflies
aurora arc
Iris
藤子・F・不二雄 生誕90周年記念 CAFE de FUJIKO・F・FUJIO MUSEUM/今井亮太郎
藤子・F・不二雄先生の生誕90年を記念してリリースされたアルバムで、タイトル通り、川崎市にある「藤子・F・不二雄ミュージアム」内のミュージアム・カフェで流れているBGMをまとめたもの。ブラジル音楽のピアニスト、プロデューサーであり、自身も藤子F先生の大ファンという今井亮太郎が、藤子Fアニメの代表曲をアコースティックサウンドのインスト曲としてリメイクし、演奏した作品。本籍地がブラジル音楽ということでボッサな雰囲気のカバーもあるのですが、全体としてはシンプルで暖かいインスト曲に仕上がっています。カフェのBGMということで雰囲気を壊さないようなBGMに徹したカバーとなっており、部屋に流しておくにはピッタリのアルバムになっていました。
評価:★★★★
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